# 一般相対性理論への招待：等価原理が重力を幾何学に変えるまで

> 特殊相対論が重力を扱えない理由から出発し、慣性質量と重力質量の一致、エレベーターの思考実験によるアインシュタインの等価原理、そこから導かれる重力赤方偏移と光の曲がりまでを、計算を省かずに追う。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/relativity/equivalence-principle

## 0. この記事の要点

- ニュートンの万有引力の法則は「同じ時刻での距離」に依存しますが、同時刻は観測者によって違います。この一点で、重力は特殊相対性理論と両立しません。
- 一方、ニュートン力学には説明のつかない偶然がありました。運動しにくさを表す慣性質量と、重力に引かれる強さを表す重力質量が、どんな物質でも一致するという事実です。
- アインシュタインはこの偶然を原理に格上げしました。**自由落下している十分小さな実験室の中では、重力は完全に消えて特殊相対論がそのまま成り立つ**。これがアインシュタインの等価原理です。
- 等価原理だけから、重力赤方偏移（低いところの時計は遅れる）と、重力による光の曲がりという二つの予言が出ます。数式は高校物理の範囲で追えます。
- ただし等価原理が使えるのは「局所」だけです。潮汐力は座標をどう取っても消せません。この消せない残りかすが、次章で扱う時空の曲率の正体です。
- 実際、等価原理だけから計算した太陽による光の曲がり角は正解のちょうど半分でした。残りの半分を出すには、時間だけでなく空間の幾何も曲げる必要があります。

## 1. 動機：特殊相対論に重力を入れようとすると失敗する

[特殊相対性理論の原理](/physics/relativity/principles-of-special-relativity)と[ローレンツ変換](/physics/relativity/lorentz-transformations)によって、力学と電磁気学は統一的な枠組みに収まりました。ところが、この枠組みに最も古い力である重力を入れようとすると、いきなり壁にぶつかります。

ニュートンの万有引力の法則は

$$
\boldsymbol{F} = -\frac{G M m}{r^2}\,\hat{\boldsymbol{r}}
$$

でした。ここで $r$ は「二つの物体の、**同じ時刻における**距離」です。しかし相対性理論では、<Ref to="physics/relativity/lorentz-transformations#thm-simultaneity" text="同時刻の相対性" /> により、どの二つの事象が同時刻かは観測者によって変わります。ある慣性系で同時刻に測った距離は、別の慣性系では同時刻の距離ではありません。したがって上の法則は、慣性系を一つ指定しなければ意味を持ちません。これはローレンツ変換のもとで形を変えない（共変な）法則の資格を欠いています。

同じことを別の角度から言えば、この法則では太陽が突然消えたときに地球が即座にそれを知ることになります。情報が光速を超えて伝わるわけで、特殊相対論の因果律に反します。

<Remark id="rem-vector-field" title="場の理論に書き直せばよい、とはいかない">
電磁気学は瞬間作用ではなく、場の理論として書かれています。ならば重力も同じように場の理論にすればよさそうです。しかしうまくいきません。

電磁気学と同じ**ベクトル場**にすると、同符号の源どうしは反発してしまいます（電荷の場合と同じです）。ところが質量は必ず正で、しかも必ず引き合います。ベクトル場は最初から失格です。

では**スカラー場**ならどうか。ノルドシュトレムが 1913 年に、特殊相対論と完全に両立するスカラー重力理論を作りました。この理論は数学的には筋が通っていますが、光の曲がりをまったく予言せず、水星の近日点移動についても観測と合わない値を与えます。
</Remark>

もう一つ、[相対論的力学](/physics/relativity/relativistic-mechanics)から来る要請があります。$E = mc^2$ により、あらゆるエネルギーが質量として振る舞うのでした（<Ref to="physics/relativity/relativistic-mechanics#thm-invariant-mass" text="質量の非加法性" />）。ならばあらゆるエネルギーが重力の源になるはずです。ところが重力場そのものもエネルギーを持ちます。つまり重力は自分自身を源とする、本質的に非線形な理論でなければなりません。電磁場が電荷を持たないのとは対照的です。

こうした難しさの中で、アインシュタインが手がかりにしたのは、理論上の要請ではなく一つの実験事実でした。次節でそれを見ます。

<div data-gated data-pagefind-ignore>

## 2. 二つの質量：ニュートン力学が抱えていた偶然

<Definition id="def-two-masses" title="慣性質量と重力質量">
物体の**慣性質量** $m_I$ を、運動方程式（<Ref to="physics/mechanics/newtonian-mechanics#ax-second-law" text="ニュートンの第 2 法則" />）$\boldsymbol{F} = m_I \boldsymbol{a}$ に現れる係数として定義します。これは「同じ力に対してどれだけ加速しにくいか」を表す量で、重力とは関係なく定義できます。

物体の（受動的）**重力質量** $m_G$ を、外部の重力場 $\boldsymbol{g}$ の中で受ける力 $\boldsymbol{F} = m_G\,\boldsymbol{g}$ に現れる係数として定義します。これは「重力という場にどれだけ強く結合するか」を表す量で、電荷 $q$ が電場 $\boldsymbol{E}$ に結合する係数であるのと同じ役割です。
</Definition>

論理的には、この二つはまったく別の量です。片方は慣性の尺度、もう片方は重力への結合定数です。ところが実験は両者が比例することを告げます。

<Proposition id="prop-universality" title="落下の普遍性と二つの質量の比">
一様な重力場 $\boldsymbol{g} \neq \boldsymbol{0}$ の中で、重力以外の力を受けない物体を考えます。物体 $X$ の慣性質量を $m_I(X)$、重力質量を $m_G(X)$、加速度を $\boldsymbol{a}_X$ とするとき、次の二つは同値です。

1. 任意の物体 $X, Y$ について $\boldsymbol{a}_X = \boldsymbol{a}_Y$ である（落下の普遍性）。
2. 比 $m_G(X)/m_I(X)$ が物体 $X$ によらない定数である。

さらに 2 が成り立つとき、$\boldsymbol{g}$ の目盛りの取り方を適当に選べば、すべての物体について $m_I = m_G$ とできます。
</Proposition>

<Proof of="prop-universality">
<Ref to="def-two-masses" /> の二つの定義を運動方程式に代入すると、物体 $X$ について

$$
m_I(X)\,\boldsymbol{a}_X = m_G(X)\,\boldsymbol{g}
\qquad\Longrightarrow\qquad
\boldsymbol{a}_X = \frac{m_G(X)}{m_I(X)}\,\boldsymbol{g}
$$

を得ます。以下ではこの式を「基本式」と呼びます。

（2 ならば 1）共通の値を $\kappa$ と書けば、基本式より $\boldsymbol{a}_X = \kappa\,\boldsymbol{g}$ となり、右辺に $X$ は現れません。よって任意の $X, Y$ で $\boldsymbol{a}_X = \boldsymbol{a}_Y$ です。

（1 ならば 2）基本式と仮定 1 から、任意の $X, Y$ について

$$
\frac{m_G(X)}{m_I(X)}\,\boldsymbol{g} = \frac{m_G(Y)}{m_I(Y)}\,\boldsymbol{g}
$$

が成り立ちます。$\boldsymbol{g} \neq \boldsymbol{0}$ なので、この等式は両辺の係数が等しいことを意味します。よって比は物体によりません。

最後の主張について。共通の比を $\kappa$ とし、あらためて $\boldsymbol{g}' := \kappa\,\boldsymbol{g}$ を重力場と呼び直すと、基本式は $\boldsymbol{a}_X = \boldsymbol{g}'$ となり、力は $m_G\boldsymbol{g} = (m_G/\kappa)\boldsymbol{g}' = m_I\boldsymbol{g}'$ と書けます。つまりこの目盛りでは重力質量が慣性質量に一致します。以後この規約を採り、単に $m$ と書きます。
</Proof>

<Remark id="rem-em-contrast" title="電磁気力との決定的な違い">
電場 $\boldsymbol{E}$ の中では $\boldsymbol{a} = (q/m_I)\boldsymbol{E}$ で、比 $q/m_I$ は物質ごとにまったく違います。陽子と電子では符号すら違います。だから電場の中の運動を見れば、それが電場のせいであることがすぐわかりますし、加速する箱に乗り換えて電場を消すこともできません。

重力だけが $m_G/m_I$ を全物質で共有します。<Ref to="prop-universality" /> はこの特殊性を述べたものです。この一点が、あとで重力を「力」から「時空の性質」へ移す根拠になります。
</Remark>

<Example id="ex-eotvos" title="落下の普遍性はどこまで確かめられているか">
二つの物体 $1, 2$ の落下加速度の差を表す無次元量

$$
\eta = \frac{2\,(a_1 - a_2)}{a_1 + a_2}
$$

をエトヴェシュ・パラメータと呼びます。<Ref to="prop-universality" /> は $\eta = 0$ を主張しています。実測の上限は次のように向上してきました。

| 実験 | 時期 | 上限のおおよその桁 |
|---|---|---|
| エトヴェシュのねじれ秤 | 1890 年代〜1900 年代 | $10^{-9}$ |
| Eöt-Wash 実験（ねじれ秤） | 1990 年代〜2000 年代 | $10^{-13}$ |
| MICROSCOPE 衛星（チタンと白金） | 2022 年（最終結果） | $1.5\times10^{-15}$ |

最後の値がどれほど厳しいか、落下実験に換算してみます。高さ $h = 55$ m から落とすと落下時間は $t = \sqrt{2h/g} = \sqrt{110/9.8} \simeq 3.35$ 秒です。$t \propto a^{-1/2}$ なので加速度が $\eta$ の割合だけ違えば時間は $\eta/2$ の割合だけずれ、

$$
\Delta t = \frac{\eta}{2}\,t \simeq \frac{1.5\times10^{-15}}{2}\times 3.35\ \text{s} \simeq 2.5\times10^{-15}\ \text{s}
$$

となります。光が $1$ マイクロメートル進む時間よりも短いずれです。二つの物体はこの精度で同時に着地します。
</Example>

## 3. エレベーターの思考実験と等価原理

アインシュタインは 1907 年、後年「生涯で最も幸福な考え」と呼んだ着想を得ます。**屋根から落ちる人は、自分の重さを感じない**。落下中の人にとって、重力は消えているのです。

これを実験室の形にしたのが、有名なエレベーターの思考実験です。窓のないエレベーターの中に閉じ込められた実験者が、外を見ずに自分の状況を判定できるか、という問いを立てます。

| 状況 | 箱の中で起きること |
|---|---|
| (A) 重力のない宇宙空間に浮かぶ箱 | 物体は静止したまま。実験者も浮く |
| (B) 地球に向かって自由落下する箱 | 物体は静止したまま。実験者も浮く |
| (C) 重力のない空間で加速度 $a$ で引かれる箱 | 物体は床に向かって加速度 $a$ で落ちる |
| (D) 地表に置かれた箱（重力加速度 $g = a$） | 物体は床に向かって加速度 $g$ で落ちる |

(A) と (B) が区別できないこと、(C) と (D) が区別できないことが要点です。まず力学の範囲でこれを確かめます。

<Proposition id="prop-uniform-frame" title="一様加速系と一様重力場は力学的に区別できない">
重力のないミンコフスキー時空の慣性系（<Ref to="physics/relativity/principles-of-special-relativity#def-inertial-frame" text="慣性系" />）$S$ の座標を $(t, \boldsymbol{X})$ とし、定ベクトル $\boldsymbol{a}$ を用いて

$$
\boldsymbol{x} := \boldsymbol{X} - \tfrac{1}{2}\boldsymbol{a}\,t^{2}
$$

で定義される座標系 $S'$（一様加速系）を考えます。速さは $c$ に比べて十分小さいとします。このとき、

1. 重力以外の力を受けない質量 $m$ の質点の $S'$ における運動方程式は $m\,\ddot{\boldsymbol{x}} = -m\,\boldsymbol{a}$ である。
2. 慣性系に静止した座標で、一様重力場 $\boldsymbol{g}$ の中にある同じ質点の運動方程式は、$m_I = m_G$ が成り立つとき $m\,\ddot{\boldsymbol{x}} = m\,\boldsymbol{g}$ である。

したがって $\boldsymbol{g} = -\boldsymbol{a}$ と置けば、二つの運動方程式は質点の種類によらず完全に一致します。
</Proposition>

<Proof of="prop-uniform-frame">
1 について。定義式より $\boldsymbol{X} = \boldsymbol{x} + \frac{1}{2}\boldsymbol{a}t^{2}$ なので、$t$ で 2 回微分して $\ddot{\boldsymbol{X}} = \ddot{\boldsymbol{x}} + \boldsymbol{a}$ を得ます。$S$ は慣性系で、質点に働く力は $\boldsymbol{0}$ ですから $\ddot{\boldsymbol{X}} = \boldsymbol{0}$、したがって $\ddot{\boldsymbol{x}} = -\boldsymbol{a}$ です。両辺に $m$ を掛ければ主張の形になります。

2 について。運動方程式は $m_I \ddot{\boldsymbol{x}} = m_G \boldsymbol{g}$ です。<Ref to="prop-universality" /> の規約により $m_I = m_G = m$ ですから $\ddot{\boldsymbol{x}} = \boldsymbol{g}$、すなわち $m\ddot{\boldsymbol{x}} = m\boldsymbol{g}$ です。

以上より、$\boldsymbol{g} = -\boldsymbol{a}$ のとき両者はまったく同じ式になります。
</Proof>

この証明のどこで <Ref to="prop-universality" /> を使ったかに注意してください。もし $m_I \neq m_G$ であれば、2 の運動方程式は $\ddot{\boldsymbol{x}} = (m_G/m_I)\boldsymbol{g}$ となり、加速度が物体ごとに変わります。一方 1 の加速度はどんな物体でも $-\boldsymbol{a}$ です。ですから、鉄球と木球を同時に落として着地時刻を比べるだけで (C) と (D) は区別できてしまいます。**落下の普遍性が成り立つからこそ、二つの状況は区別できない**のです。

アインシュタインはここから先へ進みます。力学だけでなく、あらゆる物理現象について区別がつかないはずだ、と要請したのです。

<Definition id="def-wep" title="弱い等価原理">
重力以外の力を受けない試験粒子（自分自身の重力が無視できるほど小さく軽い粒子）の運動は、その初期位置と初期速度だけで決まり、質量・組成・内部構造にはよらない。
</Definition>

<Definition id="def-eep" title="アインシュタインの等価原理">
重力場の中で自由落下している、十分に小さく、十分に短い時間だけ使う実験室を考える。この実験室の中で行われる**重力以外の**あらゆる物理実験の結果は、

1. 実験室の速度によらず（局所ローレンツ不変性）、
2. 実験室の時空内での位置によらず（局所位置不変性）、

重力の存在しない慣性系で行った同じ実験の結果と一致する。
</Definition>

弱い等価原理は力学だけの主張ですが、アインシュタインの等価原理は電磁気学も原子核物理も量子力学も含む、はるかに強い要請です。この飛躍が一般相対性理論の出発点になりました。

<Definition id="def-lif" title="局所慣性系">
時空のある一点（事象）の近傍で、自由落下する実験室に固定された座標系を、その事象における**局所慣性系**と呼ぶ。<Ref to="def-eep" /> により、局所慣性系では重力を無視した特殊相対性理論の法則がそのまま成り立つ。
</Definition>

<Remark id="rem-sep" title="さらに強い形">
<Ref to="def-eep" /> は「重力以外の実験」に限られていました。この制限を外し、自己重力が無視できない天体（地球や月そのもの）にも落下の普遍性が成り立ち、重力実験を含めて局所的に特殊相対論が成り立つ、と要求したものを**強い等価原理**と呼びます。一般相対性理論はこれを満たしますが、多くの代替理論は満たしません。地球と月が太陽に向かって同じように落ちているかを月レーザー測距で調べる実験（ノルドヴェット効果の探索）は、この強い形を検証しています。
</Remark>

## 4. 「局所」とは何か：潮汐力

<Ref to="def-eep" /> には「十分に小さく、十分に短い時間」という但し書きが二重に付いていました。これは技術的な逃げ道ではなく、原理の核心です。現実の重力場は一様ではないので、広い箱の中では場所ごとに落下方向と強さが違い、その差は箱をどう動かしても消せません。

<Proposition id="prop-tidal" title="潮汐加速度">
質量 $M$ の球対称な天体の外部で、中心から距離 $r$ の点 $P$ を自由落下する基準粒子を取ります。$P$ からの変位ベクトル $\boldsymbol{\xi}$（$|\boldsymbol{\xi}| \ll r$）の位置にある別の自由落下粒子の、基準粒子に対する相対加速度は、$|\boldsymbol{\xi}|$ の 1 次までで

$$
\delta \boldsymbol{a} = \frac{GM}{r^{3}}\Bigl(3(\hat{\boldsymbol{r}}\cdot\boldsymbol{\xi})\,\hat{\boldsymbol{r}} - \boldsymbol{\xi}\Bigr)
$$

で与えられます。とくに $\boldsymbol{\xi}$ が動径方向（$\boldsymbol{\xi} = \xi\,\hat{\boldsymbol{r}}$）なら $\delta\boldsymbol{a} = +\dfrac{2GM\xi}{r^{3}}\hat{\boldsymbol{r}}$（引き伸ばし）、$\boldsymbol{\xi}$ が動径に垂直なら $\delta\boldsymbol{a} = -\dfrac{GM}{r^{3}}\boldsymbol{\xi}$（押しつぶし）です。
</Proposition>

<Proof of="prop-tidal">
重力加速度の場は $a_i(\boldsymbol{r}) = -GM\,x_i/r^{3}$ です。位置 $\boldsymbol{r} + \boldsymbol{\xi}$ での値をテイラー展開すると、1 次までで

$$
\delta a_i = \frac{\partial a_i}{\partial x_j}\,\xi_j
$$

です。偏微分を計算します。$\partial_j x_i = \delta_{ij}$ と $\partial_j r^{-3} = -3r^{-4}\,\partial_j r = -3x_j/r^{5}$（$\partial_j r = x_j/r$ を使いました）より

$$
\frac{\partial a_i}{\partial x_j}
= -GM\left(\frac{\delta_{ij}}{r^{3}} - \frac{3x_i x_j}{r^{5}}\right).
$$

これを上式に代入すると

$$
\delta a_i = -GM\left(\frac{\xi_i}{r^{3}} - \frac{3 x_i (\boldsymbol{r}\cdot\boldsymbol{\xi})}{r^{5}}\right)
= \frac{GM}{r^{3}}\Bigl(3(\hat{\boldsymbol{r}}\cdot\boldsymbol{\xi})\,\hat{\boldsymbol{r}} - \boldsymbol{\xi}\Bigr)_i
$$

となり、主張の式を得ます。$\boldsymbol{\xi} = \xi\hat{\boldsymbol{r}}$ のときは $\hat{\boldsymbol{r}}\cdot\boldsymbol{\xi} = \xi$ なので括弧の中は $3\xi\hat{\boldsymbol{r}} - \xi\hat{\boldsymbol{r}} = 2\xi\hat{\boldsymbol{r}}$、$\boldsymbol{\xi}\perp\hat{\boldsymbol{r}}$ のときは $\hat{\boldsymbol{r}}\cdot\boldsymbol{\xi} = 0$ なので括弧の中は $-\boldsymbol{\xi}$ です。
</Proof>

この相対加速度を**潮汐力**（正確には潮汐加速度）と呼びます。名前は海の満ち引きに由来します。月に近い側の海水と地球の中心と遠い側の海水がそれぞれ違う加速度で落ちるため、地球を基準にすると海水が月の方向と反対方向の両方に引き伸ばされ、一日に二度の満潮が起きます。

<Figure caption="(a) 一様加速するロケットの中では、まっすぐ入った光が床の方へ曲がって見える。(b) 自由落下する試験粒子の輪は、潮汐力によって天体方向に伸び、それと垂直な方向に縮む。">
<svg viewBox="0 0 720 340" width="100%" role="img" aria-label="加速するロケットの中で曲がる光と、自由落下する粒子の輪の潮汐変形">
  <g fill="none" stroke="currentColor" stroke-width="1.6">
    <rect x="100" y="55" width="180" height="210" rx="6" />
    <line x1="70" y1="248" x2="70" y2="80" />
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  <g fill="var(--sl-color-accent)" stroke="none">
    <circle cx="540" cy="80" r="4" />
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    <circle cx="540" cy="310" r="14" />
  </g>
  <g fill="currentColor" font-size="13" text-anchor="middle">
    <text x="190" y="28">(a) 一様加速するロケット</text>
    <text x="70" y="44">加速度 a</text>
    <text x="190" y="296">光は床の方へ曲がる</text>
    <text x="540" y="28">(b) 自由落下する粒子の輪</text>
    <text x="540" y="276">縦に伸び、横に縮む</text>
  </g>
  <text x="92" y="103" fill="currentColor" font-size="13" text-anchor="end">光</text>
  <text x="304" y="137" fill="currentColor" font-size="12" text-anchor="start">落下量</text>
  <text x="566" y="316" fill="currentColor" font-size="13" text-anchor="start">天体 M</text>
</svg>
</Figure>

<Example id="ex-elevator-tidal" title="エレベーターはどれくらい小さければよいか">
地表付近で自由落下するエレベーターを考えます。$GM_{\oplus} = 3.986\times10^{14}\ \mathrm{m^{3}/s^{2}}$、$R_{\oplus} = 6.371\times10^{6}\ \mathrm{m}$ なので

$$
\frac{GM_{\oplus}}{R_{\oplus}^{3}} = \frac{3.986\times10^{14}}{2.586\times10^{20}} = 1.54\times10^{-6}\ \mathrm{s^{-2}}
$$

です。エレベーターの床に、水平方向に $\xi = 2$ m 離して二つの小球を静かに置きます。<Ref to="prop-tidal" /> の動径に垂直な場合の式より、二つの球は互いに

$$
|\delta a| = 1.54\times10^{-6}\times 2 = 3.1\times10^{-6}\ \mathrm{m/s^{2}}
$$

の相対加速度で近づきます。$10$ 秒間の接近量は $\frac{1}{2}|\delta a|\,t^{2} = \frac{1}{2}\times 3.1\times10^{-6}\times 100 = 1.5\times10^{-4}$ m、つまり $0.15$ mm です。

したがって「箱の大きさ $2$ m、観測時間 $10$ 秒、位置の測定精度 $1$ mm」という実験なら、重力は完全に消えたと言ってよいことになります。同じ箱で精度 $0.01$ mm の測定をすれば、$3$ 秒ほどで潮汐力が顔を出します（$\frac12 \times 3.1\times10^{-6}\times 9 \simeq 1.4\times10^{-5}$ m）。**等価原理が成り立つかどうかは、要求する精度と実験室のサイズで決まる**のです。
</Example>

<Remark id="rem-tidal-curvature" title="消せない残りかすこそ重力の本体">
<Ref to="prop-uniform-frame" /> が示したのは、重力加速度そのものは座標変換（加速系への乗り換え）で消せる、ということでした。消えるのですから、$\boldsymbol{g}$ 自体は物理的に絶対的な量ではありません。

これに対し <Ref to="prop-tidal" /> の $\delta\boldsymbol{a}$ は、二つの自由落下粒子の相対加速度という、座標の取り方によらない量です。どんな座標に乗り換えても消せません。一般相対性理論では、この量が時空の曲率テンソル（リーマンテンソル）と直結します（<Ref to="physics/relativity/curved-spacetime#rem-tidal" text="曲率は潮汐力として観測される" />）。「重力とは潮汐力のことである」というのが、次章に向けた合言葉です。
</Remark>

## 5. 帰結その一：重力赤方偏移と時計の進み方

ここからは等価原理を道具として使い、ニュートン重力からは出てこない予言を導きます。まず光の振動数です。

<Theorem id="thm-redshift" title="重力赤方偏移">
静的な弱い重力場を考え、そのニュートンポテンシャルを $\Phi$（無限遠で $0$、$|\Phi|/c^{2} \ll 1$）とします。場の中で静止した発信器が位置 1（ポテンシャル $\Phi_1$）から固有振動数 $\nu_1$ の単色光を出し、同じく静止した受信器が位置 2（ポテンシャル $\Phi_2$）でそれを受け取るとき、受信される振動数 $\nu_2$ は

$$
\frac{\nu_2 - \nu_1}{\nu_1} = -\,\frac{\Phi_2 - \Phi_1}{c^{2}} + O\!\left(\frac{\Phi^{2}}{c^{4}}\right)
$$

を満たします。とくに光が高い方（ポテンシャルの大きい方）へ登るとき $\Phi_2 > \Phi_1$ なので $\nu_2 < \nu_1$ となり、赤い方へずれます。
</Theorem>

<Proof of="thm-redshift">
**第 1 段階（局所慣性系での計算）** 発信器と受信器が高さ $h$ だけ離れており、その間では重力場が一様で強さ $g$ とみなせるとします。発信の瞬間に、その場所で自由落下を始めた局所慣性系 $S_0$ を取ります。<Ref to="def-eep" /> により、$S_0$ では重力を無視した特殊相対論がそのまま使えます。

$S_0$ から見ると、発信器も受信器も上向きに加速度 $g$ で加速しています。発信の瞬間（$t=0$）に両者は $S_0$ に対して静止しているとしてよく、このとき出た光は $S_0$ の中を速さ $c$ でまっすぐ進みます。受信器に届く時刻は $t \simeq h/c$ です（この間の受信器の移動 $\frac12 g t^2 = gh^2/(2c^2)$ は $h$ に比べて $gh/(2c^{2}) \ll 1$ の割合でしか効かないので、以下の 1 次の計算では無視できます）。

その時刻には、受信器は $S_0$ に対して速度

$$
v = g\,t = \frac{gh}{c}
$$

で上向き、すなわち光源から遠ざかる向きに動いています。1 次のドップラー効果より

$$
\nu_2 = \nu_1\left(1 - \frac{v}{c}\right) + O\!\left(\frac{v^{2}}{c^{2}}\right)
= \nu_1\left(1 - \frac{gh}{c^{2}}\right) + O\!\left(\left(\frac{gh}{c^{2}}\right)^{2}\right).
$$

**第 2 段階（一般のポテンシャル差へ）** 上向きを $z$ 軸に取ると、高さ $dz$ の薄い層では $g\,dz = d\Phi$ です。この層ごとに第 1 段階の結果を適用すると

$$
\frac{d\nu}{\nu} = -\frac{g\,dz}{c^{2}} = -\frac{d\Phi}{c^{2}}
$$

となります。場が静的なので、この関係は光が通過するタイミングによりません。位置 1 から 2 まで積分すると

$$
\ln\frac{\nu_2}{\nu_1} = -\frac{\Phi_2 - \Phi_1}{c^{2}},
\qquad\text{すなわち}\qquad
\frac{\nu_2}{\nu_1} = \exp\!\left(-\frac{\Delta\Phi}{c^{2}}\right) = 1 - \frac{\Delta\Phi}{c^{2}} + O\!\left(\frac{\Delta\Phi^{2}}{c^{4}}\right)
$$

を得ます。ここで $\Delta\Phi = \Phi_2 - \Phi_1$ と置きました。これが主張の式です。
</Proof>

<Corollary id="cor-clock-rate" title="高いところの時計は速く進む">
<Ref to="thm-redshift" /> と同じ設定で、位置 1 と位置 2 に静止した同型の時計を置きます。位置 1 の時計が固有時 $\Delta\tau_1$ を刻む間に、位置 2 の時計が刻む固有時 $\Delta\tau_2$ は

$$
\frac{\Delta\tau_2}{\Delta\tau_1} = 1 + \frac{\Phi_2 - \Phi_1}{c^{2}} + O\!\left(\frac{\Phi^{2}}{c^{4}}\right)
$$

を満たします。すなわち、ポテンシャルの高い場所の時計ほど速く進みます。
</Corollary>

<Proof of="cor-clock-rate">
発信器が出す光の波の山を「時計の刻み」とみなします。位置 1 の発信器が固有時 $\Delta\tau_1$ の間に送り出す山の個数は、固有振動数の定義から $N = \nu_1 \Delta\tau_1$ 個です。

重力場は静的ですから、光路の途中で山が溜まったり消えたりすることはありません（もし溜まるなら山の数が時間とともに増え続け、静的という仮定に反します）。よって位置 2 の受信器は同じ $N$ 個の山を受け取ります。受信に要した位置 2 の固有時を $\Delta\tau_2$ とすると、$\nu_2$ の定義から $N = \nu_2 \Delta\tau_2$ です。

二つを等しいと置いて

$$
\frac{\Delta\tau_2}{\Delta\tau_1} = \frac{\nu_1}{\nu_2}
= \left(1 - \frac{\Delta\Phi}{c^{2}}\right)^{-1}
= 1 + \frac{\Delta\Phi}{c^{2}} + O\!\left(\frac{\Delta\Phi^{2}}{c^{4}}\right)
$$

を得ます。最後の等号では <Ref to="thm-redshift" /> と等比級数の展開を使いました。
</Proof>

<Example id="ex-pound-rebka" title="パウンド・レブカ実験">
1960 年、パウンドとレブカはハーバード大学の高さ $h = 22.5$ m の塔を使い、この効果を地上で測りました。予言されるずれは

$$
\frac{\Delta\nu}{\nu} = \frac{gh}{c^{2}} = \frac{9.81 \times 22.5}{8.988\times10^{16}} = 2.46\times10^{-15}
$$

です。$10^{15}$ 分の $2.5$ という途方もない小ささですが、鉄 57 のメスバウアー効果を使えば $14.4$ keV のガンマ線の振動数を $10^{-15}$ 台の分解能で比較できます。実験は予言値と $10$ パーセント程度の精度で一致し、改良された 1964 年の実験では $1$ パーセントの精度に達しました。
</Example>

<Example id="ex-clock-1km" title="標高 1 km の時計">
地表と、そこから $h = 1$ km 高い場所に置いた時計を比べます。<Ref to="cor-clock-rate" /> より進み方の差の割合は

$$
\frac{gh}{c^{2}} = \frac{9.8 \times 1000}{8.988\times10^{16}} = 1.09\times10^{-13}
$$

です。1 年（$3.156\times10^{7}$ 秒）ではこれが

$$
1.09\times10^{-13} \times 3.156\times10^{7} = 3.4\times10^{-6}\ \text{s}
$$

すなわち $3.4$ マイクロ秒の差になります。現代の光格子時計の不確かさは $10^{-18}$ 台に達しており、$1$ センチメートルの高低差でもこの効果が見えます。
</Example>

さて、重力赤方偏移はそれ自体が面白い予言ですが、本当に重要なのはこれが時空の平坦性を否定してしまう点です。

<Proposition id="prop-schild" title="シルトの議論：赤方偏移は平坦な時空と両立しない">
次の三つを同時に仮定すると矛盾が生じます。

1. 時空は平坦なミンコフスキー時空であり、大域的な慣性座標系 $(t, x, y, z)$ が存在する。
2. 重力場はその上の静的な場である。すなわち、光の伝播を含むすべての物理法則が時間並進 $t \mapsto t + \text{const}$ のもとで不変である。
3. 発信器 $A$ と受信器 $B$ はこの慣性座標系で静止しており、<Ref to="thm-redshift" /> の意味の赤方偏移（$\nu_2 \neq \nu_1$）が観測される。
</Proposition>

<Proof of="prop-schild">
$A$ が座標時刻 $t_1$ と $t_1 + \Delta t$ に、光の波の連続する二つの山を送り出したとします。第 1 の山の世界線を $\gamma$ と書きます。

仮定 2 により、物理法則は時間並進で不変です。第 2 の山の初期条件は、第 1 の山の初期条件を時間方向に $\Delta t$ だけずらしたものですから、第 2 の山の世界線は $\gamma$ を時間方向に $\Delta t$ だけ平行移動したものになります。$B$ の世界線は仮定 3 により $t$ 軸に平行な直線なので、第 1 の山が $B$ に届く座標時刻を $t_2$ とすれば、第 2 の山が届くのは $t_2 + \Delta t$ です。つまり **$A$ での送信間隔と $B$ での受信間隔は、座標時間で測れば等しい**。

次に仮定 1 と 3 を使います。$A$ も $B$ も平坦な時空の慣性座標系で静止しているので、その世界線に沿って $ds^{2} = -c^{2}dt^{2}$、すなわち固有時と座標時が一致します。よって

$$
\Delta\tau_A = \Delta t = \Delta\tau_B .
$$

振動数は固有時で測った単位時間あたりの山の個数ですから、$\nu_1 = 1/\Delta\tau_A = 1/\Delta\tau_B = \nu_2$ となり、赤方偏移は起こりません。これは仮定 3 に矛盾します。
</Proof>

<Ref to="ex-pound-rebka" /> が示すとおり、赤方偏移は実験事実です。したがって捨てるべきは仮定 1 か 2 です。静的な星のまわりの重力場を非静的と考えるのは不自然ですから、捨てるべきは仮定 1、**時空が平坦であること**です。

<Aside type="tip">
この議論の急所は「静止した観測者の固有時 = 座標時」という一行です。平坦な時空ではこれが無条件に成り立ってしまうため、静止した二人の間で時間の進み方に差をつける余地がありません。<Ref to="cor-clock-rate" /> のような差を許すには、時空の「距離の測り方」そのものが場所によって変わらなければなりません。
</Aside>

## 6. 帰結その二：光は重力で曲がる

もう一つの予言に移ります。<Ref to="def-eep" /> によれば、自由落下する局所慣性系の中で光はまっすぐ進みます。ならば、その局所慣性系に対して加速している観測者から見れば、光は曲がって見えるはずです。これが上の図 (a) の状況です。

<Example id="ex-lab-bending" title="実験室の中の光の曲がり">
幅 $L = 10$ m の箱が上向きに $g = 9.8\ \mathrm{m/s^{2}}$ で加速しているとします。箱の左壁から水平に入った光が右壁に届くまでの時間は

$$
t = \frac{L}{c} = \frac{10}{3.00\times10^{8}} = 3.33\times10^{-8}\ \text{s}
$$

です。この間に箱は $\frac{1}{2}g t^{2}$ だけ上に動くので、箱の中では光がその分だけ落ちたように見えます。

$$
\frac{1}{2}g t^{2} = \frac{1}{2}\times 9.8 \times (3.33\times10^{-8})^{2} = 5.4\times10^{-15}\ \text{m}
$$

原子核の直径（$10^{-15}$ m 程度）の数倍という値です。曲がり角も $\theta \simeq gL/c^{2} = 1.1\times10^{-15}$ ラジアンで、測定できるものではありません。地上の実験室で光がまっすぐ進んで見えるのは当然だったのです。効果を見たければ、$g$ が桁違いに大きく $L$ が桁違いに長い舞台、つまり天体を使うほかありません。
</Example>

<Proposition id="prop-deflection-ep" title="等価原理から見積もる光の曲がり角">
質量 $M$ の球対称な天体の中心から距離 $b$ の点をかすめて通る光線を考えます（$GM/(c^{2}b) \ll 1$）。天体に静止した座標系で次の近似を置きます。

1. 光線は 0 次近似では直線に沿って速さ $c$ で進む。
2. 光線は各点で、その点の局所自由落下加速度 $GM/r^{2}$ の、光線に垂直な成分だけ横向きの速度を得る。
3. 曲がりは小さいので 1 次の摂動で足りる。

このとき曲がり角は

$$
\alpha_{\text{EP}} = \frac{2GM}{c^{2} b}
$$

となります。
</Proposition>

<Proof of="prop-deflection-ep">
天体の中心を原点、0 次の光線を直線 $y = b$（$x$ 軸に平行）とします。光線上の点 $(x, b)$ での天体からの距離は $r = \sqrt{x^{2} + b^{2}}$、重力加速度の大きさは $GM/r^{2}$ で、その $y$ 方向成分（光線に垂直な成分）は方向余弦 $b/r$ を掛けて

$$
g_{\perp}(x) = \frac{GM}{r^{2}}\cdot\frac{b}{r} = \frac{GM\,b}{(x^{2}+b^{2})^{3/2}}
$$

です。仮定 1 より $dt = dx/c$ なので、光線が $x = -\infty$ から $x = +\infty$ まで進む間に得る横向きの速度は

$$
v_{\perp} = \int_{-\infty}^{\infty} g_{\perp}(x)\,\frac{dx}{c}
= \frac{GM\,b}{c}\int_{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{(x^{2}+b^{2})^{3/2}}
$$

です。積分を実行します。$x = b\tan\theta$（$-\pi/2 < \theta < \pi/2$）と置くと $dx = b\sec^{2}\theta\,d\theta$、$(x^{2}+b^{2})^{3/2} = b^{3}\sec^{3}\theta$ なので

$$
\int_{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{(x^{2}+b^{2})^{3/2}}
= \int_{-\pi/2}^{\pi/2}\frac{b\sec^{2}\theta}{b^{3}\sec^{3}\theta}\,d\theta
= \frac{1}{b^{2}}\int_{-\pi/2}^{\pi/2}\cos\theta\,d\theta
= \frac{2}{b^{2}}
$$

となります。よって $v_{\perp} = 2GM/(cb)$ です。仮定 3 より曲がり角は

$$
\alpha_{\text{EP}} = \frac{v_{\perp}}{c} = \frac{2GM}{c^{2}b}
$$

です。
</Proof>

<Example id="ex-sun-deflection" title="太陽をかすめる星の光">
太陽の縁をかすめる光線に <Ref to="prop-deflection-ep" /> を当てはめます。$GM_{\odot} = 1.327\times10^{20}\ \mathrm{m^{3}/s^{2}}$、$b = R_{\odot} = 6.957\times10^{8}$ m として

$$
\alpha_{\text{EP}} = \frac{2\times 1.327\times10^{20}}{8.988\times10^{16}\times 6.957\times10^{8}}
= \frac{2.654\times10^{20}}{6.253\times10^{25}}
= 4.24\times10^{-6}\ \text{rad}
$$

です。$1$ ラジアン $= 2.063\times10^{5}$ 秒角なので、$\alpha_{\text{EP}} = 0.875$ 秒角。アインシュタインが 1911 年の論文で発表した値は、当時の太陽質量・半径の値を使った $0.83$ 秒角でした。

ところが 1915 年に完成した一般相対性理論は、この値のちょうど 2 倍

$$
\alpha_{\text{GR}} = \frac{4GM_{\odot}}{c^{2}R_{\odot}} = 1.75\ \text{秒角}
$$

を与えます（<Ref to="physics/relativity/curved-spacetime#ex-light-bending" text="太陽による光の曲がり" />）。1919 年 5 月 29 日の皆既日食で、エディントンらの二つの遠征隊がこれを測定しました。ブラジルのソブラルでの $4$ インチ望遠鏡の結果が $1.98 \pm 0.12$ 秒角、西アフリカのプリンシペ島での結果が $1.61 \pm 0.30$ 秒角で、いずれもニュートン的な $0.87$ 秒角ではなく $1.75$ 秒角を支持しました。
</Example>

<Remark id="rem-factor-two" title="なぜちょうど 2 倍なのか">
<Ref to="prop-deflection-ep" /> の値が正解の半分になったのは計算ミスではありません。仮定 2 が問題です。等価原理は**局所的**な主張ですから、天体のまわりを $-\infty$ から $+\infty$ まで貫く長い経路にそれを外挿する正当性は、等価原理自身からは出てきません。

一般相対性理論の言葉で言うと、等価原理から決まるのは計量の時間成分 $g_{00}$ だけです。光の伝播には空間成分 $g_{ij}$ も効き、シュヴァルツシルト時空では両者の寄与がちょうど等しいので、答えが 2 倍になります。この事情はパラメータ $\gamma$（空間の曲がりの強さを表す指標）を使って

$$
\alpha = \frac{1+\gamma}{2}\cdot\frac{4GM}{c^{2}b}
$$

と書けます。$\gamma = 0$ なら <Ref to="prop-deflection-ep" /> の値、$\gamma = 1$ なら一般相対論の値です。カッシーニ探査機の電波を使った 2003 年の測定は $\gamma - 1 = (2.1 \pm 2.3)\times10^{-5}$ を与え、$\gamma = 1$ を強く支持しています。

なお、光を粒子と考えてニュートン力学で計算しても $2GM/(c^{2}b)$ が出ます（ゾルトナーが 19 世紀初頭に既に得ていました）。1911 年の予言は、ニュートン力学からの脱却を示すには不十分だったのです。1919 年の観測が決定的だったのは、それが $0.87$ 対 $1.75$ という二択の判定になったからでした。
</Remark>

今日では、光の曲がりは検証項目であるだけでなく道具です。銀河や銀河団による重力レンズは、遠方銀河を弧やリング（アインシュタインリング）に歪めて見せると同時に、目に見えない暗黒物質の分布を測る手段になっています。

## 7. 等価原理が指し示すもの：曲がった時空へ

ここまでの流れを整理します。

<Figure caption="等価原理から曲がった時空へ至る論理の流れ">
<Mermaid code={`flowchart TD
  A["落下の普遍性: 慣性質量 = 重力質量"] --> B["弱い等価原理"]
  B --> C["アインシュタインの等価原理: 自由落下する小さな実験室では特殊相対論がそのまま成り立つ"]
  C --> D["重力赤方偏移: 低い場所ほど時計が遅れる"]
  C --> E["光は重力で曲がる"]
  D --> F["平坦なミンコフスキー時空では記述できない"]
  E --> F
  G["潮汐力は座標変換では消せない"] --> F
  F --> H["曲がった時空の幾何学"]`} />
</Figure>

<Ref to="def-lif" /> により、時空のどの事象にも局所慣性系が存在します。しかし <Ref to="prop-tidal" /> により、それらを貼り合わせて時空全体を覆う一つの慣性系を作ることはできません。この状況、すなわち「各点の近傍では平坦な空間に見えるが、全体としては平坦でない」という状況を記述する数学が、リーマン幾何学です。地球の表面が、各点の近くでは平面の地図で表せるのに全体としては平面でないのと同じ構造です。

具体的には、時空を計量 $g_{\mu\nu}$（<Ref to="physics/relativity/curved-spacetime#def-metric" text="計量と線素" />）を持つ 4 次元多様体とし、次のように読み替えます。

| 等価原理の言葉 | 幾何学の言葉 |
|---|---|
| 局所慣性系が存在する | 各点でミンコフスキー計量 $\eta_{\mu\nu}$ の形にする座標が取れる |
| 自由落下する物体の運動 | 計量が定める測地線 |
| 消せない潮汐力 | 曲率テンソル（計量の 2 階微分） |
| 重力場の強さ $\boldsymbol{g}$ | 座標の取り方による量（接続係数） |

弱い重力場では、計量は符号 $(-,+,+,+)$ の規約のもとで

$$
ds^{2} = -\left(1+\frac{2\Phi}{c^{2}}\right)c^{2}dt^{2}
+ \left(1-\frac{2\Phi}{c^{2}}\right)\left(dx^{2}+dy^{2}+dz^{2}\right)
$$

の形になります。この式の時間成分は、既に導いた結果と一致します。実際、静止した時計（$dx = dy = dz = 0$）の固有時は $d\tau = \sqrt{1 + 2\Phi/c^{2}}\,dt \simeq (1 + \Phi/c^{2})\,dt$ となり、二つの高さで比を取れば <Ref to="cor-clock-rate" /> がそのまま出てきます。**重力赤方偏移とは、計量の時間成分が場所によって違うことの別名**だったわけです。

そして空間成分の $(1 - 2\Phi/c^{2})$ が、<Ref to="rem-factor-two" /> で述べた光の曲がりの残り半分を担います。等価原理はここまでは決めてくれません。計量そのものを物質分布から決める方程式、すなわちアインシュタイン方程式が必要になります。

その先は[曲がった時空と重力（GPS の仕組み）](/physics/relativity/curved-spacetime)で扱います。そこでは <Ref to="cor-clock-rate" /> が、$2$ 万 km 上空を秒速 $4$ km で回る GPS 衛星の時計をどれだけずらすか、そしてその補正なしにカーナビがどれほど使い物にならなくなるかを、具体的な数字で確かめます（<Ref to="physics/relativity/curved-spacetime#ex-gps-numbers" text="GPS 衛星の時計は 1 日に何マイクロ秒進むか" />）。

## 8. 演習

<Exercise id="exr-skytree" difficulty="易">
東京スカイツリーの展望台（高さ $h = 450$ m）に置いた光格子時計は、地上に置いた同じ時計に対して 1 日あたり何秒だけ速く進むか。$g = 9.8\ \mathrm{m/s^{2}}$、$c^{2} = 8.988\times10^{16}\ \mathrm{m^{2}/s^{2}}$、1 日 $= 86400$ 秒として求めよ。
<Solution>
<Ref to="cor-clock-rate" /> で $\Phi_2 - \Phi_1 = gh$ とすると、進み方の差の割合は

$$
\frac{gh}{c^{2}} = \frac{9.8 \times 450}{8.988\times10^{16}} = \frac{4410}{8.988\times10^{16}} = 4.91\times10^{-14}
$$

です。1 日あたりでは

$$
4.91\times10^{-14}\times 86400 = 4.24\times10^{-9}\ \text{s}
$$

すなわち約 $4.2$ ナノ秒です。1 年では約 $1.5$ マイクロ秒になります。

この差は実際に測定されています。2020 年、高精度の可搬型光格子時計 2 台をスカイツリーの地上階と展望台に置いた実験が行われ、測定された赤方偏移は一般相対論の予言と $10^{-5}$ 程度の精度で一致しました。実験室の外に持ち出せる時計で一般相対論が検証できる時代になっています。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-earth-bending" difficulty="標準">
(a) 地表付近の実験室（重力加速度 $g = 9.8\ \mathrm{m/s^{2}}$）で、光が水平に $L = 1$ km 進む間に「落ちる」距離を、等価原理を使って求めよ。

(b) 地球の表面すれすれを通る光線の全曲がり角を、一般相対論の公式 $\alpha = 4GM/(c^{2}b)$ で求めよ。$GM_{\oplus} = 3.986\times10^{14}\ \mathrm{m^{3}/s^{2}}$、$R_{\oplus} = 6.371\times10^{6}$ m とする。
<Solution>
(a) <Ref to="ex-lab-bending" /> と同じ計算です。光の飛行時間は

$$
t = \frac{L}{c} = \frac{1000}{3.00\times10^{8}} = 3.33\times10^{-6}\ \text{s},
$$

落下距離は

$$
\frac{1}{2}g t^{2} = \frac{1}{2}\times 9.8 \times (3.33\times10^{-6})^{2}
= 4.9 \times 1.11\times10^{-11} = 5.4\times10^{-11}\ \text{m}
$$

です。約 $0.054$ ナノメートル、水素原子の半径程度にすぎません。

(b) 公式に代入します。分母は $8.988\times10^{16}\times 6.371\times10^{6} = 5.726\times10^{23}$、分子は $4\times 3.986\times10^{14} = 1.594\times10^{15}$ なので

$$
\alpha = \frac{1.594\times10^{15}}{5.726\times10^{23}} = 2.78\times10^{-9}\ \text{rad}
= 5.7\times10^{-4}\ \text{秒角}
$$

すなわち約 $0.6$ ミリ秒角です。太陽の $1.75$ 秒角の約 $3000$ 分の 1 で、地球程度の天体では光の曲がりは実質的に無視できます。

なお (a) と (b) の意味の違いに注意してください。(a) は実験室に固定した座標で見た局所的な落下量であり、(b) は無限遠から来て無限遠へ去る光線の、遠方の恒星を基準にした全偏向角です。<Ref to="rem-factor-two" /> で述べた 2 倍の因子は後者にかかるもので、局所的な (a) の量にそのまま掛けられるものではありません。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-tidal-time" difficulty="標準">
地表付近で自由落下するエレベーターの中で、水平方向に $\ell = 1$ m 離して二つの小球を同時に静かに放す。二つの球の距離が $1$ マイクロメートルだけ縮むまでに何秒かかるか。<Ref to="prop-tidal" /> と <Ref to="ex-elevator-tidal" /> の数値を使え。
<Solution>
<Ref to="prop-tidal" /> の動径に垂直な場合の式より、相対加速度の大きさは

$$
|\delta a| = \frac{GM_{\oplus}}{R_{\oplus}^{3}}\,\ell = 1.54\times10^{-6}\times 1 = 1.54\times10^{-6}\ \mathrm{m/s^{2}}
$$

です。二つの球は静止状態から放たれるので、時間 $t$ の後の接近量は $\frac{1}{2}|\delta a|\,t^{2}$ です。これを $1\times10^{-6}$ m と置くと

$$
t = \sqrt{\frac{2\times 10^{-6}}{1.54\times10^{-6}}} = \sqrt{1.30} = 1.1\ \text{s}
$$

を得ます。

一見すると小さな効果ですが、たった 1 秒あまりで検出可能な量に達することに注意してください。もしこのエレベーターの中で $1$ マイクロメートルの精度を持つ実験をするなら、「重力は消えている」と言えるのは最初の 1 秒だけです。<Ref to="def-eep" /> の「十分に小さく、十分に短い時間」という条件は、こうして定量的な意味を持ちます。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-bondi" difficulty="難">
重力赤方偏移が存在しなかったとすると、エネルギー保存則を破る装置が作れることを示せ。次の手順を使ってよい。質量 $m$ の粒子を高さ $h$ から地面まで落とし、地面で全エネルギーを 1 個の光子に変換する。その光子を高さ $h$ まで打ち上げ、そこで再び静止した粒子に戻す。$gh/c^{2} \ll 1$ とし、[相対論的力学](/physics/relativity/relativistic-mechanics)の関係 $E = mc^{2}$ と光子のエネルギー $E = h_{\text{P}}\nu$（$h_{\text{P}}$ はプランク定数）を使え。
<Solution>
高さ $h$ に静止した質量 $m$ の粒子の全エネルギーは $mc^{2}$ です。これを地面まで落とすと、位置エネルギーが運動エネルギーに変わり、地面での全エネルギーは

$$
E_1 = mc^{2} + mgh
$$

になります。これをすべて 1 個の光子に変換すると、その光子の振動数は $\nu_1 = E_1/h_{\text{P}}$ です。

この光子を高さ $h$ まで打ち上げ、そこで静止した質量 $m'$ の粒子に戻したとします。到達時の光子のエネルギーを $E_2 = h_{\text{P}}\nu_2$ とすると、変換後の粒子の全エネルギーは $m'c^{2} = E_2$ です。

**赤方偏移がないと仮定すると** $\nu_2 = \nu_1$、すなわち $E_2 = E_1 = mc^{2} + mgh$ ですから

$$
m' = m\left(1 + \frac{gh}{c^{2}}\right) > m
$$

となります。最初に高さ $h$ にあった質量 $m$ が、一巡して質量 $m'$ になって戻ってきました。この操作を繰り返せば質量（＝エネルギー）を無限に増やせるので、エネルギー保存則が破れます。

保存則を保つには $m' = m$、すなわち $E_2 = mc^{2}$ でなければなりません。このとき

$$
\frac{\nu_2 - \nu_1}{\nu_1} = \frac{E_2 - E_1}{E_1}
= \frac{mc^{2} - (mc^{2}+mgh)}{mc^{2}+mgh}
= \frac{-gh/c^{2}}{1 + gh/c^{2}}
= -\frac{gh}{c^{2}} + O\!\left(\left(\frac{gh}{c^{2}}\right)^{2}\right)
$$

となり、<Ref to="thm-redshift" /> と一致します。重力赤方偏移は、エネルギー保存則と $E = mc^{2}$ を認める限り避けられない帰結だったことがわかります。
</Solution>
</Exercise>

## 参考文献

- A. Einstein, "Über den Einfluß der Schwerkraft auf die Ausbreitung des Lichtes", *Annalen der Physik* **35** (1911), 898–908. — 等価原理から重力赤方偏移と光の曲がり（$0.83$ 秒角）を導いた論文。
- F. W. Dyson, A. S. Eddington, C. Davidson, "A Determination of the Deflection of Light by the Sun's Gravitational Field, from Observations Made at the Total Eclipse of May 29, 1919", *Philosophical Transactions of the Royal Society A* **220** (1920), 291–333.
- R. V. Pound, G. A. Rebka Jr., "Apparent Weight of Photons", *Physical Review Letters* **4** (1960), 337–341. [DOI: 10.1103/PhysRevLett.4.337](https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.4.337)
- P. Touboul *et al.* (MICROSCOPE Collaboration), "MICROSCOPE Mission: Final Results of the Test of the Equivalence Principle", *Physical Review Letters* **129** (2022), 121102. [DOI: 10.1103/PhysRevLett.129.121102](https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.129.121102)
- M. Takamoto *et al.*, "Test of general relativity by a pair of transportable optical lattice clocks", *Nature Photonics* **14** (2020), 411–415. — 東京スカイツリーでの重力赤方偏移の測定。
- C. M. Will, *Theory and Experiment in Gravitational Physics*, 2nd ed., Cambridge University Press, 2018. — 第 2 章が等価原理とその実験的検証の標準的な解説。


</div>
