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積分の基本定理と定積分:リーマン和から原始関数へ

前提:平均値の定理とテイラーの定理:微分から関数の姿を復元する

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  • 定積分は「面積」を既知として定義するのではありません。長方形の面積の和(ダルブー和・リーマン和)の上限と下限が一致することを要求し、一致したときにその共通の値を面積と定める、という順序です。この一致が起きる関数を可積分と呼びます。
  • 有界な関数が可積分であるための必要十分条件は、上和と下和の差をいくらでも小さくできる分割が取れることです(定理 3.4)。連続関数はこれを一様連続性から満たします(定理 3.5)。
  • 微分積分学の基本定理は 2 つの主張からなります。前半は「積分してから微分すると元に戻る」(定理 5.2)、後半は「原始関数の差が定積分に等しい」(定理 5.4)です。
  • 後半の証明の核は平均値の定理です。無限個の項の極限だった定積分が、原始関数を 2 点で評価する引き算に化けます。この「化け方」が基本定理の威力の正体です。
  • 置換積分は合成関数の微分法を、部分積分は積の微分法を、それぞれ基本定理で積分の側へ翻訳したものです(定理 6.1定理 6.2)。

1. 動機:「面積」を定義するところから

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古代ギリシャのアルキメデスは、放物線と弦で囲まれた領域の面積を、内接三角形を無限に足し上げる「取り尽くし法」で求めました。見事な議論ですが、図形ごとに個別の工夫が必要で、一般の曲線には通用しません。

17 世紀にニュートンとライプニッツが見抜いたのは、面積を求める操作と接線を引く操作が互いに逆だという驚くべき事実でした。これがこの記事の主題である微分積分学の基本定理です。この発見によって、面積の計算は「微分すると元の関数になる関数」を探す作業に置き換わり、計算可能な積分の範囲が一気に広がりました。

しかし 18 世紀までの微積分には、根本的な曖昧さが残っていました。「曲線で囲まれた領域の面積」を、あたかも初めから存在する量であるかのように使っていたのです。長方形の面積が縦かける横であることは定義として認めるとしても、曲線で囲まれた領域については、面積という数がそもそも存在するのかどうかから怪しい。フーリエ級数の研究で「値が激しく飛び回る関数」が正面から扱われるようになると、この曖昧さは実害を生み始めます。

19 世紀にコーシーとリーマンが与えた答えが、この記事で扱う定積分です。彼らの発想の転換は次の一点にあります。面積を求めるのではなく、面積を定義する。 領域を細い長方形で内側から埋め、外側から覆い、内側の総面積の上限と外側の総面積の下限が一致したときに限り、その共通の値を面積と呼ぶことにしたのです。一致しない関数は「面積をもたない」と切り捨てます。こうして「どんな関数なら面積が定まるか」という問いが、可積分性という明確な条件として切り出されました。

この記事の目標は 2 つです。第一に、定積分を長方形の和の極限として定義し、連続関数に対してそれが確かに定まることを証明します。第二に、微分積分学の基本定理を証明し、その強力さを具体的に見ます。

なお、極限と連続性の ε-δ 論法(関数の極限の定義(定義 3.1)[極限と連続性])、および平均値の定理(ラグランジュの平均値の定理(定理 3.3)[平均値の定理とテイラーの定理])は既知とします。必要に応じて 極限と連続性 (ε-δ論法)平均値の定理とテイラーの定理 を参照してください。

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