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経路積分量子化:時間分割から生成汎関数とファインマン則へ

前提:スカラー場の正準量子化:場の交換関係から粒子描像へ

生 Markdown
  • 遷移振幅 qfeiH^T/qi\langle q_f|e^{-i\hat H T/\hbar}|q_i\rangle を時間分割すると、始点と終点を結ぶすべての経路にわたる和 DqeiS[q]/\int\mathcal{D}q\,e^{iS[q]/\hbar} が現れます。量子化の入力は演算子や交換関係ではなく、古典作用 SS そのものです。
  • 作用が座標について高々 2 次なら、経路積分は古典作用の位相因子と端点によらない前因子の積に厳密に分解します(定理 3.4)。自由粒子と調和振動子はこれで完全に解けます。
  • 時間を虚数方向へ回すと(ウィック回転)、振動積分が正定値の重みをもつ積分になり、周期境界条件つきの経路積分が分配関数 Z(β)=TreβH^Z(\beta)=\mathrm{Tr}\,e^{-\beta\hat H} になります。場の量子論と統計力学が同じ式で書けるのはこのためです。
  • 場の理論では外部源 JJ を入れた生成汎関数 Z[J]Z[J] が主役になり、その汎関数微分が時間順序相関関数を与えます。自由場では Z0[J]Z_0[J] がガウス積分で厳密に求まり、そこからウィックの定理とファインマン則が機械的に出てきます。
  • ゲージ理論では作用がゲージ変換で不変なため、運動核が可逆でなく伝播関数が定義できません。ファデーエフ–ポポフの方法はゲージ軌道の体積を分離し、その代償としてゲージ固定項とゴースト場を生みます。この扱いやすさが、経路積分が正準量子化より好まれる最大の理由です。

スカラー場の正準量子化では、古典場 ϕ\phi と共役運動量 π\pi に同時刻交換関係を課すことで量子論を作りました(実スカラー場の正準量子化(定義 3.1)[スカラー場の正準量子化])。この処方は明快ですが、三つの点で居心地の悪さが残ります。

第一に、共変性が見えません。同時刻交換関係を書くには時間と空間を分ける必要があり、ローレンツ不変性は最終結果でようやく回復します。第二に、ゲージ理論に素直に適用できません。マクスウェル理論では π0=L/A˙0=0\pi^0=\partial\mathcal{L}/\partial\dot A_0=0 が恒等的に成り立つため、ルジャンドル変換が特異になり、ディラックの拘束系の理論を経由しなければなりません。第三に、非摂動的な定義が与えられません。自由場の生成消滅演算子から出発する以上、強結合領域は原理的に手の届かない場所に置かれます。

もう一つの道筋は、量子論を作用汎関数から直接組み立てることです。出発点は、ディラックが 1933 年に指摘した観察 —— 短い時間 ϵ\epsilon の遷移振幅 qeiH^ϵ/q\langle q'|e^{-i\hat H\epsilon/\hbar}|q\rangleexp(iLϵ/)\exp(iL\epsilon/\hbar) に「対応する」—— でした。ファインマンはこれを等式に格上げし、有限時間の振幅を無限個の短時間振幅の積として表しました。

物理的な描像は二重スリットの思考実験から得られます。スリットが 2 本なら、振幅は 2 本の経路の寄与の和です。スリットを 3 本、4 本と増やせば和の項が増えます。さらに壁を 2 枚、3 枚と増やし、最後にスリットを無限に細かく、壁を無限に密にする極限を取ると、遮蔽物は消え去り、始点と終点を結ぶあらゆる経路にわたる和だけが残ります。各経路の重みは eiS[q]/e^{iS[q]/\hbar} です。

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