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対称性と保存則:ネーターの定理を「変換の生成子から保存量を作る機械」として読む

前提:ラグランジュ形式の力学:最小作用の原理からオイラー・ラグランジュ方程式へ

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  • 保存則は個別の偶然ではありません。ラグランジアンが持つ連続的な対称性があれば、そこから機械的に保存量が作れます。これがネーターの定理です。
  • 対称性の生成子を (ζi,τ)(\zeta^i, \tau)、一般化運動量を pi=L/q˙ip_i = \partial L/\partial \dot q^i、エネルギー関数を h=ipiq˙iLh = \sum_i p_i \dot q^i - L と書くと、保存量はつねに I=ipiζihτFI = \sum_i p_i \zeta^i - h\,\tau - F という同じ形をしています。FF はラグランジアンが完全微分だけずれることを許すための境界項です。
  • 時間の並進はエネルギー hh を、空間の並進は全運動量を、空間の回転は全角運動量を、ガリレイ変換は「重心が等速直線運動する」という保存則を与えます。すべて同じ公式の特殊化です。
  • 保存するのは hh であって T+UT + U ではありません。両者が一致するのは、座標変換が時間に陽に依存しないなどの追加の仮定の下だけです。仮定を外すと hh は保存するのに T+UT+U は増え続ける、という例を作れます。
  • 対称性は連続でなければなりません。空間反転のような離散対称性は、この定理からは保存量を生みません。

1. 動機:保存則はどこから来るのか

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ニュートン力学を学ぶと、三つの保存則が別々の場所から現れます。運動量保存則(運動量保存則(定理 6.1)[ニュートン力学の基礎])は作用・反作用の法則から、エネルギー保存則(力学的エネルギー保存則(定理 7.5)[ニュートン力学の基礎])は力が保存力であること(ポテンシャルを持つこと)から、角運動量保存則(中心力の下での角運動量保存(定理 3.1)[惑星の運動と中心力])は力が中心力であることから導かれます。導出はどれも正しいのですが、三つの出所がばらばらで、なぜこの三つがそろって基本的なのかが見えません。詳しくは ニュートン力学の基礎惑星の運動と中心力 を参照してください。

素朴な疑問として、次のように問うことができます。保存量は、法則のどんな性質から生まれるのか。 力の具体形を知らなくても、法則の形だけから保存量を予言できないのか。

この問いに完全な答えを与えたのが、エミー・ネーターが 1918 年にゲッティンゲンで発表した論文「変分問題の不変量」です。当時、ヒルベルトとクラインは一般相対性理論におけるエネルギー保存の奇妙な振る舞い(重力場のエネルギーが局所的にうまく定義できない)に悩んでいました。ネーターはこの問題を、変分原理の不変性という一般的な枠組みで整理し、二つの定理を証明しました。第一定理は、有限個のパラメータを持つ連続対称性が保存則を与えることを述べます。第二定理は、任意関数を含む対称性(ゲージ対称性)が保存則ではなく方程式の間の恒等式を与えることを述べ、一般相対論のエネルギー問題の正体を明らかにしました。

この記事で扱うのは第一定理です。主張を一言で書くと次のようになります。

作用を不変にする連続変換が一つあれば、運動方程式の解に沿って一定に保たれる量が一つ作れる。

重要なのは「作れる」の部分です。ネーターの定理は保存量の存在を主張するだけでなく、対称性の生成子から保存量を書き下す公式を与えます。以下ではこの公式を導き、三つの古典的保存則がすべてその特殊化であることを確認します。

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