0. この記事の要点
Section titled “0. この記事の要点”- ベクトル場は「各点に接ベクトルを滑らかに割り当てる規則」であり、正確には接バンドル の滑らかな切断として定義されます。滑らかさは、局所座標での成分が であることと同値です。
- 接空間 の双対空間 (余接空間)を各点で束ねたものが余接バンドル で、その切断が 1 次微分形式です。座標変換のとき、ベクトル場の成分と 1 形式の成分は互いに逆の行列で変換されます(反変と共変)。
- 次微分形式は、各点で接空間上の交代 重線形形式を与えるものです。 のとき各点のファイバーは 次元で、特に では になります。
- ウェッジ積 は結合的で、、 に対し という次数付き可換性を満たします。
- 外微分 は「 形式上では全微分」「ライプニッツ則(符号付き)」「」の 3 条件で一意に決まります。 ではこの が 、、 をまとめて表し、 が と の両方を同時に与えます。
多変数の微分積分では、線積分 、面積分 、体積積分 という 3 種類の積分を別々に学び、それらを結ぶ定理としてグリーンの定理・ストークスの定理・ガウスの発散定理を別々に覚えました。証明も、記号も、次元ごとにばらばらです。しかもベクトル解析の道具立ては に強く依存しています。回転 が「ベクトル場からベクトル場」への作用素になるのは、 次元では が偶然 に等しいからにすぎません。 次元では なので、 に相当するものはベクトル場になりません。
もうひとつの動機は座標です。多様体には大域座標がありません。微分可能多様体 はチャートを貼り合わせて作られており、量を成分で書けばチャートごとに違う数の組になります。したがって「 上の量」として意味を持つのは、座標変換のもとで決まった規則で変換される対象だけです。一般相対論で計量やリーマン曲率を扱うとき、添字の上下(反変と共変)を厳密に区別するのはこのためです。
微分形式は、この 2 つの問題を同時に解きます。積分される対象を「 次微分形式」という 1 種類に統一し、、、 を「外微分 」という 1 つの作用素に統一し、3 つの積分定理を ストークスの定理(ストークスの定理(定理 6.1)[ストークスの定理]) という 1 本の式に統一します。しかもこれらはすべて座標の取り方に依存しない形で述べられます。
鍵になるのは交代性です。 という反対称性は、重積分の変数変換(変数変換公式(定理 6.3)[重積分と累次積分])で現れるヤコビアン(行列式)の符号を、記号のレベルで最初から組み込んだものです。この記事では、その代数(外積代数)を線形代数として構成し、多様体上に載せ、外微分を定義するところまでを行います。
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