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相対論的力学:4元運動量が語る E=mc² の意味

前提:ローレンツ変換:時間の遅れと空間の縮みを光時計から導く

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  • ニュートン力学の運動量 mvm\boldsymbol v の保存則は、ある慣性系で成り立っても別の慣性系では成り立ちません。速度の合成則がガリレイ変換ではなくローレンツ変換に従うからです。保存則を守りたいなら、運動量の定義を作り直すしかありません。
  • 作り直しの指針は「ローレンツ変換のもとで時空座標 xμx^\mu と同じ規則で変換する量(4元ベクトル)だけを使う」ことです。固有時 τ\tau で微分した 4元速度 uμu^\mu と、それに質量を掛けた 4元運動量 pμ=muμp^\mu = m u^\mu が主役になります。
  • pμp^\mu の空間成分は p=γmv\boldsymbol p = \gamma m \boldsymbol v、時間成分は p0=γmcp^0 = \gamma m c です。後者に cc を掛けた E=γmc2E = \gamma m c^2 が相対論のエネルギーで、低速では mc2+12mv2mc^2 + \frac{1}{2}mv^2 に一致します。
  • 運動量保存を「すべての慣性系で」要求すると、エネルギー保存が自動的に従います。両者は 1 本の 4元ベクトルの保存則の、別々の成分にすぎません。
  • 静止した物体も E=mc2E = mc^2 のエネルギーを持ちます。ニュートン力学と違ってこの「定数」は観測にかかります。反応で粒子の顔ぶれが変われば m\sum m が変わり、その差がちょうど出入りするエネルギーになるからです。
  • 質量は加法的ではありません。系の不変質量は M2c4=(E)2p2c2M^2c^4 = \left(\sum E\right)^2 - \left|\sum \boldsymbol p\right|^2 c^2 で決まり、構成要素の質量の和より必ず大きいか等しくなります。重水素の結合エネルギーも、太陽が輝くことも、この一言の帰結です。

1. 動機:ニュートン力学のどこで破綻するか

Section titled “1. 動機:ニュートン力学のどこで破綻するか”

前章で、慣性系の間の座標変換がガリレイ変換ではなくローレンツ変換(定理 6.1)[ローレンツ変換]であることを見ました。時間の遅れも長さの収縮も、そこから出てきます。しかし変換則が変わったということは、その変換則のもとで書かれていた力学法則のほうも点検し直さなければならない、ということです。

ニュートン力学の骨格は、運動量 pN=mv\boldsymbol p_{\text{N}} = m\boldsymbol v と、その保存則です。これは実験的にきわめてよく確かめられた法則で、ニュートン力学の基礎運動量保存則(定理 6.1)[ニュートン力学の基礎] で見たとおり、作用・反作用の法則と同値なほど中心的なものです。ところがこの法則は、ローレンツ変換のもとでは形を保ちません。次の計算がそれを示します。

例 1.1ニュートン的運動量保存は慣性系に依存する

質量が等しい 2 個の粘土玉 A、B を考えます。慣性系 S で見ると、A は速度 +u+u、B は速度 u-u で正面から衝突し、合体して 1 つの塊になります。ニュートン的な運動量の和は衝突前が mu+m(u)=0mu + m(-u) = 0 ですから、保存則を認めれば合体後の塊は S で静止します。

いま、S に対して xx 軸方向に速度 u-u で動く慣性系 S′ に乗り換えます。速度の合成則(前章系 6.3[ローレンツ変換])により、S で速度 ww をもつ物体は S′ では

w=w+u1+wu/c2w' = \frac{w + u}{1 + wu/c^2}

の速度をもちます。これを 3 つの物体に当てはめます。βu/c\beta \equiv u/c と書くと、

  • A(w=uw = u): wA=2u1+β2\displaystyle w'_{\mathrm A} = \frac{2u}{1+\beta^2}
  • B(w=uw = -u): wB=u+u1β2=0\displaystyle w'_{\mathrm B} = \frac{-u+u}{1-\beta^2} = 0
  • 合体後の塊(w=0w = 0): w=uw' = u

S′ でのニュートン的運動量を、質量は足し算になる(合体後の質量は 2m2m)として計算します。

衝突前=m2u1+β2+m0=2mu1+β2,衝突後=2mu=2mu.\begin{aligned} \text{衝突前} &= m\cdot\frac{2u}{1+\beta^2} + m\cdot 0 = \frac{2mu}{1+\beta^2},\\ \text{衝突後} &= 2m\cdot u = 2mu. \end{aligned}

両者の比は 1/(1+β2)1/(1+\beta^2) で、u0u \neq 0 である限り 11 になりません。たとえば u=0.6cu = 0.6c なら β2=0.36\beta^2 = 0.36 で、衝突前は 2mu/1.36=1.47mu2mu/1.36 = 1.47\,mu、衝突後は 2mu2mu です。26%26\,\% も食い違います。

つまり「S ではニュートン的運動量が保存し、S′ では保存しない」ことになります。

これは深刻です。相対性原理(特殊相対性理論の原理特殊相対性原理(公理 5.2)[特殊相対性理論の原理])は「物理法則はすべての慣性系で同じ形をとる」と要求しますから、ある系でだけ成り立つ保存則は物理法則の資格を失います。逃げ道は 2 つしかありません。

  1. 運動量保存則を捨てる。
  2. 運動量の定義(あるいは「質量は足し算」という前提)を作り直す。

実験は 1 を許しません。衝突実験で保存する量が存在することは、素粒子から天体まであらゆるスケールで確かめられています。しかもネーターの定理によれば、保存量の存在は空間の一様性という対称性の言い換えであり、これを捨てるのは対称性を捨てるに等しいことです。したがって道は 2 しかありません。

同じ結論は、別の方向からも見えます。ニュートン力学では運動エネルギー K=12mv2K = \frac{1}{2}mv^2 に上限がないので、KK44 倍すれば vv22 倍になるはずです。ところが電子を加速していくらエネルギーを注ぎ込んでも、飛行時間から測った速度は cc に貼りつくだけで、それを超えません。ベルトッツィが 1962 年に行った実験(参考文献 [5])は、電子の運動エネルギーを 0.5 MeV0.5\ \mathrm{MeV} から 15 MeV15\ \mathrm{MeV}3030 倍にしても、飛行時間から求めた v2/c2v^2/c^20.740.74 から 0.9990.999 へ動くだけで 11 を超えないことを、直接示しました。KKvv の関係そのものが違うのです。

この記事では、2 の道を最後まで歩きます。行き着く先が E=mc2E = mc^2 です。

2. 準備:ローレンツ変換と 4元ベクトル

Section titled “2. 準備:ローレンツ変換と 4元ベクトル”

光速を cc とし、γ(w)(1w2/c2)1/2\gamma(w) \equiv \left(1 - w^2/c^2\right)^{-1/2} と書きます。慣性系どうしの相対速度には VV、粒子の速度には v\boldsymbol v(大きさ vv)を使い、粒子については γγ(v)\gamma \equiv \gamma(v) と略記します。βV/c\beta \equiv V/c です。

慣性系 S に対して S′ が xx 軸の正方向に速度 VV で動いているとき、ローレンツ変換(ブースト)は

ct=γ(V)(ctβx),x=γ(V)(xβct),y=y,z=z\begin{aligned} ct' &= \gamma(V)\left(ct - \beta x\right), \qquad & x' &= \gamma(V)\left(x - \beta\, ct\right),\\ y' &= y, \qquad & z' &= z \end{aligned}

でした。時間座標を ctct という長さの次元にそろえてある点に注意してください。こうすると 4 つの座標が同じ次元をもち、xμ=(x0,x1,x2,x3)=(ct,x,y,z)x^\mu = (x^0, x^1, x^2, x^3) = (ct, x, y, z)μ=0,1,2,3\mu = 0,1,2,3)とまとめて書けます。

ローレンツ変換の式は xμx^\mu について線形で、しかも x0x^0x1x^1 を混ぜます。ここから「同じ混ざり方をする量の組」という概念が自然に出てきます。

定義 2.14元ベクトルとミンコフスキー内積

各慣性系で 4 個の数の組 Aμ=(A0,A1,A2,A3)A^\mu = (A^0, A^1, A^2, A^3) が定まっており、上のブーストのもとで

A0=γ(V)(A0βA1),A1=γ(V)(A1βA0),A2=A2,A3=A3\begin{aligned} A'^0 &= \gamma(V)\left(A^0 - \beta A^1\right), \qquad & A'^1 &= \gamma(V)\left(A^1 - \beta A^0\right),\\ A'^2 &= A^2, \qquad & A'^3 &= A^3 \end{aligned}

と変換するとき、AμA^\mu4元ベクトルといいます。2 つの 4元ベクトル AμA^\mu, BμB^\mu に対して

ABA0B0A1B1A2B2A3B3A\cdot B \equiv A^0B^0 - A^1B^1 - A^2B^2 - A^3B^3

ミンコフスキー内積AAA\cdot A をそのノルム 2 乗と呼びます。

定義から、時空座標の Δxμ=(cΔt,Δx,Δy,Δz)\Delta x^\mu = (c\Delta t, \Delta x, \Delta y, \Delta z) は 4元ベクトルです(ローレンツ変換が線形なので、差も同じ式に従います)。そのノルム 2 乗

ΔxΔx=c2Δt2Δx2Δy2Δz2\Delta x \cdot \Delta x = c^2\Delta t^2 - \Delta x^2 - \Delta y^2 - \Delta z^2

が前章で出てきた不変間隔です(世界間隔の不変性(定理 7.2)[ローレンツ変換])。実は、不変なのは座標差のノルムだけではありません。

命題 2.2ミンコフスキー内積のローレンツ不変性

AμA^\mu, BμB^\mu が 4元ベクトルならば、任意のブーストに対して AB=ABA'\cdot B' = A\cdot B が成り立ちます。

証明(命題 2.2)

A2,A3A^2, A^3 は変換で不変なので、A2B2+A3B3=A2B2+A3B3A'^2B'^2 + A'^3B'^3 = A^2B^2 + A^3B^3 です。したがって 00 成分と 11 成分だけを調べれば十分です。定義 2.1 の変換則を代入します。

A0B0A1B1=γ2[(A0βA1)(B0βB1)(A1βA0)(B1βB0)]=γ2[A0B0βA0B1βA1B0+β2A1B1A1B1+βA1B0+βA0B1β2A0B0]=γ2[(1β2)A0B0(1β2)A1B1].\begin{aligned} A'^0B'^0 - A'^1B'^1 &= \gamma^2\Big[\left(A^0-\beta A^1\right)\left(B^0-\beta B^1\right) - \left(A^1-\beta A^0\right)\left(B^1-\beta B^0\right)\Big]\\ &= \gamma^2\Big[A^0B^0 - \beta A^0B^1 - \beta A^1B^0 + \beta^2A^1B^1\\ &\qquad\quad - A^1B^1 + \beta A^1B^0 + \beta A^0B^1 - \beta^2A^0B^0\Big]\\ &= \gamma^2\Big[(1-\beta^2)A^0B^0 - (1-\beta^2)A^1B^1\Big]. \end{aligned}

中間の交差項 βA0B1-\beta A^0B^1+βA0B1+\beta A^0B^1βA1B0-\beta A^1B^0+βA1B0+\beta A^1B^0 がそれぞれ打ち消し合っている点が要です。最後に γ2=(1β2)1\gamma^2 = (1-\beta^2)^{-1} を使うと γ2(1β2)=1\gamma^2(1-\beta^2) = 1 なので、

A0B0A1B1=A0B0A1B1A'^0B'^0 - A'^1B'^1 = A^0B^0 - A^1B^1

を得ます。xx 軸以外の方向のブーストや空間回転についても、座標軸を取り直せば同じ式に帰着します。

命題 2.2 がこの記事全体の道具です。4元ベクトルの内積は、どの慣性系で計算しても同じ数になる。だから内積で作った量は「その物体に固有の量」として意味をもちます。以下ではこの一点を繰り返し使います。

運動量を作るには、まず速度を作らなければなりません。素直に dxμ/dtdx^\mu/dt を作ってみると、これは 4元ベクトルになりません。理由ははっきりしています。分子 dxμdx^\mu は 4元ベクトルですが、分母の dtdt は慣性系ごとに違う値をとる量(x0/cx^0/c という 1 成分)だからです。4元ベクトルを不変でない量で割ると、変換則が壊れます。

必要なのは、全員が同じ値に合意する時間です。それが固有時です。

定義 3.1固有時

粒子の世界線に沿った微小な変位を dxμ=(cdt,dx)dx^\mu = (c\,dt, d\boldsymbol x) とし、dxdx>0dx\cdot dx > 0(時間的)とします。このとき

c2dτ2dxdx=c2dt2dx2c^2\,d\tau^2 \equiv dx\cdot dx = c^2dt^2 - |d\boldsymbol x|^2

で定まる dτ>0d\tau > 0固有時の微小変化といい、世界線に沿って積分した τ=dτ\tau = \int d\tau を粒子の固有時といいます。

dτd\tau は 4元ベクトルの内積から作られているので、命題 2.2 によりローレンツ不変です。つまり固有時は「どの慣性系から見ても同じ値」であり、物理的にはその粒子に貼り付けた時計が刻む時間にほかなりません。前章の 固有時(定義 3.2)[ローレンツ変換] と同じ量を、世界線に沿った微小変位の形で書き直したものです。

命題 3.2固有時と座標時の関係

慣性系 S で粒子の速度が v\boldsymbol v(大きさ v<cv < c)のとき、S の座標時 tt と固有時 τ\tau の間に

dtdτ=γ(v)=11v2/c2\frac{dt}{d\tau} = \gamma(v) = \frac{1}{\sqrt{1 - v^2/c^2}}

が成り立ちます。

証明(命題 3.2)

定義 3.1 の右辺から dt2dt^2 をくくり出します。粒子の速度の定義は v=dx/dt\boldsymbol v = d\boldsymbol x/dt ですから dx=vdt|d\boldsymbol x| = v\,dt で、

c2dτ2=c2dt2dx2=c2dt2v2dt2=c2dt2(1v2c2).c^2 d\tau^2 = c^2dt^2 - |d\boldsymbol x|^2 = c^2dt^2 - v^2dt^2 = c^2dt^2\left(1 - \frac{v^2}{c^2}\right).

両辺を c2dt2c^2dt^2 で割ると (dτ/dt)2=1v2/c2\left(d\tau/dt\right)^2 = 1 - v^2/c^2 です。v<cv < c より右辺は正で、dτ>0d\tau > 0dt>0dt > 0 ととってあるので平方根の符号は正に決まり、

dτdt=1v2c2=1γ(v)\frac{d\tau}{dt} = \sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}} = \frac{1}{\gamma(v)}

すなわち dt/dτ=γ(v)dt/d\tau = \gamma(v) です。

γ(v)1\gamma(v) \ge 1 ですから、dtdτdt \ge d\tau、つまり「動いている時計は遅れる」という前章の結論(時間の遅れ(定理 3.3)[ローレンツ変換])がここでも同じ式で再現されています。

定義 3.34元速度

質量が 00 でない粒子の世界線 xμ(τ)x^\mu(\tau) に対し、

uμdxμdτu^\mu \equiv \frac{dx^\mu}{d\tau}

4元速度といいます。

定理 3.44元速度の性質

質量が 00 でない粒子について、次が成り立ちます。

  1. uμu^\mu は 4元ベクトルである。
  2. 慣性系 S で粒子の速度が v\boldsymbol v のとき、その成分は uμ=γ(v)(c, v)u^\mu = \gamma(v)\,(c,\ \boldsymbol v) である。
  3. そのノルム 2 乗は速度によらず uu=c2u\cdot u = c^2 である。
証明(定理 3.4)

(1) 分子 dxμdx^\mu は 4元ベクトル(定義 2.1 の直後で確認したとおり、座標の差はローレンツ変換の線形性からブーストの式にそのまま従います)。分母 dτd\tau命題 2.2 によりローレンツ不変なスカラーです。4元ベクトルをスカラーで割ったものは、各成分が同じ定数倍を受けるだけなので、変換則は変わりません。よって uμu^\mu は 4元ベクトルです。

(2) 連鎖律で座標時に書き換えます。命題 3.2 より dt/dτ=γ(v)dt/d\tau = \gamma(v) なので、

uμ=dxμdτ=dtdτdxμdt=γ(v)(d(ct)dt, dxdt)=γ(v)(c, v).u^\mu = \frac{dx^\mu}{d\tau} = \frac{dt}{d\tau}\cdot\frac{dx^\mu}{dt} = \gamma(v)\left(\frac{d(ct)}{dt},\ \frac{d\boldsymbol x}{dt}\right) = \gamma(v)\,(c,\ \boldsymbol v).

(3) (2) の成分を 定義 2.1 の内積に入れます。

uu=γ(v)2(c2v2)=c2v21v2/c2=c2(1v2/c2)1v2/c2=c2.u\cdot u = \gamma(v)^2\left(c^2 - |\boldsymbol v|^2\right) = \frac{c^2 - v^2}{1 - v^2/c^2} = \frac{c^2\left(1 - v^2/c^2\right)}{1 - v^2/c^2} = c^2.

途中で c2v2=c2(1v2/c2)c^2 - v^2 = c^2(1 - v^2/c^2) とくくったところが計算の要です。vv が消えて定数 c2c^2 が残りました。

なお (3) は、粒子の静止系(v=0\boldsymbol v = \boldsymbol 0)で uμ=(c,0)u^\mu = (c, \boldsymbol 0) ゆえ uu=c2u\cdot u = c^2 となることと、命題 2.2 による不変性からも、計算せずに従います。

注意 3.5

uu=c2u\cdot u = c^2 は「すべての物体は時空の中を、つねに一定の大きさ cc で進んでいる」と読めます。静止している物体は時間方向にだけ cc で進み、速く動く物体はその cc の一部を空間方向に振り向けている、というわけです。時間の遅れは、この振り分けの結果として時間方向の成分が減ることに対応します。

ニュートン力学の運動量は「質量 × 速度」でした。相対論では速度の場所に 4元速度を置きます。質量には、粒子の静止系で測った値(静止質量、以下単に質量)を使います。これは各粒子に付いた定数であり、慣性系によらない数です。

定義 4.14元運動量

質量 m>0m > 0 の粒子の 4元運動量

pμmuμ=mγ(v)(c, v)p^\mu \equiv m\,u^\mu = m\gamma(v)\,(c,\ \boldsymbol v)

で定義します。その空間成分を相対論的運動量 pγ(v)mv\boldsymbol p \equiv \gamma(v)\,m\boldsymbol v、時間成分に cc を掛けたものをエネルギー Ecp0=γ(v)mc2E \equiv c\,p^0 = \gamma(v)\,mc^2 と呼び、pμ=(E/c, p)p^\mu = (E/c,\ \boldsymbol p) と書きます。

mm は不変スカラー、uμu^\mu は 4元ベクトル(定理 3.4 (1))ですから、pμp^\mu も 4元ベクトルです。vcv \ll c では γ1\gamma \approx 1 なので pmv\boldsymbol p \approx m\boldsymbol v となり、ニュートン力学の運動量に戻ります。つまりこれは「ニュートンの運動量を、4元ベクトルになるように最小限だけ手直しした量」です。

ここで EE という名前を付けた理由は、まだ説明していません。それは 定理 5.1 で明らかになります。先に、なぜこの定義なら保存則が救われるのかを見ます。

4.2. 保存則が慣性系によらないこと

Section titled “4.2. 保存則が慣性系によらないこと”

定理 4.24元運動量の保存則の系独立性

衝突・崩壊・生成などの過程において、反応前の粒子の 4元運動量の和を inpμ\sum_{\text{in}} p^\mu、反応後の和を outpμ\sum_{\text{out}} p^\mu と書きます。

  1. ある 1 つの慣性系で inpμ=outpμ\sum_{\text{in}} p^\mu = \sum_{\text{out}} p^\mu(4 成分すべて)が成り立てば、それはすべての慣性系で成り立ちます。
  2. さらに、空間成分の保存 inp=outp\sum_{\text{in}} \boldsymbol p = \sum_{\text{out}} \boldsymbol p がすべての慣性系で成り立つならば、時間成分の保存 inE=outE\sum_{\text{in}} E = \sum_{\text{out}} E も自動的に成り立ちます。
証明(定理 4.2)

Δμinpμoutpμ\Delta^\mu \equiv \sum_{\text{in}} p^\mu - \sum_{\text{out}} p^\mu を考えます。定義 2.1 の変換則は線形なので、4元ベクトルの和・差もまた 4元ベクトルです。よって Δμ\Delta^\mu は 4元ベクトルです。

(1) 仮定はある慣性系 S で Δμ=0\Delta^\mu = 0(4 成分すべて 00)ということです。任意のブーストに対して

Δ0=γ(V)(Δ0βΔ1)=0,Δ1=γ(V)(Δ1βΔ0)=0,\Delta'^0 = \gamma(V)\left(\Delta^0 - \beta\Delta^1\right) = 0,\qquad \Delta'^1 = \gamma(V)\left(\Delta^1 - \beta\Delta^0\right) = 0,

Δ2=Δ2=0\Delta'^2 = \Delta^2 = 0Δ3=Δ3=0\Delta'^3 = \Delta^3 = 0 です。変換が斉次(定数項を含まない)線形写像であることが効いています。よってどの慣性系でも Δμ=0\Delta'^\mu = 0、すなわち保存則が成り立ちます。

(2) 仮定は、任意の慣性系で空間成分が 00、つまり Δ1=Δ2=Δ3=0\Delta^1 = \Delta^2 = \Delta^3 = 0 かつ Δ1=Δ2=Δ3=0\Delta'^1 = \Delta'^2 = \Delta'^3 = 0 ということです。xx 方向に速度 V0V \neq 0 のブーストをとると、変換則から

0=Δ1=γ(V)(Δ1βΔ0)=γ(V)(0βΔ0)=γ(V)βΔ0.0 = \Delta'^1 = \gamma(V)\left(\Delta^1 - \beta\Delta^0\right) = \gamma(V)\left(0 - \beta\Delta^0\right) = -\gamma(V)\,\beta\,\Delta^0 .

γ(V)1>0\gamma(V) \ge 1 > 0 かつ β=V/c0\beta = V/c \neq 0 ですから、Δ0=0\Delta^0 = 0 でなければなりません。E=cp0E = cp^0 なので、これはエネルギー保存 inE=outE\sum_{\text{in}} E = \sum_{\text{out}} E です。

定理 4.2 (1) が、例 1.1 で壊れていたものをちょうど直しています。ニュートン的運動量 mvm\boldsymbol v は 4元ベクトルの一部ではないので、系を移ると保存が壊れました。p=γmv\boldsymbol p = \gamma m\boldsymbol v は 4元ベクトル pμp^\mu の空間成分なので、時間成分と組で保存する限り、どの系でも保存します。

そして (2) は、この理論のもっとも美しい帰結の 1 つです。**相対論では、運動量保存とエネルギー保存を別々の法則として仮定できません。**片方をすべての慣性系で要求すれば、もう片方が付いてきます。ニュートン力学では独立だった 2 つの保存則が、ここでは 1 本の 4元ベクトルの保存則に統合されるのです。

注意 4.3

ネーターの定理の言葉でいえば、運動量保存は空間並進対称性(全運動量の保存(例 4.3)[対称性と保存則])、エネルギー保存は時間並進対称性(時間の一様性とエネルギー保存(系 5.4)[対称性と保存則])の帰結でした。相対論ではブーストが時間と空間を混ぜるので、2 つの対称性も混ざります。保存則が 1 本にまとまるのは、その反映です。

4.3. エネルギーと運動量の関係式

Section titled “4.3. エネルギーと運動量の関係式”

定理 4.4エネルギー・運動量関係式

質量 mm の自由粒子について、そのエネルギー EE と運動量 p\boldsymbol p は、どの慣性系でも

E2=p2c2+m2c4E^2 = |\boldsymbol p|^2c^2 + m^2c^4

を満たします。とくに静止しているとき(p=0\boldsymbol p = \boldsymbol 0)は E=mc2E = mc^2 です。

証明(定理 4.4)

定義 4.1 より pμ=muμp^\mu = m u^\mu ですから、定義 2.1 の内積と 定理 3.4 (3) を使って

pp=m2(uu)=m2c2.p\cdot p = m^2\,(u\cdot u) = m^2c^2 .

一方、pμ=(E/c,p)p^\mu = (E/c, \boldsymbol p) という成分表示から内積を直接計算すると

pp=(Ec)2p2.p\cdot p = \left(\frac{E}{c}\right)^2 - |\boldsymbol p|^2 .

2 つを等置して (E/c)2p2=m2c2\left(E/c\right)^2 - |\boldsymbol p|^2 = m^2c^2、両辺に c2c^2 を掛けて E2p2c2=m2c4E^2 - |\boldsymbol p|^2c^2 = m^2c^4 を得ます。

左辺は 命題 2.2 によりローレンツ不変ですから、この等式はどの慣性系で成分を測っても同じ形で成り立ちます。p=0\boldsymbol p = \boldsymbol 0 とすれば E2=m2c4E^2 = m^2c^4E>0E > 0 より E=mc2E = mc^2 です。

この関係式は、EE を斜辺とする直角三角形として覚えるのが実用的です。

p cm c²θEp → 0 なら E → mc²m → 0 なら E → pcsin θ = pc / E = v / c
エネルギー・運動量関係式 E² = (pc)² + (mc²)² の直角三角形表示。垂直の脚は静止エネルギー mc²、水平の脚は pc、斜辺が全エネルギー E。角 θ について sin θ = pc/E = v/c が成り立つ。静止した粒子は水平の脚が消えて E = mc²、質量ゼロの粒子は垂直の脚が消えて E = pc になる。

系 4.5速度の復元と質量ゼロの粒子

  1. 質量 m>0m > 0 の粒子について、v=pc2E\displaystyle \boldsymbol v = \frac{\boldsymbol p\,c^2}{E} が成り立ちます。
  2. p0\boldsymbol p \neq \boldsymbol 0 を保ったまま m0m \to 0 の極限を考えると、E=pcE = |\boldsymbol p|c かつ v=cv = c となります。この極限にある粒子(光子など)は、質量が 00 でありながら 00 でないエネルギーと運動量をもちます。
証明(系 4.5)

(1) 定義 4.1p=γmv\boldsymbol p = \gamma m\boldsymbol vE=γmc2E = \gamma mc^2 をそのまま割り算します。

pc2E=γmvc2γmc2=v.\frac{\boldsymbol p\,c^2}{E} = \frac{\gamma m \boldsymbol v \, c^2}{\gamma m c^2} = \boldsymbol v .

γ\gammammc2c^2 が約分されるだけです。

(2) 定理 4.4m=0m = 0 とおくと E2=p2c2E^2 = |\boldsymbol p|^2c^2E>0E > 0 より E=pcE = |\boldsymbol p|c です。これを (1) に代入すると

v=pc2E=pc2pc=c.v = \frac{|\boldsymbol p|c^2}{E} = \frac{|\boldsymbol p|c^2}{|\boldsymbol p|c} = c .

逆に、v=cv = c の粒子に対しては γ(v)\gamma(v) が発散するので、E=γmc2E = \gamma mc^2 が有限であるためには m=0m = 0 でなければなりません。質量ゼロの粒子は光速でしか走れず、光速で走る粒子は質量をもてない、という対応です。

注意 4.6

古い教科書には「速度とともに増える質量」mrel=γmm_{\text{rel}} = \gamma m(相対論的質量)という言い方が出てきます。p=mrelv\boldsymbol p = m_{\text{rel}}\boldsymbol vE=mrelc2E = m_{\text{rel}}c^2 と書けるので一見便利ですが、F=mrela\boldsymbol F = m_{\text{rel}}\boldsymbol a は成り立たない(力と加速度が平行にならない)ため、かえって混乱を招きます。現在の標準は、質量といえば不変な静止質量 mm だけを指し、速度依存はすべて γ\gamma に押し込める書き方です。この記事もそれに従います。事情は Okun の論説(参考文献 [6])に詳しく書かれています。

5. 相対論的運動エネルギーと静止エネルギー

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5.1. 仕事から運動エネルギーを求める

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定義 4.1E=γmc2E = \gamma mc^2 を「エネルギー」と呼びましたが、まだ名前だけです。エネルギーの正体を決める操作的な定義は「静止した物体に外力がした仕事」ですから、それを計算します。運動方程式としては、ニュートンの第 2 法則の形

F=dpdt,p=γ(v)mv\boldsymbol F = \frac{d\boldsymbol p}{dt},\qquad \boldsymbol p = \gamma(v)\,m\boldsymbol v

を採用します。F=ma\boldsymbol F = m\boldsymbol a ではなく dp/dtd\boldsymbol p/dt の形を残すのがポイントで、この形なら 4元運動量の保存則とそのまま整合します。

定理 5.1相対論的運動エネルギー

質量 mm の粒子が静止状態から出発し、外力 F=dp/dt\boldsymbol F = d\boldsymbol p/dt を受けて速さ vvv<cv < c)になったとします。このとき外力がした仕事 KK

K=(γ(v)1)mc2=mc21v2/c2mc2K = (\gamma(v) - 1)\,mc^2 = \frac{mc^2}{\sqrt{1-v^2/c^2}} - mc^2

に等しく、これを相対論的運動エネルギーと呼びます。すなわち E=γmc2=mc2+KE = \gamma mc^2 = mc^2 + K です。

証明(定理 5.1)

記号を簡単にするため、力と運動が xx 軸方向の 1 次元運動である場合を書きます(一般の場合は最後に述べます)。仕事の定義と運動方程式から

K=0xFdx=0xdpdtdx.K = \int_0^x F\,dx' = \int_0^x \frac{dp}{dt}\,dx' .

積分変数を xx' から pp に変えます。dx=vdtdx' = v\,dt なので dpdtdx=dpdtvdt=vdp\dfrac{dp}{dt}\,dx' = \dfrac{dp}{dt}\,v\,dt = v\,dp であり、粒子は静止(p=0p = 0)から出発して運動量 p=γmvp = \gamma m v に達するので

K=0γmvvdp.K = \int_0^{\gamma m v} v\,dp .

部分積分します。vdp=[vp]pdv\int v\,dp = \left[vp\right] - \int p\,dv ですから、

K=[vγ(v)mv]v=0v0vγ(w)mwdw=γ(v)mv2m0vwdw1w2/c2.K = \Big[v\cdot \gamma(v) m v\Big]_{v=0}^{v} - \int_0^{v} \gamma(w)\,m w\,dw = \gamma(v)\,mv^2 - m\int_0^v \frac{w\,dw}{\sqrt{1-w^2/c^2}} .

残った積分を実行します。s=1w2/c2s = 1 - w^2/c^2 と置換すると ds=2wdw/c2ds = -2w\,dw/c^2、すなわち wdw=c22dsw\,dw = -\tfrac{c^2}{2}ds で、積分範囲は w:0vw: 0 \to v に対し s:11v2/c2s: 1 \to 1 - v^2/c^2 です。

0vwdw1w2/c2=11v2/c2c22dss=c22[2s]11v2/c2=c2(11v2c2)=c2(11γ(v)).\int_0^v \frac{w\,dw}{\sqrt{1-w^2/c^2}} = \int_1^{1-v^2/c^2} \frac{-\tfrac{c^2}{2}\,ds}{\sqrt{s}} = -\frac{c^2}{2}\Big[2\sqrt{s}\Big]_1^{1-v^2/c^2} = c^2\left(1 - \sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}\right) = c^2\left(1 - \frac{1}{\gamma(v)}\right).

これを戻して

K=γmv2mc2(11γ)=mc2(γv2c21+1γ).K = \gamma m v^2 - mc^2\left(1 - \frac{1}{\gamma}\right) = mc^2\left(\gamma\,\frac{v^2}{c^2} - 1 + \frac{1}{\gamma}\right).

括弧の中を整理します。1γ=1v2c2=γ(1v2c2)\dfrac{1}{\gamma} = \sqrt{1-\dfrac{v^2}{c^2}} = \gamma\left(1-\dfrac{v^2}{c^2}\right)(最後は γ2=1v2/c2\gamma^{-2} = 1 - v^2/c^2 を使いました)なので、

γv2c2+1γ=γv2c2+γ(1v2c2)=γ.\gamma\,\frac{v^2}{c^2} + \frac{1}{\gamma} = \gamma\,\frac{v^2}{c^2} + \gamma\left(1 - \frac{v^2}{c^2}\right) = \gamma .

よって K=mc2(γ1)K = mc^2(\gamma - 1) です。

一般の 3 次元運動でも結論は同じです。定理 4.4 の両辺を微分すると 2EdE=2c2pdp2E\,dE = 2c^2\,\boldsymbol p\cdot d\boldsymbol pmm は定数)、したがって 系 4.5 (1) を使って

dE=c2pEdp=vdp=vFdtdE = \frac{c^2\boldsymbol p}{E}\cdot d\boldsymbol p = \boldsymbol v\cdot d\boldsymbol p = \boldsymbol v\cdot\boldsymbol F\,dt

となり、右辺はまさに外力が dtdt の間にする仕事です。よって仕事の総和は EE の増分に等しく、E=γmc2E = \gamma mc^2γ=1\gamma = 1 からの増分は (γ1)mc2(\gamma-1)mc^2 です。

012300.51β = v / cK / mc²v = c相対論 K = (γ - 1) mc²ニュートン K = mv² / 2
運動エネルギーの比較。実線が相対論の K = (γ - 1)mc²、破線がニュートンの K = mv²/2。β = v/c が 0.2 程度までは両者は重なるが、光速に近づくと相対論の曲線は発散し、いくらエネルギーを与えても v は c に届かない。

命題 5.2ニュートン極限と誤差

β=v/c\beta = v/c とすると、β<1|\beta| < 1

K=(γ1)mc2=12mv2(1+34β2+58β4+)K = (\gamma - 1)mc^2 = \frac{1}{2}mv^2\left(1 + \frac{3}{4}\beta^2 + \frac{5}{8}\beta^4 + \cdots\right)

と展開できます。とくに K12mv212mv2=34β2+O(β4)\dfrac{K - \frac{1}{2}mv^2}{\frac{1}{2}mv^2} = \dfrac{3}{4}\beta^2 + O(\beta^4) であり、ニュートンの表式の相対誤差は β2\beta^2 の程度です。

証明(命題 5.2)

一般二項展開 (1x)1/2=1+12x+38x2+516x3+(1-x)^{-1/2} = 1 + \frac{1}{2}x + \frac{3}{8}x^2 + \frac{5}{16}x^3 + \cdotsx<1|x| < 1)に x=β2x = \beta^2 を代入します。

γ=(1β2)1/2=1+12β2+38β4+516β6+.\gamma = \left(1-\beta^2\right)^{-1/2} = 1 + \frac{1}{2}\beta^2 + \frac{3}{8}\beta^4 + \frac{5}{16}\beta^6 + \cdots .

したがって

K=mc2(γ1)=mc2(12β2+38β4+516β6+)=12mc2β2(1+34β2+58β4+).K = mc^2(\gamma - 1) = mc^2\left(\frac{1}{2}\beta^2 + \frac{3}{8}\beta^4 + \frac{5}{16}\beta^6 + \cdots\right) = \frac{1}{2}mc^2\beta^2\left(1 + \frac{3}{4}\beta^2 + \frac{5}{8}\beta^4 + \cdots\right).

mc2β2=mv2mc^2\beta^2 = mv^2 なので、先頭項は 12mv2\frac{1}{2}mv^2 です。括弧の中を移項すれば相対誤差の式になります。

これで名前の正当化が済みました。E=γmc2E = \gamma mc^2 の速度依存部分は、低速でちょうどニュートンの運動エネルギーになる。だから EE をエネルギーと呼んでよいのです。そして 定理 4.2 により、この EE の和は反応の前後で保存します。

例 5.3LHC の陽子はどれくらい光速に近いか

陽子の静止エネルギーは mpc2=938.272 MeVm_pc^2 = 938.272\ \mathrm{MeV} です。LHC の Run 3 では 1 本のビームの陽子が E=6.8 TeV=6.8×106 MeVE = 6.8\ \mathrm{TeV} = 6.8\times 10^6\ \mathrm{MeV} のエネルギーをもちます。定義 4.1 より

γ=Empc2=6.8×106938.272=7.25×103.\gamma = \frac{E}{m_pc^2} = \frac{6.8\times10^6}{938.272} = 7.25\times10^3 .

速さを求めます。γ2=1β2\gamma^{-2} = 1-\beta^2 から β=1γ2\beta = \sqrt{1-\gamma^{-2}} で、γ2=1/(7.248×103)2=1.904×108\gamma^{-2} = 1/(7.248\times10^3)^2 = 1.904\times10^{-8} は非常に小さいので 1x1x/2\sqrt{1-x} \approx 1 - x/2 が使えて

β112γ2=19.52×109.\beta \approx 1 - \frac{1}{2\gamma^2} = 1 - 9.52\times10^{-9}.

光速との差は cv=9.52×109×2.998×108 m/s=2.85 m/sc - v = 9.52\times10^{-9}\times 2.998\times10^8\ \mathrm{m/s} = 2.85\ \mathrm{m/s}。人が歩くより少し速い程度の差しかありません。LHC の 1 周は 26.66 km26.66\ \mathrm{km}、周回時間は 26.66×103/(2.998×108)=8.89×105 s26.66\times10^3 / (2.998\times10^8) = 8.89\times10^{-5}\ \mathrm{s} ですから、1 周につき光は陽子より 2.85×8.89×105=2.5×104 m2.85 \times 8.89\times10^{-5} = 2.5\times10^{-4}\ \mathrm{m}、つまり 0.25 mm0.25\ \mathrm{mm} だけ先に進みます。

ニュートン力学で同じ運動エネルギーを与えたら何が起きるでしょうか。12mpv2=6.8 TeV\frac{1}{2}m_pv^2 = 6.8\ \mathrm{TeV} を解くと v=c2×7.25×103=120cv = c\sqrt{2\times 7.25\times10^3} = 120\,c となり、光速の 120120 倍という答えが出ます。実測はもちろん cc を超えません。定理 5.1γ1\gamma - 1vcv \to c で発散することが、この上限を保証しています。

定理 4.4p=0\boldsymbol p = \boldsymbol 0 の場合、あるいは 定理 5.1v=0v = 0 とおいた場合が、有名な式です。

E0=mc2.E_0 = mc^2 .

これを静止エネルギーといいます。式そのものは 定義 4.1 からほぼ自明に出てきますが、内容は自明ではありません。問題は「エネルギーの原点をずらしただけではないのか」という疑問です。ニュートン力学ではポテンシャルエネルギーの原点は任意で、定数を足しても物理は変わりませんでした。

答えは次のとおりです。mc2mc^2 は定数ではあるが、imic2\sum_i m_i c^2 は定数ではない。 反応の前後で粒子の顔ぶれが変われば、質量の総和が変わります。定理 4.2 により E\sum E は保存しますから、mic2\sum m_ic^2 が減れば、その分がきっかり運動エネルギーや放射エネルギーとして現れなければなりません。ニュートン力学では粒子の個数と種類が変わらないと仮定されていたので原点が消せただけで、粒子が生成・消滅する世界ではもう消せないのです。

c2=8.99×1016 m2/s2c^2 = 8.99\times10^{16}\ \mathrm{m^2/s^2} という係数の大きさが、この式の実感を作ります。1 g1\ \mathrm{g} の質量は

E0=1.0×103 kg×8.99×1016 m2/s2=9.0×1013 JE_0 = 1.0\times10^{-3}\ \mathrm{kg}\times 8.99\times10^{16}\ \mathrm{m^2/s^2} = 9.0\times10^{13}\ \mathrm{J}

に相当します。TNT 火薬 1 kt1\ \mathrm{kt}4.184×1012 J4.184\times10^{12}\ \mathrm{J} ですから、9.0×1013/4.184×1012=21.5 kt9.0\times10^{13}/4.184\times10^{12} = 21.5\ \mathrm{kt} 分です。日常の物体の静止エネルギーは、日常の運動エネルギーとは桁が違います。

6. 質量はエネルギーの一形態である

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粒子が 1 個なら質量は pp=m2c2p\cdot p = m^2c^2 で決まりました。複数の粒子からなる系についても、同じ作り方ができます。

定義 6.1系の不変質量

粒子 i=1,,ni = 1,\dots,n からなる系の全 4元運動量を

Pμi=1npiμ=(Ec, P),E=iEi,P=ipiP^\mu \equiv \sum_{i=1}^n p_i^\mu = \left(\frac{\mathcal E}{c},\ \boldsymbol P\right), \qquad \mathcal E = \sum_i E_i,\quad \boldsymbol P = \sum_i \boldsymbol p_i

とします。このとき

M1c2E2P2c2M \equiv \frac{1}{c^2}\sqrt{\mathcal E^2 - |\boldsymbol P|^2c^2}

をこの系の不変質量といいます。

PμP^\mu は 4元ベクトルの和なので 4元ベクトルであり、M2c4=PPc2M^2c^4 = P\cdot P\,c^2命題 2.2 によりローレンツ不変です。つまり MM はどの慣性系で測っても同じ値になります。P=0\boldsymbol P = \boldsymbol 0 となる慣性系(重心系)が存在すれば、そこでは Mc2=EM c^2 = \mathcal E、すなわち不変質量とは重心系での全エネルギーを c2c^2 で割ったものです。

定理 6.2質量の非加法性

質量 mi0m_i \ge 0 の粒子 nn 個からなる系(各粒子は Ei>0E_i > 0Ei2=pi2c2+mi2c4E_i^2 = |\boldsymbol p_i|^2c^2 + m_i^2c^4 を満たすとする)の不変質量 MM について

M  i=1nmiM \ \ge\ \sum_{i=1}^n m_i

が成り立ちます。等号が成立するのは、すべての粒子の 4元運動量が互いに平行なとき、すなわち(質量が正の粒子については)すべての速度が一致するときに限ります。

証明(定理 6.2)

まず n=2n = 2 の場合を示します。定義 6.1定義 2.1 の内積から

M2c4=(p1+p2)(p1+p2)c2=m12c4+m22c4+2(E1E2c2p1p2)M^2c^4 = (p_1+p_2)\cdot(p_1+p_2)\,c^2 = m_1^2c^4 + m_2^2c^4 + 2\left(E_1E_2 - c^2\,\boldsymbol p_1\cdot\boldsymbol p_2\right)

です(pipic2=mi2c4p_i\cdot p_i\,c^2 = m_i^2c^4定理 4.4 の証明中の等式)。一方

(m1c2+m2c2)2=m12c4+m22c4+2m1m2c4.(m_1c^2+m_2c^2)^2 = m_1^2c^4+m_2^2c^4+2m_1m_2c^4 .

したがって、Mm1+m2M \ge m_1+m_2 を示すには、次の不等式(これを不等式 (A) と呼びます)

E1E2c2p1p2  m1m2c4E_1E_2 - c^2\,\boldsymbol p_1\cdot\boldsymbol p_2 \ \ge\ m_1m_2c^4

を示せば十分です。qipic0q_i \equiv |\boldsymbol p_i|c \ge 0 と書くと、コーシー・シュワルツの不等式から p1p2p1p2\boldsymbol p_1\cdot\boldsymbol p_2 \le |\boldsymbol p_1||\boldsymbol p_2| なので

E1E2c2p1p2  E1E2q1q2.E_1E_2 - c^2\,\boldsymbol p_1\cdot\boldsymbol p_2 \ \ge\ E_1E_2 - q_1q_2 .

そこで E1E2m1m2c4+q1q2E_1E_2 \ge m_1m_2c^4 + q_1q_2 を示します。Ei=mi2c4+qi2E_i = \sqrt{m_i^2c^4+q_i^2} で両辺とも非負ですから、2 乗して比べれば十分です。

(E1E2)2(m1m2c4+q1q2)2=(m12c4+q12)(m22c4+q22)(m1m2c4+q1q2)2=m12m22c8+m12c4q22+m22c4q12+q12q22m12m22c82m1m2c4q1q2q12q22=c4(m1q2m2q1)2  0.\begin{aligned} (E_1E_2)^2 - \left(m_1m_2c^4+q_1q_2\right)^2 &= \left(m_1^2c^4+q_1^2\right)\left(m_2^2c^4+q_2^2\right) - \left(m_1m_2c^4+q_1q_2\right)^2\\ &= m_1^2m_2^2c^8 + m_1^2c^4q_2^2 + m_2^2c^4q_1^2 + q_1^2q_2^2\\ &\qquad - m_1^2m_2^2c^8 - 2m_1m_2c^4q_1q_2 - q_1^2q_2^2\\ &= c^4\left(m_1q_2 - m_2q_1\right)^2 \ \ge\ 0 . \end{aligned}

これで不等式 (A) が示せました。等号は 2 か所で同時に成り立つときのみ、すなわち p1p2\boldsymbol p_1 \parallel \boldsymbol p_2(同じ向き)かつ m1q2=m2q1m_1q_2 = m_2q_1 のときだけです。mi>0m_i > 0 の場合、qi=γimivicq_i = \gamma_i m_i v_i c を代入すると m1γ2m2v2=m2γ1m1v1m_1\gamma_2m_2v_2 = m_2\gamma_1m_1v_1、つまり γ2v2=γ1v1\gamma_2v_2 = \gamma_1v_1 となり、wγ(w)ww \mapsto \gamma(w)w[0,c)[0,c) で狭義単調増加であることから v1=v2v_1 = v_2、向きも一致して v1=v2\boldsymbol v_1 = \boldsymbol v_2 が従います。

n3n \ge 3 の場合は帰納法です。p1++pn1p_1+\cdots+p_{n-1}E>0E > 0E2=p2c2+(Mn1c2)2E^2 = |\boldsymbol p|^2c^2 + (M_{n-1}c^2)^2 を満たす 4元ベクトルなので、上の議論をそのまま「質量 Mn1M_{n-1} の 1 粒子」と「nn 番目の粒子」に適用でき、MnMn1+mn(in1mi)+mnM_n \ge M_{n-1} + m_n \ge \left(\sum_{i \le n-1} m_i\right) + m_n を得ます。

定理 6.2 が言っているのは、質量は足し算にならないということです。しかも常に「余る」方向にずれます。余った分はどこから来たのか。答えは、系の内部の運動エネルギーと相互作用のエネルギーです。次の例が最も端的です。

例 6.3粘土玉の衝突:熱が質量になる

例 1.1 と同じ設定を、今度は正しい保存則で解きます。慣性系 S で、質量 mm の粘土玉が速さ uu で正面衝突して合体し、質量 MM の 1 つの塊になります。γuγ(u)\gamma_u \equiv \gamma(u) と書きます。

S での保存則。 運動量: γumu+γum(u)=0\gamma_u m u + \gamma_u m(-u) = 0 なので、合体後の運動量も 00、つまり塊は静止します。エネルギー: 定理 4.2 より

γumc2+γumc2=Mc2M=2γum.\gamma_u mc^2 + \gamma_u mc^2 = Mc^2 \quad\Longrightarrow\quad M = 2\gamma_u m .

γu>1\gamma_u > 1 ですから M>2mM > 2m です。定理 6.2 の不等式が、等号ではない形で実現しています。増加分は

(M2m)c2=2(γu1)mc2=2K,(M - 2m)c^2 = 2(\gamma_u-1)mc^2 = 2K,

つまり失われた運動エネルギーの総量にちょうど等しい。粘土玉の中で熱になったエネルギーが、そのまま塊の質量として現れたわけです。u=0.6cu = 0.6c なら γu=1/10.36=1/0.8=1.25\gamma_u = 1/\sqrt{1-0.36} = 1/0.8 = 1.25M=2.5mM = 2.5\,m、質量が 25%25\,\% 増えます。

S′ でも保存するか。 例 1.1 で破綻した検算をやり直します。S′ での A の速さは uA=2u/(1+β2)u'_{\mathrm A} = 2u/(1+\beta^2)β=u/c\beta = u/c)でした。その γ\gamma を計算します。

1uA2c2=(1+β2)24β2(1+β2)2=(1β2)2(1+β2)2γ(uA)=1+β21β2=γu2(1+β2).1 - \frac{u'^2_{\mathrm A}}{c^2} = \frac{(1+\beta^2)^2 - 4\beta^2}{(1+\beta^2)^2} = \frac{(1-\beta^2)^2}{(1+\beta^2)^2} \quad\Longrightarrow\quad \gamma(u'_{\mathrm A}) = \frac{1+\beta^2}{1-\beta^2} = \gamma_u^2\left(1+\beta^2\right).

よって衝突前の運動量は、B が静止していることに注意して

γ(uA)muA+0=γu2(1+β2)m2u1+β2=2γu2mu.\gamma(u'_{\mathrm A})\,m\,u'_{\mathrm A} + 0 = \gamma_u^2\left(1+\beta^2\right) m \cdot \frac{2u}{1+\beta^2} = 2\gamma_u^2\,m u .

衝突後は、質量 M=2γumM = 2\gamma_u m の塊が速さ uu で動くので

γ(u)Mu=γu2γumu=2γu2mu.\gamma(u)\,M\,u = \gamma_u\cdot 2\gamma_u m\cdot u = 2\gamma_u^2\,mu .

一致しました。例 1.126%26\,\% ずれていた検算が、運動量を γmv\gamma m\boldsymbol v に直し、質量の加法性を捨てた途端に、ぴたりと合います。

質量の増減は、日常のエネルギースケールでは小さすぎて測れません。例 6.3u=10 m/su = 10\ \mathrm{m/s} とすると γu112(u/c)2=5.6×1016\gamma_u - 1 \approx \frac{1}{2}(u/c)^2 = 5.6\times10^{-16} で、1 kg1\ \mathrm{kg} の粘土玉の質量増加は 1015 kg10^{-15}\ \mathrm{kg} の程度です。しかし原子核のスケールでは、質量差は日常的な測定量になります。

例 6.4重水素核の結合エネルギー

重水素核(重陽子)は陽子 1 個と中性子 1 個の束縛状態です。それぞれの静止エネルギーは

mpc2=938.272 MeV,mnc2=939.565 MeV,mdc2=1875.613 MeV.m_pc^2 = 938.272\ \mathrm{MeV},\qquad m_nc^2 = 939.565\ \mathrm{MeV},\qquad m_dc^2 = 1875.613\ \mathrm{MeV}.

ばらばらの陽子と中性子の質量の和は 938.272+939.565=1877.837 MeV/c2938.272+939.565 = 1877.837\ \mathrm{MeV}/c^2 です。ところが重陽子の質量はそれより小さく、差は

B=(mp+mnmd)c2=1877.8371875.613=2.224 MeVB = (m_p + m_n - m_d)c^2 = 1877.837 - 1875.613 = 2.224\ \mathrm{MeV}

です。これが結合エネルギーで、重陽子を陽子と中性子に引き離すのに必要なエネルギーに等しくなります。定理 6.2 の立場では、静止した陽子と中性子の系の不変質量が(速度が一致しているので等号が成り立ち)mp+mnm_p+m_n であるのに対し、束縛して余分なエネルギー BB を光子として捨ててしまった結果、残った系の不変質量が md=mp+mnB/c2m_d = m_p+m_n-B/c^2 に減った、と読みます。

質量として見れば 2.224/1877.837=1.18×1032.224/1877.837 = 1.18\times10^{-3}、つまり 0.12%0.12\,\% の減少です。核物理の質量分析器はこの桁を軽々と分解しますから、E=mc2E = mc^2 はここでは日常的な計算式です。実際、逆反応 d+γp+nd + \gamma \to p + n(重陽子の光分解)は 2.224 MeV2.224\ \mathrm{MeV} より低いエネルギーの光子では起こりません。

例 6.5太陽は毎秒どれだけ軽くなるか

太陽の光度は L=3.828×1026 WL_\odot = 3.828\times10^{26}\ \mathrm{W} です。放射されるエネルギーはすべて静止エネルギーの目減りから来るので、定理 4.4 より単位時間あたりの質量減少は

dmdt=Lc2=3.828×1026 J/s8.988×1016 m2/s2=4.26×109 kg/s.\frac{dm}{dt} = \frac{L_\odot}{c^2} = \frac{3.828\times10^{26}\ \mathrm{J/s}}{8.988\times10^{16}\ \mathrm{m^2/s^2}} = 4.26\times10^{9}\ \mathrm{kg/s}.

毎秒 426426 万トンです。太陽が生まれてから約 4646 億年(1.45×1017 s1.45\times10^{17}\ \mathrm{s})で失った質量は 4.26×109×1.45×1017=6.2×1026 kg4.26\times10^9 \times 1.45\times10^{17} = 6.2\times10^{26}\ \mathrm{kg}、太陽質量 1.989×1030 kg1.989\times10^{30}\ \mathrm{kg}0.031%0.031\,\% にすぎません。

エネルギー源は水素の核融合です。陽子 4 個(4×938.272=3753.09 MeV4\times938.272 = 3753.09\ \mathrm{MeV})がヘリウム 4 の原子核(3727.379 MeV3727.379\ \mathrm{MeV})と陽電子 2 個などに変わる正味の過程で、約 26.7 MeV26.7\ \mathrm{MeV} が解放されます。割合にすると 26.7/3753.09=0.71%26.7/3753.09 = 0.71\,\% です。核融合が「静止エネルギーの 0.7%0.7\,\% を使う技術」であることが、この数字からわかります。

注意 6.6

化学反応でも質量は減ります。炭素の燃焼 C+O2CO2\mathrm{C} + \mathrm{O_2} \to \mathrm{CO_2} の反応熱は 393.5 kJ/mol393.5\ \mathrm{kJ/mol}、1 分子あたり 393500/(6.022×1023)=6.53×1019 J=4.08 eV393500/(6.022\times10^{23}) = 6.53\times10^{-19}\ \mathrm{J} = 4.08\ \mathrm{eV} です。反応物の静止エネルギーは 44 u×931.494 MeV/u=4.10×1010 eV44\ \mathrm{u} \times 931.494\ \mathrm{MeV/u} = 4.10\times10^{10}\ \mathrm{eV} ですから、質量の減少割合は

4.084.10×1010=1.0×1010.\frac{4.08}{4.10\times10^{10}} = 1.0\times10^{-10}.

核融合の 7×1037\times10^{-3} と比べて 7 桁小さい。化学の教科書が「反応の前後で質量は保存する」と書いてよいのは、この 7 桁のおかげです。質量保存則は間違いだったのではなく、化学の精度では見えないほど良い近似だった、というのが正確な言い方です。

注意 6.7

定理 6.2 は逆向きにも使えます。質量ゼロの粒子だけからなる系でも、不変質量は 00 になりません。互いに逆向きに進むエネルギー ε\varepsilon の光子 2 個の系は E=2ε\mathcal E = 2\varepsilonP=0\boldsymbol P = \boldsymbol 0 なので M=2ε/c2M = 2\varepsilon/c^2 です。鏡張りの箱に光を閉じ込めれば、箱は重くなります。

これは絵空事ではありません。陽子の質量 938 MeV/c2938\ \mathrm{MeV}/c^2 のうち、構成子であるアップ・ダウンクォークの静止質量の寄与(2mu+md9 MeV/c22m_u + m_d \approx 9\ \mathrm{MeV}/c^2)は約 1%1\,\% にすぎず、残りはクォークの運動エネルギーとグルーオン場のエネルギーです。私たちの体重のほとんどは「閉じ込められたエネルギー」でできています。

演習 7.1

β=v/c\beta = v/c とします。

  1. v=0.1cv = 0.1cv=0.5cv = 0.5c のそれぞれについて、K=(γ1)mc2K = (\gamma-1)mc^2KN=12mv2K_{\mathrm N} = \frac{1}{2}mv^2mc2mc^2 を単位として数値で求め、(KNK)/K\left(K_{\mathrm N}-K\right)/K を計算してください。
  2. ニュートンの表式の相対誤差を 1%1\,\% 未満に抑えるには、vv をどれくらいに保てばよいですか。命題 5.2 の 1 次近似を使ってください。
解答

1. γ=(1β2)1/2\gamma = (1-\beta^2)^{-1/2} を計算します。

v=0.1cv = 0.1c のとき β2=0.01\beta^2 = 0.01γ=1/0.99=1.0050378\gamma = 1/\sqrt{0.99} = 1.0050378 なので

Kmc2=5.0378×103,KNmc2=12(0.1)2=5.0000×103,\frac{K}{mc^2} = 5.0378\times10^{-3},\qquad \frac{K_{\mathrm N}}{mc^2} = \frac{1}{2}(0.1)^2 = 5.0000\times10^{-3},KNKK=5.00005.03785.0378=7.5×103.\frac{K_{\mathrm N}-K}{K} = \frac{5.0000-5.0378}{5.0378} = -7.5\times10^{-3}.

ニュートンの値は 0.75%0.75\,\% の過小評価です。

v=0.5cv = 0.5c のとき β2=0.25\beta^2 = 0.25γ=1/0.75=1.1547005\gamma = 1/\sqrt{0.75} = 1.1547005 なので

Kmc2=0.154701,KNmc2=12(0.5)2=0.125,\frac{K}{mc^2} = 0.154701,\qquad \frac{K_{\mathrm N}}{mc^2} = \frac{1}{2}(0.5)^2 = 0.125,KNKK=0.1250.1547010.154701=0.192.\frac{K_{\mathrm N}-K}{K} = \frac{0.125-0.154701}{0.154701} = -0.192 .

19.2%19.2\,\% の過小評価で、もう近似として使えません。

2. 命題 5.2 より (KKN)/KN=34β2+O(β4)\left(K-K_{\mathrm N}\right)/K_{\mathrm N} = \frac{3}{4}\beta^2 + O(\beta^4) なので、34β2<0.01\frac{3}{4}\beta^2 < 0.01 とすればよく、

β<4300=0.01333=0.1155.\beta < \sqrt{\frac{4}{300}} = \sqrt{0.01333} = 0.1155 .

すなわち vv0.115c3.5×107 m/s0.115c \approx 3.5\times10^{7}\ \mathrm{m/s} 程度までなら、ニュートンの表式で 1%1\,\% の精度が保てます。第一宇宙速度は 7.9×103 m/s7.9\times10^3\ \mathrm{m/s} ですから、宇宙工学の範囲では相対論補正は 101010^{-10} の桁でしか効きません。

演習 7.2標準

静止している質量 mm の原子が、エネルギー ε\varepsilon の光子を 1 個吸収して、質量 MM の(励起された)原子になりました。光子の 4元運動量は (ε/c, ε/c, 0, 0)\left(\varepsilon/c,\ \varepsilon/c,\ 0,\ 0\right) とします。

  1. 吸収後の原子の MM と速さ vv を、mmε\varepsiloncc で表してください。
  2. εmc2\varepsilon \ll mc^2 のとき、MmM - mε/c2\varepsilon/c^2 からのずれまで含めて 2 次の精度で求め、そのずれの物理的意味を述べてください。
解答

1. 定理 4.2 により 4元運動量の 4 成分すべてが保存します。吸収後の原子のエネルギーを EE、運動量の大きさを pp とすると

E=mc2+ε,pc=εE = mc^2 + \varepsilon,\qquad pc = \varepsilon

です(原子は xx 方向に動きます)。定理 4.4 を吸収後の原子に適用すると

M2c4=E2p2c2=(mc2+ε)2ε2=m2c4+2mc2ε.M^2c^4 = E^2 - p^2c^2 = \left(mc^2+\varepsilon\right)^2 - \varepsilon^2 = m^2c^4 + 2mc^2\varepsilon .

したがって

M=m1+2εmc2.M = m\sqrt{1 + \frac{2\varepsilon}{mc^2}} .

速さは 系 4.5 (1) から

v=pc2E=εcmc2+ε.v = \frac{pc^2}{E} = \frac{\varepsilon c}{mc^2+\varepsilon} .

εmc2\varepsilon \ll mc^2 なら vε/(mc)v \approx \varepsilon/(mc) で、これは非相対論的な反跳速度 v=p/mv = p/m に一致します。

2. xε/(mc2)1x \equiv \varepsilon/(mc^2) \ll 1 として 1+2x=1+x12x2+O(x3)\sqrt{1+2x} = 1 + x - \frac{1}{2}x^2 + O(x^3) を使うと

M=m(1+xx22+)=m+εc2ε22mc4+.M = m\left(1 + x - \frac{x^2}{2} + \cdots\right) = m + \frac{\varepsilon}{c^2} - \frac{\varepsilon^2}{2mc^4} + \cdots .

素朴には「吸収したエネルギーの分だけ質量が増える」ので M=m+ε/c2M = m + \varepsilon/c^2 ですが、実際にはそれよりわずかに小さくなります。差 ε2/(2mc4)\varepsilon^2/(2mc^4) は、12mv2/c212m(ε/mc)2/c2=ε2/(2mc4)\frac{1}{2}mv^2/c^2 \approx \frac{1}{2}m\left(\varepsilon/mc\right)^2/c^2 = \varepsilon^2/(2mc^4) と一致します。つまり吸収したエネルギーの一部は原子の反跳運動エネルギーに使われ、内部エネルギー(=質量)にはならないのです。この差はメスバウアー効果を論じるときに本質的になります。

演習 7.3標準

エネルギーがともに ε\varepsilon の光子 2 個が、なす角 θ\theta0θπ0 \le \theta \le \pi)で飛んでいます。

  1. この 2 光子系の不変質量 MM を求めてください。
  2. 中性パイ中間子 π0\pi^0 は 2 個の光子に崩壊します。実験室系で 2 個の光子のエネルギーがともに 100 MeV100\ \mathrm{MeV}、開き角が θ\theta と測定されたとき、Mc2=134.98 MeVM c^2 = 134.98\ \mathrm{MeV} となる θ\theta を求めてください。
解答

1. 系 4.5 (2) より、各光子の運動量の大きさは pi=ε/c|\boldsymbol p_i| = \varepsilon/c です。定義 6.1 に代入します。

E=2ε,P2=p12+p22+2p1p2=ε2c2(1+1+2cosθ).\mathcal E = 2\varepsilon,\qquad |\boldsymbol P|^2 = |\boldsymbol p_1|^2 + |\boldsymbol p_2|^2 + 2\boldsymbol p_1\cdot\boldsymbol p_2 = \frac{\varepsilon^2}{c^2}\left(1 + 1 + 2\cos\theta\right).

よって

M2c4=E2P2c2=4ε22ε2(1+cosθ)=2ε2(1cosθ).M^2c^4 = \mathcal E^2 - |\boldsymbol P|^2c^2 = 4\varepsilon^2 - 2\varepsilon^2\left(1+\cos\theta\right) = 2\varepsilon^2\left(1-\cos\theta\right).

半角の公式 1cosθ=2sin2(θ/2)1-\cos\theta = 2\sin^2(\theta/2) を使うと M2c4=4ε2sin2(θ/2)M^2c^4 = 4\varepsilon^2\sin^2(\theta/2)sin(θ/2)0\sin(\theta/2) \ge 0 なので

M=2εc2sinθ2.M = \frac{2\varepsilon}{c^2}\,\sin\frac{\theta}{2} .

θ=0\theta = 0(同じ向き)なら M=0M = 0θ=π\theta = \pi(逆向き)なら M=2ε/c2M = 2\varepsilon/c^2 で、注意 6.7 の値に一致します。質量ゼロの粒子だけからできた系が、00 でない質量をもつことが確かめられました。

2. 1 の式に ε=100 MeV\varepsilon = 100\ \mathrm{MeV}Mc2=134.98 MeVMc^2 = 134.98\ \mathrm{MeV} を入れます。

sinθ2=Mc22ε=134.98200=0.6749θ2=42.5,θ=85.0.\sin\frac{\theta}{2} = \frac{Mc^2}{2\varepsilon} = \frac{134.98}{200} = 0.6749 \quad\Longrightarrow\quad \frac{\theta}{2} = 42.5^\circ,\qquad \theta = 85.0^\circ .

実験では逆に、多数の光子対について MM を計算してヒストグラムを描くと 134.98 MeV/c2134.98\ \mathrm{MeV}/c^2 にピークが立ちます。これが「不変質量による粒子同定」で、加速器実験の基本手法です。

演習 7.4

静止した陽子(液体水素標的)に陽子を打ち込んで、反陽子を作ります。反応は

p+p  p+p+p+pˉp + p \ \longrightarrow\ p + p + p + \bar p

で、pˉ\bar p の質量は pp と同じ mpm_p です。mpc2=938.272 MeVm_pc^2 = 938.272\ \mathrm{MeV} とします。

  1. 入射陽子の運動エネルギー KK の最小値(閾値)を求めてください。
  2. 同じ反応を、正面衝突する 2 本のビーム(衝突型加速器)で起こすとき、各ビームに必要な運動エネルギーの最小値を求め、1 と比較してください。
解答

1. 系の不変質量 MM定理 6.2 の議論のとおりローレンツ不変で、定理 4.2 により反応の前後で変わりません。反応が起こる条件は、終状態の不変質量が終状態の粒子の質量の和以上であること、すなわち 定理 6.2 より

Mc2  4mpc2Mc^2 \ \ge\ 4m_pc^2

です。等号は終状態の 4 粒子がすべて同じ速度で動く(重心系で全部静止する)ときで、これが閾値です。

始状態で MM を計算します。入射陽子のエネルギーを EE、運動量を p1\boldsymbol p_1、標的は静止(エネルギー mpc2m_pc^2、運動量 0\boldsymbol 0)なので、定義 6.1 より

M2c4=(E+mpc2)2p12c2=E2p12c2+2Empc2+mp2c4=mp2c4+2Empc2+mp2c4=2mp2c4+2Empc2.\begin{aligned} M^2c^4 &= \left(E + m_pc^2\right)^2 - |\boldsymbol p_1|^2c^2\\ &= E^2 - |\boldsymbol p_1|^2c^2 + 2Em_pc^2 + m_p^2c^4\\ &= m_p^2c^4 + 2Em_pc^2 + m_p^2c^4 = 2m_p^2c^4 + 2Em_pc^2 . \end{aligned}

途中で 定理 4.4E2p12c2=mp2c4E^2 - |\boldsymbol p_1|^2c^2 = m_p^2c^4 を使いました。閾値条件 M2c4=16mp2c4M^2c^4 = 16m_p^2c^4 を代入すると

16mp2c4=2mp2c4+2Empc2E=7mpc2.16m_p^2c^4 = 2m_p^2c^4 + 2Em_pc^2 \quad\Longrightarrow\quad E = 7m_pc^2 .

運動エネルギーは 定理 5.1 より K=Empc2=6mpc2=6×938.272=5629 MeV5.63 GeVK = E - m_pc^2 = 6m_pc^2 = 6\times938.272 = 5629\ \mathrm{MeV} \approx 5.63\ \mathrm{GeV} です。反陽子 1 個(0.94 GeV0.94\ \mathrm{GeV})を作るのに 5.63 GeV5.63\ \mathrm{GeV} も要るのは、終状態の 4 粒子が実験室系では止まれず、余分な運動エネルギーを持ち去らざるを得ないからです。1955 年に反陽子を発見したバークレーのベバトロンが 6.2 GeV6.2\ \mathrm{GeV} 設計だったのは、この見積もりに余裕を持たせた結果です。

2. 正面衝突では、実験室系がそのまま重心系です。各ビームのエネルギーを EE とすると P=0\boldsymbol P = \boldsymbol 0E=2E\mathcal E = 2E なので Mc2=2EMc^2 = 2E です。閾値条件 2E=4mpc22E = 4m_pc^2 から E=2mpc2E = 2m_pc^2、すなわち

K=Empc2=mpc2=938 MeV.K = E - m_pc^2 = m_pc^2 = 938\ \mathrm{MeV} .

2 本合わせても 1.88 GeV1.88\ \mathrm{GeV} で、固定標的の 5.63 GeV5.63\ \mathrm{GeV} の 3 分の 1 で済みます。エネルギーが上がるほど差は開き、固定標的では Mc2EMc^2 \propto \sqrt{E} にしかならないのに対し、衝突型では Mc2EMc^2 \propto E です。現代の加速器がほとんど衝突型である理由が、この 1 行の比較にあります。

  1. 砂川重信『相対性理論の考え方』岩波書店(物理の考え方 4)、1993 — 特殊相対論の力学と 4元形式を、思考実験を軸に丁寧に扱っています。
  2. E. F. Taylor and J. A. Wheeler, Spacetime Physics, 2nd ed., W. H. Freeman, 1992 — 第 7 章「Momenergy」で 4元運動量を、第 8 章「Collide. Conserve. Create!」で衝突と粒子生成を扱います。この記事の視点に最も近い教科書です。
  3. W. Rindler, Relativity: Special, General, and Cosmological, 2nd ed., Oxford University Press, 2006 — 相対論的質点力学の章に、4元速度・4元運動量・4元力の体系的な扱いがあります。
  4. A. Einstein, “Ist die Trägheit eines Körpers von seinem Energieinhalt abhängig?”, Annalen der Physik 18 (1905), 639–641 — E=mc2E = mc^2 を初めて述べた 3 ページの論文。Appendix で紹介する論法の原典です。
  5. W. Bertozzi, “Speed and Kinetic Energy of Relativistic Electrons”, American Journal of Physics 32 (1964), 551–555. DOI: 10.1119/1.1970770 — 電子の速度に上限があることを飛行時間法で直接示した実験。
  6. L. B. Okun, “The Concept of Mass”, Physics Today 42, no. 6 (1989), 31–36. DOI: 10.1063/1.881171 — 「相対論的質量」という用語をめぐる混乱を整理した論説。

Appendix: アインシュタインの 1905 年の論法

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本文では E=γmc2E = \gamma mc^2定義 4.1 で定義してから、定理 5.1 でそれがエネルギーの名に値することを確かめました。歴史的には順序が逆で、アインシュタインは 4元形式を使わずに、光の放出という 1 つの思考実験だけから Δm=E0/c2\Delta m = E_0/c^2 を導きました(参考文献 [4])。その論法は今でも読む値打ちがあります。

慣性系 S で静止している物体が、+x+x 方向と x-x 方向に、エネルギー E0/2E_0/2 の光を 1 個ずつ同時に放出したとします。2 つの光の運動量は大きさが等しく向きが逆なので打ち消し合い、物体は放出後も S で静止したままです。S で見たエネルギーの減少は、定義により E0E_0 です。

次に、S に対して x-x 方向に速さ VV で動く慣性系 S′ に移ります。S′ から見ると物体は +x+x 方向に速さ VV で動いています。光の 4元運動量は 系 4.5 より (ε/c)(1,±1,0,0)\left(\varepsilon/c\right)(1,\pm1,0,0)ε=E0/2\varepsilon = E_0/2、複号は進行方向)です。S′ は速度 V-V のブーストで得られるので、定義 2.1 の変換則で ββ\beta \to -\betaβ=V/c\beta = V/c)として

ε±c=γ(V)(εc+β(±εc))ε±=γ(V)ε(1±β).\frac{\varepsilon'_{\pm}}{c} = \gamma(V)\left(\frac{\varepsilon}{c} + \beta\cdot\left(\pm\frac{\varepsilon}{c}\right)\right) \quad\Longrightarrow\quad \varepsilon'_{\pm} = \gamma(V)\,\varepsilon\,(1 \pm \beta).

これは光のドップラー効果そのものです。2 つを足すと β\beta の項が消えて

ε++ε=γ(V)ε[(1+β)+(1β)]=2γ(V)ε=γ(V)E0.\varepsilon'_{+} + \varepsilon'_{-} = \gamma(V)\,\varepsilon\,\big[(1+\beta) + (1-\beta)\big] = 2\gamma(V)\,\varepsilon = \gamma(V)\,E_0 .

つまり S′ から見ると、物体は γ(V)E0\gamma(V)E_0 だけエネルギーを失っています。S での損失 E0E_0 より (γ(V)1)E0\left(\gamma(V)-1\right)E_0 だけ多い。

ここが論法の急所です。物体の速度は放出の前後で変わっていません(S で静止したままなら、S′ でも速さ VV のままです)。にもかかわらず、S′ で測ったエネルギーの減り方が S より大きい。エネルギーを「内部エネルギー + 運動エネルギー」と分けて考えると、余分な (γ(V)1)E0\left(\gamma(V)-1\right)E_0 は運動エネルギーの減少でなければなりません。速さが同じで運動エネルギーが減るには、K=(γ(V)1)mc2K = \left(\gamma(V)-1\right)mc^2定理 5.1)の mm が減るしかない。Δm\Delta m を質量の減少とすれば

(γ(V)1)E0=(γ(V)1)Δmc2Δm=E0c2.\left(\gamma(V)-1\right)E_0 = \left(\gamma(V)-1\right)\,\Delta m\,c^2 \quad\Longrightarrow\quad \Delta m = \frac{E_0}{c^2}.

アインシュタイン自身は γ\gammaV/cV/c の 2 次まで展開し、12(E0/c2)V2\frac{1}{2}\left(E_0/c^2\right)V^2 という運動エネルギーの減少と読んで同じ結論に達しました。1905 年の論文の結びの一文は「物体の質量はそのエネルギー量の尺度である」という趣旨で、彼はこの検証にラジウム塩の崩壊を提案しています。実際に検証できるようになるのは、それから 30 年ほど後のことでした。

なお、ここで得られたのは「エネルギーを E0E_0 失った物体は質量を E0/c2E_0/c^2 失う」という差の関係であって、「静止エネルギーの全体が mc2mc^2 である」という主張ではありません。全体の関係に踏み込むには、本文で行ったように 4元運動量から出発する必要があります。歴史的な論法と体系的な論法の役割分担が、ここに現れています。

この記事で組み上げた 4元運動量は、次章以降でも土台になります。一般相対性理論への招待(等価原理)では「重力質量と慣性質量が等しい」という事実(慣性質量と重力質量(定義 2.1)[一般相対性理論への招待])を出発点に、エネルギーをもつものはすべて重力を感じる、という方向へ進みます。E=mc2E = mc^2 が正しいなら、質量をもたない光さえ重力で曲がるはずだ、という予想が自然に出てくるからです。

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