場の量子論
量子力学から場の量子論への移行(第二量子化)の必要性(粒子の生成・消滅、相対論との整合性)を説明する。
想定読者: 大学院生(理系)
前提テーマ:量子力学、相対性理論、力学(古典力学・解析力学)
目次
- 第 1 章なぜ場の量子論が必要か?無料特殊相対論と量子力学を素朴に接ぎ木すると、負エネルギー解・非正値の確率密度・光円錐外への伝播という三つの破綻が生じます。これらを計算で示し、場そのものを量子化して粒子を励起量子とみなす立場が唯一の出口であることを示します。
- 第 2 章古典場の理論とラグランジアン無料連成振動子の連続極限としてラグランジアン密度を導入し、変分原理から場のオイラー・ラグランジュ方程式を導く。クライン・ゴルドン場を例に、ネーターの定理と保存カレント・エネルギー運動量テンソルまでを扱う。
- 第 3 章スカラー場の正準量子化無料実スカラー場に等時刻正準交換関係を課し、生成・消滅演算子によるモード展開でハミルトニアンを対角化する。励起状態が質量 m の相対論的粒子として解釈できることを示し、真空エネルギーの発散と正規順序、微視的因果律までを導く。
- 第 4 章経路積分量子化無料遷移振幅の時間分割から経路積分を導き、ユークリッド化で分配関数と結びつけ、場の理論の生成汎関数 Z[J] を定義する。ガウス積分とウィックの定理からファインマン則を、ファデーエフ–ポポフ法からゲージ理論の量子化を導く。
- 第 5 章くりこみ理論入門無料φ⁴ 理論の 1 ループ計算で紫外発散を具体的に取り出し、裸のパラメータへの吸収とくりこみ条件で有限化する手順、表面的発散次数によるくりこみ可能性の判定、そしてくりこみ群方程式とベータ関数までを導きます。
- 第 6 章ゲージ理論と自発的対称性の破れ無料局所 U(1) 対称性から電磁場を導くゲージ原理を出発点に、自発的対称性の破れとゴールドストーンの定理を証明し、アーベリアン・ヒッグス模型と標準模型で W・Z ボソンが質量を得る仕組みを計算で追う。
- 第 7 章ローレンツ群・ポアンカレ群と粒子の分類無料ローレンツ群の連結成分と SL(2,C) による 2 対 1 被覆を証明してスピノルの起源を示し、ポアンカレ代数・パウリ–ルバンスキーベクトルを導入して、質量と小群による粒子の分類(スピンとヘリシティ)まで導く。
- 第 8 章ディラック場の量子化無料ディラック方程式の平面波解とスピン和の公式を導き、反交換関係による正準量子化でエネルギーが下に有界になること、交換関係では破綻することを示す。C・P・T の作用、ファインマン伝播関数、空間的に離れた点での反交換子の消滅、Majorana 条件と Majorana 場までを証明する。
- 第 9 章電磁場の量子化とゲージ固定無料マクスウェル場の正準量子化で生じる拘束 π⁰=0 を出発点に、クーロンゲージの横波光子とファインマンゲージの共変量子化を比較する。Gupta–Bleuler 条件で物理的状態のノルムが半正定値になることを証明し、伝播関数のゲージ依存性が物理量から消える理由を述べる。
- 第 10 章摂動論とファインマン則:Wick の定理から LSZ まで無料相互作用描像とダイソン級数から Gell-Mann–Low の公式を述べ、Wick の定理を証明して φ⁴・湯川・QED の運動量空間ファインマン則を導く。LSZ 簡約公式で S 行列と結び、断面積と崩壊率の公式を経て e⁺e⁻→μ⁺μ⁻ の微分断面積を計算する。
- 第 11 章QED の 1 ループ:真空偏極・電子の異常磁気モーメント・Ward 恒等式無料次元正則化とファインマン・パラメータの基本積分公式を示し、QED の 1 ループで真空偏極・走る結合定数とβ関数・Landau 極を導く。頂点補正から Schwinger の a=α/2π を計算し、Ward–高橋恒等式から Z₁=Z₂ を示して、赤外発散の Bloch–Nordsieck 相殺を説明する。
- 第 12 章非可換ゲージ理論の量子化:FP ゴースト・BRST・漸近的自由無料構造定数と随伴表現からヤン–ミルズ理論を組み立て、ファデーエフ–ポポフの方法でゴースト場が必要になる理由を示す。BRST 変換のべき零性を証明して物理的状態を BRST コホモロジーで特徴づけ、1 ループのβ関数と漸近的自由、ABJ アノマリーとその相殺条件を述べる。
- 第 13 章次元正則化とくりこみ群無料次元正則化の性質(スケールのない積分の消滅、極の局所性)から MS スキームを定義し、β 関数と異常次元を Z 因子の 1 位の極から読む公式、Callan–Symanzik 方程式の解と走る結合定数、Landau 極、背景場法による非可換ゲージ理論の 1 ループ β 関数を証明する。
- 第 14 章Ward–高橋恒等式と Schwinger–Dyson 方程式無料経路積分の部分積分から Schwinger–Dyson 方程式を、局所位相変換から全次数の Ward–高橋恒等式を導き、真空偏極の横波性と S 行列の Ward 恒等式を証明する。電荷共役から Furry の定理を、状態の挿入から Källén–Lehmann 表示と伝播関数の Herglotz 性を示す。
- 第 15 章アノマリーとインスタントン無料γ⁵ のトレース公式・ε の縮約恒等式・V−A の Fierz 変換を証明し、経路積分の測度のヤコビアンから ABJ アノマリーを導く。ゲージ・アノマリーの群論的構造と Witten の SU(2) アノマリー、インスタントンの作用の下限、θ 真空と指数定理の関係を扱う。
- 第 16 章有限温度の場の理論無料熱平衡状態の相関関数が虚時間方向に周期 β をもつこと(KMS 条件)を証明し、松原振動数とスペクトル表示、遅延グリーン関数への解析接続、揺動散逸定理を導く。周回積分で松原和を計算し、φ⁴ 理論の熱的質量 λT²/24 と高温での対称性の回復を示す。
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