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Hurewicz の定理と Freudenthal の懸垂定理:π_n(S^n) = ℤ・Hopf の写像度定理・π₃(SU(N)) = ℤ

対象読者: 本テーマ第 2 章の特異ホモロジーと第 5 章のホモトピー群・ファイブレーションの長完全列を学んだ人。Hurewicz 準同型や懸垂は仮定しません。

前提となる記事:ホモトピー群とファイブレーション:長完全列・Hopf ファイブレーションから π₃(SU(2)) = ℤ へ、特異ホモロジー:連続写像の単体で穴を数え、ホモトピー不変性・切除・Mayer–Vietoris を証明する

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球面から空間への写像を連続的に変形してできる「穴の数え方」(ホモトピー群)は計算が難しく、図形を単体に切って数える「穴の数え方」(ホモロジー)は計算しやすい、という違いがあります。この記事では、この 2 つの数え方が一番低い次元では完全に一致することを示します。そこから、球面 SnS^n から自分自身への写像が、回る回数を表す整数だけで分類されること、そして物理のゲージ理論で現れるインスタントン数が整数であることの位相的な裏づけが得られます。

  • 基点付き写像 f:Sn→Xf:S^n\to X に f∗f_* で基本類の像を対応させる Hurewicz 準同型 h:πn(X)→Hn(X)h:\pi_n(X)\to H_n(X) を定義し、準同型であることを示します(補題 2.4)。
  • Hurewicz の定理: n≥2n\ge2 で XX が (n−1)(n-1)-連結なら H~k(X)=0\tilde H_k(X)=0(k<nk<n)で、hh は同型です(定理 5.4)。証明は、特異鎖を「(n−1)(n-1) 骨格を基点に送る単体」だけの部分複体に変形し(Eilenberg、補題 4.1)、そのような単体の境界の関係式がホモトピー群でも成り立つこと(補題 5.3)を、立方体の中で写像の台を動かす初等的な議論で示します。
  • 帰結として πn(Sn)≅Z\pi_n(S^n)\cong\mathbb{Z}(写像度が同型、系 6.1)と Hopf の写像度定理(系 6.2)が出ます。
  • 球面の懸垂(SnS^n への写像を、1 次元高い球面 Sn+1S^{n+1} への写像に持ち上げる操作)Σ:πk(Sn)→πk+1(Sn+1)\Sigma:\pi_k(S^n)\to\pi_{k+1}(S^{n+1}) は k≤nk\le n で同型です(定理 6.3。Freudenthal の懸垂定理の最初の範囲)。安定域 k≤2n−2k\le2n-2 全体での主張は述べるにとどめます。
  • 以上から π3(SU(2))=π3(S3)≅Z\pi_3(SU(2))=\pi_3(S^3)\cong\mathbb{Z}、π3(S2)≅Z\pi_3(S^2)\cong\mathbb{Z} が条件なしに成り立ち、ファイバー束 SU(N−1)→SU(N)→S2N−1SU(N-1)\to SU(N)\to S^{2N-1} により π3(SU(N))≅Z\pi_3(SU(N))\cong\mathbb{Z}(N≥2N\ge2)が従います(定理 6.8)。ゲージ理論のインスタントン数が整数で、しかも任意の整数を取りうることの位相的な根拠です。

ホモトピー群とファイブレーションでは、写像度が全射準同型 deg⁡:πn(Sn)→Z\deg:\pi_n(S^n)\to\mathbb{Z} を与えることを示しました。しかし単射性、つまり「写像度が 00 の写像 S3→S3S^3\to S^3 は定値写像にホモトピックか」は Freudenthal の懸垂定理に頼り、π3(SU(2))≅Z\pi_3(SU(2))\cong\mathbb{Z} は条件つきの結論になっていました。物理で言えば、インスタントン数が整数であること(積分公式)は示せても、同じインスタントン数をもつ配位が互いに連続変形でつながることが未証明だったわけです。

ホモロジーは計算しやすく、ホモトピー群は計算しにくい不変量です。両者の最初の橋渡しが Hurewicz の定理で、「最初に消えないところでは両者は一致する」と主張します。SnS^n は (n−1)(n-1)-連結なので πn(Sn)≅Hn(Sn)≅Z\pi_n(S^n)\cong H_n(S^n)\cong\mathbb{Z} がただちに従い、上の単射性の問題が解決します。

証明の要点は 2 つです。第 1 に、(n−1)(n-1)-連結な空間では、特異単体を連続的に変形して (n−1)(n-1) 骨格を基点に送るものにできます(低次元の部分を、消えているホモトピー群を使って 1 次元ずつ縮める)。すると nn 単体は境界が基点に行く写像、つまり πn\pi_n の元とみなせます。第 2 に、(n+1)(n+1) 単体の境界の関係 ∑(−1)i∂iτ\sum(-1)^i\partial_i\tau が πn\pi_n の中でも 00 になることを確かめます。後者は、πn\pi_n の和が「立方体を左右に分けて並べる」操作であることを使い、台を移動・回転させる幾何学的な議論で示します。

以下 In=[0,1]nI^n=[0,1]^n、c0=(12,…,12)c_0=(\tfrac12,\dots,\tfrac12) をその中心とし、Sn=In/∂InS^n=I^n/\partial I^n、p:In→Snp:I^n\to S^n を商写像とします(定義 2.1[ホモトピー群とファイブレーション] と同じ球面のモデル)。πn(X)=πn(X,x0)\pi_n(X)=\pi_n(X,x_0) の元は f:(In,∂In)→(X,x0)f:(I^n,\partial I^n)\to(X,x_0) の類で、ff が誘導する基点付き写像を fˉ:Sn→X\bar f:S^n\to X と書きます。

定義 2.1(n-連結)↗

n≥0n\ge0 について、空間 XX が nn-連結であるとは、XX が道連結で、ある(したがってすべての)基点 x0x_0 について 1≤k≤n1\le k\le n で πk(X,x0)=0\pi_k(X,x_0)=0 となることをいう。

Δn⊂Rn+1\Delta^n\subset\mathbb{R}^{n+1} を標準単体、H⊂Rn+1H\subset\mathbb{R}^{n+1} をそのアフィン包とします。中心 c0c_0 を内部に含む nn 単体 A0⊂int⁡InA_0\subset\operatorname{int}I^n と、A0A_0 を Δn\Delta^n に写すアフィン全単射 λ:Rn→H\lambda:\mathbb{R}^n\to H を 1 組固定します。HH のアフィン全単射 MM に対し、λ−1Mλ\lambda^{-1}M\lambda の線形部分の行列式の符号を sgn⁡M∈{±1}\operatorname{sgn}M\in\{\pm1\} と書きます(向きを保つか反転するか)。

次の補題のねらいは、Hn(Sn)H_n(S^n) の生成元(基本類)を、1 個の単体 A0A_0 だけで表せる形で具体的に取っておくことです。あとで「単体を InI^n に埋め込んだ写像」と「ホモロジー類」を行き来するために、この記号の準備が要ります。

補題 2.2(基本類の選び方)✓

n≥2n\ge2 とし、D=p(In∖int⁡A0)⊂SnD=p(I^n\setminus\operatorname{int}A_0)\subset S^n とおく。DD は可縮で、j:Hn(Sn)→Hn(Sn,D)j:H_n(S^n)\to H_n(S^n,D) は同型である。特異単体 p∘λ−1∣Δnp\circ\lambda^{-1}|_{\Delta^n} は (Sn,D)(S^n,D) の相対サイクルなので、j(ω)=[p∘λ−1]j(\omega)=[p\circ\lambda^{-1}] となる ω∈Hn(Sn)\omega\in H_n(S^n) がただ 1 つ定まる。

証明(補題 2.2)

x∈In∖{c0}x\in I^n\setminus\{c_0\} について、c0c_0 から xx への半直線が ∂In\partial I^n と交わる点を r(x)r(x) とします(r(x)=c0+x−c02∥x−c0∥∞r(x)=c_0+\frac{x-c_0}{2\|x-c_0\|_\infty}、連続)。c0∈int⁡A0c_0\in\operatorname{int}A_0 で A0A_0 は凸なので、この半直線と int⁡A0\operatorname{int}A_0 の共通部分は c0c_0 から出る半開線分で、x∉int⁡A0x\notin\operatorname{int}A_0 なら xx より先の点も int⁡A0\operatorname{int}A_0 に入りません。よって Rs(x)=(1−s)x+s r(x)R_s(x)=(1-s)x+s\,r(x) は In∖int⁡A0I^n\setminus\operatorname{int}A_0 の中のホモトピーで、∂In\partial I^n を各点で固定し、R1R_1 の像は ∂In\partial I^n です。コンパクト空間から Hausdorff 空間への閉な全射は商写像なので、RR は D×I→DD\times I\to D に降り、DD を一点 p(∂In)p(\partial I^n) に変位レトラクトします。よって H~∗(D)=0\tilde H_*(D)=0(系 4.2[特異ホモロジー])。対 (Sn,D)(S^n,D) の長完全列(定理 3.1[特異ホモロジー] を 0→C∗(D)→C∗(Sn)→C∗(Sn,D)→00\to C_*(D)\to C_*(S^n)\to C_*(S^n,D)\to0 に適用)で Hn(D)=Hn−1(D)=0H_n(D)=H_{n-1}(D)=0(n−1≥1n-1\ge1)なので jj は同型です。pλ−1p\lambda^{-1} の境界は p(∂A0)⊂Dp(\partial A_0)\subset D に入るので相対サイクルです。

定義 2.3(Hurewicz 準同型)↗

n≥2n\ge2 について h=hX:πn(X,x0)→Hn(X)h=h_X:\pi_n(X,x_0)\to H_n(X) を h[f]=fˉ∗(ω)h[f]=\bar f_*(\omega) で定める。

ff と f′f' が基点付きホモトピック(F:In×I→XF:I^n\times I\to X、∂In×I\partial I^n\times I を x0x_0 へ)なら、In×I→Sn×II^n\times I\to S^n\times I は閉な全射なので FF は fˉ\bar f と fˉ′\bar f' のホモトピーに降り、定理 4.1[特異ホモロジー] から fˉ∗=fˉ∗′\bar f_*=\bar f'_* です。よって hh は well-defined で、基点付き写像 φ:X→Y\varphi:X\to Y について hYφ∗=φ∗hXh_Y\varphi_*=\varphi_*h_X(自然性)が定義から成り立ちます。

補題 2.4(h は準同型)✓

n≥2n\ge2 で h(a+b)=h(a)+h(b)h(a+b)=h(a)+h(b)。

証明(補題 2.4)

命題 5.1[ホモトピー群とファイブレーション] の証明の記号 W=Sn∨SnW=S^n\vee S^n、c:Sn→Wc:S^n\to W、j1,j2j_1,j_2、q1,q2q_1,q_2 を使います。そこでは (q1∗,q2∗):Hn(W)→Hn(Sn)2(q_{1*},q_{2*}):H_n(W)\to H_n(S^n)^2 が同型で、qic≃idq_ic\simeq\mathrm{id} であることから c∗[Sn]=j1∗[Sn]+j2∗[Sn]c_*[S^n]=j_{1*}[S^n]+j_{2*}[S^n] を導きました。この議論は [Sn][S^n] を任意の x∈Hn(Sn)x\in H_n(S^n) に替えてもそのまま通るので、c∗ω=j1∗ω+j2∗ωc_*\omega=j_{1*}\omega+j_{2*}\omega。f+g‾=(fˉ∨gˉ)∘c\overline{f+g}=(\bar f\vee\bar g)\circ c と (fˉ∨gˉ)j1=fˉ(\bar f\vee\bar g)j_1=\bar f、(fˉ∨gˉ)j2=gˉ(\bar f\vee\bar g)j_2=\bar g から

h[f+g]=(fˉ∨gˉ)∗c∗ω=fˉ∗ω+gˉ∗ω=h[f]+h[g].h[f+g]=(\bar f\vee\bar g)_*c_*\omega=\bar f_*\omega+\bar g_*\omega=h[f]+h[g].

この節では n≥1n\ge1、g:(In,∂In)→(X,x0)g:(I^n,\partial I^n)\to(X,x_0) とし、gg を InI^n の外で x0x_0 として延ばした連続写像を g~:Rn→X\tilde g:\mathbb{R}^n\to X と書きます。コンパクト集合 K⊂int⁡InK\subset\operatorname{int}I^n について「gg の台が KK に入る」とは In∖KI^n\setminus K で g=x0g=x_0 となることとします。つまり台とは、gg が基点以外の値をとりうる範囲のことです。

この節のねらいは、πn\pi_n の元を表す写像について、台を立方体の中で縮めたり回したり平行移動したりしても類が変わらない(向きを反転したときだけ符号が変わる)ことを示すことです。最後の台の加法性は、台が互いに重ならない写像の類は各部分の類の和になる、という主張で、次節以降で単体の境界を πn\pi_n の中で計算するのに使います。

補題 3.1(GL⁺ の弧状連結性)✓

行列式が正の実 n×nn\times n 行列の全体 GLn+(R)GL_n^+(\mathbb{R}) は弧状連結である。また n≥2n\ge2 なら、任意の単位ベクトル uu について Qu=e1Qu=e_1 となる Q∈SO(n)Q\in SO(n) がある。

証明(補題 3.1)

単位ベクトル v≠wv\ne w について、span⁡(v,w)\operatorname{span}(v,w) の中で ww に直交する単位ベクトル u′u' を取り(v=−wv=-w なら ww に直交する任意の単位ベクトル)、平面 span⁡(w,u′)\operatorname{span}(w,u') を角 θ\theta だけ回し直交補空間を固定する回転を Rθ∈SO(n)R_\theta\in SO(n) とすると、Rθ0v=wR_{\theta_0}v=w となる θ0\theta_0 があります。これで後半が示せます(w=e1w=e_1)。SO(n)SO(n) の弧状連結性を nn についての帰納法で示します。n=1n=1 では SO(1)={1}SO(1)=\{1\}。Q∈SO(n)Q\in SO(n) について w=enw=e_n, v=Qenv=Qe_n として s↦Rsθ0Qs\mapsto R_{s\theta_0}Q をたどると Q′=Rθ0QQ'=R_{\theta_0}Q に至り、Q′en=enQ'e_n=e_n なので Q′Q' は en⊥e_n^\perp を保ち、そこへの制限は SO(n−1)SO(n-1) の元です。帰納法の仮定でこれを単位行列につなげます。最後に A∈GLn+(R)A\in GL_n^+(\mathbb{R}) を列ベクトルの Gram–Schmidt 直交化で A=QRA=QR(QQ は直交行列、RR は対角成分が正の上三角行列)と書くと det⁡Q=det⁡A/det⁡R>0\det Q=\det A/\det R>0 で Q∈SO(n)Q\in SO(n)。Rs=(1−s)R+sIR_s=(1-s)R+sI は対角成分が正の上三角行列なので GLn+GL_n^+ の中の道で、s↦QRss\mapsto QR_s が AA と QQ を結びます。

補題 3.2(移動補題)✓

gg の台がコンパクト集合 K⊂int⁡InK\subset\operatorname{int}I^n に入り、TT を Rn\mathbb{R}^n のアフィン全単射で T(K)⊂int⁡InT(K)\subset\operatorname{int}I^n を満たすものとし、gT=g~∘T−1∣Ing^T=\tilde g\circ T^{-1}|_{I^n} とおく。TT の線形部分の行列式が正なら [gT]=[g][g^T]=[g]、負なら [gT]=−[g][g^T]=-[g]。

証明(補題 3.2)

行列式が正の場合に、T0=idT_0=\mathrm{id}, T1=TT_1=T で、各 ss で Ts(K)⊂int⁡InT_s(K)\subset\operatorname{int}I^n を満たすアフィン全単射の連続な族を作ります。(i) Ts(x)=c0+(1−s+sμ)(x−c0)T_s(x)=c_0+(1-s+s\mu)(x-c_0)(μ∈(0,1]\mu\in(0,1])。Ts(x)T_s(x) は c0c_0 と xx の凸結合なので int⁡In\operatorname{int}I^n に入ります。(ii) TT の線形部分 BB と単位行列を結ぶ GLn+GL_n^+ の道 BsB_s(補題 3.1)を取り、x↦c0+μBs(x−c0)x\mapsto c_0+\mu B_s(x-c_0)。μ\mu を十分小さく取れば(max⁡s∥Bs∥\max_s\|B_s\| と KK の有界性から)像は int⁡In\operatorname{int}I^n に入ります。(iii) x↦(1−s)(c0+μB(x−c0))+sT(x)x\mapsto(1-s)(c_0+\mu B(x-c_0))+sT(x)。線形部分は ((1−s)μ+s)B((1-s)\mu+s)B で行列式は正、x∈Kx\in K の像は int⁡In\operatorname{int}I^n の 2 点の凸結合です。この族について G(s,y)=g~(Ts−1y)G(s,y)=\tilde g(T_s^{-1}y) は (s,y)(s,y) について連続で、y∈∂Iny\in\partial I^n なら Ts−1y∉KT_s^{-1}y\notin K(Ts(K)⊂int⁡InT_s(K)\subset\operatorname{int}I^n)なので G(s,y)=x0G(s,y)=x_0。よって GG は gg と gTg^T の基点付きホモトピーです。

行列式が負なら、R(s1,s2,… )=(1−s1,s2,… )R(s_1,s_2,\dots)=(1-s_1,s_2,\dots) とおき T′=R∘TT'=R\circ T とします。T′T' の行列式は正で T′(K)=R(T(K))⊂int⁡InT'(K)=R(T(K))\subset\operatorname{int}I^n。gT=g~∘T′−1∘R=gT′∘Rg^T=\tilde g\circ T'^{-1}\circ R=g^{T'}\circ R で、命題 2.4[ホモトピー群とファイブレーション] の (1) から [gT′∘R]=−[gT′]=−[g][g^{T'}\circ R]=-[g^{T'}]=-[g]。

補題 3.3(壁で分かれた台)✓

gg の台がコンパクト集合 K1∪K2K_1\cup K_2 に入り、K1⊂{0<s1<12}K_1\subset\{0<s_1<\tfrac12\}、K2⊂{12<s1<1}K_2\subset\{\tfrac12<s_1<1\}、ともに int⁡In\operatorname{int}I^n に含まれるとする。gig_i を KiK_i の上で gg、他で x0x_0 とする写像とすると [g]=[g1]+[g2][g]=[g_1]+[g_2]。

証明(補題 3.3)

gg は超平面 s1=12s_1=\tfrac12 の上で x0x_0 なので、g1g_1(s1≤12s_1\le\tfrac12 で gg、s1≥12s_1\ge\tfrac12 で x0x_0)は連続です。和の定義(定義 2.1[ホモトピー群とファイブレーション])から g=g1′+g2′g=g_1'+g_2'、ただし g1′(s)=g(s1/2,s′)g_1'(s)=g(s_1/2,s'), g2′(s)=g((1+s1)/2,s′)g_2'(s)=g((1+s_1)/2,s')(s′=(s2,…,sn)s'=(s_2,\dots,s_n))。A1(s)=(2s1,s′)A_1(s)=(2s_1,s') は行列式が正で A1(K1)⊂int⁡InA_1(K_1)\subset\operatorname{int}I^n、g1′=g1A1g_1'=g_1^{A_1} なので 補題 3.2 から [g1′]=[g1][g_1']=[g_1]。A2(s)=(2s1−1,s′)A_2(s)=(2s_1-1,s') について同様に [g2′]=[g2][g_2']=[g_2]。

補題 3.4(台の加法性)✓

n≥2n\ge2 とし、K1,…,Km⊂int⁡InK_1,\dots,K_m\subset\operatorname{int}I^n を、内部が空でなく、内部どうしが互いに交わらないコンパクト凸集合(境界は共有してよい)、gg を In∖⋃jint⁡KjI^n\setminus\bigcup_j\operatorname{int}K_j で x0x_0 となる写像とする。gjg_j を KjK_j の上で gg、他で x0x_0 とする写像とすると、gjg_j は連続で [g]=∑j[gj][g]=\sum_j[g_j]。

証明(補題 3.4)

∂Kj\partial K_j の点は int⁡Kj\operatorname{int}K_j の閉包に入るので、別の int⁡Kl\operatorname{int}K_l(開集合)には入りません。よって ∂Kj\partial K_j の上で g=x0g=x_0 で、gjg_j は連続です。mm についての帰納法で示します。m=1m=1 では g=g1g=g_1。m≥2m\ge2 とします。

縮める. bj∈int⁡Kjb_j\in\operatorname{int}K_j を取り(以下の uu と cc は bjb_j だけで決まるので、ν0∈(0,1)\nu_0\in(0,1) はそれらを決めた後で小さく取る)、Sj,ν(x)=bj+ν(x−bj)S_{j,\nu}(x)=b_j+\nu(x-b_j) とします。ν∈(0,1]\nu\in(0,1] について Sj,ν(Kj)⊂KjS_{j,\nu}(K_j)\subset K_j で、ν<1\nu<1 なら ⊂int⁡Kj\subset\operatorname{int}K_j です。g~j\tilde g_j を gjg_j の Rn\mathbb{R}^n への延長として、x∈Kjx\in K_j で G(s,x)=g~j(Sj,ν(s)−1x)G(s,x)=\tilde g_j(S_{j,\nu(s)}^{-1}x)、In∖⋃int⁡KjI^n\setminus\bigcup\operatorname{int}K_j で G=x0G=x_0(ν(s)=1−s(1−ν0)\nu(s)=1-s(1-\nu_0))と置きます。x∈∂Kjx\in\partial K_j では S−1x∉int⁡KjS^{-1}x\notin\operatorname{int}K_j なので両方の定義が x0x_0 で一致し、有限個の閉集合上の連続写像の貼り合わせ(補題 7.2[連結性])として GG は連続です。よって [g]=[g′][g]=[g']、g′g' の台は互いに交わらないコンパクト集合 Kj′=Sj,ν0(Kj)K_j'=S_{j,\nu_0}(K_j) の合併に入ります。また gj′=gjSj,ν0g_j'=g_j^{S_{j,\nu_0}} なので 補題 3.2 から [gj′]=[gj][g_j']=[g_j]。

分ける. ⟨u,bj⟩\langle u,b_j\rangle がすべて異なる単位ベクトル uu を取り(禁止される uu は有限個の超平面上)、⟨u,b1⟩\langle u,b_1\rangle が最小になるよう番号を付け替え、cc をそれと 2 番目の値の中点とします。ν0\nu_0 を十分小さく取れば K1′⊂{⟨u,x⟩<c}K_1'\subset\{\langle u,x\rangle<c\}、Kj′⊂{⟨u,x⟩>c}K_j'\subset\{\langle u,x\rangle>c\}(j≥2j\ge2)です。

回す. 補題 3.1 の Q∈SO(n)Q\in SO(n)(Qu=e1Qu=e_1)と ⟨u,q⟩=c\langle u,q\rangle=c を満たす点 qq を取り、T(x)=c0+μQ(x−q)T(x)=c_0+\mu Q(x-q)(μ>0\mu>0 を小さくして T(In)⊂int⁡InT(I^n)\subset\operatorname{int}I^n)とします。⟨e1,Q(x−q)⟩=⟨u,x−q⟩\langle e_1,Q(x-q)\rangle=\langle u,x-q\rangle なので、TT は {⟨u,x⟩<c}\{\langle u,x\rangle<c\} を {s1<12}\{s_1<\tfrac12\} に写します。補題 3.2 と 補題 3.3 から

[g′]=[g′T]=[g1′T]+[(g≥2′)T]=[g1′]+[g≥2′],[g']=[g'^T]=[g_1'^T]+[(g'_{\ge2})^T]=[g_1']+[g'_{\ge2}],

ここで g≥2′g'_{\ge2} は ⋃j≥2Kj′\bigcup_{j\ge2}K_j' の上で g′g'、他で x0x_0 の写像です。g≥2′g'_{\ge2} に帰納法の仮定(m−1m-1 個の Kj′K_j')を使えば [g≥2′]=∑j≥2[gj′][g'_{\ge2}]=\sum_{j\ge2}[g_j']。以上を合わせて [g]=∑j[gj][g]=\sum_j[g_j]。

この節の目標は、特異鎖の中から「(n−1)(n-1) 骨格が基点に行く単体」だけを集めた小さな鎖複体を取り出し、ホモロジーを変えずに済むことを示すことです。そうすると nn 単体が πn\pi_n の元とみなせて、ホモロジーとホモトピー群を直接比べられます。証明は、低い次元の単体から順に、消えているホモトピー群を使って基点へ縮めていく帰納法です。

XX を (n−1)(n-1)-連結、x0∈Xx_0\in X とします。特異単体 σ:Δk→X\sigma:\Delta^k\to X が Δk\Delta^k の (n−1)(n-1) 骨格(次元 n−1n-1 以下の面の合併)を x0x_0 に写すとき、σ\sigma を良い単体と呼びます。良い単体の面はまた良い単体なので、良い単体が張る C^∗(X)⊂C∗(X)\hat C_*(X)\subset C_*(X) は部分複体で、点 {x0}\{x_0\} の特異鎖 C∗({x0})C_*(\{x_0\})(定値単体)を含みます。E∗=C^∗(X)/C∗({x0})E_*=\hat C_*(X)/C_*(\{x_0\}) とおきます。k≤n−1k\le n-1 の良い kk 単体は Δk\Delta^k 全体を x0x_0 に写すので Ek=0E_k=0(k<nk<n)であり、En−1=0E_{n-1}=0 からすべての nn 鎖はサイクルです。

補題 4.1(Eilenberg の部分複体)✓

n≥1n\ge1、XX を (n−1)(n-1)-連結とする。包含 C^∗(X)→C∗(X)\hat C_*(X)\to C_*(X) は同型 H∗(E)≅H∗(X,x0)H_*(E)\cong H_*(X,x_0) を誘導する。

証明(補題 4.1)

各特異単体 σ:Δk→X\sigma:\Delta^k\to X に連続写像 P(σ):Δk×I→XP(\sigma):\Delta^k\times I\to X を、kk についての帰納法で次を満たすように選びます。(a) P(σ)(y,0)=σ(y)P(\sigma)(y,0)=\sigma(y)。(b) P(σ)(⋅,1)P(\sigma)(\cdot,1) は良い単体。(c) 面の包含 di:Δk−1→Δkd_i:\Delta^{k-1}\to\Delta^k について P(σ∘di)=P(σ)∘(di×id)P(\sigma\circ d_i)=P(\sigma)\circ(d_i\times\mathrm{id})。(d) σ\sigma が良い単体なら P(σ)(y,t)=σ(y)P(\sigma)(y,t)=\sigma(y)。

σ\sigma が良い単体なら (d) で定めます(面も良い単体なので (c) と矛盾しない)。そうでないとき、(a) と (c) は Δk×{0}∪∂Δk×I\Delta^k\times\{0\}\cup\partial\Delta^k\times I 上の写像を指定します。σ∘di∘dj=σ∘dj′∘di′\sigma\circ d_i\circ d_j=\sigma\circ d_{j'}\circ d_{i'} の形の単体の恒等式と帰納法の仮定 (c) から、2 つの面の共通部分での指定は一致し、貼り合わせ補題で連続です。

k≤n−1k\le n-1 のとき. 面の P(⋅)(⋅,1)P(\cdot)(\cdot,1) は次元 ≤n−2\le n-2 の良い単体なので全体が x0x_0 です。そこで上面 Δk×{1}\Delta^k\times\{1\} でも x0x_0 と指定すると、∂(Δk×I)\partial(\Delta^k\times I) 上の連続写像が得られます。k=0k=0 ではこれは 2 点 σ(Δ0)\sigma(\Delta^0) と x0x_0 の指定で、道連結性から Δ0×I\Delta^0\times I 上の道に延びます。k≥1k\ge1 では (Δk×I,∂)(\Delta^k\times I,\partial) は (Dk+1,Sk)(D^{k+1},S^k) と同相(コンパクト凸集合の放射状の同相)で、上面の点を基点とすれば πk(X,x0)=0\pi_k(X,x_0)=0 と 補題 2.5[ホモトピー群とファイブレーション] から Δk×I\Delta^k\times I 全体に延びます。上面が x0x_0 なので (b) が成り立ちます。

k≥nk\ge n のとき. 点 (b,2)(b,2)(bb は Δk\Delta^k の重心)からの放射射影で、レトラクション r:Δk×I→Δk×{0}∪∂Δk×Ir:\Delta^k\times I\to\Delta^k\times\{0\}\cup\partial\Delta^k\times I が得られます。指定された写像に rr を合成したものを P(σ)P(\sigma) とします。k≥nk\ge n なので Δk\Delta^k の (n−1)(n-1) 骨格は ∂Δk\partial\Delta^k に含まれ、そこでの P(σ)(⋅,1)P(\sigma)(\cdot,1) は面の P(⋅)(⋅,1)P(\cdot)(\cdot,1)(良い単体)なので (b) が成り立ちます。

τ(σ)=P(σ)(⋅,1)\tau(\sigma)=P(\sigma)(\cdot,1) は (c) から鎖写像 C∗(X)→C^∗(X)C_*(X)\to\hat C_*(X) で、(d) から C^∗\hat C_* 上で恒等写像です。Δk×I\Delta^k\times I の柱体分割 [v0,…,vi,wi,…,wk][v_0,\dots,v_i,w_i,\dots,w_k] を使って Dσ=∑i(−1)iP(σ)∣[v0,…,vi,wi,…,wk]D\sigma=\sum_i(-1)^iP(\sigma)|_{[v_0,\dots,v_i,w_i,\dots,w_k]} と置くと、定理 4.1[特異ホモロジー] の証明の計算(使うのは「面の柱体は柱体の面」すなわち (c) だけ)がそのまま通り、∂D+D∂=ιτ−id\partial D+D\partial=\iota\tau-\mathrm{id}(ι\iota は包含)。定値単体には (d) が使われるので、τ\tau, DD は C∗({x0})C_*(\{x_0\}) を保ちます。よって商複体の上でも τι=id\tau\iota=\mathrm{id}、ιτ≃id\iota\tau\simeq\mathrm{id} で、ι\iota はホモロジーの同型を誘導します。

良い nn 単体 σ\sigma は境界 ∂Δn\partial\Delta^n(=(n−1)=(n-1) 骨格)を x0x_0 に写すので、ホモトピー群の元を定めます。

定義 5.1(良い単体のホモトピー類)↗

良い nn 単体 σ\sigma に対し、A0A_0 の上で σ∘λ\sigma\circ\lambda、In∖A0I^n\setminus A_0 で x0x_0 とする写像を σλ\sigma_\lambda と書き、Φ(σ)=[σλ]∈πn(X,x0)\Phi(\sigma)=[\sigma_\lambda]\in\pi_n(X,x_0) と定める。Φ\Phi を線形に C^n(X)→πn(X,x0)\hat C_n(X)\to\pi_n(X,x_0) に延ばす。定値単体では Φ=0\Phi=0 なので、Φ\Phi は En→πn(X,x0)E_n\to\pi_n(X,x_0) を定める。

補題 5.2(向きの取り替え)✓

σ\sigma を良い nn 単体、μ:Rn→H\mu:\mathbb{R}^n\to H をアフィン全単射で A=μ−1(Δn)⊂int⁡InA=\mu^{-1}(\Delta^n)\subset\operatorname{int}I^n を満たすものとする。AA の上で σ∘μ\sigma\circ\mu、他で x0x_0 とする写像の類は ε Φ(σ)\varepsilon\,\Phi(\sigma) に等しい。ここで ε\varepsilon は λ−1μ\lambda^{-1}\mu の線形部分の行列式の符号である。

証明(補題 5.2)

T=μ−1λT=\mu^{-1}\lambda とすると T(A0)=AT(A_0)=A で、(σλ)T=σλ~∘λ−1μ(\sigma_\lambda)^T=\widetilde{\sigma_\lambda}\circ\lambda^{-1}\mu は AA の上で σ∘μ\sigma\circ\mu、他で x0x_0 です。補題 3.2 を K=A0K=A_0 に使えばよく、TT と λ−1μ=T−1\lambda^{-1}\mu=T^{-1} の行列式の符号は等しい。

次の補題が証明の核心で、「(n+1)(n+1) 単体の境界は πn\pi_n の中でも 00」を主張します。

補題 5.3(境界関係式)✓

n≥2n\ge2 とし、τ:Δn+1→X\tau:\Delta^{n+1}\to X を良い単体((n−1)(n-1) 骨格を x0x_0 に写す)とする。このとき

Φ(∂τ)=∑k=0n+1(−1)k Φ(τ∘dk)=0.\Phi(\partial\tau)=\sum_{k=0}^{n+1}(-1)^k\,\Phi(\tau\circ d_k)=0 .
証明(補題 5.3)

Δn+1\Delta^{n+1} の頂点を v0,…,vn+1v_0,\dots,v_{n+1}、vkv_k の対面を FkF_k とし、dk:Δn→Fkd_k:\Delta^n\to F_k は頂点の順序を保つアフィン写像です。F0F_0 の重心を w=1n+1∑i≥1viw=\frac1{n+1}\sum_{i\ge1}v_i とし、アフィン写像 ψ:Δn+1→F0\psi:\Delta^{n+1}\to F_0 を ψ(v0)=w\psi(v_0)=w, ψ(vi)=vi\psi(v_i)=v_i(i≥1i\ge1)で定めます。Λ=⋃k≥1Fk\Lambda=\bigcup_{k\ge1}F_k(F0F_0 以外の面の合併)とおきます。

Λ\Lambda を F0F_0 に平らに写す. F0F_0 の点 y=∑i≥1yiviy=\sum_{i\ge1}y_iv_i について m(y)=min⁡iyim(y)=\min_iy_i とおくと、ψ\psi の Λ\Lambda への制限 ψΛ\psi_\Lambda は全単射で、逆写像は

ψΛ−1(y)=(n+1)m(y) v0+∑i≥1(yi−m(y)) vi\psi_\Lambda^{-1}(y)=(n+1)m(y)\,v_0+\sum_{i\ge1}(y_i-m(y))\,v_i

です(右辺は最小を与える ii の座標が 00 なので Λ\Lambda に入り、ψ\psi で yy に戻る。逆に ψ(x)=y\psi(x)=y, x∈Λx\in\Lambda なら xx の v0v_0 座標は (n+1)m(y)(n+1)m(y) と決まる)。ψΛ−1\psi_\Lambda^{-1} は連続で、∂F0\partial F_0 の上では恒等写像です(ψ\psi は F0F_0 上で恒等)。ψ\psi は各 FkF_k(k≥1k\ge1)を Pk={y∈F0:yk=m(y)}P_k=\{y\in F_0:y_k=m(y)\} にアフィン同型に写します(PkP_k は ww と viv_i, i≠0,ki\ne0,k を頂点とする単体)。PkP_k たちは F0F_0 を覆い、内部は互いに交わりません。

ホモトピー. y∈A0y\in A_0 について G(s,y)=τ((1−s) d0λ(y)+s ψΛ−1(d0λ(y)))G(s,y)=\tau\bigl((1-s)\,d_0\lambda(y)+s\,\psi_\Lambda^{-1}(d_0\lambda(y))\bigr)、In∖A0I^n\setminus A_0 で G=x0G=x_0 と置きます。y∈∂A0y\in\partial A_0 なら d0λ(y)∈∂F0d_0\lambda(y)\in\partial F_0 で、ψΛ−1\psi_\Lambda^{-1} がそこで恒等なので G(s,y)=τ(d0λ(y))=x0G(s,y)=\tau(d_0\lambda(y))=x_0(∂F0\partial F_0 は (n−1)(n-1) 骨格に入る)。よって GG は連続な基点付きホモトピーで、Φ(τd0)=[ρ]\Phi(\tau d_0)=[\rho]、ρ=τ∘ψΛ−1∘d0∘λ\rho=\tau\circ\psi_\Lambda^{-1}\circ d_0\circ\lambda(A0A_0 の上、他で x0x_0)。

分解. Ak=(d0λ)−1(Pk)A_k=(d_0\lambda)^{-1}(P_k)(k=1,…,n+1k=1,\dots,n+1)は、内部が空でなく内部どうしが互いに交わらないコンパクト凸集合で、合併は A0A_0 です。ψΛ−1\psi_\Lambda^{-1} は PkP_k の境界を FkF_k の境界((n−1)(n-1) 骨格)に写すので、ρ\rho は各 ∂Ak\partial A_k で x0x_0 です。補題 3.4 により [ρ]=∑k≥1[ρk][\rho]=\sum_{k\ge1}[\rho_k]。AkA_k の上で ρ=(τdk)∘μk\rho=(\tau d_k)\circ\mu_k、μk=dk−1∘(ψ∣Fk)−1∘d0∘λ\mu_k=d_k^{-1}\circ(\psi|_{F_k})^{-1}\circ d_0\circ\lambda で、補題 5.2 から [ρk]=εkΦ(τdk)[\rho_k]=\varepsilon_k\Phi(\tau d_k)。

符号. λ−1μk=λ−1Mk−1λ\lambda^{-1}\mu_k=\lambda^{-1}M_k^{-1}\lambda、Mk=d0−1ψdkM_k=d_0^{-1}\psi d_k なので εk=sgn⁡Mk\varepsilon_k=\operatorname{sgn}M_k。MkM_k は Δn\Delta^n の頂点 e0,…,ene_0,\dots,e_n を順に (w′,e0,…,ek−2,ek,…,en)(w',e_0,\dots,e_{k-2},e_k,\dots,e_n) に写します(w′w' は Δn\Delta^n の重心)。w′w' を k−1k-1 回の互換で k−1k-1 番目の位置に移すと (e0,…,ek−2,w′,ek,…,en)(e_0,\dots,e_{k-2},w',e_k,\dots,e_n) になり、これは ek−1e_{k-1} だけを w′w' に替えたもので、そのアフィン写像の行列式は w′w' の ek−1e_{k-1} 座標 1n+1>0\frac1{n+1}>0 倍です。よって εk=(−1)k−1\varepsilon_k=(-1)^{k-1} で、

Φ(τd0)=∑k=1n+1(−1)k−1Φ(τdk),すなわち∑k=0n+1(−1)kΦ(τdk)=0.\Phi(\tau d_0)=\sum_{k=1}^{n+1}(-1)^{k-1}\Phi(\tau d_k),\qquad\text{すなわち}\quad\sum_{k=0}^{n+1}(-1)^k\Phi(\tau d_k)=0 .
v₁v₂v₀wF₂F₁F₀
n = 1 の場合の平らにする写像 ψ。頂点 v₀ を対面 F₀ の中点 w に落とすと、残りの 2 辺 F₂ = [v₀, v₁] と F₁ = [v₀, v₂] は F₀ の 2 つの半分に重ならずに写る。境界の関係式は、この分解と各片の向きの比較から出る。

定理 5.4(Hurewicz の定理)✓

n≥2n\ge2 とし、XX を (n−1)(n-1)-連結な空間、x0∈Xx_0\in X とする。このとき 0≤k<n0\le k<n で H~k(X)=0\tilde H_k(X)=0 であり、Hurewicz 準同型 h:πn(X,x0)→Hn(X)h:\pi_n(X,x_0)\to H_n(X) は同型である。

証明(定理 5.4)

低次元. k≤n−1k\le n-1 で Ek=0E_k=0 なので、補題 4.1 から Hk(X,x0)=0H_k(X,x_0)=0。対 (X,{x0})(X,\{x_0\}) の長完全列(定理 3.1[特異ホモロジー])と点のホモロジー(命題 2.4[特異ホモロジー])から、k≥1k\ge1 で Hk(X)≅Hk(X,x0)H_k(X)\cong H_k(X,x_0)(k=1k=1 では H0({x0})→H0(X)H_0(\{x_0\})\to H_0(X) が同型であることも使う)、k=0k=0 では道連結性から H~0(X)=0\tilde H_0(X)=0。同じ長完全列から j:Hn(X)→Hn(X,x0)j:H_n(X)\to H_n(X,x_0) も同型です(n≥2n\ge2)。

逆写像の候補. En−1=0E_{n-1}=0 なので Hn(E)=En/∂En+1H_n(E)=E_n/\partial E_{n+1} で、補題 5.3 により Φ\Phi は準同型 Φ:Hn(E)→πn(X,x0)\Phi:H_n(E)\to\pi_n(X,x_0) を誘導します。一方、補題 4.1 の同型 ι∗:Hn(E)→Hn(X,x0)\iota_*:H_n(E)\to H_n(X,x_0) を使って Ψ=ι∗−1 j h:πn(X,x0)→Hn(E)\Psi=\iota_*^{-1}\,j\,h:\pi_n(X,x_0)\to H_n(E) とおくと、補題 2.4 から Ψ\Psi も準同型です。

ΨΦ=id\Psi\Phi=\mathrm{id}. 良い nn 単体 σ\sigma について g=σλg=\sigma_\lambda とすると、gˉ\bar g は 補題 2.2 の DD を x0x_0 に写すので、自然性から j(gˉ∗ω)=gˉ∗(jω)=gˉ∗[pλ−1]=[gˉpλ−1]=[σ]j(\bar g_*\omega)=\bar g_*(j\omega)=\bar g_*[p\lambda^{-1}]=[\bar gp\lambda^{-1}]=[\sigma](Hn(X,x0)H_n(X,x_0) の中で)。よって ΨΦ(σ)\Psi\Phi(\sigma) は σ\sigma 自身のホモロジー類で、生成元の上で ΨΦ=id\Psi\Phi=\mathrm{id} です。

ΦΨ=id\Phi\Psi=\mathrm{id}. f:(In,∂In)→(X,x0)f:(I^n,\partial I^n)\to(X,x_0) とし、Sν(y)=c0+ν(y−c0)S_\nu(y)=c_0+\nu(y-c_0) とします。G(s,y)=f~(S1−s(1−ν)−1y)G(s,y)=\tilde f(S_{1-s(1-\nu)}^{-1}y) は基点付きホモトピーで、ν\nu を小さく取れば f′=G(1,⋅)f'=G(1,\cdot) の台は Sν(In)⊂int⁡A0S_\nu(I^n)\subset\operatorname{int}A_0 に入ります。f′λ−1f'\lambda^{-1} は良い nn 単体で、(f′λ−1)λ=f′(f'\lambda^{-1})_\lambda=f' です。前段と同じ計算で Ψ[f′]\Psi[f'] は f′λ−1f'\lambda^{-1} の類なので、ΦΨ[f]=Φ(f′λ−1)=[f′]=[f]\Phi\Psi[f]=\Phi(f'\lambda^{-1})=[f']=[f]。

以上から Φ\Phi と Ψ\Psi は互いに逆の同型で、h=j−1ι∗Ψh=j^{-1}\iota_*\Psi は同型です。

仮定の「(n−1)(n-1)-連結」は外せません。

例 5.5(単連結でないと π₂ と H₂ は一致しない)

実射影平面は道連結ですが π1(RP2)≅Z/2≠0\pi_1(\mathbb{R}P^2)\cong\mathbb{Z}/2\ne0 です。系 3.8[ホモトピー群とファイブレーション] と 定理 4.3[ホモトピー群とファイブレーション] から π2(RP2)≅π2(S2)≅Z\pi_2(\mathbb{R}P^2)\cong\pi_2(S^2)\cong\mathbb{Z} ですが、例 3.6[胞体ホモロジーと写像度] から H2(RP2)=0H_2(\mathbb{R}P^2)=0 です。hh は S2→RP2S^2\to\mathbb{R}P^2 の被覆写像の類を、H2(S2)→H2(RP2)=0H_2(S^2)\to H_2(\mathbb{R}P^2)=0 を経由して 00 に送ります。

系 5.6(単連結な空間での Hurewicz の定理)✓

n≥2n\ge2 とし、XX を単連結(11-連結)で 1≤k<n1\le k<n について Hk(X)=0H_k(X)=0 を満たす空間とする。このとき XX は (n−1)(n-1)-連結で、h:πn(X)→Hn(X)h:\pi_n(X)\to H_n(X) は同型である。

証明(系 5.6)

2≤k<n2\le k<n について、XX が (k−1)(k-1)-連結なら 定理 5.4 から πk(X)≅Hk(X)=0\pi_k(X)\cong H_k(X)=0 なので XX は kk-連結です。k=2k=2 から順に使えば XX は (n−1)(n-1)-連結で、もう一度 定理 5.4 を使います。

6. 帰結:球面のホモトピー群と π₃(SU(N))

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系 6.1(πn(Sn)=Zπ_n(S^n) = ℤ)✓

n≥1n\ge1 で deg⁡:πn(Sn)→Z\deg:\pi_n(S^n)\to\mathbb{Z} は同型で、πn(Sn)\pi_n(S^n) は [id][\mathrm{id}] が生成する無限巡回群である。n≥2n\ge2 では 補題 2.2 の ω\omega は Hn(Sn)H_n(S^n) の生成元である。

証明(系 6.1)

命題 5.1[ホモトピー群とファイブレーション] から deg⁡\deg は全射準同型で deg⁡[id]=1\deg[\mathrm{id}]=1 です。n=1n=1 では π1(S1)\pi_1(S^1) が無限巡回群(定理 4.1[基本群と被覆空間])なので全射は同型です。n≥2n\ge2 では SnS^n は (n−1)(n-1)-連結(命題 2.6[ホモトピー群とファイブレーション])なので 定理 5.4 により hh は同型です。写像度の定義(定義 5.1[胞体ホモロジーと写像度])から h[f]=f∗ω=deg⁡f⋅ωh[f]=f_*\omega=\deg f\cdot\omega です。Hn(Sn)≅ZH_n(S^n)\cong\mathbb{Z}(定理 6.1[特異ホモロジー])の生成元 ω0\omega_0 で ω=d ω0\omega=d\,\omega_0 と書くと hh の像は dZ ω0d\mathbb{Z}\,\omega_0 で、全射性から d=±1d=\pm1。よって ω\omega は生成元で、deg⁡=±h\deg=\pm h は同型です。

系 6.2(Hopf の写像度定理)✓

n≥1n\ge1 とし、f,g:Sn→Snf,g:S^n\to S^n を(基点を考えない)連続写像とする。f≃gf\simeq g であることと deg⁡f=deg⁡g\deg f=\deg g は同値である。

証明(系 6.2)

(⇒\Rightarrow) は 命題 5.2[胞体ホモロジーと写像度] の 2 です。(⇐\Leftarrow) Sn⊂Rn+1S^n\subset\mathbb{R}^{n+1} の基点 s0s_0 を固定します。補題 3.1 の証明の回転 Rθ∈SO(n+1)R_\theta\in SO(n+1) で Rθ0f(s0)=s0R_{\theta_0}f(s_0)=s_0 となるものを取ると、s↦Rsθ0∘fs\mapsto R_{s\theta_0}\circ f は ff と基点付き写像 f′=Rθ0ff'=R_{\theta_0}f を結ぶホモトピーです。同様に g≃g′g\simeq g'。写像度はホモトピー不変なので deg⁡f′=deg⁡g′\deg f'=\deg g' で、系 6.1 から f′f' と g′g' は πn(Sn,s0)\pi_n(S^n,s_0) の同じ元、つまり基点付きホモトピックです。よって f≃gf\simeq g。

懸垂は、SnS^n の各点 yy と高さ tt を (y,t)∈In+1(y,t)\in I^{n+1} に対応させる写像で定めます。q:Sn×I→Sn+1q:S^n\times I\to S^{n+1} を q([y],t)=[(y,t)]q([y],t)=[(y,t)] とすると、y∈∂Iny\in\partial I^n なら (y,t)∈∂In+1(y,t)\in\partial I^{n+1} なので well-defined で、In×I→Sn×II^n\times I\to S^n\times I がコンパクト空間から Hausdorff 空間への閉な全射(したがって商写像)であることから連続です。

定理 6.3(懸垂同型(Freudenthal の定理の最初の範囲))✓

n,k≥1n,k\ge1 とし、f:(Ik,∂Ik)→(Sn,∗)f:(I^k,\partial I^k)\to(S^n,*) に対して (Σf)(s,sk+1)=q(f(s),sk+1)(\Sigma f)(s,s_{k+1})=q(f(s),s_{k+1}) と置く。[f]↦[Σf][f]\mapsto[\Sigma f] は準同型 Σ:πk(Sn)→πk+1(Sn+1)\Sigma:\pi_k(S^n)\to\pi_{k+1}(S^{n+1}) を定め、k≤nk\le n では同型である。

証明(定理 6.3)

s∈∂Iks\in\partial I^k なら f(s)=∗f(s)=* で q(∗,t)=∗q(*,t)=*、sk+1∈{0,1}s_{k+1}\in\{0,1\} なら (y,sk+1)∈∂In+1(y,s_{k+1})\in\partial I^{n+1} なので、Σf\Sigma f は境界を基点に送ります。基点付きホモトピーも同じ式で移るので Σ\Sigma は well-defined で、和は第 1 座標で取るので Σ(f+g)=Σf+Σg\Sigma(f+g)=\Sigma f+\Sigma g。k<nk<n なら k+1<n+1k+1<n+1 で、命題 2.6[ホモトピー群とファイブレーション] から両辺とも 00 です。k=nk=n では Σ idSn=idSn+1\Sigma\,\mathrm{id}_{S^n}=\mathrm{id}_{S^{n+1}}(q([y],t)=[(y,t)]q([y],t)=[(y,t)])なので Σ[id]=[id]\Sigma[\mathrm{id}]=[\mathrm{id}]。系 6.1 により両辺は [id][\mathrm{id}] が生成する無限巡回群なので、生成元を生成元に写す準同型 Σ\Sigma は同型です。

注意 6.4(Freudenthal の懸垂定理(一般の範囲))

Freudenthal(1938)は、Σ:πk(Sn)→πk+1(Sn+1)\Sigma:\pi_k(S^n)\to\pi_{k+1}(S^{n+1}) が k<2n−1k<2n-1 で同型、k=2n−1k=2n-1 で全射であることを示しました。より一般に (n−1)(n-1)-連結な CW 複体 XX で πk(X)→πk+1(ΣX)\pi_k(X)\to\pi_{k+1}(\Sigma X) が同じ範囲で同型・全射になります。証明にはホモトピー群の切除定理(Blakers–Massey)が要り、本記事では証明しません(参考文献の Hatcher 第 4.2 節)。たとえば π4(S3)≅π5(S4)≅⋯≅Z/2\pi_4(S^3)\cong\pi_5(S^4)\cong\cdots\cong\mathbb{Z}/2(生成元は Hopf 写像の懸垂)はこの範囲の帰結です。本記事で使うのは 定理 6.3 の k≤nk\le n の範囲だけです。

系 6.5(π₃(SU(2)) = π₃(S³) = ℤ と π₃(S²) = ℤ)✓

π3(SU(2))≅π3(S3)≅Z\pi_3(SU(2))\cong\pi_3(S^3)\cong\mathbb{Z}(生成元は恒等写像)、π3(S2)≅π3(SO(3))≅Z\pi_3(S^2)\cong\pi_3(SO(3))\cong\mathbb{Z} であり、π3(S2)\pi_3(S^2) の生成元は Hopf 写像 p:S3→S2p:S^3\to S^2 である。

証明(系 6.5)

SU(2)≅S3SU(2)\cong S^3 と 系 6.1。定理 4.3[ホモトピー群とファイブレーション] の同型 p∗:π3(S3)→π3(S2)p_*:\pi_3(S^3)\to\pi_3(S^2) は [id][\mathrm{id}] を [p][p] に送ります。π3(SO(3))≅π3(SU(2))\pi_3(SO(3))\cong\pi_3(SU(2)) は 系 3.8[ホモトピー群とファイブレーション] です。

例 6.6(Hurewicz の同型は最初の次数だけ)

H3(S2)=0H_3(S^2)=0 ですが π3(S2)≅Z\pi_3(S^2)\cong\mathbb{Z} です(系 6.5)。S2S^2 は 11-連結なので 定理 5.4 は π2(S2)≅H2(S2)\pi_2(S^2)\cong H_2(S^2) を与えますが、その上の次数については何も言いません。Hopf 写像は、ホモロジーでは見えない(p∗:H3(S3)→H3(S2)=0p_*:H_3(S^3)\to H_3(S^2)=0)のに定値写像にホモトピックでない写像の典型例です。

SU(N)SU(N) は CN\mathbb{C}^N の単位球面 S2N−1S^{2N-1} に推移的に作用します。次の命題は、この作用から SU(N)→S2N−1SU(N)\to S^{2N-1} がファイバー束になることを示すもので、あとで長完全列を使うための準備です。証明中の S(v)S(v) は、基点 eNe_N を点 vv に写す SU(N)SU(N) の元を、vv に連続に依存するように具体的に選んだものです。

命題 6.7(SU(N) →S2N−1→ S^{2N−1} はファイバー束)✓

N≥2N\ge2 とし、π:SU(N)→S2N−1\pi:SU(N)\to S^{2N-1} を π(A)=AeN\pi(A)=Ae_N で定める。π\pi は SU(N−1)SU(N-1)(B↦diag⁡(B,1)B\mapsto\operatorname{diag}(B,1) で埋め込む)をファイバーとするファイバー束である。

証明(命題 6.7)

AeN=eNAe_N=e_N となる A∈SU(N)A\in SU(N) は eN⊥e_N^\perp を保つユニタリ行列なので A=diag⁡(B,1)A=\operatorname{diag}(B,1), det⁡B=1\det B=1 と書け、ファイバー π−1(eN)\pi^{-1}(e_N) は SU(N−1)SU(N-1) です。U={v∈S2N−1:vN≠0}U=\{v\in S^{2N-1}:v_N\ne0\} の上で、(v,e1,…,eN−1)(v,e_1,\dots,e_{N-1}) は 1 次独立なので、この順に Gram–Schmidt 直交化した (v,u1,…,uN−1)(v,u_1,\dots,u_{N-1}) は vv について連続です。S(v)S(v) を列 (δ(v)‾u1,u2,…,uN−1,v)(\overline{\delta(v)}u_1,u_2,\dots,u_{N-1},v) の行列とします(δ(v)\delta(v) は列 (u1,…,uN−1,v)(u_1,\dots,u_{N-1},v) の行列式で ∣δ∣=1|\delta|=1)。S(v)∈SU(N)S(v)\in SU(N), S(v)eN=vS(v)e_N=v で、

U×SU(N−1)→π−1(U),(v,B)↦S(v)diag⁡(B,1)U\times SU(N-1)\to\pi^{-1}(U),\qquad(v,B)\mapsto S(v)\operatorname{diag}(B,1)

は連続な全単射で、逆写像 A↦(AeN, S(AeN)−1A の左上ブロック)A\mapsto\bigl(Ae_N,\ S(Ae_N)^{-1}A\text{ の左上ブロック}\bigr) も連続です。任意の v0v_0 について geN=v0ge_N=v_0 となる g∈SU(N)g\in SU(N)(v0v_0 を正規直交基底の最後に補い、最初の列の位相を調整する)を取れば、gU∋v0gU\ni v_0 の上で v↦gS(g−1v)v\mapsto gS(g^{-1}v) を使って同様に局所自明化できます(定義 3.5[ホモトピー群とファイブレーション])。

定理 6.8(π₃(SU(N)) = ℤ)✓

N≥2N\ge2 で π3(SU(N))≅Z\pi_3(SU(N))\cong\mathbb{Z} であり、生成元は包含 SU(2)↪SU(N)SU(2)\hookrightarrow SU(N)(A↦diag⁡(A,1,…,1)A\mapsto\operatorname{diag}(A,1,\dots,1))の類である。

証明(定理 6.8)

N=2N=2 は 系 6.5 です。N≥3N\ge3 とします。命題 6.7、命題 3.6[ホモトピー群とファイブレーション]、定理 3.7[ホモトピー群とファイブレーション] から

π4(S2N−1)→π3(SU(N−1))→i∗π3(SU(N))→π3(S2N−1)\pi_4(S^{2N-1})\to\pi_3(SU(N-1))\xrightarrow{i_*}\pi_3(SU(N))\to\pi_3(S^{2N-1})

は完全です。2N−1≥5>42N-1\ge5>4 なので両端は 00(命題 2.6[ホモトピー群とファイブレーション])で、包含 i∗i_* は同型です。NN について帰納的に合成すると、SU(2)↪SU(N)SU(2)\hookrightarrow SU(N) が同型 π3(SU(2))→π3(SU(N))\pi_3(SU(2))\to\pi_3(SU(N)) を誘導します。

例 6.9(ゲージ変換の位相的な分類)

4 次元 Euclid 空間上の SU(N)SU(N) ゲージ場で、無限遠の S3S^3 上のゲージ変換 g:S3→SU(N)g:S^3\to SU(N) を考えます。定理 6.8 と 系 6.1 から、gg は、SU(2)SU(2) の中で写像度 kk をもつ写像 gk:S3→SU(2)g_k:S^3\to SU(2) と包含の合成にホモトピックで、kk は gg のホモトピー類からただ 1 つに決まります。kk がインスタントン数で、SU(2)SU(2) の中では ホモトピー群の章 の 例 5.5[ホモトピー群とファイブレーション] の積分で計算できます。こうして、インスタントン数が整数であることに加えて、インスタントン数が等しい漸近形は連続変形でつながり、すべての整数が実現されることが分かります。

演習 7.1易

n≥2n\ge2 とし、W=Sn∨SnW=S^n\vee S^n、j1,j2:Sn→Wj_1,j_2:S^n\to W を包含、c:Sn→Wc:S^n\to W を 補題 2.4 の証明のつぶし写像とします。πn(W)≅Z2\pi_n(W)\cong\mathbb{Z}^2 を示し、πn(W)\pi_n(W) で [c]=[j1]+[j2][c]=[j_1]+[j_2] となることを示してください。

解答

接続点以外の第 2 の球面の一点を除いた開集合 AA と、同様の BB は SnS^n に変位レトラクトし(単連結、命題 6.3[基本群と被覆空間])、A∩BA\cap B は可縮です。系 6.2[基本群と被覆空間] から WW は単連結です。Mayer–Vietoris 完全列(定理 5.4[特異ホモロジー]、簡約版)から H~k(W)≅H~k(Sn)2\tilde H_k(W)\cong\tilde H_k(S^n)^2 で、k<nk<n では 00、k=nk=n では j1∗ω,j2∗ωj_{1*}\omega, j_{2*}\omega を基底とする Z2\mathbb{Z}^2 です(系 6.1 で ω\omega は生成元)。系 5.6 から h:πn(W)→Hn(W)h:\pi_n(W)\to H_n(W) は同型。h[ji]=ji∗ωh[j_i]=j_{i*}\omega、h[c]=c∗ω=j1∗ω+j2∗ωh[c]=c_*\omega=j_{1*}\omega+j_{2*}\omega(補題 2.4 の証明)なので、hh の単射性から [c]=[j1]+[j2][c]=[j_1]+[j_2]。

演習 7.2標準

n≥1n\ge1、f:(In,∂In)→(Sn,∗)f:(I^n,\partial I^n)\to(S^n,*) について、定理 6.3 の懸垂 Σf\Sigma f の写像度が deg⁡f\deg f に等しいことを示してください。

解答

系 6.1 から [f]=d[id][f]=d[\mathrm{id}]、d=deg⁡fd=\deg f。Σ\Sigma は準同型で Σ[id]=[id]\Sigma[\mathrm{id}]=[\mathrm{id}] なので [Σf]=d[id][\Sigma f]=d[\mathrm{id}]。写像度は πn+1(Sn+1)\pi_{n+1}(S^{n+1}) 上の準同型(命題 5.1[ホモトピー群とファイブレーション])なので deg⁡Σf=d\deg\Sigma f=d。

演習 7.3標準

N≥2N\ge2 で π3(U(N))≅Z\pi_3(U(N))\cong\mathbb{Z} を示してください。

解答

Θ:SU(N)×U(1)→U(N)\Theta:SU(N)\times U(1)\to U(N), (A,z)↦Adiag⁡(z,1,…,1)(A,z)\mapsto A\operatorname{diag}(z,1,\dots,1) は連続な全単射で、逆写像 B↦(Bdiag⁡(det⁡B‾,1,…,1),det⁡B)B\mapsto(B\operatorname{diag}(\overline{\det B},1,\dots,1),\det B) も連続なので同相写像です(単位行列を単位行列に写す)。命題 2.4[ホモトピー群とファイブレーション] の 3 から π3(U(N))≅π3(SU(N))×π3(U(1))\pi_3(U(N))\cong\pi_3(SU(N))\times\pi_3(U(1))。U(1)=S1U(1)=S^1 なので π3(S1)=0\pi_3(S^1)=0(系 3.8[ホモトピー群とファイブレーション])、定理 6.8 と合わせて Z\mathbb{Z}。群としての同型ではなく空間の同相を使っている点に注意してください(U(N)U(N) は SU(N)×U(1)SU(N)\times U(1) と群としては同型でない)。

  • A. Hatcher, Algebraic Topology, Cambridge University Press, 2002 — 第 4.2 節(Hurewicz の定理、Freudenthal の懸垂定理、ホモトピー切除定理)。
  • E. H. Spanier, Algebraic Topology, McGraw-Hill, 1966 — 第 7 章(特異複体による Hurewicz の定理)。
  • S. Eilenberg, “Singular homology theory”, Annals of Mathematics 45 (1944), 407–447.
  • H. Freudenthal, “Über die Klassen der Sphärenabbildungen I. Große Dimensionen”, Compositio Mathematica 5 (1938), 299–314.
  • J. W. Milnor, Topology from the Differentiable Viewpoint, University of Virginia Press, 1965 — 第 7 節(Hopf の写像度定理の微分位相的な証明)。

このテーマの 100 本ノック(50 問)

執筆: Claude Code(Opus 5.5)、Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 2 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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