3時間で 3 問、全問必答の構成です。3 問とも同年度の修士課程 物理学の必答問題(第1〜3問)と同一で、量子力学・統計力学・力学の標準的な道具(生成消滅演算子と摂動論、転送行列、ラグランジアンと保存量)を最後まで走らせる体力を問います。第3問の後半は GW150914 を題材にした数値評価まで求められるため、桁と単位の管理が得点を分けます。
| 問題 | 分野 | 主題 |
|---|
| 第1問 | 量子力学 | 生成消滅演算子と四次非調和項の摂動、準古典極限 |
| 第2問 | 統計力学 | 1次元2状態スピン鎖の分配関数・転送行列・相関長 |
| 第3問 | 解析力学・天体物理 | 重力2体問題と連星ブラックホールのインスパイラル |
1次元調和振動子
H0=2m1p2+2mω2x2
を出発点とし、[x,p]=iℏ のもとで生成消滅演算子
a=2ℏmω(x+mωip),a†=2ℏmω(x−mωip),N=a†a
を導入します。後半では V=λx4(λ>0)を加えた H=H0+V を、摂動として、さらに摂動でない場合を準古典的に扱います。1次元束縛ポテンシャル系のハミルトニアンが対角化可能で縮退がないことは既知として使います。この問題は平成31年度 修士課程 物理学 第1問と同一です。
定義式から x+mωip と x−mωip の交換子を計算します。
[x+mωip,x−mωip]=−mωi[x,p]+mωi[p,x]=−mωi(iℏ)+mωi(−iℏ)=mω2ℏ
前の因子 mω/(2ℏ) を掛けて
[a,a†]=1.
これを使えば
[N,a]=[a†a,a]=a†[a,a]+[a†,a]a=−a,[N,a†]=a†[a,a†]+[a†,a†]a=a†.
つぎに N を x,p に戻します。
N=a†a=2ℏmω(x−mωip)(x+mωip)=2ℏmω(x2+m2ω2p2+mωi[x,p])=ℏω1(2mp2+2mω2x2)−21
したがって H0=ℏω(N+21) であり、答えは α=1、β=21 です。
N の固有値を ν、対応する規格化された固有状態を ∣ν⟩ とします。
(i) 非負性は内積の正定値性から直接出ます。
ν=⟨ν∣N∣ν⟩=⟨ν∣a†a∣ν⟩=a∣ν⟩2≥0
等号成立は a∣ν⟩=0 のときに限ります。
(ii) [N,a]=−a より Na∣ν⟩=(aN−a)∣ν⟩=(ν−1)a∣ν⟩ なので、a∣ν⟩ はゼロでなければ固有値 ν−1 の固有状態です。これを繰り返すと ak∣ν⟩ はゼロでなければ固有値 ν−k の固有状態で、そのノルムは
ak∣ν⟩2=ν(ν−1)⋯(ν−k+1)
となります(k=1 が (i) の計算で、あとは ∥a∣ν−k⟩∥2=ν−k を使った帰納法です)。ここで ν が非負整数でないと仮定し、ν を超えない最大の整数を n0 とします。k≤n0+1 のとき ν−k+1≥ν−n0>0 なので上の積の因子はすべて正、つまり an0+1∣ν⟩=0 です。ところがこれは固有値 ν−n0−1 の固有状態であり、−1<ν−n0−1<0 は (i) に反します。よって ν は非負整数でなければなりません。逆に ν=n が非負整数なら ∥an+1∣n⟩∥2=n(n−1)⋯1⋅0=0 となって連鎖がちょうど止まり、矛盾は生じません。
N の固有値は 0,1,2,… に限られ、∥a†∣n⟩∥2=⟨n∣(N+1)∣n⟩=n+1>0 から a† を作用させれば固有値は 1 ずつ上がり続けます。したがって固有値の集合はちょうど {0,1,2,…} で、縮退がないので低い順に番号を付ければ n 番目の固有値が n です。H0=ℏω(N+21) より
En=ℏω(n+21).
固有状態は a†∣n⟩ のノルムが n+1 であることから ∣n+1⟩=n+1a†∣n⟩(位相の自由度は規格化された固有状態の任意性として吸収します)。これを繰り返して
∣n⟩=n!1(a†)n∣0⟩(n≥1).
(i) H=H0+V の固有値問題を V の次数で展開します。H0∣k⟩=Ek(0)∣k⟩、Vkl=⟨k∣V∣l⟩ とし、摂動を受けた固有状態を ∣n⟩+∣n(1)⟩+⋯、固有値を En(0)+En(1)+⋯ と書きます。位相と規格化の自由度を使って ⟨n∣n(1)⟩=0 と取ります。1次の項を集めると
H0∣n(1)⟩+V∣n⟩=En(0)∣n(1)⟩+En(1)∣n⟩.
左から ⟨n∣ を掛けると ⟨n∣H0=En(0)⟨n∣ より第1項が消えて
En(1)=Vnn.
左から ⟨k∣(k=n)を掛けると、∣n(1)⟩=∑k=nck(1)∣k⟩ として
ck(1)=En(0)−Ek(0)Vkn.
2次の項は
H0∣n(2)⟩+V∣n(1)⟩=En(0)∣n(2)⟩+En(1)∣n(1)⟩+En(2)∣n⟩
で、左から ⟨n∣ を掛けて ⟨n∣n(1)⟩=0 を使うと En(2)=⟨n∣V∣n(1)⟩、すなわち
En(2)=k=n∑En(0)−Ek(0)VnkVkn=k=n∑En(0)−Ek(0)∣Vnk∣2.
縮退がないので分母はどこでも 0 になりません。
(ii) x=ℓ(a+a†)、ℓ≡2mωℏ と書き、(a+a†)4∣0⟩ を順に作用させます。
(a+a†)∣0⟩(a+a†)∣1⟩(a+a†)(∣0⟩+2∣2⟩)(a+a†)(3∣1⟩+6∣3⟩)=∣1⟩,=∣0⟩+2∣2⟩,=3∣1⟩+6∣3⟩,=3∣0⟩+62∣2⟩+26∣4⟩.
よって x4∣0⟩=ℓ4(3∣0⟩+62∣2⟩+26∣4⟩) で、V=λx4 の行列要素は
V00=3λℓ4,V20=62λℓ4,V40=26λℓ4,
それ以外の k では Vk0=0 です(ℓ4=ℏ2/(4m2ω2))。x4 が偶パリティなので奇数の k が落ち、(a+a†)4 が生成演算子を 4 個までしか含まないので k≥5 も落ちます。V00=3λℓ4 は、幅 ⟨x2⟩0=ℓ2 のガウス分布に対する ⟨x4⟩=3⟨x2⟩2 と一致します。
基底状態のエネルギーは E0(0)−Ek(0)=−kℏω を使って
E0=2ℏω+3λℓ4+−2ℏω(62λℓ4)2+−4ℏω(26λℓ4)2+O(λ3)=2ℏω+3λℓ4−ℏωλ2ℓ8(272+424)+O(λ3)=2ℏω+4m2ω23ℏ2λ−8m4ω521ℏ3λ2+O(λ3).
答えは E0=2ℏω[1+23m2ω3ℏλ−421(m2ω3ℏλ)2+⋯] です。ℏλ/(m2ω3)=λℓ4/(ℏω)×4 の形なので括弧の中は無次元で、展開は λℓ4≪ℏω、つまり非調和項の典型的な大きさが準位間隔よりずっと小さいときに有効です。
n が大きいと転回点 x0 も大きくなり、λx4 と 21mω2x2 の比 2λx02/(mω2) は発散するので、高い準位では四次項が支配します。ボーア・ゾンマーフェルト量子化
∮pdx=2∫−x0x02m(E−λx4)dx=2πℏ(n+21),x0=(λE)1/4
において x=x0u と置くと
∮pdx=22mEx0∫−111−u4du=c0mλ−1/4E3/4,c0=22∫−111−u4du≃4.9
となり、位相空間の面積は E3/4 に比例します。これを 2πℏn と等置すると E3/4∝n、すなわち
En∝n4/3(En∼ℏ4/3λ1/3m−2/3n4/3).
答えは n の 4/3 乗です。一般に V∝∣x∣s では同じ計算で En∝n2s/(s+2) となり、s=2 で n1(調和振動子)、s=4 で n4/3、s→∞ で n2(無限井戸)に一致します。ℏ4/3λ1/3m−2/3 の次元は、[λ]=J/m4 を代入すればエネルギーになることが確かめられます。
L 個のスピン変数 Si が x^=(1,0,0) か y^=(0,1,0) の 2 値をとり、開いた鎖のエネルギーが
E(S1,…,SL)=−Ji=1∑L−1Si⋅Si+1,J>0
で与えられる古典系です。x^⋅x^=y^⋅y^=1、x^⋅y^=0 なので、各ボンドは両端が同じ向きなら −J、直交していれば 0 を寄せるだけです。逆温度は β=1/(kBT)、分配関数は ZL(β) とします。この問題は平成31年度 修士課程 物理学 第2問と同一です。
L=2 の配置は 4 通りです。
(x^,x^):(x^,y^): E=−J, E=0,(y^,y^):(y^,x^): E=−J, E=0.
したがって
Z2(β)=2eβJ+2=2(eβJ+1).
L=3 の配置は 8 通りで、エネルギーは隣接する平行ペアの個数で決まります。
(x^,x^,x^), (y^,y^,y^):(x^,x^,y^), (y^,x^,x^), (x^,y^,y^), (y^,y^,x^):(x^,y^,x^), (y^,x^,y^):E=−2JE=−JE=0
内訳は E=−2J が 2 通り、E=−J が 4 通り、E=0 が 2 通りです。よって
Z3(β)=2e2βJ+4eβJ+2=2(eβJ+1)2.
L−1 個のスピンからなる鎖の各配置に、右端に SL を継ぎ足すことを考えます。追加されるボルツマン因子は SL=SL−1 なら eβJ、そうでなければ 1 で、その和 eβJ+1 は SL−1 の向きによらない定数です。したがって
ZL(β)=(eβJ+1)ZL−1(β)(L≥3)
が成り立ち、Z2=2(eβJ+1) から
ZL(β)=2(eβJ+1)L−1.
L=2,3 で設問1・2 の結果を再現します。この式は、L−1 本のボンドがそれぞれ独立に「平行(重み eβJ)か直交(重み 1)」を選び、さらに左端のスピンの向きに 2 通りの自由度がある、という数え方に対応します。
FL(β)=−β1lnZL(β)=−β1[ln2+(L−1)ln(1+eβJ)].
内部エネルギーは
UL=−∂β∂lnZL=−(L−1)1+eβJJeβJ
なので、L→∞ でスピン 1 個あたりは
u(β)=L→∞limLUL=−1+eβJJeβJ=−1+e−βJJ.
高温極限 βJ→0 では u→−J/2、低温極限 βJ→∞ では u→−J です。
出現確率との関係は次のように読めます。L→∞ ではスピン 1 個あたりのボンド数が 1 に近づき、各ボンドは独立に、両端が平行である確率
p∥=eβJ+1eβJ=1+e−βJ1
をもちます。平行なボンドのエネルギーは −J、直交なボンドは 0 なので u=−Jp∥ です。高温極限では 1 本のボンドの 4 通りの配置がすべて等確率に現れ、そのうち 2 通りが平行なので p∥=1/2、したがって u=−J/2 になります。低温極限ではボルツマン因子 eβJ が効いて平行な配置しか現れず、p∥→1、つまり全スピンが揃った 2 つの基底状態(エネルギー −J(L−1))に確率が集中して u→−J となります。
S1=a^ に固定した和を L−1 番目まで取ったあと、右端に SL=b^ を継ぎ足す操作を書き下します。ボンドの重みを w(c^,b^)=eβJ(c^=b^)、w(c^,b^)=1(c^=b^)と書くと
ZLPL(a^,b^)=c^∑[ZL−1PL−1(a^,c^)]w(c^,b^)
であり、設問3 の ZL−1/ZL=1/(eβJ+1) を使えば式(2)の形になります。したがって
(Q(x^,x^)Q(y^,x^)Q(x^,y^)Q(y^,y^))=eβJ+11(eβJ11eβJ),
すなわち Q(x^,x^)=Q(y^,y^)=eβJ+1eβJ、Q(x^,y^)=Q(y^,x^)=eβJ+11 です。各行の和が 1 になっており、Q(a^,b^) は SL−1=a^ を与えたときに SL=b^ となる条件付き確率だと解釈できます。
設問6 の関係を繰り返すと、PL=P2QL−2 です。L=2 では設問1 から
P2=2(eβJ+1)1(eβJ11eβJ)=21Q
なので PL=21QL−1 となります。Q の固有値は固有ベクトル (1,1) に対して 1、(1,−1) に対して
q≡eβJ+1eβJ−1=tanh2βJ
なので、対応する射影演算子を使って
QL−1=21(1+qL−11−qL−11−qL−11+qL−1),PL(x^,x^)=PL(y^,y^)=41+qL−1.
a^⋅b^ は両者が同じ向きのときだけ 1 なので
⟨S1⋅SL⟩=PL(x^,x^)+PL(y^,y^)=21[1+(eβJ+1eβJ−1)L−1]=21+21tanhL−12βJ.
L=2 で eβJ/(eβJ+1)=p∥ となり設問5 の結果と、β→0 で 1/2(無相関)、β→∞ で 1(完全に揃う)となり物理的な期待と一致します。
式(3)と比べれば A=B=21、かつ exp(−1/ξ)=q、すなわち
ξ=−lntanh(βJ/2)1=lncoth(βJ/2)1.
高温極限 βJ≪1 では tanh(βJ/2)≃βJ/2 なので
ξ≃ln(2/βJ)1,
これは 1 サイト分より短く、隣同士でしか相関が残らないことを表します。低温極限 βJ≫1 では tanh(βJ/2)=1+e−βJ1−e−βJ≃1−2e−βJ より lntanh(βJ/2)≃−2e−βJ なので
ξ≃21eβJ.
相関長は T→0 で指数関数的に発散します。1 本のボンドを反転させる励起エネルギーが J で、そのような「ドメイン壁」の平均間隔が ∼eβJ になる、という描像です。有限温度では ξ が有限なので、この 1 次元系には有限温度の秩序相がありません。
質量 m1,m2 の 2 質点が相互の重力で束縛運動する系を、相対座標 r=r2−r1 の軌道面極座標 (r,φ) で記述します。M=m1+m2、μ=m1m2/(m1+m2) として
L=21μ(dtdr)2+21μr2(dtdφ)2+rGμM
が与えられています。後半では重力波放射によるエネルギー損失を、ニュートン力学の枠内で半径 a(t) の準円軌道の断熱的な縮みとして扱い、E=−GμM/(2a) と放射率
LGW=5c532G4a5μ2M3
を使います。μ,M の時間変化は無視します。この問題は平成31年度 修士課程 物理学 第3問と同一です。
∂r˙∂L=μr˙、∂r∂L=μrφ˙2−r2GμM より
μdt2d2r=μr(dtdφ)2−r2GμM.
φ は L に現れないので
dtd(μr2dtdφ)=0.
L が t を陽に含まないので、エネルギーは E=r˙∂L/∂r˙+φ˙∂L/∂φ˙−L で与えられます。
E=21μ(dtdr)2+21μr2(dtdφ)2−rGμM,J=∂φ˙∂L=μr2dtdφ.
J については、L が φ を含まないので
dtdJ=dtd∂φ˙∂L=∂φ∂L=0.
E については直接微分して運動方程式を代入します。
dtdE=μr˙r¨+μrr˙φ˙2+μr2φ˙φ¨+r2GμMr˙
に、設問1 の μr¨=μrφ˙2−GμM/r2 と、dtd(μr2φ˙)=0 から従う μr2φ¨=−2μrr˙φ˙ を入れると
dtdE=(μrr˙φ˙2−r2GμMr˙)+μrr˙φ˙2−2μrr˙φ˙2+r2GμMr˙=0.
よって E と J はいずれも運動の定数です。前者は L の時間並進対称性、後者は軌道面内の回転対称性に対応します。
E=−2aGμM を時間で微分すると dtdE=2a2GμMdtda です。これを dE/dt=−LGW に代入して
2a2GμMdtda=−5c532G4a5μ2M3⟹dtda=−5c564G3a3μM2.
右辺が負なので軌道は縮み続けます。a3 が分母にあるため縮みは加速し、有限時間で a→0 に達します。
dtdP=−A(PPc)5/3 を変数分離して
P5/3dP=−APc5/3dt⟹83(P8/3−P08/3)=−APc5/3t.
P=0 となる時刻が合体時刻なので
τGW=8APc5/33P08/3=8A3Pc(PcP0)8/3.
A が無次元、Pc が時間の次元なので右辺は時間の次元をもちます。
ケプラーの方程式 GMP2=4π2a3 を微分すると 2GMPP˙=12π2a2a˙、すなわち
dtdP=GMP6π2a2dtda.
設問4 の結果を入れると
dtdP=−GMP6π2a2⋅5c5a364G3μM2=−5c5Pa384π2G2μM,
さらに a=(4π2GM)1/3P2/3 を代入して
dtdP=−5384π2(4π2)1/3c5G5/3μM2/3P−5/3=−596(2π)8/3(c3Gμ3/5M2/5)5/3P−5/3.
これが式(6)です。比較すれば
Pc=c3Gμ3/5M2/5,α=53,β=52,γ=−3,
A=5384⋅22/3π8/3=596(2π)8/3≃2.6×103.
Pc の次元は、[G]=m3kg−1s−2 から m3−3kg−1+3/5+2/5s−2+3=s となり時間で正しく、α+β=1 と γ=−3 は次元解析だけからも決まります。μ3/5M2/5 はチャープ質量と呼ばれる組み合わせで、重力波の周期変化から直接読み取れる質量はこれです。
設問5 の結果を Pc について解きます。
Pc=(8AτGW3)3/5P08/5
等質量 m の連星では M=2m、μ=m/2 なので μ3/5M2/5=(m/2)3/5(2m)2/5=2−1/5m、したがって
Pc=21/5c3Gm⟹M⊙m=21/5PcGM⊙c3.
数値を入れます。8AτGW3=8×2500×0.153=1.0×10−3 なのでその 3/5 乗は 10−1.8、また P08/5=(6×10−2)8/5=6⋅63/5×10−3.2≃6×2.9×10−3.2=17.4×10−3.2 です。よって
Pc≃17.4×10−1.8−3.2=1.7×10−4s.
2GM⊙/c3≈10−5s すなわち GM⊙/c3≈5×10−6s を使って
M⊙m≃5×10−61.1×1.74×10−4≃38.
答えは m≈4×101M⊙、太陽質量の 40 倍程度です。GW150914 の実際の推定値(約 30 から 36 太陽質量)と同じ桁に収まっています。
μ,M を一定として、a0 から amin まで縮む間に系が失うエネルギー Erad=E(a0)−E(amin) は
Erad=2aminGμM−2a0GμM≃2aminGμM
です(a0≫amin を使いました)。a が amin に達したあとは放射されないと仮定するので、これが放射された重力波の全エネルギーで、それが m の約 1 割に相当する静止エネルギー 0.1mc2 に等しいとします。等質量なので μM=2m⋅2m=m2 で
2aminGm2=10mc2⟹amin=c25Gm.
これが求める関係式です。1 つのブラックホールのシュワルツシルト半径 rs=2Gm/c2 を使えば amin=2.5rs で、2 つの地平面(合わせて 2rs)がちょうど触れ合う直前のスケールになっており、ニュートン的な 2 質点描像が破綻する距離として妥当です。設問7 の m≈38M⊙ を入れると GM⊙/c2=c⋅(GM⊙/c3)≈1.5km より amin≈5×38×1.5km≈3×102km です。
出典: 東京大学大学院理学系研究科 物理学専攻 平成31年度 博士課程 入学試験問題 物理学。問題文は要約して引用しています。
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