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可算性・点列・可算コンパクト性:点列で何がどこまで言えるか

対象読者: 本テーマ第 1〜7 章(コンパクト性・積位相・ネットとフィルター・局所コンパクト空間)を学んだ学部 3〜4 年の人。点列と第一可算性の基礎は仮定します。

前提となる記事:ネットとフィルターによる収束:部分ネット・集積点・始位相での収束、積位相・商位相と Tychonoff の定理:ネットと超フィルターで見るコンパクト性、局所コンパクト空間:一点コンパクト化・Urysohn・Tietze・1 の分割・位相群

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解析学では「点列を取って、収束する部分列を取り出す」という議論をよく使います。ところが一般の空間では、点列だけでは空間の形を捉えきれないことがあります。この記事では、点列で足りる空間はどこまで広いのか、「コンパクト」を点列や可算個の開集合の言葉で言い換えるとどうなるのかを調べます。読み終えると、これらの性質の間の含意と、逆が成り立たない代表例を説明できるようになります。以下の箇条書きは全体の見取り図なので、初めて見る用語があっても、各節で定義するので先に進んで構いません。

  • 点列だけで位相が決まる空間を整理します。第一可算 ⇒\Rightarrow Fréchet–Urysohn ⇒\Rightarrow 点列空間 の含意があり、点列空間では点列連続な写像は連続です。点列空間とは、ちょうど距離空間の商空間のことです。
  • コンパクト性には 3 つの顔があります。可算コンパクト(可算開被覆が有限部分被覆をもつ)、点列コンパクト(任意の点列が収束する部分列をもつ)、コンパクト。可算コンパクト性は、無限集合が ω\omega 集積点(どの近傍にも、その集合の点を無限個含む点)をもつ、任意の点列が集積点をもつ、と同値です。
  • これらの含意は、第一可算性、Lindelöf 性、T1 かつ正規であること(Tietze の拡張定理)を仮定すると逆向きも成り立ちます。逆向きが一般には成り立たない例として、{0,1}[0,1]\{0,1\}^{[0,1]} はコンパクトだが点列コンパクトでないことを示します。
  • Cantor–Bendixson の定理:第二可算空間は、完全集合(孤立点をもたない閉集合。その最大のものが完全核)と可算集合に分解します。
  • Hewitt–Marczewski–Pondiczery の定理:連続体濃度以下個の可分空間の積は可分です。非可算個の積が第一可算でないのに可分である、という対比が見えます。

1. 動機:解析学の点列論法が使える範囲

Section titled “1. 動機:解析学の点列論法が使える範囲”

解析学では、「点列を取って部分列を取り出し、収束を調べる」議論が連続関数の最大値定理から Arzelà–Ascoli の定理まで繰り返し現れます。位相空間でこの論法が通るかどうかは、空間に依存します。積位相・商位相と Tychonoff の定理で見たように、非可算個の積では点列で閉包を捉えられず、ネットとフィルターが必要でした。

この記事の問いは、次の 2 つです。

  1. 点列だけで位相の情報が汲み尽くせる空間は、どのくらい広いか。閉包・連続性を点列で調べられる空間のクラスを、第一可算空間より広く取れるか。
  2. コンパクト性は、点列の言葉(点列コンパクト)や可算性の言葉(可算コンパクト)とどう関わるか。距離空間では 3 つが同値でしたが、一般の位相空間ではどこまで同値か。

答えは、点列空間という自然なクラスと、可算コンパクト性の同値条件、そしてそれらが一般には異なることを示す反例です。最後に、可算性に関わる 2 つの定理(Cantor–Bendixson と Hewitt–Marczewski–Pondiczery)を証明します。

定義 2.1(点列閉集合・点列空間・Fréchet–Urysohn 空間・点列連続)↗

XX を位相空間とする。

  1. 部分集合 A⊆XA \subseteq X が点列閉であるとは、AA の点列 (xn)(x_n) が x∈Xx \in X に収束するならば x∈Ax \in A となることをいう。
  2. XX が点列空間であるとは、XX のすべての点列閉集合が閉集合であることをいう。
  3. XX が Fréchet–Urysohn 空間であるとは、任意の A⊆XA \subseteq X と x∈A‾x \in \overline{A} に対し、AA の点列で xx に収束するものが存在することをいう。
  4. 写像 f:X→Yf : X \to Y が点列連続であるとは、XX の点列 xn→xx_n \to x ならば f(xn)→f(x)f(x_n) \to f(x) となることをいう。

閉集合は点列閉です(点列 xn∈Ax_n \in A が xx に収束するなら、xx の任意の近傍が AA と交わるので、定理 6.5[位相空間の定義と基本概念] の 4 により x∈A‾x \in \overline{A})。点列空間とは、その逆が成り立つ空間です。連続写像は点列連続です(点列はネットなので 定理 5.2[積位相・商位相と Tychonoff の定理] の 2)。

命題 2.2(第一可算 ⇒ Fréchet–Urysohn ⇒ 点列空間)✓

  1. 第一可算空間は Fréchet–Urysohn 空間である。
  2. Fréchet–Urysohn 空間は点列空間である。
  3. XX が点列空間ならば、任意の位相空間 YY への点列連続写像 f:X→Yf : X \to Y は連続である。
証明(命題 2.2)
  1. 命題 7.3[積位相・商位相と Tychonoff の定理] の 1 そのものである。
  2. AA を点列閉とし、x∈A‾x \in \overline{A} とする。Fréchet–Urysohn 性により AA の点列 xn→xx_n \to x がとれ、AA が点列閉なので x∈Ax \in A。よって A‾⊆A\overline{A} \subseteq A で AA は閉。
  3. C⊆YC \subseteq Y を閉集合とする。f−1(C)f^{-1}(C) が点列閉であることを示す。xn∈f−1(C)x_n \in f^{-1}(C)、xn→xx_n \to x とすると、点列連続性から f(xn)→f(x)f(x_n) \to f(x) で、f(xn)∈Cf(x_n) \in C。閉集合は点列閉なので f(x)∈Cf(x) \in C、すなわち x∈f−1(C)x \in f^{-1}(C)。XX は点列空間だから f−1(C)f^{-1}(C) は閉である。閉集合の逆像がすべて閉なので ff は連続(定理 3.3[連続写像と同相写像] の (ii))。

次の定理は、点列空間を「何でできている空間か」で特徴づけます。証明の(1 ⇒\Rightarrow 2)では、XX の収束点列それぞれに「1,1/2,1/3,…1, 1/2, 1/3, \ldots と極限 00 を並べた列」のコピーを 1 つずつ用意し、それらを互いに離れた状態で並べた距離空間を作ります。各コピーを、点列の項とその極限へ写すのが商写像です。点列で閉集合かどうかが判定できるという仮定が、この写像が商写像であることを保証します。

定理 2.3(点列空間は距離空間の商空間)✓

位相空間 XX について、次は同値である。

  1. XX は点列空間である。
  2. ある距離空間 (M,d)(M, d) と商写像 q:M→Xq : M \to X(定義 4.1[積位相・商位相と Tychonoff の定理])が存在する。
証明(定理 2.3)

(2 ⇒\Rightarrow 1)C⊆XC \subseteq X を点列閉とする。q−1(C)q^{-1}(C) が MM で閉であることを示す。m∈q−1(C)‾m \in \overline{q^{-1}(C)} とすると、距離空間 MM は第一可算(B(m,1/n)B(m, 1/n) が近傍基)なので、命題 7.3[積位相・商位相と Tychonoff の定理] の 1 により q−1(C)q^{-1}(C) の点列 mn→mm_n \to m がある。qq は連続なので q(mn)→q(m)q(m_n) \to q(m) で、q(mn)∈Cq(m_n) \in C。CC が点列閉なので q(m)∈Cq(m) \in C、すなわち m∈q−1(C)m \in q^{-1}(C)。よって q−1(C)q^{-1}(C) は閉集合で、商位相の定義から CC は閉である。

(1 ⇒\Rightarrow 2)K:={0}∪{1/n:n≥1}⊆RK := \{0\} \cup \{ 1/n : n \ge 1 \} \subseteq \mathbb{R} とし、

Σ:={((xn)n≥1,x):xn∈X, x∈X, xn→x}\Sigma := \{ ((x_n)_{n \ge 1}, x) : x_n \in X,\ x \in X,\ x_n \to x \}

を XX の収束点列(と極限の組)全体とする。M:=Σ×KM := \Sigma \times K に

d((σ,s),(σ′,s′)):={min⁡(1,∣s−s′∣)(σ=σ′)1(σ≠σ′)d\bigl((\sigma, s), (\sigma', s')\bigr) := \begin{cases} \min(1, |s - s'|) & (\sigma = \sigma')\\ 1 & (\sigma \ne \sigma') \end{cases}

を入れる。これは距離である(三角不等式は、3 点が同じ σ\sigma に属する場合は min⁡(1,⋅)\min(1, \cdot) が R\mathbb{R} の距離を保つこと、そうでなければ左辺が 11 以下の項に対して右辺に 11 が現れることから従う)。r<1r < 1 のとき、開球 B((σ,s),r)B((\sigma, s), r) は同じ σ\sigma に属する点 (σ,s′)(\sigma, s')、∣s−s′∣<r|s - s'| < r だけからなる。

q:M→Xq : M \to X を、σ=((xn),x)\sigma = ((x_n), x) に対し q(σ,1/n):=xnq(\sigma, 1/n) := x_n、q(σ,0):=xq(\sigma, 0) := x で定める。x∈Xx \in X の定値点列からの σ\sigma により、qq は全射である。

qq は連続である:U⊆XU \subseteq X が開で q(σ,s)∈Uq(\sigma, s) \in U とする。s=1/ns = 1/n なら、r:=min⁡(1/2,1/(n(n+1)))r := \min(1/2, 1/(n(n+1))) に対し球 B((σ,1/n),r)B((\sigma, 1/n), r) は (σ,1/n)(\sigma, 1/n) ただ 1 点。s=0s = 0 なら、xn→x∈Ux_n \to x \in U より NN があり n≥Nn \ge N で xn∈Ux_n \in U なので、r:=1/Nr := 1/N に対し B((σ,0),r)⊆q−1(U)B((\sigma, 0), r) \subseteq q^{-1}(U)。よって q−1(U)q^{-1}(U) は開である。

qq が商写像であること(q−1(V)q^{-1}(V) が開ならば VV が開)を示す。C:=X∖VC := X \setminus V とおくと q−1(C)=M∖q−1(V)q^{-1}(C) = M \setminus q^{-1}(V) は閉である。CC が点列閉であることを示す:xn∈Cx_n \in C、xn→xx_n \to x とする。σ:=((xn),x)∈Σ\sigma := ((x_n), x) \in \Sigma について、(σ,1/n)∈q−1(C)(\sigma, 1/n) \in q^{-1}(C) かつ d((σ,1/n),(σ,0))=1/n→0d((\sigma, 1/n), (\sigma, 0)) = 1/n \to 0 なので、閉集合 q−1(C)q^{-1}(C) は極限 (σ,0)(\sigma, 0) を含む。すなわち x=q(σ,0)∈Cx = q(\sigma, 0) \in C。XX は点列空間なので CC は閉、VV は開である。

次の例では、商写像 qq について「飽和」した集合(qq で同じ点に送られる点を、含むなら全部含んでいる集合)が出てきます。飽和した開集合の像は、商空間の開集合になります。

例 2.4(点列空間だが第一可算でない空間)

R\mathbb{R} の整数全体 Z\mathbb{Z} を 1 点に同一視した商空間 Y:=R/ZY := \mathbb{R}/\mathbb{Z}(q:R→Yq : \mathbb{R} \to Y を商写像、y∗:=q(Z)y^* := q(\mathbb{Z}))は、距離空間の商なので 定理 2.3 により点列空間です。しかし y∗y^* で第一可算ではありません。V1⊇V2⊇⋯V_1 \supseteq V_2 \supseteq \cdots が y∗y^* の近傍基だとします。q−1(Vn)q^{-1}(V_n) は nn を含む開集合なので、0<δn≤1/20 < \delta_n \le 1/2 で (n−δn,n+δn)⊆q−1(Vn)(n - \delta_n, n + \delta_n) \subseteq q^{-1}(V_n) となるものがとれます。tn:=n+δn/2t_n := n + \delta_n/2 とおくと、{tn:n≥1}\{t_n : n \ge 1\} は R\mathbb{R} で閉(離散で上に有界でない)で、Z\mathbb{Z} と交わりません。W:=R∖{tn}W := \mathbb{R} \setminus \{t_n\} は Z\mathbb{Z} を含む開集合で、Z\mathbb{Z} を含むから飽和(q−1(q(W))=Wq^{-1}(q(W)) = W)、したがって q(W)q(W) は y∗y^* の開近傍です。ところが q(tn)∈Vnq(t_n) \in V_n かつ q(tn)∉q(W)q(t_n) \notin q(W) なので、どの VnV_n も q(W)q(W) に含まれません。これは近傍基であることに反します。

3. 可算コンパクト・点列コンパクト・擬コンパクト

Section titled “3. 可算コンパクト・点列コンパクト・擬コンパクト”

この節では、「コンパクト」の条件を弱めた性質を 3 つ扱います。可算コンパクトは開被覆を可算なものに限った版、点列コンパクトは点列の言葉での版、擬コンパクトは「連続関数が必ず有界」という解析学の最大値定理に近い版です。

定義 3.1(可算コンパクト・点列コンパクト・擬コンパクト・ω\omega 集積点)↗

XX を位相空間とする。

  1. XX が可算コンパクトであるとは、可算な開被覆が有限部分被覆をもつことをいう。
  2. XX が点列コンパクトであるとは、任意の点列が XX の点に収束する部分列をもつことをいう。
  3. XX が擬コンパクトであるとは、任意の連続関数 f:X→Rf : X \to \mathbb{R} が有界であることをいう。
  4. A⊆XA \subseteq X とする。点 x∈Xx \in X が AA の ω\omega 集積点であるとは、xx の任意の近傍が AA の点を無限個含むことをいう。
  5. 点列 (xn)(x_n) の点 xx が集積点であるとは、xx の任意の近傍 UU と任意の NN に対し xn∈Ux_n \in U なる n≥Nn \ge N があることをいう(定義 5.1[積位相・商位相と Tychonoff の定理] で Λ=N\Lambda = \mathbb{N} とした場合)。

コンパクトなら可算コンパクトです(可算開被覆もコンパクト性により有限部分被覆をもつ)。可算コンパクト性の同値条件を、次の定理で与えます。

定理 3.2(可算コンパクト性の同値条件)✓

位相空間 XX について、次の 4 条件は同値である。

  • (a) XX は可算コンパクトである。
  • (b) XX の任意の無限部分集合は XX に ω\omega 集積点をもつ。
  • (c) XX の任意の点列は XX に集積点をもつ。
  • (d) 空でない閉集合の減少列 F1⊇F2⊇⋯F_1 \supseteq F_2 \supseteq \cdots の共通部分は空でない。
証明(定理 3.2)

(a) ⇒\Rightarrow (d):FnF_n を空でない閉集合の減少列で ⋂nFn=∅\bigcap_n F_n = \emptyset とする。{X∖Fn}\{X \setminus F_n\} は可算開被覆で、有限部分被覆をもつ。NN を最大の添字とすれば X=X∖FNX = X \setminus F_N で FN=∅F_N = \emptyset、矛盾。

(d) ⇒\Rightarrow (a):可算開被覆 {Un}n≥1\{U_n\}_{n \ge 1} が有限部分被覆をもたないとする。Fn:=X∖(U1∪⋯∪Un)F_n := X \setminus (U_1 \cup \cdots \cup U_n) は空でない閉集合の減少列で、⋂nFn=X∖⋃nUn=∅\bigcap_n F_n = X \setminus \bigcup_n U_n = \emptyset、矛盾。

(d) ⇒\Rightarrow (c):点列 (xn)(x_n) に対し Fn:={xk:k≥n}‾F_n := \overline{\{x_k : k \ge n\}} は空でない閉集合の減少列である。x∈⋂nFnx \in \bigcap_n F_n をとる。xx の近傍 UU と NN について x∈FNx \in F_N なので UU は {xk:k≥N}\{x_k : k \ge N\} と交わり、xk∈Ux_k \in U なる k≥Nk \ge N がある。よって xx は集積点。

(c) ⇒\Rightarrow (b):AA を無限集合とし、互いに異なる点列 a1,a2,…∈Aa_1, a_2, \ldots \in A をとる。(c) により集積点 xx がある。xx の近傍 UU について、各 NN に対し an∈Ua_n \in U なる n≥Nn \ge N があるので、{n:an∈U}\{n : a_n \in U\} は無限集合。ana_n は互いに異なるので UU は AA の点を無限個含む。

(b) ⇒\Rightarrow (a):可算開被覆 {Un}n≥1\{U_n\}_{n \ge 1} が有限部分被覆をもたないとし、各 nn に対し xn∈X∖(U1∪⋯∪Un)x_n \in X \setminus (U_1 \cup \cdots \cup U_n) をとる。A:={xn:n≥1}A := \{x_n : n \ge 1\} とする。AA が有限なら、ある点 pp が無限個の nn について p=xnp = x_n である。p∈Ump \in U_m なる mm をとると、n≥mn \ge m で xn∉Umx_n \notin U_m なので p≠xnp \ne x_n となり矛盾する。したがって AA は無限で、(b) により ω\omega 集積点 xx がある。x∈Umx \in U_m なる mm をとると、UmU_m は AA の点を無限個含む。ところが n≥mn \ge m で xn∉Umx_n \notin U_m なので、Um∩A⊆{x1,…,xm−1}U_m \cap A \subseteq \{x_1, \ldots, x_{m-1}\} は有限で矛盾。

(c) は、点列コンパクト性(収束する部分列の存在)を「集積点の存在」に弱めたものです。次の命題は、3 つの概念の間の含意関係を整理します。

命題 3.3(コンパクト性の諸概念の含意)✓

XX を位相空間とする。

  1. XX がコンパクトならば可算コンパクトである。
  2. XX が点列コンパクトならば可算コンパクトである。
  3. XX が第一可算で可算コンパクトならば、点列コンパクトである。
  4. XX が Lindelöf で可算コンパクトならば、コンパクトである。
  5. XX が可算コンパクトならば、擬コンパクトである。
  6. 距離空間 XX については、コンパクト・可算コンパクト・点列コンパクトは同値である。
証明(命題 3.3)
  1. 可算開被覆も開被覆なので、コンパクト性から有限部分被覆をもつ。
  2. 点列 (xn)(x_n) は収束部分列 xnk→xx_{n_k} \to x をもち、xx は点列の集積点である(xx の近傍 UU と NN に対し、xnk∈Ux_{n_k} \in U となる kk が十分大きくとれ、nk≥Nn_k \ge N にできる)。したがって 定理 3.2 の (c) が成り立ち、可算コンパクト。
  3. (xn)(x_n) を点列とする。定理 3.2 の (c) により集積点 xx がある。xx の可算な近傍基 V1,V2,…V_1, V_2, \ldots に対し Wk:=V1∩⋯∩VkW_k := V_1 \cap \cdots \cap V_k も近傍基で、W1⊇W2⊇⋯W_1 \supseteq W_2 \supseteq \cdots。n1<n2<⋯n_1 < n_2 < \cdots を xnk∈Wkx_{n_k} \in W_k となるように帰納的に選ぶ(集積点の定義から、WkW_k は nk−1n_{k-1} より後の項を含む)。任意の近傍 UU はある WK⊆UW_K \subseteq U を含むので、k≥Kk \ge K で xnk∈Wk⊆WK⊆Ux_{n_k} \in W_k \subseteq W_K \subseteq U。よって xnk→xx_{n_k} \to x。
  4. 任意の開被覆は Lindelöf 性により可算部分被覆をもち、それは可算コンパクト性により有限部分被覆をもつ。
  5. f:X→Rf : X \to \mathbb{R} を連続とする。Un:={x:∣f(x)∣<n}U_n := \{ x : |f(x)| < n \} は開で可算開被覆をなす。有限部分被覆 Un1,…,UnmU_{n_1}, \ldots, U_{n_m} があれば ∣f∣<max⁡nk|f| < \max n_k で有界。
  6. 距離空間は第一可算(B(x,1/n)B(x, 1/n) が近傍基)なので、3 により可算コンパクトなら点列コンパクトで、定理 4.3[距離空間] によりコンパクト。残りの向きは 1 と 2。
コンパクト点列コンパクト可算コンパクト擬コンパクトLindelöf第一可算T4
コンパクト性の諸概念の含意。実線は一般に成り立つ含意、破線は括弧内の条件のもとで成り立つ逆向き。点列コンパクトとコンパクトは一般には比較できない。

擬コンパクトから可算コンパクトへの逆は、一般には成り立ちません(下の命題では T1 かつ正規であることを仮定します)。Tietze の拡張定理がその橋渡しをします。

命題 3.4(T4 空間では擬コンパクトと可算コンパクトは同値)✓

XX を T1 かつ正規な空間(T4 空間)とする。XX が擬コンパクトであるための必要十分条件は、可算コンパクトであることである。

証明(命題 3.4)

可算コンパクトならば擬コンパクトであることは 命題 3.3 の 5。逆に、XX が擬コンパクトで可算コンパクトでないと仮定する。定理 3.2 の (b) が成り立たないので、ω\omega 集積点をもたない無限集合 AA がある。互いに異なる点 a1,a2,…∈Aa_1, a_2, \ldots \in A をとり、D:={an:n≥1}D := \{a_n : n \ge 1\} とする。DD も ω\omega 集積点をもたない(D⊆AD \subseteq A なので)。したがって各 x∈Xx \in X は、DD と有限個の点でしか交わらない開近傍 UxU_x をもつ。

任意の B⊆DB \subseteq D が閉であることを示す。x∉Bx \notin B とする。S:=B∩UxS := B \cap U_x は有限集合で、XX は T1 なので各 1 点集合は閉(命題 3.2[分離公理と距離づけ可能性])、したがって SS は閉である。O:=Ux∖SO := U_x \setminus S は開で、x∈Ox \in O かつ O∩B=∅O \cap B = \emptyset。よって x∉B‾x \notin \overline{B} で、BB は閉。とくに DD は閉で、DD の任意の部分集合が閉なので、部分空間 DD は離散空間である。

g:D→Rg : D \to \mathbb{R} を g(an):=ng(a_n) := n で定めると、DD は離散なので gg は連続である。XX は正規で DD は閉だから、定理 5.2[局所コンパクト空間] の 2 により連続関数 F:X→RF : X \to \mathbb{R} で F∣D=gF|_D = g となるものがある。F(an)=nF(a_n) = n なので FF は有界でなく、XX が擬コンパクトであることに反する。

最後に、可算コンパクト性などの含意が一般に逆向きに成り立たない代表例として、次を示します。コンパクト性と点列コンパクト性が比較できないことの一方向です。

証明の方針は次のとおりです。XX の点は「II の各点に 0 か 1 を割り当てたもの」です。そこで、自然数 nn ごとに「nn を含む部分集合 SS には 1、含まない SS には 0 を割り当てる」点 x(n)x^{(n)} を作ります(P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}) の元 SS を、単射で II の点とみなします)。どんな部分列を取っても、N\mathbb{N} の部分集合 SS をうまく選べば、その成分では 0 と 1 が交互に現れて収束しません。

命題 3.5(コンパクトだが点列コンパクトでない空間)✓

II を、P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}) から II への単射が存在する集合とする(たとえば I=RI = \mathbb{R}。P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}) と R\mathbb{R} は同じ濃度、命題 6.6[濃度と無限]。また t↦1/2+arctan⁡(t)/πt \mapsto 1/2 + \arctan(t)/\pi は R\mathbb{R} から [0,1][0, 1] への単射なので I=[0,1]I = [0, 1] も該当する)。このとき、各成分が離散位相の {0,1}\{0, 1\} である積空間 X:={0,1}IX := \{0, 1\}^I はコンパクトであるが、点列コンパクトでない。とくに {0,1}[0,1]\{0, 1\}^{[0,1]} は、コンパクトだが点列コンパクトでない。

証明(命題 3.5)

{0,1}\{0, 1\} は有限なのでコンパクトで、定理 6.2[積位相・商位相と Tychonoff の定理] により XX はコンパクトである。

j:P(N)→Ij : \mathcal{P}(\mathbb{N}) \to I を単射とし、II の点 tt に対し、t=j(S)t = j(S) なる S∈P(N)S \in \mathcal{P}(\mathbb{N}) があればその SS(一意)を StS_t、なければ St:=∅S_t := \emptyset とおく。点列 x(n)∈Xx^{(n)} \in X を

xt(n):={1(n∈St)0(n∉St)x^{(n)}_t := \begin{cases} 1 & (n \in S_t) \\ 0 & (n \notin S_t)\end{cases}

で定める。部分列 x(n1),x(n2),…x^{(n_1)}, x^{(n_2)}, \ldots(n1<n2<⋯n_1 < n_2 < \cdots)が XX のある点に収束すると仮定する。S:={nk:k は偶数}⊆NS := \{ n_k : k\text{ は偶数} \} \subseteq \mathbb{N} とおき、t:=j(S)∈It := j(S) \in I をとる。すると St=SS_t = S なので、xt(nk)=1x^{(n_k)}_t = 1 は kk が偶数のとき、00 は kk が奇数のとき(nk∈Sn_k \in S となるのは kk が偶数のときのみ、nkn_k が互いに異なるため)。第 tt 成分への射影は連続(定理 3.4[積位相・商位相と Tychonoff の定理])なので、収束する点列の像 xt(nk)x^{(n_k)}_t は離散空間 {0,1}\{0, 1\} で収束し、最終的に定数でなければならない(離散空間で {y}\{y\} は開)。ところが xt(nk)x^{(n_k)}_t は 00 と 11 を交互にくり返すので、矛盾する。よって収束する部分列はなく、XX は点列コンパクトでない。

この空間はコンパクトなので可算コンパクトですが、点列コンパクトではありません。したがって 命題 3.3 の 3 で第一可算性の仮定は落とせません。実際、P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}) は非可算(定理 7.1[濃度と無限])で、II はそこからの単射をもつので非可算であり、XX は第一可算ではありません(命題 7.5[積位相・商位相と Tychonoff の定理])。

4. 完全集合と Cantor–Bendixson の定理

Section titled “4. 完全集合と Cantor–Bendixson の定理”

次に、空間の中の「孤立点のない部分」を調べます。解析学では [a,b][a, b] の閉集合を、孤立点をくり返し取り除いて調べる議論があります。位相空間では次のように定式化されます。なお、定義に出る「導集合」は、AA の、その点自身以外の点でいくらでも近くまで近似される点(集積点)の集まりのことです。

定義 4.1(導集合・自己稠密集合・完全集合・完全核)↗

XX を位相空間、A⊆XA \subseteq X とする。

  1. AA の導集合を A′:={x∈X:x∈A∖{x}‾}A' := \{ x \in X : x \in \overline{A \setminus \{x\}} \} と定める。高階の導集合を A(0):=AA^{(0)} := A、A(k+1):=(A(k))′A^{(k+1)} := (A^{(k)})' で定める。
  2. A⊆A′A \subseteq A' であるとき、AA は自己稠密(孤立点をもたない)という。自己稠密な閉集合を完全集合という。
  3. XX の自己稠密な部分集合全体の合併 P(X)P(X) を XX の完全核という。

a∈Aa \in A が AA で孤立している(ある開集合 UU で U∩A={a}U \cap A = \{a\})ことは a∉A′a \notin A' と同値なので、自己稠密とは AA の点がすべて AA の中で孤立していないことです。また、一般に A‾=A∪A′\overline{A} = A \cup A' です(x∈A‾∖Ax \in \overline{A} \setminus A なら A∖{x}‾=A‾∋x\overline{A \setminus \{x\}} = \overline{A} \ni x で x∈A′x \in A'、逆向きは A′⊆A‾A' \subseteq \overline{A} から)。したがって AA が閉であることは A′⊆AA' \subseteq A と同値で、AA が完全であることは A=A′A = A' と同値です。

定理のねらいは、第二可算空間では「孤立点を取り除ききれない部分(完全核)」を除いた残りが高々可算個しかない、という点にあります。証明の 2 では、可算開基のうち高々可算なものをすべて集めた UU を考えます。UU に入らない点の集まり X∖UX \setminus U が孤立点をもたないことを示すと、それは完全核に含まれるので、残りは UU の中に収まります。

定理 4.2(Cantor–Bendixson の定理)✓

XX を第二可算な位相空間とし、P:=P(X)P := P(X) をその完全核とする。

  1. PP は完全集合であり、XX の自己稠密な部分集合(とくに完全集合)はすべて PP に含まれる。
  2. X∖PX \setminus P は高々可算である。したがって XX は完全集合 PP と高々可算な集合 X∖PX \setminus P の非交和である。
証明(定理 4.2)
  1. PP はその定義から、すべての自己稠密集合を含む。PP が自己稠密であること:a∈Pa \in P とすると、a∈Aa \in A なる自己稠密集合 AA があり、a∈A∖{a}‾⊆P∖{a}‾a \in \overline{A \setminus \{a\}} \subseteq \overline{P \setminus \{a\}}。PP が閉であること:Q:=P‾=P∪P′Q := \overline{P} = P \cup P' とおく。q∈Qq \in Q について、q∈Pq \in P なら q∈P∖{q}‾⊆Q∖{q}‾q \in \overline{P \setminus \{q\}} \subseteq \overline{Q \setminus \{q\}}。q∈P′∖Pq \in P' \setminus P でも q∈P∖{q}‾⊆Q∖{q}‾q \in \overline{P \setminus \{q\}} \subseteq \overline{Q \setminus \{q\}}。よって QQ は自己稠密で、PP の定義により Q⊆PQ \subseteq P。ゆえに P=QP = Q は閉であり、完全集合である。
  2. {Bn}n≥1\{B_n\}_{n \ge 1} を可算開基とし、U:=⋃{Bn:Bn は高々可算}U := \bigcup \{ B_n : B_n\text{ は高々可算} \} とおく。これは高々可算集合の高々可算個の合併なので高々可算である(命題 5.8[濃度と無限])。X∖UX \setminus U が自己稠密であることを示す。x∈X∖Ux \in X \setminus U が X∖UX \setminus U で孤立しているとすると、開集合 WW で W∩(X∖U)={x}W \cap (X \setminus U) = \{x\} なるものがある。開基の元 BnB_n を x∈Bn⊆Wx \in B_n \subseteq W にとると、Bn⊆U∪{x}B_n \subseteq U \cup \{x\} は高々可算である。したがって BnB_n は UU の定義に現れる元なので Bn⊆UB_n \subseteq U、x∈Ux \in U となり矛盾する。よって X∖UX \setminus U は自己稠密で、1 により X∖U⊆PX \setminus U \subseteq P。したがって X∖P⊆UX \setminus P \subseteq U は高々可算である。

この定理から、第二可算な非可算空間は、必ず空でない完全集合を含みます(P=∅P = \emptyset なら X=X∖PX = X \setminus P は高々可算)。

例 4.3(導集合と完全核の計算)

  1. A:={1/m+1/n:m,n≥1}⊆RA := \{ 1/m + 1/n : m, n \ge 1 \} \subseteq \mathbb{R} とします。mm を固定して n→∞n \to \infty とすると 1/m+1/n→1/m1/m + 1/n \to 1/m なので 1/m∈A′1/m \in A'、また m,n→∞m, n \to \infty で 0∈A′0 \in A' です。これら以外の点は AA の点の近傍で AA の点が有限個しかない、あるいは AA から離れているので、A′={1/m:m≥1}∪{0}A' = \{ 1/m : m \ge 1 \} \cup \{0\} です。同様に A′′={0}A'' = \{0\}、A′′′=∅A''' = \emptyset となり、導集合を 3 回とると空になります。
  2. R\mathbb{R}(または Q\mathbb{Q})はそれ自身が自己稠密で閉なので完全集合で、完全核は全体、X∖P=∅X \setminus P = \emptyset です。離散空間 N\mathbb{N} は自己稠密な部分集合をもたないので P=∅P = \emptyset、X∖P=NX \setminus P = \mathbb{N} は可算です。
  3. {0,1}N\{0, 1\}^{\mathbb{N}}(各成分は離散)は完全集合です。点 xx の基本開近傍 {y:yi=xi (i≤m)}\{ y : y_i = x_i\ (i \le m) \}(命題 3.2[積位相・商位相と Tychonoff の定理])は、第 m+1m + 1 成分だけ変えた別の点を含むので、xx は孤立点ではありません。空間全体は閉なので完全集合です。

5. Hewitt–Marczewski–Pondiczery の定理

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非可算個の積が第一可算でないこと(命題 7.5[積位相・商位相と Tychonoff の定理])に対し、可分性は連続体濃度個まで保たれます。可分性は「可算個のデータで稠密に近似できる」という性質ですが、点列論法より弱い条件ですから、巨大な積でも保たれうるのです。

証明の考え方は次のとおりです。積空間の基本開集合は、有限個の座標だけを制限します。そこで、制限される有限個の座標 i1,…,imi_1, \ldots, i_m を、ee で実数に移して互いに交わらない有理端点の区間で区別し、区間ごとに各空間の可算稠密集合から点を選ぶ、という指定の仕方を考えます。この指定は可算個しかなく、どの基本開集合にも入るものが見つかります。

定理 5.1(Hewitt–Marczewski–Pondiczery の定理)✓

II を集合で、II から R\mathbb{R} への単射が存在する(濃度が連続体濃度以下)ものとし、{Xi}i∈I\{X_i\}_{i \in I} を可分な位相空間の族とする。このとき積空間 ∏i∈IXi\prod_{i \in I} X_i は可分である。

証明(定理 5.1)

ある XiX_i が空なら積も空で可分なので、すべての XiX_i は空でないとする。各 ii に、可算稠密集合の元を重複を許して並べた写像 gi:N→Xig_i : \mathbb{N} \to X_i(N={1,2,…}\mathbb{N} = \{1, 2, \ldots\}、像が XiX_i で稠密)を 1 つずつ選ぶ。また単射 e:I→Re : I \to \mathbb{R} を 1 つ選ぶ。

E\mathcal{E} を、有理数端点をもつ開区間全体とする(Q×Q\mathbb{Q} \times \mathbb{Q} から作れるので可算、定理 5.6[濃度と無限])。E×N\mathcal{E} \times \mathbb{N} は可算で、その元の有限列全体(長さ 00 も含める)は、各長さごとに可算集合の有限個の直積で可算、その可算和(命題 5.8[濃度と無限])として可算である。この有限列のうち、E\mathcal{E} 成分の区間が互いに交わらないもの σ=((J1,n1),…,(Jm,nm))\sigma = ((J_1, n_1), \ldots, (J_m, n_m)) の全体を Σ\Sigma とすると、Σ\Sigma は可算である。各 σ∈Σ\sigma \in \Sigma に対し xσ∈∏iXix^\sigma \in \prod_i X_i を

xiσ:={gi(nk)(e(i)∈Jk のとき。区間が互いに交わらないので k は一意)gi(1)(e(i) がどの Jk にも属さないとき)x^\sigma_i := \begin{cases} g_i(n_k) & (e(i) \in J_k\text{ のとき。区間が互いに交わらないので }k\text{ は一意}) \\ g_i(1) & (e(i)\text{ がどの }J_k\text{ にも属さないとき}) \end{cases}

で定め、D:={xσ:σ∈Σ}D := \{ x^\sigma : \sigma \in \Sigma \} とおく。DD は可算である。

DD が稠密であること。空でない基本開集合(命題 3.2[積位相・商位相と Tychonoff の定理])W=∏iUiW = \prod_i U_i をとる。Ui=XiU_i = X_i でない ii は、相異なる i1,…,imi_1, \ldots, i_m のみとしてよい(m=0m = 0 なら W=∏XiW = \prod X_i に DD の元が入る)。ee が単射なので実数 rk:=e(ik)r_k := e(i_k) は相異なる。δ:=min⁡k≠l∣rk−rl∣/3\delta := \min_{k \ne l} |r_k - r_l| / 3(m=1m = 1 なら δ:=1\delta := 1)とし、有理数 pk,qkp_k, q_k を rk−δ<pk<rk<qk<rk+δr_k - \delta < p_k < r_k < q_k < r_k + \delta となるようにとり、Jk:=(pk,qk)J_k := (p_k, q_k) とおく。∣rk−rl∣≥3δ|r_k - r_l| \ge 3\delta なので、J1,…,JmJ_1, \ldots, J_m は互いに交わらない。各 kk について、UikU_{i_k} は空でない開集合で、gikg_{i_k} の像は稠密だから、gik(nk)∈Uikg_{i_k}(n_k) \in U_{i_k} なる nkn_k がある。σ:=((J1,n1),…,(Jm,nm))∈Σ\sigma := ((J_1, n_1), \ldots, (J_m, n_m)) \in \Sigma とすると、e(ik)=rk∈Jke(i_k) = r_k \in J_k で、他の JlJ_l には属さないので xikσ=gik(nk)∈Uikx^\sigma_{i_k} = g_{i_k}(n_k) \in U_{i_k}。他の座標では Ui=XiU_i = X_i なので、xσ∈Wx^\sigma \in W。よって DD は空でない開集合すべてと交わり、稠密である。

例 5.2(可分だが第一可算でない積)

{0,1}R\{0, 1\}^{\mathbb{R}}(各成分は離散位相)は、{0,1}\{0, 1\} が有限で可分、I=RI = \mathbb{R} が R\mathbb{R} への単射をもつので、定理 5.1 により可分です。一方、R\mathbb{R} は非可算(定理 6.3[濃度と無限])なので、命題 7.5[積位相・商位相と Tychonoff の定理] により第一可算ではありません。可算個の空間の積では第二可算性が保たれました(命題 7.4[積位相・商位相と Tychonoff の定理])が、非可算個になると第二可算性・第一可算性は壊れ、可分性だけが連続体濃度まで残る、という対比になります。同様に RR\mathbb{R}^{\mathbb{R}}(点ごと収束の位相)も可分です。

演習 6.1易

点列空間の閉部分空間は点列空間であることを示せ。

解答

XX を点列空間、A⊆XA \subseteq X を閉集合とする。C⊆AC \subseteq A が AA の部分空間として点列閉とする。CC の点列 xn→xx_n \to x(x∈Xx \in X)をとる。AA は閉なので点列閉であり、x∈Ax \in A。xn→xx_n \to x は部分空間 AA でも成り立つ(AA における xx の近傍は XX における近傍と AA の共通部分である)ので、CC が AA で点列閉であることにより x∈Cx \in C。よって CC は XX で点列閉であり、XX が点列空間なので XX で閉、したがって AA でも閉(C=C∩AC = C \cap A)。

演習 6.2易

可算コンパクト空間の閉部分空間は可算コンパクトであることを示せ。

解答

XX を可算コンパクト、F⊆XF \subseteq X を閉集合とし、FF の可算開被覆 {Vn}\{V_n\} をとる。各 Vn=F∩UnV_n = F \cap U_n(UnU_n は XX の開集合)と書く。{Un}∪{X∖F}\{U_n\} \cup \{X \setminus F\} は XX の可算開被覆なので有限部分被覆をもつ。X∖FX \setminus F は FF を覆わないので、F⊆Un1∪⋯∪UnmF \subseteq U_{n_1} \cup \cdots \cup U_{n_m} となる有限個がある。F=Vn1∪⋯∪VnmF = V_{n_1} \cup \cdots \cup V_{n_m}。

演習 6.3標準

A:={1/m+1/(mn):m,n≥1}∪{1/m:m≥1}∪{0}⊆RA := \{ 1/m + 1/(mn) : m, n \ge 1 \} \cup \{ 1/m : m \ge 1 \} \cup \{0\} \subseteq \mathbb{R} について、A′A'、A′′A''、A′′′A''' を求めよ。ただし A′A' は AA の導集合、A′′A'' は A′A' の導集合、…である。

解答

mm を固定すると、n→∞n \to \infty で 1/m+1/(mn)→1/m1/m + 1/(mn) \to 1/m で、これらは 1/m1/m と異なるので 1/m1/m の近傍に AA の他の点が無限個ある。したがって 1/m∈A′1/m \in A'。m→∞m \to \infty で 1/m→01/m \to 0 なので 0∈A′0 \in A'。それ以外の点 xx は A′A' に属さない:x<0x < 0 または x>2x > 2 なら近傍が AA と交わらない。0<x≤20 < x \le 2 で x≠1/mx \ne 1/m なら、00 から離れた近傍には、関わる mm が有限個しかなく、各 mm について点列 1/m+1/(mn)1/m + 1/(mn) は 1/m1/m にしか集積しないので、xx のある近傍に入る AA の点は有限個で、x∈A′x \in A' とはなりえない。A′={1/m:m≥1}∪{0}A' = \{ 1/m : m \ge 1 \} \cup \{0\}。ここで各 1/m1/m は A′A' の孤立点で、00 は 1/m→01/m \to 0 の極限なので A′′={0}A'' = \{0\}。さらに {0}\{0\} は 1 点集合なので A′′′=∅A''' = \emptyset。

演習 6.4標準

第二可算で非可算な位相空間 XX は、空でない完全集合を含むことを示し、完全集合として含まれない例(可算空間の例)を 1 つ挙げよ。

解答

XX が非可算なら 定理 4.2 の 2 により X∖PX \setminus P は高々可算なので P≠∅P \ne \emptyset、1 により PP は完全集合である。可算空間の例として N\mathbb{N}(離散)は、自己稠密な部分集合をもたず空でない完全集合を含まない(例 4.3 の 2)。

  • R. Engelking, General Topology, Heldermann, 1989 — Chapter 1(点列空間・Fréchet–Urysohn 空間)、Chapter 3(可算コンパクト性)、Chapter 4(点列コンパクト性)、Chapter 2(積の可分性)。
  • S. P. Franklin, “Spaces in which sequences suffice”, Fundamenta Mathematicae 57 (1965), 107–115. 点列空間の導入と、距離空間の商としての特徴づけ。
  • J. R. Munkres, Topology, 2nd ed., Prentice Hall, 2000 — Chapter 3 §28(極限点コンパクト性・点列コンパクト性)。
  • S. Willard, General Topology, Addison-Wesley, 1970 — 可算コンパクト性・点列コンパクト性を扱う節、Cantor–Bendixson の定理。
  • E. Hewitt, “A remark on density characters”, Bulletin of the American Mathematical Society 52 (1946), 641–643.

このテーマの 100 本ノック(100 問)

執筆: Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 2 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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