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曲線と曲面:Frenet–Serret から Theorema Egregium・Gauss–Bonnet・Hadamard の卵形面定理まで

対象読者: 学部の微積分(多変数の微分・重積分)と線形代数(内積・対称行列の対角化)、ベクトル解析の積分定理を学んだ人。多様体や接バンドルの一般論は仮定しません。

前提となる記事:ベクトル解析と積分定理:グリーン・ガウス・ストークスを一本の線で結ぶ、スペクトル定理:対称行列はなぜ「回転だけ」で対角化できるのか、接ベクトル空間と接バンドル:曲がった空間で「速度」を定義する三つの流儀

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ボールの表面の地図を、破らず伸ばさずに平らな紙に描くことはできません。一方、紙を丸めて筒にするのは簡単です。この違いは、曲がった面の「曲がり具合」を数で測ると説明できます。この記事では、まず空間の曲線の曲がり方を 2 つの数で表し、次に曲面の曲がり方を測る方法を作ります。読み終えると、地図が必ず歪む理由と、曲がり具合の合計が曲面の穴の数で決まるという定理を、証明つきで追えるようになります。

  • 空間曲線は、曲率 κ\kappa と捩率 τ\tau という 2 つの関数で、剛体運動(回転と平行移動のこと)を除いて決まります(Frenet–Serret の公式と基本定理、定理 2.2・定理 2.4)。
  • R3\mathbb{R}^3 内の曲面には、長さを測る第一基本形式 II と、曲がり方を測る第二基本形式 IIII があります。IIII からGauss 曲率 KK(主曲率の積)が決まります。
  • Theorema Egregium(定理 5.2): KK は外の空間への曲がり方 IIII を使って定義されるのに、実は II(と、その微分)だけで書けます。曲面の中に住む住人にも測れる量です。
  • Gauss–Bonnet の定理(定理 6.3): コンパクトな向き付け可能曲面(表と裏を区別できる、閉じた曲面)で ∫SK dA=2πχ(S)\int_SK\,dA=2\pi\chi(S)。曲率の積分が位相不変量になります。χ(S)\chi(S) は Euler 標数と呼ばれる整数で、球面では 2、トーラスでは 0 です。
  • Hadamard の卵形面定理(定理 7.1): K>0K>0 のコンパクト連結曲面は球面と同相な凸曲面です。証明には被覆空間と基本群の理論が効きます。

1. 動機と、このテーマの見通し

Section titled “1. 動機と、このテーマの見通し”

微分幾何学は、「曲がった空間の上で微積分と幾何を行う」学問です。出発点は 19 世紀初頭の Gauss による、R3\mathbb{R}^3 の中の曲線と曲面の研究でした。球面の地図を平面に歪みなく描けない、という経験的な事実は、Gauss の Theorema Egregium(驚くべき定理)で厳密に説明されます。曲面の曲がり方の本質的な部分は、その曲面上の長さの測り方だけで決まってしまう。この発見が Riemann の一般的な「計量」の概念につながります。

このテーマ全体の見通しを述べます。この記事(学部の幾何)で曲線・曲面の言葉を整えたあと、(2) 外の空間なしに計量だけから共変微分(Levi-Civita 接続)を定義し、(3) 曲率テンソルを導入し、(4) 測地線と完備性を調べ、(5) Hodge 理論で微分形式と幾何を結び、(6) 主束と接続、Chern–Weil 理論へ進みます。一般相対論やゲージ理論の数学的な基礎です。この記事の主役の Gauss 曲率・Gauss–Bonnet は、そのすべてで「曲率の積分が位相を反映する」という形で再登場します。

他の記事との関係も整理します。多様体としての扱いは微分可能多様体にあり、ここでは R3\mathbb{R}^3 の中の部分多様体に限って、座標を使った具体的な計算を行います。位相的な道具としては、基本群と被覆空間(基本群と被覆空間)、Euler 標数(胞体ホモロジーと写像度)を使います。

I⊂RI\subset\mathbb{R} を区間とし、α:I→R3\alpha:I\to\mathbb{R}^3 を C∞C^\infty 級の曲線とします。α′(t)≠0\alpha'(t)\ne0 のとき正則といいます。正則曲線は弧長

s(t)=∫t0t∣α′(u)∣ dus(t)=\int_{t_0}^t|\alpha'(u)|\,du

で再パラメータ化できて(ss は単調増加で逆関数定理 定理 4.1[逆関数定理・陰関数定理と条件付き極値] により C∞C^\infty)、∣α′∣=1|\alpha'|=1 とできます(単位速度)。以下 ′' は ss での微分です。

定義 2.1(曲率・捩率・Frenet 標構)↗

単位速度曲線 α\alpha の単位接ベクトルを T=α′T=\alpha' とする。∣T∣=1|T|=1 より ⟨T′,T⟩=0\langle T',T\rangle=0。曲率 κ=∣T′∣≥0\kappa=|T'|\ge0 とし、κ>0\kappa>0 のとき主法線ベクトル N=T′/κN=T'/\kappa、従法線ベクトル B=T×NB=T\times N を定める。(T,N,B)(T,N,B) は各点で正規直交基底(右手系)で、Frenet 標構という。捩率 τ=⟨N′,B⟩\tau=\langle N',B\rangle とする。

定理 2.2(Frenet–Serret の公式)✓

κ>0\kappa>0 の単位速度曲線に対し

(TNB)′=(0κ0−κ0τ0−τ0)(TNB).\begin{pmatrix}T\\N\\B\end{pmatrix}'=\begin{pmatrix}0&\kappa&0\\-\kappa&0&\tau\\0&-\tau&0\end{pmatrix}\begin{pmatrix}T\\N\\B\end{pmatrix}.
証明(定理 2.2)

T′=κNT'=\kappa N は定義。(T,N,B)(T,N,B) は正規直交基底なので、任意のベクトルは ⟨⋅,T⟩T+⟨⋅,N⟩N+⟨⋅,B⟩B\langle\cdot,T\rangle T+\langle\cdot,N\rangle N+\langle\cdot,B\rangle B と展開できます。N′N' について: ⟨N′,N⟩=0\langle N',N\rangle=0、⟨N′,T⟩=−⟨N,T′⟩=−κ\langle N',T\rangle=-\langle N,T'\rangle=-\kappa、⟨N′,B⟩=τ\langle N',B\rangle=\tau (定義)。B′B' について: ⟨B′,B⟩=0\langle B',B\rangle=0、⟨B′,T⟩=−⟨B,T′⟩=−κ⟨B,N⟩=0\langle B',T\rangle=-\langle B,T'\rangle=-\kappa\langle B,N\rangle=0、⟨B′,N⟩=−⟨B,N′⟩=−τ\langle B',N\rangle=-\langle B,N'\rangle=-\tau。

例 2.3(常螺旋)

α(s)=(acos⁡sc, asin⁡sc, bsc)\alpha(s)=(a\cos\frac sc,\ a\sin\frac sc,\ \frac{bs}c), c=a2+b2c=\sqrt{a^2+b^2} (a>0a>0) は単位速度で、T′=ac2(−cos⁡sc,−sin⁡sc,0)T'=\frac a{c^2}(-\cos\frac sc,-\sin\frac sc,0) より κ=ac2\kappa=\frac a{c^2}、N=(−cos⁡sc,−sin⁡sc,0)N=(-\cos\frac sc,-\sin\frac sc,0)。B=T×N=1c(bsin⁡sc,−bcos⁡sc,a)B=T\times N=\frac1c(b\sin\frac sc,-b\cos\frac sc,a) で B′=bc2(cos⁡sc,sin⁡sc,0)=−bc2NB'=\frac b{c^2}(\cos\frac sc,\sin\frac sc,0)=-\frac b{c^2}N より τ=bc2\tau=\frac b{c^2}。どちらも定数です。

定理 2.4(空間曲線の基本定理)✓

κ,τ:I→R\kappa,\tau:I\to\mathbb{R} を C∞C^\infty 級関数で κ>0\kappa>0 とする。このとき、曲率 κ\kappa、捩率 τ\tau を持つ単位速度曲線 α:I→R3\alpha:I\to\mathbb{R}^3 が存在し、そのような曲線は剛体運動(回転と平行移動)を除いて一意である。

証明(定理 2.4)

存在: A(s)A(s) を 定理 2.2 の係数行列とし、3×33\times3 行列値関数 FF に対する線形常微分方程式 F′=AFF'=AF, F(s0)=IF(s_0)=I を考えます。右辺は FF について線形増大なので、解は II 全体で存在します(系 6.2[解の存在と一意性])。AA は C∞C^\infty なので FF も C∞C^\infty。AT=−AA^{\mathsf T}=-A から (FFT)′=AFFT+FFTAT=A(FFT)−(FFT)A(FF^{\mathsf T})'=AFF^{\mathsf T}+FF^{\mathsf T}A^{\mathsf T}=A(FF^{\mathsf T})-(FF^{\mathsf T})A ですが、FFT=IFF^{\mathsf T}=I がこの方程式を満たす解であり、初期値も II なので、定理 3.2[解の存在と一意性] から FFT≡IFF^{\mathsf T}\equiv I。よって FF の行は正規直交で、det⁡F\det F は連続かつ ±1\pm1 の値を取り det⁡F(s0)=1\det F(s_0)=1 なので det⁡F≡1\det F\equiv1。FF の行を T,N,BT,N,B とし、α(s)=∫s0sT\alpha(s)=\int_{s_0}^sT とおけば、α′=T\alpha'=T は単位ベクトル、α′′=T′=κN\alpha''=T'=\kappa N から曲率は κ\kappa、NN が主法線、B=T×NB=T\times N(右手系)、τ=⟨N′,B⟩\tau=\langle N',B\rangle が与えられた捩率です。

一意性: α,β\alpha,\beta が同じ κ,τ\kappa,\tau を持つとします。s0s_0 での Frenet 標構(正規直交右手系)を重ねる回転 RR と平行移動 vv を取り、β~=Rβ+v\tilde\beta=R\beta+v を考えます。β~\tilde\beta の Frenet 標構と α\alpha の標構は同じ線形方程式 F′=AFF'=AF を満たし、s0s_0 で一致するので、定理 3.2[解の存在と一意性] により恒等的に一致します。特に β~′=Tα=α′\tilde\beta'=T_\alpha=\alpha' で、s0s_0 で β~=α\tilde\beta=\alpha と取れる(平行移動で調整)ので、β~=α\tilde\beta=\alpha。

曲線の形が κ,τ\kappa,\tau だけで決まるので、κ\kappa は曲がり具合、τ\tau は平面からのねじれ具合を表す不変量です。平面曲線では法線を 90°90° 回転して符号つき曲率 κs\kappa_s を T′=κsNsT'=\kappa_sN_s(Ns=N_s= TT を反時計回りに 90°90° 回転)で定めると、単位接ベクトルの偏角 θ(s)\theta(s)(T=(cos⁡θ,sin⁡θ)T=(\cos\theta,\sin\theta))は θ′=κs\theta'=\kappa_s を満たします。

定義 3.1(正則曲面)↗

S⊂R3S\subset\mathbb{R}^3 が正則曲面であるとは、各点 p∈Sp\in S に対し、開集合 U⊂R2U\subset\mathbb{R}^2 から C∞C^\infty 級写像 x:U→R3x:U\to\mathbb{R}^3 で、SS の開集合(相対位相)への同相写像であり、すべての点で xu×xv≠0x_u\times x_v\ne0(xu=∂x/∂ux_u=\partial x/\partial u など)となるものが存在することをいう。xx を局所パラメータ表示(座標系)という。

以下の段落では、接平面が座標系の取り方によらず曲面そのものから決まることを確かめます。

R3\mathbb{R}^3 の埋め込まれた 2 次元部分多様体(定義 4.1[部分多様体と正則値定理])と同じものです。p=x(u0,v0)p=x(u_0,v_0) での接平面 TpS=span⁡{xu,xv}T_pS=\operatorname{span}\{x_u,x_v\} は座標系によりません。実際、別の座標系 x~\tilde x に対し、x~\tilde x に法線方向を加えた写像 X(u~,v~,w)=x~(u~,v~)+w n~X(\tilde u,\tilde v,w)=\tilde x(\tilde u,\tilde v)+w\,\tilde n(n~\tilde n は単位法線)は w=0w=0 で微分が正則なので、逆関数定理(定理 4.1[逆関数定理・陰関数定理と条件付き極値])により局所微分同相で、x~−1∘x=π∘X−1∘x\tilde x^{-1}\circ x=\pi\circ X^{-1}\circ x(π\pi は最初の 2 成分への射影)は C∞C^\infty です。したがって座標変換は微分同相で、xu,xvx_u,x_v の張る平面は同じです。

接ベクトル同士の内積は R3\mathbb{R}^3 の内積を制限して得ます。

定義 3.2(第一基本形式)↗

座標系 x(u,v)x(u,v) に対し

E=⟨xu,xu⟩,F=⟨xu,xv⟩,G=⟨xv,xv⟩E=\langle x_u,x_u\rangle,\quad F=\langle x_u,x_v\rangle,\quad G=\langle x_v,x_v\rangle

とおく。g=(EFFG)g=\begin{pmatrix}E&F\\F&G\end{pmatrix} は正定値行列(EG−F2=∣xu×xv∣2>0EG-F^2=|x_u\times x_v|^2>0)で、接ベクトル w=axu+bxvw=ax_u+bx_v の長さは ∣w∣2=Ea2+2Fab+Gb2|w|^2=Ea^2+2Fab+Gb^2。この 2 次形式を第一基本形式 I=E du2+2F du dv+G dv2I=E\,du^2+2F\,du\,dv+G\,dv^2 という。

曲面上の曲線 γ(t)=x(u(t),v(t))\gamma(t)=x(u(t),v(t)) の長さは ∫Eu′2+2Fu′v′+Gv′2 dt\int\sqrt{Eu'^2+2Fu'v'+Gv'^2}\,dt、領域 x(D)x(D) の面積は

A=∬DEG−F2 du dvA=\iint_D\sqrt{EG-F^2}\,du\,dv

です。この値は座標系の取り方によりません(変数変換公式 定理 6.7[重積分と累次積分] と、座標変換のヤコビ行列 JJ に対し g′=JTgJg'=J^{\mathsf T}gJ、det⁡g′=det⁡g ∣det⁡J∣\sqrt{\det g'}=\sqrt{\det g}\,|\det J| から)。以下 g11=E,g12=F,g22=Gg_{11}=E,g_{12}=F,g_{22}=G とし、添字 1,21,2 を u,vu,v に対応させます。(gij)=g−1(g^{ij})=g^{-1} とします。

二つの曲面が局所等長であるとは、座標系 x,x~x,\tilde x を同じ UU 上でとり、E=E~,F=F~,G=G~E=\tilde E,F=\tilde F,G=\tilde G とできることをいいます。たとえば円柱面 x(u,v)=(cos⁡u,sin⁡u,v)x(u,v)=(\cos u,\sin u,v) では E=G=1,F=0E=G=1,F=0 で、平面 (u,v)↦(u,v,0)(u,v)\mapsto(u,v,0) と局所等長です。平面を丸めて円柱にしても、曲面上の長さは変わりません。

座標系 xx に対し単位法線 N=xu×xv∣xu×xv∣N=\dfrac{x_u\times x_v}{|x_u\times x_v|} とします(−N-N を選んでもよい)。NN は SS 上で局所的に定まる滑らかな写像で、曲面が向き付け可能なら大域的に N:S→S2N:S\to S^2(Gauss 写像)が定まります。⟨N,N⟩=1\langle N,N\rangle=1 より ⟨Nu,N⟩=0\langle N_u,N\rangle=0 なので、Nu,NvN_u,N_v は接平面に入ります。

曲がり具合の測り方は、点を動かしたときに法線の向きがどれだけ変わるかを見ることです。平面では法線は変わらず、球面では点の動く方向に法線も回ります。この法線の変化率 dNdN を、接平面から接平面への線形写像として見たものが次の形状作用素です。

定義 4.1(形状作用素・第二基本形式・Gauss 曲率)↗

点 pp で、接平面から接平面への線形写像 Ap=−dNp:TpS→TpSA_p=-dN_p:T_pS\to T_pS を形状作用素(Weingarten 写像)という。ApA_p は自己随伴である。第二基本形式を II(w,w′)=⟨Apw,w′⟩II(w,w')=\langle A_pw,w'\rangle、

hij=⟨N,xij⟩(xij=∂i∂jx),L=h11, M=h12, N ⁣∗=h22h_{ij}=\langle N,x_{ij}\rangle\quad(x_{ij}=\partial_i\partial_jx),\quad L=h_{11},\ M=h_{12},\ N_{\!*}=h_{22}

とおく。ApA_p の固有値 κ1,κ2\kappa_1,\kappa_2 を主曲率、

K=det⁡Ap=κ1κ2,H=12tr⁡Ap=12(κ1+κ2)K=\det A_p=\kappa_1\kappa_2,\qquad H=\tfrac12\operatorname{tr}A_p=\tfrac12(\kappa_1+\kappa_2)

を Gauss 曲率と平均曲率という。

命題 4.2(形状作用素の性質)✓

  1. ApA_p は自己随伴で、⟨Axi,xj⟩=hij\langle Ax_i,x_j\rangle=h_{ij}。したがって ApA_p の固有値 κ1,κ2\kappa_1,\kappa_2 は実数で、固有ベクトルは直交基底を成せる(系 4.3[スペクトル定理])。
  2. K=det⁡(hij)/det⁡(gij)=LN∗−M2EG−F2K=\det(h_{ij})/\det(g_{ij})=\dfrac{LN_*-M^2}{EG-F^2}。KK は法線の向き(N→−NN\to-N)によらない。
  3. Ni=−∑k,lhilglkxkN_i=-\sum_{k,l}h_{il}g^{lk}x_k(Weingarten の公式)。
  4. 単位速度曲線 γ⊂S\gamma\subset S の接ベクトル w=γ′w=\gamma' について κn:=⟨γ′′,N⟩=II(w,w)\kappa_n:=\langle\gamma'',N\rangle=II(w,w) (法曲率)。特に κn\kappa_n の最大・最小値が κ1,κ2\kappa_1,\kappa_2 である(Euler の公式: ww が主方向 e1e_1 と角 θ\theta をなすとき κn=κ1cos⁡2θ+κ2sin⁡2θ\kappa_n=\kappa_1\cos^2\theta+\kappa_2\sin^2\theta)。
証明(命題 4.2)

⟨N,xi⟩=0\langle N,x_i\rangle=0 を xjx_j で微分して ⟨Nj,xi⟩=−⟨N,xij⟩=−hij\langle N_j,x_i\rangle=-\langle N,x_{ij}\rangle=-h_{ij}。hij=hjih_{ij}=h_{ji}(xij=xjix_{ij}=x_{ji})。したがって ⟨Axj,xi⟩=⟨−Nj,xi⟩=hij\langle Ax_j,x_i\rangle=\langle-N_j,x_i\rangle=h_{ij} は対称で、(1)。NiN_i は接平面に入るので Ni=∑kcikxkN_i=\sum_kc_{ik}x_k と書け、xlx_l と内積を取って −hil=∑kcikgkl-h_{il}=\sum_kc_{ik}g_{kl}、cik=−∑lhilglkc_{ik}=-\sum_lh_{il}g^{lk} で (3)。AA の行列は (hil)(glk)(h_{il})(g^{lk}) の転置に当たり、det⁡=det⁡(h)/det⁡(g)\det=\det(h)/\det(g) で (2)。(4): ⟨γ′,N⟩=0\langle\gamma',N\rangle=0 を微分して ⟨γ′′,N⟩=−⟨γ′,N′⟩=−⟨γ′,dN(γ′)⟩=II(w,w)\langle\gamma'',N\rangle=-\langle\gamma',N'\rangle=-\langle\gamma',dN(\gamma')\rangle=II(w,w)。w=cos⁡θ e1+sin⁡θ e2w=\cos\theta\,e_1+\sin\theta\,e_2(Aei=κieiAe_i=\kappa_ie_i)を代入すれば Euler の公式で、最大・最小は κ1,κ2\kappa_1,\kappa_2 のうち大きい方・小さい方。

例 4.3(球面・円柱面・平面)

半径 RR の球面では N=x/RN=x/R(外向き)で dN=1RiddN=\frac1R\mathrm{id}、A=−1RidA=-\frac1R\mathrm{id}、K=1R2>0K=\frac1{R^2}>0。円柱面 x=(cos⁡u,sin⁡u,v)x=(\cos u,\sin u,v) では N=(cos⁡u,sin⁡u,0)N=(\cos u,\sin u,0), Nu=xuN_u=x_u, Nv=0N_v=0、AA の固有値は −1-1 と 00 で K=0K=0。平面では NN が定数で K=0K=0。円柱面と平面は局所等長(上述)で、いずれも K=0K=0 です。次節で、これは偶然ではないことを示します。

座標系 xx に対し、xijx_{ij} を接平面と法線で展開します。

xij=∑kΓijkxk+hijN.(∗)x_{ij}=\sum_k\Gamma^k_{ij}x_k+h_{ij}N.\tag{$*$}

係数 Γijk\Gamma^k_{ij} を Christoffel 記号といいます。法線成分が hijh_{ij} になるのは hij=⟨N,xij⟩h_{ij}=\langle N,x_{ij}\rangle から。xlx_l との内積を取ると ∑kΓijkgkl=⟨xij,xl⟩\sum_k\Gamma^k_{ij}g_{kl}=\langle x_{ij},x_l\rangle で、

⟨xij,xl⟩=12(∂igjl+∂jgil−∂lgij).\langle x_{ij},x_l\rangle=\tfrac12(\partial_ig_{jl}+\partial_jg_{il}-\partial_lg_{ij}).

この式は、∂jgil=⟨xij,xl⟩+⟨xi,xlj⟩\partial_jg_{il}=\langle x_{ij},x_l\rangle+\langle x_i,x_{lj}\rangle とその添字の入れ替えを 3 つ並べて、i,j,li,j,l について足し引きすれば得られます。したがって

命題 5.1(Christoffel 記号は第一基本形式だけで決まる)✓

Γijk=12∑lgkl(∂igjl+∂jgil−∂lgij)\Gamma^k_{ij}=\frac12\sum_lg^{kl}(\partial_ig_{jl}+\partial_jg_{il}-\partial_lg_{ij})。特に Γijk\Gamma^k_{ij} は E,F,GE,F,G とその 1 階微分だけの関数である。

次の証明では、xijx_{ij} を接平面の方向と法線の方向に分け、展開の係数が E,F,GE,F,G だけで決まることを式変形で示します。

証明(命題 5.1)

展開 (∗)(*) が意味を持つこと。 各点で xu,xvx_u,x_v は一次独立(定義 3.1)で、NN はそれらに直交する単位ベクトルなので、xu,xv,Nx_u,x_v,N は R3\mathbb{R}^3 の基底です。よって xijx_{ij} は (∗)(*) の形にただ一通りに展開され、NN との内積から法線成分は ⟨xij,N⟩=hij\langle x_{ij},N\rangle=h_{ij}(定義 4.1)です。xx は C∞C^\infty なので xij=xjix_{ij}=x_{ji}、したがって Γijk=Γjik\Gamma^k_{ij}=\Gamma^k_{ji} です。

⟨xij,xl⟩\langle x_{ij},x_l\rangle の計算。 gil=⟨xi,xl⟩g_{il}=\langle x_i,x_l\rangle を jj で微分すると、内積の積の微分法則から

∂jgil=⟨xij,xl⟩+⟨xi,xlj⟩.\partial_jg_{il}=\langle x_{ij},x_l\rangle+\langle x_i,x_{lj}\rangle.

[ij,l]:=⟨xij,xl⟩[ij,l]:=\langle x_{ij},x_l\rangle と書くと([ij,l]=[ji,l][ij,l]=[ji,l])、これは ∂jgil=[ij,l]+[lj,i]\partial_jg_{il}=[ij,l]+[lj,i] です。添字を巡回させた 2 式

∂igjl=[ij,l]+[il,j],∂lgij=[il,j]+[jl,i]\partial_ig_{jl}=[ij,l]+[il,j],\qquad\partial_lg_{ij}=[il,j]+[jl,i]

と合わせて、∂igjl+∂jgil−∂lgij=2[ij,l]\partial_ig_{jl}+\partial_jg_{il}-\partial_lg_{ij}=2[ij,l] を得ます([il,j][il,j] と [jl,i]=[lj,i][jl,i]=[lj,i] が相殺する)。

Γ\Gamma を解く。 (∗)(*) と xlx_l の内積を取ると、⟨N,xl⟩=0\langle N,x_l\rangle=0 だから ∑kΓijkgkl=[ij,l]\sum_k\Gamma^k_{ij}g_{kl}=[ij,l] です。行列 g=(gkl)g=(g_{kl}) は正定値(定義 3.2。det⁡g=EG−F2>0\det g=EG-F^2>0)なので可逆で、両辺に glmg^{lm} をかけて ll で和を取ると ∑lgklglm=δkm\sum_lg_{kl}g^{lm}=\delta_k^m から

Γijm=∑lgml[ij,l]=12∑lgml(∂igjl+∂jgil−∂lgij).\Gamma^m_{ij}=\sum_lg^{ml}[ij,l]=\tfrac12\sum_lg^{ml}(\partial_ig_{jl}+\partial_jg_{il}-\partial_lg_{ij}).

gmlg^{ml} は gg の逆行列の成分で、E,F,GE,F,G の有理式(分母 EG−F2≠0EG-F^2\ne0)です。よって Γijm\Gamma^m_{ij} は E,F,GE,F,G とその 1 階偏導関数だけで書かれます。

定理 5.2(Gauss の Theorema Egregium)✓

Gauss 曲率 KK は第一基本形式だけで決まる。具体的には、座標系 xx のもとで

(EG−F2) K=∑mgm2(∂2Γ11m−∂1Γ12m+∑lΓ11lΓl2m−∑lΓ12lΓl1m).(EG-F^2)\,K=\sum_mg_{m2}\Bigl(\partial_2\Gamma^m_{11}-\partial_1\Gamma^m_{12}+\sum_l\Gamma^l_{11}\Gamma^m_{l2}-\sum_l\Gamma^l_{12}\Gamma^m_{l1}\Bigr).

特に、局所等長な曲面では対応する点の Gauss 曲率が等しい。

添字の多い式ですが、読み方は単純です。右辺に現れるのは Christoffel 記号とその微分だけで、Christoffel 記号は上の命題により E,F,GE,F,G とその微分だけで決まります。つまり右辺は第一基本形式だけで書けていて、左辺の KK が第二基本形式から定義されていたことと合わせると、主張になります。証明の方針は、3 階微分 ∂k(xij)\partial_k(x_{ij}) の偏微分の順序を入れ替えても結果が同じであることを、法線方向を含む展開で計算し、接線成分を比べることです。

証明(定理 5.2)

xx は C∞C^\infty だから ∂k(xij)=∂j(xik)\partial_k(x_{ij})=\partial_j(x_{ik})。(∗)(*) と Weingarten の公式 Nk=−∑mhkmxmN_k=-\sum_mh_k^mx_m(hkm=∑lhklglmh_k^m=\sum_lh_{kl}g^{lm})を使って ∂k(xij)\partial_k(x_{ij}) を計算します。

∂kxij=∑l∂kΓijlxl+∑lΓijlxlk+∂khijN+hijNk.\partial_kx_{ij}=\sum_l\partial_k\Gamma^l_{ij}x_l+\sum_l\Gamma^l_{ij}x_{lk}+\partial_kh_{ij}N+h_{ij}N_k.

xlkx_{lk} にもう一度 (∗)(*) を代入し、接成分(xmx_m の係数)をまとめると

∂kΓijm+∑lΓijlΓlkm−hijhkm.\partial_k\Gamma^m_{ij}+\sum_l\Gamma^l_{ij}\Gamma^m_{lk}-h_{ij}h_k^m.

同じ式で jj と kk を入れ替えたものとの差が 00 なので

hijhkm−hikhjm=∂kΓijm−∂jΓikm+∑l(ΓijlΓlkm−ΓiklΓljm).(Gauss の方程式)h_{ij}h_k^m-h_{ik}h_j^m=\partial_k\Gamma^m_{ij}-\partial_j\Gamma^m_{ik}+\sum_l(\Gamma^l_{ij}\Gamma^m_{lk}-\Gamma^l_{ik}\Gamma^m_{lj}).\tag{Gauss の方程式}

ここで i=j=1i=j=1, k=2k=2 とすると、右辺は主張の括弧の中身、左辺は h11h2m−h12h1mh_{11}h_2^m-h_{12}h_1^m。これに gm2g_{m2} をかけて mm で和を取る。∑mgm2hkm=hk2\sum_mg_{m2}h_k^m=h_{k2} だから左辺は h11h22−h122=det⁡(h)=(EG−F2)Kh_{11}h_{22}-h_{12}^2=\det(h)=(EG-F^2)K(命題 4.2 (2))。右辺は 命題 5.1 により E,F,GE,F,G とその 2 階までの偏導関数だけで書かれます。

系 5.3(地図は歪む)✓

球面の開集合から平面の開集合への局所等長写像は存在しない。

証明(系 5.3)

局所等長なら 定理 5.2 で KK が等しいはずですが、球面は K=1/R2>0K=1/R^2>0、平面は K=0K=0 です。実際、半径 RR の球面では外向きの単位法線 N=x/RN=x/R で dN=1RiddN=\frac1R\mathrm{id} なので形状作用素(定義 4.1)は A=−1RidA=-\frac1R\mathrm{id} で K=det⁡A=1R2K=\det A=\frac1{R^2}、平面では NN が定数なので dN=0dN=0、K=0K=0 です。

測地曲率。 向き付けられた曲面 SS(単位法線場 NN)上の単位速度曲線 γ\gamma に対し、κg=⟨T′,N×T⟩\kappa_g=\langle T',N\times T\rangle(T=γ′T=\gamma')を測地曲率といいます。向きを逆にすると符号が変わります。

以下では、x:U→Sx:U\to S を、法線 N=xu×xv/∣xu×xv∣N=x_u\times x_v/|x_u\times x_v| と向きが合う座標系(向きを保つ)とします。(u,v)(u,v) 平面の領域 DD が単純閉領域(Jordan 閉曲線で囲まれた領域。内部の存在は 定理 4.2[Jordan の曲線定理と Jordan–Brouwer の分離定理])で、その境界 ∂D\partial D が区分的に正則な曲線のとき、R=x(D)R=x(D) を単純領域といいます。境界は内部を左に見る向き(正の向き)にたどります。区分的に滑らかな境界の角では外角 εi∈(−π,π)\varepsilon_i\in(-\pi,\pi)(入る方向から出る方向への回転角、符号つき)を考えます。

ABCεθ
三角形の頂点 B での外角 ε と内角 θ。辺 AB を延長した方向(破線)から辺 BC の方向まで、反時計回りに測った回転角が外角で、θ = π − ε が成り立つ。図では θ = 45°、ε = 135°。

回転数の定理(平面の閉曲線の接線の回転数)を使います。証明は Appendix に置きます。

定理 6.1(回転数の定理(Hopf))✓

γ:[0,L]→R2\gamma:[0,L]\to\mathbb{R}^2 を、正の向きの区分的に正則な単純閉曲線(弧長パラメータ、角 εi∈(−π,π)\varepsilon_i\in(-\pi,\pi) をもつ)とし、θ\theta を各滑らかな弧上での接線の偏角とする。このとき

∑j∫弧jθ′ ds+∑iεi=2π.\sum_j\int_{\text{弧}_j}\theta'\,ds+\sum_i\varepsilon_i=2\pi.

正則曲線の外角について。 1 点で γ′(si−)\gamma'(s_i^-) と γ′(si+)\gamma'(s_i^+) が平行で逆向きになる(尖点)場合は除きます。

定理 6.2(局所 Gauss–Bonnet の定理)✓

R=x(D)R=x(D) を単純領域とし、∂R\partial R を正の向きの区分的に正則な単純閉曲線とする。外角を εi\varepsilon_i とすると

∑j∫弧jκg ds+∬RK dA+∑iεi=2π.\sum_j\int_{\text{弧}_j}\kappa_g\,ds+\iint_RK\,dA+\sum_i\varepsilon_i=2\pi.

証明の方針を先に述べます。曲面の各点で接平面の正規直交基底(標構)を選び、その基底が点を動かすとどれだけ回るかを表す1 形式 ω\omega を作ります。境界に沿った ω\omega の積分は Green の定理で面積分に直り、そこから −∬RK dA-\iint_RK\,dA が出ます。残りは、境界の接線が標構に対して回る角度の合計が 2π2\pi になることで、これは平面の場合の回転数の定理に帰着します。

証明(定理 6.2)

(a) 標構と接続形式。 xu,xvx_u,x_v から Gram–Schmidt で正規直交基底 e1,e2e_1,e_2(e1×e2=Ne_1\times e_2=N、eie_i は (u,v)(u,v) について C∞C^\infty)を作ります。1 形式 ω=⟨∂ue1,e2⟩du+⟨∂ve1,e2⟩dv=a du+b dv\omega=\langle\partial_ue_1,e_2\rangle du+\langle\partial_ve_1,e_2\rangle dv=a\,du+b\,dv を定めます。∂ub−∂va\partial_ub-\partial_va を計算すると、2 階偏導関数の項が消えて

∂ub−∂va=⟨∂ve1,∂ue2⟩−⟨∂ue1,∂ve2⟩.\partial_ub-\partial_va=\langle\partial_ve_1,\partial_ue_2\rangle-\langle\partial_ue_1,\partial_ve_2\rangle.

e1,e2e_1,e_2 は正規直交で ⟨∂e2,e1⟩=−⟨e2,∂e1⟩\langle\partial e_2,e_1\rangle=-\langle e_2,\partial e_1\rangle なので、∂ve1=b e2+⟨∂ve1,N⟩N\partial_ve_1=b\,e_2+\langle\partial_ve_1,N\rangle N、∂ue2=−a e1+⟨∂ue2,N⟩N\partial_ue_2=-a\,e_1+\langle\partial_ue_2,N\rangle N 等と展開して内積を取ると、右辺は ⟨e1,Nv⟩⟨e2,Nu⟩−⟨e1,Nu⟩⟨e2,Nv⟩\langle e_1,N_v\rangle\langle e_2,N_u\rangle-\langle e_1,N_u\rangle\langle e_2,N_v\rangle、すなわち

∂ub−∂va=−det⁡(⟨e1,Nu⟩⟨e1,Nv⟩⟨e2,Nu⟩⟨e2,Nv⟩).\partial_ub-\partial_va=-\det\begin{pmatrix}\langle e_1,N_u\rangle&\langle e_1,N_v\rangle\\\langle e_2,N_u\rangle&\langle e_2,N_v\rangle\end{pmatrix}.

(2×2 行列は dNdN の ee 基底での行列と (xu xv)(x_u\ x_v) の ee 基底での行列の積。) det⁡(dN)=K\det(dN)=K、det⁡(xu xv)e=⟨xu×xv,N⟩=EG−F2\det(x_u\ x_v)_e=\langle x_u\times x_v,N\rangle=\sqrt{EG-F^2} より

∂ub−∂va=−KEG−F2.\partial_ub-\partial_va=-K\sqrt{EG-F^2}.

(b) 測地曲率の公式。 境界の弧 γ(s)=x(u(s),v(s))\gamma(s)=x(u(s),v(s)) の単位接ベクトルを T=cos⁡φ e1+sin⁡φ e2T=\cos\varphi\,e_1+\sin\varphi\,e_2 (φ\varphi は弧上で滑らかに取れる) と書くと、N×T=−sin⁡φ e1+cos⁡φ e2N\times T=-\sin\varphi\,e_1+\cos\varphi\,e_2 です。T′T' を計算して N×TN\times T と内積をとり、⟨e1′,e2⟩=ω(γ′)\langle e_1',e_2\rangle=\omega(\gamma')、⟨e2′,e1⟩=−ω(γ′)\langle e_2',e_1\rangle=-\omega(\gamma') を使うと

κg=φ′+ω(γ′)=φ′+a u′+b v′.\kappa_g=\varphi'+\omega(\gamma')=\varphi'+a\,u'+b\,v'.

(c) Green の定理。 領域 DD 上に Green の定理(定理 6.1[ベクトル解析と積分定理])を P=a,Q=bP=a,Q=b で適用します(標準領域の貼り合わせで、区分的に滑らかな単純閉曲線で囲まれた領域に拡張される)。∮∂Dω=∬D(∂ub−∂va) du dv=−∬RK dA\oint_{\partial D}\omega=\iint_D(\partial_ub-\partial_va)\,du\,dv=-\iint_RK\,dA。

(d) 標構に関する回転数。 (b) を ∂R\partial R に沿って積分すると

∑j∫κg ds=∑jΔφj+∮ω=∑jΔφj−∬RK dA.\sum_j\int\kappa_g\,ds=\sum_j\Delta\varphi_j+\oint\omega=\sum_j\Delta\varphi_j-\iint_RK\,dA.

したがって Θ:=∑jΔφj+∑iεi=2π\Theta:=\sum_j\Delta\varphi_j+\sum_i\varepsilon_i=2\pi を示せば足ります。計量 gt=(1−t)(du2+dv2)+t gg_t=(1-t)(du^2+dv^2)+t\,g(t∈[0,1]t\in[0,1])を UU に考えます。各 tt について、gtg_t に関する Gram–Schmidt で標構 e1t,e2te^t_1,e^t_2 をとり、∂D\partial D の接ベクトルの標構に対する偏角 φt\varphi_t と外角 εi(t)∈(−π,π)\varepsilon_i(t)\in(-\pi,\pi)(gtg_t に関する角)を定めて Θ(t)=∑jΔφj(t)+∑iεi(t)\Theta(t)=\sum_j\Delta\varphi_j(t)+\sum_i\varepsilon_i(t) とします。閉曲線を一周すると接線の向きは元に戻るので Θ(t)∈2πZ\Theta(t)\in2\pi\mathbb{Z}、tt について連続なので定数です。t=0t=0 では標構は (∂u,∂v)(\partial_u,\partial_v) で、φ0\varphi_0 は平面曲線 ∂D\partial D の接線の偏角そのもの、Θ(0)=2π\Theta(0)=2\pi (定理 6.1)。よって Θ(1)=Θ(0)=2π\Theta(1)=\Theta(0)=2\pi です。

大域版では、三角形分割を使います。コンパクトな向き付け可能曲面 SS の三角形分割とは、SS を有限個の曲辺三角形(各三角形は一つの座標系の中の単純領域で、辺は正則曲線)に分割し、二つの三角形が共有する部分は共通の辺または頂点であるようなものです。向きの保たれる座標系で十分小さい三角形に分割できることは、正則曲面の三角形分割の存在(Radó の定理)と細分から従います(本記事では認めます)。

定理 6.3(Gauss–Bonnet の定理)✓

S⊂R3S\subset\mathbb{R}^3 をコンパクトな向き付け可能正則曲面とする。このとき

∬SK dA=2πχ(S).\iint_SK\,dA=2\pi\chi(S).

ここで χ(S)\chi(S) は Euler 標数(定義 4.2[胞体ホモロジーと写像度])。

証明(定理 6.3)

SS の三角形分割を取り、頂点数 VV、辺数 EE、三角形数 FF とします。SS は頂点・辺・三角形を胞体とする CW 複体(定義 2.1[胞体ホモロジーと写像度])なので、系 4.3[胞体ホモロジーと写像度] により χ(S)=V−E+F\chi(S)=V-E+F は分割の取り方によりません。

各三角形に 定理 6.2 を適用し、全三角形について足します(各三角形の境界は SS の向きから決まる正の向き)。

∬SK dA+∑三角形∮κg ds+∑三角形,頂点ε=2πF.\iint_SK\,dA+\sum_{\text{三角形}}\oint\kappa_g\,ds+\sum_{\text{三角形,頂点}}\varepsilon=2\pi F.

各辺は隣り合う 2 つの三角形に逆向きに現れ、κg\kappa_g は向きの反転で符号が変わるので、辺上の積分は打ち消し合います。三角形の頂点での内角を θ=π−ε\theta=\pi-\varepsilon とすると、∑ε=3πF−∑θ\sum\varepsilon=3\pi F-\sum\theta。各頂点のまわりの内角の和は 2π2\pi なので ∑θ=2πV\sum\theta=2\pi V。したがって

∬SK dA=2πF−3πF+2πV=2πV−πF.\iint_SK\,dA=2\pi F-3\pi F+2\pi V=2\pi V-\pi F.

各三角形は 3 辺、各辺は 2 つの三角形に属するので 3F=2E3F=2E、πF=2π(E−F)\pi F=2\pi(E-F) と書けて、2πV−πF=2π(V−E+F)=2πχ(S)2\pi V-\pi F=2\pi(V-E+F)=2\pi\chi(S)。

例 6.4(Gauss–Bonnet の例)

球面(半径 RR): K=1/R2K=1/R^2、面積 4πR24\pi R^2 なので ∬K dA=4π=2π⋅2\iint K\,dA=4\pi=2\pi\cdot2、χ(S2)=2\chi(S^2)=2 と一致。トーラスでは χ=0\chi=0 だから、内側の K<0K<0 の部分の積分と外側の K>0K>0 の部分の積分が打ち消し合います。種数 gg の曲面では ∬K dA=2π(2−2g)\iint K\,dA=2\pi(2-2g)(例 4.4[胞体ホモロジーと写像度])。球面と同相でない曲面は、必ず K≤0K\le0 の点を持つことも従います。

定理 7.1(Hadamard の卵形面定理)✓

S⊂R3S\subset\mathbb{R}^3 をコンパクトで連結な向き付け可能正則曲面とし、すべての点で K>0K>0 とする。このとき Gauss 写像 N:S→S2N:S\to S^2 は微分同相写像である。さらに、SS は各点 pp の接平面 p+TpSp+T_pS の一方の側にあり、接平面とは pp だけで交わる(SS は凸)。

証明の流れは次のとおりです。まず K>0K>0 から Gauss 写像 NN が各点の近くで微分同相になることを見ます。次にコンパクト性から、NN が球面の各点の近くで同じ形のコピーに分かれる写像(被覆写像)になることを示します。球面は輪を縮められる(単連結)ので、コピーは 1 枚しかなく、NN は全体で微分同相になります。最後に、方向 vv に沿った高さの最大・最小を調べて凸性を出します。

証明(定理 7.1)

(1) NN は局所微分同相。 dNp=−ApdN_p=-A_p で det⁡Ap=K≠0\det A_p=K\ne0 だから、dNpdN_p は同型です。多様体上の逆関数定理(系 2.2[部分多様体と正則値定理])から NN は局所微分同相。

(2) NN は被覆写像。 N(S)N(S) は開集合(局所微分同相は開写像)かつ SS のコンパクト性から閉集合。S2S^2 は連結なので N(S)=S2N(S)=S^2。y∈S2y\in S^2 に対し N−1(y)N^{-1}(y) はコンパクトかつ離散(局所単射)なので有限集合 {p1,…,pm}\{p_1,\dots,p_m\}。互いに素な開近傍 Wi∋piW_i\ni p_i を N∣WiN|_{W_i} が微分同相になるようにとる。S∖⋃WiS\setminus\bigcup W_i はコンパクトでその像は yy を含まない閉集合なので、V=⋂iN(Wi)∖N(S∖⋃Wi)V=\bigcap_iN(W_i)\setminus N(S\setminus\bigcup W_i) は yy の開近傍で、N−1(V)=⨆i(Wi∩N−1(V))N^{-1}(V)=\bigsqcup_i(W_i\cap N^{-1}(V))、各 Wi∩N−1(V)W_i\cap N^{-1}(V) は VV に微分同相に写る。よって VV はよく被覆される(定義 3.1[基本群と被覆空間])。

(3) 被覆の枚数は 1。 S2S^2 は単連結(命題 6.3[基本群と被覆空間])で局所道連結だから、持ち上げ定理(定理 5.1[基本群と被覆空間])により、被覆 N:S→S2N:S\to S^2 に対し idS2\mathrm{id}_{S^2} の持ち上げ σ:S2→S\sigma:S^2\to S, Nσ=idN\sigma=\mathrm{id} が存在します。σ\sigma は単射で、NN が局所微分同相なので σ\sigma は開写像、S2S^2 のコンパクト性から σ(S2)\sigma(S^2) は閉集合でもあり、SS の連結性から σ(S2)=S\sigma(S^2)=S。よって σ\sigma は全単射で N=σ−1N=\sigma^{-1} も全単射。滑らかな逆を持つので NN は微分同相です。

(4) 凸性。 単位ベクトル vv に対し高さ関数 hv(q)=⟨q,v⟩h_v(q)=\langle q,v\rangle は SS 上の滑らかな関数で、qq が臨界点なら v⊥TqSv\perp T_qS、すなわち N(q)=±vN(q)=\pm v。(3) より臨界点はちょうど 2 点 p+=N−1(v)p_+=N^{-1}(v), p−=N−1(−v)p_-=N^{-1}(-v) です。SS はコンパクトだから hvh_v は最大点と最小点を持ち、どちらも臨界点です。hvh_v が定数なら SS が平面に含まれて K=0K=0 となり矛盾するので、最大値と最小値は異なり、最大点・最小点が p+,p−p_+,p_- の相異なる 2 点です。任意の p∈Sp\in S に対し v=N(p)v=N(p) とおくと p=p+p=p_+ は最大点か最小点のどちらかで、SS は p+TpS={q:⟨q−p,v⟩=0}p+T_pS=\{q:\langle q-p,v\rangle=0\} の片側にあります。また最大(最小)値をとる点は臨界点 p±p_\pm のうち一方だけなので、SS と接平面の共有点は pp のみです。

補足。 コンパクトな正則曲面が常に向き付け可能であることは Jordan–Brouwer の分離定理から従いますが、ここでは仮定に含めています。

演習 8.1標準

κ>0\kappa>0 の単位速度曲線で τ≡0\tau\equiv0 ならば、曲線は平面に含まれることを示せ。

解答

τ=0\tau=0 なら B′=−τN=0B'=-\tau N=0 なので BB は定ベクトル。dds⟨α,B⟩=⟨T,B⟩=0\frac d{ds}\langle\alpha,B\rangle=\langle T,B\rangle=0 より ⟨α(s),B⟩\langle\alpha(s),B\rangle は定数、すなわち α\alpha は BB に垂直な平面に含まれる。

演習 8.2標準

曲面 z=f(x,y)z=f(x,y) の原点で f=0f=0, ∇f=0\nabla f=0 とする。原点での Gauss 曲率を ff の 2 階微分で表せ。

解答

x(u,v)=(u,v,f(u,v))x(u,v)=(u,v,f(u,v)) とすると、原点で xu=(1,0,0)x_u=(1,0,0), xv=(0,1,0)x_v=(0,1,0), N=(0,0,1)N=(0,0,1), E=G=1,F=0E=G=1,F=0。hij=⟨N,xij⟩=fijh_{ij}=\langle N,x_{ij}\rangle=f_{ij}。命題 4.2 (2) から K=fxxfyy−fxy2K=f_{xx}f_{yy}-f_{xy}^2。すなわち Hesse 行列の行列式(定義 7.3[多変数関数の微分と偏微分])。

演習 8.3標準

双曲放物面 z=xyz=xy の原点での Gauss 曲率と主曲率を求めよ。

解答

f=xyf=xy で fxx=fyy=0f_{xx}=f_{yy}=0, fxy=1f_{xy}=1 より 演習 8.2 から K=−1K=-1。形状作用素は (0110)\begin{pmatrix}0&1\\1&0\end{pmatrix}(原点で g=Ig=I)で固有値 ±1\pm1。主曲率は 1,−11,-1 で、主方向は (1,±1)/2(1,\pm1)/\sqrt2。

演習 8.4難

曲面上の測地三角形(辺の測地曲率が 00)の内角の和は π+∬RK dA\pi+\iint_RK\,dA であることを示せ。球面上の測地三角形で内角の和が π\pi より大きいことを確認せよ。

解答

定理 6.2 で κg=0\kappa_g=0 とすると ∬K dA+∑εi=2π\iint K\,dA+\sum\varepsilon_i=2\pi。εi=π−θi\varepsilon_i=\pi-\theta_i(θi\theta_i は内角)で ∑εi=3π−∑θi\sum\varepsilon_i=3\pi-\sum\theta_i。よって ∑θi=π+∬K dA\sum\theta_i=\pi+\iint K\,dA。球面(K>0K>0)では ∑θi>π\sum\theta_i>\pi (=π+A/R2=\pi+A/R^2)。

  • M. P. do Carmo, Differential Geometry of Curves and Surfaces, Prentice-Hall, 1976 — 第 1〜4 章(曲線、曲面、Gauss 写像、Theorema Egregium、Gauss–Bonnet、Hadamard の定理)。
  • A. Pressley, Elementary Differential Geometry, 2nd ed., Springer, 2010 — 第 1〜13 章。
  • 小林昭七『曲線と曲面の微分幾何』(改訂版)裳華房、1995。
  • 梅原雅顕・山田光太郎『曲線と曲面 — 微分幾何的アプローチ』(改訂版)裳華房、2015。
  • H. Hopf, “Über die Drehung der Tangenten und Sehnen ebener Kurven”, Compositio Math. 2 (1935), 50–62.

定理 6.1 の証明です。弦の方向を 2 変数の関数とみて、三角形の境界に沿った偏角の変化を二通りに数えます(Hopf の方法)。

証明(定理 6.1)

設定。 γ:[0,L]→R2\gamma:[0,L]\to\mathbb{R}^2 を弧長パラメータの区分的 C1C^1 級正則な単純閉曲線とし、θ\theta を接線の偏角とします。yy 座標が最小の点(複数あれば最も左のもの)を p0p_0 とし、γ(0)=γ(L)=p0\gamma(0)=\gamma(L)=p_0 となるようにパラメータをずらします。p0p_0 では角があってもよく、a=γ′(0+)a=\gamma'(0^+), b=γ′(L−)b=\gamma'(L^-)、外角を ε0∈(−π,π)\varepsilon_0\in(-\pi,\pi)(bb から aa への符号つき角)とします。それ以外の角を s1<⋯<sks_1<\dots<s_k(外角 εi\varepsilon_i)に持つとします。曲線は上半平面 {y≥y0}\{y\ge y_0\} に入ります。滑らかな弧上の ∫θ′ ds\int\theta'\,ds の総和と ε1,…,εk\varepsilon_1,\dots,\varepsilon_k の和を Θ′\Theta' とし、Θtot=Θ′+ε0\Theta_{\mathrm{tot}}=\Theta'+\varepsilon_0 が定理の左辺です。Θtot=2π\Theta_{\mathrm{tot}}=2\pi を示します。

弦の方向写像。 三角形 T={(s,t):0≤s≤t≤L}T=\{(s,t):0\le s\le t\le L\} と有限集合 P={(si,si)}i=1k∪{(0,L)}P=\{(s_i,s_i)\}_{i=1}^k\cup\{(0,L)\} を取り、T∗=T∖PT^*=T\setminus P とします。

Σ(s,t)=γ(t)−γ(s)∣γ(t)−γ(s)∣ (s<t, (s,t)≠(0,L)),Σ(s,s)=γ′(s) (s≠si,0,L),Σ(0,0)=a, Σ(L,L)=b\Sigma(s,t)=\frac{\gamma(t)-\gamma(s)}{|\gamma(t)-\gamma(s)|}\ (s<t,\ (s,t)\ne(0,L)),\quad\Sigma(s,s)=\gamma'(s)\ (s\ne s_i,0,L),\quad\Sigma(0,0)=a,\ \Sigma(L,L)=b

と定めると、Σ:T∗→S1\Sigma:T^*\to S^1 は連続です。単純性から s<ts<t では弦は 00 にならず、対角線上の滑らかな点や (0,0),(L,L)(0,0),(L,L) の近傍では、γ(t)−γ(s)=(t−s)∫01γ′(s+λ(t−s)) dλ\gamma(t)-\gamma(s)=(t-s)\int_0^1\gamma'(s+\lambda(t-s))\,d\lambda (同じ C1C^1 弧の上)と γ′\gamma' の連続性から従います。T∗T^* は凸集合 TT から有限個の境界点を除いたものなので、TT の内点に関して星型で、道連結・局所道連結かつ単連結です(系 2.7[基本群と被覆空間])。したがって持ち上げ定理(定理 5.1[基本群と被覆空間])を被覆 R→S1\mathbb{R}\to S^1 に使って、Σ=(cos⁡ψ,sin⁡ψ)\Sigma=(\cos\psi,\sin\psi) なる連続関数 ψ:T∗→R\psi:T^*\to\mathbb{R} が存在します。ψ\psi は関数ですから、T∗T^* 内の閉じた折れ線に沿った変化量の和は 00 です。以下、小さな r>0r>0 に対し、次の折れ線を考えます。

(i) 対角線。 (0,0)→(L,L)(0,0)\to(L,L) を対角線に沿って進みます。各滑らかな弧では ψ(s,s)\psi(s,s) は接線の偏角なので、その変化は ∫θ′ ds\int\theta'\,ds。角 sis_i の近くでは、対角線を (si−r,si−r)→(si−r,si+r)→(si+r,si+r)(s_i-r,s_i-r)\to(s_i-r,s_i+r)\to(s_i+r,s_i+r) と迂回します。この折れ線上の弦の方向は、sis_i の前後の弧が C1C^1 であること(γ(si+v)−γ(si−u)=v(ai+o(1))+u(bi+o(1))\gamma(s_i+v)-\gamma(s_i-u)=v(a_i+o(1))+u(b_i+o(1))、u,v≥0u,v\ge0)から、bi=γ′(si−)b_i=\gamma'(s_i^-) と ai=γ′(si+)a_i=\gamma'(s_i^+) のなす角(長さ ∣εi∣<π|\varepsilon_i|<\pi の弧)の o(1)o(1) 近傍に入ります。始点で Σ≈bi\Sigma\approx b_i、終点で ≈ai\approx a_i なので、ψ\psi の変化は εi+o(1)\varepsilon_i+o(1)。したがって対角線の変化の合計は D=∑弧∫θ′+∑i≥1εi+o(1)D=\sum_{\text{弧}}\int\theta'+\sum_{i\ge1}\varepsilon_i+o(1)。

(ii) 辺 s=0s=0。 (0,0)→(0,L−r)(0,0)\to(0,L-r)。Σ(0,t)\Sigma(0,t) は p0p_0 から γ(t)\gamma(t) への方向で、γ(t)\gamma(t) は上半平面にあるので、上半円周 U+U_+ に値を取ります。ψ(0,0)=αa\psi(0,0)=\alpha_a(aa の偏角、[0,π][0,\pi] の値)となるよう定数を選ぶと、ψ(0,t)∈[0,π]\psi(0,t)\in[0,\pi]。t→Lt\to L で Σ(0,t)→−b\Sigma(0,t)\to-b なので、ψ(0,L−r)→α−b\psi(0,L-r)\to\alpha_{-b}(−b-b の偏角、[0,π][0,\pi])。変化は δ:=α−b−αa\delta:=\alpha_{-b}-\alpha_a に収束します。

(iii) 点 (0,L)(0,L) の迂回。 (0,L−r)→(r,L−r)→(r,L)(0,L-r)\to(r,L-r)\to(r,L)。ここの弦は p0−rb−σap_0-rb-\sigma a 型(前後の弧上の点を結ぶ)で、方向は −a,−b-a,-b のなす角(長さ ∣ε0∣|\varepsilon_0|)の近傍に入り、ψ\psi の変化は ε0+o(1)\varepsilon_0+o(1)。

(iv) 辺 t=Lt=L。 (r,L)→(L,L)(r,L)\to(L,L)。Σ(s,L)=(p0−γ(s))/∣⋅∣\Sigma(s,L)=(p_0-\gamma(s))/|\cdot| は下半円周 U−U_- に値を取るので、ψ(⋅,L)\psi(\cdot,L) は U−U_- の一つの持ち上げ [π+2πm,2π+2πm][\pi+2\pi m,2\pi+2\pi m] に入ります。その端点の値は Σ(r,L)≈−a\Sigma(r,L)\approx-a で αa+π+2πm\alpha_a+\pi+2\pi m、Σ(L,L)=b\Sigma(L,L)=b で α−b+π+2πm\alpha_{-b}+\pi+2\pi m。変化は δ+o(1)\delta+o(1)。

(iii) の終点は (ii) の終点に ε0\varepsilon_0 を足したものですから、α−b+ε0=αa+π+2πm\alpha_{-b}+\varepsilon_0=\alpha_a+\pi+2\pi m、すなわち ε0=π−δ+2πm\varepsilon_0=\pi-\delta+2\pi m です。∣ε0∣<π|\varepsilon_0|<\pi, ∣δ∣≤π|\delta|\le\pi より m=0m=0(このとき δ>0\delta>0)または m=−1m=-1(δ<0\delta<0)。閉じた折れ線の変化量の和は 00 なので、(ii)(iii)(iv) と (i) の逆向きから δ+ε0+δ−D=0\delta+\varepsilon_0+\delta-D=0、r→0r\to0 として

D=2δ+ε0,Θtot=D+ε0=2δ+2ε0=2π+4πm.D=2\delta+\varepsilon_0,\qquad\Theta_{\mathrm{tot}}=D+\varepsilon_0=2\delta+2\varepsilon_0=2\pi+4\pi m.

正の向きの曲線では m=0m=0 です。実際、y<y0y<y_0 の領域は曲線と交わらない連結な非有界領域で外部に属するので、p0p_0 での内部は aa と −b-b の張る角のうち上半平面に含まれる側にあり、内部が aa の左(反時計回り側)にあることから αa<α−b\alpha_a<\alpha_{-b}、すなわち δ>0\delta>0、よって m=0m=0 です。以上で Θtot=2π\Theta_{\mathrm{tot}}=2\pi が示されました。(ここで Jordan の曲線定理 定理 4.2[Jordan の曲線定理と Jordan–Brouwer の分離定理] を使っています。)

このテーマの 100 本ノック(100 問)

執筆: Claude Code(Sonnet 5.5)、Claude Code(Opus 5.5)・監査 4 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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