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普遍ネット・超フィルターとコンパクト性:Alexander の準基定理と完全写像

対象読者: 本テーマ第 1〜8 章(ネットとフィルター・積位相・局所コンパクト空間)と Zorn の補題を学んだ学部 4 年から修士程度の人。普遍ネットは未習とします。

前提となる記事:ネットとフィルターによる収束:部分ネット・集積点・始位相での収束、積位相・商位相と Tychonoff の定理:ネットと超フィルターで見るコンパクト性、コンパクト性:有限部分被覆で捉える「有界閉集合」の一般化、局所コンパクト空間:一点コンパクト化・Urysohn・Tietze・1 の分割・位相群

生 Markdown

有界な実数列からは、収束する部分列を取り出せます。この記事では、これと同じ働きを一般の空間でする「点の並び」として、どんな集合についても最終的にその中か外のどちらかに落ち着くもの(普遍ネット)を調べます。読み終えると、「コンパクトである」ことをこの並びの言葉で言い換えられ、その言い換えから「コンパクトな空間をいくつ掛け合わせてもコンパクト」という Tychonoff の定理を短く示せるようになります。

  • 普遍ネットとは、どんな集合に対しても「最終的にその集合に入る」か「最終的にその補集合に入る」かのどちらかが成り立つネットです。尾のフィルターが超フィルターであることと同値で、任意のネットは普遍部分ネットをもちます(超フィルターの補題、すなわち Zorn の補題の使用箇所)。
  • コンパクト性は、すべての普遍ネットが収束することと同値です。ここから Tychonoff の定理の短い別証が得られます。
  • Alexander の準基定理:準基の元による開被覆だけを調べればコンパクト性が判定できます。これも Zorn の補題で示し、Tychonoff の定理の第三の証明と、Vietoris 超空間のコンパクト性(コンパクト空間の閉集合全体がコンパクトな超空間をなす)を導きます。
  • Kelley の定理:Tychonoff の定理から選択公理が従います。選択公理を使うのは、Tychonoff の定理の証明の本質的な部分だということです。
  • 完全写像・固有写像は、「ファイバーがコンパクトで閉写像」「コンパクト集合の逆像がコンパクト」という写像の性質です。局所コンパクトハウスドルフ空間の間では 2 つは同値で、一点コンパクト化への延長が連続であることとも同値になります。

1. 動機:超フィルターの議論を、ネットの言葉で書き直す

Section titled “1. 動機:超フィルターの議論を、ネットの言葉で書き直す”

ネットとフィルターによる収束で、ネットとフィルターの対応を確かめました。積位相の記事ではコンパクト性を超フィルターで特徴づけ、Tychonoff の定理を「超フィルターの像は超フィルター」という事実だけで証明しました。同じ内容をネットの言葉で述べるのが普遍ネットです。「すべての普遍ネットが収束する」というコンパクト性の特徴づけは、点列でコンパクト性を扱う議論(収束する部分列の取り出し)を、そのまま一般の空間に持っていくための言語になります。たとえば関数解析の Banach–Alaoglu の定理(単位球の弱 * コンパクト性)は、単位球を積空間の閉部分集合として見る議論で Tychonoff の定理に帰着します。

もう 1 つの流れは、コンパクト性の証明で使う Zorn の補題の別の使い道です。超フィルターの補題は、フィルター全体の集合に Zorn の補題を使いました。Alexander の準基定理は、開被覆全体の集合に Zorn の補題を使い、「準基の元だけを見ればよい」という大幅な簡略化を与えます。その使い道の重さを測るために、Kelley の定理(Tychonoff の定理から選択公理が従う)も示します。

最後に、コンパクト性と写像の関係として完全写像を扱います。連続でコンパクト集合の逆像がコンパクトな写像(固有写像)は、代数幾何の固有射や Lie 群の作用の固有性の位相的な原型です。

定義 2.1(普遍ネット)↗

XX を集合、(xλ)λ∈Λ(x_\lambda)_{\lambda \in \Lambda} を XX のネットとする。任意の部分集合 A⊆XA \subseteq X に対し、「ある λ0\lambda_0 があって λ≥λ0\lambda \ge \lambda_0 なら xλ∈Ax_\lambda \in A」と「ある λ0\lambda_0 があって λ≥λ0\lambda \ge \lambda_0 なら xλ∈X∖Ax_\lambda \in X \setminus A」の少なくとも一方が成り立つとき、このネットを普遍ネット(超ネット)という。

「最終的に AA に入る」ことは、AA が尾のフィルター T(x)\mathcal{T}(\boldsymbol{x})(定義 4.1[ネットとフィルターによる収束])に属することです。したがって普遍性は、尾のフィルターが超フィルターの条件を満たすことを言っています。

補題 2.2(普遍ネットと超フィルター)✓

XX の集合としてのネット x=(xλ)λ∈Λ\boldsymbol{x} = (x_\lambda)_{\lambda \in \Lambda} について、次が成り立つ。

  1. x\boldsymbol{x} が普遍ネットであることと、尾のフィルター T(x)\mathcal{T}(\boldsymbol{x}) が超フィルターであることは同値である。
  2. x\boldsymbol{x} が普遍ネットで f:X→Yf : X \to Y が写像ならば、ネット f(x)=(f(xλ))λ∈Λf(\boldsymbol{x}) = (f(x_\lambda))_{\lambda \in \Lambda} も普遍ネットである。
  3. U\mathcal{U} が超フィルターならば、付随するネット n(U)\boldsymbol{n}(\mathcal{U})(定義 4.1[ネットとフィルターによる収束])は普遍ネットである。
証明(補題 2.2)
  1. T(x)\mathcal{T}(\boldsymbol{x}) はフィルターで、x\boldsymbol{x} が普遍であることは、すべての A⊆XA \subseteq X について A∈T(x)A \in \mathcal{T}(\boldsymbol{x}) または X∖A∈T(x)X \setminus A \in \mathcal{T}(\boldsymbol{x}) が成り立つことにほかならない。これは 補題 5.7[積位相・商位相と Tychonoff の定理] により、T(x)\mathcal{T}(\boldsymbol{x}) が超フィルターであることと同値。
  2. B⊆YB \subseteq Y とする。A:=f−1(B)A := f^{-1}(B) に普遍性を適用すると、最終的に xλ∈f−1(B)x_\lambda \in f^{-1}(B) すなわち f(xλ)∈Bf(x_\lambda) \in B であるか、最終的に xλ∈X∖f−1(B)=f−1(Y∖B)x_\lambda \in X \setminus f^{-1}(B) = f^{-1}(Y \setminus B) すなわち f(xλ)∈Y∖Bf(x_\lambda) \in Y \setminus B である。
  3. T(n(U))=U\mathcal{T}(\boldsymbol{n}(\mathcal{U})) = \mathcal{U}(定理 4.3[ネットとフィルターによる収束] の 2)が超フィルターなので、1 により普遍である。

次の定理は、任意のネットが普遍な部分ネットをもつことを言います。これが「普遍ネットによる議論」の出発点で、超フィルターの補題に対応します。

定理 2.3(普遍部分ネットの存在)✓

位相空間(あるいは集合)の任意のネット x=(xλ)\boldsymbol{x} = (x_\lambda) は、普遍ネットである部分ネットをもつ。

証明の方針は、尾のフィルターを超フィルターにまで広げ(ここで超フィルターの補題を使います)、その超フィルターに対応するネットを部分ネットとして取り出す、というものです。

証明(定理 2.3)

T(x)\mathcal{T}(\boldsymbol{x}) はフィルターなので、超フィルターの補題(定理 5.8[積位相・商位相と Tychonoff の定理]。ここで選択公理が使われる)により、超フィルター U⊇T(x)\mathcal{U} \supseteq \mathcal{T}(\boldsymbol{x}) がある。定理 4.3[ネットとフィルターによる収束] の 3 により、x\boldsymbol{x} の部分ネット y\boldsymbol{y} で T(y)=U\mathcal{T}(\boldsymbol{y}) = \mathcal{U} なるものがある。補題 2.2 の 1 により、y\boldsymbol{y} は普遍ネットである。

3. コンパクト性と Tychonoff の定理の別証

Section titled “3. コンパクト性と Tychonoff の定理の別証”

定理 3.1(コンパクト性の普遍ネットによる特徴づけ)✓

位相空間 XX がコンパクトであるための必要十分条件は、XX のすべての普遍ネットが(XX のある点に)収束することである。

証明(定理 3.1)

(⇒\Rightarrow)XX をコンパクト、x\boldsymbol{x} を普遍ネットとする。補題 2.2 の 1 により T(x)\mathcal{T}(\boldsymbol{x}) は超フィルターで、定理 5.9[積位相・商位相と Tychonoff の定理] によりある点 xx に収束する。定理 4.3[ネットとフィルターによる収束] の 1 により x→x\boldsymbol{x} \to x である。

(⇐\Leftarrow)任意のネット x\boldsymbol{x} をとる。定理 2.3 により普遍部分ネット y\boldsymbol{y} があり、仮定により y\boldsymbol{y} はある点 xx に収束する。定理 4.2[ネットとフィルターによる収束] により xx は x\boldsymbol{x} の集積点である。すべてのネットが集積点をもつので、定理 5.4[積位相・商位相と Tychonoff の定理] により XX はコンパクトである。

この特徴づけを使うと、Tychonoff の定理が次のように読めます。

定理 3.2(Tychonoff の定理(普遍ネットによる証明))✓

{Xi}i∈I\{X_i\}_{i \in I} をコンパクト空間の族とすると、積空間 X=∏i∈IXiX = \prod_{i \in I} X_i はコンパクトである。

証明(定理 3.2)

定理 3.1 の(⇐\Leftarrow)により、XX の任意の普遍ネット x=(xλ)\boldsymbol{x} = (x_\lambda) が収束することを示せばよい。各 ii について、射影の像 πi(x)=(πi(xλ))\pi_i(\boldsymbol{x}) = (\pi_i(x_\lambda)) は XiX_i の普遍ネットである(補題 2.2 の 2)。XiX_i はコンパクトなので、定理 3.1 の(⇒\Rightarrow)により収束先 yi∈Xiy_i \in X_i がある。各 ii について 1 つずつ yiy_i を選ぶ(選択公理、公理 3.1[選択公理と Zorn の補題]。XiX_i がハウスドルフなら一意で選択は不要)。y:=(yi)i∈Iy := (y_i)_{i \in I} とおくと、すべての ii で πi(xλ)→yi\pi_i(x_\lambda) \to y_i なので、定理 5.3[積位相・商位相と Tychonoff の定理] により x→y\boldsymbol{x} \to y である。

選択公理の使用箇所は 2 つで、超フィルターの補題(普遍部分ネットの存在)と、極限 yiy_i を II 個同時に選ぶ段階です。次の節で見る Alexander の準基定理は、超フィルターを経由しない別の道で Tychonoff の定理に至ります。

コンパクト性を示すには、すべての開被覆を調べなければならないように見えます。準基があれば、準基の元からなる被覆だけで足ります。

定理 4.1(Alexander の準基定理)✓

XX を位相空間、S\mathcal{S} を XX の準基(定義 2.1[積位相・商位相と Tychonoff の定理]。XX の位相は τ(S)\tau(\mathcal{S}))とする。S\mathcal{S} の元だけからなる XX の被覆がつねに有限部分被覆をもつならば、XX はコンパクトである。

証明の方針は背理法です。有限部分被覆をもたない開被覆のうち、Zorn の補題で極大なもの C\mathcal{C} を取ります。極大なので、C\mathcal{C} に入っていない開集合 WW を 1 つ加えると有限部分被覆をもつようになります(証明中の (P))。この性質を使うと、C\mathcal{C} の中の準基の元だけで XX が覆えることが言えて、仮定と食い違います。

証明(定理 4.1)

XX がコンパクトでないと仮定して矛盾を導く。P\mathfrak{P} を、有限部分被覆をもたない XX の開被覆全体の集合とし、包含で半順序づける。XX がコンパクトでないので P≠∅\mathfrak{P} \ne \emptyset。空でない鎖 Q⊆P\mathfrak{Q} \subseteq \mathfrak{P} に対し、合併 ⋃Q\bigcup \mathfrak{Q} は開被覆である。有限個の元 C1,…,Cn∈⋃QC_1, \ldots, C_n \in \bigcup \mathfrak{Q} が XX を覆うとすると、各 CkC_k はある Ck∈Q\mathcal{C}_k \in \mathfrak{Q} に属し、鎖なので最大のもの Ck0\mathcal{C}_{k_0} がすべてを含む。すると Ck0\mathcal{C}_{k_0} が有限部分被覆をもち矛盾する(n=0n = 0 なら X=∅X = \emptyset でコンパクトなので不可)。したがって ⋃Q∈P\bigcup \mathfrak{Q} \in \mathfrak{P} は鎖 Q\mathfrak{Q} の上界である。Zorn の補題(定理 5.1[選択公理と Zorn の補題])により、P\mathfrak{P} に極大元 C\mathcal{C} がある。

(P) 開集合 W∉CW \notin \mathcal{C} に対し、C1,…,Cn∈CC_1, \ldots, C_n \in \mathcal{C}(n≥0n \ge 0)で W∪C1∪⋯∪Cn=XW \cup C_1 \cup \cdots \cup C_n = X となるものがある。実際、C∪{W}\mathcal{C} \cup \{W\} は C\mathcal{C} を真に含む開被覆なので、C\mathcal{C} の極大性により P\mathfrak{P} に属さず、有限部分被覆をもつ。C\mathcal{C} 自身は有限部分被覆をもたないので、その有限部分被覆は WW を含む。

主張:C∩S\mathcal{C} \cap \mathcal{S} は XX を覆う。 x∈Xx \in X とし、x∈C∈Cx \in C \in \mathcal{C} をとる。CC は開なので、S\mathcal{S} の元の有限共通部分 B=S1∩⋯∩SmB = S_1 \cap \cdots \cap S_m(m≥0m \ge 0、m=0m = 0 なら B=XB = X)で x∈B⊆Cx \in B \subseteq C なるものがある(補題 2.2[積位相・商位相と Tychonoff の定理] の 1)。ある Sk∈CS_k \in \mathcal{C} があれば、x∈B⊆Skx \in B \subseteq S_k で xx は C∩S\mathcal{C} \cap \mathcal{S} に覆われる。どの SkS_k も C\mathcal{C} に属さないとすると、各 SkS_k は開集合なので (P) により、C\mathcal{C} の元の有限合併 DkD_k で Sk∪Dk=XS_k \cup D_k = X となるものがある。このとき

X=⋂k=1m(Sk∪Dk)⊆(⋂kSk)∪⋃kDk=B∪⋃kDk⊆C∪⋃kDkX = \bigcap_{k=1}^m (S_k \cup D_k) \subseteq \Bigl(\bigcap_{k} S_k\Bigr) \cup \bigcup_{k} D_k = B \cup \bigcup_k D_k \subseteq C \cup \bigcup_k D_k

(m=0m = 0 なら X=B⊆CX = B \subseteq C)。これは C\mathcal{C} の有限個の元による XX の被覆で、C∈P\mathcal{C} \in \mathfrak{P} に反する。

以上から、S\mathcal{S} の元だけからなる被覆 C∩S\mathcal{C} \cap \mathcal{S} が得られ、仮定によりそれは有限部分被覆をもつ。これは C\mathcal{C} の有限部分被覆なので、C∈P\mathcal{C} \in \mathfrak{P} に反する。

例 4.2(Tychonoff の定理の第三の証明)

X=∏i∈IXiX = \prod_{i \in I} X_i(各 XiX_i はコンパクト)の準基は S={πi−1(U):i∈I, U⊆Xi は開}\mathcal{S} = \{ \pi_i^{-1}(U) : i \in I,\ U \subseteq X_i\text{ は開}\} です。定理 4.1 により、S\mathcal{S} の元だけの被覆 W\mathcal{W} が有限部分被覆をもつことを示せばよく、次の議論でそれが示せます。各 ii について Wi:={U:πi−1(U)∈W}\mathcal{W}_i := \{ U : \pi_i^{-1}(U) \in \mathcal{W} \} とおきます。ある ii で Wi\mathcal{W}_i が XiX_i を覆えば、XiX_i のコンパクト性から有限個 U1,…,Un∈WiU_1, \ldots, U_n \in \mathcal{W}_i で XiX_i が覆われ、πi−1(Uk)∈W\pi_i^{-1}(U_k) \in \mathcal{W} が XX を覆います。どの ii でも Wi\mathcal{W}_i が XiX_i を覆わないなら、各 ii で xi∈Xi∖⋃Wix_i \in X_i \setminus \bigcup \mathcal{W}_i を選べて(選択公理)、x=(xi)x = (x_i) は W\mathcal{W} のどの元にも入らず、被覆であることに反します。この証明では超フィルターを使わず、Zorn の補題は Alexander の準基定理の内部でだけ使われます。

5. Kelley の定理:Tychonoff の定理は選択公理を含む

Section titled “5. Kelley の定理:Tychonoff の定理は選択公理を含む”

定理 5.1(Kelley の定理(Tychonoff の定理から選択公理))✓

「コンパクト空間の任意の族の積空間はコンパクトである」(定理 6.2[積位相・商位相と Tychonoff の定理] の主張)が成り立つならば、空でない集合の任意の族 {Ai}i∈I\{A_i\}_{i \in I} について直積 ∏i∈IAi\prod_{i \in I} A_i は空でない(選択公理 公理 3.1[選択公理と Zorn の補題] の主張)。この導出は、選択公理を使わずに行える。

証明の方針は次のとおりです。各 AiA_i に点 ∞\infty を 1 つ加えてコンパクト空間 XiX_i にし、積空間 XX のコンパクト性を仮定します。AiA_i に値をとる点の集合 FiF_i は閉集合で、有限交叉性をもつので、全体の共通部分の点が直積の元になります。∞\infty の取り方が少し技巧的に見えますが、これは「どの AiA_i の元でもない元」を選択公理なしで具体的に作るための工夫です。

証明(定理 5.1)

{Ai}i∈I\{A_i\}_{i \in I} を空でない集合の族とする。∞\infty を、どの AiA_i の元でもない 1 つの元とする(たとえば ∞:={a∈⋃iAi:a∉a}\infty := \{ a \in \bigcup_i A_i : a \notin a \} とおけば、∞∈⋃iAi\infty \in \bigcup_i A_i なら ∞∈∞  ⟺  ∞∉∞\infty \in \infty \iff \infty \notin \infty となって矛盾するので、∞∉⋃iAi\infty \notin \bigcup_i A_i)。Xi:=Ai∪{∞}X_i := A_i \cup \{\infty\} に、開集合を ∅\emptyset、{∞}\{\infty\}、XiX_i とする位相(これらが位相をなすことは、合併・共通部分がすべてこの 3 つに戻ることから明らか)を入れる。

各 XiX_i はコンパクトである。開被覆は AiA_i の点 aa(Ai≠∅A_i \ne \emptyset)を含む元をもつが、それは XiX_i しかないので、{Xi}\{X_i\} が有限部分被覆になる。仮定により積空間 X:=∏iXiX := \prod_i X_i はコンパクトである。

Fi:=πi−1(Ai)={x∈X:xi∈Ai}F_i := \pi_i^{-1}(A_i) = \{ x \in X : x_i \in A_i \} とおく。Xi∖Ai={∞}X_i \setminus A_i = \{\infty\} は開集合なので AiA_i は閉集合で、πi\pi_i は連続なので FiF_i は閉集合である。族 {Fi}i∈I\{F_i\}_{i \in I} は有限交叉性をもつ:II の有限部分集合 SS に対し、各 i∈Si \in S から ai∈Aia_i \in A_i を 1 つずつ選び(有限個の選択なので選択公理は不要)、i∈Si \in S なら xi:=aix_i := a_i、i∉Si \notin S なら xi:=∞x_i := \infty とおけば、x∈⋂i∈SFix \in \bigcap_{i \in S} F_i。XX のコンパクト性と 命題 4.5[コンパクト性] により ⋂i∈IFi≠∅\bigcap_{i \in I} F_i \ne \emptyset で、その元 xx は全 ii で xi∈Aix_i \in A_i、すなわち x∈∏iAix \in \prod_i A_i。

「Tychonoff の定理の主張」はこのサイトでは選択公理(Zorn の補題)から証明された定理(定理 6.2[積位相・商位相と Tychonoff の定理])で、選択公理を仮定した集合論の中では、上の定理は両者が同値であると読めます。この定理が言うのは、選択公理を仮定しない枠組みでも、Tychonoff の定理の主張から選択公理が導かれるということです。ここで使った空間 XiX_i はハウスドルフではありません。ハウスドルフ空間の族に限った Tychonoff の定理は、選択公理よりやや弱い原理と同値であることが知られています(文献は参考文献を参照)。

定義 6.1(完全写像・固有写像)↗

f:X→Yf : X \to Y を位相空間の間の連続写像とする。

  1. ff が完全写像であるとは、ff が閉写像(定義 5.1[連続写像と同相写像])で、すべての y∈Yy \in Y についてファイバー f−1(y)f^{-1}(y) が XX のコンパクト部分集合であることをいう。
  2. ff が固有写像であるとは、YY の任意のコンパクト部分集合 KK について f−1(K)f^{-1}(K) が XX のコンパクト部分集合であることをいう。

直観としては、完全写像は「ファイバーがコンパクトで、閉集合が無限遠へ飛び去って像の点を取りこぼさない」写像です。反例は射影 R2→R\mathbb{R}^2 \to \mathbb{R} で、双曲線 xy=1xy = 1(閉集合)は無限遠に飛び去るので、像は 00 を取りこぼします。

xy = 1像 = ℝ ∖ {0}
射影 π₁ による双曲線 xy = 1 の像は ℝ から原点を除いたもの。閉集合の像が閉でなくなるので、π₁ は閉写像でない。

次の定理は、2 つの概念の関係と、基本的な性質を述べます。

定理 6.2(完全写像と固有写像)✓

  1. 完全写像は固有写像である。
  2. 完全写像の合成は完全写像である。完全写像 f:X→Yf : X \to Y の閉部分集合 F⊆XF \subseteq X への制限 f∣F:F→Yf|_F : F \to Y は完全写像である。YY がコンパクトで f:X→Yf : X \to Y が完全写像ならば、XX はコンパクトである。
  3. X,YX, Y が局所コンパクトハウスドルフ空間(LCH 空間)、f:X→Yf : X \to Y が連続写像のとき、次の 3 条件は同値である。(i) ff は完全写像。(ii) ff は固有写像。(iii) f+:X∗→Y∗f^{+} : X^{*} \to Y^{*}(f+∣X=ff^{+}|_X = f、f+(∞)=∞f^{+}(\infty) = \infty)が一点コンパクト化(定義 3.1[局所コンパクト空間])の間の連続写像になる。

1 と 2 は定義から直接たどる議論で、3 が主役です。3 の (iii) との同値では、一点コンパクト化 X∗X^{*} で無限遠点 ∞\infty を含む開集合が、XX のコンパクト集合 CC による X∗∖CX^{*} \setminus C の形になること(証明中に述べています)を使います。

証明(定理 6.2)
  1. f:X→Yf : X \to Y を完全写像、K⊆YK \subseteq Y をコンパクトとし、f−1(K)f^{-1}(K) を XX の開集合の族 U\mathcal{U} で覆う(部分集合のコンパクト性は、XX の開集合による被覆で検査できる。補題 3.3[コンパクト性])。各 y∈Ky \in K について、ファイバー f−1(y)f^{-1}(y) はコンパクトなので、有限個の U1,…,Un∈UU_1, \ldots, U_n \in \mathcal{U} で覆われる。Vy:=U1∪⋯∪UnV_y := U_1 \cup \cdots \cup U_n は開で f−1(y)⊆Vyf^{-1}(y) \subseteq V_y。ff は閉写像なので Wy:=Y∖f(X∖Vy)W_y := Y \setminus f(X \setminus V_y) は開で、y∈Wyy \in W_y(f−1(y)⊆Vyf^{-1}(y) \subseteq V_y だから y∉f(X∖Vy)y \notin f(X \setminus V_y))、かつ f−1(Wy)⊆Vyf^{-1}(W_y) \subseteq V_y である。KK は {Wy}y∈K\{W_y\}_{y \in K} で覆われ、コンパクトなので K⊆Wy1∪⋯∪WyrK \subseteq W_{y_1} \cup \cdots \cup W_{y_r}。したがって f−1(K)⊆Vy1∪⋯∪Vyrf^{-1}(K) \subseteq V_{y_1} \cup \cdots \cup V_{y_r} で、各 VykV_{y_k} は U\mathcal{U} の有限個の元の合併だから、f−1(K)f^{-1}(K) は U\mathcal{U} の有限個の元で覆われる。
  2. f:X→Yf : X \to Y、g:Y→Zg : Y \to Z を完全写像とする。g∘fg \circ f は連続な閉写像(閉集合を ff で送って閉、gg で送って閉)である。ファイバー (g∘f)−1(z)=f−1(g−1(z))(g \circ f)^{-1}(z) = f^{-1}(g^{-1}(z)) について、g−1(z)g^{-1}(z) はコンパクトで、1 により ff は固有なので、これはコンパクトである。制限:f∣Ff|_F は連続で、FF の閉集合は XX の閉集合でもあるので f∣Ff|_F は閉写像。ファイバー (f∣F)−1(y)=f−1(y)∩F(f|_F)^{-1}(y) = f^{-1}(y) \cap F はコンパクト集合 f−1(y)f^{-1}(y) の閉部分集合なので、コンパクトである(定理 4.1[コンパクト性] を f−1(y)f^{-1}(y) に適用)。最後に、YY がコンパクトなら、1 により X=f−1(Y)X = f^{-1}(Y) はコンパクトである。
  3. (i ⇒\Rightarrow ii)は 1。(ii ⇒\Rightarrow i)ff を固有写像とする。ファイバー f−1(y)=f−1({y})f^{-1}(y) = f^{-1}(\{y\}) は 1 点集合がコンパクトなのでコンパクト。F⊆XF \subseteq X を閉集合とし、f(F)f(F) が閉であることを示す。y∈f(F)‾y \in \overline{f(F)} とする。YY は局所コンパクトなので、yy はコンパクトな近傍 NN をもつ。f−1(N)f^{-1}(N) はコンパクトで、F∩f−1(N)F \cap f^{-1}(N) はその閉部分集合なのでコンパクト(定理 4.1[コンパクト性])、その連続像 f(F∩f−1(N))=f(F)∩Nf(F \cap f^{-1}(N)) = f(F) \cap N もコンパクトである(定理 6.1[コンパクト性])。YY はハウスドルフなので、コンパクト集合 f(F)∩Nf(F) \cap N は閉である(定理 4.2[コンパクト性] により、その外の各点は、この集合と交わらない開集合をもつ)。yy の任意の近傍 WW に対し、W∩NW \cap N も yy の近傍で、y∈f(F)‾y \in \overline{f(F)} から f(F)f(F) と交わる。したがって WW は f(F)∩Nf(F) \cap N と交わり、y∈f(F)∩N‾=f(F)∩Ny \in \overline{f(F) \cap N} = f(F) \cap N。よって y∈f(F)y \in f(F) で f(F)f(F) は閉である。 (ii ⇒\Rightarrow iii)f+f^{+} の連続性を、Y∗Y^{*} の開集合の逆像で確かめる。V⊆YV \subseteq Y が開なら (f+)−1(V)=f−1(V)(f^{+})^{-1}(V) = f^{-1}(V) は XX の開集合で X∗X^{*} でも開。K⊆YK \subseteq Y がコンパクトなら (f+)−1(Y∗∖K)=X∗∖f−1(K)(f^{+})^{-1}(Y^{*} \setminus K) = X^{*} \setminus f^{-1}(K) で、ff が固有なので f−1(K)f^{-1}(K) はコンパクトであり、これは X∗X^{*} の開集合である。(iii ⇒\Rightarrow ii)K⊆YK \subseteq Y がコンパクトなら Y∗∖KY^{*} \setminus K は ∞\infty を含む開集合で、その逆像 X∗∖f−1(K)X^{*} \setminus f^{-1}(K) は X∗X^{*} の開集合で ∞\infty を含む。∞\infty を含む X∗X^{*} の開集合は、XX のコンパクト集合 CC による X∗∖CX^{*} \setminus C の形(XX の開集合は ∞\infty を含まない)なので f−1(K)=Cf^{-1}(K) = C はコンパクトである。

例 6.3(多項式写像 ℝ → ℝ は固有写像)

pp を定数でない実係数多項式とし、p:R→Rp : \mathbb{R} \to \mathbb{R} を考えます。∣x∣→∞|x| \to \infty のとき ∣p(x)∣→∞|p(x)| \to \infty なので、有界閉区間 KK に対し p−1(K)p^{-1}(K) は有界で(pp の連続性により)閉です。Heine–Borel の定理(定理 5.2[コンパクト性])により p−1(K)p^{-1}(K) はコンパクトで、pp は固有写像です。したがって 定理 6.2 の 3 により完全写像でもあり、閉写像です(たとえば p(x)=x2p(x) = x^2 は閉写像)。定数関数 p=cp = c は p−1({c})=Rp^{-1}(\{c\}) = \mathbb{R} がコンパクトでないので固有ではありません。これは代数幾何で多項式写像 A1→A1\mathbb{A}^1 \to \mathbb{A}^1 が固有射になることの位相的な類似です。

定義 7.1(Vietoris 位相)↗

XX を位相空間とし、C(X)\mathcal{C}(X) を XX の空でない閉部分集合全体の集合とする。U⊆XU \subseteq X が開集合のとき、

U+:={F∈C(X):F⊆U},U−:={F∈C(X):F∩U≠∅}U^{+} := \{ F \in \mathcal{C}(X) : F \subseteq U \},\qquad U^{-} := \{ F \in \mathcal{C}(X) : F \cap U \ne \emptyset \}

とおく。{U+}U\{U^{+}\}_{U} と {U−}U\{U^{-}\}_{U}(UU は XX の開集合全体を動く)を合わせた族を準基とする位相(定義 2.1[積位相・商位相と Tychonoff の定理])を C(X)\mathcal{C}(X) の Vietoris 位相といい、C(X)\mathcal{C}(X) をこの位相で見たものを超空間という。

XX がコンパクトハウスドルフなら、閉集合とコンパクト集合は一致するので(定理 4.1[コンパクト性] と 定理 4.2[コンパクト性])、C(X)\mathcal{C}(X) は空でないコンパクト部分集合全体です。この記事では、位相としての性質だけを扱います。

命題 7.2(コンパクト空間の Vietoris 超空間はコンパクト)✓

XX がコンパクトならば、C(X)\mathcal{C}(X) は Vietoris 位相でコンパクトである。

記号の意味は次のとおりです。U+U^{+} は「UU の中にすっぽり入る閉集合」全体、U−U^{-} は「UU と交わる閉集合」全体です。証明は Alexander の準基定理を使い、準基の元 U−U^{-} と V+V^{+} だけからなる被覆を調べます。場合分けの意図は、U−U^{-} たちが C(X)\mathcal{C}(X) をすべて覆っているか、取りこぼす閉集合 F0F_0 があるかを分けることです。取りこぼしがあれば、その F0F_0 はどれかの V+V^{+} に入っているはずなので、そこから有限個の選び方が決まります。

証明(命題 7.2)

準基 S={U+}∪{U−}\mathcal{S} = \{U^{+}\} \cup \{U^{-}\} の元だけからなる C(X)\mathcal{C}(X) の被覆が有限部分被覆をもつことを示せば、定理 4.1 により十分である。被覆を {Ua−}a∈A∪{Vb+}b∈B\{U_a^{-}\}_{a \in A} \cup \{V_b^{+}\}_{b \in B} とする。F0:=X∖⋃aUaF_0 := X \setminus \bigcup_a U_a は閉集合である。

場合 1:F0=∅F_0 = \emptyset。 {Ua}\{U_a\} は XX の開被覆なので、XX のコンパクト性から有限個 Ua1,…,UakU_{a_1}, \ldots, U_{a_k} が XX を覆う。任意の F∈C(X)F \in \mathcal{C}(X) は点 xx を含み、x∈Uaix \in U_{a_i} となる ii があるので F∈Uai−F \in U_{a_i}^{-}。有限個の Ua1−,…,Uak−U_{a_1}^{-}, \ldots, U_{a_k}^{-} が C(X)\mathcal{C}(X) を覆う。

場合 2:F0≠∅F_0 \ne \emptyset。 F0∈C(X)F_0 \in \mathcal{C}(X) で、任意の aa について F0∩Ua=∅F_0 \cap U_a = \emptyset なので F0∉Ua−F_0 \notin U_a^{-}。したがってある b0b_0 で F0∈Vb0+F_0 \in V_{b_0}^{+}、すなわち F0⊆Vb0F_0 \subseteq V_{b_0}。このとき {Ua}a∈A∪{Vb0}\{U_a\}_{a \in A} \cup \{V_{b_0}\} は XX の開被覆なので、コンパクト性により有限部分被覆 Ua1,…,Uak,Vb0U_{a_1}, \ldots, U_{a_k}, V_{b_0} がある(Vb0V_{b_0} を含めて考えてよい)。{Uai−}i≤k∪{Vb0+}\{U_{a_i}^{-}\}_{i \le k} \cup \{V_{b_0}^{+}\} が C(X)\mathcal{C}(X) を覆う:F∈C(X)F \in \mathcal{C}(X) について、F⊆Vb0F \subseteq V_{b_0} なら F∈Vb0+F \in V_{b_0}^{+}。そうでなければ x∈F∖Vb0x \in F \setminus V_{b_0} があり、x∈Uaix \in U_{a_i} なる ii があるので F∈Uai−F \in U_{a_i}^{-}。

いずれの場合も有限部分被覆が得られた。

例 7.3(有限集合は超空間で稠密)

XX が T1 空間のとき、1 点集合が閉なので空でない有限部分集合はすべて C(X)\mathcal{C}(X) の元で、それら全体は C(X)\mathcal{C}(X) で稠密です。F∈C(X)F \in \mathcal{C}(X) の基本近傍は、V+∩U1−∩⋯∩Un−V^{+} \cap U_1^{-} \cap \cdots \cap U_n^{-} の形のものを含みます(V+∩V′+=(V∩V′)+V^{+} \cap V'^{+} = (V \cap V')^{+} により、++ 型は 1 つにまとまります)。F⊆VF \subseteq V かつ F∩Uk≠∅F \cap U_k \ne \emptyset(k≤nk \le n)なので、各 kk から点 xk∈F∩Ukx_k \in F \cap U_k をとると、有限集合 {x1,…,xn}⊆F⊆V\{x_1, \ldots, x_n\} \subseteq F \subseteq V はこの近傍に入ります(n=0n = 0 なら FF の 1 点をとる)。たとえば C([0,1])\mathcal{C}([0, 1]) はコンパクト(命題 7.2)で、[0,1][0, 1] の有限部分集合全体が稠密になります。

8. 例:主超フィルターから作る普遍ネット

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例 8.1(定ネットと主超フィルターの普遍ネット)

任意の集合 XX の点 x0x_0 に対し、定ネット (x0)λ∈Λ(x_0)_{\lambda \in \Lambda} は普遍です。どんな A⊆XA \subseteq X についても、x0∈Ax_0 \in A なら常に AA に入り、x0∉Ax_0 \notin A なら常に X∖AX \setminus A に入るからです。この尾のフィルターは主超フィルター {A:x0∈A}\{ A : x_0 \in A \} です。付随するネット(定義 4.1[ネットとフィルターによる収束])は、有向集合 {(a,F):x0∈F, a∈F}\{(a, F) : x_0 \in F,\ a \in F\} 上のネットで、補題 2.2 の 3 により普遍です。定ネットではありませんが、x0x_0 に収束します(x0x_0 の任意の近傍 UU は x0x_0 を含むので主超フィルターに属するため)。

一方、N\mathbb{N} の補有限集合全体(Fréchet フィルター)を含む超フィルター U\mathcal{U} は、超フィルターの補題(定理 5.8[積位相・商位相と Tychonoff の定理])で存在し、主超フィルターではありません(どの {n}\{n\} も補有限でなく、かつ U\mathcal{U} は N∖{n}\mathbb{N} \setminus \{n\} を含むので、{n}∉U\{n\} \notin \mathcal{U})。この U\mathcal{U} の付随ネットは、N\mathbb{N} の有界な実数列 (an)(a_n) に合成すると [−M,M][-M, M] の普遍ネットになり、定理 3.1 により収束します。その極限が、超フィルターに関する数列の極限(演習 8.3[積位相・商位相と Tychonoff の定理])です。

演習 9.1易

R\mathbb{R} の普遍ネット (xλ)(x_\lambda) が有界ならば、R\mathbb{R} のある点に収束することを示せ。

解答

∣xλ∣≤M|x_\lambda| \le M とすると、(xλ)(x_\lambda) は [−M,M][-M, M] のネットとみなせ、これは [−M,M][-M, M] の普遍ネットである(普遍性の定義は集合 A⊆[−M,M]A \subseteq [-M, M] について同じ条件)。[−M,M][-M, M] はコンパクトなので(定理 5.2[コンパクト性])、定理 3.1 により [−M,M][-M, M] のある点に収束し、R\mathbb{R} でも収束する。

演習 9.2易

位相空間 XX の閉部分集合 FF に対し、包含写像 ι:F→X\iota : F \to X が完全写像であることを示せ。

解答

ι\iota は連続である。閉写像:FF の閉集合は XX の閉集合でもある。ファイバー ι−1(x)\iota^{-1}(x) は x∈Fx \in F なら 1 点、x∉Fx \notin F なら空集合で、いずれもコンパクト。

演習 9.3標準

射影 π1:R2→R\pi_1 : \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R} は閉写像でなく、完全写像でも固有写像でもないことを示せ。

解答

C:={(x,y):xy=1}C := \{(x, y) : xy = 1\} は閉集合だが、π1(C)=R∖{0}\pi_1(C) = \mathbb{R} \setminus \{0\} は閉でない。よって閉写像でなく、したがって完全写像でない。固有写像でもない:コンパクト集合 K={0}K = \{0\} の逆像は {0}×R\{0\} \times \mathbb{R} で、コンパクトでない(有界でない。定理 5.2[コンパクト性])。R2\mathbb{R}^2 と R\mathbb{R} は LCH 空間なので、定理 6.2 の 3 により、完全でないことと固有でないことは同値であり、上の 2 つの結論は整合している。

  • J. L. Kelley, General Topology, Van Nostrand, 1955 — Chapter 5(Tychonoff の定理、Alexander の準基定理、普遍ネット)。
  • J. L. Kelley, “The Tychonoff product theorem implies the axiom of choice”, Fundamenta Mathematicae 37 (1950), 75–76.
  • J. W. Alexander, “Ordered sets, complexes and the problem of compactification”, Proceedings of the National Academy of Sciences 25 (1939), 296–298. 準基定理の出典。
  • R. Engelking, General Topology, Heldermann, 1989 — Chapter 3(コンパクト空間、完全写像)、Chapter 3 の超空間に関する節。
  • T. Jech, The Axiom of Choice, North-Holland, 1973 — Tychonoff の定理と選択公理の関係、ハウスドルフ空間の場合の取り扱い。

このテーマの 100 本ノック(100 問)

執筆: Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 2 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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