川の流れの中に輪を浮かべると、輪は流れに押されて回ったり、輪の中に水が湧き出していれば外へ広がったりします。この記事は、そうした「流れが輪や面をどれだけ押すか」を数で測る方法と、その量が内部の様子と境界の様子を結びつけるという事実を扱います。読み終えると、電磁気や流体の本で出てくる積分の公式がどういう意味で、なぜ成り立つのかを説明できるようになります。
- ベクトル場 F の線積分は仕事、面積分は流量にあたります。どちらも「パラメータ表示で 1 変数・2 変数の積分に直す」ことで定義され、向きを保つ変数変換で値が変わりません。
- 3 つの微分演算子 ∇φ(勾配)、∇⋅F(発散)、∇×F(回転)は、それぞれ「変化の最大方向」「湧き出し」「渦」を測ります。rotgrad=0 と divrot=0 が基本の恒等式です。
- グリーン・ガウス・ストークスの定理は、どれも「内部の微分量の積分 = 境界での量の積分」という同じ形をしています。この記事では標準領域に対して 1 変数の微積分学の基本定理とフビニの定理だけから証明します。
- 回転が 0 のベクトル場は、星型領域ではポテンシャルを持ちます。一方、穴の開いた領域では回転が 0 でもポテンシャルがない例(渦糸)があり、領域の形が結論を左右します。
- 円柱座標・球座標などの直交曲線座標では、スケール因子 h1,h2,h3 を使って grad・div・rot とラプラシアンが統一的に書けます。
水の流れ F(x)(各点での流速)を考えます。閉曲線 C に沿って水の流れを測ると、C を一周して流れに乗る量(循環)が出ます。曲面 S を貫く水の量(流量)も測れます。これらはベクトル場を曲線・曲面に沿って積分したものです。
では、この量は内部の様子とどう関係するのでしょう。ある領域から水が湧き出していれば、その境界を通る流量の合計は湧き出しの総量に等しいはずです。また、曲面の縁を一周する循環は、曲面の上の渦の総量に等しいはずです。電磁気学のガウスの法則 ∮E⋅dS=Q/ε0 やアンペールの法則は、この関係の物理的な表れです。
数学では、これは微分と積分の関係——1 変数の微分積分学の基本定理 ∫abf′(x)dx=f(b)−f(a) ——の高次元版です。左辺は区間の内部での微分の積分、右辺は境界(2 点)での値です。この記事では、線積分と面積分を正確に定義し、基本定理の 2 次元・3 次元版であるグリーン・ガウス・ストークスの定理を証明します。一般の多様体の場合は ストークスの定理 が 1 つの定理として統一します。
R3 のベクトルを a=(a1,a2,a3)、内積を a⋅b、外積を a×b と書きます。成分で書けば a×b=(a2b3−a3b2, a3b1−a1b3, a1b2−a2b1) で、a×b は a,b に直交し、長さは二つのベクトルが張る平行四辺形の面積に等しいことを使います。
添字の記法。 添字の計算では、(i,j,k) が (1,2,3) の偶置換のとき εijk=1、奇置換のとき −1、それ以外(添字が重複)のとき 0 とする記号 εijk を使い、同じ添字が 2 回現れたら 1 から 3 まで足すものとします。すると (a×b)i=εijkajbk です。これは和の記号 ∑ を省くための約束です。偶置換とは (2,3,1) や (3,1,2) のように 3 つの並びを巡回させたもの、奇置換とは (1,3,2) のように 2 つを入れ替えたものです。たとえば i=1 のとき、ε123a2b3+ε132a3b2=a2b3−a3b2 で、外積の第 1 成分になります。また ∂i=∂/∂xi と書きます。
U⊂R3 を開集合とし、U 上の Ck 級のスカラー場 φ:U→R とベクトル場 F=(F1,F2,F3):U→R3 を扱います(定義は 定義 2.1[逆関数定理・陰関数定理と条件付き極値] と同じ)。
定義 2.1(曲線と曲面のパラメータ表示)↗
区分的 C1 級曲線とは、連続写像 γ:[a,b]→R3 で、[a,b] の有限個の分点で区切った各小区間で C1 級かつ γ′=0 を満たすもののことです。γ(a)=γ(b) のとき閉曲線といいます。
曲面片とは、R2 の有界閉集合 D(面積確定でその内部の閉包が D)上の C1 級写像 r:D→R3 で、D の内部で単射、かつ ru×rv=0 を満たすもののことです。このとき単位法線ベクトル n=ru×rv/∥ru×rv∥ により曲面片に向きが与えられます。
定義 3.1(線積分)↗
F:U→R3 を連続なベクトル場、γ:[a,b]→U を区分的 C1 級曲線とします。
∫γF⋅dr=∫abF(γ(t))⋅γ′(t)dtを F の γ に沿った線積分といいます(分点ごとに分けて足す)。連続なスカラー場 f に対しては、弧長に関する線積分を ∫γfds=∫abf(γ(t))∥γ′(t)∥dt で定義します。f=1 とすれば曲線の長さです。
力 F のもとで質点が γ に沿って動くとき、∫γF⋅dr はその力がした仕事です。
命題 3.2(線積分のパラメータ不変性)✓
ψ:[c,d]→[a,b] を C1 級の全単射で ψ′>0 とし、γ~=γ∘ψ とする。このとき ∫γ~F⋅dr=∫γF⋅dr である。向きを逆にした曲線 −γ(t)=γ(a+b−t) では符号が変わる。
証明(命題 3.2)
連鎖律から γ~′(s)=γ′(ψ(s))ψ′(s) です。したがって
∫cdF(γ(ψ(s)))⋅γ′(ψ(s))ψ′(s)ds=∫abF(γ(t))⋅γ′(t)dtで、これは置換積分(定理 6.1[積分の基本定理と定積分])で t=ψ(s) とおいた式そのものです。逆向きの曲線は t↦a+b−t が ψ′=−1<0 の置換に当たり、積分区間の上下が入れ替わるので符号が変わります。
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したがって線積分は「曲線という図形と向き」だけで決まり、どのように媒介変数をとるかに依りません。次の定理は、勾配場の線積分が両端の値だけで決まる、という基本定理です。
命題 3.3(勾配場の線積分)✓
φ:U→R を C1 級とし、γ:[a,b]→U を区分的 C1 級曲線とする。このとき
∫γ∇φ⋅dr=φ(γ(b))−φ(γ(a))である。とくに γ が閉曲線なら ∮γ∇φ⋅dr=0 である。
証明(命題 3.3)
γ が C1 級の小区間では、連鎖律(定理 9.4[多変数関数の微分と偏微分]、3 変数版)により dtdφ(γ(t))=∇φ(γ(t))⋅γ′(t) で、右辺は連続です。微積分学の基本定理(定理 5.4[積分の基本定理と定積分])から、その小区間の積分は両端の φ∘γ の差に等しく、分点ごとの差を足すと途中の値が打ち消し合って φ(γ(b))−φ(γ(a)) になります。
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逆に、ベクトル場 F が与えられたとき、F=∇φ となる φ(ポテンシャル)が存在する条件は何でしょうか。必要条件はすぐ分かります。
定義 3.4(勾配・発散・回転)↗
C1 級のスカラー場 φ とベクトル場 F に対し、
∇φ=gradφ=(∂1φ,∂2φ,∂3φ),∇⋅F=divF=∂1F1+∂2F2+∂3F3,∇×F=rotF=(∂2F3−∂3F2, ∂3F1−∂1F3, ∂1F2−∂2F1)と定めます。成分で書けば (rotF)i=εijk∂jFk です。
命題 3.5(基本的な恒等式)✓
φ が C2 級、F が C2 級、g が C1 級、A が C1 級のとき次が成り立つ。
- rotgradφ=0。
- divrotF=0。
- rot(gA)=∇g×A+grotA。
- a,b が C2 級のスカラー場のとき div(∇a×∇b)=0。
- div(gA)=∇g⋅A+gdivA。
証明(命題 3.5)
添字の記法を使います。(1) (rotgradφ)i=εijk∂j∂kφ ですが、シュワルツの定理(定理 9.9[多変数関数の微分と偏微分])より ∂j∂kφ は j,k について対称、εijk は反対称なので、和は 0 です(j,k を入れ替えた項と打ち消し合う)。
(2) ∂i(εijk∂jFk)=εijk∂i∂jFk=0 も同じ理由です。
(3) εijk∂j(gAk)=εijk(∂jg)Ak+gεijk∂jAk で、積の微分法のとおりです。
(4) div(∇a×∇b)=∂i(εijk∂ja∂kb)=εijk(∂i∂ja)∂kb+εijk∂ja(∂i∂kb) で、どちらの項も 2 階微分が添字について対称なので 0 です。(5) は ∂i(gAi)=(∂ig)Ai+g∂iAi です。
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(1) により、rotF=0 はポテンシャルを持つための必要条件です。十分性には領域の形が関わります。次の補題は、パラメータを含む積分の微分についてで、ポテンシャルの構成で使います(一般的な扱いは 広義積分・パラメータ積分とガンマ関数 で行います)。補題の主張は「積分の中に入れて微分してよい」という結論だけを覚えておけば十分で、証明は一様連続性とボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理を使う解析的な部分です。初めて読むときは証明を飛ばして、次の定理に進んでも流れを追えます。
補題 3.6(有界閉区間上の積分記号下の微分)✓
a<b、J⊂R を開区間とし、f:[a,b]×J→R と偏導関数 ∂tf が連続であるとする。このとき F(t)=∫abf(s,t)ds は J 上で微分可能で、F′(t)=∫ab∂tf(s,t)ds であり、F′ は連続である。
証明(補題 3.6)
t0∈J をとり、[t0−δ,t0+δ]⊂J なる δ>0 を固定して K=[a,b]×[t0−δ,t0+δ] とおきます。g=∂tf は有界閉集合 K 上の連続関数ですから一様連続です。(実際、そうでないとすると、ある ε>0 と K の点列 pk,qk で ∥pk−qk∥→0 かつ ∣g(pk)−g(qk)∣≥ε となるものがあります。ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理(定理 6.3[実数の完備性とコーシー列])を成分ごとに 2 回使って部分列を取れば pk→p∈K、qk→p となり、g の連続性から ∣g(pk)−g(qk)∣→0 で矛盾します。)
0<∣h∣≤δ とします。各 s について平均値の定理(定理 3.3[平均値の定理とテイラーの定理])から f(s,t0+h)−f(s,t0)=hg(s,t0+θh) となる θ=θ(s,h)∈(0,1) があります。よって
hF(t0+h)−F(t0)−∫abg(s,t0)ds≤∫abg(s,t0+θh)−g(s,t0)ds≤(b−a)ω(∣h∣)です(左辺の被積分関数は s の連続関数 hf(s,t0+h)−f(s,t0)−g(s,t0) の絶対値であることに注意)。ここで ω(η)=sup{∣g(p)−g(q)∣:p,q∈K, ∥p−q∥≤η} で、一様連続性により η→0 で ω(η)→0 です。したがって F′(t0)=∫abg(s,t0)ds です。同じ評価で ∣F′(t)−F′(t0)∣≤(b−a)ω(∣t−t0∣) ですから F′ は連続です。
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次の定理で使う式 φ(x)=∫01F(tx)⋅xdt は、天下りに見えますが、中身は単純です。原点から x まで直線 t↦tx で進んだときの F の線積分にほかなりません。命題 3.3 によれば、ポテンシャルがあるならこの線積分は両端でのポテンシャルの差になるので、これを φ の候補にします。星型という仮定は、この直線が領域の外に出ないことを保証するためのものです。
定理 3.7(星型領域でのポテンシャルの存在)✓
U⊂R3 を開集合で、ある点 p∈U について星型(任意の x∈U に対し線分 {p+t(x−p):0≤t≤1}⊂U)とします。F:U→R3 が C1 級で rotF=0 ならば、C1 級関数 φ:U→R で ∇φ=F となるものが存在します。
証明(定理 3.7)
一般性を失わず p=0 とします。
φ(x)=∫01F(tx)⋅xdt=∫01j∑xjFj(tx)dtと定めます。∂iFj=∂jFi(rotF=0)と補題 補題 3.6 から、xi で微分して
∂iφ(x)=∫01(Fi(tx)+j∑xjt(∂iFj)(tx))dt=∫01(Fi(tx)+tj∑xj(∂jFi)(tx))dtです。dtd(tFi(tx))=Fi(tx)+t∑jxj(∂jFi)(tx) ですから、被積分関数は t↦tFi(tx) の導関数であり、基本定理(定理 5.4[積分の基本定理と定積分])から ∂iφ(x)=1⋅Fi(x)−0=Fi(x) です。Fi は連続ですから φ は C1 級です。
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例 3.8(渦糸:回転が 0 でもポテンシャルがない場合)
U=R3∖{x=y=0}(z 軸を除いた領域)上で
F(x,y,z)=(x2+y2−y, x2+y2x, 0)とします。直接計算すると ∂xF2=(x2+y2)2(x2+y2)−2x2=(x2+y2)2y2−x2、∂yF1=(x2+y2)2−(x2+y2)+2y2=(x2+y2)2y2−x2 で、rotF=0 です。しかし単位円周 γ(t)=(cost,sint,0) に沿って
∮γF⋅dr=∫02π(−sint,cost,0)⋅(−sint,cost,0)dt=2π=0です。命題 3.3 により、ポテンシャルがあれば閉曲線上の線積分は 0 のはずですから、この F にはポテンシャルが存在しません。U は星型でない(z 軸の周りを一周する輪が縮められない)ので、定理 3.7 は矛盾しません。この F は、z 軸に流れる定常電流の周りの磁場と同じ形をしています。
定義 4.1(面積分)↗
r:D→R3 を曲面片 S=r(D) のパラメータ表示とし、f を S 上の連続なスカラー場、F を S 上の連続なベクトル場とします。面積要素を dS=∥ru×rv∥dudv として
∬SfdS=∬Df(r(u,v))∥ru×rv∥dudvと定めます。f=1 のとき S の面積です。ベクトル場の**面積分(流束)**は、n を向き付けの単位法線として
∬SF⋅ndS=∬DF(r(u,v))⋅(ru×rv)dudvで定めます(n∥ru×rv∥=ru×rv に注意)。これを ∬SF⋅dS とも書きます。
∥ru×rv∥ は、(u,v) の小長方形 [u,u+du]×[v,v+dv] が r により写される小さな平行四辺形(辺 rudu、rvdv)の面積だからです。これは重積分の変数変換のヤコビアン(定義 6.6[重積分と累次積分])の曲面版です。
次の命題が言いたいことは、線積分のときと同じく「曲面のパラメータの取り方を変えても、向きが同じなら面積分の値は変わらない」です。長い仮定は、(u,v) から別の座標 (u~,v~) への取り替えが、重積分の変数変換公式を使える形になっているための条件です。証明は、外積がヤコビアン detDΦ 倍になることを確かめるだけです。
命題 4.2(面積分のパラメータ不変性)✓
開集合 U~,U′⊂R2 上の全単射な C1 級写像 Φ:U~→U′ で detDΦ が符号一定で 0 にならないものと、有界閉集合 D~⊂U~、D=Φ(D~) を考え、r は U′ を含む開集合上の C1 級写像とする。detDΦ>0 とする。r~=r∘Φ もパラメータ表示で、∬D~F(r~)⋅(r~u~×r~v~)du~dv~=∬DF(r)⋅(ru×rv)dudv である。detDΦ<0 のときは右辺の符号が反転する。スカラー場の面積分 ∬fdS は detDΦ の符号に依らず不変である。
証明(命題 4.2)
Φ=(Φ1,Φ2) とすると、連鎖律により r~u~=ru∂u~Φ1+rv∂u~Φ2、r~v~=ru∂v~Φ1+rv∂v~Φ2 です。外積の双線形性と ru×ru=0、rv×ru=−ru×rv から
r~u~×r~v~=(ru×rv)∘Φ⋅(∂u~Φ1∂v~Φ2−∂u~Φ2∂v~Φ1)=(ru×rv)∘Φ⋅detDΦです。したがって detDΦ>0 なら、重積分の変数変換公式(定理 6.7[重積分と累次積分])で D~→D の積分に移せば、detDΦ=∣detDΦ∣ となって右辺と一致します。detDΦ<0 のときは符号が逆になります。ノルムをとれば ∥r~u~×r~v~∥=∥ru×rv∥∘Φ⋅∣detDΦ∣ なので、スカラー場の面積分は符号に依らず不変です。
∎
命題 4.3(グラフ曲面の面積要素と流束)✓
ψ を D⊂R2 を含む開集合上の C1 級関数とし、グラフ S={z=ψ(x,y), (x,y)∈D} を r(x,y)=(x,y,ψ(x,y)) で表す。このとき rx×ry=(−ψx,−ψy,1) で、S の面積は ∬D1+ψx2+ψy2dxdy、上向き(rx×ry の向き)の流束は F=(P,Q,R) に対し ∬D(−Pψx−Qψy+R)dxdy である。ここで P,Q,R は (x,y,ψ(x,y)) での値とする。
証明(命題 4.3)
rx=(1,0,ψx)、ry=(0,1,ψy) の外積を成分で計算すると (0⋅ψy−ψx⋅1, ψx⋅0−1⋅ψy, 1⋅1−0⋅0)=(−ψx,−ψy,1) です。ノルムは 1+ψx2+ψy2 なので、面積と流束の式は 定義 4.1 に代入したものです(F⋅(−ψx,−ψy,1)=−Pψx−Qψy+R)。z 成分が正なので向きは上向きです。
∎
例 4.4(グラフ曲面の面積要素と流束)
z=ψ(x,y)((x,y)∈D、ψ は C1 級)のグラフを r(x,y)=(x,y,ψ(x,y)) で表すと、rx=(1,0,ψx)、ry=(0,1,ψy) より
rx×ry=(−ψx,−ψy,1)です。z 成分が正ですから、n は上向きです。面積は ∬D1+ψx2+ψy2dxdy、F=(P,Q,R) の上向き流束は
∬D(−Pψx−Qψy+R)dxdyです。たとえば半径 a の上半球面 ψ=a2−x2−y2 に F=(x,y,z) を考えると、−Pψx−Qψy+R=ψx2+y2+ψ=ψa2 で、極座標(例 6.11[重積分と累次積分])を使うと流束は ∫02π∫0aa2−r2a2rdrdθ=2πa2[−a2−r2]0a=2πa3 です(この ψ は境界の円周 r=a で C1 級ではなく ψx,ψy が発散しますが、被積分関数 a2/ψ は広義積分として収束します。ここでの流束はその広義積分の値です)。
次節以降の 3 つの定理は、どれも同じ型です。
| 定理 | 領域 | 内部の量 | 境界の量 |
|---|
| 微積分学の基本定理 | 区間 [a,b] | ∫abf′dx | f(b)−f(a) |
| グリーン | 平面領域 D | ∬D(Qx−Py)dA | ∮∂DPdx+Qdy |
| ストークス | 曲面 S | ∬SrotF⋅ndS | ∮∂SF⋅dr |
| ガウス(発散定理) | 空間領域 Ω | ∭ΩdivFdV | ∬∂ΩF⋅ndS |
任意の領域に対する一般的な証明は技術的に重いので、ここでは標準領域(座標方向に見て「上下が 2 枚の関数のグラフで挟まれる」領域)で証明します。標準領域に分割して貼り合わせれば、一般の領域に拡張できます(注意 6.2)。
平面の領域 D が標準領域であるとは、D が有界閉集合で、連続かつ区分的 C1 級の関数 φ1≤φ2([a,b] 上)と χ1≤χ2([c,d] 上)により
D={(x,y):a≤x≤b, φ1(x)≤y≤φ2(x)}={(x,y):c≤y≤d, χ1(y)≤x≤χ2(y)}
と二通りに表せることをいいます(円板・長方形・三角形・楕円板など)。境界 ∂D には、内部を左に見て進む向き(反時計回り)を与えます。
定理 6.1(グリーンの定理)✓
D を標準領域、P,Q を D を含む開集合上の C1 級関数とします。このとき
∮∂DPdx+Qdy=∬D(∂x∂Q−∂y∂P)dxdyが成り立ちます。左辺は線積分 ∫∂D(P,Q)⋅dr です。
証明(定理 6.1)
∮∂DPdx=−∬DPydA と ∮∂DQdy=∬DQxdA を別々に示せば十分です。
P の項(縦線集合の表示を使う)。 反時計回りの境界は、下の曲線 y=φ1(x) を x=a から b へ、右の線分 x=b を上へ、上の曲線 y=φ2(x) を x=b から a へ、左の線分 x=a を下へ、と進みます。垂直な線分上では x が一定ですから dx=0 で、Pdx の線積分は 0 です。曲線 (x,φi(x)) では 命題 3.2 により x をパラメータにでき、
∮∂DPdx=∫abP(x,φ1(x))dx−∫abP(x,φ2(x))dxです。一方、縦線集合上の累次積分(定理 5.6[重積分と累次積分])と基本定理(定理 5.4[積分の基本定理と定積分])から
∬DPydA=∫ab(∫φ1(x)φ2(x)Py(x,y)dy)dx=∫ab(P(x,φ2(x))−P(x,φ1(x)))dxです。2 式を比べて ∮Pdx=−∬PydA を得ます。
Q の項(横線集合の表示を使う)。 同様に、反時計回りの境界は右の曲線 x=χ2(y) を上へ、左の曲線 x=χ1(y) を下へ進み、水平な線分上では dy=0 です。∮Qdy=∫cdQ(χ2(y),y)dy−∫cdQ(χ1(y),y)dy で、これは ∬DQxdA=∫cd(Q(χ2(y),y)−Q(χ1(y),y))dy に等しい。
∎
証明(系 6.3)
P=−y/2、Q=x/2 に 定理 6.1 を適用すると、Qx−Py=21+21=1 です。
∎
例 6.4(楕円の面積)
楕円 x=acost、y=bsint(0≤t≤2π、反時計回り)では、xdy−ydx=(abcos2t+absin2t)dt=abdt ですから、系 6.3 より面積は 21⋅ab⋅2π=πab です。
グリーンの定理の境界の向き。領域 D を左に見て進む(反時計回り)。上下の曲線 y=φ₁(x)、y=φ₂(x) に挟まれた縦線集合として、フビニと基本定理で証明する
この節の考え方は、グリーンの定理と同じです。領域を縦の線で貫いて、その線上で基本定理を使うと、上面の値と下面の値の差が残ります。それが境界の面積分に一致する、というのが証明の筋です。
空間の有界閉領域 Ω が標準領域であるとは、x,y,z の 3 つの方向のそれぞれについて、たとえば z 方向なら
Ω={(x,y,z):(x,y)∈Dz, ψ1(x,y)≤z≤ψ2(x,y)}
と書けることをいいます(Dz は平面の標準領域、ψ1≤ψ2 は Dz 上連続で内部で C1 級)。球・直方体・円柱などがこれに当たります。境界 ∂Ω は、ψ1,ψ2 のグラフ(下面・上面)と、∂Dz の上に立つ垂直な側面からなり、外向きの単位法線 n により向き付けます。
定理 7.1(ガウスの発散定理)✓
Ω を標準領域、F=(P,Q,R) を Ω を含む開集合上の C1 級ベクトル場とします。このとき
∭ΩdivFdV=∬∂ΩF⋅ndSが成り立ちます。
証明(定理 7.1)
divF=Px+Qy+Rz で、右辺は ∬(Pnx+Qny+Rnz)dS ですから、
∭ΩRzdV=∬∂ΩRnzdSを示せば十分です。P,Q については x 方向・y 方向の表示で同様に示されます。
z 方向の表示 Ω={(x,y)∈D, ψ1≤z≤ψ2} を使います(D=Dz)。体積積分は、フビニの定理(定理 5.6[重積分と累次積分] の 3 変数版で、証明は同じ)と基本定理により
∭ΩRzdV=∬D(∫ψ1ψ2Rzdz)dxdy=∬D(R(x,y,ψ2)−R(x,y,ψ1))dxdyです。面積分を 3 つの部分に分けます。
- 上面 z=ψ2(x,y): 外向きは上向きで、命題 4.3 より ndS=(−∂xψ2,−∂yψ2,1)dxdy ですから RnzdS=R(x,y,ψ2)dxdy。
- 下面 z=ψ1(x,y): 外向きは下向きで、ndS=−(−∂xψ1,−∂yψ1,1)dxdy ですから RnzdS=−R(x,y,ψ1)dxdy。
- 側面: 垂直な面ですから法線は水平で nz=0。寄与は 0 です。
この 3 つを足すと ∬∂ΩRnzdS=∬D(R(x,y,ψ2)−R(x,y,ψ1))dxdy で、上の等式が示されました。
∎
上の証明で使ったのは nzdS=±dxdy(グラフ面の z 成分)だけです。ψi の勾配が境界の近くで無限大になる球のような場合でも、RnzdS の部分は有界な連続関数の重積分ですから、そのまま成り立ちます。
ガウスの定理の証明の断面図。縦の線に沿って z で積分すると、上面 ψ₂ と下面 ψ₁ での値の差になる。上面の法線は上向き、下面は下向きで、垂直な側面の法線は水平なので n_z = 0 である
系 7.2(発散の幾何学的意味)✓
F を C1 級とし、Bρ を点 a を中心とする半径 ρ の球とする。
divF(a)=ρ→0lim∣Bρ∣1∬∂BρF⋅ndSである。すなわち発散とは、単位体積あたりの湧き出し量の極限である。
証明(系 7.2)
球は標準領域ですから 定理 7.1 から右辺の面積分は ∭BρdivFdV に等しい。divF は連続ですから、ε>0 に対して十分小さい ρ では Bρ 上で ∣divF−divF(a)∣<ε となり、∣Bρ∣1∭BρdivFdV−divF(a)≤ε です。
∎
例 7.3(クーロン場の流束)
F(x)=x/∥x∥3 は原点以外で C∞ 級で、r=∥x∥ とすると ∂x(xr−3)=r−3−3x2r−5 より divF=3r−3−3r−3=0 です。半径 R の球面 ∂BR では n=x/R、∥x∥=R で F⋅n=∥x∥2/(R∥x∥3)=1/R2 ですから、流束は R21⋅4πR2=4π です。発散が至るところ 0 なのに流束が 4π=0 なのは、定理 7.1 の仮定「C1 級」が原点で破れているからです。原点を含まない領域(たとえば 2 つの同心球の間)では、内側の球面の流束と外側の球面の流束が一致します。クーロンの法則の電場は、まさにこの形です。
ここで示すのは、曲面を貫く回転の総量が、その縁を一周する循環に等しいという定理です。曲面がグラフの形なら、座標 (x,y) の平面に落としてグリーンの定理に帰着できます。証明の方針は、P,Q,R の 3 成分を別々に確かめることです。
定理 8.1(ストークスの定理(古典形))✓
D を平面の標準領域(定理 6.1 と同じ)、ψ を D を含む開集合上の C2 級関数とし、S をそのグラフ z=ψ(x,y)((x,y)∈D)に上向きの単位法線で向きを与えた曲面とします。∂S は ∂D のグラフへの持ち上げ t↦(γ(t),ψ(γ(t)))(γ は反時計回りの ∂D のパラメータ表示)で向き付けます。F=(P,Q,R) が S を含む開集合上で C1 級のとき
∮∂SF⋅dr=∬S(rotF)⋅ndSが成り立ちます。
証明(定理 8.1)
F を (P,0,0)、(0,Q,0)、(0,0,R) に分けて、それぞれの成分について示せば十分です。グラフの面積分は 命題 4.3 から ∬SG⋅ndS=∬DG⋅(−ψx,−ψy,1)dxdy と書けます。
P の項。 曲線上で Pdx の線積分は ∮∂DP(x,y,ψ(x,y))dx です。p(x,y)=P(x,y,ψ(x,y)) は C1 級で、連鎖律から py=Py+Pzψy です。定理 6.1 を (p,0) に使うと ∮pdx=−∬Dpydxdy=−∬D(Py+Pzψy)dxdy。一方、rot(P,0,0)=(0,Pz,−Py) ですから rot(P,0,0)⋅(−ψx,−ψy,1)=−Pzψy−Py で、2 つは一致します。
Q の項。 同様に q(x,y)=Q(x,y,ψ) に 定理 6.1 を使うと、∮qdy=∬Dqxdxdy=∬D(Qx+Qzψx)dxdy です。一方 rot(0,Q,0)=(−Qz,0,Qx) で、(−Qz,0,Qx)⋅(−ψx,−ψy,1)=Qzψx+Qx ですから一致します。
R の項。 曲線上では dz=ψxdx+ψydy ですから ∮Rdz=∮∂D(Rψxdx+Rψydy)(ここで R=R(x,y,ψ))です。定理 6.1 を (P′,Q′)=(Rψx,Rψy) に使います。ψ は C2 級なので P′,Q′ は C1 級で
∂xQ′−∂yP′=(Rx+Rzψx)ψy+Rψxy−(Ry+Rzψy)ψx−Rψyx=Rxψy−Ryψxです(ψxy=ψyx は 定理 7.1[多変数関数の微分と偏微分])。一方 rot(0,0,R)=(Ry,−Rx,0) で、(Ry,−Rx,0)⋅(−ψx,−ψy,1)=−Ryψx+Rxψy ですから一致します。
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例 8.2(円周上の循環と円板・半球面の流束)
F=(−y,x,0) とすると rotF=(0,0,2) です。円 ∂D={x2+y2=a2, z=0}(反時計回り)上の線積分は ∫02π(−asint,acost,0)⋅(−asint,acost,0)dt=2πa2 です。定理 8.1 を ψ=0(円板 S1)に使うと ∬S1(0,0,2)⋅(0,0,1)dS=2πa2 で一致します。同じ境界を持つ上半球面 S2 では、例 4.4 の公式から ∬S2rotF⋅ndS=∬D2dxdy=2πa2 で、境界が同じなら曲面の取り方によらず同じ値になっています。これは divrotF=0(命題 3.5)の現れで、ガウスの定理を円板と半球面が囲む領域に使えば説明できます。
球対称・軸対称な問題では、直交座標より円柱座標や球座標のほうが自然です。そのときの ∇ の表示を導きます。
方針は、座標関数 ui そのものの勾配 ∇ui を求めておき、あとは 命題 3.5 の恒等式と連鎖律を使って、grad・div・rot の式を組み立てるというものです。スケール因子 hi は、座標を ui だけ少し動かしたときに実際の空間で進む距離の拡大率(たとえば円柱座標の θ 方向では、半径 r の円周上を進むので h=r)です。ラプラシアン Δf は div∇f のことで、Δf=0 を満たす関数を調和関数といいます。球座標の天頂角 θ とは、z 軸から測った角のことです。
定義 9.1(直交曲線座標)↗
Ω⊂R3 を開集合、Φ:Ω→U を C2 級の全単射で、逆写像 u=(u1,u2,u3)=Φ−1 も C2 級であるものとします。∂Φ/∂ui=hiei(hi>0、∥ei∥=1)とおくとき、e1,e2,e3 が各点で互いに直交し、e1×e2=e3 を満たすなら、Φ を直交曲線座標、hi をスケール因子といいます。
円柱座標 Φ(r,θ,z)=(rcosθ,rsinθ,z) では h=(1,r,1)、球座標 Φ(r,θ,φ)=(rsinθcosφ,rsinθsinφ,rcosθ)(θ は天頂角)では h=(1,r,rsinθ) です。どちらも ∂Φ/∂ui を計算すれば互いに直交することが確かめられ、er×eθ=ez(円柱)、er×eθ=eφ(球)です。重積分の変数変換(定理 6.7[重積分と累次積分])の係数は detDΦ=h1h2h3 で、体積要素は dV=h1h2h3du1du2du3 です。
補題 9.2(座標関数の勾配)✓
直交曲線座標において ∇ui=ei/hi であり、∇u1⋅(∇u2×∇u3)=1/(h1h2h3)、また e1=h2h3∇u2×∇u3(添字を巡回させたものも同様)である。
証明(補題 9.2)
DΦ の第 i 列は hiei で、ei は正規直交ですから、E=(e1 e2 e3) は直交行列、DΦ=Ediag(h1,h2,h3) です。逆行列は Du=(DΦ)−1=diag(hi−1)ET で、第 i 行は eiT/hi です。これが ∇ui です。したがって ∇u2×∇u3=e2×e3/(h2h3)=e1/(h2h3) で、e1⋅e1=1 から残りの 2 式も従います。
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定理 9.3(直交曲線座標での勾配・発散・回転)✓
直交曲線座標 (u1,u2,u3) で、f を C2 級スカラー場、F=F1e1+F2e2+F3e3 を Fi が C1 級のベクトル場とする(f,Fi は u の関数と見る)。(i,j,k) を (1,2,3) の巡回置換とすると
∇f=i∑hi1∂ui∂fei,divF=h1h2h31i∑∂ui∂(hjhkFi),(rotF)i=hjhk1(∂uj∂(hkFk)−∂uk∂(hjFj)),Δf=h1h2h31i∑∂ui∂(hihjhk∂ui∂f)が成り立つ。ただし (rotF)i は ei 方向の成分である。
証明(定理 9.3)
勾配。 f を u1,u2,u3 の関数と見て連鎖律を使うと ∇f=∑i∂ui∂f∇ui で、補題 9.2 から ∇ui=ei/hi です。
発散。 補題 9.2 から F1e1=(F1h2h3)∇u2×∇u3 です。命題 3.5 の (5) と (4) により
div(F1e1)=∇(F1h2h3)⋅(∇u2×∇u3)+F1h2h3div(∇u2×∇u3)=∇(F1h2h3)⋅(∇u2×∇u3)です。勾配の連鎖律による展開 ∇g=∑l∂ulg∇ul を代入すると、l=2,3 の項は ∇u2⋅(∇u2×∇u3)=0 などで消え、l=1 の項だけが残って 補題 9.2 より div(F1e1)=h1h2h31∂u1(h2h3F1) です。F2,F3 の項は添字を巡回させて同様で、足し合わせれば発散の式が得られます。
回転。 Fiei=(hiFi)∇ui ですから、命題 3.5 の (3) と (1) により rot(Fiei)=∇(hiFi)×∇ui+hiFirot∇ui=∇(hiFi)×∇ui です。∇(hiFi)=∑j∂uj(hiFi)∇uj を代入し、∇uj×∇ui=(ej×ei)/(hjhi) に注意すると、e1 成分は、F3e3 からの j=2 の項 ∂u2(h3F3)(e2×e3)⋅e1/(h2h3)=∂u2(h3F3)/(h2h3) と、F2e2 からの j=3 の項 ∂u3(h2F2)(e3×e2)⋅e1/(h3h2)=−∂u3(h2F2)/(h2h3) の和になります(他の (i,j) の組は e1 成分が 0)。他の成分は巡回です。
ラプラシアン。 Δf=div∇f に、勾配の成分 Fi=hi−1∂uif を発散の式に代入すれば得られます。
∎
例 9.4(球座標のラプラシアン)
h=(1,r,rsinθ) を 定理 9.3 に代入すると
Δf=r2sinθ1[∂r∂(r2sinθ∂r∂f)+∂θ∂(sinθ∂θ∂f)+∂φ∂(sinθ1∂φ∂f)]です(hθhφ/hr=r2sinθ、hrhφ/hθ=sinθ、hrhθ/hφ=1/sinθ)。f=f(r) のときは Δf=r21(r2f′)′ で、f=rk なら Δrk=k(k+1)rk−2 です。とくに k=−1 で Δ(1/r)=0 となり、1/r は原点以外で調和です(例 7.3 の電場は −∇(1/r) です)。
例 9.5(円柱座標で見る渦)
円柱座標 h=(1,r,1) で F=r1eθ は 例 3.8 の場です((−y,x,0)/(x2+y2) の大きさは 1/r)。ez 成分は 定理 9.3 から hrhθ1(∂r(hθFθ)−∂θ(hrFr))=r1∂r(r⋅r1)=0 で、他の成分も 0 です。回転が 0 という直接計算の結果と一致します。
演習 10.1易
F=(y,z,x) をらせん γ(t)=(cost,sint,t)(0≤t≤2π)に沿って線積分せよ。
解答
γ′=(−sint,cost,1)、F(γ)=(sint,t,cost) ですから F⋅γ′=−sin2t+tcost+cost です。∫02πsin2tdt=π、∫02πtcostdt=[tsint+cost]02π=0、∫02πcostdt=0 より、積分は −π です。
演習 10.2標準
アステロイド x=cos3t、y=sin3t(0≤t≤2π)が囲む面積を 系 6.3 を使って求めよ。
解答
x′=−3cos2tsint、y′=3sin2tcost より xy′−yx′=3cos4tsin2t+3sin4tcos2t=3sin2tcos2t=43sin22t です。面積は 21∫02π43sin22tdt=83⋅π=83π です。
演習 10.3標準
F=(x3,y3,z3) の単位球面 x2+y2+z2=1 を貫く外向き流束を、定理 7.1 を使って求めよ。
解答
divF=3(x2+y2+z2)=3r2 です。球座標(体積要素 r2sinθdrdθdφ、定理 6.7[重積分と累次積分] の応用)で ∭B13r2dV=3∫02π∫0π∫01r4sinθdrdθdφ=3⋅2π⋅2⋅51=512π です。
演習 10.4標準
F=(z,x,y) と単位円板 S={x2+y2≤1, z=0}(上向き)について、定理 8.1 の両辺を計算して一致を確かめよ。
解答
rotF=(∂yF3−∂zF2, ∂zF1−∂xF3, ∂xF2−∂yF1)=(1,1,1) です。n=(0,0,1) なので右辺は ∬S1dS=π。境界 γ(t)=(cost,sint,0) では z=0 ですから F⋅γ′=xy′=cos2t で、左辺は ∫02πcos2tdt=π です。
演習 10.5標準
円柱座標で z,θ に依らない関数 f=f(r) が r>0 で Δf=0 を満たすための条件を求め、一般解を答えよ。
解答
h=(1,r,1) を 定理 9.3 に代入すると、f=f(r) では Δf=r1drd(rdrdf) です。Δf=0 は rf′=c(定数)と同値で、f=clnr+d が一般解です。
- 小林昭七『続 微分積分読本』裳華房、2001。
- 杉浦光夫『解析入門 II』東京大学出版会、1985。
- 松坂和夫『解析入門 下』岩波書店、1973。
- 太田浩一『電磁気学の基礎 I』東京大学出版会、2012 — ガウス・ストークスの定理と電磁気学の関係(応用の動機づけ)。