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共線と共点の名定理:Desargues・Pappus・Pascal・Brianchon・複比・Newton–Gauss 線・Morley

対象読者: 本テーマの反転の章と三角形の五心の章(Menelaus の定理)、円の方べきの定理を学んだ人。射影幾何は仮定せず、ベクトルの 1 次従属を知っていれば読めます。

前提となる記事:反転:円と直線を区別しない見方と、Feuerbach・円鎖・Descartes・Monge の定理、三角形の五心とチェバ・メネラウスの定理:重心座標と符号付き面積で示す

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地図の上で、3 つの地点が 1 本の道の上に並んでいるか、3 本の道が 1 点で交わっているか。こうした「並び方」の性質は、長さや角を測らなくても決まることがあります。この章では、その代表的な定理(Desargues、Pappus、Pascal など)を、計算で一つずつ確かめていきます。読み終えると、「3 点が一直線上にある」ことを「ある式の値が 0 になる」ことに置き換えて示す方法が使えるようになります。

  • 「3 点が一直線上にある」を、零にならないアフィン関数(座標の 1 次式のこと)の零点集合に 3 点が乗っている、と言い換えます。すると Desargues の定理は、3 つの値を指定したアフィン関数を 1 つ作るだけの証明になります(定理 3.1)。
  • Pappus の六角形定理は、座標の逆数を使うと「3 本のベクトルが 1 次従属」に帰着します(定理 3.2)。
  • Pascal の定理(円に内接する六角形の対辺の交点は共線)は、Menelaus の定理(三角形の五心の章)と方べきの定理(円の幾何の章)から出ます(定理 4.1)。Brianchon の定理は、極と極線の対応で Pascal の定理を「双対」(点と直線の役割を入れ替えること)にしたものです(定理 4.3)。
  • 4 点の複比(直線上の 4 点の位置関係を表す 1 つの数)は、中心射影(1 点から見て別の直線に写すこと)で変わりません(定理 5.2)。これが射影幾何の最初の定理です。
  • 完全四辺形(四角形の 4 辺を延長してできる図形)の 3 本の対角線の中点が一直線上にある Newton–Gauss 線(定理 5.3)と、三角形の角の三等分線がつくる正三角形(Morley の定理、定理 6.2)も証明します。

これまでの章の定理は、長さと角を使うものが大半でした。この章の定理(Desargues・Pappus・Pascal・Brianchon)は、点が共線であること、直線が共点であることだけを述べます。長さも角も使わないので、座標平面を平行移動・回転・拡大・せん断で動かしても(実はもっと一般の射影変換でも)成り立ちます。「定理が成り立つ」ことの本質が、距離とは別のところにあることが見えてきます。

この章の道具は 2 つです。

  1. アフィン関数。f(x)=λ⋅x+μf(\boldsymbol x)=\boldsymbol\lambda\cdot\boldsymbol x+\mu(λ≠0\boldsymbol\lambda\ne\boldsymbol 0)の零点集合は直線で、逆に直線はこの形の零点集合です。3 点が共線であることを示すには、3 点で 00 になるアフィン関数を 1 つ見つければよい。
  2. 斉次座標。点 (x,y)(x,y) を 3 つ組 (h1,h2,h3)(h_1,h_2,h_3)(x=h1/h3x=h_1/h_3、y=h2/h3y=h_2/h_3)で表すと、3 点が共線であることは、3 つの 3 つ組が 1 次従属であることの言い換えになります。

この節の補題は、次の節の Desargues の定理の証明で使う道具です。「直線は 1 次式が 0 になる点の集まり」「3 点での値を決めれば 1 次式がただ 1 つ決まる」「値は結合に対してそのまま計算できる」の 3 点がそろえば、3 点が共線であることを「1 次式の値が 0」で示せます。

補題 2.1(アフィン関数と直線)✓

  1. λ≠0\boldsymbol\lambda\ne\boldsymbol 0 のとき、{x∣λ⋅x+μ=0}\{\boldsymbol x\mid\boldsymbol\lambda\cdot\boldsymbol x+\mu=0\} は直線である。逆に、すべての直線はこの形である。
  2. 一直線上にない 3 点 A,B,CA,B,C と任意の実数 u,v,wu,v,w に対し、f(A)=uf(A)=u、f(B)=vf(B)=v、f(C)=wf(C)=w を満たすアフィン関数 f(x)=λ⋅x+μf(\boldsymbol x)=\boldsymbol\lambda\cdot\boldsymbol x+\mu がただ 1 つ存在する。
  3. アフィン関数 ff は、係数の和が 11 の結合に対して f(∑tipi)=∑tif(pi)f\bigl(\sum t_i\boldsymbol p_i\bigr)=\sum t_if(\boldsymbol p_i)(∑ti=1\sum t_i=1)を満たす。
  4. 3 点が共線であるための十分条件は、それらすべてで 00 になる定数でないアフィン関数があることである。
証明(補題 2.1)

1: 前章の 命題 5.5[平面ベクトルと座標] の 2 から、λ≠0\boldsymbol\lambda\ne\boldsymbol 0 のときの零点集合は直線(a=−μλ/∣λ∣2\boldsymbol a=-\mu\boldsymbol\lambda/|\boldsymbol\lambda|^2 が零点)である。逆に直線は同じ命題の 1 により {x∣det⁡(d,x−a)=0}\{\boldsymbol x\mid\det(\boldsymbol d,\boldsymbol x-\boldsymbol a)=0\} と書け、det⁡(d,x−a)\det(\boldsymbol d,\boldsymbol x-\boldsymbol a) は x\boldsymbol x のアフィン関数(係数ベクトルは d≠0\boldsymbol d\ne\boldsymbol 0 を 90∘90^\circ 回転したもの)である。2: f(B)−f(A)=λ⋅(b−a)f(B)-f(A)=\boldsymbol\lambda\cdot(\boldsymbol b-\boldsymbol a)、f(C)−f(A)=λ⋅(c−a)f(C)-f(A)=\boldsymbol\lambda\cdot(\boldsymbol c-\boldsymbol a) を λ\boldsymbol\lambda の成分についての連立 1 次方程式と見ると、係数行列の行列式は det⁡(b−a,c−a)≠0\det(\boldsymbol b-\boldsymbol a,\boldsymbol c-\boldsymbol a)\ne0 なので解がただ 1 つあり(命題 3.1[平面ベクトルと座標])、μ=u−λ⋅a\mu=u-\boldsymbol\lambda\cdot\boldsymbol a。3: f(∑tipi)=λ⋅∑tipi+μ∑ti=∑ti(λ⋅pi+μ)f\bigl(\sum t_i\boldsymbol p_i\bigr)=\boldsymbol\lambda\cdot\sum t_i\boldsymbol p_i+\mu\sum t_i=\sum t_i(\boldsymbol\lambda\cdot\boldsymbol p_i+\mu)。4: 1 による。

3. Desargues の定理と Pappus の六角形定理

Section titled “3. Desargues の定理と Pappus の六角形定理”

定理 3.1(Desargues の定理)✓

三角形 ABCABC と A′B′C′A'B'C' が、点 OO から見て透視的である、すなわち a′−o=α(a−o)\boldsymbol a'-\boldsymbol o=\alpha(\boldsymbol a-\boldsymbol o)、b′−o=β(b−o)\boldsymbol b'-\boldsymbol o=\beta(\boldsymbol b-\boldsymbol o)、c′−o=γ(c−o)\boldsymbol c'-\boldsymbol o=\gamma(\boldsymbol c-\boldsymbol o) を満たすとする(α,β,γ≠0,1\alpha,\beta,\gamma\ne0,1、OO は直線 AB,BC,CAAB,BC,CA の上にない)。対応する辺の延長が交わるとする。すなわち α≠β\alpha\ne\beta、β≠γ\beta\ne\gamma、γ≠α\gamma\ne\alpha で、直線 ABAB と A′B′A'B' の交点 PP、BCBC と B′C′B'C' の交点 QQ、CACA と C′A′C'A' の交点 RR が存在するとする。このとき P,Q,RP,Q,R は一直線上にある。

OABCA’B’C’PQR
Desargues の定理の一例。点 O から出る 3 本の半直線上に、三角形 ABC と A'B'C' の頂点が乗っている。対応する辺の延長の交点 P, Q, R は一直線(太い点線)に乗る

証明の方針は次のとおりです。P, Q, R は 2 直線の交点なので、まず A, B, C の「結合」(係数の和が 1 の組み合わせ)として書き表します。次に、3 点すべてで 0 になる 1 次式を 1 つ作れば、補題により共線がいえます。1 次式の値を 1−αα\tfrac{1-\alpha}{\alpha} などに選ぶのは、P の式に代入したとき分子がちょうど打ち消し合うようにするためです。

証明(定理 3.1)

OO を原点にとる。OO は直線 ABAB 上にないので a,b\boldsymbol a,\boldsymbol b は 1 次独立で、P=(1−t)A+tB=(1−u)A′+uB′=(1−u)αA+uβBP=(1-t)A+tB=(1-u)A'+uB'=(1-u)\alpha A+u\beta B の係数を比べる(命題 3.1[平面ベクトルと座標])と 1−t=(1−u)α1-t=(1-u)\alpha、t=uβt=u\beta で、u=α−1α−βu=\dfrac{\alpha-1}{\alpha-\beta}、t=β(α−1)α−βt=\dfrac{\beta(\alpha-1)}{\alpha-\beta}。したがって

P=α(1−β) A−β(1−α) Bα−β,Q=β(1−γ) B−γ(1−β) Cβ−γ,R=γ(1−α) C−α(1−γ) Aγ−αP=\frac{\alpha(1-\beta)\,A-\beta(1-\alpha)\,B}{\alpha-\beta},\qquad Q=\frac{\beta(1-\gamma)\,B-\gamma(1-\beta)\,C}{\beta-\gamma},\qquad R=\frac{\gamma(1-\alpha)\,C-\alpha(1-\gamma)\,A}{\gamma-\alpha}

(Q,RQ,R は文字を巡回させたもの)で、係数の和はどれも 11 である。三角形 ABCABC の 3 点は一直線上にないので、補題 2.1 の 2 によりアフィン関数 ff で f(A)=1−ααf(A)=\dfrac{1-\alpha}{\alpha}、f(B)=1−ββf(B)=\dfrac{1-\beta}{\beta}、f(C)=1−γγf(C)=\dfrac{1-\gamma}{\gamma} となるものがある。補題 2.1 の 3 から

f(P)=α(1−β)1−αα−β(1−α)1−ββα−β=(1−α)(1−β)−(1−α)(1−β)α−β=0f(P)=\frac{\alpha(1-\beta)\frac{1-\alpha}{\alpha}-\beta(1-\alpha)\frac{1-\beta}{\beta}}{\alpha-\beta}=\frac{(1-\alpha)(1-\beta)-(1-\alpha)(1-\beta)}{\alpha-\beta}=0

で、f(Q)=f(R)=0f(Q)=f(R)=0 も同様である。f(A)≠f(B)f(A)\ne f(B)(f(A)=f(B)f(A)=f(B) なら β(1−α)=α(1−β)\beta(1-\alpha)=\alpha(1-\beta) すなわち α=β\alpha=\beta)なので ff は定数でなく、補題 2.1 の 4 により P,Q,RP,Q,R は一直線上にある。

定理 3.2(Pappus の六角形定理)✓

相異なる 2 直線 ℓ,m\ell,m 上にそれぞれ 3 点 A,B,C∈ℓA,B,C\in\ell、A′,B′,C′∈mA',B',C'\in m をとる(ℓ,m\ell,m が交わるときは交点 OO と異なるとする)。直線 AB′AB' と A′BA'B、AC′AC' と A′CA'C、BC′BC' と B′CB'C の交点 P,Q,RP,Q,R が存在するとき、P,Q,RP,Q,R は一直線上にある。

証明の方針は、3 点 P, Q, R を座標で具体的に求め、3 つの座標の組のあいだに hQ−hP=hRh_Q-h_P=h_R という関係があることを見ることです。点 (x,y)(x,y) を 3 つ組 (x, y, 1)(x,\,y,\,1) の定数倍で表しておくと、「3 点が共線」は「3 つの 3 つ組が 1 次従属」と同じ意味になります(その 3 つ組を並べた行列式が 0 になるため)。座標軸に逆数を使うのは、直線の式が αx+β′y=1\alpha x+\beta' y=1 のような簡単な形になるからです。

証明(定理 3.2)

3 点が共線であることは、座標の取り方(可逆な 1 次変換と平行移動)によらない(直線 {a+td}\{\boldsymbol a+t\boldsymbol d\} はこれらの変換で直線に移る。命題 5.5[平面ベクトルと座標] の 1)。点 (x,y)(x,y) に斉次座標 (h1,h2,h3)(h_1,h_2,h_3)(x=h1/h3x=h_1/h_3、y=h2/h3y=h_2/h_3、h3≠0h_3\ne0)を対応させると、3 点 P,Q,RP,Q,R の斉次座標を並べた 3 行 3 列の行列式が 00(1 次従属)ならば、各行を h3h_3 で割った行列 (xPyP1xQyQ1xRyR1)\begin{pmatrix}x_P&y_P&1\\x_Q&y_Q&1\\x_R&y_R&1\end{pmatrix} の行列式も 00 で、これは 2S(P,Q,R)2S(P,Q,R) に等しい(前章の 命題 6.2[平面ベクトルと座標] の 1)ので、P,Q,RP,Q,R は共線である。

ℓ,m\ell,m が交わる場合。OO を原点、ℓ\ell を xx 軸、mm を yy 軸とする座標をとる。A=(a,0)A=(a,0)、B=(b,0)B=(b,0)、C=(c,0)C=(c,0)、A′=(0,a′)A'=(0,a')、B′=(0,b′)B'=(0,b')、C′=(0,c′)C'=(0,c')(すべて ≠0\ne0)で、逆数 α=1a\alpha=\tfrac1a、β=1b\beta=\tfrac1b、γ=1c\gamma=\tfrac1c、α′=1a′\alpha'=\tfrac1{a'}、β′=1b′\beta'=\tfrac1{b'}、γ′=1c′\gamma'=\tfrac1{c'} をとる。直線 AB′AB' は αx+β′y=1\alpha x+\beta'y=1、A′BA'B は βx+α′y=1\beta x+\alpha'y=1 なので、クラメルの公式から

P=(α′−β′αα′−ββ′, α−βαα′−ββ′)P=\Bigl(\frac{\alpha'-\beta'}{\alpha\alpha'-\beta\beta'},\ \frac{\alpha-\beta}{\alpha\alpha'-\beta\beta'}\Bigr)

で、斉次座標は hP=(α′−β′, α−β, αα′−ββ′)h_P=(\alpha'-\beta',\ \alpha-\beta,\ \alpha\alpha'-\beta\beta')。同様に hQ=(α′−γ′, α−γ, αα′−γγ′)h_Q=(\alpha'-\gamma',\ \alpha-\gamma,\ \alpha\alpha'-\gamma\gamma')、hR=(β′−γ′, β−γ, ββ′−γγ′)h_R=(\beta'-\gamma',\ \beta-\gamma,\ \beta\beta'-\gamma\gamma') で、

hQ−hP=(β′−γ′, β−γ, ββ′−γγ′)=hRh_Q-h_P=(\beta'-\gamma',\ \beta-\gamma,\ \beta\beta'-\gamma\gamma')=h_R

である。3 つの斉次座標は 1 次従属なので、P,Q,RP,Q,R は共線である。

ℓ∥m\ell\parallel m の場合。ℓ\ell を y=0y=0、mm を y=1y=1 とし、A=(a,0)A=(a,0)、B=(b,0)B=(b,0)、C=(c,0)C=(c,0)、A′=(a′,1)A'=(a',1)、B′=(b′,1)B'=(b',1)、C′=(c′,1)C'=(c',1) とする。直線 AB′AB' は x=a+(b′−a)yx=a+(b'-a)y、A′BA'B は x=b+(a′−b)yx=b+(a'-b)y なので、交点は y=b−ab+b′−a−a′y=\dfrac{b-a}{b+b'-a-a'}、x=bb′−aa′b+b′−a−a′x=\dfrac{bb'-aa'}{b+b'-a-a'}。斉次座標は hP=(bb′−aa′, b−a, b+b′−a−a′)h_P=(bb'-aa',\ b-a,\ b+b'-a-a')、同様に hQ=(cc′−aa′, c−a, c+c′−a−a′)h_Q=(cc'-aa',\ c-a,\ c+c'-a-a')、hR=(cc′−bb′, c−b, c+c′−b−b′)h_R=(cc'-bb',\ c-b,\ c+c'-b-b') で、やはり hQ−hP=hRh_Q-h_P=h_R である。

ABCA’B’C’PQR
Pappus の六角形定理。2 本の直線上の点 A, B, C と A', B', C' について、AB' と A'B、AC' と A'C、BC' と B'C の交点 P, Q, R は一直線(太い点線)に乗る

4. Pascal の定理・極と極線・Brianchon の定理

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定理 4.1(Pascal の定理(円の場合))✓

円周上の相異なる 6 点 A,B,C,D,E,FA,B,C,D,E,F について、直線 AB,CD,EFAB,CD,EF は三角形 XYZXYZ(X=AB∩CDX=AB\cap CD、Y=CD∩EFY=CD\cap EF、Z=EF∩ABZ=EF\cap AB)をつくるとし(どの 2 本も平行でなく、3 本は 1 点で交わらない)、対辺の交点 P=AB∩DEP=AB\cap DE、Q=BC∩EFQ=BC\cap EF、R=CD∩FAR=CD\cap FA が存在するとする。このとき P,Q,RP,Q,R は一直線上にある。

証明の方針は次のとおりです。直線 AB,CD,EFAB,CD,EF がつくる三角形 XYZXYZ に、直線 DEDE、BCBC、FAFA をそれぞれ Menelaus の定理で当てはめると、3 本の等式が得られます。それらを掛け合わせると、円の方べきの定理により頂点ごとの比がきれいに 1 になり、残るのは P,Q,RP,Q,R についての Menelaus の定理の逆の形です。

証明(定理 4.1)

6 点は円周上の相異なる点で、直線と円は高々 2 点で交わるので、頂点 X,Y,ZX,Y,Z は 6 点のどれとも異なり、P,Q,RP,Q,R も X,Y,ZX,Y,Z および 6 点のどれとも異ならない(たとえば X=DX=D なら D∈ABD\in AB となり、D∈{A,B}D\in\{A,B\} に反する)。各直線に向きを 1 つ決め、同じ直線上の点は座標で表して、比 UVVW\dfrac{UV}{VW} を座標の差の比とする。

三角形 XYZXYZ について、直線 DEDE は辺 XYXY(直線 CDCD)と DD、辺 YZYZ(直線 EFEF)と EE、辺 ZXZX(直線 ABAB)と PP で交わる。Menelaus の定理(定理 6.1[三角形の五心とチェバ・メネラウスの定理])から、同様に直線 BCBC、FAFA についても

YEEZ⋅ZPPX⋅XDDY=−1,YQQZ⋅ZBBX⋅XCCY=−1,YFFZ⋅ZAAX⋅XRRY=−1.\frac{YE}{EZ}\cdot\frac{ZP}{PX}\cdot\frac{XD}{DY}=-1,\quad\frac{YQ}{QZ}\cdot\frac{ZB}{BX}\cdot\frac{XC}{CY}=-1,\quad\frac{YF}{FZ}\cdot\frac{ZA}{AX}\cdot\frac{XR}{RY}=-1.

3 式を掛けて分母と分子を組み替えると

(ZPPX⋅XRRY⋅YQQZ)⋅XD⋅XCAX⋅BX⋅YE⋅YFDY⋅CY⋅ZB⋅ZAEZ⋅FZ=−1\Bigl(\frac{ZP}{PX}\cdot\frac{XR}{RY}\cdot\frac{YQ}{QZ}\Bigr)\cdot\frac{XD\cdot XC}{AX\cdot BX}\cdot\frac{YE\cdot YF}{DY\cdot CY}\cdot\frac{ZB\cdot ZA}{EZ\cdot FZ}=-1

となる。方べきの定理(定理 5.2[円の幾何] の 1)から、直線 CDCD 上で XC⋅XD=pow⁡(X)XC\cdot XD=\operatorname{pow}(X)、直線 ABAB 上で AX⋅BX=pow⁡(X)AX\cdot BX=\operatorname{pow}(X)(符号付きの長さの積は、点 XX から測った座標の積で、内積に等しい)なので XD⋅XCAX⋅BX=1\dfrac{XD\cdot XC}{AX\cdot BX}=1。同様に YY(直線 EFEF と CDCD)、ZZ(直線 ABAB と EFEF)でも比は 11 である。したがって

YQQZ⋅ZPPX⋅XRRY=−1\frac{YQ}{QZ}\cdot\frac{ZP}{PX}\cdot\frac{XR}{RY}=-1

で、Q∈YZQ\in YZ、P∈ZXP\in ZX、R∈XYR\in XY に対する Menelaus の定理の逆により、Q,P,RQ,P,R は一直線上にある。

円(中心 C0C_0、半径 rr)の点 P≠C0P\ne C_0 の極線を ℓP={x∣(p−c0)⋅(x−c0)=r2}\ell_P=\{\boldsymbol x\mid(\boldsymbol p-\boldsymbol c_0)\cdot(\boldsymbol x-\boldsymbol c_0)=r^2\} と定めます(定理 4.1[図形と方程式])。円周上の点では ℓP\ell_P は接線です。点 PP を決めると直線 ℓP\ell_P が 1 本決まる、という「点と直線の対応」が、この後の双対の正体です。

命題 4.2(極と極線の双対)✓

円 Γ(C0,r)\Gamma(C_0,r) について、次が成り立つ。

  1. (La Hire)Q∈ℓP  ⟺  P∈ℓQQ\in\ell_P\iff P\in\ell_Q(定理 4.1[図形と方程式] の 1)。
  2. C0C_0 を通らない直線 mm に対し、ℓM=m\ell_M=m となる点 M≠C0M\ne C_0(mm の極)がただ 1 つ存在する。
  3. 一直線 mm 上の 3 点 X1,X2,X3≠C0X_1,X_2,X_3\ne C_0 について、mm が C0C_0 を通らなければ、極線 ℓX1,ℓX2,ℓX3\ell_{X_1},\ell_{X_2},\ell_{X_3} は mm の極 MM で交わる。mm が C0C_0 を通れば、3 本の極線は互いに平行である。
証明(命題 4.2)

2: m={x∣n⋅(x−c0)=c}m=\{\boldsymbol x\mid\boldsymbol n\cdot(\boldsymbol x-\boldsymbol c_0)=c\}(∣n∣=1|\boldsymbol n|=1、c≠0c\ne0 は C0C_0 から mm までの符号つき距離)と書く。m−c0=r2cn\boldsymbol m-\boldsymbol c_0=\dfrac{r^2}{c}\boldsymbol n の点 MM に対し ℓM={x∣r2c n⋅(x−c0)=r2}=m\ell_M=\{\boldsymbol x\mid\tfrac{r^2}c\,\boldsymbol n\cdot(\boldsymbol x-\boldsymbol c_0)=r^2\}=m で、ℓM=m\ell_M=m を満たす MM は、法線ベクトルの比較からこれだけである。3: Xi∈m=ℓMX_i\in m=\ell_M なので、1 により M∈ℓXiM\in\ell_{X_i} である。mm が C0C_0 を通るとき、Xi−C0X_i-C_0 はすべて mm の方向ベクトルの実数倍で、ℓXi\ell_{X_i} の法線ベクトルが平行なので、極線は平行である。

定理 4.3(Brianchon の定理)✓

円 Γ(C0,r)\Gamma(C_0,r) の相異なる 6 点 P1,…,P6P_1,\dots,P_6 における接線 t1,…,t6t_1,\dots,t_6 について、隣り合う接線 ti,ti+1t_i,t_{i+1}(t7=t1t_7=t_1)が交点 Vi,i+1V_{i,i+1} をもつとする(外接六角形の頂点が V12,V23,V34,V45,V56,V61V_{12},V_{23},V_{34},V_{45},V_{56},V_{61})。さらに、六角形 P1P2P3P4P5P6P_1P_2P_3P_4P_5P_6 に 定理 4.1 の仮定が成り立つとする(直線 P1P2,P3P4,P5P6P_1P_2,P_3P_4,P_5P_6 が三角形をつくり、対辺の交点 X1=P1P2∩P4P5X_1=P_1P_2\cap P_4P_5、X2=P2P3∩P5P6X_2=P_2P_3\cap P_5P_6、X3=P3P4∩P6P1X_3=P_3P_4\cap P_6P_1 が存在する)。このとき、主対角線 V12V45V_{12}V_{45}、V23V56V_{23}V_{56}、V34V61V_{34}V_{61} は 1 点で交わるか、3 本とも平行である。

証明の方針は、外接六角形の頂点を、その接点を結ぶ直線の極(上で定めた極線の元の点)として見ることです。主対角線が、Pascal の定理に出てくる対辺の交点 X1,X2,X3X_1,X_2,X_3 の極線になることを示せば、X1,X2,X3X_1,X_2,X_3 が共線であることから、極と極線の双対(上の命題の 3)により 3 本の主対角線が共点(または平行)とわかります。

証明(定理 4.3)

V=V12V=V_{12} は接線 t1,t2t_1,t_2 の交点なので、ti=ℓPit_i=\ell_{P_i} から (pi−c0)⋅(v−c0)=r2(\boldsymbol p_i-\boldsymbol c_0)\cdot(\boldsymbol v-\boldsymbol c_0)=r^2(i=1,2i=1,2)で、P1,P2P_1,P_2 はともに VV の極線 ℓV\ell_V 上にあり、ℓV\ell_V は直線 P1P2P_1P_2 である。同様に ℓV45=P4P5\ell_{V_{45}}=P_4P_5。直線 P1P2P_1P_2 は直径でない(V12V_{12} が存在する)ので X1≠C0X_1\ne C_0 で、X1∈ℓV12∩ℓV45X_1\in\ell_{V_{12}}\cap\ell_{V_{45}} から、La Hire(命題 4.2 の 1)により V12,V45∈ℓX1V_{12},V_{45}\in\ell_{X_1}。1 点を通る接線は 2 本だけなので V12≠V45V_{12}\ne V_{45} で、主対角線 V12V45V_{12}V_{45} は X1X_1 の極線 ℓX1\ell_{X_1} である。同様に V23V56=ℓX2V_{23}V_{56}=\ell_{X_2}、V34V61=ℓX3V_{34}V_{61}=\ell_{X_3}。Pascal の定理(定理 4.1。六角形 P1P2P3P4P5P6P_1P_2P_3P_4P_5P_6 の対辺の交点が X1,X2,X3X_1,X_2,X_3)から X1,X2,X3X_1,X_2,X_3 は共線なので、命題 4.2 の 3 により、極線 ℓX1,ℓX2,ℓX3\ell_{X_1},\ell_{X_2},\ell_{X_3} は 1 点で交わるか、互いに平行である。

定義 5.1(4 点の複比)↗

一直線上の相異なる 4 点 A,B,C,DA,B,C,D を、直線上の座標 tA,tB,tC,tDt_A,t_B,t_C,t_D で表す(直線に 1 つ向きと原点を決める)。

(A,B;C,D)=(tC−tA)(tD−tB)(tC−tB)(tD−tA)(A,B;C,D)=\frac{(t_C-t_A)(t_D-t_B)}{(t_C-t_B)(t_D-t_A)}

を複比という。座標の取り方(t↦st+ut\mapsto st+u、s≠0s\ne0)によらない。

定理 5.2(複比は中心射影で変わらない)✓

点 OO を通る 4 直線が、OO を通らない直線 ℓ\ell、ℓ′\ell' とそれぞれ A,B,C,DA,B,C,D と A′,B′,C′,D′A',B',C',D' で交わるとき、(A,B;C,D)=(A′,B′;C′,D′)(A,B;C,D)=(A',B';C',D') である。

証明(定理 5.2)

OO を原点とし、a,b,c,d\boldsymbol a,\boldsymbol b,\boldsymbol c,\boldsymbol d を位置ベクトルとする。ℓ\ell 上の点は xt=x0+te\boldsymbol x_t=\boldsymbol x_0+t\boldsymbol e と書け、det⁡(xs,xt)=(t−s)det⁡(x0,e)\det(\boldsymbol x_s,\boldsymbol x_t)=(t-s)\det(\boldsymbol x_0,\boldsymbol e)(det⁡(x0,e)≠0\det(\boldsymbol x_0,\boldsymbol e)\ne0。O∉ℓO\notin\ell による)なので、tC−tA=det⁡(a,c)Kt_C-t_A=\dfrac{\det(\boldsymbol a,\boldsymbol c)}{K}、tC−tB=det⁡(b,c)Kt_C-t_B=\dfrac{\det(\boldsymbol b,\boldsymbol c)}{K} などと書ける(K=det⁡(x0,e)K=\det(\boldsymbol x_0,\boldsymbol e))。したがって

(A,B;C,D)=det⁡(a,c)det⁡(b,d)det⁡(b,c)det⁡(a,d)(A,B;C,D)=\frac{\det(\boldsymbol a,\boldsymbol c)\det(\boldsymbol b,\boldsymbol d)}{\det(\boldsymbol b,\boldsymbol c)\det(\boldsymbol a,\boldsymbol d)}

である。右辺の分子分母で、a,b,c,d\boldsymbol a,\boldsymbol b,\boldsymbol c,\boldsymbol d はそれぞれ同じ回数(分子に 1 回、分母に 1 回)現れるので、各ベクトルを零でない定数倍しても変わらない。A′A' は半直線(または直線)OAOA 上にあり a′=λa\boldsymbol a'=\lambda\boldsymbol a(λ≠0\lambda\ne0)なので、(A′,B′;C′,D′)(A',B';C',D') も同じ式になり、等しい。

定理 5.3(Newton–Gauss 線)✓

四角形 ABCDABCD(どの 3 頂点も一直線上にない)について、直線 ABAB と CDCD が点 EE で、直線 ADAD と BCBC が点 FF で交わるとする。対角線 ACAC、BDBD、EFEF の中点は一直線上にある。

証明(定理 5.3)

EE を原点、直線 ABAB の方向ベクトルを u\boldsymbol u、直線 CDCD の方向ベクトルを v\boldsymbol v(1 次独立)とし、A=αuA=\alpha\boldsymbol u、B=βuB=\beta\boldsymbol u、C=γvC=\gamma\boldsymbol v、D=δvD=\delta\boldsymbol v(すべて ≠0\ne0、α≠β\alpha\ne\beta、γ≠δ\gamma\ne\delta)と書く。点 su+tvs\boldsymbol u+t\boldsymbol v を座標 (s,t)(s,t) で表す。直線 ADAD は sα+tδ=1\dfrac s\alpha+\dfrac t\delta=1、BCBC は sβ+tγ=1\dfrac s\beta+\dfrac t\gamma=1 で、交点 F=(s,t)F=(s,t) は、Δ=1αγ−1βδ=βδ−αγαβγδ≠0\Delta=\dfrac1{\alpha\gamma}-\dfrac1{\beta\delta}=\dfrac{\beta\delta-\alpha\gamma}{\alpha\beta\gamma\delta}\ne0 として

s=1Δ⋅δ−γγδ,t=1Δ⋅β−ααβs=\frac{1}{\Delta}\cdot\frac{\delta-\gamma}{\gamma\delta},\qquad t=\frac1\Delta\cdot\frac{\beta-\alpha}{\alpha\beta}

である。ACAC、BDBD、EFEF の中点は 12(α,γ)\tfrac12(\alpha,\gamma)、12(β,δ)\tfrac12(\beta,\delta)、12(s,t)\tfrac12(s,t) で、共線であることは (α,γ)(\alpha,\gamma)、(β,δ)(\beta,\delta)、(s,t)(s,t) が共線であることと同値である(原点を中心とする拡大で共線性は変わらない)。行列式を展開すると

det⁡(αγ1βδ1st1)=(αδ−βγ)+t(β−α)−s(δ−γ)\det\begin{pmatrix}\alpha&\gamma&1\\\beta&\delta&1\\s&t&1\end{pmatrix}=(\alpha\delta-\beta\gamma)+t(\beta-\alpha)-s(\delta-\gamma)

で、t(β−α)−s(δ−γ)=γδ(β−α)2−αβ(δ−γ)2βδ−αγ=(βγ−αδ)(βδ−αγ)βδ−αγ=βγ−αδt(\beta-\alpha)-s(\delta-\gamma)=\dfrac{\gamma\delta(\beta-\alpha)^2-\alpha\beta(\delta-\gamma)^2}{\beta\delta-\alpha\gamma}=\dfrac{(\beta\gamma-\alpha\delta)(\beta\delta-\alpha\gamma)}{\beta\delta-\alpha\gamma}=\beta\gamma-\alpha\delta(分子は展開して因数分解した)。よって行列式は 00 で、3 点は共線である。

補題 6.1(3 倍角の積の公式)✓

任意の実数 θ\theta について sin⁡3θ=4sin⁡θ sin⁡(π3−θ)sin⁡(π3+θ)\sin3\theta=4\sin\theta\,\sin\bigl(\tfrac\pi3-\theta\bigr)\sin\bigl(\tfrac\pi3+\theta\bigr) である。

証明(補題 6.1)

積和の公式(系 4.3[三角関数])から sin⁡(π3+θ)sin⁡(π3−θ)=−12[cos⁡2π3−cos⁡2θ]=14+12cos⁡2θ=34−sin⁡2θ\sin(\tfrac\pi3+\theta)\sin(\tfrac\pi3-\theta)=-\tfrac12\bigl[\cos\tfrac{2\pi}3-\cos2\theta\bigr]=\tfrac14+\tfrac12\cos2\theta=\tfrac34-\sin^2\theta(cos⁡2π3=−12\cos\frac{2\pi}{3}=-\frac12、cos⁡2θ=1−2sin⁡2θ\cos2\theta=1-2\sin^2\theta)。よって右辺は 4sin⁡θ(34−sin⁡2θ)=3sin⁡θ−4sin⁡3θ=sin⁡3θ4\sin\theta(\tfrac34-\sin^2\theta)=3\sin\theta-4\sin^3\theta=\sin3\theta(系 4.2[三角関数] の 3)である。

定理 6.2(Morley の三等分線の定理)✓

三角形 ABCABC の内角を A=3αA=3\alpha、B=3βB=3\beta、C=3γC=3\gamma とし、頂点 B,CB,C の三等分線のうち辺 BCBC に近い 2 本の交点を XX、C,AC,A の三等分線のうち辺 CACA に近い 2 本の交点を YY、A,BA,B の三等分線のうち辺 ABAB に近い 2 本の交点を ZZ とする。XYZXYZ は正三角形である。

証明の方針は、X,ZX,Z から頂点 BB までの距離を正弦定理で求め、三角形 XBZXBZ に余弦定理を使って辺 XZXZ の長さを出すことです。結果が 8Rsin⁡αsin⁡βsin⁡γ8R\sin\alpha\sin\beta\sin\gamma と α,β,γ\alpha,\beta,\gamma について対称になるので、他の 2 辺も同じ長さになります。途中の三角関数の計算は、その長さの括弧の中が sin⁡2β\sin^2\beta にまとまることを示すためのものです。

証明(定理 6.2)

外接円の半径を RR とし、α+β+γ=π3\alpha+\beta+\gamma=\dfrac\pi3 に注意する(定理 5.4[合同と相似])。

XX の位置。B=(0,0)B=(0,0)、C=(a,0)C=(a,0)、AA を上半平面に取る。BB から辺 BCBC と角 β\beta をなす半直線上の点 X=λe(β)X=\lambda e(\beta)(λ>0\lambda>0)と、CC から角 γ\gamma をなす半直線上の点 X=C+μe(π−γ)X=C+\mu e(\pi-\gamma)(μ>0\mu>0)が一致する条件は、成分を比べて λcos⁡β=a−μcos⁡γ\lambda\cos\beta=a-\mu\cos\gamma、λsin⁡β=μsin⁡γ\lambda\sin\beta=\mu\sin\gamma で、解は λ=asin⁡γsin⁡(β+γ)>0\lambda=\dfrac{a\sin\gamma}{\sin(\beta+\gamma)}>0、μ=asin⁡βsin⁡(β+γ)>0\mu=\dfrac{a\sin\beta}{\sin(\beta+\gamma)}>0 とただ 1 つ存在する(角の向きと側から方向が決まることは 補題 3.6[合同と相似])。すなわち ∣BX∣=asin⁡γsin⁡(β+γ)|BX|=\dfrac{a\sin\gamma}{\sin(\beta+\gamma)}。同様に、辺 ABAB に近い三等分線の交点 ZZ について、三角形 ABZABZ の角は AA で α\alpha、BB で β\beta なので、∣BZ∣=csin⁡αsin⁡(α+β)|BZ|=\dfrac{c\sin\alpha}{\sin(\alpha+\beta)} である。

長さの計算。正弦定理(定理 4.2[三角比と三角形の計量])から a=2Rsin⁡3αa=2R\sin3\alpha、c=2Rsin⁡3γc=2R\sin3\gamma、また β+γ=π3−α\beta+\gamma=\tfrac\pi3-\alpha、α+β=π3−γ\alpha+\beta=\tfrac\pi3-\gamma なので、補題 6.1 により

∣BX∣=2Rsin⁡3α sin⁡γsin⁡(π3−α)=8Rsin⁡αsin⁡γsin⁡(π3+α),∣BZ∣=8Rsin⁡γsin⁡αsin⁡(π3+γ).|BX|=\frac{2R\sin3\alpha\,\sin\gamma}{\sin(\frac\pi3-\alpha)}=8R\sin\alpha\sin\gamma\sin\Bigl(\frac\pi3+\alpha\Bigr),\qquad|BZ|=8R\sin\gamma\sin\alpha\sin\Bigl(\frac\pi3+\gamma\Bigr).

頂点 BB では、BXBX は BCBC と角 β\beta、BZBZ は BABA と角 β\beta をなすので、角の加法(補題 5.3[合同と相似])から ∠XBZ=3β−β−β=β\angle XBZ=3\beta-\beta-\beta=\beta である。余弦定理(定理 3.1[三角比と三角形の計量])を三角形 XBZXBZ に使うと、x=π3+αx=\tfrac\pi3+\alpha、y=π3+γy=\tfrac\pi3+\gamma として

∣XZ∣2=(8Rsin⁡αsin⁡γ)2[sin⁡2x+sin⁡2y−2sin⁡xsin⁡ycos⁡β].|XZ|^2=(8R\sin\alpha\sin\gamma)^2\bigl[\sin^2x+\sin^2y-2\sin x\sin y\cos\beta\bigr].

x+y=2π3+α+γ=π−βx+y=\tfrac{2\pi}3+\alpha+\gamma=\pi-\beta なので cos⁡β=−cos⁡(x+y)\cos\beta=-\cos(x+y)、また加法定理から sin⁡2(x+y)=sin⁡2x+sin⁡2y+2sin⁡xsin⁡ycos⁡(x+y)\sin^2(x+y)=\sin^2x+\sin^2y+2\sin x\sin y\cos(x+y)(右辺を展開して左辺と比べる)なので、括弧の中は sin⁡2(x+y)=sin⁡2β\sin^2(x+y)=\sin^2\beta。したがって

∣XZ∣=8Rsin⁡αsin⁡βsin⁡γ.|XZ|=8R\sin\alpha\sin\beta\sin\gamma.

この値は α,β,γ\alpha,\beta,\gamma の入れ替えで変わらないので、頂点の名前を巡回させた ∣YX∣|YX|、∣ZY∣|ZY| も同じ値で、XYZXYZ は正三角形である。

  • 射影幾何(algebraic-geometry の射影空間)。斉次座標で点を表し、直線を 1 次方程式で表す立場では、Desargues・Pappus・Pascal の定理は、公理(射影平面の公理)から証明されるか、体の可換性・結合性と同値になります(Desargues の定理は射影平面が斜体(掛け算の交換法則を仮定しない体)の上の平面であることと、Pappus の定理は体が可換であることと同値)。Pascal の定理は円錐曲線一般で成り立ちます。
  • 複比と等角写像(等角写像)。定理 5.2 の複比は、複素数では (z3−z1)(z4−z2)(z3−z2)(z4−z1)\dfrac{(z_3-z_1)(z_4-z_2)}{(z_3-z_2)(z_4-z_1)} で、1 次分数変換で不変です。相異なる 4 点が同一円周上または同一直線上にあるための条件は、複比が実数であることです(円の幾何の章で共円条件を角で調べたことの言い換え)。
  • 双対性。点と直線、共線と共点を入れ替える対応は、射影平面の双対原理で、定理 4.3 はその最も有名な例です。
  • Morley の定理と複素数。Morley の定理は、Napoleon の定理(辺に立てた正三角形の中心が正三角形をつくる)と並べて、複素数で議論することもできます(次の複素数平面と作図の章)。

演習 8.1易

直線上の 4 点の座標が 0,1,2,40,1,2,4(順に A,B,C,DA,B,C,D)であるとき、複比 (A,B;C,D)(A,B;C,D) を求めよ。

解答

(A,B;C,D)=(2−0)(4−1)(2−1)(4−0)=64=32(A,B;C,D)=\dfrac{(2-0)(4-1)}{(2-1)(4-0)}=\dfrac{6}{4}=\dfrac32。

演習 8.2標準

A=(0,0)A=(0,0)、B=(4,0)B=(4,0)、C=(3,2)C=(3,2)、D=(0,3)D=(0,3) の四角形について、E=AB∩CDE=AB\cap CD、F=AD∩BCF=AD\cap BC と、対角線 AC,BD,EFAC,BD,EF の中点を求め、共線であることを確かめよ。

解答

直線 CDCD は y=3−x3y=3-\tfrac x3 で、y=0y=0(直線 ABAB)との交点は E=(9,0)E=(9,0)。直線 ADAD は x=0x=0、直線 BCBC は y=−2(x−4)y=-2(x-4) で、F=(0,8)F=(0,8)。中点は ACAC が (32,1)(\tfrac32,1)、BDBD が (2,32)(2,\tfrac32)、EFEF が (92,4)(\tfrac92,4)。第 1・第 2 の点を結ぶ傾きは 1/21/2=1\dfrac{1/2}{1/2}=1、第 1・第 3 の点を結ぶ傾きは 33=1\dfrac{3}{3}=1 で等しく、3 点は一直線上にある(定理 5.3)。

演習 8.3標準

正三角形(外接円の半径 RR)の Morley 三角形の 1 辺の長さを求めよ。

解答

α=β=γ=π9\alpha=\beta=\gamma=\dfrac\pi9(20∘20^\circ)なので、定理 6.2 の証明から辺は 8Rsin⁡3π9=8Rsin⁡320∘≈0.32R8R\sin^3\dfrac\pi9=8R\sin^320^\circ\approx0.32R である。(正三角形の辺は 3R≈1.73R\sqrt3R\approx1.73R なので、およそ 0.180.18 倍。)

  • H. S. M. Coxeter, S. L. Greitzer, Geometry Revisited, Mathematical Association of America, 1967 — 第 3 章(共線と共点:Desargues・Pappus・Pascal)、第 6 章(射影幾何入門:複比)。
  • H. S. M. Coxeter, Projective Geometry, 2nd ed., Springer, 1987 — Desargues・Pappus・Pascal・Brianchon の定理、複比。
  • Robin Hartshorne, Geometry: Euclid and Beyond, Springer, 2000 — Desargues・Pappus の定理の公理的な位置づけ。
  • Alain Connes, “A new proof of Morley’s theorem”, Publications Mathématiques de l’IHÉS S88 (1998) 43–46 — Morley の定理の別証明。

このテーマの 100 本ノック(100 問)

執筆: Claude Code(Sonnet 5.5)、Claude Code(Opus 5.5)・監査 2 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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