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楕円型方程式の弱解と変分法:Lax–Milgram の定理・Gårding 不等式・Dirichlet 原理・直接法

対象読者: 本テーマ第 1 章の内容と、ヒルベルト空間(リースの表現定理)・ソボレフ空間(弱微分・トレース)・自己共役作用素の基礎を学んだ修士課程の人。

前提となる記事:ラプラス方程式と調和関数:平均値の性質・最大値原理・Harnack の不等式・Green 関数、Sobolev 空間:弱微分・埋め込み定理・Rellich のコンパクト性・トレース定理、Hilbert 空間の基礎:射影定理・リースの表現定理・正規直交基底、自己共役性の判定:Kato–Rellich・KLMN・Friedrichs 拡大・Nelson の可換子定理

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太鼓や膜の形のように、領域の縁で値を 00 に固定した方程式を考えます。係数が場所ごとに変わったり領域が複雑だったりすると、解を式で書くことはできません。そこで「方程式を積分した形で満たす」ところまで解の条件をゆるめ、広い関数の空間の中で解を探します。この記事を読むと、そのような解が(係数に適当な条件のもとで)ただ一つ存在することの証明と、解が「エネルギーの最小点」でもあることの証明が分かります。

  • 発散形の楕円型方程式 −∑i,j∂j(aij∂iu)+∑ibi∂iu+cu=f-\sum_{i,j}\partial_j(a^{ij}\partial_iu)+\sum_ib^i\partial_iu+cu=f を部分積分した形で読み、弱解を Sobolev 空間 H01(Ω)H^1_0(\Omega) の元として定義します。境界条件 u=0u=0 は「u∈H01u\in H^1_0」に置き換わります。
  • Lax–Milgram の定理: Hilbert 空間上の有界で強圧的な双線形形式 BB について、B[u,v]=F(v)B[u,v]=F(v) はただ一つの解をもちます。Riesz の表現定理の非対称版です。
  • Gårding 不等式 β∥u∥H12≤B[u,u]+γ∥u∥L22\beta\|u\|_{H^1}^2\le B[u,u]+\gamma\|u\|_{L^2}^2 により、十分大きな μ\mu で Lu+μu=fLu+\mu u=f が一意に解けます。Rellich のコンパクト性と合わせると Fredholm の択一が成り立ちます。
  • Dirichlet 原理: −Δu=f-\Delta u=f の弱解は、エネルギー ∫(12∣∇w∣2−fw)\int(\frac12|\nabla w|^2-fw) の H01H^1_0 での最小点と同じものです。凸で強圧的な積分汎関数は最小点をもち(直接法)、最小点は弱い意味の Euler–Lagrange 方程式を満たします。
  • 対称な場合、BB は H01H^1_0 を定義域とする下に有界な閉形式で、表現定理により自己共役作用素(Dirichlet 境界条件つきの LL)が決まります。−Δ-\Delta では Friedrichs 拡大 −ΔD-\Delta_D です。

前章までの古典解の理論は、解の公式や最大値原理に頼っていました。しかし、係数が変数に依存する方程式や一般の領域では、解の公式はありません。そこで発想を逆にして、まず「解の候補」を広い関数空間で作り、あとで滑らかさを調べます。存在と正則性を分けるこの方針が、20 世紀の偏微分方程式論の基本戦略です。

起源は Dirichlet 原理です。Riemann は「∫∣∇w∣2\int|\nabla w|^2 を境界値を固定して最小にする ww は調和関数である」と考えて Dirichlet 問題の解の存在を論じましたが、Weierstrass は最小値が達成されるとは限らないと批判しました(下限をとる関数が存在しない汎関数の例を挙げた)。Hilbert は 1900 年頃に最小化列の収束を示して原理を救いました。現代的には、最小化列が**弱収束**する部分列をもち、エネルギーが弱収束に関して下半連続(弱収束の極限で値が大きくならない、という性質)であることが鍵です。完備な Hilbert 空間 H01H^1_0 を舞台に選ぶことが、Weierstrass の批判への答えになります。

作用素論の側から見ると、この章は 自己共役性の判定 の形式の方法(閉形式の表現定理・Friedrichs 拡大・KLMN の定理)を、具体的な微分作用素に当てはめたものです。

以下、関数はすべて実数値とし、Ω⊂Rn\Omega\subset\mathbb{R}^n を有界な開集合とします。⟨u,v⟩=∫Ωuv dx\langle u,v\rangle=\int_\Omega uv\,dx、∥u∥=∥u∥L2(Ω)\|u\|=\|u\|_{L^2(\Omega)} と書きます。Hilbert 空間の結果(Riesz の表現定理、射影定理、弱収束)は実 Hilbert 空間でも同じ証明で成り立つので、そのまま使います。複素 Hilbert 空間で述べられた作用素論の結果(Fredholm の択一定理、閉形式の表現定理)を使うときは、L2(Ω)L^2(\Omega) を複素数値関数の空間に広げ、双線形形式を半双線形に延ばして適用します。係数が実数なので、実数値の関数には実数値の答えが返ります。

Sobolev 空間 の記号で H1(Ω)=W1,2(Ω)H^1(\Omega)=W^{1,2}(\Omega)、H01(Ω)=W01,2(Ω)H^1_0(\Omega)=W^{1,2}_0(\Omega)(Cc∞(Ω)C_c^\infty(\Omega) の H1H^1 ノルムでの閉包)とし、∥u∥H12=∥u∥2+∥∇u∥2\|u\|_{H^1}^2=\|u\|^2+\|\nabla u\|^2 とします(定義 2.1[Sobolev 空間])。H1(Ω)H^1(\Omega) は Hilbert 空間(命題 2.3[Sobolev 空間])で、H01(Ω)H^1_0(\Omega) はその閉部分空間です。

補題 2.1(Poincaré の不等式)✓

Ω\Omega がある方向の幅 dd の帯 {a<x1<a+d}\{a\lt x_1\lt a+d\} に含まれるなら、すべての u∈H01(Ω)u\in H^1_0(\Omega) について ∥u∥≤d ∥∂1u∥\|u\|\le d\,\|\partial_1u\| である。特に ∥∇u∥\|\nabla u\| は H01(Ω)H^1_0(\Omega) 上で ∥u∥H1\|u\|_{H^1} と同値なノルムである。

証明(補題 2.1)

φ∈Cc∞(Ω)\varphi\in C_c^\infty(\Omega) を 00 で延長すると、x=(x1,x′)x=(x_1,x') について φ(x)=∫ax1∂1φ(s,x′) ds\varphi(x)=\int_a^{x_1}\partial_1\varphi(s,x')\,ds です。Cauchy–Schwarz の不等式で ∣φ(x)∣2≤d∫aa+d∣∂1φ(s,x′)∣2ds|\varphi(x)|^2\le d\int_a^{a+d}|\partial_1\varphi(s,x')|^2ds で、x1∈(a,a+d)x_1\in(a,a+d) と x′x' について積分すると ∥φ∥2≤d2∥∂1φ∥2\|\varphi\|^2\le d^2\|\partial_1\varphi\|^2 です。両辺は H1H^1 ノルムについて連続なので、閉包 H01(Ω)H^1_0(\Omega) に延びます。後半は ∥∇u∥2≤∥u∥H12≤(1+d2)∥∇u∥2\|\nabla u\|^2\le\|u\|_{H^1}^2\le(1+d^2)\|\nabla u\|^2 からです。

境界で 00 という条件は外せません。定数関数 1∈H1(Ω)1\in H^1(\Omega) は ∇1=0\nabla1=0 ですが ∥1∥≠0\|1\|\ne0 です。

係数 aij,bi,c∈L∞(Ω)a^{ij},b^i,c\in L^\infty(\Omega)(1≤i,j≤n1\le i,j\le n)に対し、作用素

Lu=−∑i,j=1n∂j(aij∂iu)+∑i=1nbi∂iu+cuLu=-\sum_{i,j=1}^n\partial_j\bigl(a^{ij}\partial_iu\bigr)+\sum_{i=1}^nb^i\partial_iu+cu

を考えます。ある θ>0\theta\gt0 について、ほとんどすべての xx と全ての ξ∈Rn\xi\in\mathbb{R}^n で ∑i,jaij(x)ξiξj≥θ∣ξ∣2\sum_{i,j}a^{ij}(x)\xi_i\xi_j\ge\theta|\xi|^2 が成り立つとき、LL は一様楕円型であるといいます。以下この条件を仮定します。

定義 3.1(弱解)↗

u,v∈H01(Ω)u,v\in H^1_0(\Omega) について

B[u,v]=∫Ω(∑i,jaij ∂iu ∂jv+∑ibi ∂iu v+c uv)dxB[u,v]=\int_\Omega\Bigl(\sum_{i,j}a^{ij}\,\partial_iu\,\partial_jv+\sum_ib^i\,\partial_iu\,v+c\,uv\Bigr)dx

とおく。f∈L2(Ω)f\in L^2(\Omega) に対し、u∈H01(Ω)u\in H^1_0(\Omega) がすべての v∈H01(Ω)v\in H^1_0(\Omega) で B[u,v]=⟨f,v⟩B[u,v]=\langle f,v\rangle を満たすとき、uu を Dirichlet 問題 Lu=fLu=f(Ω\Omega 内)、u=0u=0(∂Ω\partial\Omega 上)の弱解という。

係数が滑らかで u∈C2(Ω)u\in C^2(\Omega) が古典的に Lu=fLu=f を満たすなら、v∈Cc∞(Ω)v\in C_c^\infty(\Omega) を掛けて部分積分すると(境界項は vv の台がコンパクトなので出ない)B[u,v]=⟨f,v⟩B[u,v]=\langle f,v\rangle です。Cc∞(Ω)C_c^\infty(\Omega) は H01(Ω)H^1_0(\Omega) で稠密で両辺は vv について連続なので、u∈H01u\in H^1_0 でもあれば弱解です。逆に弱解が滑らかなら古典解であることは、次章の正則性の理論の主題です。

定理 3.2(Lax–Milgram の定理)✓

HH を実 Hilbert 空間、B:H×H→RB:H\times H\to\mathbb{R} を双線形形式とし、定数 α,β>0\alpha,\beta\gt0 について

∣B[u,v]∣≤α∥u∥∥v∥,B[u,u]≥β∥u∥2(u,v∈H)|B[u,v]|\le\alpha\|u\|\|v\|,\qquad B[u,u]\ge\beta\|u\|^2\qquad(u,v\in H)

が成り立つとする。このとき任意の有界線形汎関数 F∈H∗F\in H^* に対し、すべての v∈Hv\in H で B[u,v]=F(v)B[u,v]=F(v) を満たす u∈Hu\in H がただ一つ存在し、∥u∥≤∥F∥/β\|u\|\le\|F\|/\beta である。

証明の方針は次のとおりです。B[u,⋅]B[u,\cdot] を Riesz の表現定理で HH の元 AuAu に直すと、求めるものは Au=fAu=f を解くことになります。そこで AA が単射で、値域が閉かつ稠密(したがって全体)であることを順に示します。

証明(定理 3.2)

uu を固定すると v↦B[u,v]v\mapsto B[u,v] は有界線形汎関数なので、Riesz の表現定理(定理 4.2[Hilbert 空間の基礎])により B[u,v]=⟨Au,v⟩B[u,v]=\langle Au,v\rangle となる Au∈HAu\in H がただ一つあります。一意性から AA は線形で、∥Au∥=sup⁡∥v∥≤1B[u,v]≤α∥u∥\|Au\|=\sup_{\|v\|\le1}B[u,v]\le\alpha\|u\| です。

AA は単射で値域は閉。 β∥u∥2≤B[u,u]=⟨Au,u⟩≤∥Au∥∥u∥\beta\|u\|^2\le B[u,u]=\langle Au,u\rangle\le\|Au\|\|u\| から ∥Au∥≥β∥u∥\|Au\|\ge\beta\|u\| です。単射性はこれから明らかです。Auk→wAu_k\to w なら ∥uk−ul∥≤β−1∥Auk−Aul∥\|u_k-u_l\|\le\beta^{-1}\|Au_k-Au_l\| なので (uk)(u_k) は Cauchy 列で、極限 uu について Au=wAu=w です。

値域は稠密。 w⊥A(H)w\perp A(H) なら 0=⟨Aw,w⟩=B[w,w]≥β∥w∥20=\langle Aw,w\rangle=B[w,w]\ge\beta\|w\|^2 なので w=0w=0 です。系 3.7[Hilbert 空間の基礎] から値域は稠密で、閉なので HH 全体です。

結論。 F(v)=⟨f,v⟩F(v)=\langle f,v\rangle となる ff を Riesz の表現定理でとり、u=A−1fu=A^{-1}f とすれば B[u,v]=⟨f,v⟩=F(v)B[u,v]=\langle f,v\rangle=F(v) です。一意性は AA の単射性、評価は β∥u∥≤∥Au∥=∥f∥=∥F∥\beta\|u\|\le\|Au\|=\|f\|=\|F\| です。

BB が対称なら、BB 自身が HH の同値な内積で、定理は Riesz の表現定理そのものです。Lax–Milgram の定理の価値は、1 階の項 bi∂iub^i\partial_iu がある非対称な場合にも使えることにあります。

定理 4.1(Gårding 不等式(エネルギー評価))✓

定数 α,β>0\alpha,\beta\gt0、γ≥0\gamma\ge0 があって、すべての u,v∈H01(Ω)u,v\in H^1_0(\Omega) について

∣B[u,v]∣≤α∥u∥H1∥v∥H1,β∥u∥H12≤B[u,u]+γ∥u∥2.|B[u,v]|\le\alpha\|u\|_{H^1}\|v\|_{H^1},\qquad\beta\|u\|_{H^1}^2\le B[u,u]+\gamma\|u\|^2 .

β=θ/2\beta=\theta/2、γ=∥b∥∞22θ+∥c∥∞+θ2\gamma=\frac{\|b\|_\infty^2}{2\theta}+\|c\|_\infty+\frac\theta2 ととれる。ここで ∥b∥∞=ess sup⁡x∣b(x)∣\|b\|_\infty=\operatorname{ess\,sup}_x|b(x)|(b=(b1,…,bn)b=(b^1,\ldots,b^n))である。

証明の途中の不等式 ab≤θ2a2+12θb2ab\le\frac\theta2a^2+\frac1{2\theta}b^2 は、1 階の項に a=∥∇u∥a=\|\nabla u\|、b=∥b∥∞∥u∥b=\|b\|_\infty\|u\| を当てはめて使います。∥∇u∥\|\nabla u\| の項を左辺に吸収し、∥u∥2\|u\|^2 の項に回すのがねらいです。

証明(定理 4.1)

第 1 式は、各項に Cauchy–Schwarz の不等式を使えば、α\alpha を係数の L∞L^\infty ノルムの和にとって成り立ちます。第 2 式は、楕円性と、ab≤θ2a2+12θb2ab\le\frac\theta2a^2+\frac1{2\theta}b^2 の形の不等式から

θ∥∇u∥2≤∫∑aij∂iu ∂ju=B[u,u]−∫(∑bi∂iu)u−∫cu2≤B[u,u]+θ2∥∇u∥2+∥b∥∞22θ∥u∥2+∥c∥∞∥u∥2\theta\|\nabla u\|^2\le\int\sum a^{ij}\partial_iu\,\partial_ju=B[u,u]-\int\Bigl(\sum b^i\partial_iu\Bigr)u-\int cu^2\le B[u,u]+\frac\theta2\|\nabla u\|^2+\frac{\|b\|_\infty^2}{2\theta}\|u\|^2+\|c\|_\infty\|u\|^2

です。θ2∥∇u∥2\frac\theta2\|\nabla u\|^2 を左辺に移し、両辺に θ2∥u∥2\frac\theta2\|u\|^2 を足せば主張です。

定理 4.2(弱解の存在と一意性)✓

定理 4.1 の γ\gamma について、μ≥γ\mu\ge\gamma なら、任意の f∈L2(Ω)f\in L^2(\Omega) に対し Lu+μu=fLu+\mu u=f の弱解 u∈H01(Ω)u\in H^1_0(\Omega) がただ一つ存在し、∥u∥H1≤β−1∥f∥\|u\|_{H^1}\le\beta^{-1}\|f\| を満たす。さらに b=0b=0、c≥0c\ge0(a.e.)なら μ=0\mu=0 でも同じ結論が成り立つ。

証明(定理 4.2)

Bμ[u,v]=B[u,v]+μ⟨u,v⟩B_\mu[u,v]=B[u,v]+\mu\langle u,v\rangle は有界で、定理 4.1 から Bμ[u,u]≥β∥u∥H12B_\mu[u,u]\ge\beta\|u\|_{H^1}^2 です。F(v)=⟨f,v⟩F(v)=\langle f,v\rangle は ∣F(v)∣≤∥f∥∥v∥H1|F(v)|\le\|f\|\|v\|_{H^1} を満たすので、定理 3.2 を H=H01(Ω)H=H^1_0(\Omega) に使います。後半は、b=0b=0、c≥0c\ge0 なら B[u,u]≥θ∥∇u∥2≥θ1+d2∥u∥H12B[u,u]\ge\theta\|\nabla u\|^2\ge\frac\theta{1+d^2}\|u\|_{H^1}^2(補題 2.1、dd は Ω\Omega の直径)なので、同じ議論が μ=0\mu=0 で使えるからです。

定理 4.3(Fredholm の択一)✓

次のいずれか一方だけが成り立つ。

  • (a) 任意の f∈L2(Ω)f\in L^2(\Omega) に対し、Lu=fLu=f の弱解 u∈H01(Ω)u\in H^1_0(\Omega) がただ一つ存在する。
  • (b) Lu=0Lu=0 が 00 でない弱解 u∈H01(Ω)u\in H^1_0(\Omega) をもつ。

(b) の場合、Lu=0Lu=0 の弱解全体は有限次元である。

証明の方針は次のとおりです。前の定理により、γ\gamma を足した方程式 Lu+γu=fLu+\gamma u=f は常に解けるので、その解を与える写像 GG が使えます。GG は L2L^2 から H01H^1_0 への写像ですが、H01H^1_0 から L2L^2 への包含がコンパクトなので、L2L^2 から L2L^2 への作用素とみるとコンパクトになります。Lu=fLu=f を u=K(f+γu)u=K(f+\gamma u) と書き直して整理すると λ=1/γ\lambda=1/\gamma の形が現れ、コンパクト作用素の Fredholm の択一が使えます。

証明(定理 4.3)

γ>0\gamma\gt0 を 定理 4.2 のとおりとし(γ=0\gamma=0 なら大きくとり直す)、f∈L2f\in L^2 に Lu+γu=fLu+\gamma u=f の弱解を対応させる写像を G:L2→H01G:L^2\to H^1_0 とします。GG は有界線形で、包含 H01(Ω)→L2(Ω)H^1_0(\Omega)\to L^2(\Omega) はコンパクト(系 5.2[Sobolev 空間])なので、K=GK=G を L2L^2 から L2L^2 への作用素とみたものはコンパクトです(命題 3.2[コンパクト作用素・Hilbert–Schmidt 作用素・トレースクラス])。

u∈H01u\in H^1_0 が Lu=fLu=f の弱解であることは、Lu+γu=f+γuLu+\gamma u=f+\gamma u の弱解であること、すなわち u=K(f+γu)u=K(f+\gamma u) と同値です。逆に u∈L2u\in L^2 が u=K(f+γu)u=K(f+\gamma u) を満たせば u∈G(L2)⊂H01u\in G(L^2)\subset H^1_0 なので、L2L^2 の方程式

(K−1γ)u=−1γKf\Bigl(K-\frac1\gamma\Bigr)u=-\frac1\gamma Kf

の解と Lu=fLu=f の弱解は一致します。定理 5.3[コンパクト作用素・Hilbert–Schmidt 作用素・トレースクラス] を λ=1/γ\lambda=1/\gamma に使えば、(a) 右辺がどんな L2L^2 の元でも一意に解けるか、(b) Ker⁡(K−1/γ)≠{0}\operatorname{Ker}(K-1/\gamma)\ne\{0\}(有限次元)のどちらかです。(a) の場合は特に −1γKf-\frac1\gamma Kf の形の右辺について一意に解け、(b) の核は f=0f=0 の場合、すなわち Lu=0Lu=0 の弱解全体です。

第 6 章で見るように、L=−Δ−λL=-\Delta-\lambda では (b) が起きるのはちょうど λ\lambda が Dirichlet ラプラシアンの固有値のときです。

定理 5.1(Dirichlet 原理)✓

f∈L2(Ω)f\in L^2(\Omega) とし、I[w]=∫Ω(12∣∇w∣2−fw)dxI[w]=\int_\Omega\bigl(\frac12|\nabla w|^2-fw\bigr)dx(w∈H01(Ω)w\in H^1_0(\Omega))とおく。u∈H01(Ω)u\in H^1_0(\Omega) について次は同値である。

  1. uu は −Δu=f-\Delta u=f の弱解である。すなわち、すべての v∈H01v\in H^1_0 で ⟨∇u,∇v⟩=⟨f,v⟩\langle\nabla u,\nabla v\rangle=\langle f,v\rangle。
  2. I[u]=min⁡w∈H01(Ω)I[w]I[u]=\min_{w\in H^1_0(\Omega)}I[w]。

このような uu はただ一つ存在する。

証明(定理 5.1)

u,v∈H01u,v\in H^1_0 と t∈Rt\in\mathbb{R} について、展開すると

I[u+tv]=I[u]+t(⟨∇u,∇v⟩−⟨f,v⟩)+t22∥∇v∥2I[u+tv]=I[u]+t\bigl(\langle\nabla u,\nabla v\rangle-\langle f,v\rangle\bigr)+\frac{t^2}2\|\nabla v\|^2

です。1 なら第 2 項が消えるので I[u+v]≥I[u]I[u+v]\ge I[u] で、2 が成り立ちます。2 なら t↦I[u+tv]t\mapsto I[u+tv] は t=0t=0 で最小なので、tt の 1 次の係数は 00 で、1 が成り立ちます。存在と一意性は 定理 4.2(b=0b=0、c=0c=0)からです。

この定理では存在を Lax–Milgram の定理で得ました。次の定理は、最小点を直接作る方法(直接法)で、非線形の汎関数にも使えます。

定理 5.2(凸積分汎関数の直接法)✓

F:Ω×Rn→RF:\Omega\times\mathbb{R}^n\to\mathbb{R}、G:Ω×R→RG:\Omega\times\mathbb{R}\to\mathbb{R} は、xx について可測、pp(または zz)について凸で C1C^1 級とし、定数 λ>0\lambda\gt0、C≥0C\ge0 と g0∈L1(Ω)g_0\in L^1(\Omega)、g1∈L2(Ω)g_1\in L^2(\Omega) について次を満たすとする。

λ∣p∣2−g0(x)≤F(x,p)≤C∣p∣2+g0(x),∣∇pF(x,p)∣≤C∣p∣+g1(x),\lambda|p|^2-g_0(x)\le F(x,p)\le C|p|^2+g_0(x),\qquad|\nabla_pF(x,p)|\le C|p|+g_1(x),∣G(x,z)∣≤Cz2+g0(x),∣∂zG(x,z)∣≤C∣z∣+g1(x).|G(x,z)|\le Cz^2+g_0(x),\qquad|\partial_zG(x,z)|\le C|z|+g_1(x).

このとき I[w]=∫Ω(F(x,∇w)+G(x,w))dxI[w]=\int_\Omega\bigl(F(x,\nabla w)+G(x,w)\bigr)dx は H01(Ω)H^1_0(\Omega) 上で最小値をとる。

証明は 3 段階です。まず II が下に有界で、最小化列が有界になること(強圧性)を示します。次にその列から弱収束する部分列を取り出します。最後に、凸関数のグラフが接線より上にあることを積分して、極限の値が列の値の極限以下になること(弱下半連続性)を示し、極限が最小点であると結論します。途中で閉線形包(列が張る閉部分空間)に移るのは、そこで弱収束する部分列を取り出し、あとで H01H^1_0 全体に戻すためです。

証明(定理 5.2)

仮定から II は H01H^1_0 上の有限な値をとります。

強圧性。 GG の凸性から G(x,z)≥G(x,0)+∂zG(x,0)z≥−g0−g1∣z∣G(x,z)\ge G(x,0)+\partial_zG(x,0)z\ge-g_0-g_1|z| なので、補題 2.1(dd は Ω\Omega の直径)と Cauchy–Schwarz の不等式から

I[w]≥λ∥∇w∥2−2∥g0∥L1−∥g1∥ d ∥∇w∥I[w]\ge\lambda\|\nabla w\|^2-2\|g_0\|_{L^1}-\|g_1\|\,d\,\|\nabla w\|

です。よって II は下に有界で、I[w]≤MI[w]\le M となる ww 全体は H01H^1_0 で有界です。

最小化列と弱収束。 m=inf⁡Im=\inf I とし、I[wk]→mI[w_k]\to m となる列をとると、(wk)(w_k) は H01H^1_0 で有界です。(wk)(w_k) の閉線形包 H0H_0 は可分な Hilbert 空間なので、定理 5.5[Hilbert 空間の基礎] により H0H_0 で弱収束する部分列(同じ記号で書く)と極限 w∈H0⊂H01w\in H_0\subset H^1_0 があります。H01H^1_0 の任意の元 zz は H0H_0 への射影 PzPz と直交成分に分かれ、⟨wk,z⟩H1=⟨wk,Pz⟩H1\langle w_k,z\rangle_{H^1}=\langle w_k,Pz\rangle_{H^1} なので、wk⇀ww_k\rightharpoonup w は H01H^1_0 でも成り立ちます。写像 w↦∂iww\mapsto\partial_iw、w↦ww\mapsto w は H01H^1_0 から L2L^2 への有界線形写像なので、L2L^2 で ∇wk⇀∇w\nabla w_k\rightharpoonup\nabla w、wk⇀ww_k\rightharpoonup w です。

弱下半連続性。 凸な C1C^1 関数は接平面の上にあるので、F(x,q)≥F(x,p)+∇pF(x,p)⋅(q−p)F(x,q)\ge F(x,p)+\nabla_pF(x,p)\cdot(q-p)、GG も同様です。p=∇wp=\nabla w、q=∇wkq=\nabla w_k として積分すると

I[wk]≥I[w]+∫∇pF(x,∇w)⋅(∇wk−∇w) dx+∫∂zG(x,w)(wk−w) dxI[w_k]\ge I[w]+\int\nabla_pF(x,\nabla w)\cdot(\nabla w_k-\nabla w)\,dx+\int\partial_zG(x,w)(w_k-w)\,dx

です。増大度の仮定から ∇pF(x,∇w)∈L2\nabla_pF(x,\nabla w)\in L^2、∂zG(x,w)∈L2\partial_zG(x,w)\in L^2 なので、弱収束から最後の 2 項は 00 に収束します。よって I[w]≤lim inf⁡I[wk]=mI[w]\le\liminf I[w_k]=m で、ww は最小点です。

証明の 3 段階(強圧性 → 弱コンパクト性 → 弱下半連続性)が直接法の型です。凸性は弱下半連続性のためだけに使いました。凸性がないと、最小化列が細かく振動して下限が達成されないことがあります(Weierstrass の批判の現代版)。

定理 5.3(Euler–Lagrange 方程式)✓

定理 5.2 の仮定のもとで、u∈H01(Ω)u\in H^1_0(\Omega) について次は同値である。

  1. uu は II の最小点である。
  2. すべての v∈H01(Ω)v\in H^1_0(\Omega) で
∫Ω(∇pF(x,∇u)⋅∇v+∂zG(x,u) v)dx=0.\int_\Omega\Bigl(\nabla_pF(x,\nabla u)\cdot\nabla v+\partial_zG(x,u)\,v\Bigr)dx=0 .

すなわち uu は −div⁡(∇pF(x,∇u))+∂zG(x,u)=0-\operatorname{div}\bigl(\nabla_pF(x,\nabla u)\bigr)+\partial_zG(x,u)=0、u∣∂Ω=0u|_{\partial\Omega}=0 の弱解である。

証明(定理 5.3)

1 ⇒ 2. j(t)=I[u+tv]j(t)=I[u+tv] は t=0t=0 で最小です。0<∣t∣≤10\lt|t|\le1 について

F(x,∇u+t∇v)−F(x,∇u)t=∫01∇pF(x,∇u+st∇v)⋅∇v ds\frac{F(x,\nabla u+t\nabla v)-F(x,\nabla u)}t=\int_0^1\nabla_pF(x,\nabla u+st\nabla v)\cdot\nabla v\,ds

で、右辺の絶対値は (C(∣∇u∣+∣∇v∣)+g1)∣∇v∣∈L1\bigl(C(|\nabla u|+|\nabla v|)+g_1\bigr)|\nabla v|\in L^1 で抑えられ、t→0t\to0 で ∇pF(x,∇u)⋅∇v\nabla_pF(x,\nabla u)\cdot\nabla v に収束します。GG の項も同様なので、優収束定理から jj は t=0t=0 で微分可能で、j′(0)j'(0) が 2 の左辺です。最小点なので j′(0)=0j'(0)=0 です。

2 ⇒ 1. 定理 5.2 の証明の接平面の不等式を ww と uu について使うと、I[w]≥I[u]+(2 の左辺で v=w−u)=I[u]I[w]\ge I[u]+(\text{2 の左辺で }v=w-u)=I[u] です。

例 5.4(変分問題の例)

  1. F=12∣p∣2F=\frac12|p|^2、G=−f(x)zG=-f(x)z(f∈L2f\in L^2): Euler–Lagrange 方程式は −Δu=f-\Delta u=f で、定理 5.1 に戻ります。
  2. F=12∑i,jaij(x)pipjF=\frac12\sum_{i,j}a^{ij}(x)p_ip_j(aij=ajia^{ij}=a^{ji}、一様楕円型)、G=12c(x)z2−f(x)zG=\frac12c(x)z^2-f(x)z(c≥0c\ge0): 対称な線形方程式 −∑∂j(aij∂iu)+cu=f-\sum\partial_j(a^{ij}\partial_iu)+cu=f です。
  3. F=12∣p∣2F=\frac12|p|^2、G=log⁡cosh⁡z−f(x)zG=\log\cosh z-f(x)z: GG は凸で ∣∂zG∣=∣tanh⁡z−f∣≤1+∣f∣|\partial_zG|=|\tanh z-f|\le1+|f| なので定理が使え、非線形方程式 −Δu+tanh⁡u=f-\Delta u+\tanh u=f の弱解が得られます。FF が狭義凸なので、2 つの最小点 u1,u2u_1,u_2 があると 12(u1+u2)\frac12(u_1+u_2) で値が真に小さくなり(∇u1≠∇u2\nabla u_1\ne\nabla u_2 のとき)、最小点は一意です。
  4. 極小曲面の汎関数 F=1+∣p∣2F=\sqrt{1+|p|^2} は凸ですが ∣p∣|p| の 1 次でしか増えず、強圧性の仮定を満たしません。この場合 H1H^1 では最小化列が有界にならず、有界変動関数の空間に舞台を移す必要があります。

LL が対称、すなわち aij=ajia^{ij}=a^{ji}、b=0b=0 の場合を考えます。c≥−Mc\ge-M(a.e.)とします。

命題 6.1(弱解と形式の表す作用素)✓

aij=ajia^{ij}=a^{ji}、b=0b=0 とする。q(u,v)=B[u,v]q(u,v)=B[u,v](Q(q)=H01(Ω)Q(q)=H^1_0(\Omega))は L2(Ω)L^2(\Omega) 上の下に有界な対称閉形式である。定理 4.2[自己共役性の判定] で qq に対応する自己共役作用素を LDL_D とすると、u∈D(LD)u\in D(L_D) かつ LDu=fL_Du=f であることと、uu が Lu=fLu=f の弱解であることは同値である。特に aij=δija^{ij}=\delta_{ij}、c=0c=0 のとき、LDL_D は Cc∞(Ω)C_c^\infty(\Omega) 上の −Δ-\Delta の Friedrichs 拡大に一致する。これを Dirichlet ラプラシアン −ΔD-\Delta_D という。

証明(命題 6.1)

Cc∞(Ω)C_c^\infty(\Omega) は L2(Ω)L^2(\Omega) で稠密(補題 2.2[Schwartz 空間と緩増加超関数])なので、Q(q)Q(q) も稠密です。q(u,u)≥−M∥u∥2q(u,u)\ge-M\|u\|^2 は楕円性から出ます。定理 4.1 から、q(u,u)+(M+1)∥u∥2q(u,u)+(M+1)\|u\|^2 から来るノルムは H1H^1 ノルムと同値で、H01H^1_0 は完備なので qq は閉です(定義 4.1[自己共役性の判定])。

u∈D(LD)u\in D(L_D)、LDu=fL_Du=f なら、表現定理の 1 から全ての v∈H01v\in H^1_0 で B[v,u]=⟨v,f⟩B[v,u]=\langle v,f\rangle、対称性から uu は弱解です。逆に弱解なら、表現定理の 3 から u∈D(LD)u\in D(L_D)、LDu=fL_Du=f です。

最後の主張: φ,ψ∈Cc∞(Ω)\varphi,\psi\in C_c^\infty(\Omega) について q(φ,ψ)=⟨∇φ,∇ψ⟩=⟨φ,−Δψ⟩q(\varphi,\psi)=\langle\nabla\varphi,\nabla\psi\rangle=\langle\varphi,-\Delta\psi\rangle(部分積分)です。Cc∞C_c^\infty 上の形式の閉包は、ノルムの同値性から H01H^1_0 上の qq に等しいので、Friedrichs 拡大(定理 6.1[自己共役性の判定])の定義の作用素と LDL_D は一致します。

「境界条件 u=0u=0」は、作用素の定義域にではなく形式の定義域 H01H^1_0 に組み込まれています。H1(Ω)H^1(\Omega) を形式定義域にとると、自然境界条件(形式の定義域に課さなかった条件が、最小化の結果として自然に出てくるもの)として Neumann 条件 ∂νu=0\partial_\nu u=0 が現れます。第 6 章では、この 2 つの形式を比べて固有値を数えます。また、ポテンシャル VV が −ΔD-\Delta_D に関して形式の意味で相対限界 11 未満なら、KLMN の定理(定理 5.2[自己共役性の判定])で −ΔD+V-\Delta_D+V が自己共役作用素として定まり、VV が L∞L^\infty に入らない場合(Coulomb ポテンシャルなど)も同じ枠組みで扱えます。

演習 7.1易

μ≥0\mu\ge0、f∈L2(Ω)f\in L^2(\Omega) とし、u∈H01(Ω)u\in H^1_0(\Omega) を −Δu+μu=f-\Delta u+\mu u=f の弱解とする。Ω\Omega の直径を dd として ∥∇u∥≤d ∥f∥\|\nabla u\|\le d\,\|f\| を示せ。

解答

v=uv=u を代入すると ∥∇u∥2+μ∥u∥2=⟨f,u⟩≤∥f∥∥u∥≤d∥f∥∥∇u∥\|\nabla u\|^2+\mu\|u\|^2=\langle f,u\rangle\le\|f\|\|u\|\le d\|f\|\|\nabla u\|(補題 2.1)です。μ∥u∥2≥0\mu\|u\|^2\ge0 を捨てて ∥∇u∥\|\nabla u\| で割ります(∇u=0\nabla u=0 なら自明)。

演習 7.2標準

H=ℓ2H=\ell^2(実数列)、SS を右シフト S(u1,u2,…)=(0,u1,u2,…)S(u_1,u_2,\ldots)=(0,u_1,u_2,\ldots) とし、B[u,v]=⟨Su,v⟩B[u,v]=\langle Su,v\rangle とおく。BB は有界だが、F(v)=v1F(v)=v_1 に対して B[u,v]=F(v)B[u,v]=F(v)(全ての vv)を満たす uu は存在しないことを示せ。定理 3.2 のどの仮定が破れているか答えよ。

解答

∣B[u,v]∣≤∥Su∥∥v∥=∥u∥∥v∥|B[u,v]|\le\|Su\|\|v\|=\|u\|\|v\| なので有界です。B[u,v]=v1=⟨e1,v⟩B[u,v]=v_1=\langle e_1,v\rangle が全ての vv で成り立てば Su=e1Su=e_1 ですが、SuSu の第 1 成分は常に 00 なので不可能です。B[e1,e1]=⟨e2,e1⟩=0B[e_1,e_1]=\langle e_2,e_1\rangle=0 なので強圧性 B[u,u]≥β∥u∥2B[u,u]\ge\beta\|u\|^2 が破れています。証明の中では、A=SA=S の値域が閉だが稠密でない(e1e_1 が直交補空間に入る)ところで議論が止まります。

演習 7.3標準

Ω\Omega を滑らかな境界をもつ有界領域、f∈L2(Ω)f\in L^2(\Omega) とし、u∈H1(Ω)u\in H^1(\Omega) が J[w]=∫Ω(12∣∇w∣2+12w2−fw)dxJ[w]=\int_\Omega\bigl(\frac12|\nabla w|^2+\frac12w^2-fw\bigr)dx の H1(Ω)H^1(\Omega)(H01H^1_0 ではない)での最小点であるとする。さらに u∈C2(Ωˉ)u\in C^2(\bar\Omega)、ff が連続ならば、Ω\Omega で −Δu+u=f-\Delta u+u=f、∂Ω\partial\Omega で ∂νu=0\partial_\nu u=0 が成り立つことを示せ。

解答

定理 5.1 の証明と同じ展開で、全ての v∈H1(Ω)v\in H^1(\Omega) について ⟨∇u,∇v⟩+⟨u,v⟩=⟨f,v⟩\langle\nabla u,\nabla v\rangle+\langle u,v\rangle=\langle f,v\rangle です。v∈Cc∞(Ω)v\in C_c^\infty(\Omega) として部分積分すると ∫(−Δu+u−f)v=0\int(-\Delta u+u-f)v=0 で、補題 2.2[Schwartz 空間と緩増加超関数] の 3 と連続性から Ω\Omega で −Δu+u=f-\Delta u+u=f です。次に vv を多項式(の Ωˉ\bar\Omega への制限、H1(Ω)H^1(\Omega) に入る)とし、Green の公式(系 2.2[ラプラス方程式と調和関数])を使うと、方程式から体積項が消えて ∫∂Ωv ∂νu dS=0\int_{\partial\Omega}v\,\partial_\nu u\,dS=0 です。多項式はコンパクト集合 ∂Ω\partial\Omega 上の連続関数を一様近似できる(定理 4.3[Arzelà–Ascoli と Stone–Weierstrass])ので、v→∂νuv\to\partial_\nu u と近似して ∫∂Ω(∂νu)2dS=0\int_{\partial\Omega}(\partial_\nu u)^2dS=0、よって ∂νu=0\partial_\nu u=0 です。境界条件を課さずに最小化すると、境界条件が「自然に」現れます。

  • L. C. Evans, Partial Differential Equations, 2nd ed., American Mathematical Society, 2010 — Chapter 6.1–6.2(弱解・Lax–Milgram・エネルギー評価・Fredholm の択一)、Chapter 8.1–8.2(直接法・Euler–Lagrange 方程式)。
  • D. Gilbarg, N. S. Trudinger, Elliptic Partial Differential Equations of Second Order, Springer, 2001(Classics in Mathematics 版)— Chapter 8。
  • H. Brezis, Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations, Springer, 2011 — Chapters 5 and 9。
  • B. Dacorogna, Introduction to the Calculus of Variations, 3rd ed., Imperial College Press, 2015 — 直接法の章。
  • M. Reed, B. Simon, Methods of Modern Mathematical Physics II: Fourier Analysis, Self-Adjointness, Academic Press, 1975 — Section X.3(形式の方法と Friedrichs 拡大)。

このテーマの 100 本ノック(50 問)

執筆: Claude Code(Opus 5.5)、Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 2 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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