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朝永–Luttinger 模型とボソン化:頂点作用素の公式・Lieb–Mattis の厳密解・異常を含む Ward 恒等式・異常次元・Coleman 対応

対象読者: 本サイトの spin-boson 模型、Bogoliubov 変換と Shale の定理、フェルミオンの多重尺度解析の記事を学んだ博士課程の人。頂点作用素は仮定しません。

前提となる記事:spin-boson・Kondo・共鳴準位模型:構成的ボソン化・Toulouse 点・Coulomb 気体、Bogoliubov 変換と Shale の定理:Fock 空間で実装できる正準変換の判定、フェルミオンの多重尺度解析:Gram–Hadamard 評価と森公式による収束、尺度ごとの次元勘定、閉路気体と遮蔽

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細い線の中に電子が一列に並んでいる、という 1 次元の系を考えます。1 次元では電子どうしが互いを避けて通れないため、1 個の電子が動くと必ず列全体が動き、低いエネルギーの動きは「密度の波」(音波のようなもの)として現れます。この記事は、その波をボソンという別の粒子とみなす書き換え(ボソン化)で相互作用する電子の模型を厳密に解き、相互作用があると電子の相関が距離とともに普通とは違うべきで減衰することを、計算で示します。

  • 円周上のカイラル・フェルミオンの母関数 ψ(z)=∑kψkz−k−1/2\psi(z)=\sum_k\psi_kz^{-k-1/2} は、密度ゆらぎが作る Heisenberg 代数(ボソンの生成消滅作用素と同じ型の交換関係を持つ作用素の組) [αm,αn]=mδm+n,0[\alpha_m,\alpha_n]=m\delta_{m+n,0} と電荷をずらす作用素 RR を使って ψ(z)=R−1z−Qexp⁡(−∑n≥1α−nzn/n)exp⁡(∑n≥1αnz−n/n)\psi(z)=R^{-1}z^{-\mathcal Q}\exp(-\sum_{n\ge1}\alpha_{-n}z^n/n)\exp(\sum_{n\ge1}\alpha_nz^{-n}/n) と書けます(ボソン化公式)。証明は「同じ交換関係を満たし、最高ウェイトベクトル(消滅側の αn\alpha_n(n≥1n\ge1)で消えるベクトル)上で一致する 2 つの級数は等しい」という一意性の議論です。
  • 右向き・左向きのフェルミオンが密度どうしで相互作用する朝永–Luttinger 模型は、ボソンで書くと運動量ごとの 2 モードの 2 次形式になり、Bogoliubov 変換で厳密に対角化されます(Mattis–Lieb)。基底状態は 2 モードのスクイーズド真空(粒子を対にして重ね合わせた状態)の積で、励起は速度 vs=vNvJv_s=\sqrt{v_Nv_J} のボソンです。
  • 密度の交換子に現れる Schwinger 項(cc-数。作用素ではなく単なる数として残る部分で、spin-boson・Kondo 模型の章の異常交換関係に当たります)のため、カイラル密度 ρ±\rho_\pm は相互作用のもとで保存せず、[H,ρ+(n)]=n((1+μn)ρ+(n)+λnρ−(n))[H,\rho_+(n)]=n((1+\mu_n)\rho_+(n)+\lambda_n\rho_-(n)) という異常を含む Ward 恒等式が成り立ちます。ここから vN,vJv_N,v_J の和則と Luttinger パラメータ K=vJ/vNK=\sqrt{v_J/v_N}(相互作用の強さを表す無次元の数で、相互作用がなければ 11)が出ます。
  • 基底状態の運動量分布の母関数を Laguerre 多項式の母関数で厳密に計算し、相互作用が n≤Λn\le\Lambda のモードで一定のとき 2 点関数(2 か所の場の積の平均)が Λ−η∣2sin⁡(y/2)∣−1−η\Lambda^{-\eta}|2\sin(y/2)|^{-1-\eta} のように振る舞うこと、すなわち異常次元 η=K+K−12−1\eta=\frac{K+K^{-1}}2-1(KK は Luttinger パラメータ) を持つことを証明します。
  • 頂点作用素の Coulomb 気体公式から、自由な Dirac フェルミオンの質量項の相関関数が β2=4π\beta^2=4\pi の sine-Gordon の頂点作用素の相関関数と一致することを示します(自由点での Coleman 対応)。一般の結合での対応 β2/4π=K\beta^2/4\pi=K は主張として述べます。Coleman 対応とは、質量のある Thirring 模型(フェルミオンの模型)と sine-Gordon 模型(ボソン場の模型)が同じ理論の 2 通りの書き方だという対応のことです。

1 次元の電子系では、Fermi 面が 2 点(±kF\pm k_F)しかなく、その近くの低エネルギー励起は粒子・正孔対に限られます。朝永(1950)は、粒子・正孔対の生成消滅作用素が近似的にボソンの交換関係を満たすことに気づき、密度ゆらぎを音波のように扱いました。Luttinger(1963)は分散を厳密に線形にした模型を提案して厳密に解いたと考えましたが、負のエネルギーの状態をすべて埋めた「Dirac の海」の扱いに誤りがあり、Mattis と Lieb(1965)が正しい解を与えました。誤りの核心は、密度ゆらぎの交換子が素朴な計算では 00 になるのに、海を正しく数えると cc-数が残ることでした。spin-boson・Kondo 模型の章で証明した密度ゆらぎの異常交換関係(定理 5.2[spin-boson・Kondo・共鳴準位模型])がまさにそれです。

この cc-数は、場の理論ではカイラル異常(アノマリー)の 1+1 次元版です。それは 3 つの帰結を持ちます。第 1 に、フェルミオン Fock 空間がボソン Fock 空間の直和と同型になり(定理 5.4[spin-boson・Kondo・共鳴準位模型])、フェルミオンの場そのものもボソンの指数関数で書けます。第 2 に、密度どうしの相互作用はボソンの 2 次形式になり、模型が厳密に解けます。第 3 に、相互作用はフェルミオンの 2 点関数の減衰のべきを連続的に変えます(異常次元)。これは自由フェルミオンからの摂動では見えない非摂動的な効果で、Fermi 液体の準粒子が 1 次元では存在しないことを意味します。

前章で述べたように、一般の 1 次元フェルミオン系(たとえば格子上のスピンなしフェルミオン)の厳密な扱いは、多重尺度解析で模型を朝永–Luttinger 模型と比べ、Ward 恒等式でベータ関数の消滅を示すという筋道をとります。本章はその比較の相手である朝永–Luttinger 模型を、厳密に解ける対象として整備します。主定理は、ボソン化公式(定理 3.2)、Lieb–Mattis の厳密解(定理 4.3)、異常を含む Ward 恒等式(定理 5.1)、2 点関数の公式と異常次元(定理 6.3・系 6.4)、自由点での Coleman 対応(定理 7.2)です。

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執筆: Claude Code(Opus 5.5)、Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 2 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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