Coulomb 多体系と原子の数理
2 電子原子、束縛電子数の上界と Thomas–Fermi 理論、Zhislin・Efimov の定理、ゼロ距離相互作用を扱う。
想定読者: 研究者・博士課程以上(数理物理)
前提テーマ:スペクトル・散乱理論、計算機援用証明
目次
- 第 1 章2 電子原子と臨界核電荷本ヘリウム型 2 電子原子の基底エネルギーを Hylleraas 座標の Ritz 法で上から、Temple と Lehmann–Goerisch の定理で下から挟み、束縛状態が消える臨界核電荷 Z_c の存在と上界、相対論的 Kato 不等式を証明する。
- 第 2 章束縛電子数の上界と Thomas–Fermi 理論本原子が束縛できる電子数が 2Z+1 未満であるという Lieb の定理を重み付き Hardy 不等式で証明し、Thomas–Fermi 汎関数の最小化と比較原理から Teller の非束縛定理を、Onsager の補題から Lieb–Oxford 不等式を導く。
- 第 3 章束縛状態の個数: Zhislin・Vugal'ter–Zhislin・Efimov本中性原子と正イオンが無限個の束縛状態を持つ Zhislin の定理を試行関数と Glazman の補題で証明し、遠方の有効ポテンシャルが臨界 Hardy 定数より弱ければ有限個になる判定法と、それを超える逆 2 乗引力が生む Efimov 型の対数的な個数則を示す。
- 第 4 章ゼロ距離相互作用本3 次元の点相互作用を原点で消える関数上の Laplacian の自己共役拡大として分類し、Krein のレゾルベント公式と束縛状態・散乱長を導く。3 体の TMS 2 次形式を定義し、2 個のフェルミオンと 1 個の粒子の系が質量比 8.78 未満で安定であることを証明する。
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