同境と Pontryagin–Thom 構成
対象読者: 本テーマ第 1〜2 章、ハンドル分解、コホモロジーと Poincaré 双対を学んだ修士課程の人。ホモトピー群の定義は既知とし、Thom 空間の理論は仮定しません。
前提となる記事:横断性:パラメータ付き横断性定理と一般の位置、管状近傍・カラー・イソトピーの拡張、ハンドル分解と手術:曲面の分類と Heegaard 分解、コホモロジーと双対性:普遍係数定理・カップ積・de Rham の定理・Poincaré 双対を証明する
0. この記事の要点
Section titled “0. この記事の要点”円周は円板のふちで、2 つの点は線分のふちです。このように、ある図形が別の図形の「ふち」として現れるかどうかで、ふちのない図形(閉多様体)を大まかに仲間分けします。ふちのない曲面の中には、射影平面のように、どんな図形のふちにもなれないものがあります。この記事では、この仲間分けが「球面への写像を連続的に変形して同じにできるか」という別の問題と同じ内容であることを示し、読み終えると、写像を逆像で数える方法と、ふちになれない図形を見分ける数の計算ができるようになります。
- 2 つの閉多様体は、合わせてあるコンパクトな多様体の境界になるとき同境であるといいます。同境類の全体は、非交和を和、直積を積とする次数付き環 (向きなし)、(向きつき)になります(定理 2.2)。
- 閉多様体 から球面 への写像のホモトピー類は、 の余次元 の枠付き部分多様体の枠付き同境類と 1 対 1 に対応します(定理 3.7)。対応は「正則値の逆像を取る」ことで与えられます。
- その帰結として、連結で向き付けられた閉 次元多様体から への写像は写像度で分類され(系 4.1)、 の同型は 2 つの逆像の絡み数(Hopf 不変量)で与えられます(定理 4.5)。
- 枠を「法束の分類写像」に置き換えると、同境群そのものが Thom 空間(ベクトル束の全空間に無限遠点を 1 点加えた空間)のホモトピー群になります:、(定理 5.6)。
- 計算できる範囲として、次元 2 以下の同境群(定理 2.9)と、Euler 標数の偶奇・符号数・Pontryagin 数という同境不変量(命題 2.6、定理 6.4、命題 6.8)を扱います。非有向同境環の完全な決定(Thom の定理)は主張だけを述べます。
閉多様体を微分同相で分類するのは、次元が上がるとすぐに手に負えなくなります。そこで分類の目を粗くして、「 がコンパクトな多様体の境界になる」とき と を同じとみなします。前章で見たとおり、これは「有限回の手術で移り合う」ことと同値です。粗い分類ですが、Euler 標数の偶奇や符号数のように、この同値で不変な量があり、しかも分類全体がホモトピー論の問題に翻訳できます。
翻訳の仕組みは次のとおりです。写像 の正則値 の逆像 は余次元 の部分多様体で、 がその法束(部分多様体に垂直な方向を束ねたもの)を自明化します。 をホモトピーで動かすと逆像は同境で動きます。逆に、法束が自明化された部分多様体があれば、その管状近傍を に広げ、外側を 1 点につぶす写像が作れます。この往復が Pontryagin–Thom 構成です。最も簡単な場合()には逆像は符号つきの点の集まりで、その個数が写像度です。写像度がホモトピー類を決めるという Hopf の定理は、「符号が逆の 2 点は弧でつないで消せる」という 1 次元多様体の話に帰着します。
この記事では、多様体は滑らか・Hausdorff・第二可算、閉多様体はコンパクトで境界のないものとします。空集合は任意の次元の閉多様体とみなします。
2. 同境群と同境環
Section titled “2. 同境群と同境環”2.1. 定義と環の構造
Section titled “2.1. 定義と環の構造”閉 次元多様体 、 が同境であるとは、コンパクトな 次元の境界付き多様体 で が に微分同相なものが存在することをいう。、 が向き付けられているとき、向き付けられたコンパクトな で、境界の向き(定義 4.5[ストークスの定理])について ( は向きを逆にした )となるものが存在すれば、向きを込めて同境であるという。閉 次元多様体の同境類の集合を (非有向同境群)、向き付けられた閉 次元多様体の、向きを込めた同境類の集合を (有向同境群)と書く。
コンパクトな多様体はどれも Euclid 空間の部分多様体に微分同相なので(定理 8.1[部分多様体と正則値定理])、微分同相類の全体は集合で、、 も集合です。
- 同境である、向きを込めて同境である、という関係はどちらも同値関係である。
- 非交和 により 、 はアーベル群になる。零元は 、 での の逆元は である。
- 直積 により 、 は 1 点の類を単位元とする次数付き環になる。 は可換で、 では (、)が成り立つ。
証明(定理 2.2)
向きつきの場合を書きます(向きなしの場合は向きの記述を省けば同じです)。
1。 反射律: に積の向き( の向き、 の向きの順)を入れます。 では外向きベクトルが なので境界の向きは の向き、 では外向きが なので逆の向きで、 です。対称律: なら です。推移律:、 のとき、 と を に沿って貼り合わせます(境界の一部に沿った貼り合わせ。系 7.4[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張] の 1 により、結果は残りの境界 を境界とするコンパクトな境界付き多様体です)。 は の中では境界の向き、 の中ではその逆の向きをもつので、貼り合わせる写像は境界の向きを逆にし、同系の 3 により と の向きは貼り合わせた多様体の向きに延びて、その境界は です。
2。 同境の非交和は非交和の同境なので、和は類の取り方によりません。結合律と可換律は非交和の性質で、 が零元です。1 の を から への同境と見れば です。
3。 で が閉多様体なら、 はコンパクトな境界付き多様体で です(外向きベクトルは の因子にあり、積の向きは 、 の順なので、境界の向きは の向きと の向きの積)。第 2 因子についても同様なので、積は類の取り方によりません。分配律は 、結合律は直積の結合律、単位元は 1 点(向きは )です。因子の入れ替え は微分同相で、向きを 倍します( 個のベクトルと 個のベクトルのブロックを入れ替える置換の符号)。
証明(命題 2.3)
の境界は です。
次の補題は、2 つの多様体をつないだ連結和が、つなぐ前の 2 つを並べたものと同境になることを述べます。連結和は、それぞれから小さな球をくり抜いて筒でつなぐ操作で、指数 1 の手術として書けます。そこで手術の跡を同境として使います。2.3 で曲面を連結和に分解して同境群を計算するときに使います。
、 を連結な閉 次元多様体()、()を円板の埋め込みとし、 を 定義 6.3[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張] の同一視 で作った閉多様体とする(向きは仮定しない。向きのない場合、 は 、 の選び方に依存しうるが、以下はどの選び方についても成り立つ)。このとき は に同境である。、 が向き付けられていて、 が向きを保ち が向きを逆にするなら(向き付けられた連結和。系 6.4[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張])、向きを込めて同境である。
証明(補題 2.4)
を 、 とします。指数 の手術 は、定義により 、 と筒 を、、()で貼ったものです。 から への微分同相を作ります。滑らかで狭義単調減少な全単射 を、 の近くで 、 の近くで となるように取ります。 と の上では恒等写像、筒の上では と定めます。筒の が に近い点 は に、 が に近い点 は に写るので、2 つの定義は重なりで一致して滑らかな写像になります。筒は の中の ()の上に微分同相に写り、その外は恒等写像なので、全体として微分同相です。手術の跡 が求める同境です(定理 3.9[ハンドル分解と手術])。向きつきの場合、跡の積の部分 の向きが模型 の上に延びるのは、 の 2 つの成分( と )から来る向きが一致するときです。2 つの成分は鏡映 で移り合うので、これは と の一方が向きを保ち他方が向きを逆にすることと同値で、向きつきの連結和の定義で課す条件と同じです。
2.2. Euler 標数の偶奇
Section titled “2.2. Euler 標数の偶奇”空間 のホモロジー群がすべて有限生成で、高い次数で のとき、 とおきます(有限 CW 複体では 系 4.3[胞体ホモロジーと写像度] により胞体の個数の交代和に等しい)。
次の補題は、同境が Euler 標数の偶奇を変えないことを示すための準備です。Morse 関数の臨界点を 1 つ通り過ぎるたびに Euler 標数が指数の偶奇に応じて だけ変わるので、それを全部足して式にします。
を 次元の同境、 をその上の Morse 関数(定義 2.1[ハンドル分解と手術])とし、指数 の臨界点の個数を とする。このとき と のホモロジー群は有限生成で、
証明(補題 2.5)
臨界点の個数についての帰納法で、同じ次元の同境すべてについて示します。 自身は から への同境なので、 の場合を先に示せば、 のホモロジーが有限生成であることも従います。命題 2.3[ハンドル分解と手術] の証明のとおり臨界値は互いに異なるとしてよく(臨界点とその指数は変わりません)、定理 3.7[ハンドル分解と手術] の証明の を取って とします。 は で、 にホモトピー同値です(定理 2.7[ハンドル分解と手術])。対 の相対ホモロジーは、 番目の臨界点の指数 の次数で 、ほかで です。実際、 を境界の外へ延長し(補題 2.2[ハンドル分解と手術])、 を外側のカラーの上に臨界点なしで延ばすと、延長した多様体の劣位集合は に の外側のカラーを付け加えたもので にホモトピー同値なので、系 6.3[Morse 理論] と 定理 5.1[Morse 理論] が使えます。対の長完全列(系 3.2[特異ホモロジー])から、 のホモロジーが有限生成なら もそうで、完全列の階数の交代和が であることから です。 について足し合わせます。
証明(命題 2.6)
を同境 と見て Morse 関数 を取ると、補題 2.5 により です。 は同境 の上の Morse 関数で、臨界点の指数は なので(命題 6.2[ハンドル分解と手術])、
です。 は非交和で加法的なので、 なら は偶数、すなわち で、 は同境類で決まる加法的な写像です。
証明(補題 2.7)
または とし、 の上の関数
を考えます。 のチャートで ()とすると
です。 の実部・虚部についての偏微分は、 として に の実部・虚部を掛けたものです。臨界点で となる があれば で、そのような が 2 つあれば の値が一致して矛盾、ちょうど 1 つなら から となって矛盾です。よってこのチャートの臨界点は 、すなわち だけです。そこでの Hessian は対角行列で、 の実部(と、 なら虚部)に対応する成分が なので非退化、負の成分は のもので、指数は の場合 、 の場合 です。Euler 標数は 補題 2.5 により指数の符号の交代和で、 の場合 、 の場合 です。
2.3. 低次元の同境群
Section titled “2.3. 低次元の同境群”証明(定理 2.9)
次元 0。 閉 0 次元多様体は有限個の点です。コンパクトな 1 次元多様体の境界は偶数個の点なので(系 4.5[横断性])、点の個数の偶奇は同境不変です。2 点は閉区間の境界なので、偶数個の点は境界で、 です。向きつきの場合、点の向きは符号 です。向き付けられたコンパクトな 1 次元多様体の連結成分は円周か閉区間で(定理 4.4[横断性])、向き付けられた閉区間の境界は、外向きベクトルが正の向きの端点が 、もう一方が です。よって境界の符号の和は で、符号の和は準同型 を定めます。1 点()の像が なので全射、符号の和が なら の点と の点を対にして区間でつなげるので単射です。
次元 1。 閉 1 次元多様体は有限個の円周の非交和で(定理 4.4[横断性])、 です。 の 2 つの向きは の 2 つの向きを誘導するので、向きつきでも境界です。
次元 2。 連結な閉曲面は か です(定理 7.5[ハンドル分解と手術])。補題 2.4 により 、 です。、 で、どちらも内側の多様体が連結なので、その 2 つの向きから境界の 2 つの向きが得られます。向き付けられた連結な閉曲面は、向きを保つか逆にする微分同相で に写るので、 です。 は で生成され、命題 2.3 により 、系 2.8 により なので です。 なので、同型は 命題 2.6 の です。
例 2.10(境界になる曲面、ならない曲面)
トーラスはソリッドトーラスの境界です。Klein の壺は なので で、境界になります(具体的には、Möbius の帯を底とする区間束の全空間の境界です)。 は境界になりません。 は偶数、 は の偶奇で決まり、閉曲面が境界になるのは Euler 標数が偶数のとき、かつそのときに限ります。
3. 枠付き部分多様体と Pontryagin 多様体
Section titled “3. 枠付き部分多様体と Pontryagin 多様体”3.1. 定義
Section titled “3.1. 定義”を閉 次元多様体とする。
- の余次元 の閉部分多様体 (コンパクトで境界のない部分多様体。空でもよい)と、法束 の滑らかな切断の組 で各点で基底をなすもの(法枠)の対 を、枠付き部分多様体という。
- 枠付き部分多様体 、 の間の枠付き同境とは、 のコンパクトな境界付き部分多様体 とその法枠 の対で、ある について であり、 がこの両端の部分で によらず 、 に一致するものをいう。
枠付き同境は同値関係です。反射律は 、対称律は 、推移律は 2 つの同境を 方向に縮めてつなぐこと(両端で積の形なので、つなぎ目で滑らかです)から従います。同値類の集合を と書きます。
を滑らかな写像、 を の正則値、 を の正の向きの基底とする。 は余次元 の閉部分多様体で(定理 4.3[部分多様体と正則値定理])、各 で は核が の全射なので、同型 を誘導する。この同型による の逆像を とすると は法枠である。枠付き部分多様体 を、 の に関する Pontryagin 多様体という。
3.2. 写像から枠付き同境類へ
Section titled “3.2. 写像から枠付き同境類へ”次の補題は、写像を連続的に変形しても逆像が枠付き同境の範囲でしか変わらないことを示し、これで構成が写像のホモトピー類から定まります。証明は (i) 基底の取り替え、(ii) 正則値を近くで動かす、(iii) ホモトピーの逆像を同境に使う、(iv) 一般の場合、の順に、正則値と基底の選び方によらないことを少しずつ確かめます。(ii) の回転の族は、正則値を から へ動かす間、途中の値がずっと正則値であるようにするための道具です。
補題 3.3(Pontryagin 多様体の同境類は写像のホモトピー類で決まる)✓
を閉多様体、 を滑らかにホモトピックな滑らかな写像とし、、 をそれぞれ 、 の正則値と、そこでの正の向きの基底とする。このとき と は枠付き同境である。
証明(補題 3.3)
4 段に分けます。 はコンパクトなので、 の臨界値の集合はコンパクトで、正則値の集合は の開集合です。
(i) 基底を替える。 が の正の向きの基底なら、基底の変換行列は の元で、 は弧状連結(補題 3.1[Hurewicz の定理と Freudenthal の懸垂定理])な の開集合なので、滑らかな道 ( が 、 の近くでは定数)で と を結べます(連続な道を滑らかな道に取り替えられることは 定理 8.1[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張])。 に法枠 を入れたものが枠付き同境です。
(ii) 正則値を近くで動かす。 の近傍 を正則値だけからなるように取り、 とします。 と を通る大円に沿った回転の族 を、 が の近くで恒等写像、 の近くで 、、 がつねに と を結ぶ短い弧の上(したがって の中)にあるように取ります。 とおくと、各 で は の正則値( が の正則値だから)なので、 は と の正則値で、 は境界付き部分多様体です(定理 3.8[横断性])。 の正の向きの基底 について は、 と の間の枠付き同境です(両端で が によらないので積の形です)。 は の正の向きの基底なので、(i) と合わせて、 の Pontryagin 多様体は のものと枠付き同境です。
(iii) ホモトピーで動かす。 が と の両方の正則値であるとします。滑らかなホモトピー を、両端の近くで によらないように取ります。Sard の定理(系 3.9[横断性])により、 のいくらでも近くに と の正則値 があり、 に十分近ければ (ii) が と の両方に使えます。 は と の間の枠付き同境なので、(ii) と合わせて主張を得ます。
(iv) 一般の場合。 を に写す回転 を取ります。 は弧状連結なので は に、したがって にホモトピックで、 は と の両方の正則値です。、 なので、(iii) と (i) から主張を得ます。
3.3. 枠付き部分多様体から写像へ
Section titled “3.3. 枠付き部分多様体から写像へ”証明(補題 3.4)
管状近傍 (定理 3.4[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張])を取ります。 は零切断の上で恒等写像の微分同相なので、ファイバー方向の微分は束同型 を誘導します。 を に替えれば としてよく、 とおけば求める微分同相です。
以下、 の北極を 、南極を とします。滑らかで広義単調減少な を、 の近くで 、 で正、 で となるように取り、
とおきます。分母は にならないので は滑らかで、 では です。開単位球の上では、 は微分同相 ( が から への狭義単調増加な全単射であることによる)と、 からの立体射影の逆 の合成なので、 の上への微分同相です。、 で、 の向きを が の正の向きの基底になるように決めておきます。この基底を と書きます。
証明(補題 3.5)
補題 3.4 の を取り、
とおきます。 はコンパクトなので閉集合で、その外では 、 の上では なので、 は 2 つの開集合 と の上で滑らかで、重なりでは一致します。 で、 での は を に写すので全射、 です。
補題 3.6(同じ Pontryagin 多様体をもつ写像はホモトピック)✓
を閉多様体からの滑らかな写像とし、 がどちらの正則値でもあり、、かつ の各点で と が に同じ写像を誘導する(すなわち )とする。このとき と は滑らかにホモトピックである。
証明(補題 3.6)
回転で とします。 を からの立体射影()、 を からの立体射影とします。
の近傍で の場合。 の開近傍 の上で とします。 の上では は を値に取らないので、
は矛盾なく定まる滑らかなホモトピーです。
一般の場合。 を、 の逆像を変えないホモトピーで、 の近傍で に一致する写像に直します。積近傍 (補題 3.4。枠は )を取り、 を小さくして とし、、 とおきます。 です。 は を消し、( での類が )を に写すので、 の 方向の微分は で という によらない正則な線形写像 で、 についても同じ です。 に を合成して とします。Taylor の定理と のコンパクト性から、定数 があって で 、 です。よって では
です。滑らかな を で 、 で に取り、
とおくと、 で なので の零点は だけで、 では です。 を への写像に戻し、 の外では とつなぐと、 から へのホモトピーで、、 の近傍 で となるものが得られます。前半により と はホモトピックです。
3.4. Pontryagin–Thom 構成(枠付きの場合)
Section titled “3.4. Pontryagin–Thom 構成(枠付きの場合)”定理 3.7(Pontryagin–Thom 構成(枠付きの場合))✓
を閉 次元多様体、 とする。滑らかな写像 に Pontryagin 多様体の枠付き同境類を対応させる写像
は、 と代表元 の取り方によらずに定まる全単射である。
証明(定理 3.7)
連続写像のホモトピー類と滑らかな写像の滑らかなホモトピー類は一致するので(系 8.2[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張])、滑らかな写像と滑らかなホモトピーだけを考えます。正則値は Sard の定理(定理 7.4[部分多様体と正則値定理])により存在し、補題 3.3 により は矛盾なく定まります。全射性は 補題 3.5 です。
単射性を示します。 の Pontryagin 多様体 、 が枠付き同境 で結ばれているとします。 を両端で積の形のまま少し延ばし、 を境界のない部分多様体、 をその法枠とします。補題 3.4 と 補題 3.5 の構成は、コンパクト性を のまわりでしか使わないので にも使えて(積近傍のファイバーを十分小さく取り、 と交わる部分の閉包がコンパクトになるようにします)、滑らかな写像 で、 が の正則値、、 となるものが得られます。 については、 が と横断的に で交わるので で、 の での法束は の での法束の制限と同一視でき、 です。補題 3.6 により は に、同様に は にホモトピックで、 が と を結ぶので、 と はホモトピックです。
4. 写像度と Hopf 不変量
Section titled “4. 写像度と Hopf 不変量”4.1. Hopf の写像度定理
Section titled “4.1. Hopf の写像度定理”のとき、枠付き部分多様体は有限個の点 と の基底 の組です。 が向き付けられていれば、各点に基底が正の向きか負の向きかの符号 が付きます。 の Pontryagin 多様体では、 の符号は が向きを保つか逆にするかの符号で、その和は の写像度です(定理 4.5[交点数と写像度])。
証明(系 4.1)
のとき は に微分同相で(定理 4.4[横断性])、系 6.2[Hurewicz の定理と Freudenthal の懸垂定理] と の写像度が であることから従います。 とし、定理 3.7 により、枠付き 0 次元部分多様体について「符号の和が等しいことと枠付き同境であることが同値で、任意の整数が符号の和として現れる」ことを示せば十分です。後半は、同じ符号の点を必要な個数だけ取れば済みます。
符号の和は枠付き同境で不変。 を枠付き同境とします。 はコンパクトな 1 次元多様体で、 に積の向き(、 の順)を入れ、 の接ベクトル を が正の向きになるように選んで を向き付けます。端の近くで は鉛直な線分で 、 が正の向きであることは が の正の向きの基底であることと同値なので、端点の符号が であることと、そこで であることは同値です。 の成分のうち閉区間(定理 4.4[横断性])を の向きにたどると、始点では が の内側を、終点では外側を向きます。始点が にあれば (符号 )、 にあれば (符号 )、終点が にあれば符号 、 にあれば符号 です。4 通りの組み合わせのどれでも、「 の端点の符号の和」と「 の端点の符号の和」への寄与は等しくなります(両端が なら と 、始点が で終点が なら と 、など)。
点を動かし、枠を取り替える。 有限個の点 を別の位置 に写す、台がコンパクトなディフェオトピー があります(。定理 5.4[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張])。 を付け替えて両端の近くで によらないようにすると、 と法枠 は枠付き同境です。 は恒等写像にイソトピックなので向きを保ち、符号は変わりません。同じ点での同じ符号の 2 つの基底は の道で結べるので(補題 3.1[Hurewicz の定理と Freudenthal の懸垂定理])、補題 3.3 の (i) と同じく、枠も符号を保つ限り自由に取り替えられます。
逆符号の 2 点を消す。 上の操作で、符号が逆の 2 点を 1 つのチャート の中の に、枠を で 、 で に取ります。 の中で と を結ぶ弧 を、 平面の半円 、 の両端を鉛直な線分に直したものとし、法枠を「 平面での弧の内向き法ベクトル、」とします。内向き法ベクトルは で 、 で なので、これは 2 点から空集合への枠付き同境です。
以上から、符号の和が等しい 2 つの枠付き 0 次元多様体は、逆符号の対を消して点の個数と符号をそろえ、位置と枠を合わせることで、枠付き同境になります。
証明(系 4.2)
枠付き同境 はコンパクトな 1 次元多様体なので、境界の点は偶数個で(系 4.5[横断性])、点の個数の偶奇は枠付き同境で不変です。逆に、任意の 2 点が(枠が何であっても)消せることを示せば、枠付き同境類は偶奇だけで決まります。系 4.1 の証明の「点を動かす」「逆符号の 2 点を消す」は、チャートの中の向きについてそのまま使えます。足りないのは、1 点 の枠 を、チャートの向きについて逆の符号の枠に取り替えることです。 は向き付け不可能なので、 を通る閉曲線 で、局所的な向きを に沿って連続に運ぶと逆になるものがあります(そうでなければ、1 点の向きを道に沿って運んで 全体の向きが矛盾なく定まります)。点 を に沿って動かすイソトピーをディフェオトピー に拡張すると(定理 5.2[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張])、 は向きを連続に運ぶので、 は で と逆の符号の枠です。 と法枠 が求める枠付き同境です。
例 4.3(球面の上の点の枠付き同境と写像度)
の上の ()では、 は正則値で、逆像は の 乗根 個、各点で は正則関数として向きを保つので符号はすべて 、 です。 では符号がすべて で です。系 4.1 は、 から への任意の写像が、これらか定値写像のどれかちょうど 1 つにホモトピックであることを述べています。
4.2. Hopf 不変量
Section titled “4.2. Hopf 不変量”、 では、Pontryagin 多様体は の中の枠付きの絡み目(有限個の円周)です。その枠付き同境類を測る数が Hopf 不変量です。
- は と の取り方によらず、 のホモトピー類だけで決まる。
- が滑らかなら 。
- Hopf 写像 、(定義 4.1[ホモトピー群とファイブレーション])について 。したがって は群の同型 で、系 6.5[Hurewicz の定理と Freudenthal の懸垂定理] の同型()に一致する。
- を の正則値とすると、 は 2 つの Pontryagin 多様体の絡み数 に等しい。
4 の証明の筋道は次のとおりです。 を の近くと の近くに集中させた 2 つの形式で取り替えると、 は に沿った の線積分になります。Stokes の定理でこれを をふちとする曲面(Seifert 膜)の上の積分に直すと、その曲面と の交点の符号つき個数、すなわち絡み数が得られます。
証明(定理 4.5)
1。 を取り替えると、差 は閉 1 形式で、 から 、(系 6.2[ストークスの定理])です。 を取り替えると、 なので (系 5.2[de Rham コホモロジー])で、 が の原始形式です。
の第 3 項と第 4 項は、 上の 3 形式 、 が なので消えます。第 2 項は と Stokes の定理から です。ホモトピー については、(定理 3.2[de Rham コホモロジー])なので と書け、 の両端への制限が 、 の原始形式なので、Stokes の定理(定理 6.1[ストークスの定理])により
です。連続なホモトピーは滑らかなホモトピーに取り替えられます(系 8.2[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張])。
2。 なので (命題 5.4[ホモトピー群とファイブレーション])です。
3。 を の座標とし、 とします( まで滑らかに延びる回転不変な面積形式)。 です。 の上で とすると 、 なので
です。 とおくと、 の上で なので です。 と を展開して足すと、交差項 、 が打ち消し合い、
(、 への制限)を得ます。 は 全体で定義され なので、Stokes の定理により
です(4 次元単位球の体積は 。 には の境界としての向きを入れます)。 の元はすべて ()の形で、 は同型(定理 4.3[ホモトピー群とファイブレーション])、 の同型は写像度です(命題 5.1[ホモトピー群とファイブレーション]、系 6.5[Hurewicz の定理と Freudenthal の懸垂定理])。2 により なので、 は写像度の同型で、 は群の同型です。
4。 、 のまわりの互いに交わらない小さい円板に台をもち、積分が の 2 形式 、 を取ります。どちらも とコホモロガスです。 とすると、1 と同じ計算(、 として展開し、 上の 3 形式が であることと Stokes の定理を使う)で
です。この式は、台が互いに交わらず積分が であるどの 、 についても成り立ちます。、 とおき、向きを次のように決めます。 の法束 には が向きを保つように向きを入れ、 には「 の正の基底、 の正の基底の持ち上げ」の順に並べると の正の基底になるように向きを入れます(命題 5.7[Thom 類と Poincaré 双対] の規約。1 次元で余次元 なので、法方向を先に並べる規約でも同じ向きです)。 も同様です。 のときは、 の台を の像(コンパクト)の外に取れば で 、絡み数も です。 のときも、同様に と取ると は閉形式で、 から 、 です。以下、どちらも空でないとします。
正則値のまわりの積の構造。 を中心とする十分小さい開円板 と、微分同相 で 、 となるものがあります。実際、積近傍 (補題 3.4)を取り、 とおくと、 で、 での微分は同型です( 方向の微分が の上への同型)。逆関数定理(定理 2.1[部分多様体と正則値定理])と 補題 3.2[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張]()により、 は のある開近傍 から の開近傍の上への微分同相です。管の補題(補題 2.3[横断性])により となる円板 があり、 は を満たす埋め込みです。 をさらに小さくすれば の像は 全体です。そうでなければ、 で の像に入らない点列 があり、部分列の極限 は の点で、 は の開近傍なので、大きい で 、、 となって となり、矛盾します。向きの決め方から、 は積の向き(、 の順)について向きを保ちます。
。 の閉包が の台と交わらないように を取り、 の台が のコンパクト集合に入るように を取り直します。 の上で なので、 は 上の閉 1 形式です。、 とすると は恒等写像にホモトピックなので、 は完全形式 で(定理 3.2[de Rham コホモロジー])、 は の への制限 です。よって
です(最後の項は、 の台がコンパクトなので Stokes の定理により )。
Seifert 膜との交わり。 を境界(向きを込めて)とするコンパクトな向き付けられた曲面 を取ります(Seifert 膜。定理 4.4[h 同境定理・エキゾチック球面・低次元トポロジーの入口]。その証明はこの章の結果を使いません)。Stokes の定理により です。まず が の正則値でもある場合、すなわち の内部が に横断的な場合を考えます。 について上と同じ積の構造 を、 が と交わらないように取ると、 は の管状近傍で、台が のコンパクト集合に入る について は、台が のコンパクト集合で各ファイバーの上の積分が の閉形式、すなわち法束の Thom 類を代表する形式です。補題 5.5[Thom 類と Poincaré 双対](、、、 は の包含。 が と交わらないので、 のコンパクト集合の逆像はコンパクトです)により
で、 は が向きを保つかどうかの符号です。 の向きの決め方から、これは の正の基底 と の正の接ベクトル について が正の向きかどうか、すなわち で、、、 の上にない 1 点を除いて を向きを保つ微分同相で とみなせば(この節の絡み数はこの同一視によるものです)、和は 命題 8.2[交点数と写像度] の 2 により です。
一般の正則値 については、 の中に と の両方の正則値 があります(Sard の定理。系 3.9[横断性])。 のまわりに台をもつ を使えば、上の議論から です。 と を の中の線分 で結ぶと、 は から への、 と交わらない滑らかな族で、向きを保ちます。絡み数を定める写像(定義 8.1[交点数と写像度])はこの族に沿ってホモトピーで動くので、写像度のホモトピー不変性(定理 4.5[交点数と写像度] の 1)により です。
例 4.6(Hopf 写像の Pontryagin 多様体)
Hopf 写像 はすべての点が正則値で、 は大円 です。 と は、 から 1 点を除いて に立体射影すると、1 本の直線(に無限遠点を加えた円周)と、それを 1 回まわる円周になり、絡み数は です。これは と整合します。枠付き部分多様体としては、 は自明な結び目に、まわりを 1 回ねじれる法枠を入れたものです。ねじれの無い枠を入れた自明な結び目は円板の境界として枠付きで消せて、定値写像に対応します。円周の法枠は だけの取り方があり、それが を与えています。
5. Thom 空間と一般の Pontryagin–Thom 構成
Section titled “5. Thom 空間と一般の Pontryagin–Thom 構成”5.1. Thom 空間と分類写像
Section titled “5.1. Thom 空間と分類写像”枠付きの場合、法束は自明で、自明化が への写像を与えました。法束が自明でない一般の閉多様体では、 の代わりに「すべての 次元ベクトル束を引き戻せる束」の Thom 空間を使います。
定義 5.1(Thom 空間、MO(k) と MSO(k))↗
- コンパクトな底空間 の上のベクトル束 に対し、全空間 の 1 点コンパクト化 を の Thom 空間という。 は零切断として に含まれる。
- を Grassmann 多様体(定義 5.6[微分可能多様体の定義])、 をその上の普遍束(階数 のベクトル束)とし、 とおく。向き付けられた 次元部分空間の全体 ( の 2 重被覆)の上の同様の束 について とおく。 の合併を 、 と書く。
- (懸垂による帰納極限)を球面の第 安定ホモトピー群という。
のチャート(部分空間を 行列 のグラフとして表す。命題 5.7[微分可能多様体の定義])の上で、 が の自明化を与えるので、 は滑らかなベクトル束で、全空間は の部分多様体です。この記事では を固定した有限の模型 だけを使います。
例 5.2(自明束の Thom 空間は懸垂)
のとき、 は ()で を 1 点につぶしたもの、すなわち に 1 点を加えた空間 と のスマッシュ積(定義 2.2[ホモトピー群とファイブレーション]) で、 の 重の懸垂です。 が 1 点なら で、定理 3.7 は「 を 1 点の上の自明束に替えた場合」にあたります。 として とすれば、 は 次元の枠付き多様体の枠付き同境群と同型になります(Pontryagin)。
とする。 の中で階数がちょうど の元の全体 は、余次元 の部分多様体である。とくに、単射でない線形写像の全体は、余次元が 以上の有限個の部分多様体 の和である。
証明(補題 5.3)
階数 の 行列は、行と列を並べ替えれば左上の ブロック が正則な の形です。 が正則な行列の全体(開集合)の上で、左から を掛けると になり、階数が であることは と同値です。写像 は についての微分が恒等写像なので沈め込みで、 の逆像は余次元 の部分多様体です(定理 4.3[部分多様体と正則値定理])。 のとき です。
次の補題のねらいは、ベクトル束 を へファイバーごとに単射な線形写像で送り、普遍束 への束写像(分類写像)を作ることです。単射でない線形写像の全体は余次元が 以上の部分集合なので、 なら、一般の位置にある切断は 次元の の上でそこを避けます。その余次元を数えたのが直前の補題です。
を 次元のコンパクトな多様体(境界があってもよい)、 をその上の階数 の滑らかなベクトル束、 を閉集合とし、 の開近傍 の上で、各ファイバーの上で単射な線形写像になる滑らかな写像 が与えられているとする( でもよい)。 ならば、各ファイバーの上で単射な線形写像になる滑らかな写像 で、 の近傍で に一致するものが存在する。
このような は束写像 、()と同じものである。したがって、 なら から への束写像(ファイバーごとに同型)が存在する。さらに が境界をもたず なら、そのような 2 つの束写像は束写像のホモトピーで結べる。
証明(補題 5.4)
を階数 のベクトル束とします。ファイバーごとに線形な写像 は の切断と同じものです。 の局所自明化で は局所的に で、階数は自明化の取り方によらないので、補題 5.3 により、階数 の元の全体 は余次元 の部分多様体です。
の閉近傍 ( は の内部に含まれる)を取ります。 の近傍で 、台が に含まれる関数を に掛けて で延ばし、 の近傍で に一致する切断 を作ります。有限個の切断 で各ファイバーを張るものを取り(有限個の自明化と 1 の分割。定理 6.3[部分多様体と正則値定理])、滑らかな を の上で 、 の外で正に取って
とおきます。 の点では、 についての微分がファイバー の上への全射なので、 は( への制限も)沈め込みで、どの にも横断的です。 の点は に入り、そこでは が単射なので、 の像は ()と交わりません。よって 、 で、パラメータ付き横断性定理(定理 6.1[横断性])により、ほとんどすべての で はすべての ()に横断的です。 なので、横断的であることは像が交わらないことを意味し、 はすべての点で単射です。 の上では です。
後半。単射な に対し は滑らかで、 はファイバーごとに同型な束写像です。逆に束写像 の第 2 成分は単射な です。一意性は、 が境界をもたないとき、前半を (境界 をもつコンパクトな 次元多様体)と の引き戻し、、、 を の 2 つの部分の上で によらず与えられた 2 つの写像としたものに使います()。得られる が 2 つの束写像を結ぶホモトピーです。 に境界があると は角をもち、前半の仮定を満たしません。
証明(補題 5.5)
大きい空間への埋め込み。 カラー を取ります。滑らかな を、 のカラーの で 、 のカラーの で 、それ以外で となり、臨界点が有限個であるように取ります(命題 2.3[ハンドル分解と手術] の構成)。 を、カラーの の部分で となる滑らかな写像(1 の分割で延ばす)、 をカラーの で 、それ以外で正の滑らかな関数、 を埋め込み( のダブルに 定理 8.1[部分多様体と正則値定理] を使う)とし、
とおきます。 の部分では から が滑らかに復元できるので は単射なはめ込みです。 の部分では で、 が 2 つのカラーを分け、 は埋め込みなので単射なはめ込みです。 の値が 2 つの部分を分けます。 はコンパクトなので は埋め込みです。
余分な座標を 1 つずつ落とす。 埋め込み ()で、境界の近くで 、 となるものがあるとします。 に対し、 と書いて
とおきます。これは方向 に沿った射影で、 の点と 座標を変えません。 が単射でないのは、 で が の定数倍になるとき、すなわち 、 で
となるときです。 は、 がともに の臨界点である有限個の対を除いて の 次元の部分多様体なので、右辺の写像の像は、 である限り測度 です(次元の低い多様体からの滑らかな写像の像は、すべての点が臨界点なので、Sard の定理 系 3.9[横断性] により測度 )。 がはめ込みでないのは、 でない接ベクトル で が の定数倍になるとき、すなわち 、、 のときで、そのような の全体は 次元以下の多様体の有限個の和なので、やはり像は測度 です。、 なら なので、どちらの像にも入らない があり、 は単射なはめ込み、したがって埋め込みで、境界の近くの形は変わりません。これを 回繰り返すと、 への埋め込みが得られます。 座標は変わらないので です。
5.2. 同境群は Thom 空間のホモトピー群
Section titled “5.2. 同境群は Thom 空間のホモトピー群”(、)とし、 に対し 、 とおきます。 とし、 を を に写す連続写像 の、基点を保つホモトピー類の群とみなします(定義 2.1[ホモトピー群とファイブレーション])。 に対し、連続写像
は、 について ( では 。 は恒等写像)を考えれば恒等写像にホモトピックです。 は滑らかで、 は から への狭義単調増加な全単射なので、 は から への、零切断の上で恒等写像となる微分同相です。 の閉 次元部分多様体 、その法束 から へのファイバーごとに単射な線形写像 、管状近傍 に対し、 にノルム を入れ、つぶす写像
を定めます。 はコンパクトなので、これは連続です。 を動かしたものは互いにホモトピックです。
次の定理は、枠付きの場合の を Thom 空間 に替えても、「逆像を取る」「管状近傍の外をつぶす」の往復が成り立つことを述べます。証明は 5 段で、(1) 写像を零切断に横断的にする、(2) 逆像の同境類が決まり準同型になる、(3) 全射、(4) 横断的な写像がつぶす写像にホモトピックであることの確認、(5) 単射、の順です。第 4 段の式は、写像を零切断の近くで 1 次近似の形に連続的に取り替える道を具体的に書いたものです。
定理 5.6(Pontryagin–Thom 構成(Thom の定理))✓
、、 とする。 の各元は、零切断 の逆像の近傍で滑らかで に横断的な代表元 をもち、
は矛盾なく定まる群の同型である。同様に である。したがって のとき 、。
証明(定理 5.6)
第 1 段:横断的な代表元。 を基点を保つ連続写像とします。 はコンパクトで、開集合 に含まれます。 の上で 、台が に含まれるコンパクトな滑らかな関数の正則値での上位集合として、コンパクトな余次元 の境界付き部分多様体 で となるものを取ります(系 6.4[部分多様体と正則値定理]、補題 3.7[横断性])。 は連続で、 の上で です。 を の閉部分多様体とみなし、 近傍の射影 (定理 7.3[横断性])を取ります。 は一様連続なので、十分細かい 1 の分割 と点 で を作ると、 は滑らかで にいくらでも近く、 は から滑らかな写像 へのホモトピーで、 の近くにとどまります。さらに 定理 9.1[横断性] により、いくらでも近い写像で に横断的なものに取り替えます。動かし方が十分小さければ、途中の写像はすべて の上で を満たします。 の上で となる連続写像 に対し、 の上で 、外で とおいた写像 は連続で、上のホモトピーは のホモトピーを与えます。 は にホモトピックなので、 は、 の内部で滑らかで に横断的な写像から作った にホモトピックです。 は から への、 の上で恒等写像の微分同相なので、 は の近傍で滑らかで に横断的で、 は のコンパクトな部分多様体、次元は です(定理 3.3[横断性]。 の余次元は )。
第 2 段: は矛盾なく定まる準同型。 がホモトピックな横断的代表元なら、ホモトピー (両端の近くで によらない)に第 1 段と同じ操作を、両端の近くを動かさずに行うと(定理 9.3[横断性])、 は と を境界とするコンパクトな 次元多様体です(定理 3.8[横断性])。よって は代表元によりません。 の和は、 の 2 つの半球の上に 2 つの写像を並べたもので、 の逆像は非交和なので、 は準同型です。
第 3 段:全射。 を閉 次元多様体とします。 なので は に埋め込めます(定理 8.3[横断性])。法束 ( の直交補空間 )、包含 、管状近傍 (定理 3.4[管状近傍・カラー・イソトピーの拡張])から を作ります。 の近傍で は、、ファイバーごとに同型な束写像 、 の合成で、束写像は零切断の法方向を の法方向( のファイバー)に同型に写すので、 は に横断的で 、 です。
第 4 段:横断的な写像はつぶす写像にホモトピック。 が の近傍で滑らかで に横断的であるとします。 で は から の法空間 への同型を誘導します。これを とし、 にノルム を入れます。管状近傍 を、補題 3.4 の証明と同じく、ファイバー方向の微分が に恒等写像を誘導するように取ります。主張は です。
を小さく取ると、 で は滑らかで に値を取り、 の逆像は零切断だけです。(、)と書くと、 は零切断で 、ファイバー方向の微分は なので、 について
と書けます( はファイバー方向の微分)。 で で、これは閉じた条件なので でも成り立ち、 は への滑らかな写像の族で、、 です。 となるのは 、すなわち のときだけです。滑らかな を で 、 の近くで に取り、()を、 の上で 、外で と定めます。これは から へのホモトピーで、途中で の逆像は のままです。 は の上で です。 の補集合はコンパクトで、 はそれを に写し、 は の上で正の値( を含む)を取る連続関数なので、最小値 があります。 とすると、 は、 となる点、すなわち (ノルムの定義から )の上でだけ と異なり、そこでは です。これは にほかなりません。 は恒等写像にホモトピックなので です。
第 5 段:単射。 を横断的な代表元とし、 がコンパクトな多様体 の境界であるとします。 なので、補題 5.5(、)により、 は に、 の近くで の形で埋め込めます。 はコンパクトなので の部分に入ります。 を の側へ積の形で少し延ばした境界のない部分多様体を とし、その法束を とすると、 は と同一視できます。 の部分で ( によらない)に一致し、ファイバーごとに単射な があります(補題 5.4。、)。 の管状近傍 を の中に取り、第 3 段と同じ式で
を作ります( は小さく取ります)。 は定値写像 です。 は、 が と横断的に で交わるので、 の近傍で滑らかで に横断的、 で、 が に誘導する写像は です。第 4 段を と の両方に同じ で使うと、どちらも ( は異なってよい)にホモトピックなので、 で、 です。
向きつきの場合。 、、 とします。 はコンパクトな多様体 の 2 重被覆としてコンパクトな多様体、 は の引き戻しとして滑らかなベクトル束で、各ファイバー (向き付けられた部分空間 そのもの)は向きをもちます。向き付けられた Euclid 空間 の部分多様体 と法束 について、 の向きと の向きを「 の正の基底、 の正の基底の持ち上げをこの順に並べたものが の正の基底」という規約で対応させます(持ち上げを取り替えても の元が足されるだけで、行列式は変わりません)。以下、第 1〜5 段を順に確かめます。
(o1) 写像 。 第 1 段は、 がコンパクトな多様体の上の滑らかなベクトル束であることしか使っていないので、 でもそのまま成り立ちます。 が の近傍で滑らかで に横断的なとき、 の誘導する同型 で の向きを引き戻して を向き付け、上の規約で を向き付けます。 と定めます。
(o2) 矛盾なく定まる準同型。 第 2 段のホモトピー について、 の法束は により向き付けられ、 の向き(、 の順)と上の規約で が向き付けられます。 の近くで 、 は によらないので、 の法束は の法束 と向きを込めて一致します。 の正の基底 と の正の基底 を取ると は の正の基底です。外向きベクトルは で、 が境界の向きについて正であることは が の正の基底であること、すなわち が正であることで、これは に 個の互換を施したものなので、符号は です。 では外向きが なので符号は です。よって で、必要なら の向きを逆にして 、すなわち です。和については、定義 2.1[ホモトピー群とファイブレーション] の和の定義に現れる座標変換 、 が向きを保つので、 の逆像は 2 つの逆像を向きを保つ微分同相で移したものの非交和で、向きも上の規約どおりに移ります。よって は準同型です。
(o3) 全射。 を向き付けられた閉 次元多様体とし、第 3 段のとおり埋め込みます。法束 (直交補空間)を規約で向き付け、 に向き付けられた部分空間 を対応させて、()、それ以外で とおきます。 で、 は の恒等写像なので向きを保ち、(o1) の定める の向きははじめの向きです。よって です。
(o4) つぶす写像へのホモトピー。 第 4 段の は、、 として への写像の族で、議論は変わりません。結論は、 が写像 (。それ以外は )にホモトピックであることです。この写像は 、、、 だけで決まります。
(o5) 単射。 、すなわち が向き付けられたコンパクトな の境界(境界の向きが (o1) の向き)であるとします。第 5 段のとおり を に埋め込みます。 の近くで なので です。 に、規約による向きの 倍を入れます。 の上では、外向きベクトルが なので、 の正の基底 について が の正の基底で、 の基底 が規約について正であることは が正であること、すなわち の での符号が であることです。したがって、 倍した向きは の上で の向きに一致します。補題 5.4 の を取り、 に、 の向きを で移した向き付きの部分空間 を対応させます。 では で、 は の向きを の向きに移すので です。、それ以外で とおくと、第 5 段と同じく は定値写像、 は に横断的で 、、 です。(o4) を と に同じ で使うと、どちらも同じ写像 ( は異なってよい)にホモトピックなので、 で です。
以上で は同型です。
最後の主張は、 である限り が包含 と両立する形で同じ群 に同型なので、合併でも同じであることによります(球面とその上のホモトピーの像はコンパクトなので、ある に入ります)。
条件 は 2 か所で使いました。第 3 段の埋め込み()と第 5 段の同境の埋め込み()です。どちらも「一般の位置では、次元の和が全体の次元より小さい 2 つのものは交わらない」という横断性の章の数え方です。 が で によらなくなることは、この同型の帰結でもあります。
6. 同境不変量:符号数と Pontryagin 数
Section titled “6. 同境不変量:符号数と Pontryagin 数”6.1. 境界付き多様体の双対と「半分が生き残る」補題
Section titled “6.1. 境界付き多様体の双対と「半分が生き残る」補題”を向き付けられたコンパクトな 次元の境界付き多様体、、 とします。カラー を取り、カラーの座標を 、 と書きます。 に対し 、 はどの でも互いにホモトピックなので、境界への制限
は によりません(定理 3.2[de Rham コホモロジー])。滑らかな を、 の近くで 、 で に取ります。
補題 6.1(Poincaré–Lefschetz 双対(de Rham 版))✓
- 、 は、どちらの変数についても非退化である。とくに、すべての閉形式 について となるコンパクト台の閉形式 は、コンパクト台の形式の外微分である。
- 上の閉 形式 に対し、 は 上のコンパクト台の閉 形式で、 上の任意の閉 形式 について
- ならば、 は の像に入る。
証明(補題 6.1)
1。 は境界のない向き付けられた多様体なので、定理 6.4[コホモロジーと双対性] により は同型です(外積の順序による符号は非退化性に影響しません)。単射性は第 2 変数についての非退化性です。第 1 変数について: なら、 で でない値を取る線形形式 があり( を含む基底を取る)、全射性から となる があって、 です。
2。 はカラーの上の形式で、 で なので 全体に で延びます。 の台は となる の範囲、すなわち (ある )に入るのでコンパクトです。 とし、 とおくと、これはコンパクトな境界付き多様体で、、外向きの方向は の減る向きで と同じなので、境界の向きは の向きに一致します。 なので で、Stokes の定理(定理 6.1[ストークスの定理])により
です( で 、)。
3。 ( はコンパクト台)とすると、 は 上の閉形式で、 の台の外にある小さい について です。よって です。
を有限次元実ベクトル空間 上の非退化な対称双線形形式とする。 を対角化する基底での正の対角成分の個数 と負の個数 は基底によらず( は が正定値になる部分空間の最大次元)、符号数を と定める。
- となる部分空間 で のものがあれば、。
- が について直交するなら、 は各 の上で非退化で、。
- 、 が非退化な対称形式なら、 上の について 。
証明(補題 6.2)
対角化する基底を 1 つ取り、正の成分に対応するベクトルの張る空間を (次元 )、負のものを (次元 )とします。非退化なので です。 の上で は正定値です。 が正定値な部分空間 は、 が負定値な と でしか交わらないので です。よって は正定値な部分空間の最大次元で、基底によりません。 も同様です。
1。 ( の上で 、 の でない元では )なので 、すなわち 。同様に 。 なので です。
2。 が のすべての元と直交すれば、 とも直交するので 全体と直交し、 です。各 の対角化する基底を合わせると の対角化する基底になります。
3。 、 を対角化する基底 、(対角成分 、)について、 は を対角成分 で対角化します。正の成分の個数は 、負の個数は で、差は です。
閉多様体の de Rham コホモロジーは有限次元です(ホモロジーが有限生成であること 補題 2.5 と、定理 3.4[コホモロジーと双対性]、定理 5.4[コホモロジーと双対性])。向き付けられた閉 次元多様体 の交叉形式 ()は非退化で、 が偶数なら対称、奇数なら交代です(命題 9.1[Thom 類と Poincaré 双対])。 のとき を符号数といい(定義 3.13[指数定理])、次元が の倍数でないときは と約束します。
証明(補題 6.3)
- 向き付けられた閉 次元多様体 が、向き付けられたコンパクトな多様体の境界ならば 。
- 、。したがって は準同型 を定める。
- 向き付けられた閉多様体 、 について 。したがって は環の準同型である。
証明(定理 6.4)
2。 向きを逆にすると積分の符号が変わるので 、正と負が入れ替わります。非交和ではコホモロジーは直和、 は直交直和なので 補題 6.2 の 2 です。 と が向きを込めて同境なら は境界で、 です。
3。 、、 とします( が の倍数でなければ、 の少なくとも一方も の倍数でなく、両辺は約束により です)。Künneth の公式(系 5.7[コホモロジーと双対性])により
で、、 について
です。 は のときだけ でないので、 は 以外のすべての と直交します。よって は、 についての と、( が偶数のとき) の直交直和です。 では の上で で、Poincaré 双対(系 6.5[コホモロジーと双対性] の 2)から ()なので、補題 6.2 の 2 と 1 により の符号数は です。残るのは で、その上で です。
がともに の倍数なら符号は で、補題 6.2 の 3 により です。 がともに で割って 余るなら、 は非退化な交代形式なので、、 となる部分空間 があります( となる対 を取り、その直交補空間に移る操作を繰り返して得られる基底 の の張る空間)。 は の半分の次元の部分空間で、その上で なので、符号数は です。 が奇数なら は無く、両辺は です。
証明(系 6.5)
は超平面の類 のべき で張られる 1 次元の空間で、 です(定理 8.4[Thom 類と Poincaré 双対])。よって で です。定理 6.4 の 2 により なので なら 、積については 3 です。
例 6.6(CP² # (−CP²) は境界)
6.2. 特性数
Section titled “6.2. 特性数”定義 6.7(Pontryagin 数と Stiefel–Whitney 数)↗
- を向き付けられた閉 次元多様体とし、 とする。Pontryagin 類(定義 3.11[指数定理])の積の積分 を の Pontryagin 数という。
- ベクトル束 の Stiefel–Whitney 類 は、自然性・Whitney 和の積公式・ 上の Möbius 束での正規化で特徴づけられる特性類である(存在と一意性は Milnor–Stasheff『Characteristic Classes』§4、§8。この記事では構成しない)。閉 次元多様体 と に対し、 を 係数の基本類で評価した値を Stiefel–Whitney 数という。 は に等しい。
向き付けられた閉 次元多様体 が、向き付けられたコンパクトな多様体 の境界ならば、 の Pontryagin 数はすべて である。したがって各 Pontryagin 数は準同型 を定める。
証明(命題 6.8)
を包含とします。 の上で外向きの法ベクトル場が の自明な直線部分束 を張り、 です。 にファイバー計量と、それと両立する接続 を取り、曲率を とします。 は 上の閉形式 で表されます。引き戻した束 の引き戻した接続の曲率は なので、 は を表します。一方 に、 の計量接続と の自明な接続の直和を入れると、曲率は で、 なので、この接続では と は同じ形式です。Pontryagin 類は接続によらないので(命題 3.12[指数定理] の 1)、 の中で です。よって Stokes の定理(定理 6.1[ストークスの定理])により
です。Pontryagin 類は向きによらず、積分は向きを逆にすると符号が変わるので、、また非交和で加法的です。同境な では が境界なので です。
- 閉多様体がコンパクトな多様体の境界であるための必要十分条件は、その Stiefel–Whitney 数がすべて であることである。
- は、 の形でない各正整数 ごとに次数 の生成元 を 1 つもつ 上の多項式環 に同型である。 が偶数のとき に取れる。
定理 6.9 は主張のみで、この記事では証明しません。Stiefel–Whitney 数が同境不変であること(1 の必要性)は 命題 6.8 と同じ論法で示せますが、十分性と 2 は、定理 5.6 で同境群を に直したうえで、 の 係数コホモロジーが Steenrod 代数の上の加群として(安定な範囲で)自由であることを示し、 が Eilenberg–MacLane 空間の積と同じ安定ホモトピー型をもつことを導く必要があります。Steenrod 作用素、Eilenberg–MacLane 空間のコホモロジーの計算、Grassmann 多様体のコホモロジー環の決定はどれも Rikai の現在の範囲の外で、合わせると教科書 1 冊分になります。出典は R. Thom, “Quelques propriétés globales des variétés différentiables”, Comment. Math. Helv. 28 (1954), 17–86、解説は R. E. Stong『Notes on Cobordism Theory』(Princeton University Press, 1968)第 VI 章です。定理 2.9 の 、 と 系 2.8 は、この定理の最も低い次数の部分を初等的に確かめたものです。
有向同境環については、 が で生成される多項式環であること(Thom)と、符号数が Pontryagin 数の決まった 1 次結合で書けること(Hirzebruch の符号数定理。定理 3.14[指数定理] で主張のみ)が知られています。定理 6.4 と 命題 6.8 は、符号数定理の両辺が 上の準同型であることを示していて、Hirzebruch の原証明は、これと生成元 の積の上での一致から定理を導きます。低い次数では (Rokhlin、1951 年。注意 8.2[ハンドル分解と手術] の Lickorish–Wallace の定理からも従う)、(同型は符号数)です。これらはこの記事では証明しません。
演習 7.1標準
がコンパクトな 4 次元多様体の境界であることを、具体的な多様体を挙げて示せ。
解答
の接束の単位円板束 はコンパクトな 4 次元の境界付き多様体で、境界は単位接束 です。、 は全単射で滑らか、逆写像 (3 つの列ベクトルを並べた行列)も滑らかなので微分同相です。 は、 の随伴表現による 2 重被覆 (核は )から に微分同相です(Lie 群)。よって です。 は向き付け可能なので、向きを込めても境界です。
( は超平面の類)を認めて、 と の Pontryagin 数 、 を求め、両者が(符号数はともに であるが)向きを込めて同境でないことを示せ。
解答
命題 3.12[指数定理] の 4 により で、複素ベクトル束 では 、 は の奇数次の部分の符号を変えたものなので、
です。:()なので 、、 から 、 です。:接束は 2 つの因子の接束の引き戻しの直和で、直和の接続を取れば全 Pontryagin 類は積になるので、()です。、、 から 、 です。Pontryagin 数が異なるので、命題 6.8 により両者は同境ではありません。なお符号数定理の に代入すると 、 で、系 6.5 と整合します。
演習 7.3標準
、 とする。 に対し 、 の Pontryagin 多様体を求め、 と の対応を説明せよ。
解答
のとき はどこでも でないので、すべての値が正則値です。 は、 として方向 の閉測地線 本の平行な集まりで、法枠(1 本のベクトル場)は の増える向き、すなわち の向きの法ベクトルです。 のときは定値写像で、 以外の値を正則値に取れば逆像は空です。 は なので で、 が各類の代表です。定理 3.7 により、 の中の、法方向の向きの付いた閉曲線の集まりは、枠付き同境で のどれかちょうど 1 つに移ります。対応する整数の組 は、曲線の集まりと 軸方向・ 軸方向の閉曲線との、法方向の向きで数えた交点数です。たとえば可縮な閉曲線は円板の境界として枠付きで消せて に対応し、互いに逆向きの法方向をもつ平行な 2 本は、間の円環で枠付きに消せます。
- J. Milnor, Topology from the Differentiable Viewpoint, University Press of Virginia, 1965 — §7(枠付き同境と Pontryagin 構成)。
- J. Milnor, J. Stasheff, Characteristic Classes, Annals of Mathematics Studies 76, Princeton University Press, 1974 — §4(Stiefel–Whitney 類と同境)、§17–§19(有向同境環、Thom 空間と横断性、符号数定理)。
- R. Thom, “Quelques propriétés globales des variétés différentiables”, Commentarii Mathematici Helvetici 28 (1954), 17–86。
- R. E. Stong, Notes on Cobordism Theory, Princeton University Press, 1968。
- R. Bott, L. W. Tu, Differential Forms in Algebraic Topology, Graduate Texts in Mathematics 82, Springer, 1982 — §17(Hopf 不変量の積分表示)。
- M. W. Hirsch, Differential Topology, Graduate Texts in Mathematics 33, Springer, 1976 — 第 7 章(同境)。
執筆: Claude Code(Opus 5.5)、Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 3 回(Claude Code)・最終 2026-10-12
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