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曲線と Riemann–Roch の定理:関数体・因子の次数・種数

対象読者: 本テーマ第 1〜4 章(層コホモロジー、因子と直線束、Serre 双対)と離散付値環の基礎を学んだ人。曲線の関数体や Riemann–Roch の定理は未習でよい。

前提となる記事:因子と直線束:Weil 因子・Cartier 因子・射影空間への射、Ext 層と Serre 双対、離散付値環と Dedekind 環:付値・可逆イデアル・Krull–秋月の定理

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曲線の上で、決まった点にだけ決まった位数まで「極(分母が 0 になる点)」を許した関数は、どれだけあるでしょうか。たとえば直線に無限遠点を加えた曲線(射影直線)の上なら、無限遠点だけに極を許した関数は多項式で、次数の上限を決めれば個数を数えられます。この記事は、一般の曲線でも、その個数が曲線の形(種数という穴の数のような量)と極の総数だけでほぼ決まることを示します(Riemann–Roch の定理)。読み終えると、この個数を計算できるようになり、曲線が射影空間にきれいに収まるための条件も判定できます。

  • この記事で曲線とは、代数閉体 kk 上の非特異な射影的整 11 次元スキームです。曲線 XX の閉点は、関数体 K(X)K(X) の離散付値環(kk を含むもの)と 1 対 1 に対応します。
  • 曲線の間の定数でない射は有限かつ全射で、次数を関数体の拡大次数で定めます。曲線と定数でない射の圏は、kk 上の超越次数 11 の有限生成拡大体の圏の反対と同値です。
  • 因子 D=∑nPPD = \sum n_P P の次数は deg⁡D=∑nP\deg D = \sum n_P です。有限射 ff による引き戻しは deg⁡f∗D=deg⁡f⋅deg⁡D\deg f^*D = \deg f \cdot \deg D を満たし、ここから主因子の次数は 00 と分かります。
  • l(D)=dim⁡kH0(X,OX(D))l(D) = \dim_k H^0(X, \mathcal{O}_X(D))、種数 g=dim⁡kH1(X,OX)g = \dim_k H^1(X, \mathcal{O}_X)、標準因子 KK について Riemann–Roch の定理 l(D)−l(K−D)=deg⁡D+1−gl(D) - l(K - D) = \deg D + 1 - g が成り立ちます。証明は、点を 1 つ足すと Euler 標数が 1 増えることと Serre 双対の 2 つだけです。
  • deg⁡D≥2g\deg D \ge 2g なら ∣D∣|D| は基点(∣D∣|D| のすべての有効因子が共通に通る点)をもたず、deg⁡D≥2g+1\deg D \ge 2g + 1 なら DD は非常に豊富です。種数 00 の曲線は P1\mathbb{P}^1 に限ります。
  • 階数 rr の局所自由層 E\mathcal{E} には χ(E)=deg⁡(det⁡E)+r(1−g)\chi(\mathcal{E}) = \deg(\det \mathcal{E}) + r(1 - g) が成り立ちます。

コンパクト Riemann 面の上で「指定した点に指定した位数以下の極だけをもつ有理型関数」はどれだけあるか、という問いが Riemann–Roch の定理の出発点です。極を許す点と位数を因子 DD にまとめると、そのような関数の空間 L(D)L(D) は有限次元で、次元 l(D)l(D) は DD の次数が大きければ deg⁡D+1−g\deg D + 1 - g にちょうど一致します。ここに現れる gg が曲線の種数で、次数が小さいときのずれは l(K−D)l(K - D) という同じ形の量で正確に測れます。

代数幾何の言葉では、L(D)L(D) は可逆層 OX(D)\mathcal{O}_X(D) の大域切断の空間です。前章までに、連接層のコホモロジーの有限性(定理 6.2[Čech コホモロジーと射影空間のコホモロジー])、Euler 標数の加法性(命題 7.2[Čech コホモロジーと射影空間のコホモロジー])、Serre 双対(定理 6.4[Ext 層と Serre 双対])を証明しました。この 3 つがあれば、Riemann–Roch の定理の証明は数行で終わります。この記事の分量の大半は、その前に必要な「曲線の射は有限である」「次数は線形同値で変わらない」という事実の証明に充てます。これらは可換環論の Dedekind 環の理論(整閉包と基本等式 ∑eifi=n\sum e_i f_i = n)を幾何に読み替えたものです。

2. 準備:曲線の点と離散付値環

Section titled “2. 準備:曲線の点と離散付値環”

以下、kk は代数閉体とします。曲線は kk 上の非特異な射影的整 11 次元スキームを指します。曲線 XX の関数体を K(X)K(X) と書きます。K(X)K(X) は kk 上有限生成で超越次数 11 です(定理 2.4[次元・正規性・非特異性と微分の層])。XX の点は生成点と閉点だけです。実際、生成点でない点 xx の閉包 ZZ は XX と異なる既約閉集合で、鎖 Z⊊XZ \subsetneq X があるので dim⁡Z=0\dim Z = 0、したがって Z={x}Z = \{x\} です。同じ理由で XX の真の閉集合は有限個の閉点からなります(Noether 位相空間の閉集合は有限個の既約成分の和です。命題 3.4[アフィン代数多様体と座標環])。以下「点」は断らない限り閉点を指します。

点 PP の局所環 OP=OX,P\mathcal{O}_P = \mathcal{O}_{X,P} は K(X)K(X) を商体とする離散付値環です(命題 10.1[次元・正規性・非特異性と微分の層])。その付値を vPv_P、素元を tPt_P と書きます。剰余体は kk です(kk は代数閉体で、剰余体は kk の有限次拡大だからです。定理 4.1[Noether の正規化と Hilbert の零点定理])。

補題 2.1(付値環は支配について極大)✓

R⊆R′R \subseteq R' を体 KK の付値環とし、mR′∩R=mR\mathfrak{m}_{R'} \cap R = \mathfrak{m}_R とする。このとき R=R′R = R' である。

証明(補題 2.1)

x∈R′∖Rx \in R' \setminus R があったとします。RR は付値環なので x−1∈Rx^{-1} \in R で、x∉Rx \notin R から x−1x^{-1} は RR の単元ではありません。よって x−1∈mR⊆mR′x^{-1} \in \mathfrak{m}_R \subseteq \mathfrak{m}_{R'} です(命題 2.2[離散付値環と Dedekind 環] の (2))。一方 x∈R′x \in R' なので 1=x⋅x−1∈mR′1 = x \cdot x^{-1} \in \mathfrak{m}_{R'} となり矛盾です。

補題 2.2(切断は局所環の共通部分)✓

XX を曲線、UU を空でない開集合とする。K(X)K(X) の部分環として

OX(U)=⋂P∈UOX,P\mathcal{O}_X(U) = \bigcap_{P \in U} \mathcal{O}_{X,P}

が成り立つ(PP は UU の閉点を動く)。

証明(補題 2.2)

XX は整なので、制限写像 OX(U)→K(X)\mathcal{O}_X(U) \to K(X) と OX,P→K(X)\mathcal{O}_{X,P} \to K(X) は単射です(命題 2.2[スキームの性質と射])。切断 s∈OX(U)s \in \mathcal{O}_X(U) の PP での芽は OX,P\mathcal{O}_{X,P} の元なので、左辺は右辺に含まれます。逆に h∈K(X)h \in K(X) がすべての P∈UP \in U で OX,P\mathcal{O}_{X,P} に入るとします。各 PP について、PP の開近傍 UP⊆UU_P \subseteq U と切断 sP∈OX(UP)s_P \in \mathcal{O}_X(U_P) で、K(X)K(X) での像が hh であるものが取れます。UP∩UQU_P \cap U_Q の上で sPs_P と sQs_Q は K(X)K(X) での像が等しいので、単射性から一致します。UPU_P の全体は UU を覆う(生成点はどの UPU_P にも入る)ので、層の貼り合わせで s∈OX(U)s \in \mathcal{O}_X(U) が得られ、その像は hh です。

命題 2.3(曲線の点と関数体の離散付値環)✓

XX を曲線、K=K(X)K = K(X) とする。P↦OX,PP \mapsto \mathcal{O}_{X,P} は、XX の閉点の全体から、k⊆R⊊Kk \subseteq R \subsetneq K かつ Frac⁡R=K\operatorname{Frac} R = K を満たす KK の離散付値環 RR の全体への全単射である。

証明(命題 2.3)

単射。 OX,P=OX,Q=R\mathcal{O}_{X,P} = \mathcal{O}_{X,Q} = R とします。点 PP と恒等写像 OX,P→R\mathcal{O}_{X,P} \to R、点 QQ と恒等写像 OX,Q→R\mathcal{O}_{X,Q} \to R は、それぞれ射 Spec⁡R→X\operatorname{Spec} R \to X を定めます(命題 7.2[アフィンスキームとスキーム])。どちらも生成点 Spec⁡K\operatorname{Spec} K の上では XX の生成点への同じ射です。XX は kk 上分離的なので、分離性の付値判定法(定理 5.3[分離射・固有射と付値判定法])により 2 つの射は一致し、閉点の像を比べて P=QP = Q です。

全射。 RR を条件を満たす離散付値環とします。XX は kk 上固有(定理 7.3[分離射・固有射と付値判定法])なので、固有性の付値判定法(定理 5.4[分離射・固有射と付値判定法])により、生成点への射 Spec⁡K→X\operatorname{Spec} K \to X は kk 上の射 Spec⁡R→X\operatorname{Spec} R \to X に延びます。Spec⁡R\operatorname{Spec} R の閉点の像を xx とすると、局所準同型 OX,x→R\mathcal{O}_{X,x} \to R が得られ、これは KK への包含と両立するので OX,x⊆R\mathcal{O}_{X,x} \subseteq R、mR∩OX,x=mx\mathfrak{m}_R \cap \mathcal{O}_{X,x} = \mathfrak{m}_x です。xx が生成点なら K=OX,x⊆RK = \mathcal{O}_{X,x} \subseteq R となり R≠KR \ne K に反するので、xx は閉点 PP です。OX,P\mathcal{O}_{X,P} と RR はともに KK の付値環なので、補題 2.1 により OX,P=R\mathcal{O}_{X,P} = R です。

この命題により、曲線の点の集合は関数体だけで決まります。次の節で、位相と構造層も関数体から復元できることを見ます。

定義 2.4(因子の次数・l(D)l(D))↗

曲線 XX の因子は、閉点の有限な形式和 D=∑PnPPD = \sum_P n_P P(nP∈Zn_P \in \mathbb{Z})である。XX は非特異なので、これは Weil 因子であり Cartier 因子でもある(定理 4.2[因子と直線束])。

  1. deg⁡D=∑PnP\deg D = \sum_P n_P を DD の次数という。すべての nP≥0n_P \ge 0 のとき DD は有効であるといい、D≥0D \ge 0 と書く。
  2. h∈K(X)×h \in K(X)^{\times} の因子は div⁡(h)=∑PvP(h)P\operatorname{div}(h) = \sum_P v_P(h) P である。D−D′=div⁡(h)D - D' = \operatorname{div}(h) となる hh があるとき D∼D′D \sim D'(線形同値)と書く。
  3. OX(D)\mathcal{O}_X(D) は、開集合 UU に {h∈K(X)×:vP(h)≥−nP (P∈U)}∪{0}\{ h \in K(X)^{\times} : v_P(h) \ge -n_P\ (P \in U) \} \cup \{0\} を対応させる可逆層である。点 PP での茎は tP−nPOPt_P^{-n_P}\mathcal{O}_P である。
  4. L(D)=H0(X,OX(D))={h∈K(X)×:div⁡(h)+D≥0}∪{0}L(D) = H^0(X, \mathcal{O}_X(D)) = \{ h \in K(X)^{\times} : \operatorname{div}(h) + D \ge 0 \} \cup \{0\}、l(D)=dim⁡kL(D)l(D) = \dim_k L(D) とおく。DD と線形同値な有効因子の全体を ∣D∣|D| と書き、完備線形系という。

D↦OX(D)D \mapsto \mathcal{O}_X(D) は因子類群から Pic⁡X\operatorname{Pic} X への同型を与え、h∈L(D)∖{0}h \in L(D) \setminus \{0\} に有効因子 div⁡(h)+D\operatorname{div}(h) + D を対応させる写像は、L(D)∖{0}L(D) \setminus \{0\} の定数倍を除く類と ∣D∣|D| の全単射です(定理 4.4[因子と直線束])。D∼D′D \sim D' なら OX(D)≅OX(D′)\mathcal{O}_X(D) \cong \mathcal{O}_X(D') なので l(D)=l(D′)l(D) = l(D') です。

この節のねらいは、曲線の間の射が「各点の上に有限個の点がのる」素直な写像であることを示すことです。局所的には、下の曲線の座標環を、上の曲線の関数体の中で整閉包に取り替えたものが上の曲線の座標環になる、という形で示します。次の節以降の次数の議論は、すべてこの性質に頼ります。

定理 3.1(曲線の射は有限)✓

f ⁣:X→Yf\colon X \to Y を曲線の間の kk 上の射で、像が 1 点でないものとする。

  1. ff は全射で、ff は体の埋め込み f# ⁣:K(Y)→K(X)f^{\#}\colon K(Y) \to K(X) を引き起こし、K(X)K(X) は K(Y)K(Y) の有限次拡大である。
  2. YY のアフィン開集合 V=Spec⁡BV = \operatorname{Spec} B について、K(X)K(X) における BB の整閉包を AA とすると、AA は有限生成 BB 加群で、f−1(V)≅Spec⁡Af^{-1}(V) \cong \operatorname{Spec} A(VV 上の同型)である。とくに ff は有限射である。

拡大次数 [K(X):K(Y)][K(X) : K(Y)] を ff の次数といい、deg⁡f\deg f と書きます。

証明(定理 3.1)

(1) XX は kk 上固有、YY は kk 上分離的なので ff は閉写像です(命題 6.2[分離射・固有射と付値判定法])。f(X)f(X) は既約な閉集合で 1 点ではないので、§2 で見たように YY 全体です。よって ff は全射で、XX の生成点 ξ\xi は YY の生成点 η\eta に写ります(f(ξ)f(\xi) の閉包は f(X)=Yf(X) = Y を含む)。茎の間の局所準同型 K(Y)=OY,η→OX,ξ=K(X)K(Y) = \mathcal{O}_{Y,\eta} \to \mathcal{O}_{X,\xi} = K(X) は体の準同型なので単射です。K(X)K(X) と K(Y)K(Y) はどちらも kk 上の超越次数が 11 なので、K(X)K(X) は K(Y)K(Y) 上代数的です(定理 2.4[Noether の正規化と Hilbert の零点定理])。K(X)K(X) は kk 上有限生成なので K(Y)K(Y) 上も有限生成で、有限生成な代数拡大は有限次拡大です。

(2) BB は有限生成 kk 代数である整域で Frac⁡B=K(Y)\operatorname{Frac} B = K(Y) なので、定理 6.7[Noether の正規化と Hilbert の零点定理] により AA は有限生成 BB 加群です。U=f−1(V)U = f^{-1}(V) とおきます。

A⊆OX(U)A \subseteq \mathcal{O}_X(U)。 P∈UP \in U なら、f#f^{\#} により B⊆OY,f(P)⊆OX,PB \subseteq \mathcal{O}_{Y,f(P)} \subseteq \mathcal{O}_{X,P} です。OX,P\mathcal{O}_{X,P} は離散付値環なので K(X)K(X) の中で整閉で(命題 2.2[離散付値環と Dedekind 環] の (4))、BB 上整な元をすべて含みます。よって A⊆OX,PA \subseteq \mathcal{O}_{X,P} で、補題 2.2 により A⊆OX(U)A \subseteq \mathcal{O}_X(U) です。この包含は射 φ ⁣:U→Spec⁡A\varphi\colon U \to \operatorname{Spec} A を定め(定理 3.4[アフィンスキームとスキーム])、φ\varphi は VV 上の射です。

AA の極大イデアルでの局所化は離散付値環。 AA は Noether 整閉整域です。n\mathfrak{n} を AA の極大イデアルとすると、A/nA/\mathfrak{n} は体で B/(n∩B)B/(\mathfrak{n} \cap B) 上整なので、q=n∩B\mathfrak{q} = \mathfrak{n} \cap B は BB の極大イデアルです(命題 4.1[整拡大])。AA は kk 上有限生成の整域で商体 K(X)K(X) の超越次数は 11 なので、dim⁡An=1\dim A_{\mathfrak{n}} = 1 です(定理 2.4[次元・正規性・非特異性と微分の層] を Spec⁡A\operatorname{Spec} A に使う)。整閉性は局所化で保たれる(命題 3.2[整拡大])ので、AnA_{\mathfrak{n}} は次元 11 の整閉な Noether 局所整域、すなわち離散付値環です(定理 3.4[離散付値環と Dedekind 環])。

φ\varphi は閉点の全単射。 P∈UP \in U について n=mP∩A\mathfrak{n} = \mathfrak{m}_P \cap A は AA の素イデアルで、mf(P)∩B≠0\mathfrak{m}_{f(P)} \cap B \ne 0 を含むので 00 ではなく、dim⁡A=1\dim A = 1 から極大です。An⊆OX,PA_{\mathfrak{n}} \subseteq \mathcal{O}_{X,P} かつ mP∩An=nAn\mathfrak{m}_P \cap A_{\mathfrak{n}} = \mathfrak{n}A_{\mathfrak{n}} なので、補題 2.1 により An=OX,PA_{\mathfrak{n}} = \mathcal{O}_{X,P} です。φ(P)=n\varphi(P) = \mathfrak{n} で、OX,P\mathcal{O}_{X,P} が n\mathfrak{n} から決まるので、命題 2.3 により φ\varphi は閉点の上で単射です。逆に AA の極大イデアル n\mathfrak{n} を取ると、AnA_{\mathfrak{n}} は kk を含み商体が K(X)K(X) の離散付値環なので、命題 2.3 により An=OX,PA_{\mathfrak{n}} = \mathcal{O}_{X,P} となる XX の点 PP があります。P∈UP \in U を示します。q=n∩B\mathfrak{q} = \mathfrak{n} \cap B に対応する VV の点を QQ とします。Spec⁡An→X→fY\operatorname{Spec} A_{\mathfrak{n}} \to X \xrightarrow{f} Y と Spec⁡An→Spec⁡A→Spec⁡B=V⊆Y\operatorname{Spec} A_{\mathfrak{n}} \to \operatorname{Spec} A \to \operatorname{Spec} B = V \subseteq Y は、生成点の上ではどちらも包含 K(Y)⊆K(X)K(Y) \subseteq K(X) から来る射で一致します。YY は分離的なので、付値判定法(定理 5.3[分離射・固有射と付値判定法])により 2 つの射は一致し、閉点の像を比べて f(P)=Q∈Vf(P) = Q \in V です。よって P∈UP \in U、φ(P)=n\varphi(P) = \mathfrak{n} です。

φ\varphi は同型。 φ\varphi は生成点を生成点に写し、閉点の上で全単射です。UU と Spec⁡A\operatorname{Spec} A はどちらも、真の閉集合が有限個の閉点からなる空間なので(Spec⁡A\operatorname{Spec} A も 11 次元の既約な Noether 空間です)、全単射 φ\varphi は同相写像です。茎の上では φ# ⁣:An→OX,P\varphi^{\#}\colon A_{\mathfrak{n}} \to \mathcal{O}_{X,P} は上で見た等号、生成点では K(X)K(X) の恒等写像です。同相写像で、すべての茎で同型を引き起こす局所環付き空間の射は同型です(命題 3.2[層])。

仮定「像が 1 点でない」を落とすと、定値写像 X→{Q}⊆YX \to \{Q\} \subseteq Y は関数体の埋め込みを引き起こしません。また、非特異性を落として尖点 3 次曲線の正規化 P1→C\mathbb{P}^1 \to C を考えると、射は有限ですが (2) の「f−1(V)f^{-1}(V) は整閉包の Spec⁡\operatorname{Spec}」は CC 側が整閉でないので意味が変わります。

この節のねらいは、曲線を調べることと、その関数体(超越次数 11 の体)を調べることが同じだと示すことです。曲線から関数体を取るのは簡単で、難しいのは逆向きです。体 KK から曲線を作るには、KK の中で k[t]k[t] と k[t−1]k[t^{-1}] の整閉包を取り、その 2 枚のアフィン曲線を貼り合わせます。射影直線を 2 枚のアフィン直線で作るのと同じ手順を、KK の中でやり直すと考えてください。

補題 4.1(射影直線の上に有限な完備曲線は射影的)✓

XX を kk 上のスキーム、π ⁣:X→Pk1\pi\colon X \to \mathbb{P}^1_k を有限射とする。このとき L=π∗O(1)\mathcal{L} = \pi^*\mathcal{O}(1) は豊富で、XX は kk 上射影的である。

証明(補題 4.1)

有限射は固有で、Pk1\mathbb{P}^1_k は kk 上固有なので(命題 6.2[分離射・固有射と付値判定法]、定理 7.3[分離射・固有射と付値判定法])、XX は kk 上固有です。F\mathcal{F} を XX 上の連接層とします。π\pi は有限なので、P1\mathbb{P}^1 のアフィン開集合 Spec⁡B\operatorname{Spec} B の上で π∗F\pi_*\mathcal{F} は有限生成 BB 加群に伴う層で、連接です。可逆層 E\mathcal{E} について、随伴(命題 6.2[準連接層・連接層と直線束])から来る自然な射 π∗F⊗E→π∗(F⊗π∗E)\pi_*\mathcal{F} \otimes \mathcal{E} \to \pi_*(\mathcal{F} \otimes \pi^*\mathcal{E}) は、E\mathcal{E} が自明になる開集合の上では恒等写像なので、同型です。π\pi はアフィン射なので、系 8.4[層コホモロジー] により

Hi(X,F⊗Ln)≅Hi(P1,π∗(F⊗π∗O(n)))≅Hi(P1,(π∗F)(n))H^i(X, \mathcal{F} \otimes \mathcal{L}^{n}) \cong H^i(\mathbb{P}^1, \pi_*(\mathcal{F} \otimes \pi^*\mathcal{O}(n))) \cong H^i(\mathbb{P}^1, (\pi_*\mathcal{F})(n))

です。右辺は i>0i > 0 のとき、nn が十分大きければ 00 です(定理 6.2[Čech コホモロジーと射影空間のコホモロジー])。固有スキーム上の豊富性のコホモロジー判定法(定理 6.4[因子と直線束])により L\mathcal{L} は豊富で、ある m>0m > 0 について Lm\mathcal{L}^m は非常に豊富、すなわちはめ込み i ⁣:X→PkNi\colon X \to \mathbb{P}^N_k があります。XX は固有なので i(X)i(X) は閉集合です。はめ込み ii が PN\mathbb{P}^N の開部分スキーム WW への閉はめ込みと開はめ込み W⊆PNW \subseteq \mathbb{P}^N の合成なら、PN=W∪(PN∖i(X))\mathbb{P}^N = W \cup (\mathbb{P}^N \setminus i(X)) の各開集合の上で ii は閉はめ込みなので、ii は閉はめ込みです。ii が閉部分スキーム Z⊆PNZ \subseteq \mathbb{P}^N への開はめ込みと閉はめ込み Z⊆PNZ \subseteq \mathbb{P}^N の合成なら、i(X)i(X) は ZZ の開かつ閉な部分集合なので、Z=i(X)∪(Z∖i(X))Z = i(X) \cup (Z \setminus i(X)) という開被覆の上で見て X→ZX \to Z は閉はめ込みで、やはり ii は閉はめ込みです。

定理 4.2(曲線と 1 変数関数体の圏同値)✓

  1. kk 上有限生成で超越次数 11 の拡大体 KK に対し、K(X)≅KK(X) \cong K(kk 上の同型)となる曲線 XX が存在する。
  2. 曲線 XX, YY について、f↦f#f \mapsto f^{\#} は、像が 1 点でない射 X→YX \to Y の全体から、kk 上の体の準同型 K(Y)→K(X)K(Y) \to K(X) の全体への全単射である。

したがって、X↦K(X)X \mapsto K(X) は、曲線と像が 1 点でない射の圏から、kk 上有限生成で超越次数 11 の拡大体と kk 準同型の圏の反対への圏同値である。とくに、次数 11 の射は同型である。

証明(定理 4.2)

(2) 単射性。f,g ⁣:X→Yf, g\colon X \to Y が同じ K(Y)→K(X)K(Y) \to K(X) を引き起こすとします。支配的な有理写像は関数体の準同型で決まるので(定理 8.2[スキームの性質と射])、ff と gg は空でない開集合の上で一致し、命題 8.2[分離射・固有射と付値判定法] により f=gf = g です。全射性。kk 準同型 θ ⁣:K(Y)→K(X)\theta\colon K(Y) \to K(X) は支配的な有理写像 X⇢YX \dashrightarrow Y を定め(同じ定理)、XX は非特異曲線、YY は射影多様体なので、これは射 f ⁣:X→Yf\colon X \to Y に延びます(命題 10.1[次元・正規性・非特異性と微分の層])。ff は支配的なので像は 1 点でなく、f#=θf^{\#} = \theta です。

(1) KK は kk と異なるので、kk 上超越的な t∈Kt \in K があります。超越次数が 11 なので KK は k(t)k(t) 上代数的で、有限生成だから有限次拡大です。KK における k[t]k[t] の整閉包を A0A_0、k[t−1]k[t^{-1}] の整閉包を A∞A_\infty とします。定理 6.7[Noether の正規化と Hilbert の零点定理] により、A0A_0 は有限生成 k[t]k[t] 加群、A∞A_\infty は有限生成 k[t−1]k[t^{-1}] 加群で、どちらも有限生成 kk 代数です。KK の元は c/ac/a(c∈A0c \in A_0、0≠a∈k[t]0 \ne a \in k[t])と書けるので Frac⁡A0=K\operatorname{Frac} A_0 = K で(命題 2.7[整拡大])、A∞A_\infty も同様です。整閉包と局所化の可換性(命題 2.6[整拡大])により、KK の部分環として

A0[t−1]=(k[t,t−1] の K における整閉包)=A∞[t]A_0[t^{-1}] = (k[t, t^{-1}] \text{ の } K \text{ における整閉包}) = A_\infty[t]

です。そこで U0=Spec⁡A0U_0 = \operatorname{Spec} A_0 と U∞=Spec⁡A∞U_\infty = \operatorname{Spec} A_\infty を、開集合 Spec⁡A0[t−1]=Spec⁡A∞[t]\operatorname{Spec} A_0[t^{-1}] = \operatorname{Spec} A_\infty[t] に沿って貼り合わせ、スキーム XX を作ります(定理 5.1[アフィンスキームとスキーム]。貼り合わせるのは 2 枚なのでコサイクル条件は自動的に成り立ちます)。包含 k[t]⊆A0k[t] \subseteq A_0、k[t−1]⊆A∞k[t^{-1}] \subseteq A_\infty が定める射は貼り合わせ部分で両立し、Pk1=Spec⁡k[t]∪Spec⁡k[t−1]\mathbb{P}^1_k = \operatorname{Spec} k[t] \cup \operatorname{Spec} k[t^{-1}](定理 6.3[アフィンスキームとスキーム])への射 π ⁣:X→Pk1\pi\colon X \to \mathbb{P}^1_k に貼り合わさります。π−1(Spec⁡k[t])=U0\pi^{-1}(\operatorname{Spec} k[t]) = U_0、π−1(Spec⁡k[t−1])=U∞\pi^{-1}(\operatorname{Spec} k[t^{-1}]) = U_\infty なので π\pi は有限射です。

XX が曲線であることを確かめます。U0U_0 と U∞U_\infty は整域の Spec⁡\operatorname{Spec} で、共通部分は空でないので、XX は既約かつ被約、すなわち整です(命題 2.2[スキームの性質と射])。関数体は Frac⁡A0=K\operatorname{Frac} A_0 = K で、次元は超越次数の 11 です。補題 4.1 により XX は射影的です。閉点 x∈U0x \in U_0 の局所環は、定理 3.1 の証明の第 2 段と同じ議論(A0A_0 は Noether 整閉整域で、極大イデアルでの局所化は次元 11)により離散付値環で、U∞U_\infty の点も同様です。離散付値環は dim⁡km/m2=1\dim_k \mathfrak{m}/\mathfrak{m}^2 = 1 を満たす正則局所環なので(定理 3.4[離散付値環と Dedekind 環])、XX は非特異です(定理 7.3[次元・正規性・非特異性と微分の層])。

圏同値。 (2) により関手 X↦K(X)X \mapsto K(X) は充満忠実、(1) により本質的全射なので、定理 6.2[圏・関手・自然変換] により圏同値です。deg⁡f=1\deg f = 1 なら f#f^{\#} は体の同型で、圏同値は同型を反映するので ff は同型です。

例 4.3(射影直線)

K=k(t)K = k(t) のとき、上の構成は A0=k[t]A_0 = k[t]、A∞=k[t−1]A_\infty = k[t^{-1}] で X=Pk1X = \mathbb{P}^1_k を与えます。命題 2.3 により、P1\mathbb{P}^1 の点は a∈ka \in k に対応する k[t](t−a)k[t]_{(t - a)}(素元 t−at - a)と、無限遠点 ∞\infty に対応する k[t−1](t−1)k[t^{-1}]_{(t^{-1})}(素元 t−1t^{-1})です。v0(t)=1v_0(t) = 1、v∞(t)=−1v_\infty(t) = -1、それ以外の点では tt は単元なので、div⁡(t)=(0)−(∞)\operatorname{div}(t) = (0) - (\infty) です。

曲線 XX の定数でない有理関数 h∈K(X)∖kh \in K(X) \setminus k は、kk 上超越的です(kk は代数閉体なので、kk 上代数的な元は kk に入ります)。t↦ht \mapsto h で定まる k(t)→K(X)k(t) \to K(X) に 定理 4.2 の (2) を使うと、射 φh ⁣:X→P1\varphi_h\colon X \to \mathbb{P}^1 で φh#(t)=h\varphi_h^{\#}(t) = h となるものがただ一つ得られます。「有理関数は P1\mathbb{P}^1 への射である」という見方は、この先何度も使います。

この節のねらいは、有理関数の零点と極が重複度を込めて同じ個数であること(主因子の次数が 00 であること)を示すことです。射 ff で下の点 QQ を引き戻すと、上の点がいくつか出てきます。その個数を分岐指数(重複度)つきで数えると、QQ によらず ff の次数に等しい、というのが次の命題の核心です。

定義 5.1(分岐指数と因子の引き戻し)↗

f ⁣:X→Yf\colon X \to Y を曲線の有限射(像が 1 点でない射)とする。P∈XP \in X、Q=f(P)Q = f(P) について、QQ での素元 tQt_Q の像の付値

eP=vP(f#tQ)≥1e_P = v_P(f^{\#}t_Q) \ge 1

を ff の PP での分岐指数という(tQt_Q を単元倍しても値は変わらない)。YY の点 QQ に対し f∗Q=∑f(P)=QePPf^*Q = \sum_{f(P) = Q} e_P P とおき、Z\mathbb{Z} 線形に延ばして因子の引き戻し f∗ ⁣:Div⁡Y→Div⁡Xf^*\colon \operatorname{Div} Y \to \operatorname{Div} X を定める。

ff は有限射なので f−1(Q)f^{-1}(Q) は有限集合で(命題 6.2[スキームの性質と射])、和は有限和です。

補題 5.2(引き戻しと有理関数・可逆層)✓

f ⁣:X→Yf\colon X \to Y を曲線の有限射とする。

  1. h∈K(Y)×h \in K(Y)^{\times}、P∈XP \in X について vP(f#h)=eP vf(P)(h)v_P(f^{\#}h) = e_P\, v_{f(P)}(h) である。したがって f∗div⁡(h)=div⁡(f#h)f^*\operatorname{div}(h) = \operatorname{div}(f^{\#}h) で、f∗f^* は線形同値を保つ。
  2. YY の因子 DD について f∗OY(D)≅OX(f∗D)f^*\mathcal{O}_Y(D) \cong \mathcal{O}_X(f^*D) である。
証明(補題 5.2)

(1) Q=f(P)Q = f(P)、m=vQ(h)m = v_Q(h) とし、h=utQmh = u t_Q^m(uu は OQ\mathcal{O}_Q の単元)と書きます(命題 3.2[離散付値環と Dedekind 環] の (1))。f# ⁣:OQ→OPf^{\#}\colon \mathcal{O}_Q \to \mathcal{O}_P は環準同型なので f#uf^{\#}u は単元で、vP(f#h)=m vP(f#tQ)=mePv_P(f^{\#}h) = m\, v_P(f^{\#}t_Q) = m e_P です。div⁡(h)=∑QvQ(h)Q\operatorname{div}(h) = \sum_Q v_Q(h) Q を引き戻すと ∑QvQ(h)∑f(P)=QePP=∑PvP(f#h)P\sum_Q v_Q(h) \sum_{f(P) = Q} e_P P = \sum_P v_P(f^{\#}h) P です。

(2) D=∑nQQD = \sum n_Q Q とします。各点 Q∈YQ \in Y について、開近傍 VQV_Q を、VQV_Q の上で D=nQQD = n_Q Q かつ div⁡(tQ)=Q\operatorname{div}(t_Q) = Q となるように取ると、OY(D)∣VQ\mathcal{O}_Y(D)|_{V_Q} は tQ−nQt_Q^{-n_Q} を基底とする自由 OVQ\mathcal{O}_{V_Q} 加群です。f∗OY(D)f^*\mathcal{O}_Y(D) から定数層 K(X)K(X) への射を s⊗a↦af#(s)s \otimes a \mapsto a f^{\#}(s) で定めます。f−1(VQ)f^{-1}(V_Q) の上で、その像は f#(tQ−nQ)f^{\#}(t_Q^{-n_Q}) で生成される部分層で、(1) により div⁡(f#(tQ−nQ))=−nQf∗Q\operatorname{div}(f^{\#}(t_Q^{-n_Q})) = -n_Q f^*Q が f−1(VQ)f^{-1}(V_Q) の上で成り立つので、像は OX(f∗D)∣f−1(VQ)\mathcal{O}_X(f^*D)|_{f^{-1}(V_Q)} です。よって f∗OY(D)→OX(f∗D)f^*\mathcal{O}_Y(D) \to \mathcal{O}_X(f^*D) は可逆層の間の全射です。可逆層の間の全射は、局所的には O→O\mathcal{O} \to \mathcal{O} の全射、すなわち単元倍なので、同型です。

命題 5.3(引き戻しの次数)✓

f ⁣:X→Yf\colon X \to Y を曲線の有限射とする。

  1. YY の因子 DD について deg⁡f∗D=deg⁡f⋅deg⁡D\deg f^*D = \deg f \cdot \deg D である。とくに、すべての Q∈YQ \in Y について ∑f(P)=QeP=deg⁡f\sum_{f(P) = Q} e_P = \deg f である。
  2. 曲線 XX の h∈K(X)×h \in K(X)^{\times} について deg⁡div⁡(h)=0\deg \operatorname{div}(h) = 0 である。
  3. したがって D∼D′D \sim D' なら deg⁡D=deg⁡D′\deg D = \deg D' で、次数は準同型 deg⁡ ⁣:Pic⁡X→Z\deg\colon \operatorname{Pic} X \to \mathbb{Z} を定める。
証明(命題 5.3)

(1) 両辺は DD について加法的なので、D=QD = Q(1 点)の場合を示せば十分です。QQ のアフィン開近傍 V=Spec⁡BV = \operatorname{Spec} B を取り、K(X)K(X) における BB の整閉包を AA とします。定理 3.1 の (2) により f−1(V)≅Spec⁡Af^{-1}(V) \cong \operatorname{Spec} A で、AA は有限生成 BB 加群です。BB は体でない Noether 整域で、極大イデアルでの局所化は YY の点の局所環、すなわち離散付値環なので、Dedekind 環です(定理 5.1[離散付値環と Dedekind 環])。n=[K(X):K(Y)]=deg⁡fn = [K(X) : K(Y)] = \deg f とおきます。

QQ に対応する BB の極大イデアルを q\mathfrak{q} とし、qA=n1e1⋯nrer\mathfrak{q}A = \mathfrak{n}_1^{e_1} \cdots \mathfrak{n}_r^{e_r} と素イデアル分解します(定義 8.1[離散付値環と Dedekind 環])。定理 8.2[離散付値環と Dedekind 環] の (1) により、n1,…,nr\mathfrak{n}_1, \ldots, \mathfrak{n}_r はちょうど q\mathfrak{q} の上にある AA の素イデアルで、f−1(Q)f^{-1}(Q) の点 P1,…,PrP_1, \ldots, P_r に対応します。qBq=tQBq\mathfrak{q}B_{\mathfrak{q}} = t_Q B_{\mathfrak{q}} なので、Ani=OX,PiA_{\mathfrak{n}_i} = \mathcal{O}_{X,P_i} の中で

tQOX,Pi=qAni=nieiAnit_Q \mathcal{O}_{X,P_i} = \mathfrak{q}A_{\mathfrak{n}_i} = \mathfrak{n}_i^{e_i}A_{\mathfrak{n}_i}

です(j≠ij \ne i なら nj⊈ni\mathfrak{n}_j \not\subseteq \mathfrak{n}_i なので njAni=Ani\mathfrak{n}_jA_{\mathfrak{n}_i} = A_{\mathfrak{n}_i})。離散付値環のイデアル me\mathfrak{m}^e は付値 ee の元で生成される(命題 3.2[離散付値環と Dedekind 環] の (2))ので、ePi=vPi(tQ)=eie_{P_i} = v_{P_i}(t_Q) = e_i です。剰余次数は [A/ni:B/q]=[k:k]=1[A/\mathfrak{n}_i : B/\mathfrak{q}] = [k : k] = 1 です。AA は有限生成 BB 加群なので、基本等式(同じ定理の (2))により

deg⁡f∗Q=∑i=1rei=∑i=1reifi=n\deg f^*Q = \sum_{i=1}^{r} e_i = \sum_{i=1}^{r} e_i f_i = n

です。

(2) h∈k×h \in k^{\times} なら div⁡(h)=0\operatorname{div}(h) = 0 です。h∉kh \notin k なら、§4 の最後で見た射 φh ⁣:X→P1\varphi_h\colon X \to \mathbb{P}^1(φh#t=h\varphi_h^{\#}t = h)を取ります。P1\mathbb{P}^1 の上で div⁡(t)=(0)−(∞)\operatorname{div}(t) = (0) - (\infty) なので、補題 5.2 の (1) により div⁡(h)=φh∗(0)−φh∗(∞)\operatorname{div}(h) = \varphi_h^*(0) - \varphi_h^*(\infty) で、(1) により次数は deg⁡φh−deg⁡φh=0\deg \varphi_h - \deg \varphi_h = 0 です。

(3) (2) から従います。Pic⁡X\operatorname{Pic} X は因子類群と同型なので(定理 4.4[因子と直線束])、deg⁡OX(D)=deg⁡D\deg \mathcal{O}_X(D) = \deg D とおけば矛盾なく定まり、OX(D)⊗OX(D′)≅OX(D+D′)\mathcal{O}_X(D) \otimes \mathcal{O}_X(D') \cong \mathcal{O}_X(D + D') から準同型です。

P₁P₂PQQe = 1e = 1e = 2XY
次数 2 の射 f による引き戻し。左は分岐しない点で、上に相異なる 2 点がのり(e = 1 が 2 つ)、右は分岐する点で、上に 1 点がのる(e = 2)。どちらの場合も重複度を込めた個数は deg f = 2

(2) の証明から、定数でない hh の零点の因子 (h)0=φh∗(0)(h)_0 = \varphi_h^*(0) と極の因子 (h)∞=φh∗(∞)(h)_\infty = \varphi_h^*(\infty) はどちらも次数 deg⁡φh=[K(X):k(h)]\deg \varphi_h = [K(X) : k(h)] をもちます。「有理関数の零点と極は重複度を込めて同数」というコンパクト Riemann 面の事実の代数版です。射影性を落として X=A1X = \mathbb{A}^1 とすると、h=th = t は零点を 1 つもち極をもたないので、(2) は成り立ちません。

命題 6.1(l(D)l(D) の基本性質)✓

DD を曲線 XX の因子とする。

  1. l(D)l(D) は有限である。
  2. deg⁡D<0\deg D < 0 なら l(D)=0l(D) = 0 である。
  3. deg⁡D=0\deg D = 0 かつ l(D)>0l(D) > 0 なら D∼0D \sim 0(DD は主因子)で、l(D)=1l(D) = 1 である。
  4. 点 PP について l(D)−1≤l(D−P)≤l(D)l(D) - 1 \le l(D - P) \le l(D) である。
証明(命題 6.1)

(1) OX(D)\mathcal{O}_X(D) は射影スキーム XX 上の連接層なので、定理 6.2[Čech コホモロジーと射影空間のコホモロジー] により H0H^0 は有限次元です。

(2)(3) 0≠h∈L(D)0 \ne h \in L(D) があれば D′=D+div⁡(h)D' = D + \operatorname{div}(h) は有効因子で、命題 5.3 の (2) により deg⁡D=deg⁡D′≥0\deg D = \deg D' \ge 0 です。これで (2) が示せました。deg⁡D=0\deg D = 0 なら、次数 00 の有効因子は 00 だけなので D′=0D' = 0、D=div⁡(h−1)D = \operatorname{div}(h^{-1}) です。このとき OX(D)≅OX\mathcal{O}_X(D) \cong \mathcal{O}_X で、l(D)=dim⁡kH0(X,OX)=1l(D) = \dim_k H^0(X, \mathcal{O}_X) = 1 です(定理 8.3[分離射・固有射と付値判定法])。

(4) L(D−P)⊆L(D)L(D - P) \subseteq L(D) です。DD の PP での係数を nn とすると、h↦(tPnh mod mP)h \mapsto (t_P^{n}h \bmod \mathfrak{m}_P) は線形写像 L(D)→OP/mP=kL(D) \to \mathcal{O}_P/\mathfrak{m}_P = k で、核は vP(h)≥−n+1v_P(h) \ge -n + 1 を満たす hh、すなわち L(D−P)L(D - P) です。よって余次元は 11 以下です。

定義 6.2(種数・標準因子・特殊因子)↗

曲線 XX について、g=dim⁡kH1(X,OX)g = \dim_k H^1(X, \mathcal{O}_X) を XX の種数という。標準層 ωX=ΩX/k\omega_X = \Omega_{X/k} は可逆層(定理 7.3[次元・正規性・非特異性と微分の層])で、OX(K)≅ωX\mathcal{O}_X(K) \cong \omega_X となる因子 KK を標準因子という。標準因子は線形同値を除いて一意である。因子 DD が特殊であるとは l(K−D)>0l(K - D) > 0 であることをいい、l(K−D)l(K - D) を DD の特殊指数という。

XX は正則なので Cohen–Macaulay で(系 6.5[Cohen–Macaulay 環と正則局所環])、双対化層は ωX\omega_X です(定理 7.3[Ext 層と Serre 双対])。Serre 双対(系 7.4[Ext 層と Serre 双対])により H1(X,OX)≅H0(X,ωX)∨H^1(X, \mathcal{O}_X) \cong H^0(X, \omega_X)^{\vee} なので、g=l(K)g = l(K) でもあります。

次の補題が Riemann–Roch の定理の心臓部です。極を許す位数を 1 だけ増やすと、使える関数の空間は高々 1 次元しか増えません。その増え方を「層の完全列」で正確に捉え、Euler 標数がちょうど 1 増えると示します。

補題 6.3(点を足すと Euler 標数が 1 増える)✓

曲線 XX の因子 DD と点 PP について、k(P)k(P) を PP に台をもつ摩天楼層(茎は kk)とすると、完全列

0→OX(D)→OX(D+P)→k(P)→00 \to \mathcal{O}_X(D) \to \mathcal{O}_X(D + P) \to k(P) \to 0

があり、χ(OX(D+P))=χ(OX(D))+1\chi(\mathcal{O}_X(D + P)) = \chi(\mathcal{O}_X(D)) + 1 である。したがって、すべての因子 DD について

χ(OX(D))=deg⁡D+1−g\chi(\mathcal{O}_X(D)) = \deg D + 1 - g

が成り立つ。

証明(補題 6.3)

OX(D)\mathcal{O}_X(D) は OX(D+P)\mathcal{O}_X(D + P) の部分層です。DD の PP での係数を nn とすると、商層の茎は、PP 以外の点では 00、PP では tP−n−1OP/tP−nOP≅OP/mP=kt_P^{-n-1}\mathcal{O}_P / t_P^{-n}\mathcal{O}_P \cong \mathcal{O}_P/\mathfrak{m}_P = k です(tPn+1t_P^{n+1} 倍が同型を与えます)。PP 以外で茎が 00 の層は、PP での茎を値とする摩天楼層と同型なので、商層は k(P)k(P) です。

k(P)k(P) は閉はめ込み i ⁣:Spec⁡k→Xi\colon \operatorname{Spec} k \to X による順像 i∗OSpec⁡ki_*\mathcal{O}_{\operatorname{Spec} k} なので、系 8.4[層コホモロジー] により H0(X,k(P))=kH^0(X, k(P)) = k、Hi(X,k(P))=0H^i(X, k(P)) = 0(i>0i > 0)で、χ(k(P))=1\chi(k(P)) = 1 です。Euler 標数の加法性(命題 7.2[Čech コホモロジーと射影空間のコホモロジー])から χ(OX(D+P))=χ(OX(D))+1\chi(\mathcal{O}_X(D + P)) = \chi(\mathcal{O}_X(D)) + 1 です。

D=0D = 0 のとき、H0(X,OX)=kH^0(X, \mathcal{O}_X) = k(定理 8.3[分離射・固有射と付値判定法])、dim⁡H1(X,OX)=g\dim H^1(X, \mathcal{O}_X) = g、i≥2i \ge 2 で Hi=0H^i = 0(定理 6.5[層コホモロジー])なので χ(OX)=1−g\chi(\mathcal{O}_X) = 1 - g で、等式が成り立ちます。任意の因子は 00 から点を足す・引く操作を有限回行って得られ、どちらの操作でも等式の両辺は同じだけ(±1\pm 1)変わるので、等式はすべての DD で成り立ちます。

定理 6.4(Riemann–Roch の定理)✓

XX を種数 gg の曲線、KK を標準因子とする。XX の任意の因子 DD について

l(D)−l(K−D)=deg⁡D+1−gl(D) - l(K - D) = \deg D + 1 - g

が成り立つ。

証明(定理 6.4)

XX は 11 次元なので i≥2i \ge 2 で Hi(X,OX(D))=0H^i(X, \mathcal{O}_X(D)) = 0 で(定理 6.5[層コホモロジー])、χ(OX(D))=l(D)−dim⁡kH1(X,OX(D))\chi(\mathcal{O}_X(D)) = l(D) - \dim_k H^1(X, \mathcal{O}_X(D)) です。XX は等次元 11 の Cohen–Macaulay 射影スキームで双対化層は ωX\omega_X なので、局所自由層についての Serre 双対(定理 6.4[Ext 層と Serre 双対])により

H1(X,OX(D))≅H0(X,OX(D)∨⊗ωX)∨≅H0(X,OX(K−D))∨H^1(X, \mathcal{O}_X(D)) \cong H^0(X, \mathcal{O}_X(D)^{\vee} \otimes \omega_X)^{\vee} \cong H^0(X, \mathcal{O}_X(K - D))^{\vee}

で、次元は l(K−D)l(K - D) です。補題 6.3 の χ(OX(D))=deg⁡D+1−g\chi(\mathcal{O}_X(D)) = \deg D + 1 - g と合わせて主張を得ます。

証明は短いですが、使った道具は軽くありません。有限性定理が l(D)l(D) を有限にし、加法性が「次数 +1+1 で次元 +1+1」という主要項を出し、Serre 双対が補正項 H1H^1 を同じ種類の量 l(K−D)l(K - D) に書き直しています。

系 6.5(標準因子の次数)✓

種数 gg の曲線の標準因子 KK について、l(K)=gl(K) = g、deg⁡K=2g−2\deg K = 2g - 2 である。

証明(系 6.5)

l(K)=dim⁡H0(X,ωX)=gl(K) = \dim H^0(X, \omega_X) = g は 定義 6.2 の直後で見ました。定理 6.4 で D=KD = K とすると l(K)−l(0)=deg⁡K+1−gl(K) - l(0) = \deg K + 1 - g で、l(0)=dim⁡H0(X,OX)=1l(0) = \dim H^0(X, \mathcal{O}_X) = 1 なので g−1=deg⁡K+1−gg - 1 = \deg K + 1 - g、すなわち deg⁡K=2g−2\deg K = 2g - 2 です。

系 6.6(次数が大きい因子)✓

種数 gg の曲線の因子 DD が deg⁡D>2g−2\deg D > 2g - 2 を満たすなら、l(D)=deg⁡D+1−gl(D) = \deg D + 1 - g である。

証明(系 6.6)

系 6.5 により deg⁡(K−D)=2g−2−deg⁡D<0\deg(K - D) = 2g - 2 - \deg D < 0 なので、命題 6.1 の (2) により l(K−D)=0l(K - D) = 0 です。定理 6.4 に代入します。

例 6.7(非特異平面曲線の種数)

P2\mathbb{P}^2 の次数 dd の非特異な曲線 XX では、算術種数 pa=1−χ(OX)p_a = 1 - \chi(\mathcal{O}_X) が (d−1)(d−2)/2(d-1)(d-2)/2 です(系 7.8[Čech コホモロジーと射影空間のコホモロジー])。χ(OX)=1−g\chi(\mathcal{O}_X) = 1 - g なので g=(d−1)(d−2)/2g = (d-1)(d-2)/2 です。直線と 2 次曲線は種数 00、3 次曲線は種数 11、4 次曲線は種数 33 で、種数 22 の非特異平面曲線はありません。

例 6.8(y2=f(x)y^2 = f(x) の非特異モデルと種数)

kk の標数は 22 でないとし、f∈k[x]f \in k[x] を重根をもたない次数 2g+22g + 2 の多項式(g≥0g \ge 0)、K=k(x)[y]/(y2−f)K = k(x)[y]/(y^2 - f) とします。定理 4.2 の構成を t=xt = x で行います。A0=k[x,y]/(y2−f)A_0 = k[x, y]/(y^2 - f) は、Jacobi 行列 (−f′(x), 2y)(-f'(x),\ 2y) が曲線上で消えない(y=0y = 0 なら f(x)=0f(x) = 0 で、重根がないので f′(x)≠0f'(x) \ne 0)ので正則、したがって整閉で、k[x]k[x] の整閉包です。無限遠では s=1/xs = 1/x、w=y/xg+1w = y/x^{g+1} とおくと w2=s2g+2f(1/s)=f~(s)w^2 = s^{2g+2}f(1/s) = \tilde{f}(s) で、f~\tilde{f} は重根をもたず f~(0)\tilde{f}(0) は ff の最高次係数 c2≠0c^2 \ne 0 です。同じ理由で A∞=k[s,w]/(w2−f~)A_\infty = k[s, w]/(w^2 - \tilde{f}) が k[s]k[s] の整閉包です。x=∞x = \infty の上には w=±cw = \pm c の 2 点 ∞±\infty_{\pm} があります。

種数を Riemann–Roch から求めます。D=∞++∞−D = \infty_+ + \infty_-(xx の極の因子)とします。アフィン部分で正則な元は a(x)+b(x)ya(x) + b(x)y(a,b∈k[x]a, b \in k[x])と一意に書けます。m=max⁡(deg⁡a, deg⁡b+g+1)m = \max(\deg a,\ \deg b + g + 1) とすると a+by=xm(α+βw+s(⋯ ))a + by = x^m(\alpha + \beta w + s(\cdots)) で、(α,β)≠(0,0)(\alpha, \beta) \ne (0, 0) は aa と bb の該当する次数の係数です。∞±\infty_{\pm} での値 α±βc\alpha \pm \beta c が両方 00 になることはないので、少なくとも一方の点で極の位数はちょうど mm です。よって a+by∈L(nD)a + by \in L(nD) は deg⁡a≤n\deg a \le n かつ deg⁡b≤n−g−1\deg b \le n - g - 1 と同値で、n≥g+1n \ge g + 1 のとき l(nD)=(n+1)+(n−g)=2n+1−gl(nD) = (n + 1) + (n - g) = 2n + 1 - g です。nn が大きいとき 系 6.6 により l(nD)=2n+1−gXl(nD) = 2n + 1 - g_X なので、XX の種数は gX=gg_X = g です。ff の次数が 2g+12g + 1 のときは無限遠点が 1 点になりますが、同じ計算で種数は gg です。

7. 基点・埋め込み・種数 0 の曲線

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因子 DD について、点 PP が ∣D∣|D| の基点であるとは、∣D∣|D| のすべての有効因子が PP を含むこと、同じことですが L(D)L(D) のすべての元が PP で消える(OX(D)\mathcal{O}_X(D) の茎の中で mPOX(D)P=OX(D−P)P\mathfrak{m}_P\mathcal{O}_X(D)_P = \mathcal{O}_X(D - P)_P に入る)ことをいいます。∣D∣|D| が基点をもたないことは、OX(D)\mathcal{O}_X(D) が大域切断で生成されることと同じで、このとき L(D)L(D) の基底は射 φ∣D∣ ⁣:X→Pl(D)−1\varphi_{|D|}\colon X \to \mathbb{P}^{l(D) - 1} を定めます(定理 5.1[因子と直線束])。

定理 7.1(基点をもたない条件・非常に豊富な条件)✓

DD を種数 gg の曲線 XX の因子とする。

  1. ∣D∣|D| が基点をもたないことは、すべての点 PP について l(D−P)=l(D)−1l(D - P) = l(D) - 1 であることと同値である。
  2. DD が非常に豊富であることは、すべての点 P,QP, Q(P=QP = Q の場合を含む)について l(D−P−Q)=l(D)−2l(D - P - Q) = l(D) - 2 であることと同値である。
  3. deg⁡D≥2g\deg D \ge 2g なら ∣D∣|D| は基点をもたず、deg⁡D≥2g+1\deg D \ge 2g + 1 なら DD は非常に豊富である。
  4. DD が豊富であることは deg⁡D>0\deg D > 0 と同値である。
証明(定理 7.1)

(1) 命題 6.1 の (4) の証明で見たように、L(D−P)L(D - P) は L(D)L(D) の元のうち PP で消えるものの全体です。PP が基点であることは L(D−P)=L(D)L(D - P) = L(D) と同値で、l(D−P)l(D - P) は l(D)l(D) か l(D)−1l(D) - 1 なので、PP が基点でないことは l(D−P)=l(D)−1l(D - P) = l(D) - 1 と同値です。

(2) 閉はめ込みの判定法(命題 5.5[因子と直線束])を使います。L=OX(D)\mathcal{L} = \mathcal{O}_X(D) の大域切断の部分空間 VV が L\mathcal{L} を生成するとき、VV の定める射が閉はめ込みであることは、次の 2 条件と同値です。(a) 相異なる点 P,QP, Q について、PP で消え QQ で消えない s∈Vs \in V がある。(b) 各点 PP について、PP で消える s∈Vs \in V の類が mPLP/mP2LP\mathfrak{m}_P\mathcal{L}_P/\mathfrak{m}_P^2\mathcal{L}_P を張る。曲線では mPLP/mP2LP\mathfrak{m}_P\mathcal{L}_P/\mathfrak{m}_P^2\mathcal{L}_P は 11 次元で、mP2LP=OX(D−2P)P\mathfrak{m}_P^2\mathcal{L}_P = \mathcal{O}_X(D - 2P)_P なので、V=L(D)V = L(D) のとき (a) は L(D−P−Q)⊊L(D−P)L(D - P - Q) \subsetneq L(D - P)、(b) は L(D−2P)⊊L(D−P)L(D - 2P) \subsetneq L(D - P) と言い換えられます。

すべての P,QP, Q で l(D−P−Q)=l(D)−2l(D - P - Q) = l(D) - 2 とします。l(D−P−Q)≥l(D−P)−1≥l(D)−2l(D - P - Q) \ge l(D - P) - 1 \ge l(D) - 2 の両方が等号なので、l(D−P)=l(D)−1l(D - P) = l(D) - 1((1) により基点がない)かつ l(D−P−Q)=l(D−P)−1l(D - P - Q) = l(D - P) - 1 です。これは (a) と (b) なので、φ∣D∣\varphi_{|D|} は閉はめ込みで、OX(D)≅φ∣D∣∗O(1)\mathcal{O}_X(D) \cong \varphi_{|D|}^*\mathcal{O}(1) から DD は非常に豊富です。逆に DD が非常に豊富なら、閉はめ込み i ⁣:X→PNi\colon X \to \mathbb{P}^N で i∗O(1)≅OX(D)i^*\mathcal{O}(1) \cong \mathcal{O}_X(D) となるものがあり(XX は固有なので、補題 4.1 の証明の最後の議論により、はめ込みは閉はめ込みです)、座標の引き戻しが張る V⊆L(D)V \subseteq L(D) は L\mathcal{L} を生成して (a)(b) を満たします。VV を L(D)L(D) に取り替えても L\mathcal{L} は生成され (a)(b) は成り立つので、l(D−P)=l(D)−1l(D - P) = l(D) - 1 と l(D−P−Q)=l(D−P)−1l(D - P - Q) = l(D - P) - 1 がすべての P,QP, Q で成り立ちます。

(3) deg⁡D≥2g\deg D \ge 2g なら deg⁡(D−P)≥2g−1>2g−2\deg(D - P) \ge 2g - 1 > 2g - 2 なので、系 6.6 を DD と D−PD - P に使って l(D−P)=(deg⁡D−1)+1−g=l(D)−1l(D - P) = (\deg D - 1) + 1 - g = l(D) - 1 です。deg⁡D≥2g+1\deg D \ge 2g + 1 なら deg⁡(D−P−Q)≥2g−1\deg(D - P - Q) \ge 2g - 1 なので、同様に l(D−P−Q)=l(D)−2l(D - P - Q) = l(D) - 2 です。

(4) OX(D)\mathcal{O}_X(D) が豊富であることは、ある m>0m > 0 で OX(mD)\mathcal{O}_X(mD) が非常に豊富であることと同値です(定理 6.4[因子と直線束])。deg⁡D>0\deg D > 0 なら mdeg⁡D≥2g+1m \deg D \ge 2g + 1 となる mm を取れば (3) により mDmD は非常に豊富です。逆に mDmD が非常に豊富なら、(2) の条件 (a) により、ある点 PP で消える 00 でない s∈L(mD)s \in L(mD) があり、対応する有効因子 E∼mDE \sim mD は PP を含むので mdeg⁡D=deg⁡E≥1m \deg D = \deg E \ge 1、したがって deg⁡D>0\deg D > 0 です。

(3) の境界は最良です。種数 11 の曲線で deg⁡D=2g=2\deg D = 2g = 2 のとき、∣D∣|D| は基点をもちませんが l(D)=2l(D) = 2 なので φ∣D∣\varphi_{|D|} は P1\mathbb{P}^1 への次数 22 の射で、埋め込みではありません。

定理 7.2(種数 0 の曲線)✓

曲線 XX について、次は同値である。

  1. XX の種数は 00 である。
  2. X≅Pk1X \cong \mathbb{P}^1_k である。
  3. 相異なる点 P,QP, Q で P∼QP \sim Q となるものがある。
証明(定理 7.2)

(2) ⇒ (1) H1(P1,O)=0H^1(\mathbb{P}^1, \mathcal{O}) = 0 です(定理 5.1[Čech コホモロジーと射影空間のコホモロジー])。

(1) ⇒ (3) XX は P1\mathbb{P}^1 への全射をもつ(定数でない有理関数を取る)ので、相異なる 2 点 P,QP, Q があります。D=P−QD = P - Q は deg⁡D=0>2g−2=−2\deg D = 0 > 2g - 2 = -2 を満たすので、系 6.6 により l(D)=0+1−0=1l(D) = 0 + 1 - 0 = 1 です。命題 6.1 の (3) により D∼0D \sim 0、すなわち P∼QP \sim Q です。

(3) ⇒ (2) div⁡(h)=P−Q\operatorname{div}(h) = P - Q となる hh を取ります。P≠QP \ne Q なので hh は定数でなく、射 φh ⁣:X→P1\varphi_h\colon X \to \mathbb{P}^1 が定まります。φh∗(0)\varphi_h^*(0) は hh の零点の因子 PP で、次数は 11 です。命題 5.3 の (1) により deg⁡φh=1\deg \varphi_h = 1 で、定理 4.2 により φh\varphi_h は同型です。

例 7.3(射影直線の因子は次数で決まる)

P1\mathbb{P}^1 では任意の 2 点が線形同値(div⁡((t−a)/(t−b))=(a)−(b)\operatorname{div}((t - a)/(t - b)) = (a) - (b))なので、因子の線形同値類は次数だけで決まり、deg⁡ ⁣:Pic⁡P1→Z\deg\colon \operatorname{Pic}\mathbb{P}^1 \to \mathbb{Z} は同型です。deg⁡D=d≥0\deg D = d \ge 0 なら l(D)=d+1l(D) = d + 1 で、D=d(∞)D = d(\infty) のとき L(D)L(D) は tt の dd 次以下の多項式の全体です。g=0g = 0 なので 2g+1=12g + 1 = 1 で、次数 d≥1d \ge 1 の因子はすべて非常に豊富です。対応する埋め込みは dd 次の有理正規曲線 P1→Pd\mathbb{P}^1 \to \mathbb{P}^d、t↦(1:t:⋯:td)t \mapsto (1 : t : \cdots : t^d) です。

例 7.4(種数 1 の曲線は平面 3 次曲線)

種数 11 の曲線 XX と次数 33 の因子 DD を取ります。deg⁡D=3=2g+1\deg D = 3 = 2g + 1 なので DD は非常に豊富で、l(D)=3+1−1=3l(D) = 3 + 1 - 1 = 3 から φ∣D∣ ⁣:X→P2\varphi_{|D|}\colon X \to \mathbb{P}^2 は閉はめ込みです。像は P2\mathbb{P}^2 の非特異な曲線で、例 6.7 の公式 (d−1)(d−2)/2=1(d-1)(d-2)/2 = 1 から次数は 33 です。逆に非特異な平面 3 次曲線は種数 11 です。次章で、D=3P0D = 3P_0 と取ると方程式が y2=x3+ax+by^2 = x^3 + ax + b の形にできることを示します。

deg Dl(D)02g − 21deg D + 1 − gClifford: l(D) − 1 ≤ deg D / 2g − 1特殊因子の範囲
因子の次数と l(D) の関係(種数 g)。次数が 2g − 2 を超えると直線 deg D + 1 − g に乗り、0 以上 2g − 2 以下では因子ごとに l(K − D) だけ上にずれる

図の上側の境界 l(D)−1≤deg⁡D/2l(D) - 1 \le \deg D/2(Clifford の定理)は次章で証明します。

補題 8.1(完全列と行列式)✓

スキーム XX 上の局所自由層の完全列 0→L→E→E′→00 \to \mathcal{L} \to \mathcal{E} \to \mathcal{E}' \to 0 で、L\mathcal{L} が可逆、E\mathcal{E} の階数が rr、E′\mathcal{E}' の階数が r−1r - 1 のとき、det⁡E≅L⊗det⁡E′\det \mathcal{E} \cong \mathcal{L} \otimes \det \mathcal{E}' である。ここで det⁡\det は最高次の外冪である。

証明(補題 8.1)

補題 6.2[次元・正規性・非特異性と微分の層] の (3)(局所自由層の完全列 0→E′→E→E′′→00 \to \mathcal{E}' \to \mathcal{E} \to \mathcal{E}'' \to 0 について det⁡E≅det⁡E′⊗det⁡E′′\det\mathcal{E} \cong \det\mathcal{E}' \otimes \det\mathcal{E}'')を、部分層 L\mathcal{L} と商 E′\mathcal{E}' に使うと det⁡E≅det⁡L⊗det⁡E′\det\mathcal{E} \cong \det\mathcal{L} \otimes \det\mathcal{E}' です。同じ補題の (2) により、可逆層 L\mathcal{L} については det⁡L=L\det\mathcal{L} = \mathcal{L} です。同型は、局所的に l⊗(e1′∧⋯∧er−1′)↦l∧e1∧⋯∧er−1l \otimes (e_1' \wedge \cdots \wedge e_{r-1}') \mapsto l \wedge e_1 \wedge \cdots \wedge e_{r-1}(eie_i は ei′e_i' の E\mathcal{E} への持ち上げ)で与えられます。

この節のねらいは、可逆層(階数 11)で成り立つ公式を、階数 rr の局所自由層へ広げることです。方針は、可逆層を部分層として取り出すと商が階数 r−1r - 1 の局所自由層になるので、階数についての帰納法で χ\chi の加法性と行列式の補題に帰着させる、というものです。

命題 8.2(局所自由層の Riemann–Roch)✓

XX を種数 gg の曲線、E\mathcal{E} を階数 r≥1r \ge 1 の局所自由層とする。deg⁡E=deg⁡(det⁡E)\deg \mathcal{E} = \deg(\det \mathcal{E}) とおくと

χ(E)=deg⁡E+r(1−g)\chi(\mathcal{E}) = \deg \mathcal{E} + r(1 - g)

が成り立つ。

証明(命題 8.2)

rr についての帰納法で示します。r=1r = 1 のときは 補題 6.3 です。r≥2r \ge 2 とします。

可逆な部分層で商が局所自由なものを作る。 XX の非常に豊富な可逆層 OX(1)\mathcal{O}_X(1) を取ると、nn が大きいとき E(n)\mathcal{E}(n) は大域切断で生成されるので(定理 9.5[準連接層・連接層と直線束])、00 でない大域切断、すなわち 00 でない射 σ ⁣:OX(−n)→E\sigma\colon \mathcal{O}_X(-n) \to \mathcal{E} があります。T\mathcal{T} を E/σ(OX(−n))\mathcal{E}/\sigma(\mathcal{O}_X(-n)) の捩れ部分層(各開集合で、00 でない正則関数で消える切断の全体。茎は茎の捩れ部分加群)とし、L\mathcal{L} を合成 E→E/σ(OX(−n))→(E/σ(OX(−n)))/T=E′\mathcal{E} \to \mathcal{E}/\sigma(\mathcal{O}_X(-n)) \to (\mathcal{E}/\sigma(\mathcal{O}_X(-n)))/\mathcal{T} = \mathcal{E}' の核とします。T\mathcal{T} は、G=E/σ(OX(−n))\mathcal{G} = \mathcal{E}/\sigma(\mathcal{O}_X(-n)) から準連接層 G⊗OXK\mathcal{G} \otimes_{\mathcal{O}_X} \mathcal{K}(K\mathcal{K} は定数層 K(X)K(X)。アフィン開集合 Spec⁡A\operatorname{Spec} A の上では AA 加群 MM に対する M→M⊗AK(X)M \to M \otimes_A K(X) で、核は MM の捩れ部分加群)への射の核なので、連接層 G\mathcal{G} の準連接な部分層で、連接です。よって E′\mathcal{E}' と L\mathcal{L} も連接層です(命題 4.6[準連接層・連接層と直線束])。点 PP での茎を見ます。EP′\mathcal{E}'_P は離散付値環 OP\mathcal{O}_P 上の有限生成な捩れのない加群なので自由です(単項イデアル整域上の構造定理 定理 5.1[加群と PID 上の構造定理] で、捩れのない加群には不変因子の項がありません)。LP\mathcal{L}_P は自由加群 EP\mathcal{E}_P の部分加群なので捩れがなく有限生成で、やはり自由です。生成点での階数を数えます。σ\sigma は生成点で 00 でない(E\mathcal{E} は捩れがないので、00 でない切断は生成点で 00 になりません)ので、E/σ(OX(−n))\mathcal{E}/\sigma(\mathcal{O}_X(-n)) の生成点での階数は r−1r - 1、T\mathcal{T} は生成点で 00 なので E′\mathcal{E}' の階数は r−1r - 1、したがって L\mathcal{L} の階数は 11 です。茎がすべて自由な連接層は局所自由です(定理 7.3[準連接層・連接層と直線束])。こうして完全列 0→L→E→E′→00 \to \mathcal{L} \to \mathcal{E} \to \mathcal{E}' \to 0 が得られました。

帰納法。 Euler 標数の加法性と帰納法の仮定、補題 8.1 と deg⁡\deg の加法性(命題 5.3 の (3))により

χ(E)=χ(L)+χ(E′)=(deg⁡L+1−g)+(deg⁡det⁡E′+(r−1)(1−g))=deg⁡det⁡E+r(1−g)\chi(\mathcal{E}) = \chi(\mathcal{L}) + \chi(\mathcal{E}') = (\deg \mathcal{L} + 1 - g) + (\deg \det \mathcal{E}' + (r-1)(1-g)) = \deg \det \mathcal{E} + r(1 - g)

です。

たとえば E=OX(D1)⊕OX(D2)\mathcal{E} = \mathcal{O}_X(D_1) \oplus \mathcal{O}_X(D_2) なら det⁡E≅OX(D1+D2)\det \mathcal{E} \cong \mathcal{O}_X(D_1 + D_2) で、公式は 2 つの可逆層の Riemann–Roch の和になります。公式の意味は、分裂しない E\mathcal{E} でも χ\chi が階数と行列式の次数だけで決まるという点にあります。

演習 9.1易

P1\mathbb{P}^1 の因子 D=3(∞)−(0)−(1)D = 3(\infty) - (0) - (1) について、L(D)L(D) の基底を求め、l(D)l(D) が 系 6.6 の値と一致することを確かめよ。

解答

h∈L(D)h \in L(D) は、∞\infty 以外に極をもたないので多項式で、∞\infty での極の位数(次数)が 33 以下、00 と 11 で消えます。よって h=t(t−1)(α+βt)h = t(t - 1)(\alpha + \beta t) で、基底は t(t−1)t(t-1) と t2(t−1)t^2(t-1)、l(D)=2l(D) = 2 です。deg⁡D=1>2g−2=−2\deg D = 1 > 2g - 2 = -2 なので公式の値は 1+1−0=21 + 1 - 0 = 2 で一致します。

演習 9.2標準

XX を種数 g≥1g \ge 1 の曲線、PP を点とする。n≥1n \ge 1 が PP での空隙であるとは、l(nP)=l((n−1)P)l(nP) = l((n-1)P)、すなわち「PP だけにちょうど nn 位の極をもつ有理関数」が無いことをいう。空隙はちょうど gg 個あり、すべて 11 以上 2g−12g - 1 以下で、11 は空隙であることを示せ。

解答

N(n)=l(nP)N(n) = l(nP) とおきます。命題 6.1 の (4) により N(n)−N(n−1)N(n) - N(n-1) は 00 か 11 で、00 のときが空隙です。N(0)=1N(0) = 1 で、n≥2g−1n \ge 2g - 1 なら 系 6.6 により N(n)=n+1−gN(n) = n + 1 - g です。とくに n≥2gn \ge 2g では N(n)−N(n−1)=1N(n) - N(n-1) = 1 なので空隙は 2g−12g - 1 以下です。1≤n≤2g−11 \le n \le 2g - 1 の範囲で増分が 11 の回数は N(2g−1)−N(0)=g−1N(2g-1) - N(0) = g - 1、したがって空隙は (2g−1)−(g−1)=g(2g - 1) - (g - 1) = g 個です。l(P)≥2l(P) \ge 2 なら、定数でない h∈L(P)h \in L(P) は極の因子がちょうど PP で、φh\varphi_h は次数 11 の射、すなわち同型 X≅P1X \cong \mathbb{P}^1 となり g≥1g \ge 1 に反します。よって l(P)=1=l(0)l(P) = 1 = l(0) で、11 は空隙です。

演習 9.3標準

種数 22 の曲線 XX について、∣K∣|K| は基点をもたず、φ∣K∣ ⁣:X→P1\varphi_{|K|}\colon X \to \mathbb{P}^1 は次数 22 の射であることを示せ。

解答

系 6.5 により deg⁡K=2\deg K = 2、l(K)=2l(K) = 2 です。点 PP について 定理 6.4 を D=PD = P に使うと l(P)−l(K−P)=1+1−2=0l(P) - l(K - P) = 1 + 1 - 2 = 0 です。前問により l(P)=1l(P) = 1 なので l(K−P)=1=l(K)−1l(K - P) = 1 = l(K) - 1 で、定理 7.1 の (1) により基点はありません。φ=φ∣K∣\varphi = \varphi_{|K|} は P1\mathbb{P}^1 への射で、φ∗O(1)≅OX(K)\varphi^*\mathcal{O}(1) \cong \mathcal{O}_X(K) です。O(1)≅OP1(Q)\mathcal{O}(1) \cong \mathcal{O}_{\mathbb{P}^1}(Q)(QQ は 1 点)なので、補題 5.2 の (2) と 命題 5.3 により deg⁡φ=deg⁡φ∗Q=deg⁡K=2\deg \varphi = \deg \varphi^*Q = \deg K = 2 です(φ\varphi の像が 1 点なら L(K)L(K) の基底の比が定数になり、l(K)=2l(K) = 2 に反します)。

演習 9.4標準

種数 gg の曲線の因子 DD が deg⁡D=2g−2\deg D = 2g - 2 かつ l(D)≥gl(D) \ge g を満たすなら、D∼KD \sim K であることを示せ。また、deg⁡D=2g−2\deg D = 2g - 2 で D≁KD \not\sim K なら l(D)=g−1l(D) = g - 1 であることを示せ。

解答

定理 6.4 により l(K−D)=l(D)−(2g−2)−1+g=l(D)−g+1l(K - D) = l(D) - (2g - 2) - 1 + g = l(D) - g + 1 です。l(D)≥gl(D) \ge g なら l(K−D)≥1l(K - D) \ge 1 で、deg⁡(K−D)=0\deg(K - D) = 0 なので 命題 6.1 の (3) により K−D∼0K - D \sim 0 です。D≁KD \not\sim K なら、同じ命題の対偶から l(K−D)=0l(K - D) = 0 で、l(D)=g−1l(D) = g - 1 です。標準因子は、次数 2g−22g - 2 の因子の中で ll が 11 だけ大きいただ一つの類として特徴づけられます。

  • R. Hartshorne, Algebraic Geometry, Graduate Texts in Mathematics 52, Springer, 1977 — 第 I 章 §6(非特異曲線と関数体)、第 II 章 §6(曲線上の因子)、第 IV 章 §1(Riemann–Roch の定理)、§3(射影空間への埋め込み)。
  • Q. Liu, Algebraic Geometry and Arithmetic Curves, Oxford Graduate Texts in Mathematics 6, Oxford University Press, 2002 — 第 7 章(因子と曲線への応用)。
  • W. Fulton, Algebraic Curves: An Introduction to Algebraic Geometry, W. A. Benjamin, 1969 — 第 7 章・第 8 章(非特異モデルと Riemann–Roch)。
  • J.-P. Serre, Groupes algébriques et corps de classes, Hermann, 1959 — 第 II 章(代数曲線、Riemann–Roch と双対)。
  • 桂利行『代数幾何入門』共立出版、1998 — 代数曲線の章。

このテーマの 100 本ノック(50 問)

執筆: Claude Code(Opus 5.5)、Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 2 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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