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級数と収束判定:部分和の極限・4 つの判定法・絶対収束と条件収束

前提:重積分と累次積分:フビニの定理とヤコビアンで多変数の積分を計算する

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  • 無限級数の「和」は、有限和である部分和 SN=a1++aNS_N = a_1 + \cdots + a_N数列としての極限で定義します。級数の問題はすべて数列の収束の問題に翻訳されます。
  • 正項級数(すべての項が 00 以上)については「収束することと部分和が上に有界であることが同値」という一つの原理があり、比較判定法・積分判定法・比判定法・根判定法はいずれもその言い換えです。
  • ダランベールの比判定法とコーシーの根判定法はどちらも「等比級数と比べる」道具ですが、根判定法のほうが真に強い。比判定法が結論を出せないのに根判定法が出せる例があります。
  • 絶対収束すれば収束します。逆は成り立たず、その差が条件収束です。
  • 条件収束する級数は、項の順序を変えると和が変わります(リーマンの再配列定理)。無限和は有限和の単なる延長ではありません。

1. 動機:無限個の数を足すとはどういうことか

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有限個の数の足し算に説明は要りません。しかし 1+12+14+18+1 + \frac12 + \frac14 + \frac18 + \cdots のように項が無限に続くとき、「足した結果」とは何を指すのでしょうか。実際に無限回の加法を行うことはできませんから、これは定義しなければ意味を持たない言葉です。

このことが真剣に問題になった例を挙げます。1818 世紀に議論されたグランディ級数

11+11+11+1 - 1 + 1 - 1 + 1 - 1 + \cdots

を考えます。括弧を (11)+(11)+(1-1) + (1-1) + \cdots と付ければ 00 ですが、1+(1+1)+(1+1)+1 + (-1+1) + (-1+1) + \cdots と付ければ 11 です。和を SS と書いて S=1SS = 1 - S を解けば S=12S = \frac12 になります。どれももっともらしく、どれも決定的でない。同じ時期にオイラーは 1+2+4+8+1 + 2 + 4 + 8 + \cdots に等比級数の公式 11r\frac{1}{1-r}r=2r = 2 で当てはめて 1-1 という値を割り当てています。

こうした混乱は「無限和とは何か」が決まっていなかったことに由来します。コーシーは 1821 年の『解析教程』で、無限和を部分和の極限として定義しました。この定義のもとではグランディ級数の部分和は 1,0,1,0,1, 0, 1, 0, \ldots と振動して極限を持たないので、答えは「和は存在しない(発散する)」です。曖昧さは消えます。

定義が決まると、次の問いは実際的なものになります。与えられた級数は収束するのか。 和の値そのものは初等関数で表せないことが多い一方、収束するかどうかは判定できることが多い。テイラー展開がどの範囲の xx で使えるか(平均値の定理とテイラーの定理テイラーの定理(定理 5.3)[平均値の定理とテイラーの定理])、数値計算で何項まで足せば必要な精度が出るか。どちらもこの判定の問題です。この記事はその道具立てを、証明を省かずに組み立てます。なお 0.999=10.999\ldots = 1 のような無限小数の等式も級数の収束の話です(数とは何か?1 = 0.999…(定理 6.3)[数とは何か])。

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