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常微分方程式の初等解法:変数分離・1 階線形・完全形と「解とは何か」

対象読者: 高校数学の微分積分と、学部 1 年の微積分(積分の基本定理、偏微分の初歩)を学んだ人。微分方程式そのものの知識は仮定しません。

前提となる記事:積分の基本定理と定積分:リーマン和から原始関数へ、多変数関数の微分と偏微分:微分とは「一次近似」のことである

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微分方程式は、「いまの変化の速さ」を表す式から、時間がたったあとの姿を知るための方程式です。たとえば、放射性物質が「減る速さは、いま残っている量に比例する」という法則で減るとき、この式を解くと、量が時間とともにどう減っていくかが分かります。この記事では、手で解ける基本的な型を学び、さらに、その解がどの範囲まで続くのかを確かめます。

  • 常微分方程式の「解く」とは、公式を当てはめることではなく、どの区間で、どれだけの解が存在するかまで決めることです。解は区間とセットで定義されます。
  • 変数分離形 y′=f(x)g(y)y'=f(x)g(y) は、g(y0)≠0g(y_0)\ne 0 の点の近くで G(y)=F(x)G(y)=F(x) という形に積分でき、その近傍で解はただ 1 つです。gg の零点では一意性が壊れることがあります(例 y′=3y2/3y'=3y^{2/3})。
  • 1 階線形方程式 y′+p(x)y=q(x)y'+p(x)y=q(x) は、p,qp,q が区間上で連続なら、区間全体で解がただ 1 つ存在し、積分因子(両辺に掛けると解きやすくなる関数)eP(x)e^{P(x)} による公式で書けます。
  • 完全微分方程式 M dx+N dy=0M\,dx+N\,dy=0 は、My=NxM_y=N_x が(長方形上で)ポテンシャルの存在と同値です。完全でなくても、μ\mu を掛ければ完全になる場合があり、1 階線形の公式はその特別な場合です。
  • 解を延ばせるだけ延ばしたものが最大解(これ以上延ばせない解)です。局所解の一意性があれば最大解はただ 1 つに定まります。y′=y2y'=y^2 のように有限の xx で発散する最大解もあります。

1. 動機と、このテーマ全体の見通し

Section titled “1. 動機と、このテーマ全体の見通し”

ニュートンの運動方程式 mx¨=F(x)m\ddot x=F(x)、放射性崩壊 N′=−λNN'=-\lambda N、人口の増減、電気回路の過渡応答。自然科学の法則の多くは、未知関数とその導関数の関係式、つまり微分方程式の形で書かれます。法則そのものは「今この瞬間の変化の仕方」しか語りません。私たちが知りたいのは、そこから時間を通じて何が起こるか、すなわち方程式の解です。

このテーマ「常微分方程式」は 6 つの章で、次の順に進みます。

章主題問い
1. 初等解法(この記事)変数分離・1 階線形・完全形手で解ける場合の解と、解の概念
2. 存在と一意性Picard–Lindelöf、Peano、Gronwall解は本当にあるか。ただ 1 つか。初期値にどう依存するか
3. 線形系行列指数関数、Liouville、Floquet線形ならどこまで完全に解けるか
4. 級数解Frobenius 法、Bessel・Legendre・Hermite係数が変数のとき、冪級数で解を作れるか
5. Sturm–Liouville振動定理、Green 関数、固有関数展開境界値問題と固有値。作用素論への橋
6. 安定性と特性曲線Lyapunov、Poincaré–Bendixson、特性曲線法長時間の挙動。偏微分方程式への入口

この記事の位置づけは入口です。多くの教科書はここで「解の公式のカタログ」を並べて終わりますが、公式が成り立つ範囲(どの区間で、何を仮定して)を正確に述べる習慣は、第 2 章以降の定理を読むときにそのまま効いてきます。そこで、各公式に証明を付け、最後に「解を延ばせるだけ延ばす」という最大解の概念を導入します。第 2 章で証明する存在と一意性の定理は、ここで導入する言葉を使って述べられます。

D⊂R2D\subset\mathbb{R}^2 を領域(開集合)、f:D→Rf:D\to\mathbb{R} を連続関数とします。

定義 2.1(1 階常微分方程式の解と初期値問題)↗

方程式

y′=f(x,y)(E)y'=f(x,y)\tag{E}

の解とは、区間 I⊂RI\subset\mathbb{R}(開・閉・半開のいずれでもよく、1 点でない)上で定義された C1C^1 級関数 φ:I→R\varphi:I\to\mathbb{R} で、すべての x∈Ix\in I について (x,φ(x))∈D(x,\varphi(x))\in D かつ φ′(x)=f(x,φ(x))\varphi'(x)=f(x,\varphi(x)) を満たすものをいう(区間の端点では片側微分とする)。解は区間 II とセットで考え、(φ,I)(\varphi,I) と書く。

初期値 (x0,y0)∈D(x_0,y_0)\in D を与えて「φ(x0)=y0\varphi(x_0)=y_0 となる解を求めよ」という問題を初期値問題という。

解の定義に区間を含めるのは、同じ式で表される関数でも、区間を変えれば別の解として扱う必要があるからです。たとえば φ(x)=1/(1−x)\varphi(x)=1/(1-x) は y′=y2y'=y^2 の解ですが、x=1x=1 をまたぐ区間では解になりません。

方程式 y′=f(x,y)y'=f(x,y) の解全体は、積分定数のような任意定数を 1 つ含む族として得られるのが普通です。y′=yy'=y なら y=Cexy=Ce^{x} です。図 1 は y′=x−yy'=x-y の方向場で、各点に傾き f(x,y)f(x,y) の短い線分を描いたものです。解曲線は、どの点でもその点の線分に接します。

xyy = x − 1
図 1. y' = x − y の方向場と解曲線 y = x − 1 + Ce^(−x)。太線は C = 0 の直線解。解は直線 y = x − 1 に漸近する。

この方程式の解族は後で(1 階線形の公式で)求めます。方向場を見ると、初期値を 1 つ決めるとその点を通る曲線がただ 1 本に定まるように見えます。実際、第 2 章で見るとおり、ff が十分なめらかならそうなります。しかしいつもそうとは限りません。この記事の後半でその例を見ます。

以下で繰り返し使う 2 つの事実を先に用意します。

補題 2.2(導関数が 0 の関数)✓

区間 II 上の微分可能な関数 hh が h′≡0h'\equiv 0 なら、hh は定数である。

証明(補題 2.2)

次の補題は、第 5 節で積分記号下の微分を示すときにだけ使う道具です。連続関数は、有界で閉じた範囲の上なら「どの場所でも同じ細かさで」値の変化を抑えられる、という内容です。急ぐ場合は主張だけ読んで先へ進んでも構いません。

補題 2.3(コンパクト集合上の連続関数の一様連続性)✓

K⊂RmK\subset\mathbb{R}^m を有界閉集合、h:K→Rh:K\to\mathbb{R} を連続とする。任意の ε>0\varepsilon>0 に対し δ>0\delta>0 が存在し、a,b∈Ka,b\in K、∣a−b∣<δ|a-b|<\delta ならば ∣h(a)−h(b)∣<ε|h(a)-h(b)|<\varepsilon となる。

証明(補題 2.3)

成り立たないと仮定すると、ある ε>0\varepsilon>0 と、∣ak−bk∣<1/k|a_k-b_k|<1/k かつ ∣h(ak)−h(bk)∣≥ε|h(a_k)-h(b_k)|\ge\varepsilon を満たす ak,bk∈Ka_k,b_k\in K が存在します。KK は有界閉集合なのでコンパクト(定理 5.2[コンパクト性])、したがって点列コンパクト(定理 4.3[距離空間])であり、部分列を取って ak→a∈Ka_k\to a\in K としてよいです。∣ak−bk∣→0|a_k-b_k|\to0 より bk→ab_k\to a でもあります。hh の連続性から h(ak)−h(bk)→h(a)−h(a)=0h(a_k)-h(b_k)\to h(a)-h(a)=0 となり、ε\varepsilon との矛盾が出ます。

右辺が xx だけの関数と yy だけの関数の積であるもの

y′=f(x) g(y)y'=f(x)\,g(y)

を変数分離形といいます。形式的には dyg(y)=f(x) dx\dfrac{dy}{g(y)}=f(x)\,dx と書いて両辺を積分する、という計算です。この形式的な計算が何を保証するのかを定理にします。

定理の記号は多いですが、言っていることは次のとおりです。GG は 1/g1/g の原始関数、FF は ff の原始関数で、G(y)=F(x)G(y)=F(x) を yy について解いたものが解 φ\varphi です。I0I_0 は、その φ\varphi が gg の零点を踏まずに定義できる xx の範囲のことです。具体的な様子は、定理のあとのロジスティック方程式の例で見られます。

定理 3.1(変数分離形の解)✓

I,JI,J を開区間、f:I→Rf:I\to\mathbb{R}、g:J→Rg:J\to\mathbb{R} を連続とし、x0∈Ix_0\in I、y0∈Jy_0\in J、g(y0)≠0g(y_0)\ne0 とする。J0⊂JJ_0\subset J を、y0y_0 を含み gg が零点を持たない最大の開区間とし、

G(y)=∫y0ydηg(η)(y∈J0),F(x)=∫x0xf(s) ds(x∈I)G(y)=\int_{y_0}^{y}\frac{d\eta}{g(\eta)}\quad(y\in J_0),\qquad F(x)=\int_{x_0}^{x}f(s)\,ds\quad(x\in I)

とおく。また I0I_0 を、開集合 F−1(G(J0))⊂IF^{-1}(G(J_0))\subset I の x0x_0 を含む連結成分(開区間)とする。このとき

  1. φ=G−1∘F\varphi=G^{-1}\circ F は I0I_0 上の初期値問題 y′=f(x)g(y)y'=f(x)g(y)、y(x0)=y0y(x_0)=y_0 の解である。
  2. (ψ,I1)(\psi,I_1) をこの初期値問題の任意の解とすると、I1∩I0I_1\cap I_0 上で ψ=φ\psi=\varphi である。

証明の方針です。(1) は連鎖律で確かめるだけです。(2) は、解 ψ\psi と φ\varphi が一致する xx の集まりを AA とし、AA が x0x_0 を含み、しかも「閉」でも「開」でもあることを示します。区間のようにつながった集合では、空でなく開かつ閉な部分集合は全体しかない(途中で途切れて別の部分に分かれることがない)ので、AA は区間全体になります。

証明(定理 3.1)

gg は J0J_0 上で連続かつ零点を持たず、J0J_0 は区間なので中間値の定理より符号が一定です。よって G′=1/gG'=1/g は J0J_0 上で連続かつ符号一定、GG は C1C^1 級の狭義単調関数で、像 G(J0)G(J_0) は 00 を含む開区間であり、逆関数 G−1:G(J0)→J0G^{-1}:G(J_0)\to J_0 も C1C^1 級で (G−1)′=g∘G−1(G^{-1})'=g\circ G^{-1} です(逆関数の微分(命題 8.1)[導関数の定義と基本的な微分法])。FF は 微積分学の基本定理(定理 5.2)[積分の基本定理と定積分] により C1C^1 級で F′=fF'=f です。

(1) x∈I0x\in I_0 で F(x)∈G(J0)F(x)\in G(J_0) なので φ(x)=G−1(F(x))\varphi(x)=G^{-1}(F(x)) が定義され、連鎖律により

φ′(x)=(G−1)′(F(x)) F′(x)=g(φ(x)) f(x)\varphi'(x)=(G^{-1})'(F(x))\,F'(x)=g(\varphi(x))\,f(x)

です。φ(x0)=G−1(0)=y0\varphi(x_0)=G^{-1}(0)=y_0 も成り立ちます。

(2) (ψ,I1)(\psi,I_1) を解とし、I2=I1∩I0I_2=I_1\cap I_0(x0x_0 を含む区間)上で A={x∈I2:ψ(x)=φ(x)}A=\{x\in I_2:\psi(x)=\varphi(x)\} とおきます。x0∈Ax_0\in A で、ψ,φ\psi,\varphi は連続なので AA は I2I_2 の閉部分集合です。

AA が I2I_2 の開部分集合でもあることを示します。x1∈Ax_1\in A とすると ψ(x1)=φ(x1)∈J0\psi(x_1)=\varphi(x_1)\in J_0 で、ψ\psi の連続性から x1x_1 を含む I2I_2 の区間 UU 上で ψ∈J0\psi\in J_0 です。UU 上で G∘ψG\circ\psi は微分可能で

(G∘ψ)′(x)=ψ′(x)g(ψ(x))=f(x)=F′(x)(G\circ\psi)'(x)=\frac{\psi'(x)}{g(\psi(x))}=f(x)=F'(x)

ですから、補題 2.2 により G∘ψ−FG\circ\psi-F は UU 上で定数です。x1x_1 での値は G(φ(x1))−F(x1)=0G(\varphi(x_1))-F(x_1)=0 なので、G(ψ)=F=G(φ)G(\psi)=F=G(\varphi) が UU 上で成り立ち、GG が単射であることから ψ=φ\psi=\varphi が UU 上で成り立ちます。ゆえに U⊂AU\subset A です。

I2I_2 は区間(連結)ですから、空でない開かつ閉な部分集合 AA は I2I_2 全体に一致します。

定理が述べる範囲を超えたところ、つまり解が J0J_0 の端点に達したところで何が起こるかは、次の 2 つの例で分かります。

例 3.2(ロジスティック方程式)

y′=y(1−y)y'=y(1-y)、y(0)=y0∈(0,1)y(0)=y_0\in(0,1) を考えます。g(y)=y(1−y)g(y)=y(1-y) は J0=(0,1)J_0=(0,1) で零点を持たず、

G(y)=∫y0ydηη(1−η)=log⁡y1−y−log⁡y01−y0,F(x)=xG(y)=\int_{y_0}^{y}\frac{d\eta}{\eta(1-\eta)}=\log\frac{y}{1-y}-\log\frac{y_0}{1-y_0},\qquad F(x)=x

です。G(y)=xG(y)=x を yy について解くと

φ(x)=11+1−y0y0e−x\varphi(x)=\frac{1}{1+\dfrac{1-y_0}{y_0}e^{-x}}

で、G(J0)=RG(J_0)=\mathbb{R} なので I0=RI_0=\mathbb{R}、解は全実数直線で存在します。x→∞x\to\infty で 11、x→−∞x\to-\infty で 00 に近づきますが、到達はしません。y≡0y\equiv0 と y≡1y\equiv1 も(gg の零点に対応する定数)解であり、φ\varphi はそれらの間に挟まれた解です。

例 3.3(有限時間で発散する解)

y′=y2y'=y^2、y(0)=y0>0y(0)=y_0>0 では J0=(0,∞)J_0=(0,\infty)、G(y)=1y0−1yG(y)=\dfrac1{y_0}-\dfrac1y で、G(J0)=(−∞,1/y0)G(J_0)=(-\infty,1/y_0) です。G(y)=xG(y)=x を解いて

φ(x)=y01−y0x,I0=(−∞,1y0)\varphi(x)=\frac{y_0}{1-y_0x},\qquad I_0=\left(-\infty,\frac1{y_0}\right)

です。x→1/y0x\to1/y_0 で φ→∞\varphi\to\infty となり、解はそれ以上延びません。右辺 y2y^2 はどんなになめらかでも、解は全実数直線では存在しないのです。1 階線形方程式(次節)との決定的な違いです。

例 3.4(一意性が壊れる例)

y′=3y2/3y'=3y^{2/3}、y(0)=0y(0)=0 では g(y)=3y2/3g(y)=3y^{2/3} が y0=0y_0=0 で零点を持つので 定理 3.1 は使えません。実際、y≡0y\equiv0 も、y=x3y=x^3 も解です。さらに、a≤0≤ba\le0\le b を任意にとり

φa,b(x)={(x−a)3(x<a)0(a≤x≤b)(x−b)3(x>b)\varphi_{a,b}(x)=\begin{cases}(x-a)^3&(x<a)\\0&(a\le x\le b)\\(x-b)^3&(x>b)\end{cases}

とおくと、φa,b\varphi_{a,b} は C1C^1 級で(接続点で導関数が 00 に一致する)、φa,b′=3φa,b2/3\varphi_{a,b}'=3\varphi_{a,b}^{2/3} を満たします。(x−a)3(x-a)^3 の 2/32/3 乗は (x−a)2(x-a)^2 だからです。つまり原点を通る解が連続無限個あります。この現象は gg が 00 の近くで Lipschitz 連続でないことに起因します(第 2 章)。

この例の解を図に描くと図 2 のようになります。原点で y=0y=0 に沿って好きなだけ留まってから、y=(x−b)3y=(x-b)^3 に乗り移れます。

xyy = x³a = −1、b = 1 の解
図 2. y' = 3y^(2/3)、y(0) = 0 の解。太線は y = x³(a = b = 0)、細線は a = −1、b = 1 の φ。x 軸上の平らな部分から立ち上がる点を自由に選べる。

定義 4.1(1 階線形方程式)↗

p,qp,q を区間 II 上の連続関数とするとき、

y′+p(x) y=q(x)(L)y'+p(x)\,y=q(x)\tag{L}

を(1 階)線形方程式という。q≡0q\equiv0 のとき斉次、そうでないとき非斉次という。

定理 4.2(1 階線形方程式の解の公式)✓

II を開区間、p,q:I→Rp,q:I\to\mathbb{R} を連続とし、x0∈Ix_0\in I、P(x)=∫x0xp(s) dsP(x)=\displaystyle\int_{x_0}^{x}p(s)\,ds とおく。任意の y0∈Ry_0\in\mathbb{R} に対し、初期値問題 (L)、y(x0)=y0y(x_0)=y_0 は II 全体で定義された解をただ 1 つ持ち、それは

y(x)=e−P(x)(y0+∫x0xeP(s)q(s) ds)y(x)=e^{-P(x)}\left(y_0+\int_{x_0}^{x}e^{P(s)}q(s)\,ds\right)

で与えられる。

証明(定理 4.2)

PP は C1C^1 級で P′=pP'=p です。μ=eP\mu=e^{P} を積分因子とすると μ′=pμ\mu'=p\mu で、任意の C1C^1 級関数 yy について

(μy)′=μ(y′+py)(\mu y)'=\mu(y'+py)

です。したがって yy が (L) の解であることは、(μy)′=μq(\mu y)'=\mu q と同値です(μ>0\mu>0 なので同値)。

(存在) 上の公式の yy に対して μy=y0+∫x0xμq ds\mu y=y_0+\int_{x_0}^x\mu q\,ds で、右辺は 基本定理(定理 5.2)[積分の基本定理と定積分] により C1C^1 級、微分は μq\mu q です。よって yy は II 上の解で、y(x0)=y0y(x_0)=y_0 です。

(一意性) y1,y2y_1,y_2 を I′⊂II'\subset I 上の 2 つの解(x0∈I′x_0\in I')とすると、h=μ(y1−y2)h=\mu(y_1-y_2) は h′=μ⋅0=0h'=\mu\cdot 0=0 を満たし、補題 2.2 により定数、h(x0)=0h(x_0)=0 から y1=y2y_1=y_2 です。

この定理が教えているのは、線形方程式の解は係数が定義された区間をはみ出さずに存在するということです。例 3.3 のような有限時間発散は、右辺が yy について非線形のときにだけ起こります。

例 4.3(図 1 の方程式)

y′+y=xy'+y=x では p=1p=1、q=xq=x、x0=0x_0=0 とすると P=xP=x で

y(x)=e−x(y0+∫0xses ds)=e−x(y0+(x−1)ex+1)=x−1+(y0+1)e−xy(x)=e^{-x}\left(y_0+\int_0^x se^{s}\,ds\right)=e^{-x}\bigl(y_0+(x-1)e^{x}+1\bigr)=x-1+(y_0+1)e^{-x}

です。部分積分 ∫ses ds=(s−1)es\int se^s\,ds=(s-1)e^s を使いました。これは図 1 の族 y=x−1+Ce−xy=x-1+Ce^{-x}(C=y0+1C=y_0+1)です。

命題 4.4(Bernoulli 方程式)✓

p,qp,q を区間 II 上で連続、α≠0,1\alpha\ne0,1 とする。方程式 y′+p(x)y=q(x)yαy'+p(x)y=q(x)y^{\alpha} の y>0y>0 なる解 yy に対し、z=y1−αz=y^{1-\alpha} は線形方程式 z′+(1−α)p(x)z=(1−α)q(x)z'+(1-\alpha)p(x)z=(1-\alpha)q(x) を満たす。逆に、この線形方程式の正値解 zz から y=z1/(1−α)y=z^{1/(1-\alpha)} が元の方程式の解を与える。

証明(命題 4.4)

y>0y>0 のとき z′=(1−α)y−αy′=(1−α)y−α(qyα−py)=(1−α)q−(1−α)pzz'=(1-\alpha)y^{-\alpha}y'=(1-\alpha)y^{-\alpha}(q y^{\alpha}-py)=(1-\alpha)q-(1-\alpha)pz で、第 1 の主張が従います。z>0z>0 のとき y=z1/(1−α)y=z^{1/(1-\alpha)} は C1C^1 級で、同じ計算を逆にたどれば元の方程式が従います。

y′=−M(x,y)/N(x,y)y'=-M(x,y)/N(x,y) という形を、対称な書き方で M dx+N dy=0M\,dx+N\,dy=0 とも書きます。この書き方の利点は、xx と yy の役割が対等になることです。M,NM,N は開集合 D⊂R2D\subset\mathbb{R}^2 上の連続関数とし、方程式 M dx+N dy=0M\,dx+N\,dy=0 の解とは、C1C^1 級関数 y=φ(x)y=\varphi(x) で M(x,φ)+N(x,φ)φ′=0M(x,\varphi)+N(x,\varphi)\varphi'=0 を満たすものをいいます。

定義 5.1(完全微分方程式)↗

M dx+N dy=0M\,dx+N\,dy=0 が完全であるとは、DD 上の C1C^1 級関数 FF で Fx=MF_x=M、Fy=NF_y=N を満たすもの(ポテンシャル)が存在することをいう。

命題 5.2(ポテンシャルの等位線が解曲線)✓

FF を完全微分方程式のポテンシャルとする。

  1. y=φ(x)y=\varphi(x) が解なら、F(x,φ(x))F(x,\varphi(x)) は定数である。
  2. (x0,y0)∈D(x_0,y_0)\in D で N(x0,y0)≠0N(x_0,y_0)\ne0 なら、F(x,y)=F(x0,y0)F(x,y)=F(x_0,y_0) は x0x_0 の近傍で yy を xx の C1C^1 級関数 φ\varphi として定め、φ\varphi は φ(x0)=y0\varphi(x_0)=y_0 の解である。
証明(命題 5.2)

(1) FF は C1C^1 級なので全微分可能です(定理 4.5[多変数関数の微分と偏微分])。連鎖律(定理 6.1[多変数関数の微分と偏微分])より

ddxF(x,φ(x))=Fx+Fyφ′=M+Nφ′=0\frac{d}{dx}F(x,\varphi(x))=F_x+F_y\varphi'=M+N\varphi'=0

で、補題 2.2 から定数です。

(2) Fy(x0,y0)=N(x0,y0)≠0F_y(x_0,y_0)=N(x_0,y_0)\ne0 なので、陰関数定理(定理 5.1)[逆関数定理・陰関数定理と条件付き極値] から C1C^1 級の φ\varphi で F(x,φ(x))=F(x0,y0)F(x,\varphi(x))=F(x_0,y_0)、φ(x0)=y0\varphi(x_0)=y_0、φ′=−Fx/Fy=−M/N\varphi'=-F_x/F_y=-M/N となるものが存在します。これは M+Nφ′=0M+N\varphi'=0 です。

では、どんなときに完全でしょうか。長方形上では判定が完全に与えられます。

次の補題は、次の定理の証明で FyF_y を計算するとき、微分と積分の順序を入れ替えてよいことを保証するためのものです。

補題 5.3(積分記号下の微分)✓

K:[a,b]×[c,d]→RK:[a,b]\times[c,d]\to\mathbb{R} と ∂yK\partial_yK が連続なら、H(y)=∫abK(s,y) dsH(y)=\int_a^bK(s,y)\,ds は [c,d][c,d] 上 C1C^1 級で H′(y)=∫ab∂yK(s,y) dsH'(y)=\int_a^b\partial_yK(s,y)\,ds である。

証明(補題 5.3)

ε>0\varepsilon>0 をとります。∂yK\partial_yK は閉長方形上で連続なので、補題 2.3 により一様連続で、∣ξ−y∣<δ|\xi-y|<\delta ならすべての ss について ∣∂yK(s,ξ)−∂yK(s,y)∣<ε|\partial_yK(s,\xi)-\partial_yK(s,y)|<\varepsilon となる δ>0\delta>0 があります。0<∣h∣<δ0<|h|<\delta のとき、平均値の定理(定理 3.3[平均値の定理とテイラーの定理])により各 ss で K(s,y+h)−K(s,y)=h ∂yK(s,ξs)K(s,y+h)-K(s,y)=h\,\partial_yK(s,\xi_s)(ξs\xi_s は yy と y+hy+h の間)なので

∣H(y+h)−H(y)h−∫ab∂yK(s,y) ds∣≤∫ab∣∂yK(s,ξs)−∂yK(s,y)∣ ds≤ε(b−a)\left|\frac{H(y+h)-H(y)}{h}-\int_a^b\partial_yK(s,y)\,ds\right|\le\int_a^b\bigl|\partial_yK(s,\xi_s)-\partial_yK(s,y)\bigr|\,ds\le\varepsilon(b-a)

です。これで微分可能性と公式が示されました。∫ab∂yK(s,y) ds\int_a^b\partial_yK(s,y)\,ds が yy の連続関数であることも、同じ一様連続性から従います。

定理 5.4(完全性の判定条件)✓

D=I×JD=I\times J(開区間の直積)、M,N∈C1(D)M,N\in C^1(D) とする。M dx+N dy=0M\,dx+N\,dy=0 が完全であることと、DD 上で My=NxM_y=N_x が成り立つことは同値である。

証明(定理 5.4)

(⇒\Rightarrow) Fx=MF_x=M、Fy=NF_y=N が C1C^1 なので、FF は C2C^2 級で、シュワルツの定理(定理 7.1)[多変数関数の微分と偏微分] により My=Fxy=Fyx=NxM_y=F_{xy}=F_{yx}=N_x です。

(⇐\Leftarrow) (x0,y0)∈D(x_0,y_0)\in D を固定し

F(x,y)=∫x0xM(s,y) ds+∫y0yN(x0,t) dtF(x,y)=\int_{x_0}^{x}M(s,y)\,ds+\int_{y_0}^{y}N(x_0,t)\,dt

とおきます。第 1 項は xx について基本定理から Fx=M(x,y)F_x=M(x,y) で、第 2 項は xx によりません。yy での偏微分は、補題 5.3 と My=NxM_y=N_x から

Fy=∫x0xMy(s,y) ds+N(x0,y)=∫x0xNx(s,y) ds+N(x0,y)=N(x,y)F_y=\int_{x_0}^{x}M_y(s,y)\,ds+N(x_0,y)=\int_{x_0}^{x}N_x(s,y)\,ds+N(x_0,y)=N(x,y)

です。Fx,FyF_x,F_y は連続なので F∈C1F\in C^1、ポテンシャルが得られました。

My≠NxM_y\ne N_x のとき、積分因子 μ(x,y)≠0\mu(x,y)\ne0(C1C^1 級)を掛けて μM dx+μN dy=0\mu M\,dx+\mu N\,dy=0 が完全になれば解けます。μ≠0\mu\ne0 なので、解の集合は元の方程式と同じです。

この条件の出どころは次のとおりです。μ(x)\mu(x) を掛けて完全にしたいので、(μM)y=(μN)x(\mu M)_y=(\mu N)_x が欲しいのですが、右辺は μ′N+μNx\mu'N+\mu N_x と展開されます。これが μMy\mu M_y に等しくなるには μ′/μ=(My−Nx)/N\mu'/\mu=(M_y-N_x)/N であればよく、この右辺が xx だけの関数なら μ\mu が求まります。

命題 5.5(積分因子の見つけ方)✓

D=I×JD=I\times J 上の C1C^1 級関数 M,NM,N について、NN がどこでも 00 でなく、ρ=(My−Nx)/N\rho=(M_y-N_x)/N が xx だけの連続関数なら、μ(x)=exp⁡(∫xρ(s) ds)\mu(x)=\exp\left(\int^x\rho(s)\,ds\right) は積分因子である。同様に M≠0M\ne0 で σ=(Nx−My)/M\sigma=(N_x-M_y)/M が yy だけの連続関数なら μ(y)=exp⁡(∫yσ(t) dt)\mu(y)=\exp\left(\int^y\sigma(t)\,dt\right) が積分因子である。

証明(命題 5.5)

前半だけ示します(後半は x,yx,y の役割を入れ替えるだけです)。μ=μ(x)\mu=\mu(x) は C1C^1 級で μ′=ρμ\mu'=\rho\mu です。(μM)y=μMy(\mu M)_y=\mu M_y、(μN)x=μ′N+μNx=μ(ρN+Nx)=μMy(\mu N)_x=\mu'N+\mu N_x=\mu(\rho N+N_x)=\mu M_y なので (μM)y=(μN)x(\mu M)_y=(\mu N)_x で、定理 5.4 から μM dx+μN dy=0\mu M\,dx+\mu N\,dy=0 は完全です。

1 階線形方程式 y′+p(x)y=q(x)y'+p(x)y=q(x) を (py−q) dx+dy=0(p y-q)\,dx+dy=0 と書くと、M=py−qM=py-q、N=1N=1 で ρ=(My−Nx)/N=p\rho=(M_y-N_x)/N=p です。命題 5.5 の積分因子は eP(x)e^{P(x)} で、定理 4.2 の積分因子と一致します。1 階線形は積分因子の特別な場合でした。

例 5.6(積分因子で解く)

(x2+y2+x) dx+xy dy=0(x^2+y^2+x)\,dx+xy\,dy=0。My=2yM_y=2y、Nx=yN_x=y で完全ではありません。ρ=(2y−y)/(xy)=1/x\rho=(2y-y)/(xy)=1/x は xx だけの関数なので μ=x\mu=x(x>0x>0 で考える)です。x(x2+y2+x) dx+x2y dy=0x(x^2+y^2+x)\,dx+x^2y\,dy=0 のポテンシャルは

F(x,y)=x44+x33+x2y22F(x,y)=\frac{x^4}4+\frac{x^3}3+\frac{x^2y^2}2

で、Fx=x3+x2+xy2F_x=x^3+x^2+xy^2、Fy=x2yF_y=x^2y を確かめられます。解曲線は F(x,y)=CF(x,y)=C です。

別の例として y dx−x dy=0y\,dx-x\,dy=0 は ρ=−2/x\rho=-2/x で μ=x−2\mu=x^{-2} をとると、F=−y/xF=-y/x がポテンシャルになり、解は y=Cxy=Cx です。

ここまで見たように、解は「ある区間」で定義されるのでした。そこで、解を延ばせるだけ延ばす操作を定式化します。以下 D⊂R2D\subset\mathbb{R}^2 は開集合、f:D→Rf:D\to\mathbb{R} は連続とします。

定義 6.1(延長と最大解)↗

(φ,I)(\varphi,I) と (ψ,J)(\psi,J) を (E) の解とする。I⊂JI\subset J かつ ψ∣I=φ\psi|_I=\varphi のとき、ψ\psi を φ\varphi の延長という。φ\varphi 自身以外に延長を持たない解を最大解という。

最大解の存在と一意性は、次の 2 つの性質で決まります。(E) は「どの点を通る解もあること」、(U) は「1 点で値が一致した 2 つの解は、重なる区間全体で一致すること」(一意性)で、第 2 章の定理で保証される内容を、ここでは仮定として置きます。

  • (E) 任意の点 (x0,y0)∈D(x_0,y_0)\in D を通る解(有限長でよい)が存在する。
  • (U) 2 つの解が区間内の 1 点で値が一致するなら、共通の区間全体で一致する。

(E) は連続性だけから常に成り立ちます(Peano の定理、第 2 章)。(U) は ff が yy について Lipschitz 連続のときに成り立ちます(第 2 章の Gronwall の不等式による)。この記事では (E)、(U) を仮定します。例 3.2、例 3.3 の f=y(1−y)f=y(1-y)、y2y^2 や、線形方程式では両方成り立つことを、すでに具体的な公式で確かめています。

定理 6.2(最大解の存在と一意性)✓

(E) と (U) を仮定する。任意の (x0,y0)∈D(x_0,y_0)\in D に対し、φ(x0)=y0\varphi(x_0)=y_0 を満たす最大解 (φ,Imax⁡)(\varphi,I_{\max}) がただ 1 つ存在し、Imax⁡I_{\max} は開区間である。さらに、(x0,y0)(x_0,y_0) を通る任意の解は φ\varphi の制限である。

証明(定理 6.2)

(x0,y0)(x_0,y_0) を通る解全体を S\mathcal{S} とします。(E) より S≠∅\mathcal{S}\ne\emptyset です。S\mathcal{S} の元 (ψλ,Iλ)(\psi_\lambda,I_\lambda) の区間の和集合を Imax⁡=⋃IλI_{\max}=\bigcup I_\lambda とします(x0x_0 を共有する区間の和なので区間)。x∈Iλ∩Iμx\in I_\lambda\cap I_\mu では (U) より ψλ(x)=ψμ(x)\psi_\lambda(x)=\psi_\mu(x) ですから、φ(x)=ψλ(x)\varphi(x)=\psi_\lambda(x)(x∈Iλx\in I_\lambda)で φ\varphi が矛盾なく定まり、各点の近くで ψλ\psi_\lambda と一致するので C1C^1 級の解です。S\mathcal{S} のどの解も φ\varphi の制限で、φ\varphi は最大解です。別の最大解 φ~∈S\tilde\varphi\in\mathcal{S} があれば φ\varphi の制限なので、最大性より φ~=φ\tilde\varphi=\varphi です。

Imax⁡I_{\max} が開区間であることを示します。cc を Imax⁡I_{\max} に属する端点とすると、(E) より (c,φ(c))(c,\varphi(c)) を通る解 (χ,(c−δ,c+δ))(\chi,(c-\delta,c+\delta)) が存在します(一般の区間でよい)。cc で φ=χ\varphi=\chi ですから、(U) により共通部分で一致し、貼り合わせた関数は cc をまたいで C1C^1 級の解になります。これは φ\varphi の延長で、Imax⁡I_{\max} より真に大きい区間上の解を作ってしまうので矛盾です。

(U) が成り立たないと、最大解は一意ではなくなります。例 3.4 の φa,b\varphi_{a,b} は、a→−∞a\to-\infty、b→∞b\to\infty の極限(定数関数 00)も含めて、原点を通る無数の最大解を与えています。逆に (U) を保証するために、ff にどんな仮定が必要かが第 2 章の主題です。

例 6.3(最大解の区間は初期値に依存する)

y′=y2y'=y^2 の最大解は、y0=0y_0=0 なら R\mathbb{R} 上の y≡0y\equiv0、y0>0y_0>0 なら 例 3.3 の (−∞,1/y0)(-\infty,1/y_0) 上の y0/(1−y0x)y_0/(1-y_0x)、y0<0y_0<0 なら同じ公式で区間 (1/y0,∞)(1/y_0,\infty) です。区間の端点は初期値で動き、最大解が発散する xx は一定ではありません。右辺が xx にも yy にも陽に依存しない自励系でも、最大解の区間は初期値によって変わります。

最大解の区間が R\mathbb{R} より小さいとき、解は区間の端で何をしているのでしょうか。y′=y2y'=y^2 では ∣y∣→∞|y|\to\infty でした。一般には、解のグラフが DD の任意のコンパクト集合から脱出することが第 2 章で示されます。解が「止まる」ことはありません。

演習 7.1易

y′=2x(1+y2)y'=2x(1+y^2)、y(0)=0y(0)=0 の最大解を求め、その区間を答えよ。

解答

g(y)=1+y2g(y)=1+y^2 は零点を持たず J0=RJ_0=\mathbb{R} です。G(y)=arctan⁡yG(y)=\arctan y、F(x)=x2F(x)=x^2 で、G(J0)=(−π/2,π/2)G(J_0)=(-\pi/2,\pi/2) ですから、I0={x:x2<π/2}=(−π/2,π/2)I_0=\{x:x^2<\pi/2\}=(-\sqrt{\pi/2},\sqrt{\pi/2}) です。解は φ(x)=tan⁡(x2)\varphi(x)=\tan(x^2) で、∣x∣→π/2|x|\to\sqrt{\pi/2} で ∣φ∣→∞|\varphi|\to\infty となるので、これが最大解です。右辺 2x(1+y2)2x(1+y^2) は R2\mathbb{R}^2 全体でなめらかなのに、解は有限の xx で発散します。

演習 7.2標準

x>0x>0 で y′+2xy=xy'+\dfrac2xy=x、y(1)=0y(1)=0 を解き、解が存在する最大の区間を答えよ。

解答

p=2/xp=2/x、q=xq=x は I=(0,∞)I=(0,\infty) 上で連続です。x0=1x_0=1 とすると P=2log⁡xP=2\log x、eP=x2e^{P}=x^2 で、定理 4.2 から

y=1x2∫1xs2⋅s ds=x4−14x2=x24−14x2y=\frac1{x^2}\int_1^xs^2\cdot s\,ds=\frac{x^4-1}{4x^2}=\frac{x^2}4-\frac1{4x^2}

です。解は I=(0,∞)I=(0,\infty) 全体で存在します。x→0+x\to0^+ では −∞-\infty に発散しますが、これは係数 p=2/xp=2/x が x=0x=0 で連続でなく、x=0x=0 が II の端点であることの反映です。

演習 7.3標準

y′+y=y2y'+y=y^2、y(0)=y0y(0)=y_0 の最大解を、y0>0y_0>0 の場合に求め、最大解の区間が y0y_0 に応じてどう変わるか述べよ。(ヒント:命題 4.4 で α=2\alpha=2。)

解答

z=y−1z=y^{-1} とすると z′−z=−1z'-z=-1 です。定理 4.2 から z=1+(z0−1)exz=1+(z_0-1)e^{x}(z0=1/y0z_0=1/y_0)で、y=1/(1+(1/y0−1)ex)y=1/(1+(1/y_0-1)e^{x}) です。

  • y0=1y_0=1 なら y≡1y\equiv1 で最大解は R\mathbb{R} 上。
  • 0<y0<10<y_0<1 なら 1/y0−1>01/y_0-1>0 で分母は常に正、最大解は R\mathbb{R} 上です。
  • y0>1y_0>1 なら 1/y0−1<01/y_0-1<0 で、分母が 00 になる x=log⁡y0y0−1x=\log\dfrac{y_0}{y_0-1} で発散し、最大解の区間は (−∞,log⁡y0y0−1)\left(-\infty,\log\dfrac{y_0}{y_0-1}\right) です。
  • 笠原晧司『微分方程式の基礎』朝倉書店、1982 — 第 1 章(初等解法)。
  • 高橋陽一郎『微分方程式入門』東京大学出版会、1988 — 1 階方程式と解の概念。
  • 吉田耕作・加藤敏夫『大学演習 常微分方程式』裳華房 — 初等解法の演習。
  • V. I. Arnold, Ordinary Differential Equations, Springer, 1992 — Chapter 1(方向場と解の概念)。
  • P. Hartman, Ordinary Differential Equations, SIAM, 2002 — Chapter I(解の延長と最大区間)。

このテーマの 100 本ノック(50 問)

執筆: Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 2 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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