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格子スカラー場:φ⁴ 理論の κ・λ パラメータ、格子摂動論、hopping parameter 展開

対象読者: 本テーマ第 1〜2 章の転送行列と反射正値性、および学部レベルの Fourier 変換と Gauss 積分を学んだ人。場の量子論の摂動論は、この章で必要な分を説明します。

前提となる記事:反射正値性と格子からの Hilbert 空間の再構成:転送行列の正値性を測度の性質として読む

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空間と時間を細かい碁盤の目に区切り、その各交点に 1 つずつ数を置くと、粒子の理論を「たくさんの数の統計」として扱えます。この記事は、そのいちばん簡単な例を、2 つのパラメータ(隣り合う点の結びつきの強さと、自己相互作用の強さ)で書き表す方法の話です。読み終えると、碁盤の目の上の粒子が連続な世界の粒子とどこで同じでどこが違うか、結びつきが弱いときに答えをどう数え上げるか、結びつきを強めると磁石のような相転移が起きること、を説明できるようになります。

  • 格子 ϕ4\phi^4 理論の作用は、無次元の場 ϕ\phi について S=∑x[−2κ∑μϕ(x)ϕ(x+aμ^)+ϕ(x)2+λ(ϕ(x)2−1)2]S=\sum_x\bigl[-2\kappa\sum_\mu\phi(x)\phi(x+a\hat\mu)+\phi(x)^2+\lambda(\phi(x)^2-1)^2\bigr] と書けます。連続理論の素朴な離散化とは a2m02=(1−2λ)/κ−2da^2m_0^2=(1-2\lambda)/\kappa-2d、a4−dg0=6λ/κ2a^{4-d}g_0=6\lambda/\kappa^2 で 1 対 1 に対応します(命題 3.2)。
  • 自由場の伝播関数は (p^2+m02)−1(\hat p^2+m_0^2)^{-1}、p^μ=(2/a)sin⁡(apμ/2)\hat p_\mu=(2/a)\sin(ap_\mu/2) で、時間方向に積分すると厳密に e−ω∣t∣e^{-\omega|t|} で減衰します。分散関係は cosh⁡(aω)=1+a22(m02+p^2)\cosh(a\omega)=1+\tfrac{a^2}{2}(m_0^2+\hat{\boldsymbol p}^2) です(命題 4.2)。
  • 格子摂動論のファインマン則は連続理論とほぼ同じで、違いは運動量が Brillouin 域に限られ、保存則が 2π/a2\pi/a を法として成り立つことです。1 ループの質量シフトは a−2a^{-2} に比例し、臨界線の位置をずらします。
  • 超立方群で不変な次元 4 以下の局所演算子は自動的に O(4) 不変です(命題 5.5)。回転対称性の破れは O(a2)O(a^2) の補正としてしか残りません。
  • κ=0\kappa=0 では各格子点が独立になり、そのまわりで展開したものが hopping parameter 展開(高温展開)です。2 点関数の低次項は 1 点モーメント γk\gamma_k と格子上の歩道の数で決まります(定理 6.6)。
  • λ→∞\lambda\to\infty で場は ±1\pm1 に制限され、模型は Ising 模型になります(命題 7.1)。d≥2d\ge2 では有限の κc\kappa_c で Z2\mathbb{Z}_2 対称性(ϕ↦−ϕ\phi\mapsto-\phi の符号反転に対する不変性)が自発的に破れます。

格子正則化の目的は、摂動論に頼らずに場の理論を定義し、計算することです。最も簡単な相互作用する理論が 1 成分の ϕ4\phi^4 理論であり、格子場の理論の道具(転送行列、相関距離、臨界点、連続極限、くりこまれた量の定義)はほぼすべてこの模型で一度試せます。標準模型の Higgs 場も、ゲージ場と湯川結合を切れば 4 成分の ϕ4\phi^4 理論です。

連続理論の作用 ∫[12(∂ϕ0)2+12m02ϕ02+g04!ϕ04]\int\bigl[\tfrac12(\partial\phi_0)^2+\tfrac12m_0^2\phi_0^2+\tfrac{g_0}{4!}\phi_0^4\bigr] を素朴に離散化すると、パラメータは (am0)2(am_0)^2 と g0g_0 になります。しかし非摂動的な計算では、別のパラメータ付けの方が便利です。隣接点を結ぶ項の係数 κ\kappa(hopping parameter)を前面に出すと、κ=0\kappa=0 が「各点が独立な可解な極限」になり、そこからの展開が組めます。また λ→∞\lambda\to\infty が素直に Ising 模型になります。統計力学の言葉では、κ\kappa は逆温度に当たり、κ\kappa の小さい側が高温(無秩序)相です。

この章ではまず両パラメータ付けの辞書を作り、自由場と摂動論で「格子の上の粒子」がどう見えるかを確認します。次に、κ\kappa についての展開と Ising 極限で非摂動的な側から相構造を眺めます。ここで準備した量(感受率 χ2\chi_2、2 次モーメント μ2\mu_2)は、次章 でくりこまれた質量・結合を定義し、4 次元の自明性を論じるときの出発点になります。Euclid 経路積分と転送行列の一般論は Euclid 経路積分と転送行列 と 反射正値性 を前提とします。

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執筆: Claude Code(Opus 5.5)、Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 3 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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