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連結性:「ひとつながり」を開集合で測り、中間値の定理を位相の言葉で証明する

Prerequisite:コンパクト性:有限部分被覆で捉える「有界閉集合」の一般化

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  • 「ひとつながりである」ことは、分離できないこととして定義されます。空間 XX が 2 つの空でない開集合の直和に書けないとき、XX は連結であるといいます。
  • 連結性には 3 つの同値な顔があります。分離の非存在、開かつ閉な部分集合が自明なものだけであること、そして 22 点離散空間への連続写像がすべて定数であること。証明では 3 番目がいちばん使いやすい道具になります。
  • R\mathbb{R} の部分集合が連結であることと、区間であることは同値です。ここだけに実数の完備性(上限の存在)が効きます。
  • 連結性は連続写像で保たれます。この 1 行と上の 1 行を合わせるだけで、中間値の定理が出ます。中間値の定理は解析の定理というより位相の定理です。
  • 弧状連結ならば連結ですが、逆は成り立ちません。反例がトポロジストの正弦曲線です。ただし Rn\mathbb{R}^n の開集合に限れば両者は一致します。

1. 動機:「ひとつながり」をどう定義するか

Section titled “1. 動機:「ひとつながり」をどう定義するか”

平面から 2 つの互いに交わらない円板を取り出した図形は「2 つに分かれている」、1 つの円板は「ひとつながりだ」。この直観は誰でも持っています。問題は、それを距離を使わずに述べる方法です。

素朴な最初の案は「どの 2 点も曲線で結べる」でしょう。これは後で扱う弧状連結性で、実際とても自然な定義です。しかしこの定義は、たとえば「R\mathbb{R} の連結部分集合は区間に限る」というような基本的な事実を証明する道具としては使いにくく、さらに困ったことに、位相空間の世界には「つながっているのに曲線では結べない」空間が実在します。曲線という補助的な対象([0,1][0,1] からの写像)を経由する定義は、空間そのものの性質を測る目盛りとしては細かすぎるのです。

そこでカントールとジョルダンに始まり、ハウスドルフ、そして 1911 年頃のリースやハーンらの手を経て採用された定義は、肯定形ではなく否定形でした。すなわち「つながっている」を直接定義するのではなく、「分かれている」を定義し、その否定を連結性と呼ぶ。分かれているとは、空間を 2 つの部分に分けて、どちらも空でなく、どちらも他方の点を含まず、しかも互いに他方に触れていないようにできることです。この「触れていない」を開集合で表現するところが位相の発想です。

このやり方の利点は、コンパクト性Definition 3.2[コンパクト性])のときと同じで、定義が開集合だけで書けるため、連続写像との相性が完璧になることです。連続写像は開集合の引き戻しで定義されているので、開集合の言葉で書かれた性質は連続写像で移りやすい。実際、この記事の主定理はどれも 5 行程度で証明できてしまいます。行数が短いのは内容が薄いからではなく、定義が正しく選ばれているからです。

以下、X,YX, Y は位相空間(Definition 4.1[Topological Spaces])を表します。部分集合 AXA \subseteq X を空間として扱うときは、つねに相対位相(部分空間位相)

OA={UA  :  U は X の開集合}\mathcal{O}_A = \{\, U \cap A \;:\; U \text{ は } X \text{ の開集合} \,\}

を入れます。「AA が連結である」という言明は、この AA 自身の位相空間としての性質を指します。XX の中でどう置かれているかではなく、AA の中の開集合だけで決まる性質だという点が重要です。相対位相の基本的な性質、とくに BAXB \subseteq A \subseteq X のとき「BBAA から入る相対位相」と「BBXX から直接入る相対位相」が一致すること(相対位相の推移性)は、位相空間の定義と基本概念で確認したとおりです。以下ではこれを断りなく使います。

{0,1}\{0,1\} には離散位相(すべての部分集合が開)を入れ、これを 2\mathbf{2} と書きます。2\mathbf{2} は「分離しきった 2 点」の標準的なモデルであり、この記事の主役です。

Definition 2.1分離と連結性

位相空間 XX に対し、XX の開集合の組 (U,V)(U, V)

U,V,UV=,UV=XU \ne \varnothing,\quad V \ne \varnothing,\quad U \cap V = \varnothing,\quad U \cup V = X

をすべて満たすとき、(U,V)(U,V)XX分離(separation)といいます。XX が分離をもたないとき、XX連結(connected)であるといい、分離をもつとき非連結であるといいます。

部分集合 AXA \subseteq X が連結であるとは、AA が相対位相に関して連結な位相空間であることをいいます。

Remark 2.2

空集合と 1 点集合は連結です。空集合については、UV=U \cup V = \varnothingUU \ne \varnothing が両立しないので分離は存在しません。1 点集合 {x}\{x\} については、U,VU, V が空でなく交わらないなら合わせて 2 点以上必要になるので、やはり分離は存在しません。なお \varnothing を連結とするかは流儀が分かれます。本記事では連結として扱いますが、「連結成分」を語る場面では空でない集合しか現れないので、実害はありません。

U,VU, V がともに開で、互いに素で、合併が XX であることから、V=XUV = X \setminus U となり、UUVV閉集合でもあります。この観察が次の言い換えを生みます。

Proposition 3.1連結性の特徴づけ

位相空間 XX について、次の 4 条件は同値です。

  1. XX は連結である(XX は分離をもたない)。
  2. XX の部分集合で開かつ閉であるものは \varnothingXX に限る。
  3. XX から離散空間 2={0,1}\mathbf{2} = \{0,1\} への連続な全射は存在しない。
  4. XX から 2\mathbf{2} への連続写像はすべて定数写像である。
Proof(Proposition 3.1)

(1)(2)(1) \Rightarrow (2) を対偶で示します。AXA \subseteq X が開かつ閉で、AA \ne \varnothing かつ AXA \ne X とします。U=AU = AV=XAV = X \setminus A と置くと、UU は仮定より開、VVAA が閉であることから開です。AXA \ne X より VV \ne \varnothingAA \ne \varnothing より UU \ne \varnothing、また明らかに UV=U \cap V = \varnothingUV=XU \cup V = X。よって (U,V)(U,V) は分離であり、XX は非連結です。

(2)(4)(2) \Rightarrow (4)f:X2f : X \to \mathbf{2} を連続写像とし、A=f1({0})A = f^{-1}(\{0\}) と置きます。2\mathbf{2} は離散位相なので {0}\{0\} は開かつ閉です。ff の連続性より A=f1({0})A = f^{-1}(\{0\}) は開であり、また XA=f1({1})X \setminus A = f^{-1}(\{1\}) も同じ理由で開なので AA は閉です。仮定 (2)(2) より A=A = \varnothing または A=XA = X、すなわち f1f \equiv 1 または f0f \equiv 0 です。

(4)(3)(4) \Rightarrow (3)f:X2f : X \to \mathbf{2} が全射なら、ff は値 0011 の両方を取るので定数ではありません。(4)(4) に反するので、そのような ff は存在しません。

(3)(1)(3) \Rightarrow (1) を対偶で示します。(U,V)(U,V)XX の分離とし、

f(x)={0(xU)1(xV)f(x) = \begin{cases} 0 & (x \in U) \\ 1 & (x \in V) \end{cases}

と定めます。UV=XU \cup V = X かつ UV=U \cap V = \varnothing なので ffXX 上の写像として矛盾なく定まります。2\mathbf{2} の部分集合は ,{0},{1},{0,1}\varnothing, \{0\}, \{1\}, \{0,1\} の 4 つで、その逆像はそれぞれ ,U,V,X\varnothing, U, V, X となり、すべて XX の開集合です。よって ff は連続で、UU \ne \varnothingVV \ne \varnothing より全射です。ゆえに (3)(3) が破れます。

以上で (1)(2)(4)(3)(1)(1) \Rightarrow (2) \Rightarrow (4) \Rightarrow (3) \Rightarrow (1) が閉じ、4 条件は同値です。

条件 (4)(4) は「XX の上には 0011 の 2 値をとる連続な旗を立てられない」と読めます。以後の証明の大半はこの形を使います。というのも、連続写像の合成は連続なので、(4)(4) は写像の言葉に翻訳しやすいからです。

Example 3.2有理数体は全不連結

Q\mathbb{Q}R\mathbb{R} からの相対位相を入れます。AQA \subseteq \mathbb{Q} が 2 点 p<qp < q を含むとしましょう。ここで

α=p+qp2\alpha = p + \frac{q-p}{\sqrt{2}}

と置くと、0<1/2<10 < 1/\sqrt{2} < 1 より p<α<qp < \alpha < q であり、p,qQp, q \in \mathbb{Q} かつ qp0q - p \ne 0 なので α\alpha が有理数だとすると 2=(qp)/(αp)Q\sqrt{2} = (q-p)/(\alpha - p) \in \mathbb{Q} となって、平方根 2 の無理性(Theorem 7.5)[Techniques of Proof] に反します。よって α\alpha は無理数です。そこで

U=A(,α),V=A(α,)U = A \cap (-\infty, \alpha), \qquad V = A \cap (\alpha, \infty)

と置くと、U,VU, VAA の相対開集合、pUp \in UqVq \in V より両方空でなく、αQ\alpha \notin \mathbb{Q} なので UV=AU \cup V = A、また明らかに UV=U \cap V = \varnothing。よって AA は非連結です。すなわち Q\mathbb{Q} の連結部分集合は空集合と 1 点集合だけです。このような空間を全不連結(totally disconnected)といいます。Q\mathbb{Q} には「穴」があいていて、どの区間もその穴で切れてしまうのです。

4. 直線の連結部分集合は区間に限る

Section titled “4. 直線の連結部分集合は区間に限る”

Theorem 4.1R の連結部分集合の決定

ARA \subseteq \mathbb{R} とします。AA が連結であることと、AA区間であること、すなわち

x,yA, x<z<y    zAx, y \in A,\ x < z < y \implies z \in A

が成り立つことは同値です。

Proof(Theorem 4.1)

(連結 \Rightarrow 区間) 対偶を示します。AA が区間でないとすると、x,yAx, y \in AzAz \notin Ax<z<yx < z < y なるものが取れます。

U=A(,z),V=A(z,)U = A \cap (-\infty, z), \qquad V = A \cap (z, \infty)

と置くと、(,z)(-\infty,z)(z,)(z,\infty)R\mathbb{R} の開集合なので U,VU, VAA の相対開集合です。xUx \in UyVy \in V より両方空でなく、UV=U \cap V = \varnothing は明らか、そして zAz \notin A なので AA の点はすべて zz より小さいか大きいかのどちらかで UV=AU \cup V = A。よって (U,V)(U,V)AA の分離であり、AA は非連結です。

(区間 \Rightarrow 連結) AA を区間とし、AA が非連結だと仮定して矛盾を導きます。(U,V)(U,V)AA の分離とし、aUa \in UbVb \in V を取ります。UV=U \cap V = \varnothing より aba \ne b で、必要なら UUVV の役割を入れ替えて a<ba < b としてよい。AA は区間なので [a,b]A[a,b] \subseteq A です。

集合 S=U[a,b]S = U \cap [a,b]aa を含むので空でなく、bb で上に有界です。実数の完備性実数の完備性とコーシー列で扱った上限公理、Theorem 4.2[Completeness of the Real Numbers and Cauchy Sequences])より上限 c=supSc = \sup S が存在し、acba \le c \le b、したがって c[a,b]Ac \in [a,b] \subseteq A です。UV=AU \cup V = A なので cUc \in UcVc \in V のいずれかです。

cUc \in U の場合。UUAA の相対開集合なので、ε>0\varepsilon > 0 があって (cε,c+ε)AU(c-\varepsilon, c+\varepsilon) \cap A \subseteq U となります。bVb \in V かつ UV=U \cap V = \varnothing より cbc \ne b、したがって c<bc < b。そこで c=min{c+ε/2, (c+b)/2}c' = \min\{c + \varepsilon/2,\ (c+b)/2\} と置くと c<c<bc < c' < b であり、c[a,b]Ac' \in [a,b] \subseteq A かつ c(cε,c+ε)c' \in (c-\varepsilon,c+\varepsilon) なので cUc' \in U、すなわち cSc' \in S。これは c>c=supSc' > c = \sup S に矛盾します。

cVc \in V の場合。VVAA の相対開集合なので、ε>0\varepsilon > 0 があって (cε,c+ε)AV(c-\varepsilon,c+\varepsilon) \cap A \subseteq V となります。c=supSc = \sup SSS \ne \varnothing だから、上限の定義より cε<ucc - \varepsilon < u \le c なる uSu \in S が存在します。この uuuUu \in U であり、同時に u(cε,c+ε)AVu \in (c-\varepsilon,c+\varepsilon) \cap A \subseteq V です。よって uUV=u \in U \cap V = \varnothing となり矛盾します。

どちらの場合も矛盾するので、AA は連結です。

Remark 4.2

この定理は、位相の一般論だけからは出ません。証明で使ったのは上限の存在、つまり R\mathbb{R} の完備性です。実際 Example 3.2 のとおり Q\mathbb{Q} では「区間」Q[0,2]\mathbb{Q} \cap [0,2] が非連結になります。2\sqrt{2} という穴で切れるからです。連結性が実数の連続性を「見ている」ことがここに現れています。

5. 連結性は連続写像で保たれる

Section titled “5. 連結性は連続写像で保たれる”

Theorem 5.1連結集合の連続像

f:XYf : X \to Y を連続写像、XX を連結な位相空間とします。このとき像 f(X)Yf(X) \subseteq Y は(相対位相に関して)連結です。

Proof(Theorem 5.1)

g:f(X)2g : f(X) \to \mathbf{2} を任意の連続写像とします。ff を終域 f(X)f(X) に制限した写像 f~:Xf(X)\tilde f : X \to f(X) は連続です(相対位相の定義から、f(X)f(X) の相対開集合 Wf(X)W \cap f(X)f~\tilde f による逆像は f1(W)f^{-1}(W) に等しく、ff の連続性より開)。したがって合成 gf~:X2g \circ \tilde f : X \to \mathbf{2} は連続です。XX は連結なので Proposition 3.1 の条件 (4)(4) より gf~g \circ \tilde f は定数、その値を cc とします。f~\tilde f は全射なので、任意の yf(X)y \in f(X)y=f~(x)y = \tilde f(x) と書け、g(y)=g(f~(x))=cg(y) = g(\tilde f(x)) = c。よって gg は定数です。ふたたび Proposition 3.1(4)(4) より f(X)f(X) は連結です。

Corollary 5.2連結性は位相不変量

XXYY が同相ならば、XX が連結であることと YY が連結であることは同値です。したがって、連結な空間と非連結な空間は同相ではありません。

Proof(Corollary 5.2)

同相写像 h:XYh : X \to Y を取ります。XX が連結なら、hh は連続な全射なので Theorem 5.1 より Y=h(X)Y = h(X) は連結です。逆向きは h1h^{-1} が連続であることから同様に従います。

次の 2 つは、連結な部品から大きな連結集合を組み立てるための道具です。どちらも Proposition 3.1(4)(4) を使うと一瞬で片づきます。

Proposition 5.3共通点をもつ連結集合の合併

XX を位相空間、{Ai}iI\{A_i\}_{i \in I}XX の連結部分集合の族とし、ある点 pp がすべての AiA_i に属するとします(II \ne \varnothing)。このとき A=iIAiA = \bigcup_{i \in I} A_i は連結です。

Proof(Proposition 5.3)

f:A2f : A \to \mathbf{2} を連続写像とします。各 ii について、制限 fAi:Ai2f|_{A_i} : A_i \to \mathbf{2} は連続です(AiA_iAA から入る相対位相は XX から入る相対位相と一致し、制限写像は包含写像との合成だから連続)。AiA_i は連結なので Proposition 3.1 より fAif|_{A_i} は定数で、pAip \in A_i よりその値は f(p)f(p) です。任意の xAx \in A はある AiA_i に属するので f(x)=f(p)f(x) = f(p)。よって ff は定数であり、Proposition 3.1 より AA は連結です。

Proposition 5.4連結集合の閉包も連結

XX を位相空間、AXA \subseteq X を連結部分集合とし、ABAA \subseteq B \subseteq \overline{A} を満たす BB を取ります(A\overline{A}XX における閉包)。このとき BB は連結です。とくに A\overline{A} は連結です。

Proof(Proposition 5.4)

f:B2f : B \to \mathbf{2} を連続写像とします。ABA \subseteq BAA は連結だから、上と同じ理由で fAf|_A は定数、その値を cc とします。

BB の中での AA の閉包を clB(A)\mathrm{cl}_B(A) と書くと、相対位相の性質より clB(A)=AB\mathrm{cl}_B(A) = \overline{A} \cap B です。仮定 BAB \subseteq \overline{A} より AB=B\overline{A} \cap B = B、すなわち AABB の中で稠密です。

一方 f1({c})f^{-1}(\{c\}) は、{c}\{c\}2\mathbf{2} の閉集合であり ff が連続であることから BB の閉集合で、AA を含みます。閉包は AA を含む最小の閉集合なので clB(A)f1({c})\mathrm{cl}_B(A) \subseteq f^{-1}(\{c\})、つまり Bf1({c})B \subseteq f^{-1}(\{c\})。よって fcf \equiv c は定数であり、Proposition 3.1 より BB は連結です。

6. 中間値の定理は連結性の帰結である

Section titled “6. 中間値の定理は連結性の帰結である”

ここまでの 2 つの定理を並べるだけで、解析学の出発点にある定理が出ます。

flowchart TD
A["閉区間は R の区間"] --> B["閉区間は連結(定理・区間の特徴づけ)"]
B --> C["連続写像 f の像は連結(定理・連続像)"]
C --> D["像は R の連結部分集合"]
D --> E["像は区間(定理・区間の特徴づけ・逆向き)"]
E --> F["中間値の定理"]
中間値の定理に至る論証の流れ。位相の側の 2 つの事実だけで結論が出る。

Theorem 6.1中間値の定理

a<ba < b を実数、f:[a,b]Rf : [a,b] \to \mathbb{R} を連続写像とします。γ\gammaf(a)f(a)f(b)f(b) の間の値、すなわち

min{f(a),f(b)}<γ<max{f(a),f(b)}\min\{f(a), f(b)\} < \gamma < \max\{f(a), f(b)\}

を満たすならば、f(c)=γf(c) = \gamma となる c(a,b)c \in (a,b) が存在します。

Proof(Theorem 6.1)

[a,b][a,b]R\mathbb{R} の区間なので、Theorem 4.1 より連結です。ff は連続なので、Theorem 5.1 より像 J=f([a,b])J = f([a,b])R\mathbb{R} の連結部分集合です。ふたたび Theorem 4.1 を(今度は「連結 \Rightarrow 区間」の向きに)適用すると、JJ は区間です。

f(a),f(b)Jf(a), f(b) \in J であり、仮定より γ\gammaf(a)f(a)f(b)f(b) の間にあるので、区間の定義から γJ\gamma \in J。すなわち f(c)=γf(c) = \gamma となる c[a,b]c \in [a,b] が存在します。最後に γf(a)\gamma \ne f(a) かつ γf(b)\gamma \ne f(b)(仮定の不等式は狭義)なので cac \ne a かつ cbc \ne b、つまり c(a,b)c \in (a,b) です。

Example 6.25 次方程式の実根の存在

p(x)=x53x+1p(x) = x^5 - 3x + 1 とします。多項式関数は連続です。値を計算すると

p(2)=32+6+1=25,p(1)=1+3+1=3,p(0)=1,p(-2) = -32 + 6 + 1 = -25, \quad p(-1) = -1 + 3 + 1 = 3, \quad p(0) = 1,p(1)=13+1=1,p(2)=326+1=27.p(1) = 1 - 3 + 1 = -1, \quad p(2) = 32 - 6 + 1 = 27.

p(2)<0<p(1)p(-2) < 0 < p(-1) なので Theorem 6.1[2,1][-2,-1]γ=0\gamma = 0 に適用して根が 1 つ。p(0)>0>p(1)p(0) > 0 > p(1) なので [0,1][0,1] に根が 1 つ。p(1)<0<p(2)p(1) < 0 < p(2) なので [1,2][1,2] に根が 1 つ。これら 3 つの区間は内部が互いに交わらないので、pp は少なくとも 3 個の相異なる実根をもちます。5 次方程式に一般の解の公式がないことは有名ですが、根が存在するかどうかは連結性だけで判定できます。

Example 6.3区間上の不動点定理

f:[0,1][0,1]f : [0,1] \to [0,1] を連続写像とすると、f(x0)=x0f(x_0) = x_0 なる x0x_0 が存在します。実際、g(x)=f(x)xg(x) = f(x) - x と置くと gg は連続で、ff の値域が [0,1][0,1] であることから

g(0)=f(0)0=f(0)0,g(1)=f(1)10.g(0) = f(0) - 0 = f(0) \ge 0, \qquad g(1) = f(1) - 1 \le 0.

g(0)=0g(0) = 0 なら x0=0x_0 = 0g(1)=0g(1) = 0 なら x0=1x_0 = 1 が求めるものです。どちらでもなければ g(1)<0<g(0)g(1) < 0 < g(0) なので、Theorem 6.1 より g(x0)=0g(x_0) = 0 なる x0(0,1)x_0 \in (0,1) が存在します。これは 1 次元のブラウワーの不動点定理です。

Example 6.4対蹠点で温度が等しい地点

円周 S1S^1 上の連続関数 T:S1RT : S^1 \to \mathbb{R}(たとえば赤道上の気温)に対し、T(P)=T(P)T(P) = T(-P) となる点 PP が存在します。φ(t)=(cost,sint)\varphi(t) = (\cos t, \sin t) と置き、h(t)=T(φ(t))T(φ(t+π))h(t) = T(\varphi(t)) - T(\varphi(t+\pi)) とすると h:[0,π]Rh : [0,\pi] \to \mathbb{R} は連続です。φ(2π)=φ(0)\varphi(2\pi) = \varphi(0) より

h(π)=T(φ(π))T(φ(2π))=T(φ(π))T(φ(0))=h(0).h(\pi) = T(\varphi(\pi)) - T(\varphi(2\pi)) = T(\varphi(\pi)) - T(\varphi(0)) = -h(0).

h(0)=0h(0) = 0 なら P=φ(0)P = \varphi(0) で終わりです。h(0)0h(0) \ne 0 なら h(0)h(0)h(π)=h(0)h(\pi) = -h(0) は異符号なので、Theorem 6.1 より h(t0)=0h(t_0) = 0 なる t0(0,π)t_0 \in (0,\pi) が存在し、P=φ(t0)P = \varphi(t_0) が求める点です。

冒頭で保留した「曲線で結べる」という定義を、ここで正式に導入します。

Definition 7.1道と弧状連結性

XX を位相空間、x,yXx, y \in X とします。連続写像 γ:[0,1]X\gamma : [0,1] \to Xγ(0)=x\gamma(0) = xγ(1)=y\gamma(1) = y を満たすものを、xx から yy への(path)といいます。ここで [0,1][0,1] には R\mathbb{R} からの相対位相を入れます。

XX の任意の 2 点に対して、一方から他方への道が存在するとき、XX弧状連結(path-connected)であるといいます。部分集合 AXA \subseteq X が弧状連結であるとは、AA が相対位相に関して弧状連結であること、すなわち道の像が AA に含まれるように取れることをいいます。

道の存在は「xxyy を結べる」という関係を定めますが、これが同値関係になることを確かめるには、道をつなぐ操作が連続写像になることを言う必要があります。それが次の補題です。

Lemma 7.2貼り合わせ補題

位相空間 XXX=ABX = A \cup B と書け、A,BA, B がともに XX の閉集合であるとします。連続写像 f:AYf : A \to Yg:BYg : B \to YABA \cap B 上で一致するならば、

h(x)={f(x)(xA)g(x)(xB)h(x) = \begin{cases} f(x) & (x \in A) \\ g(x) & (x \in B) \end{cases}

で定まる写像 h:XYh : X \to Y は連続です。

Proof(Lemma 7.2)

ABA \cap B 上で f=gf = g なので hh は矛盾なく定まります。CYC \subseteq Y を任意の閉集合とすると

h1(C)=f1(C)g1(C)h^{-1}(C) = f^{-1}(C) \cup g^{-1}(C)

です(xh1(C)x \in h^{-1}(C) なら xAx \in AxBx \in B で、それぞれ f1(C)f^{-1}(C)g1(C)g^{-1}(C) に入る。逆も同様)。ff が連続なので f1(C)f^{-1}(C)AA の相対位相で閉集合であり、AA 自身が XX の閉集合なので f1(C)f^{-1}(C)XX の閉集合です。同様に g1(C)g^{-1}(C)XX の閉集合。有限個の閉集合の合併は閉なので h1(C)h^{-1}(C)XX の閉集合です。閉集合の逆像がつねに閉であることは連続性と同値なので(連続性の同値条件(Theorem 3.3)[Continuous Maps and Homeomorphisms] を参照)、hh は連続です。

この補題により、xx から yy への道 γ1\gamma_1yy から zz への道 γ2\gamma_2 に対し

γ(t)={γ1(2t)(0t1/2)γ2(2t1)(1/2t1)\gamma(t) = \begin{cases} \gamma_1(2t) & (0 \le t \le 1/2) \\ \gamma_2(2t-1) & (1/2 \le t \le 1) \end{cases}

[0,1]=[0,1/2][1/2,1][0,1] = [0,1/2] \cup [1/2,1](ともに閉)への貼り合わせとして連続になり、xx から zz への道を与えます。t=1/2t = 1/2 では両式とも γ1(1)=y=γ2(0)\gamma_1(1) = y = \gamma_2(0) で一致しています。

Theorem 7.3弧状連結ならば連結

空でない弧状連結な位相空間 XX は連結です。

Proof(Theorem 7.3)

pXp \in X を 1 つ固定します。各 xXx \in X に対し、pp から xx への道 γx:[0,1]X\gamma_x : [0,1] \to X を取り、その像を Ax=γx([0,1])A_x = \gamma_x([0,1]) と置きます。

[0,1][0,1]R\mathbb{R} の区間なので Theorem 4.1 より連結であり、γx\gamma_x は連続なので Theorem 5.1 より AxA_x は連結です。また p=γx(0)Axp = \gamma_x(0) \in A_x なので、族 {Ax}xX\{A_x\}_{x \in X} は共通点 pp をもちます。さらに x=γx(1)Axx = \gamma_x(1) \in A_x より X=xXAxX = \bigcup_{x \in X} A_x です。

よって Proposition 5.3 より XX は連結です。

Example 7.4凸集合・球面・ユークリッド空間

CRnC \subseteq \mathbb{R}^n が凸集合ならば、x,yCx, y \in C に対し γ(t)=(1t)x+ty\gamma(t) = (1-t)x + t y は連続(各成分が tt の 1 次式)で像が CC に含まれる道なので、CC は弧状連結、したがって Theorem 7.3 より連結です。Rn\mathbb{R}^n、球体、直方体、半空間はすべてこれに含まれます。

n1n \ge 1 のとき球面 Sn={xRn+1:x=1}S^n = \{\boldsymbol{x} \in \mathbb{R}^{n+1} : \|\boldsymbol{x}\| = 1\} も弧状連結です。xy\boldsymbol{x} \ne -\boldsymbol{y} なら線分 (1t)x+ty(1-t)\boldsymbol{x} + t\boldsymbol{y} は原点を通らないので、これを \|\cdot\| で割って正規化した

γ(t)=(1t)x+ty(1t)x+ty\gamma(t) = \frac{(1-t)\boldsymbol{x} + t\boldsymbol{y}}{\|(1-t)\boldsymbol{x} + t\boldsymbol{y}\|}

SnS^n 内の道になります。y=x\boldsymbol{y} = -\boldsymbol{x} のときは第 3 の点 z\boldsymbol{z}n1n \ge 1 なので ±x\pm\boldsymbol{x} 以外の点が存在します)を経由して 2 本つなげば、貼り合わせ補題 Lemma 7.2 より道が得られます。

8. トポロジストの正弦曲線:逆は成り立たない

Section titled “8. トポロジストの正弦曲線:逆は成り立たない”

Theorem 7.3 の逆は偽です。反例は次の図形で、位相空間論のいたるところで登場します。

x = 1yxJy = sin(1/x)
トポロジストの正弦曲線。右から左へ進むほど振動が速くなり、左端の太い縦線分 J にいくらでも近づくが、有限の道でそこへ到達することはできない。

Definition 8.1トポロジストの正弦曲線

R2\mathbb{R}^2 の部分集合

S={(x,sin1x):0<x1},J={0}×[1,1],T=SJS = \left\{ \left(x, \sin \tfrac{1}{x}\right) : 0 < x \le 1 \right\}, \qquad J = \{0\} \times [-1,1], \qquad T = S \cup J

を考えます。TTR2\mathbb{R}^2 からの相対位相を入れたものをトポロジストの正弦曲線といいます。

Proposition 8.2連結だが弧状連結でない空間

上の TT について次が成り立ちます。

  1. TT は連結である。
  2. TT は弧状連結でない。
Proof(Proposition 8.2)

(1) まず SS が連結であることを見ます。写像 σ:(0,1]R2\sigma : (0,1] \to \mathbb{R}^2σ(x)=(x,sin(1/x))\sigma(x) = (x, \sin(1/x)) は各成分が連続なので連続であり、S=σ((0,1])S = \sigma((0,1]) です。(0,1](0,1] は区間なので Theorem 4.1 より連結、よって Theorem 5.1 より SS は連結です。

次に S=T\overline{S} = T(閉包は R2\mathbb{R}^2 で取る)を示します。

JSJ \subseteq \overline{S}y[1,1]y \in [-1,1] を取り、sinθ=y\sin \theta = y なる θ[0,2π)\theta \in [0, 2\pi) を選びます。nNn \in \mathbb{N} に対し xn=1/(θ+2πn)x_n = 1/(\theta + 2\pi n) と置くと、nn が十分大きければ 0<xn10 < x_n \le 1 であり、sin(1/xn)=sin(θ+2πn)=y\sin(1/x_n) = \sin(\theta + 2\pi n) = y なので (xn,y)S(x_n, y) \in S です。xn0x_n \to 0 なので (xn,y)(0,y)(x_n,y) \to (0,y)、よって (0,y)S(0,y) \in \overline{S}

ST\overline{S} \subseteq TTT が閉集合であることを言えば十分です。(a,b)T(a,b) \notin T とします。a<0a < 0 または a>1a > 1 なら、TT と交わらない小さな球が明らかに取れます。a=0a = 0 の場合は b>1|b| > 1 であり、TT のすべての点の第 2 成分は絶対値 11 以下なので、半径 b1|b| - 1 の球は TT と交わりません。0<a10 < a \le 1 の場合は bsin(1/a)b \ne \sin(1/a) であり、xsin(1/x)x \mapsto \sin(1/x)aa の近くで連続なので、r>0r > 0 を十分小さく取れば xa<r|x - a| < r のとき sin(1/x)b>r|\sin(1/x) - b| > r とでき、この球も TT と交わりません。よって R2T\mathbb{R}^2 \setminus T は開で、TT は閉です。

以上より ST=SS \subseteq T = \overline{S} なので、Proposition 5.4A=SA = SB=TB = T に適用して TT は連結です。

(2) 背理法で示します。TT が弧状連結だとすると、(0,0)J(0,0) \in J から (1,sin1)S(1, \sin 1) \in S への道 γ:[0,1]T\gamma : [0,1] \to T が存在します。γ(t)=(x(t),y(t))\gamma(t) = (x(t), y(t)) と成分で書くと、x,y:[0,1]Rx, y : [0,1] \to \mathbb{R} は連続です(射影が連続だから)。

A={t[0,1]:x(t)=0}=x1({0})A = \{t \in [0,1] : x(t) = 0\} = x^{-1}(\{0\}) と置きます。xx は連続、{0}\{0\}R\mathbb{R} の閉集合なので AA[0,1][0,1] の閉集合であり、x(0)=0x(0) = 0 より AA \ne \varnothing[0,1][0,1] は有界なので t0=supAt_0 = \sup A が存在し、AA が閉であることから t0At_0 \in A、すなわち γ(t0)=(0,y0)\gamma(t_0) = (0, y_0)y01|y_0| \le 1 です。x(1)=10x(1) = 1 \ne 0 より t0<1t_0 < 1、そして t0t_0 の取り方から t>t0t > t_0 なら x(t)>0x(t) > 0 です(xx の値は TT の第 1 成分なので非負)。

γ\gammat0t_0 で連続なので、ε=1/2\varepsilon = 1/2 に対して δ>0\delta > 0 が存在し、tt0<δ|t - t_0| < \delta かつ t[0,1]t \in [0,1] ならば γ(t)γ(t0)<1/2\|\gamma(t) - \gamma(t_0)\| < 1/2 となります。t1=min{t0+δ/2, 1}t_1 = \min\{t_0 + \delta/2,\ 1\} と置くと t0<t1t_0 < t_1 であり、[t0,t1][t_0, t_1] 上ではつねに γ(t)γ(t0)<1/2\|\gamma(t) - \gamma(t_0)\| < 1/2 です。

a=x(t1)>0a = x(t_1) > 0 と置きます。xx[t0,t1][t_0,t_1] 上連続で x(t0)=0x(t_0) = 0x(t1)=ax(t_1) = a なので、Theorem 6.1 より xx00aa の間のすべての値を [t0,t1][t_0,t_1] 上で取ります。そこで nn

12πn+π/2<aかつ12πn+3π/2<a\frac{1}{2\pi n + \pi/2} < a \quad \text{かつ} \quad \frac{1}{2\pi n + 3\pi/2} < a

となるほど大きく取ります(左辺はどちらも nn \to \infty00 に収束するので可能)。すると u,v[t0,t1]u, v \in [t_0, t_1]

x(u)=12πn+π/2,x(v)=12πn+3π/2x(u) = \frac{1}{2\pi n + \pi/2}, \qquad x(v) = \frac{1}{2\pi n + 3\pi/2}

なるものが存在します。x(u),x(v)>0x(u), x(v) > 0 なので γ(u),γ(v)S\gamma(u), \gamma(v) \in S であり、したがって

y(u)=sin(2πn+π2)=1,y(v)=sin(2πn+3π2)=1.y(u) = \sin\left(2\pi n + \tfrac{\pi}{2}\right) = 1, \qquad y(v) = \sin\left(2\pi n + \tfrac{3\pi}{2}\right) = -1.

ゆえに γ(u)γ(v)y(u)y(v)=2\|\gamma(u) - \gamma(v)\| \ge |y(u) - y(v)| = 2 です。ところが三角不等式より

γ(u)γ(v)γ(u)γ(t0)+γ(t0)γ(v)<12+12=1\|\gamma(u) - \gamma(v)\| \le \|\gamma(u) - \gamma(t_0)\| + \|\gamma(t_0) - \gamma(v)\| < \tfrac12 + \tfrac12 = 1

となり、2γ(u)γ(v)<12 \le \|\gamma(u)-\gamma(v)\| < 1 という矛盾が生じます。よって TT は弧状連結ではありません。

Remark 8.3

証明の急所は「道は有限時間で JJ を離れなければならないのに、離れた瞬間から振幅 22 の振動をすべて通過させられてしまう」という点です。TT の点は JJ にいくらでも近づけますが、近づく道筋自体が無限に暴れるため、連続な道としては歩けません。つまり連結性は「分けられない」という大域的な条件であるのに対し、弧状連結性は「有限の手続きで到達できる」という構成的な条件で、後者のほうが真に強いということです。

9. 連結成分と、Rn\mathbb{R}^n の開集合での一致

Section titled “9. 連結成分と、Rn\mathbb{R}^nRn の開集合での一致”

非連結な空間も、連結な部分に分解して理解できます。

Definition 9.1連結成分

位相空間 XX の点 x,yx, y に対し、xxyy をともに含む連結部分集合が存在するとき xyx \sim y と書きます。\sim は同値関係であり(下の Proposition 9.2 の (1))、その同値類を XX連結成分(connected component)といいます。xx を含む連結成分を C(x)C(x) と書きます。

Proposition 9.2連結成分の基本性質

XX を位相空間とします。

  1. \simXX 上の同値関係である。
  2. C(x)C(x) は連結であり、xx を含む連結部分集合のうち包含に関して最大のものである。
  3. C(x)C(x)XX の閉集合である。
  4. XX は連結成分の非交和として分割される。
Proof(Proposition 9.2)

(1) 反射律:{x}\{x\} は連結(Remark 2.2)で xx を含むので xxx \sim x。対称律:定義が x,yx, y について対称なので明らかです。推移律:xyx \sim yyzy \sim z とすると、連結集合 Ax,yA \ni x, yBy,zB \ni y, z が取れます。yABy \in A \cap B なので Proposition 5.3 より ABA \cup B は連結で、x,zABx, z \in A \cup B。よって xzx \sim z

(2) A={AX:A は連結,xA}\mathcal{A} = \{A \subseteq X : A \text{ は連結}, x \in A\} と置くと、{x}A\{x\} \in \mathcal{A} なので A\mathcal{A} \ne \varnothing であり、すべての元が xx を含むので Proposition 5.3 より A\bigcup \mathcal{A} は連結です。一方、yC(x)y \in C(x)xyx \sim y、つまり x,yx, y をともに含む連結集合 AA が存在することを意味し、この AAA\mathcal{A} に属するので yAy \in \bigcup\mathcal{A}。逆に yAy \in \bigcup \mathcal{A} なら yyxx を含むある連結集合に属するので xyx \sim y。よって C(x)=AC(x) = \bigcup\mathcal{A} であり、これは連結で、xx を含む任意の連結集合を含みます。

(3) (2) より C(x)C(x) は連結なので、Proposition 5.4 より閉包 C(x)\overline{C(x)} も連結です。xC(x)x \in \overline{C(x)} なので、(2) の最大性より C(x)C(x)\overline{C(x)} \subseteq C(x)。逆の包含はつねに成り立つので C(x)=C(x)C(x) = \overline{C(x)}、すなわち C(x)C(x) は閉です。

(4) 同値関係の同値類は空間を分割します(同値関係と分割の対応(Theorem 4.4)[関係と同値関係] を参照)。

Remark 9.3

連結成分は閉ですが、開とは限りません。Example 3.2Q\mathbb{Q} では各連結成分は 1 点集合であり、Q\mathbb{Q} の 1 点集合は開ではありません。一方、成分が必ず開になる十分条件が局所連結性(各点が連結な開近傍からなる基本近傍系をもつこと)です。Rn\mathbb{R}^n とその開集合は局所連結です。

Theorem 9.4ユークリッド空間の開集合では連結と弧状連結が一致する

URnU \subseteq \mathbb{R}^n を開集合とします。このとき次は同値です。

  1. UU は連結である。
  2. UU は弧状連結である。
  3. UU の任意の 2 点は、UU に含まれる折れ線(有限個の線分をつないだもの)で結べる。
Proof(Theorem 9.4)

U=U = \varnothing のときはすべて成り立つので UU \ne \varnothing とします。(3)(2)(3) \Rightarrow (2) は、折れ線が Lemma 7.2 による道のつなぎ合わせで得られる連続写像だから成立します。(2)(1)(2) \Rightarrow (1)Theorem 7.3 です。(1)(3)(1) \Rightarrow (3) の証明は Appendix に回します。

Example 9.5除点による同相の判定

Corollary 5.2 の使い方の典型は「点を除く」操作です。R\mathbb{R} から 1 点 aa を除くと (,a)(a,)(-\infty,a) \cup (a,\infty) となり、これは分離をもつので非連結です。一方 R2\mathbb{R}^2 から 1 点 p\boldsymbol{p} を除いた R2{p}\mathbb{R}^2 \setminus \{\boldsymbol{p}\} は弧状連結です:2 点 x,y\boldsymbol{x}, \boldsymbol{y} を結ぶ線分が p\boldsymbol{p} を通るなら、p\boldsymbol{p} を通らない第 3 の点を経由して 2 本の線分をつなげばよく、Lemma 7.2 よりこれは道です。よって Theorem 7.3 より連結です。

もし同相写像 h:RR2h : \mathbb{R} \to \mathbb{R}^2 が存在したとすると、hh の制限は R{a}\mathbb{R} \setminus \{a\} から R2{h(a)}\mathbb{R}^2 \setminus \{h(a)\} への同相写像を与えます(全単射であり、制限は相対位相について両方向連続)。しかし左辺は非連結、右辺は連結なので Corollary 5.2 に矛盾します。よって R\mathbb{R}R2\mathbb{R}^2 は同相ではありません。

同じ論法で、閉区間 [0,1][0,1] と円周 S1S^1 も同相ではありません。S1S^1 から 1 点を除いた空間は開区間と同相なので連結ですが、[0,1][0,1] から内点 1/21/2 を除くと [0,1/2)(1/2,1][0,1/2) \cup (1/2,1] となり非連結だからです。

Exercise 10.1

A,BA, B を位相空間 XX の連結部分集合とし、AB\overline{A} \cap B \ne \varnothing とします。ABA \cup B が連結であることを示してください(AB=A \cap B = \varnothing でもよいことに注意)。

Solution

pABp \in \overline{A} \cap B を取ります。AA{p}AA \subseteq A \cup \{p\} \subseteq \overline{A} なので、Proposition 5.4 より A{p}A \cup \{p\} は連結です。いま A{p}A \cup \{p\}BB はともに連結で、共通点 pp をもつので、Proposition 5.3 より

(A{p})B=AB(A \cup \{p\}) \cup B = A \cup B

は連結です(最後の等号は pBp \in B による)。

具体例として X=R2X = \mathbb{R}^2A={(x,sin(1/x)):0<x1}A = \{(x,\sin(1/x)) : 0 < x \le 1\}B={(0,0)}B = \{(0,0)\} を取れば、AB=A \cap B = \varnothing でも ABA \cup B が連結であることが分かります。

Exercise 10.2標準

XX を連結な位相空間とし、f:XZf : X \to \mathbb{Z} を連続写像とします(Z\mathbb{Z} には R\mathbb{R} からの相対位相を入れます)。ff が定数であることを示してください。またこれを用いて、連結空間 XX 上の連続関数 g:XRg : X \to \mathbb{R} が各点で g(x)2=1g(x)^2 = 1 を満たすならば g1g \equiv 1 または g1g \equiv -1 であることを示してください。

Solution

まず Z\mathbb{Z} が離散空間であることを確認します。nZn \in \mathbb{Z} に対し (n1/2,n+1/2)(n - 1/2, n + 1/2)R\mathbb{R} の開集合で、Z\mathbb{Z} との交わりは {n}\{n\}。よって {n}\{n\}Z\mathbb{Z} の相対開集合であり、任意の部分集合は 1 点集合の合併として開です。

n0=f(x0)n_0 = f(x_0)x0Xx_0 \in X は任意に固定)と置き、A=f1({n0})A = f^{-1}(\{n_0\}) とします。{n0}\{n_0\} は開なので AA は開、Z{n0}\mathbb{Z} \setminus \{n_0\} も開なのでその逆像 XAX \setminus A も開、すなわち AA は閉です。x0Ax_0 \in A より AA \ne \varnothing なので、XX が連結であることと Proposition 3.1 の条件 (2)(2) より A=XA = X。よって fn0f \equiv n_0 です。

後半:g(x)2=1g(x)^2 = 1 より g(x){1,1}Zg(x) \in \{1,-1\} \subseteq \mathbb{Z} なので、gg は連続写像 XZX \to \mathbb{Z} とみなせます(終域の制限は相対位相について連続性を保つ)。前半より gg は定数で、その値は 111-1 です。

Exercise 10.3標準

f:RRf : \mathbb{R} \to \mathbb{R} を連続関数とし、そのグラフ Γ={(x,f(x)):xR}R2\Gamma = \{(x, f(x)) : x \in \mathbb{R}\} \subseteq \mathbb{R}^2 を考えます。Γ\Gamma が連結であることを示してください。さらに、ff の連続性を落とすと結論が壊れる例を挙げてください。

Solution

F:RR2F : \mathbb{R} \to \mathbb{R}^2F(x)=(x,f(x))F(x) = (x, f(x)) と定めます。各成分が連続なので FF は連続であり、Γ=F(R)\Gamma = F(\mathbb{R}) です。R\mathbb{R} は区間なので Theorem 4.1 より連結、よって Theorem 5.1 より Γ\Gamma は連結です。

連続性を落とした例:

f(x)={0(x0)1(x>0)f(x) = \begin{cases} 0 & (x \le 0) \\ 1 & (x > 0) \end{cases}

とすると Γ=((,0]×{0})((0,)×{1})\Gamma = \big((-\infty,0] \times \{0\}\big) \cup \big((0,\infty) \times \{1\}\big) です。R2\mathbb{R}^2 の開集合 W1=R×(12,12)W_1 = \mathbb{R} \times (-\tfrac12, \tfrac12)W2=R×(12,32)W_2 = \mathbb{R} \times (\tfrac12, \tfrac32) を取ると、U=ΓW1U = \Gamma \cap W_1V=ΓW2V = \Gamma \cap W_2 はともに Γ\Gamma の相対開集合で、UU は下側の半直線、VV は上側の半直線に一致し、空でなく、交わらず、合併が Γ\Gamma。よって Γ\Gamma は非連結です。

Exercise 10.4

XX を連結な位相空間とし、XX は少なくとも 2 点をもち、かつハウスドルフ空間であるとします。このとき XX は非可算集合であることを示してください。(ヒント:連続関数の像に Theorem 4.1 を使います。距離空間の場合で考えると見通しがよくなります。)

Solution

XX が距離空間 (X,d)(X,d) の場合を示します(一般のハウスドルフ空間では ウリゾーンの補題(Lemma 6.1)[分離公理と距離づけ可能性] 型の議論が必要で、そこは 分離公理と距離づけ可能性 の話題です)。

相異なる 2 点 p,qXp, q \in X を取り、f(x)=d(x,p)f(x) = d(x,p) と定めます。三角不等式より f(x)f(y)d(x,y)|f(x) - f(y)| \le d(x,y) なので ff は連続(δ=ε\delta = \varepsilon と取ればよい)です。XX は連結なので Theorem 5.1 より f(X)Rf(X) \subseteq \mathbb{R} は連結、したがって Theorem 4.1 より区間です。

f(p)=d(p,p)=0f(p) = d(p,p) = 0f(q)=d(q,p)=:r>0f(q) = d(q,p) =: r > 0pqp \ne q かつ距離の公理より r>0r > 0)がともに f(X)f(X) に属するので、区間性より [0,r]f(X)[0, r] \subseteq f(X) です。[0,r][0,r] は非可算集合であり(実数全体の非可算性(Theorem 6.3)[濃度と無限])、f(X)f(X)XX の像なので #X#f(X)#[0,r]\#X \ge \#f(X) \ge \#[0,r]。よって XX は非可算です(濃度の比較については 濃度と無限 を参照)。

この結果は「連結な距離空間は 1 点でなければ連続体濃度以上」という強い制約で、たとえば可算無限個の点しかもたない距離空間は必ず全不連結になることを意味します。

  • J. R. Munkres, Topology, 2nd ed., Prentice Hall, 2000 — 第 3 章(Connectedness and Compactness)。連結性・弧状連結性・局所連結性・成分の扱いが標準的で、トポロジストの正弦曲線も例として詳しく論じられています。
  • 松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968 — 第 6 章。日本語で書かれた位相入門の定番で、連結性の定義と基本性質が丁寧です。
  • 内田伏一『集合と位相』裳華房、1986 — 連結性の章。証明の細部が省略されておらず、独習に向きます。
  • J. L. Kelley, General Topology, Springer (GTM 27), 1975 — 連結性の章。一般位相空間における連結性の理論を、積空間や商空間との関係まで含めて扱っています。
  • L. A. Steen and J. A. Seebach Jr., Counterexamples in Topology, 2nd ed., Dover, 1995 — 連結性に関する反例のカタログ。トポロジストの正弦曲線とその変種が番号付きで整理されています。

Appendix: 定理「Rn\mathbb{R}^n の連結開集合は折れ線連結」の証明

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証明の方針。 Theorem 9.4(1)(3)(1) \Rightarrow (3) を示します。使うのは Proposition 3.1 の条件 (2)(2)、すなわち「連結空間の開かつ閉な部分集合は自明なものだけ」です。UU の中で「基準点と折れ線で結べる点の集合」を VV と置き、VVUU の中で開かつ閉であることを示せば、VV \ne \varnothing から V=UV = U が従います。この「開かつ閉を示して全体だと結論する」型の議論は連結性の最も典型的な使い方で、微分方程式の解の一意性や被覆空間の持ち上げの一意性でも同じ形が現れます。

設定。 URnU \subseteq \mathbb{R}^n を空でない連結開集合とし、pUp \in U を固定します。

V={xU:p と x は U に含まれる折れ線で結べる}V = \{\, x \in U : p \text{ と } x \text{ は } U \text{ に含まれる折れ線で結べる} \,\}

と置きます。pp 自身は長さ 00 の折れ線(定値写像)で pp と結べるので pVp \in V、したがって VV \ne \varnothing です。

VV は開である。 xVx \in V とします。UU は開なので r>0r > 0 があって開球 B(x,r)UB(x,r) \subseteq U となります。zB(x,r)z \in B(x,r) を任意に取ると、開球は凸なので線分 [x,z][x,z]B(x,r)UB(x,r) \subseteq U に含まれます。xVx \in V より pp から xx への UU 内の折れ線が存在するので、その末尾にこの線分をつなげば pp から zz への UU 内の折れ線が得られます。よって zVz \in V、すなわち B(x,r)VB(x,r) \subseteq Vxx は任意だったので VV は開集合です。

UVU \setminus V も開である。 yUVy \in U \setminus V とします。ふたたび UU が開なので r>0r > 0 があって B(y,r)UB(y,r) \subseteq U。もし zB(y,r)Vz \in B(y,r) \cap V なる点が存在したとすると、pp から zz への UU 内の折れ線に線分 [z,y]B(y,r)U[z,y] \subseteq B(y,r) \subseteq U をつないで pp から yy への折れ線が作れてしまい、yVy \in V となって仮定に反します。よって B(y,r)V=B(y,r) \cap V = \varnothing、すなわち B(y,r)UVB(y,r) \subseteq U \setminus V。したがって UVU \setminus V は開集合です。

結論。 UVU \setminus VUU の開集合であることから VVUU の閉集合でもあります。つまり VVUU の中で開かつ閉であり、VV \ne \varnothingUU は連結なので Proposition 3.1(2)(2) より V=UV = U です。すなわち UU の任意の点は ppUU 内の折れ線で結べます。

任意の x,yUx, y \in U に対しては、pp から xx への折れ線を逆にたどってから pp から yy への折れ線をつなげば(Lemma 7.2 により連続)、xx から yy への UU 内の折れ線が得られます。これで (3)(3) が示されました。

開集合という仮定の必要性。 この定理で UU が開であることは落とせません。Proposition 8.2TT は連結ですが弧状連結ではなく、TTR2\mathbb{R}^2 の開集合ではないからです。「開」という仮定は、各点のまわりに凸な近傍(球)が取れることを保証するために使われました。これは局所弧状連結性という条件の特別な場合であり、証明を読み返すと球の凸性しか使っていないことが分かります。

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