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確率論とベイズ統計:最尤推定・MAP 推定と正則化の正体

前提:主成分分析:分散最大化はなぜ固有値問題になるのか

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  • **最尤推定(MLE)**は「観測データが最も出やすくなるパラメータ」を選ぶ方法です。データが少ないと極端な答え(確率 11 や無限大の重み)を平然と返します。
  • ベイズの定理は、データを見る前の信念(事前分布)とデータの当てはまり(尤度)を掛けて、データを見た後の信念(事後分布)を作る規則です。MAP 推定は事後分布の最頻値を取ることです。
  • これまで「過学習を防ぐおまじない」として導入してきた正則化は、事前分布そのものです。L2 正則化はガウス事前分布の、L1 正則化はラプラス事前分布の MAP 推定に一致し、正則化係数は λ=σ2/τ2\lambda = \sigma^2/\tau^2(観測ノイズの分散と事前分散の比)という意味を持ちます。
  • 事後分布を 1 点に潰さず、パラメータについて積分すると事後予測分布が得られます。その分散は「観測ノイズ」と「パラメータの不確実性」の和に分解され、外挿するほど後者が効きます。
  • MAP は事後分布のたった 1 点であり、座標変換で不変ではありません。L1 のスパース性も「最頻値の性質」であって「事後平均の性質」ではありません。

1. 動機:点で答えるか、分布で答えるか

Section titled “1. 動機:点で答えるか、分布で答えるか”

線形回帰と最小二乗法では、残差平方和 i(yiwTxi)2\sum_i (y_i - \boldsymbol{w}^{\mathsf{T}}\boldsymbol{x}_i)^2 を最小にする w\boldsymbol{w} を求めました(最小二乗問題(定義 3.1)[線形回帰と最小二乗法])。ロジスティック回帰では交差エントロピー(交差エントロピー誤差(定義 4.1)[ロジスティック回帰])を最小にしました。そして過学習を抑えるために、どちらでも罰則項 λw2\lambda \lVert \boldsymbol{w}\rVert^2 を足しました。

ここで素朴な疑問が 3 つ残ります。

  1. なぜ残差の 2 乗なのですか。絶対値でも 4 乗でもよいはずです。
  2. なぜ罰則が w2\lVert \boldsymbol{w}\rVert^2 なのですか。λ\lambda はどうやって決めるのですか。単位は何ですか。
  3. モデルが返すのは y^=w^Tx\hat{y} = \hat{\boldsymbol{w}}^{\mathsf{T}}\boldsymbol{x} という 1 つの数だけです。「この予測はどのくらい信用してよいか」はどこに書いてあるのですか。

この章の主張は、3 つとも確率モデルを明示すれば同時に答えが出る、というものです。1 の答えは「観測ノイズをガウス分布と仮定したから」、2 の答えは「重みの事前分布をガウス分布と仮定したから、λ\lambda はノイズ分散と事前分散の比」、3 の答えは「点推定を捨てて事後分布のまま積分すればよい」です。

歴史的には、この見方は機械学習より 250 年ほど古いものです。トーマス・ベイズの遺稿(1763 年)と、それを独立に一般の形で展開したラプラスの 1774 年の論文は、「結果から原因の確率を測る」問題として条件付き確率の反転を扱いました。一方、20 世紀初頭の R. A. フィッシャーは事前分布を持ち込むことを嫌い、尤度だけを使う最尤推定を統計学の中心に据えました。現代の機械学習はこの両方を、目的に応じて使い分けています。損失関数の設計は前者の言葉で、汎化性能の議論は後者の言葉で語られることが多い、という具合です。

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