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ゼロ距離相互作用:点相互作用の自己共役拡大と Krein の公式、TMS 形式、2+1 フェルミオン系の安定性

対象読者: 対称作用素と自己共役拡大(不足指数・von Neumann の理論)の章と、本テーマの束縛状態の個数の章を学んだ人。レゾルベントとフーリエ変換は仮定し、点相互作用は仮定しません。

前提となる記事:対称作用素と自己共役拡大:不足指数と von Neumann の拡大理論、束縛状態の個数:Zhislin の定理、Vugal'ter–Zhislin の有限性、Efimov 効果の骨格

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2 つの粒子の間の力が届く範囲が、粒子の波の広がりよりずっと短いとき、力の細かい形は「どれだけ強く散乱されるか」を表す数 1 つにまとまります。この記事は、力の届く距離を 0 にした極限の模型(点相互作用)を数学的にきちんと定義し直し、その性質を調べます。読み終えると、2 体の場合に束縛状態と散乱の強さがどう決まるかと、2 個の同種フェルミオンと 1 個の別の粒子の 3 体系が壊れずに安定でいられる質量比の範囲が分かります。

  • 3 次元では「−Δ+αδ-\Delta+\alpha\delta」は 2 次形式の摂動(KLMN)としても作用素の摂動としても定義できません。代わりに、原点で消える H2H^2 関数上に制限した Laplacian SS の自己共役拡大(自己共役作用素になるように定義域を広げたもの)として点相互作用を定義します。SS の不足指数は (1,1)(1,1) です。
  • 自己共役拡大は自由な H∞=−ΔH_\infty=-\Delta と、実数 α\alpha で添字付けられた HαH_\alpha ですべてで、そのレゾルベントは Krein の公式 (Hα−z)−1=(−Δ−z)−1+(α−iz4π)−1∣Gz⟩⟨Gzˉ∣(H_\alpha-z)^{-1}=(-\Delta-z)^{-1}+\bigl(\alpha-\tfrac{i\sqrt z}{4\pi}\bigr)^{-1}|G_z\rangle\langle G_{\bar z}|、Gz(x)=eiz∣x∣4π∣x∣G_z(x)=\frac{e^{i\sqrt z|x|}}{4\pi|x|} で与えられます。この分類をレゾルベント恒等式だけから証明します。
  • HαH_\alpha の定義域の関数は原点で ψ≈q(14π∣x∣+α)\psi\approx q\bigl(\frac{1}{4\pi|x|}+\alpha\bigr) と振る舞い(Bethe–Peierls 条件。原点の近くでの関数の形を決める条件)、散乱長(粒子どうしの散乱の強さを表す長さ)は a=−1/(4πα)a=-1/(4\pi\alpha) です。α<0\alpha\lt0 のときだけ負の固有値 −(4πα)2-(4\pi\alpha)^2 を 1 個持ちます。
  • 3 体以上では同じ考え方から Ter-Martirosyan–Skornyakov(TMS)2 次形式が得られ、その安定性は「電荷」と呼ばれる 3 次元の関数 ξ\xi 上の形式 Φ[ξ]\Phi[\xi] の対角部分と非対角部分の比べ合いに帰着します。
  • 2 個の同種フェルミオン(質量 MM)と別の粒子(質量 mm)の系では、非対角部分が電荷の奇部分でだけ負になることを Gauss 積分表示で示し、Schur 評価と積分 ∫0∞duuln⁡(1+u2)2(1+u2)2−4γ2u2=2arcsin⁡2γ\int_0^\infty\frac{\mathrm{d}u}{u}\ln\frac{(1+u^2)^2}{(1+u^2)^2-4\gamma^2u^2}=2\arcsin^2\gamma から、M/m<8.78M/m\lt8.78 で TMS 形式が下に有界であることを証明します。最良の臨界値は M/m≈13.607M/m\approx13.607 です(主張として述べる)。

低温の原子気体や核物理では、粒子間の力の到達距離 r0r_0 が、波動関数の典型的な長さ(熱的ド・ブロイ波長や散乱長 aa)よりはるかに短いことがよくあります。そのとき相互作用の詳細は散乱長 aa 1 つに集約され、r0→0r_0\to0 の極限の模型(ゼロ距離相互作用、点相互作用)が有効です。前章の Efimov 効果も、本来は r0≪∣a∣r_0\ll|a| の普遍的な現象として理解されます。

1 次元では δ\delta 関数ポテンシャルは −d2dx2-\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d}x^2} に関して形式限界 00 で、KLMN の定理で定義できました(例 5.3[自己共役性の判定])。3 次元では H1H^1 関数は原点で値を持つとは限らない(演習 6.2)ので、この方法は使えません。一方、「原点以外では自由」という条件だけを課した作用素 SS は対称ですが自己共役ではなく、その自己共役拡大の自由度がちょうど相互作用の強さ(散乱長)になります。これが本章の出発点で、道具は 自己共役拡大 の不足指数の理論です。

多体系では事情がさらに微妙です。3 個のボソンにゼロ距離相互作用を入れると、エネルギーが下に有界でなくなる(Thomas 効果、Minlos–Faddeev 1962)ことが知られています。Pauli の原理は崩壊を防ぎうるので、フェルミオンを含む系の安定性が問題になります。本章の最後では、2 個のフェルミオンと 1 個の別の粒子の系の安定性を、質量比についての明示的な条件のもとで証明します。

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執筆: Claude Code(Opus 5.5)、Claude Code(Sonnet 5.5)・監査 3 回(Claude Code)・最終 2026-10-12

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