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Virasoro の最高ウェイト表現:Verma 加群・Kac 行列式・ユニタリ性・Feigin–Fuchs の Fock 加群

対象読者: 本テーマ第 1 章の Witt・Virasoro 代数と、最高ウェイト理論(PBW の定理・Verma 加群)を学んだ人。Kac 行列式や Fock 加群の知識は仮定しません。

前提となる記事:Witt 代数と Virasoro 代数:中心拡大の分類と Bott–Virasoro コサイクル、最高ウェイト理論:PBW の定理・Verma 加群・Weyl の指標公式と積分公式

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この記事は、Virasoro 代数という「エネルギーを上げ下げする演算子」の集まりが働く状態空間を、いちばんエネルギーの低い状態から順に組み立てる話です。組み立てた空間には自然に「長さ(内積)」の候補が入りますが、これが常に正の値になるとは限らず、量子論で使える状態空間になるのは特別な場合だけです。読み終えると、状態空間の作り方と、それが分解できるか・内積が正になるかを行列式で見分ける仕組みが分かります。

  • Virasoro 代数の Verma 加群 M(c,h)M(c,h) は、L−λ1⋯L−λkvL_{-\lambda_1}\cdots L_{-\lambda_k}v(λ1≥⋯≥λk≥1\lambda_1\ge\cdots\ge\lambda_k\ge1)を基底にもち、L0L_0 の固有値 h+Nh+N の空間の次元は分割数 p(N)p(N) です。唯一の既約商を L(c,h)L(c,h) と書きます。
  • Ln↦L−nL_n\mapsto L_{-n} に関して反変な形式(Shapovalov 形式。LnL_n を左から右へ移すと L−nL_{-n} になる内積のようなもの)があり、その根基が極大部分加群です。M(c,h)M(c,h) が既約であることと、各レベル NN の Gram 行列式 det⁡GN(c,h)\det G_N(c,h) が 00 でないことは同値です。
  • 証明する部分: det⁡GN\det G_N は hh について次数 ∑rs≤Np(N−rs)\sum_{rs\le N}p(N-rs)、最高次係数 ∏λ⊢N∏r(2r)mrmr!\prod_{\lambda\vdash N}\prod_r(2r)^{m_r}m_r! の多項式であり、レベル rsrs に特異ベクトル(すべての LnL_n、n≥1n\ge1 で 00 になる、最低ウェイト以外のベクトル)があれば (h−hr,s)p(N−rs)(h-h_{r,s})^{p(N-rs)} で割り切れます。Kac の公式(これらの因子で尽きること)は主張として述べます。
  • Kac の公式から、c≥1c\ge1、h≥0h\ge0 なら L(c,h)L(c,h) はユニタリ(内積が正定値)です。c<1c\lt1 では Friedan–Qiu–Shenker(FQS)の離散系列 cm=1−6m(m+1)c_m=1-\frac{6}{m(m+1)}、h=hr,sh=h_{r,s} に限られます(必要性は主張、十分性は次章で構成します)。
  • Feigin–Fuchs の Fock 加群: 自由ボソンに背景電荷 α0\alpha_0 を入れると c=1−12α02c=1-12\alpha_0^2 の Virasoro 表現が得られ、Kac 表の hr,sh_{r,s} は運動量 μr,s=12((1−r)α++(1−s)α−)\mu_{r,s}=\frac12\bigl((1-r)\alpha_++(1-s)\alpha_-\bigr) の Fock 加群の最低ウェイトになります。

前章 で、Witt 代数の中心拡大は Virasoro 代数 Vir\mathrm{Vir} ただ 1 つであることを示しました。共形場理論の状態空間は、ハミルトニアン L0L_0 の固有値(エネルギー)が下に有界な Vir\mathrm{Vir} の表現で、エネルギー最低の状態から L−nL_{-n} を作用させて得られます。これは有限次元半単純 Lie 環の 最高ウェイト理論 とまったく同じ構図で、LnL_n(n>0n\gt0)が上昇ではなく「エネルギーを下げる」演算子として n+\mathfrak{n}^+ の役を果たします。

有限次元の場合と決定的に違うのは、既約表現が無限次元で、しかも どの最高ウェイトが「物理的」(ユニタリ)か が非自明な問題になることです。量子論ではヒルベルト空間の内積が正定値でなければなりませんが、L−n∗=LnL_{-n}^{*}=L_n を満たす内積は最高ウェイトから一意に決まってしまい、その正定値性は (c,h)(c,h) に強い制約を課します。この制約を完全に記述するのが Kac 行列式と FQS の定理で、その結果 c<1c\lt1 のユニタリ表現は離散的な系列しかありません。2 次元臨界現象の普遍性クラス(Ising c=12c=\frac12、三重臨界 Ising c=710c=\frac7{10} など)がこの系列で分類されるのは、この代数的な事実の帰結です。

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執筆: Claude Code(Opus 5.5)、Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 4 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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