# くりこみ理論入門：ループ発散の正則化から、くりこみ群の流れまで

> φ⁴ 理論の 1 ループ計算で紫外発散を具体的に取り出し、裸のパラメータへの吸収とくりこみ条件で有限化する手順、表面的発散次数によるくりこみ可能性の判定、そしてくりこみ群方程式とベータ関数までを導きます。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/qft/renormalization

## 0. この記事の要点

- 摂動計算に現れる紫外発散は、理論が破綻していることの証拠ではありません。ラグランジアンに書き込んだ「裸のパラメータ」と、実験で測る「くりこまれたパラメータ」を取り違えたことの帰結です。
- 手続きは 3 段階です。(1) カットオフ $\Lambda$ などで積分を正則化し、(2) 裸のパラメータを $\Lambda$ の関数として選び直し、(3) 有限個のくりこみ条件で観測量に合わせる。これで $\Lambda \to \infty$ の極限が取れます。
- 有限個の条件で済むかどうかは、結合定数の質量次元だけで判定できます。4 次元 $\phi^4$ 理論では 1PI 図の表面的発散次数が $D = 4 - E$ となり、発散するのは外線 $E = 2$ と $E = 4$ の 2 種類だけです（<Ref to="cor-phi4-degree" />）。
- くりこみ条件は必ず基準スケール $\mu$ を含むので、くりこまれた結合は $\mu$ に依存します。この依存性を支配するのがくりこみ群方程式（<Ref to="thm-rg-equation" />）とベータ関数です。
- 4 次元 $\phi^4$ 理論では $\beta(\lambda) = 3\lambda^2/(16\pi^2) > 0$ で、高エネルギーほど結合が強くなります。QCD はこの符号が逆転し、漸近的に自由になります。
- くりこみ不可能な理論も、あるカットオフ以下でだけ通用する近似理論（有効場の理論）として完全な予言能力を持ちます。弱い相互作用のフェルミ理論がその典型です。

## 1. 動機 — 無限大はどこから来たのか

場の量子論の摂動論は、最低次では信じがたいほどうまく機能します。電子の異常磁気モーメントは木レベルで $g = 2$、1 ループのシュウィンガー項を足すと

$$
\frac{g-2}{2} = \frac{\alpha}{2\pi} = 0.0011614\ldots
$$

となり、実測値 $0.00115965\ldots$ と 3 桁一致します。ところが同じ 1 ループの範囲で電子の自己エネルギーを計算しようとすると、ループ運動量 $k$ についての積分が $|k| \to \infty$ で発散します。摂動級数の第 2 項が無限大なのですから、これは小さな技術的不都合ではありません。

この問題は 1930 年に J. R. オッペンハイマーが指摘して以来、四半世紀にわたって場の量子論の正当性そのものを脅かしました。転機は実験から来ます。1947 年、ラムとレザフォードは水素原子の $2s_{1/2}$ と $2p_{1/2}$ の縮退が約 $1000\ \mathrm{MHz}$ 破れていることを測定しました（現在の値は約 $1057\ \mathrm{MHz}$）。ディラック方程式はこの 2 準位を厳密に縮退させるので、これは輻射補正の直接の証拠です。ベーテはこの直後、自由電子の自己エネルギーを束縛電子のそれから差し引くという処方で、非相対論的近似のもとに $1040\ \mathrm{MHz}$ という値を得ました。差を取ると発散が消えたのです。

ここに、くりこみの発想の核心があります。**発散するのは「観測できない量」であって、「観測できる量の差」ではない**。1947 年から 1949 年にかけて、朝永振一郎、シュウィンガー、ファインマンがこの処方を相対論的に共変な形に整え、ダイソンが摂動論の全次数で整合的に実行できることを示しました。

### 1.1. 古典物理にも同じことが起こる

無限大が量子論に特有の病だと考えるのは誤りです。古典電磁気学で半径 $a$ の一様帯電球の静電エネルギーは

$$
U = \frac{3}{5}\cdot\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0 a}
$$

で、点電荷の極限 $a \to 0$ で発散します。このエネルギーは $U/c^2$ だけ電子の慣性質量に寄与するので、電子の質量は発散するはずです。しかし実験室で測れるのは「裸の質量 $+$ 電磁的自己エネルギー」という和だけであり、その和は $0.511\ \mathrm{MeV}/c^2$ という有限値です。二つの項を個別に問うこと自体に意味がありません。

もっと日常的な例もあります。密度 $\rho$ の非粘性流体の中で半径 $a$ の球を加速すると、球は自分の質量 $m$ ではなく

$$
m_{\text{eff}} = m + \tfrac{1}{2}\rho\cdot\tfrac{4}{3}\pi a^3
$$

という有効質量を持つように振る舞います（付加質量）。流体中の実験者が測るのは常に $m_{\text{eff}}$ であって $m$ ではありません。$m$ は「流体を取り去ったら測れるはずの量」ですが、真空という流体は取り去れません。

<Aside type="note">
くりこみとは、「理論の入力に使った記号」と「測定できる量」の対応を付け直す操作です。無限大の除去はその副産物にすぎません。この視点に立つと、後半で扱うくりこみ群が「発散処理の技術」ではなく「スケールごとに理論がどう見えるかを記述する枠組み」であることが自然に理解できます。
</Aside>

<div data-gated data-pagefind-ignore>

## 2. 準備 — 記号と摂動展開

以下ではユークリッド化した 1 成分スカラー場の $\phi^4$ 理論を舞台にします。経路積分の構成については [経路積分量子化](/physics/qft/path-integral-quantization) を前提とします。$d$ 次元ユークリッド時空での作用を

$$
S[\phi] = \int d^dx\ \Big[\ \tfrac{1}{2}(\partial_\mu\phi)^2 + \tfrac{1}{2}m_0^2\phi^2 + \frac{\lambda_0}{4!}\phi^4 \ \Big]
$$

とし、生成汎関数（<Ref to="physics/qft/path-integral-quantization#def-generating-functional" />）を $Z[J] = \int \mathcal{D}\phi\ e^{-S[\phi] + \int J\phi}$、その対数 $W[J] = \ln Z[J]$ のルジャンドル変換を $\Gamma[\Phi]$ と書きます。$\Gamma[\Phi]$ の $n$ 階微分が 1 粒子既約（1PI）頂点関数 $\Gamma^{(n)}$ で、運動量空間では

$$
\Gamma[\Phi] = \sum_{n}\frac{1}{n!}\int \prod_{i=1}^{n}\frac{d^dp_i}{(2\pi)^d}\ (2\pi)^d\delta^d\Big(\sum_i p_i\Big)\ \Gamma^{(n)}(p_1,\ldots,p_n)\ \Phi(p_1)\cdots\Phi(p_n)
$$

と定義します。ファインマン則は、内線が伝播関数 $1/(k^2+m_0^2)$、頂点が $-\lambda_0$、独立なループごとに $\int d^dk/(2\pi)^d$ です（相互作用項の展開とウィックの定理から出る規則です。<Ref to="physics/qft/path-integral-quantization#thm-wick" />）。木レベルでは $\Gamma^{(2)}(p) = p^2 + m_0^2$、$\Gamma^{(4)} = \lambda_0$ となります。

添字 $0$ を付けた $m_0, \lambda_0$ を**裸のパラメータ**と呼びます。これはラグランジアンに書かれた記号にすぎず、まだ何の測定値とも結び付いていない点に注意してください。

質量次元も確認しておきます。作用が無次元であることから $[\phi] = (d-2)/2$、したがって

$$
[\lambda_0] = d - 4\cdot\frac{d-2}{2} = 4 - d .
$$

$d = 4$ では $\lambda_0$ は無次元です（質量次元が相互作用の性質を分ける、という古典場の段階での議論は <Ref to="physics/qft/classical-field-theory#rem-mass-dimension" /> にあります）。この事実がこの記事全体を貫く主役になります。

## 3. 1 ループの発散を実際に取り出す

抽象論の前に、発散がどんな形で現れるかを最後まで計算しておきます。正則化には運動量カットオフ $|k| < \Lambda$ を使います。4 次元ユークリッド空間の角度積分は $\int d^4k = 2\pi^2\int k^3\,dk$（$S^3$ の面積が $2\pi^2$）なので、球対称な被積分関数 $f(k^2)$ に対して

$$
\int^\Lambda \frac{d^4k}{(2\pi)^4} f(k^2) = \frac{1}{8\pi^2}\int_0^\Lambda dk\ k^3 f(k^2) = \frac{1}{16\pi^2}\int_0^{\Lambda^2} du\ u\, f(u)
$$

が成り立ちます（$u = k^2$ と置換しました）。この 1 本の公式で以下の積分はすべて片付きます。

<Example id="ex-self-energy" title="2 点関数の 1 ループ補正（2 次発散）">
$\Gamma^{(2)}$ への $O(\lambda_0)$ の寄与は、1 個の頂点の 4 本の脚のうち 2 本を外線に、残る 2 本を互いに結んだ図（タドポール）です。頂点の 4 本から外線 2 本を選ぶ選び方が $4\times 3 = 12$ 通り、残り 2 本の結び方が 1 通りで、$1/4!$ と合わせて対称因子 $1/2$ が残ります（この数え方の一般論は <Ref to="physics/qft/path-integral-quantization#rem-symmetry-factor" /> のとおりです）。したがって

$$
\Gamma^{(2)}(p) = p^2 + m_0^2 + \frac{\lambda_0}{2}\int^\Lambda\frac{d^4k}{(2\pi)^4}\frac{1}{k^2+m_0^2} + O(\lambda_0^2).
$$

積分を実行します。

$$
\begin{aligned}
\int^\Lambda\frac{d^4k}{(2\pi)^4}\frac{1}{k^2+m_0^2}
&= \frac{1}{16\pi^2}\int_0^{\Lambda^2}\frac{u\,du}{u+m_0^2}
= \frac{1}{16\pi^2}\int_0^{\Lambda^2}\Big(1 - \frac{m_0^2}{u+m_0^2}\Big)du\\
&= \frac{1}{16\pi^2}\Big[\Lambda^2 - m_0^2\ln\frac{\Lambda^2+m_0^2}{m_0^2}\Big].
\end{aligned}
$$

$\Lambda \gg m_0$ では

$$
\Gamma^{(2)}(p) = p^2 + m_0^2 + \frac{\lambda_0}{32\pi^2}\Big[\Lambda^2 - m_0^2\ln\frac{\Lambda^2}{m_0^2}\Big] + O(\lambda_0^2,\ m_0^4/\Lambda^2).
$$

二つの点に注目してください。第一に、発散は $\Lambda^2$ という**2 次発散**です。第二に、この補正は外線運動量 $p$ に**まったく依存しません**。したがって $p^2$ の係数は 1 のままで、1 ループでは波動関数のくりこみが不要です（$Z_\phi = 1 + O(\lambda_0^2)$）。
</Example>

<Example id="ex-bubble" title="バブル積分（対数発散）">
4 点関数の 1 ループ図に現れる基本積分

$$
B(q^2) \equiv \int^\Lambda\frac{d^4k}{(2\pi)^4}\ \frac{1}{(k^2+m_0^2)\big((k+q)^2+m_0^2\big)}
$$

を計算します。まず $q = 0$ の場合を厳密に実行します。

$$
\begin{aligned}
B(0) &= \frac{1}{16\pi^2}\int_0^{\Lambda^2}\frac{u\,du}{(u+m_0^2)^2}
= \frac{1}{16\pi^2}\int_0^{\Lambda^2}\Big[\frac{1}{u+m_0^2} - \frac{m_0^2}{(u+m_0^2)^2}\Big]du\\
&= \frac{1}{16\pi^2}\Big[\ln\frac{\Lambda^2+m_0^2}{m_0^2} + \frac{m_0^2}{\Lambda^2+m_0^2} - 1\Big]
= \frac{1}{16\pi^2}\Big[\ln\frac{\Lambda^2}{m_0^2} - 1\Big] + O\!\Big(\frac{m_0^2}{\Lambda^2}\Big).
\end{aligned}
$$

一般の $q$ ではファインマン・パラメータ $\frac{1}{AB} = \int_0^1 \frac{dx}{[xA+(1-x)B]^2}$ を使います。$A = (k+q)^2+m_0^2$、$B = k^2+m_0^2$ とすると

$$
xA + (1-x)B = k^2 + 2x\,k\!\cdot\! q + x q^2 + m_0^2 = (k+xq)^2 + \Delta,\qquad \Delta \equiv m_0^2 + x(1-x)q^2
$$

なので、$\ell = k + xq$ と積分変数を移して

$$
B(q^2) = \int_0^1 dx \int^\Lambda\frac{d^4\ell}{(2\pi)^4}\frac{1}{(\ell^2+\Delta)^2}
= \frac{1}{16\pi^2}\int_0^1 dx\ \Big[\ln\frac{\Lambda^2}{\Delta} - 1\Big] + O\!\Big(\frac{q^2}{\Lambda^2}\Big).
$$

$\Delta$ の定義を代入して整理すると

$$
B(q^2) = \frac{1}{16\pi^2}\Big[\ln\frac{\Lambda^2}{m_0^2} - 1 - F(q^2)\Big],\qquad
F(q^2) \equiv \int_0^1 dx\ \ln\Big(1 + \frac{x(1-x)q^2}{m_0^2}\Big).
$$

**ここが決定的です。**$\Lambda$ を含む項は $\ln(\Lambda^2/m_0^2)$ だけで、これは外線運動量 $q$ に依存しません。運動量依存性はすべて有限な関数 $F$ に閉じ込められています。$q^2 \gg m_0^2$ では $\int_0^1\ln\big(x(1-x)\big)dx = 2\int_0^1 \ln x\,dx = -2$ を使って $F(q^2) \simeq \ln(q^2/m_0^2) - 2$ となります。
</Example>

<Aside type="caution">
ハードカットオフは積分変数の平行移動 $k \to k + xq$ で厳密には不変ではありません。$|k| < \Lambda$ と $|k+xq| < \Lambda$ の差は殻の一部だけなので、この操作が生む誤差は $O(q^2/\Lambda^2)$ に留まり、$\Lambda \to \infty$ では効きません。$\Lambda$ の係数を厳密に議論したい場合や、ゲージ対称性を保ちたい場合は、Appendix で触れる次元正則化を使うのが安全です。
</Aside>

<Proposition id="prop-one-loop-vertex" title="4 点頂点関数の 1 ループ表式">
4 次元ユークリッド $\phi^4$ 理論を運動量カットオフ $\Lambda$ で正則化する。4 本の外線運動量をすべて流入向きに取り $p_1+p_2+p_3+p_4 = 0$ とし、

$$
s = (p_1+p_2)^2,\qquad t = (p_1+p_3)^2,\qquad u = (p_1+p_4)^2
$$

とおく。このとき 4 点 1PI 頂点関数は

$$
\Gamma^{(4)}(p_1,\ldots,p_4) = \lambda_0 - \frac{\lambda_0^2}{2}\big[B(s)+B(t)+B(u)\big] + O(\lambda_0^3)
$$

であり、$B$ は <Ref to="ex-bubble" /> で計算した積分である。
</Proposition>

<Proof of="prop-one-loop-vertex">
$O(\lambda_0^2)$ の 1PI 図は、2 個の頂点を 2 本の内線で結び、各頂点に外線を 2 本ずつ付けたものです。外線 4 本を 2 個ずつに分ける分け方が 3 通りあり、これが $s$, $t$, $u$ チャネルに対応します。

係数を数えます。摂動展開の 2 次の項は $\frac{1}{2!}\big(\frac{\lambda_0}{4!}\big)^2$ を伴います。$s$ チャネル（外線 $1,2$ が同じ頂点に付く）の縮約数は、外線 $1,2$ をどちらの頂点に付けるかで $2$ 通り、その頂点の 4 本の脚から 2 本を選んで割り当てる仕方が $4\cdot 3 = 12$ 通り、もう一方の頂点で外線 $3,4$ を割り当てる仕方が $12$ 通り、残った各頂点 2 本ずつの脚を結ぶ仕方が $2$ 通りで、合計 $2\cdot 12\cdot 12\cdot 2 = 576$ 通りです。したがって係数は

$$
\frac{1}{2!}\cdot\frac{1}{(4!)^2}\cdot 576 = \frac{576}{2\cdot 576} = \frac{1}{2}
$$

となり、$s$ チャネルの寄与は $\lambda_0^2 B(s)/2$ の大きさを持ちます。符号は、$e^{-S_{\text{int}}}$ の展開で頂点が偶数個現れることと、$\Gamma^{(4)}$ が切断された連結 4 点関数の符号を反転したものであることから、木レベルの $+\lambda_0$ に対して $-$ になります。$t$, $u$ チャネルも同様なので主張を得ます。
</Proof>

## 4. くりこみ — 裸のパラメータに発散を吸収する

<Definition id="def-bare-renormalized" title="裸のパラメータとくりこまれたパラメータ">
正則化された理論において、作用に現れる $m_0, \lambda_0$ および場の正規化を**裸の量**と呼ぶ。これに対し、指定した運動量点での頂点関数の値によって定義される量

$$
m_R^2,\quad \lambda_R,\quad \phi_R = Z_\phi^{-1/2}\phi_0
$$

を**くりこまれた量**と呼び、$m_0, \lambda_0, Z_\phi$ を $m_R, \lambda_R$ と正則化パラメータ（$\Lambda$ など）の関数として定める式を**くりこみ条件**と呼ぶ。くりこまれた量を固定したまま正則化を外す極限（$\Lambda \to \infty$）が存在し、そこで全ての 1PI 関数が有限になるとき、理論はその次数で**くりこまれた**という。
</Definition>

くりこみ条件は物理から決まるものではなく、こちらが選ぶ約束（**くりこみスキーム**）です。ここでは最も見やすい零運動量条件

$$
\Gamma^{(2)}(p)\big|_{p^2=0} = m_R^2,\qquad
\frac{\partial\Gamma^{(2)}}{\partial p^2}\Big|_{p^2=0} = 1,\qquad
\Gamma^{(4)}(0,0,0,0) = \lambda_R
$$

を採用します。$m_R$ と $\lambda_R$ は「そう測定された量」であり、$\Lambda$ に依存しない有限な数です。

<Theorem id="thm-one-loop-renormalization" title="1 ループでのくりこみ">
4 次元ユークリッド $\phi^4$ 理論を運動量カットオフ $\Lambda$ で正則化し、$\Lambda \gg m_R$ とする。裸のパラメータを

$$
\begin{gathered}
m_0^2(\Lambda) = m_R^2 - \frac{\lambda_R}{32\pi^2}\Big[\Lambda^2 - m_R^2\ln\frac{\Lambda^2}{m_R^2}\Big] + O(\lambda_R^2),\\
\lambda_0(\Lambda) = \lambda_R + \frac{3\lambda_R^2}{32\pi^2}\Big[\ln\frac{\Lambda^2}{m_R^2} - 1\Big] + O(\lambda_R^3)
\end{gathered}
$$

と選べば、上の 3 つのくりこみ条件が $O(\lambda_R^2)$ まで満たされ、さらに任意の外線運動量に対して

$$
\begin{gathered}
\Gamma^{(2)}(p) = p^2 + m_R^2 + O(\lambda_R^2),\\
\Gamma^{(4)}(p_1,\ldots,p_4) = \lambda_R + \frac{\lambda_R^2}{32\pi^2}\big[F(s)+F(t)+F(u)\big] + O(\lambda_R^3),\\
F(q^2) = \int_0^1 dx\,\ln\Big(1+\frac{x(1-x)q^2}{m_R^2}\Big)
\end{gathered}
$$

が成り立つ。右辺は $\Lambda$ を含まず、$\Lambda \to \infty$ で有限な極限を持つ。
</Theorem>

<Proof of="thm-one-loop-renormalization">
**2 点関数。** <Ref to="ex-self-energy" /> より $\Gamma^{(2)}(p) = p^2 + m_0^2 + \frac{\lambda_0}{32\pi^2}\big[\Lambda^2 - m_0^2\ln(\Lambda^2/m_0^2)\big] + O(\lambda_0^2)$ です。$p^2 = 0$ とおいて $m_R^2$ に等しいと要求すると

$$
m_0^2 = m_R^2 - \frac{\lambda_0}{32\pi^2}\Big[\Lambda^2 - m_0^2\ln\frac{\Lambda^2}{m_0^2}\Big].
$$

右辺の補正項はすでに $O(\lambda)$ なので、その中の $\lambda_0, m_0$ を $\lambda_R, m_R$ で置き換えて生じる差は $O(\lambda_R^2)$ であり、主張の精度では無視できます。これで第 1 式を得ます。補正項が $p$ に依存しないので、$\Gamma^{(2)}(p) - \Gamma^{(2)}(0) = p^2$ が厳密に成り立ち、条件 $\partial\Gamma^{(2)}/\partial p^2 = 1$ は自動的に満たされます。よって $\Gamma^{(2)}(p) = p^2+m_R^2 + O(\lambda_R^2)$ です。

**4 点関数。** <Ref to="prop-one-loop-vertex" /> と <Ref to="ex-bubble" /> より、零運動量では $B(0) = \frac{1}{16\pi^2}\big[\ln(\Lambda^2/m_0^2)-1\big]$ なので

$$
\Gamma^{(4)}(0) = \lambda_0 - \frac{3\lambda_0^2}{2}B(0) = \lambda_0 - \frac{3\lambda_0^2}{32\pi^2}\Big[\ln\frac{\Lambda^2}{m_0^2}-1\Big].
$$

これを $\lambda_R$ に等しいと置いて $\lambda_0$ について解けば（同じく $O(\lambda^2)$ の項の中では $\lambda_0 \to \lambda_R$, $m_0 \to m_R$ と置き換えてよい）第 2 式が出ます。

**$\Lambda$ 依存性の相殺。** 得られた $\lambda_0$ を <Ref to="prop-one-loop-vertex" /> に代入します。

$$
\begin{aligned}
\Gamma^{(4)}(p_i)
&= \Big\{\lambda_R + \frac{3\lambda_R^2}{2}B(0)\Big\} - \frac{\lambda_R^2}{2}\big[B(s)+B(t)+B(u)\big] + O(\lambda_R^3)\\
&= \lambda_R - \frac{\lambda_R^2}{2}\Big[\big(B(s)-B(0)\big)+\big(B(t)-B(0)\big)+\big(B(u)-B(0)\big)\Big] + O(\lambda_R^3).
\end{aligned}
$$

<Ref to="ex-bubble" /> の表式で $\ln(\Lambda^2/m_0^2)$ の項は $q$ に依らないので差を取ると消え、$B(q^2)-B(0) = -F(q^2)/(16\pi^2)$ が残ります。これを代入すると

$$
\Gamma^{(4)}(p_i) = \lambda_R + \frac{\lambda_R^2}{32\pi^2}\big[F(s)+F(t)+F(u)\big] + O(\lambda_R^3)
$$

となり、$\Lambda$ は完全に消えました。$F$ は有限なので $\Lambda \to \infty$ の極限が存在します。
</Proof>

この定理の内容を、意味の順に読み直しておきます。

1. **裸のパラメータは発散する。** $\Lambda \to \infty$ で $m_0^2 \to -\infty$、$\lambda_0 \to +\infty$ です。しかし $m_0, \lambda_0$ は測定できないので、これは何も困りません。
2. **測れる量は有限。** $\Gamma^{(2)}$ と $\Gamma^{(4)}$ は $m_R, \lambda_R$ と外線運動量だけで書けます。
3. **予言が残る。** 2 つの測定値（$m_R$ と $\lambda_R$）を入力すれば、$\Gamma^{(4)}$ の**運動量依存性**は理論が決めます。これは調整の余地がない予言です。$F$ が $q^2$ の増加関数であることから、散乱の実効的な結合は高エネルギーほど強くなると分かります。

<Figure caption="くりこみの手順。発散した級数を有限の予言に変える流れ">
<Mermaid code={`flowchart TD
  A["裸のラグランジアン: 未測定の m0, lambda0"] --> B["摂動計算: ループ積分が紫外発散"]
  B --> C["正則化: カットオフ Lambda を入れる"]
  C --> D["Lambda に依存する有限な表式"]
  D --> E["くりこみ条件: 測定量 mR, lambdaR を指定"]
  E --> F["裸のパラメータを Lambda の関数として解く"]
  F --> G["Lambda 無限大の極限で n 点関数が有限"]
  G --> H["基準スケールを動かすとどうなるか: くりこみ群へ"]`} />
</Figure>

<Remark id="rem-quadratic">
質量の補正には $\Lambda^2$ という 2 次発散が現れました（<Ref to="ex-self-energy" />）。対数発散と違い、これはカットオフに極端に敏感です。$\Lambda$ を物理的な新現象のスケールと読むなら、スカラー場の質量二乗は「新しい物理のスケールの二乗」に自然に引き上げられるはずだ、ということになります。ヒッグス粒子の質量 $125\ \mathrm{GeV}$ がプランクスケール $10^{19}\ \mathrm{GeV}$ よりはるかに小さい理由を問うのが**階層性問題**で、その源はまさにこの式です。演習 <Ref to="exr-naturalness" /> で数値を確かめてください。フェルミオンの質量はカイラル対称性、ゲージボソンの質量はゲージ対称性（<Ref to="physics/qft/gauge-theory-and-symmetry-breaking#prop-photon-massless" />）に守られて対数発散に留まるので、この問題はスカラーに特有です。
</Remark>

## 5. どの理論が救えるのか — 次元による数え上げ

<Ref to="thm-one-loop-renormalization" /> では 2 個のパラメータを調整するだけで済みました。これはたまたまではありません。何個のパラメータが必要かは、積分の紫外での振る舞いを数えるだけで分かります。

<Definition id="def-superficial-degree" title="表面的発散次数">
連結ファインマン図 $G$ に対し、すべてのループ運動量を一斉に $k \to \sigma k$ とスケールしたとき、被積分関数と測度の積が $\sigma \to \infty$ で $\sigma^{D(G)}$ のように振る舞う指数 $D(G)$ を、$G$ の**表面的発散次数**と呼ぶ。$L$ 個のループ、$I$ 本の内線を持つスカラー場の図では

$$
D(G) = dL - 2I
$$

である。$D \ge 0$ なら図全体の積分は発散する。
</Definition>

「表面的」と付くのは、$D < 0$ でも部分図（サブダイアグラム）が発散すれば全体は発散しうるからです。この点は後で <Ref to="thm-bph" /> として補います。

<Proposition id="prop-power-counting" title="スカラー場の理論の次数勘定">
$d$ 次元時空の 1 成分スカラー場の理論で、相互作用項が $\sum_i \frac{g_i}{n_i!}\phi^{n_i}$ の形をしているとする。$E$ 本の外線を持つ 1PI 図 $G$ が、種類 $i$ の頂点を $V_i$ 個含むとき、その表面的発散次数は

$$
D(G) = d - \frac{d-2}{2}E - \sum_i V_i\,\delta_i,\qquad
\delta_i \equiv [g_i] = d - \frac{d-2}{2}n_i
$$

で与えられる。ここで $[g_i]$ は結合定数 $g_i$ の質量次元である。
</Proposition>

<Proof of="prop-power-counting">
記号を揃えます。図 $G$ の内線数を $I$、ループ数を $L$、頂点の総数を $V = \sum_i V_i$ とします。

**(a) ループ数。** 各内線に運動量を割り当てると独立変数は $I$ 個、各頂点で運動量保存が 1 本ずつ課されて $V$ 個の条件、ただしそのうち 1 本は全体の運動量保存（外線だけで書ける）なので独立な条件は $V-1$ 個です。よって

$$
L = I - V + 1 .
$$

**(b) 脚の数え上げ。** 頂点の脚は全部で $\sum_i n_i V_i$ 本あり、その各々は外線になるか、内線の端点になるかのどちらかです。内線は端点を 2 つ持つので

$$
\sum_i n_i V_i = E + 2I \quad\Longrightarrow\quad I = \frac{1}{2}\Big(\sum_i n_i V_i - E\Big).
$$

**(c) 代入。** <Ref to="def-superficial-degree" /> の $D = dL - 2I$ に (a) を入れると

$$
D = d(I-V+1) - 2I = (d-2)I - dV + d .
$$

ここに (b) を代入して

$$
\begin{aligned}
D &= \frac{d-2}{2}\Big(\sum_i n_i V_i - E\Big) - d\sum_i V_i + d\\
&= d - \frac{d-2}{2}E + \sum_i V_i\Big(\frac{d-2}{2}n_i - d\Big)
= d - \frac{d-2}{2}E - \sum_i V_i\Big(d - \frac{d-2}{2}n_i\Big).
\end{aligned}
$$

最後に、相互作用項 $g_i\phi^{n_i}$ を含む作用が無次元であることから $[g_i] + n_i[\phi] = d$、すなわち $[\phi] = (d-2)/2$ を使って $[g_i] = d - \frac{d-2}{2}n_i = \delta_i$ です。これで主張の形になりました。
</Proof>

<Corollary id="cor-phi4-degree" title="4 次元 φ⁴ 理論では発散は 2 種類だけ">
$d = 4$ の $\phi^4$ 理論では、$E$ 本の外線を持つ任意の 1PI 図の表面的発散次数は、ループ数にも頂点数にもよらず

$$
D = 4 - E
$$

である。したがって表面的に発散するのは $E = 2$（$D = 2$）と $E = 4$（$D = 0$）の場合だけであり、$E$ が奇数の 1PI 関数は $\phi \to -\phi$ 対称性により恒等的に消える。
</Corollary>

<Proof of="cor-phi4-degree">
$d = 4$, $n = 4$ なので <Ref to="prop-power-counting" /> の $\delta = 4 - \frac{4-2}{2}\cdot 4 = 4-4 = 0$ です。また $\frac{d-2}{2} = 1$ です。これらを代入すると $D = 4 - E - \sum_i V_i\cdot 0 = 4 - E$ となります。$V$ に依存しないことが要点です。奇数の $E$ については、作用が $\phi \to -\phi$ で不変であり、頂点は常に偶数本の脚を持つので、奇数本の外線を持つ図を作れません。
</Proof>

この系が意味することは重大です。摂動の何次に行っても、$\Lambda$ 依存性が現れる関数は $\Gamma^{(2)}$ と $\Gamma^{(4)}$ の 2 つだけです。$\Gamma^{(2)}$ の発散は $\Lambda^2$（定数部分）と $\ln\Lambda$（$p^2$ の係数）の 2 種類、$\Gamma^{(4)}$ の発散は $\ln\Lambda$（定数部分）の 1 種類で、合計 3 個の量です。これらをそれぞれ $m_0^2$、$Z_\phi$、$\lambda_0$ という 3 個の裸の量に吸収させれば、全次数で有限化できます。**発散の種類が有限個である**ことが、くりこみ可能性の実質です。

<Definition id="def-renormalizability" title="くりこみ可能性の分類">
$d$ 次元で相互作用 $g\,\mathcal{O}$（$\mathcal{O}$ は場とその微分の積）を持つ理論を、結合定数の質量次元 $[g]$ によって次のように分類する。

| $[g]$ | 呼び名 | 高次で発散する関数の種類 |
|---|---|---|
| $[g] > 0$ | 超くりこみ可能 | 有限個の図だけが発散する |
| $[g] = 0$ | くりこみ可能（周辺的） | 有限個の関数が全次数で発散する |
| $[g] < 0$ | くりこみ不可能 | 次数を上げるほど発散する関数の種類が増える |

</Definition>

分類の根拠は <Ref to="prop-power-counting" /> です。$D = d - \frac{d-2}{2}E - \sum_i V_i\delta_i$ において、$\delta_i < 0$ なら $V_i$ を増やすほど $D$ が大きくなるので、外線をいくら増やしても発散する図が作れてしまいます。逆に $\delta_i > 0$ なら $V_i$ を増やすほど $D$ が下がり、発散する図は低次の有限個に限られます。

$d = 4$ での代表例を挙げます（フェルミオンは $[\psi] = 3/2$、ゲージ場は $[A_\mu] = 1$）。

| 相互作用 | 結合定数の質量次元 | 分類 |
|---|---|---|
| $\phi^3$ | $+1$ | 超くりこみ可能 |
| $\phi^4$ | $0$ | くりこみ可能 |
| $\phi^6$ | $-2$ | くりこみ不可能 |
| 湯川 $g\,\bar\psi\psi\phi$ | $0$ | くりこみ可能 |
| QED $e\,\bar\psi\gamma^\mu\psi A_\mu$ | $0$ | くりこみ可能 |
| フェルミ $G_F(\bar\psi\psi)^2$ | $-2$ | くりこみ不可能 |
| 一般相対論 $R/(16\pi G_N)$ | $-2$ | くりこみ不可能 |

標準模型の相互作用がすべて $[g] \ge 0$ に収まっているのは、偶然ではなく必然です。この点は §7 で有効場の理論の言葉で説明します。

<Theorem id="thm-bph" title="くりこみ可能性定理（BPHZ）">
くりこみ可能な理論において、すべての部分図（1PI サブダイアグラム）を含めて表面的発散次数が負であるような図の積分は絶対収束する（ワインバーグの定理）。さらに、各 1PI サブダイアグラムのテイラー展開の発散部分を再帰的に差し引く操作（BPHZ の森公式）によって、全次数の発散が、ラグランジアンにもともと存在する項と同じ形の有限個のカウンター項

$$
\mathcal{L}_{\text{c.t.}} = \tfrac{1}{2}\delta_Z(\partial\phi)^2 + \tfrac{1}{2}\delta_m\phi^2 + \frac{\delta_\lambda}{4!}\phi^4
$$

で相殺できる。
</Theorem>

<Remark id="rem-bph-proof">
この定理の証明は本記事の範囲を超えます。ワインバーグの収束定理は S. Weinberg, *The Quantum Theory of Fields, Vol. I* の第 12 章に、森公式による全次数の証明は J. Zinn-Justin, *Quantum Field Theory and Critical Phenomena* の第 10 章に詳しい議論があります。証明の核心は、ループ運動量が異なる速さで無限大に行く「入れ子」や「重なり合った」発散をどう組織的に処理するかにあり、部分図の発散を先に引き算しておけば残りは収束する、という点にあります。
</Remark>

## 6. くりこみ群 — スケールを動かす

<Ref to="thm-one-loop-renormalization" /> では零運動量でくりこみ条件を課しました。しかし高エネルギー散乱を扱うときに零運動量を基準にするのは不自然です。基準点を運動量スケール $\mu$ に取り替えると、くりこまれた結合 $\lambda_R$ の値も変わります。この $\mu$ 依存性が、くりこみ群の主題です。

<Definition id="def-beta-anomalous" title="ベータ関数と異常次元">
くりこまれた結合 $\lambda_R$、くりこまれた質量 $m_R$、場のくりこみ定数 $Z_\phi$（$\phi_0 = Z_\phi^{1/2}\phi_R$）が、裸の量を固定したまま基準スケール $\mu$ に依存するとき

$$
\beta(\lambda_R) \equiv \mu\frac{\partial\lambda_R}{\partial\mu},\qquad
\gamma(\lambda_R) \equiv \frac{1}{2}\,\mu\frac{\partial \ln Z_\phi}{\partial\mu},\qquad
\gamma_m(\lambda_R) \equiv \frac{\mu}{m_R}\frac{\partial m_R}{\partial\mu}
$$

をそれぞれ**ベータ関数**、場の**異常次元**、**質量の異常次元**と呼ぶ。微分はすべて裸のパラメータと正則化を固定して取る。
</Definition>

<Theorem id="thm-rg-equation" title="くりこみ群方程式">
くりこみ可能な理論を、質量に依存しないくりこみスキーム（$\beta, \gamma, \gamma_m$ が $\lambda_R$ のみの関数となる処方）でくりこむ。裸の $n$ 点 1PI 関数 $\Gamma^{(n)}_0$ とくりこまれた $\Gamma^{(n)}_R$ が

$$
\Gamma^{(n)}_R(p_i;\lambda_R,m_R,\mu) = Z_\phi^{\,n/2}\,\Gamma^{(n)}_0(p_i;\lambda_0,m_0,\Lambda)
$$

で関係しているとき、$\Gamma^{(n)}_R$ は次の偏微分方程式を満たす。

$$
\Big[\mu\frac{\partial}{\partial\mu} + \beta(\lambda_R)\frac{\partial}{\partial\lambda_R} + \gamma_m(\lambda_R)\,m_R\frac{\partial}{\partial m_R} - n\,\gamma(\lambda_R)\Big]\Gamma^{(n)}_R(p_i;\lambda_R,m_R,\mu) = 0 .
$$

</Theorem>

<Proof of="thm-rg-equation">
出発点は、**裸の関数が $\mu$ を知らない**という一言に尽きます。$\Gamma^{(n)}_0$ は裸のパラメータ $\lambda_0, m_0$ と正則化 $\Lambda$ だけで書かれており、$\mu$ は我々が後から導入した基準点にすぎません。したがって裸の量と $\Lambda$ を固定して $\mu$ で微分すると

$$
\mu\frac{d}{d\mu}\Gamma^{(n)}_0 = \mu\frac{d}{d\mu}\Big[Z_\phi^{-n/2}\,\Gamma^{(n)}_R\Big] = 0 .
$$

積の微分を実行します。$Z_\phi^{-n/2}$ の微分は

$$
\mu\frac{d}{d\mu}Z_\phi^{-n/2} = -\frac{n}{2}\,Z_\phi^{-n/2}\,\mu\frac{d\ln Z_\phi}{d\mu} = -n\gamma\,Z_\phi^{-n/2}
$$

です（<Ref to="def-beta-anomalous" /> の $\gamma$ の定義を使いました）。一方 $\Gamma^{(n)}_R$ は $\mu$ に陽に依存するほか、$\lambda_R(\mu)$ と $m_R(\mu)$ を通じても依存するので、連鎖律により

$$
\mu\frac{d\Gamma^{(n)}_R}{d\mu} = \Big[\mu\frac{\partial}{\partial\mu} + \beta\frac{\partial}{\partial\lambda_R} + \gamma_m m_R\frac{\partial}{\partial m_R}\Big]\Gamma^{(n)}_R
$$

となります。二つを足して $Z_\phi^{-n/2}$（$0$ ではない）で割れば主張の式を得ます。
</Proof>

くりこみ群方程式は「同じ物理を違う基準点で記述したとき、記述が互いに整合するための条件」です。方程式自体は何も新しい物理を含みませんが、$\mu$ を実際の運動量スケールに合わせて選び直すことで、単純な摂動論では大きな対数 $\ln(p/\mu)$ が現れて破綻する領域を、系統的に扱えるようになります。

<Proposition id="prop-phi4-beta" title="4 次元 φ⁴ 理論の 1 ループのベータ関数">
4 次元 $\phi^4$ 理論のベータ関数は

$$
\beta(\lambda) = \frac{3\lambda^2}{16\pi^2} + O(\lambda^3)
$$

である。$\lambda > 0$ では $\beta > 0$ なので、結合はスケールを上げるほど強くなる。これを積分すると、基準点 $\mu_0$ での値 $\lambda(\mu_0)$ に対して

$$
\lambda(\mu) = \frac{\lambda(\mu_0)}{\,1 - \dfrac{3\lambda(\mu_0)}{16\pi^2}\ln\dfrac{\mu}{\mu_0}\,}
$$

となり、$\mu_L = \mu_0\exp\!\big[16\pi^2/(3\lambda(\mu_0))\big]$ で発散する（ランダウ極）。
</Proposition>

<Proof of="prop-phi4-beta">
**ベータ関数。** <Ref to="thm-one-loop-renormalization" /> で得た散乱振幅を使うのが最も物理的です。すべての運動量不変量が $q^2 \gg m_R^2$ の領域では、<Ref to="ex-bubble" /> の末尾で示したように $F(q^2) \simeq \ln(q^2/m_R^2) - 2$ なので

$$
\Gamma^{(4)} \simeq \lambda_R + \frac{3\lambda_R^2}{32\pi^2}\Big[\ln\frac{q^2}{m_R^2} - 2\Big]
= \lambda_R + \frac{3\lambda_R^2}{16\pi^2}\ln\frac{q}{m_R} + \text{const}\cdot\lambda_R^2 .
$$

この $\Gamma^{(4)}$ そのものを、スケール $q$ で定義した実効結合 $\lambda(q)$ と読みます。すると

$$
\beta = \frac{d\lambda(q)}{d\ln q} = \frac{3\lambda_R^2}{16\pi^2} = \frac{3\lambda^2}{16\pi^2} + O(\lambda^3)
$$

です（最後に $\lambda_R = \lambda + O(\lambda^2)$ を使いました。差は $O(\lambda^3)$）。同じ結果は形式的にも出ます。基準点をスケール $\mu$ に取ると $\lambda_R(\mu) = \lambda_0 - \frac{3\lambda_0^2}{32\pi^2}\big[\ln(\Lambda^2/\mu^2) + c\big]$（$c$ は処方に依る定数）なので、$\lambda_0,\Lambda$ を固定して $\mu\partial_\mu$ を作用させると、$\mu$ を含むのは $-\ln\mu^2$ の項だけで、$\mu\partial_\mu(-\ln\mu^2) = -2$ より

$$
\beta = -\frac{3\lambda_0^2}{32\pi^2}\cdot(-2) = \frac{3\lambda_0^2}{16\pi^2}
$$

を得ます。

**積分。** $d\lambda/d\ln\mu = 3\lambda^2/(16\pi^2)$ を変数分離して $\mu_0$ から $\mu$ まで積分すると

$$
-\frac{1}{\lambda(\mu)} + \frac{1}{\lambda(\mu_0)} = \frac{3}{16\pi^2}\ln\frac{\mu}{\mu_0}
\quad\Longleftrightarrow\quad
\frac{1}{\lambda(\mu)} = \frac{1}{\lambda(\mu_0)} - \frac{3}{16\pi^2}\ln\frac{\mu}{\mu_0}
$$

です。これを $\lambda(\mu)$ について解けば主張の式になり、分母が $0$ になる点が $\mu_L$ です。
</Proof>

<Remark id="rem-scheme">
$\beta$ の値はくりこみスキームに依存します。$\lambda \to \lambda' = \lambda + a\lambda^2 + \cdots$ という有限な取り替えを行うと $\beta$ も変わるからです。しかし摂動展開 $\beta = b_1\lambda^2 + b_2\lambda^3 + \cdots$ の**最初の 2 つの係数 $b_1, b_2$ は処方に依りません**（結合が 1 個の場合）。上で計算した $b_1 = 3/(16\pi^2)$ は、したがって物理的に意味のある数です。<Ref to="prop-phi4-beta" /> の証明で、物理的な散乱振幅から読んだ値と形式的な $\mu$ 微分から読んだ値が一致したのはこのためです。
</Remark>

ランダウ極の位置を数値で見ておきます。$\lambda(\mu_0) = 1$ なら $16\pi^2/3 \approx 52.6$ なので $\mu_L/\mu_0 = e^{52.6} \approx 7\times 10^{22}$ です。摂動論で扱える範囲をはるかに超えた高エネルギーなので、この極が本当に存在するかを摂動論だけでは判定できません。格子上の数値計算は、4 次元の $\phi^4$ 理論が連続極限で自由場になる（**トリビアリティ**）ことを強く示唆しています。ヒッグス場は $\phi^4$ 型の自己相互作用を持つので、標準模型もまた、それ自身では任意に高いエネルギーまで通用する理論ではないと考えられています。

<Example id="ex-running-couplings" title="走る結合定数：QED と QCD">
**QED。** 電子 1 種類のとき、ベータ関数は $\beta(e) = e^3/(12\pi^2)$ です。微細構造定数 $\alpha = e^2/4\pi$ で書き直すと $d\alpha/d\ln\mu = 2\alpha^2/(3\pi)$ となり、$\phi^4$ と同じく正の符号です。実際、電子の電荷は短距離ほど大きく見えます（真空偏極による遮蔽が弱くなるため）。数値でも確かめられていて、トムソン極限（$\mu \to 0$）では $\alpha^{-1} = 137.036$、$Z$ ボソン質量スケール $\mu = 91.2\ \mathrm{GeV}$ では $\alpha^{-1} \approx 129$ です。これは「結合定数」が定数でないことの実験的証拠です。

**QCD。** 非可換ゲージ理論では、グルーオン自身が色荷を持つために符号が逆転します。$n_f$ 種類のクォークがあるとき

$$
\beta(g) = -\frac{g^3}{16\pi^2}\Big(11 - \frac{2}{3}n_f\Big)
$$

で、$n_f \le 16$ なら括弧内が正、すなわち $\beta < 0$ です。積分すると

$$
\alpha_s(\mu) = \frac{2\pi}{\big(11-\frac{2}{3}n_f\big)\ln(\mu/\Lambda_{\text{QCD}})}
$$

となり、高エネルギーで結合が対数的に $0$ に近づきます（**漸近的自由性**、Gross–Wilczek と Politzer、1973 年）。積分定数を $\Lambda_{\text{QCD}} \approx 200\text{–}300\ \mathrm{MeV}$ という**次元を持つ量**として書き直した点に注意してください。もとのラグランジアンには質量スケールがないのに、くりこみが物理的なスケールを生み出しています（**次元転換**）。実測では $\alpha_s(m_Z) \approx 0.118$、$\alpha_s(1\ \mathrm{GeV}) \approx 0.5$ で、低エネルギーでは摂動論が使えません。これがクォークの閉じ込めと整合します。
</Example>

## 7. ウィルソン的描像と有効場の理論

ここまでは「発散を消す技術」としてくりこみを見てきました。ウィルソンは 1970 年代初頭に、これを**理論そのものの定義**に読み替えました。

出発点は、カットオフ $\Lambda$ を物理的な意味を持つ量と見ることです。$|k| < \Lambda$ のモードだけを持つ場の理論から始め、殻 $\Lambda/b < |k| < \Lambda$（$b > 1$）のモードだけを経路積分で積み去ります。すると残った低運動量モードに対する新しい作用 $S_{\Lambda/b}$ が得られます。次に運動量を $k' = bk$ と測り直してカットオフを $\Lambda$ に戻し、場を規格化し直すと、元と同じ形式の作用が得られます。この 2 段階を繰り返す操作が**ウィルソンのくりこみ群**で、結合定数の空間における流れ（フロー）を定義します。

この見方では、次のように整理できます。

<Definition id="def-operator-classification" title="演算子の分類">
$d$ 次元の固定点近傍で、作用に加えた演算子 $\mathcal{O}_i$ の結合を無次元化した量 $\hat g_i = g_i\mu^{-\delta_i}$（$\delta_i = [g_i]$）とする。低エネルギー（IR）へ流したとき

- $\delta_i > 0$：$\hat g_i$ が増大する。$\mathcal{O}_i$ を**関連演算子（relevant）**という。
- $\delta_i = 0$：1 ループ以上の効果で緩やかに流れる。**周辺演算子（marginal）**という。
- $\delta_i < 0$：$\hat g_i$ が減衰する。**無関連演算子（irrelevant）**という。

</Definition>

$\hat g_i = g_i \mu^{-\delta_i}$ を $\mu$ で微分すれば $\mu\,d\hat g_i/d\mu = -\delta_i\hat g_i + (\text{ループ補正})$ なので、$\mu$ を下げる（IR に向かう）と $\delta_i > 0$ の結合が伸び、$\delta_i < 0$ の結合が縮むことがすぐ分かります。

この分類は <Ref to="def-renormalizability" /> と同じものです。ただし読み方が正反対になります。古い読み方は「くりこみ不可能な理論は捨てるべきだ」でした。ウィルソン的な読み方は「**無関連演算子は低エネルギーで自動的に消えるので、低エネルギーの有効理論は必ずくりこみ可能な形をしている**」です。標準模型の相互作用がすべて $[g] \ge 0$ に収まっているのは、自然が上品だからではなく、我々が低エネルギーでしか実験していないからだ、というのがこの立場の主張です。

<Example id="ex-fermi-theory" title="フェルミ理論：くりこみ不可能な理論が働く仕組み">
ベータ崩壊のフェルミ理論は 4 フェルミ相互作用 $\frac{G_F}{\sqrt{2}}(\bar\psi\Gamma\psi)(\bar\psi\Gamma\psi)$ で記述され、$[G_F] = 4 - 4\cdot\frac{3}{2} = -2$、実測値は $G_F = 1.166\times 10^{-5}\ \mathrm{GeV}^{-2}$ です。<Ref to="def-renormalizability" /> の分類ではくりこみ不可能ですが、この理論は 20 世紀の弱い相互作用の現象論を極めて高い精度で記述しました。

理由は明快です。無次元の展開パラメータは $G_F E^2$ であり、ミューオン崩壊のスケール $E \sim m_\mu = 0.106\ \mathrm{GeV}$ では

$$
G_F m_\mu^2 \approx 1.166\times 10^{-5} \times (0.106)^2 \approx 1.3\times 10^{-7}
$$

という極小の量です。高次項が効かないので、最低次だけで十分な精度が出ます。一方で断面積は $\sigma \sim G_F^2 s$ と増大するので、$\sqrt{s}\sim G_F^{-1/2}\approx 300\ \mathrm{GeV}$ 付近でユニタリティ限界を破ります。**理論自身が自分の適用限界を教えている**わけです。

実際の破れは予想より早く、$M_W = 80.4\ \mathrm{GeV}$ で $W$ ボソンが姿を現しました（この質量の由来は <Ref to="physics/qft/gauge-theory-and-symmetry-breaking#thm-higgs-mechanism" /> です）。関係は $\frac{G_F}{\sqrt{2}} = \frac{g^2}{8M_W^2}$ で、$W$ 伝播関数 $1/(q^2-M_W^2)$ を $q^2 \ll M_W^2$ で展開したときの最低次がフェルミ相互作用に一致します。次の項は $q^2/M_W^2$ の補正で、これがまさに「無関連演算子」です。
</Example>

固定点の役割も、この描像から明らかになります。$\beta(\lambda^*) = 0$ となる点ではフローが止まり、理論はスケール変換で形を変えません。そこでは相関関数がべき則に従います。

<Theorem id="thm-fixed-point-scaling" title="固定点でのスケーリングと異常次元">
質量項が $0$ に調整された（臨界の）くりこみ可能理論を $d$ 次元で考え、$\Gamma^{(n)}(p_i;\lambda,\mu)$ は運動量、$\mu$、無次元結合 $\lambda$ のみの関数で、質量次元 $D_n = d - n\frac{d-2}{2}$ を持つとする。$\beta(\lambda^*) = 0$、$\gamma(\lambda^*) = \gamma^*$ とすると、$\lambda = \lambda^*$ において任意の $t > 0$ に対し

$$
\Gamma^{(n)}(tp_1,\ldots,tp_n;\lambda^*,\mu) = t^{\,d - n\Delta_\phi}\,\Gamma^{(n)}(p_1,\ldots,p_n;\lambda^*,\mu),
\qquad \Delta_\phi = \frac{d-2}{2} + \gamma^*
$$

が成り立つ。すなわち場は自由場の次元 $(d-2)/2$ からずれた**異常次元** $\gamma^*$ を獲得する。
</Theorem>

<Proof of="thm-fixed-point-scaling">
$\Gamma^{(n)}$ が質量次元 $D_n$ を持ち、引数が $p$ と $\mu$（および無次元の $\lambda$）だけであることから、次元解析により

$$
\Gamma^{(n)}(tp_i;\lambda,\mu) = t^{D_n}\,\Gamma^{(n)}\big(p_i;\lambda,\mu/t\big)
$$

が成り立ちます。両辺のすべての質量次元を $t$ で測り直しただけです。$F(t)$ を左辺と定め、$\nu = \mu/t$ とおいて $t\,d/dt$ を作用させます。右辺の $t$ 依存性は前因子 $t^{D_n}$ と $\nu = \mu/t$ の両方から来て、$t\,\frac{d\nu}{dt}\frac{\partial}{\partial\nu} = -\nu\frac{\partial}{\partial\nu}$ なので

$$
t\frac{dF}{dt} = t^{D_n}\Big[D_n - \nu\frac{\partial}{\partial\nu}\Big]\Gamma^{(n)}(p_i;\lambda,\nu).
$$

ここで <Ref to="thm-rg-equation" /> を質量が $0$ の場合に使います。$\gamma_m$ の項が落ちるので

$$
\nu\frac{\partial}{\partial\nu}\Gamma^{(n)} = \Big[-\beta(\lambda)\frac{\partial}{\partial\lambda} + n\gamma(\lambda)\Big]\Gamma^{(n)}
$$

です。これを代入すると

$$
t\frac{dF}{dt} = t^{D_n}\Big[D_n + \beta(\lambda)\frac{\partial}{\partial\lambda} - n\gamma(\lambda)\Big]\Gamma^{(n)}(p_i;\lambda,\nu).
$$

$\lambda = \lambda^*$ では仮定より $\beta(\lambda^*) = 0$ なので $\partial/\partial\lambda$ の項が消え、$\gamma(\lambda^*) = \gamma^*$ は定数なので

$$
t\frac{dF}{dt} = (D_n - n\gamma^*)\,F(t)
$$

という常微分方程式になります。$F(t) = t^{D_n - n\gamma^*}F(1)$ が解で、$F(1) = \Gamma^{(n)}(p_i;\lambda^*,\mu)$ です。最後に

$$
D_n - n\gamma^* = d - n\frac{d-2}{2} - n\gamma^* = d - n\Big(\frac{d-2}{2}+\gamma^*\Big) = d - n\Delta_\phi
$$

と書き直せば主張を得ます。
</Proof>

<Example id="ex-wilson-fisher" title="ウィルソン–フィッシャー固定点と臨界指数">
$d = 4-\varepsilon$ 次元では $[\lambda] = 4-d = \varepsilon$ なので、無次元結合 $\hat\lambda = \lambda\mu^{-\varepsilon}$ のベータ関数は、次元から来る項と <Ref to="prop-phi4-beta" /> のループ項の和になります。

$$
\beta(\hat\lambda) = -\varepsilon\hat\lambda + \frac{3\hat\lambda^2}{16\pi^2}.
$$

$\beta = 0$ の解は $\hat\lambda = 0$（ガウス固定点）と

$$
\hat\lambda^* = \frac{16\pi^2}{3}\varepsilon
$$

の 2 つです。後者が**ウィルソン–フィッシャー固定点**で、$\varepsilon$ が小さければ結合も小さく、摂動論が使えます。この固定点は 3 次元イジング模型の臨界点を記述し、$\varepsilon$ の 1 次で相関長の指数 $\nu = \frac{1}{2}+\frac{\varepsilon}{12}$、場の異常次元は $\gamma^* = O(\varepsilon^2)$ となります。$\varepsilon = 1$（3 次元）を代入すると $\nu \approx 0.58$ で、モンテカルロ法や共形ブートストラップによる値 $\nu = 0.6300$ とおおむね合致します。物性物理の臨界現象と素粒子論のくりこみが同じ方程式で記述されることを示した点が、ウィルソンの仕事の核心でした。
</Example>

<Figure caption="結合定数空間のくりこみ群フロー。矢印は低エネルギー（IR）方向への流れを表す">
<svg viewBox="0 0 660 300" width="100%" role="img" aria-label="4 次元と 4 マイナス イプシロン 次元におけるくりこみ群フローの比較">
  <g stroke="currentColor" fill="none" stroke-width="1.5">
    <line x1="70" y1="95" x2="600" y2="95" />
    <line x1="70" y1="235" x2="600" y2="235" />
  </g>
  <g fill="currentColor" font-size="13">
    <text x="70" y="42">d = 4 : ベータ関数は正、固定点は原点のみ</text>
    <text x="70" y="182">d = 4 − ε : 非自明な固定点が現れる</text>
    <text x="614" y="100">λ</text>
    <text x="614" y="240">λ</text>
    <text x="110" y="122" text-anchor="middle">0（IR で安定）</text>
    <text x="560" y="72" text-anchor="middle">UV で増大 → ランダウ極</text>
    <text x="110" y="262" text-anchor="middle">0（IR で不安定）</text>
    <text x="420" y="262" text-anchor="middle">λ*（ウィルソン–フィッシャー固定点）</text>
  </g>
  <g fill="var(--sl-color-accent)">
    <circle cx="110" cy="95" r="5" />
    <circle cx="110" cy="235" r="5" />
    <circle cx="420" cy="235" r="5" />
  </g>
  <g fill="currentColor">
    <path d="M 210,95 l 15,-7 l 0,14 z" />
    <path d="M 330,95 l 15,-7 l 0,14 z" />
    <path d="M 450,95 l 15,-7 l 0,14 z" />
    <path d="M 560,95 l 15,-7 l 0,14 z" />
    <path d="M 250,235 l -15,-7 l 0,14 z" />
    <path d="M 350,235 l -15,-7 l 0,14 z" />
    <path d="M 500,235 l 15,-7 l 0,14 z" />
    <path d="M 580,235 l 15,-7 l 0,14 z" />
  </g>
</svg>
</Figure>

自発的対称性の破れとゲージ理論のくりこみについては [ゲージ理論と自発的対称性の破れ](/physics/qft/gauge-theory-and-symmetry-breaking) を、場の量子論がそもそもなぜ必要かという問いについては [なぜ場の量子論が必要か](/physics/qft/why-quantum-field-theory) を参照してください。ここで使った摂動展開の構造そのものは、量子力学の [摂動論](/physics/quantum-mechanics/perturbation-theory)（<Ref to="physics/quantum-mechanics/perturbation-theory#thm-rayleigh-schrodinger" />）と [スカラー場の正準量子化](/physics/qft/canonical-quantization)（<Ref to="physics/qft/canonical-quantization#def-canonical-quantization" />）の延長線上にあります。

## 8. 演習

<Exercise id="exr-dimension-counting" difficulty="易">
$d$ 次元時空のスカラー場理論で相互作用 $g\phi^n$ を考えます。

(a) $g$ の質量次元を求めてください。

(b) $d = 3$ の $\phi^6$ 理論と $d = 6$ の $\phi^3$ 理論が、いずれも周辺的（$[g] = 0$）であることを示してください。

(c) 4 次元での湯川結合 $g\bar\psi\psi\phi$ とフェルミ結合 $G(\bar\psi\psi)^2$ の質量次元を求め、<Ref to="def-renormalizability" /> に従って分類してください。

<Solution>
(a) 作用 $\int d^dx\, g\phi^n$ が無次元であることから $-d + [g] + n[\phi] = 0$。$[\phi] = (d-2)/2$ なので

$$
[g] = d - n\frac{d-2}{2}.
$$

これは <Ref to="prop-power-counting" /> の $\delta_i$ そのものです。

(b) $d = 3$, $n = 6$ のとき $[\phi] = 1/2$ なので $[g] = 3 - 6\cdot\frac{1}{2} = 0$。$d = 6$, $n = 3$ のとき $[\phi] = 2$ なので $[g] = 6 - 3\cdot 2 = 0$。どちらも周辺的です。

(c) 4 次元でのフェルミオン場の次元は、運動項 $\bar\psi\gamma^\mu\partial_\mu\psi$ の次元が $4$ であることから $2[\psi] + 1 = 4$、すなわち $[\psi] = 3/2$ です。よって

$$
[g] = 4 - 2\cdot\frac{3}{2} - 1 = 0,\qquad [G] = 4 - 4\cdot\frac{3}{2} = -2 .
$$

湯川結合はくりこみ可能（周辺的）、フェルミ結合はくりこみ不可能（無関連）です。後者が低エネルギーで有用である理由は <Ref to="ex-fermi-theory" /> のとおりです。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-naturalness" difficulty="標準">
<Ref to="ex-self-energy" /> の結果を使い、$\Lambda$ をプランクスケール $\Lambda = 1.2\times 10^{19}\ \mathrm{GeV}$、結合を $\lambda_R = 1$ として、$\Lambda^2$ に比例する補正項の大きさを評価してください。そのうえで、くりこまれた質量が $m_R = 125\ \mathrm{GeV}$ になるためには、$m_0^2$ と補正項がどれほどの精度で相殺しなければならないか、有効数字の桁数で述べてください。

<Solution>
補正項の大きさは <Ref to="ex-self-energy" /> より $\dfrac{\lambda_R}{32\pi^2}\Lambda^2$ です。$32\pi^2 = 32\times 9.8696 \approx 315.8$ なので

$$
\frac{1}{315.8}\times(1.2\times 10^{19})^2\ \mathrm{GeV}^2 = \frac{1.44\times 10^{38}}{315.8}\ \mathrm{GeV}^2 \approx 4.6\times 10^{35}\ \mathrm{GeV}^2 .
$$

一方 $m_R^2 = (125)^2 = 1.56\times 10^4\ \mathrm{GeV}^2$ です。比は

$$
\frac{1.56\times 10^4}{4.6\times 10^{35}} \approx 3.4\times 10^{-32}
$$

なので、$m_0^2$ と補正項は約 32 桁の精度で相殺しなければなりません。裸のパラメータの選び方を 32 桁目でわずかに変えるだけでヒッグス質量がプランクスケールに飛んでしまう、という意味です。

この計算は「くりこみが破綻している」ことを示すのではありません。<Ref to="thm-one-loop-renormalization" /> の意味でくりこみは完全に機能しており、$m_R$ を入力として与えれば予言はすべて有限です。問題は $m_R \ll \Lambda$ という**入力値の小ささを説明する原理がない**ことで、これを自然さの問題と呼びます（<Ref to="rem-quadratic" />）。なお次元正則化では $\Lambda^2$ に相当する項が現れないので（Appendix 参照）、この問題は処方を変えれば見えなくなります。それでも問題が残るのは、$\Lambda$ を単なる計算道具ではなく実在の新物理スケール（たとえば大統一スケール）と読むときです。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-running" difficulty="標準">
(a) <Ref to="prop-phi4-beta" /> のランダウ極の位置を、$\lambda(\mu_0) = 0.1$ の場合について評価してください。

(b) QCD のベータ関数 $\beta(g) = -\dfrac{g^3}{16\pi^2}b_0$、$b_0 = 11-\frac{2}{3}n_f$ を $\alpha_s = g^2/4\pi$ について書き直し、積分して <Ref to="ex-running-couplings" /> の表式を導いてください。

<Solution>
(a) $\ln(\mu_L/\mu_0) = \dfrac{16\pi^2}{3\lambda(\mu_0)} = \dfrac{157.9}{0.3} \approx 526$。よって $\mu_L/\mu_0 = e^{526} \approx 10^{228}$ です。結合が小さいほどランダウ極は指数関数的に遠のきます。摂動論の破綻は、実用上は無限に遠い先の話になります。

(b) $\alpha_s = g^2/4\pi$ の両辺を $\ln\mu$ で微分すると

$$
\frac{d\alpha_s}{d\ln\mu} = \frac{2g}{4\pi}\frac{dg}{d\ln\mu} = \frac{2g}{4\pi}\cdot\Big(-\frac{b_0 g^3}{16\pi^2}\Big) = -\frac{b_0 g^4}{32\pi^3}.
$$

$g^2 = 4\pi\alpha_s$ より $g^4 = 16\pi^2\alpha_s^2$ なので

$$
\frac{d\alpha_s}{d\ln\mu} = -\frac{b_0\cdot 16\pi^2\alpha_s^2}{32\pi^3} = -\frac{b_0}{2\pi}\alpha_s^2 .
$$

変数分離して積分すると $\dfrac{1}{\alpha_s(\mu)} = \dfrac{1}{\alpha_s(\mu_0)} + \dfrac{b_0}{2\pi}\ln\dfrac{\mu}{\mu_0}$ です。ここで積分定数を $\Lambda_{\text{QCD}}$ で書き直します。$\dfrac{1}{\alpha_s(\mu_0)} = \dfrac{b_0}{2\pi}\ln\dfrac{\mu_0}{\Lambda_{\text{QCD}}}$ となるように $\Lambda_{\text{QCD}}$ を定義すれば

$$
\frac{1}{\alpha_s(\mu)} = \frac{b_0}{2\pi}\ln\frac{\mu}{\Lambda_{\text{QCD}}}
\quad\Longleftrightarrow\quad
\alpha_s(\mu) = \frac{2\pi}{b_0\ln(\mu/\Lambda_{\text{QCD}})}
$$

が得られます。$b_0 > 0$ なので $\mu \to \infty$ で $\alpha_s \to 0$（漸近的自由性）、$\mu \to \Lambda_{\text{QCD}}$ で発散します。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-wilson-fisher" difficulty="難">
$d = 4-\varepsilon$ 次元の $\phi^4$ 理論を考えます。

(a) 無次元結合 $\hat\lambda = \lambda\mu^{-\varepsilon}$ のベータ関数が $\beta(\hat\lambda) = -\varepsilon\hat\lambda + \dfrac{3\hat\lambda^2}{16\pi^2}$ となる理由を、次元解析と <Ref to="prop-phi4-beta" /> から説明してください。

(b) 2 つの固定点を求め、それぞれの近傍で $\beta$ を線形化して、固定点からのずれ $\delta\hat\lambda$ が $\mu$ とともにどう振る舞うかを求めてください。どちらが IR で安定でしょうか。

<Solution>
(a) $[\lambda] = 4 - d = \varepsilon$ なので $\hat\lambda = \lambda\mu^{-\varepsilon}$ は無次元です。裸の $\lambda$ を固定したまま $\mu$ で微分すると、明示的な $\mu^{-\varepsilon}$ から

$$
\mu\frac{\partial\hat\lambda}{\partial\mu}\bigg|_{\text{tree}} = -\varepsilon\,\lambda\mu^{-\varepsilon} = -\varepsilon\hat\lambda
$$

という古典的な項が出ます。これは相互作用が $d < 4$ で関連演算子であることの表れです。ループからの寄与は <Ref to="prop-phi4-beta" /> で計算した $3\hat\lambda^2/(16\pi^2)$ で、$\varepsilon$ の 1 次までは 4 次元の係数をそのまま使えます（係数の $\varepsilon$ 依存性は $O(\hat\lambda^2\varepsilon)$ の高次補正）。両者を足して主張の式になります。

(b) $\beta(\hat\lambda) = \hat\lambda\Big(-\varepsilon + \dfrac{3\hat\lambda}{16\pi^2}\Big) = 0$ より

$$
\hat\lambda = 0 \quad\text{(ガウス固定点)},\qquad \hat\lambda^* = \frac{16\pi^2\varepsilon}{3}\quad\text{(ウィルソン–フィッシャー固定点)} .
$$

微分は $\beta'(\hat\lambda) = -\varepsilon + \dfrac{6\hat\lambda}{16\pi^2}$ なので

$$
\beta'(0) = -\varepsilon,\qquad
\beta'(\hat\lambda^*) = -\varepsilon + \frac{6}{16\pi^2}\cdot\frac{16\pi^2\varepsilon}{3} = -\varepsilon + 2\varepsilon = +\varepsilon .
$$

固定点近傍では $\mu\,d(\delta\hat\lambda)/d\mu = \beta'(\hat\lambda^*)\,\delta\hat\lambda$ なので $\delta\hat\lambda(\mu) = \delta\hat\lambda(\mu_0)\big(\mu/\mu_0\big)^{\beta'}$ です。

- ガウス固定点：$\beta' = -\varepsilon < 0$ なので $\mu \to 0$（IR）で $\delta\hat\lambda$ は増大します。**IR で不安定**です。
- ウィルソン–フィッシャー固定点：$\beta' = +\varepsilon > 0$ なので $\mu \to 0$ で $\delta\hat\lambda \to 0$。**IR で安定**です。

したがって $d < 4$ では、臨界点に調整された系の長距離の振る舞いは、初期条件によらずウィルソン–フィッシャー固定点で決まります。これが臨界現象の**普遍性**の起源です。なお $\beta'(\hat\lambda^*) = \varepsilon$ は補正指数 $\omega$ と呼ばれ、臨界点への近づき方の補正を支配します。$d = 4$（$\varepsilon = 0$）では 2 つの固定点が合流し、<Ref to="prop-phi4-beta" /> の対数的な流れだけが残ります。
</Solution>
</Exercise>

## 参考文献

**教科書。** M. E. Peskin and D. V. Schroeder, *An Introduction to Quantum Field Theory*, Addison-Wesley, 1995 — 第 10 章（系統的なくりこみ）と第 12 章（くりこみ群）。本記事の $\phi^4$ の 1 ループ計算とベータ関数は、この 2 章の内容をユークリッド形式で書き直したものです。

S. Weinberg, *The Quantum Theory of Fields, Vol. I: Foundations*, Cambridge University Press, 1995 — 第 11 章・第 12 章。ワインバーグの収束定理とくりこみ可能性の一般論。

J. Zinn-Justin, *Quantum Field Theory and Critical Phenomena*, Oxford University Press — 第 8 章から第 10 章。BPHZ の森公式による全次数の証明と、臨界現象との関係。

M. Srednicki, *Quantum Field Theory*, Cambridge University Press, 2007 — 第 I 部後半。$\phi^3$ 理論を舞台にした、計算が最後まで追える入門。

九後汰一郎『ゲージ場の量子論 I・II』培風館、1989 — くりこみとくりこみ群の章。ゲージ理論のくりこみを日本語で扱った標準的な文献です。

**原論文。** K. G. Wilson and J. Kogut, "The renormalization group and the $\varepsilon$ expansion", *Physics Reports* **12** (1974), 75–199 — ウィルソン的くりこみ群と $\varepsilon$ 展開の総説。

D. J. Gross and F. Wilczek, "Ultraviolet Behavior of Non-Abelian Gauge Theories", *Physical Review Letters* **30** (1973), 1343; H. D. Politzer, "Reliable Perturbative Results for Strong Interactions?", *Physical Review Letters* **30** (1973), 1346 — 漸近的自由性の発見。

**データ。** 結合定数の実測値（$\alpha(m_Z)$、$\alpha_s(m_Z)$、$G_F$、$M_W$）は Particle Data Group の [Review of Particle Physics](https://pdg.lbl.gov/) によります。

## Appendix: 次元正則化

**なぜ別の正則化が要るのか。** 本文では運動量カットオフを使いました。直観的で、ウィルソン的な描像とも相性がよい方法です。しかし欠点があります。$|k| < \Lambda$ という条件はローレンツ不変ではなく、ゲージ変換とも両立しません。実際、QED にカットオフを入れると光子が質量を持つような発散項が現れ、対称性の回復に余分な手間がかかります。't Hooft と Veltman が 1972 年に導入した**次元正則化**は、時空の次元 $d$ を複素数に解析接続して積分を有限にする方法で、ローレンツ不変性とゲージ不変性を保ったまま正則化できます。

**基本公式。** ユークリッド空間で

$$
\int\frac{d^d\ell}{(2\pi)^d}\frac{1}{(\ell^2+\Delta)^n} = \frac{1}{(4\pi)^{d/2}}\frac{\Gamma\!\big(n-\frac{d}{2}\big)}{\Gamma(n)}\,\Delta^{\frac{d}{2}-n}
$$

が成り立ちます。$n = 2$、$d = 4-\varepsilon$ とすると $\Gamma(\varepsilon/2) = 2/\varepsilon - \gamma_E + O(\varepsilon)$（$\gamma_E$ はオイラー定数）を使って

$$
\int\frac{d^d\ell}{(2\pi)^d}\frac{1}{(\ell^2+\Delta)^2} = \frac{1}{16\pi^2}\Big[\frac{2}{\varepsilon} - \gamma_E + \ln 4\pi - \ln\Delta\Big] + O(\varepsilon)
$$

となります。本文の <Ref to="ex-bubble" /> でカットオフが $\ln\Lambda^2$ という形で現れた場所に、ここでは $2/\varepsilon$ という極が現れています。対応は $\ln\Lambda^2 \leftrightarrow 2/\varepsilon$ で、$\Delta$ 依存性（つまり物理的な運動量依存性）はどちらでも同一です。$-\gamma_E+\ln4\pi$ を極と一緒に差し引く処方を $\overline{\text{MS}}$ スキームと呼びます。

**べき発散が見えないこと。** $n = 1$ の場合は $\Gamma(1-d/2)$ で、$d = 4-\varepsilon$ では $\Gamma(-1+\varepsilon/2)$ となって単純極を持ちますが、$\Lambda^2$ に相当する項はどこにも現れません。次元正則化では、対数発散だけが $1/\varepsilon$ の極として姿を見せ、2 次発散は自動的に $0$ と置かれます。<Ref to="rem-quadratic" /> の階層性問題が「処方の選び方の問題ではないか」と言われることがあるのはこのためです。しかし標準模型を、より高いスケール $\Lambda_{\text{new}}$ の理論の低エネルギー有効理論と見るなら、重い粒子のループが $\Lambda_{\text{new}}^2$ に比例する寄与を実際に生むので、問題は処方に依らない形で戻ってきます。

**質量に依存しないスキームの利点。** $\overline{\text{MS}}$ では、くりこみ定数が極とその係数だけで決まり、質量に依存しません。この性質のおかげで <Ref to="thm-rg-equation" /> の $\beta$, $\gamma$, $\gamma_m$ が $\lambda_R$ のみの関数になり、くりこみ群方程式が扱いやすい形になります。本文で計算した $\beta(\lambda) = 3\lambda^2/(16\pi^2)$ は、この処方でも同じ値になります（<Ref to="rem-scheme" />）。


</div>
