# 振動と波動：減衰・強制振動と共鳴から基準モード、弦の波動方程式、群速度まで

> 減衰振動の 3 つの型と強制振動の共鳴曲線を導き、連成振動を基準モードに分解する。連続極限として弦の波動方程式を得て、分散関係から位相速度と群速度の違いを証明する。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/mechanics/oscillations-and-waves

## 0. この記事の要点

ブランコは押さなければ少しずつ止まり、リズムを合わせて押すと大きく揺れます。ギターの弦は、押さえる位置で音の高さが変わります。この記事は、こうした「揺れ」がどう減っていくか、外から揺らすとなぜ特定のリズムで大きく揺れるか、揺れるものがつながると何が起こるか、それが空間を伝わる「波」になる様子を、数式で順に確かめます。読み終えると、減衰・共鳴・弦の振動数・波の進む速さを自分で計算できるようになります。

- 減衰振動 $\ddot x+2\beta\dot x+\omega_0^2x=0$ は、$\beta<\omega_0$（不足減衰）・$\beta=\omega_0$（臨界減衰）・$\beta>\omega_0$（過減衰）の 3 型に分かれます。変換 $x=e^{-\beta t}y$ で、3 つとも $\ddot y+(\omega_0^2-\beta^2)y=0$ に帰着します（<Ref to="thm-damped" />）。
- 周期的な外力を加えると、十分時間が経ったあとの応答は外力と同じ振動数の定常振動です。その振幅は $\omega_r=\sqrt{\omega_0^2-2\beta^2}$ で最大になり、吸収パワー（外力が単位時間あたりに与えるエネルギー）は $\omega_0$ で最大になって半値全幅（ピークの高さが半分になる 2 点の間隔）がちょうど $2\beta$ です（<Ref to="thm-forced" />, <Ref to="thm-resonance" />）。
- 自由度が複数の振動系 $M\ddot{\boldsymbol{x}}=-K\boldsymbol{x}$ は、実対称行列の対角化により、互いに独立な単振動（基準モード。系全体が 1 つの振動数でそろって揺れる動き方）の重ね合わせに分解されます（<Ref to="thm-normal-modes" />）。
- 質点が $N$ 個の鎖の基準振動数は $\omega_k=2\sqrt{\kappa/m}\,\sin\frac{k\pi}{2(N+1)}$ です。連続極限で弦の波動方程式 $u_{tt}=c^2u_{xx}$ になり、一般解は $F(x-ct)+G(x+ct)$、固定端の弦の振動は $\omega_n=n\pi c/L$ の定在波の重ね合わせです（<Ref to="thm-dalembert" />, <Ref to="thm-string-modes" />）。
- 振動数が波数に依存する（分散のある）波では、波束（いくつかの波を重ねてできた、ひとかたまりの波）の包絡線（かたまりの輪郭）は位相速度 $\omega/k$（波の山が進む速さ）ではなく**群速度** $d\omega/dk$（かたまり全体が進む速さ）で進みます。誤差の評価つきで証明します（<Ref to="thm-group-velocity" />）。

<Aside type="tip" title="この記事で使う事前知識">

- **単振動**: 復元力が変位に比例する運動 $\ddot x=-\omega_0^2x$ で、一定の振動数で往復します。→ [ニュートン力学の基礎](/physics/mechanics/newtonian-mechanics)
- **初期値問題の解の一意性**: 位置と速度の初期値を決めると運動がただ 1 つに決まる、という性質です。→ [ニュートン力学の基礎](/physics/mechanics/newtonian-mechanics)
- **ラグランジュ方程式**: 運動エネルギーと位置エネルギーの差から運動方程式を作る方法です。→ [ラグランジュ形式の力学](/physics/mechanics/lagrangian-mechanics)
- **実対称行列の対角化**: 実対称行列は、直交行列を使って対角行列にできる、という性質です。→ 本文の <Ref to="mathematics/linear-algebra/spectral-theorem#cor-real-symmetric" />
- **常微分方程式（定数係数）**: $e^{\lambda t}$ の形の解を探して解く線形方程式です。

</Aside>

## 1. 動機：なぜ振動と波動をまとめて学ぶのか

[ニュートン力学の基礎](/physics/mechanics/newtonian-mechanics)では、ばねにつながれた質点の単振動 $\ddot x=-\omega_0^2x$ を解きました（<Ref to="physics/mechanics/newtonian-mechanics#thm-shm" />）。この方程式は力学のあらゆる場所に現れます。平衡点のまわりで位置エネルギーを 2 次まで展開すれば、どんな系も微小振動では調和振動子になるからです。

しかし現実の振動は、純粋な単振動から 3 つの点でずれます。第 1 に、摩擦や空気抵抗でエネルギーが失われます（減衰）。第 2 に、外から力が加えられ続けることがあります（強制振動）。ブランコを押す、橋が風で揺れる、ラジオの同調回路が電波を拾う、といった場面です。第 3 に、振動する部分が 1 つではなく、互いにつながって影響し合います（連成）。

連成する部分の数を増やしていくと、振動は空間を伝わる波になります。弦、音、水面、光は、どれも「無数の調和振動子が隣と連成したもの」として理解できます。この記事の後半はその道筋です。最後に、波の速さが振動数によって違う（分散）とき、「波の速さ」という言葉が 1 つの意味に定まらなくなることを見ます。波束が運ぶエネルギーや情報の速度は群速度で、位相の山が進む速度とは別物です。

この記事で使う数学は、定数係数の線形常微分方程式と、実対称行列の対角化（<Ref to="mathematics/linear-algebra/spectral-theorem#cor-real-symmetric" />）です。

## 2. 減衰振動

質量 $m$ の質点に、復元力 $-kx$ と、速度に比例する抵抗力 $-\gamma\dot x$ が働くとします。$\omega_0=\sqrt{k/m}$、$\beta=\gamma/(2m)$ と置くと、運動方程式は
$$
\ddot x+2\beta\dot x+\omega_0^2x=0\qquad(\beta\ge0,\ \omega_0>0)
$$
です。$\beta$ を**減衰率**、$\omega_0$ を**固有角振動数**と呼びます。

<Theorem id="thm-damped" title="減衰振動の一般解">
上の方程式の一般解は次のとおりである。$A,B$ は任意定数。

1. $\beta<\omega_0$（不足減衰）: $x=e^{-\beta t}\left(A\cos\omega_dt+B\sin\omega_dt\right)$、ただし $\omega_d=\sqrt{\omega_0^2-\beta^2}$。
2. $\beta=\omega_0$（臨界減衰）: $x=e^{-\beta t}(A+Bt)$。
3. $\beta>\omega_0$（過減衰）: $x=e^{-\beta t}\left(A\cosh\kappa t+B\sinh\kappa t\right)$、ただし $\kappa=\sqrt{\beta^2-\omega_0^2}$。

初期条件 $x(0)=x_0$, $\dot x(0)=v_0$ に対する係数は、1 では $A=x_0$, $B=(v_0+\beta x_0)/\omega_d$ である。
</Theorem>

<Proof of="thm-damped">
$x=e^{-\beta t}y$ と置くと、$\dot x=e^{-\beta t}(\dot y-\beta y)$、$\ddot x=e^{-\beta t}(\ddot y-2\beta\dot y+\beta^2y)$ なので
$$
\ddot x+2\beta\dot x+\omega_0^2x=e^{-\beta t}\left(\ddot y-2\beta\dot y+\beta^2y+2\beta\dot y-2\beta^2y+\omega_0^2y\right)=e^{-\beta t}\left(\ddot y+(\omega_0^2-\beta^2)y\right)
$$
です。したがって $x$ が解であることと、$y$ が $\ddot y+(\omega_0^2-\beta^2)y=0$ を満たすことは同値です。この方程式の解は、$\omega_0^2-\beta^2>0$ なら $A\cos\omega_dt+B\sin\omega_dt$（<Ref to="physics/mechanics/newtonian-mechanics#thm-shm" />）、$=0$ なら $\ddot y=0$ より $A+Bt$、$<0$ なら $\ddot y=\kappa^2y$ より $A\cosh\kappa t+B\sinh\kappa t$ です。最後の場合、これらが任意の初期条件を満たせること（$y(0)=A$, $\dot y(0)=\kappa B$）と、初期値問題の解が一意であること（<Ref to="physics/mechanics/newtonian-mechanics#prop-uniqueness" />）から、これが一般解のすべてです。1 の係数は $y(0)=x_0$, $\dot y(0)=v_0+\beta x_0$ から決まります。
</Proof>

不足減衰の解は、振幅が $e^{-\beta t}$ で減っていく振動です。振動数は無減衰のときの $\omega_0$ より少し低い $\omega_d$ になります。エネルギー $E=\frac12m\dot x^2+\frac12kx^2$ の時間変化は $\dot E=m\dot x(\ddot x+\omega_0^2x)=-2m\beta\dot x^2\le0$ で、減衰が弱い（$\beta\ll\omega_0$）ときは 1 周期のあいだに $E$ は約 $e^{-2\beta T}$ 倍、つまり割合 $2\beta T=4\pi\beta/\omega_0$ だけ失われます。この割合の逆数を使って、**Q 値**を
$$
Q=\frac{\omega_0}{2\beta}
$$
と定めます。1 周期あたりに失うエネルギー割合が $2\pi/Q$ になります。

<Example id="ex-tuning-fork" title="音叉の減衰">
振動数 $440\ \mathrm{Hz}$ の音叉で、Q 値が $1000$ だとします。$\omega_0=2\pi\times440=2.76\times10^3\ \mathrm{s^{-1}}$ から $\beta=\omega_0/(2Q)=1.38\ \mathrm{s^{-1}}$ です。振幅は $1/\beta\approx0.72\ \mathrm{s}$ ごとに $1/e$ になり、エネルギーは $1/(2\beta)\approx0.36\ \mathrm{s}$ ごとに $1/e$ になります。$e^{-1.38t}=0.1$ とすると $t=1.7\ \mathrm{s}$ ですので、叩いてから約 $1.7$ 秒で振幅が $1/10$ に落ちます。
</Example>

臨界減衰は、振動せずに最も速く平衡に戻る条件です。不足減衰では $\omega_d$ で振動し続け、過減衰では遅い方の指数 $e^{-(\beta-\kappa)t}$ が支配的になって戻りが遅くなります。ドアクローザーや計器の針の制動を臨界減衰付近に設計するのはこのためです。

<Figure caption="3 つの減衰の型の変位 x(t)（ω₀=1、初期条件は x(0)=1, 速度 0）。細い線：不足減衰（β=0.2）は振動しながら減る。太い線：臨界減衰（β=1）は振動せず最も速く 0 に戻る。破線：過減衰（β=2）は振動せずゆっくり戻る">
<svg viewBox="0 0 400 250" width="100%" role="img" aria-label="不足減衰、臨界減衰、過減衰の変位の時間変化を重ねたグラフ">
  <g fill="none" stroke="currentColor" stroke-width="1.4">
    <line x1="50" y1="150" x2="375" y2="150" />
    <line x1="50" y1="230" x2="50" y2="30" />
    <polyline points="50.0,50.0 56.7,53.0 63.3,61.5 70.0,74.4 76.7,90.5 83.3,108.6 90.0,127.5 96.7,145.9 103.3,162.7 110.0,177.3 116.7,188.8 123.3,196.9 130.0,201.5 136.7,202.6 143.3,200.5 150.0,195.6 156.7,188.5 163.3,179.7 170.0,170.1 176.7,160.1 183.3,150.6 190.0,141.9 196.7,134.5 203.3,128.7 210.0,124.7 216.7,122.6 223.3,122.4 230.0,123.8 236.7,126.6 243.3,130.5 250.0,135.2 256.7,140.3 263.3,145.6 270.0,150.5 276.7,155.0 283.3,158.8 290.0,161.7 296.7,163.6 303.3,164.5 310.0,164.5 316.7,163.6 323.3,162.0 330.0,159.9 336.7,157.3 343.3,154.6 350.0,151.9 356.7,149.3 363.3,147.0 370.0,145.1" stroke="var(--sl-color-accent)" stroke-width="1.6" />
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  </g>
  <g fill="currentColor" font-size="14">
    <text x="378" y="154">t</text>
    <text x="36" y="26">x</text>
    <text x="30" y="54">1</text>
    <text x="30" y="154">0</text>
  </g>
</svg>
</Figure>

## 3. 強制振動と共鳴

減衰振動子に、角振動数 $\omega$ の周期的な外力を加えます。単位質量あたりの力の振幅を $f$ として
$$
\ddot x+2\beta\dot x+\omega_0^2x=f\cos\omega t\qquad(\beta>0)
$$
を考えます。

<Theorem id="thm-forced" title="強制振動の定常解">
この方程式の一般解は、特解
$$
x_p(t)=A(\omega)\cos(\omega t-\delta),\qquad A(\omega)=\frac{f}{\sqrt{(\omega_0^2-\omega^2)^2+4\beta^2\omega^2}},\qquad \delta=\arg\left(\omega_0^2-\omega^2+2i\beta\omega\right)\in(0,\pi)
$$
に、同次方程式の一般解（<Ref to="thm-damped" />）を足したものである。同次解は $t\to\infty$ で $0$ に収束する。
</Theorem>

<Proof of="thm-forced">
$x=\mathrm{Re}\,(Ze^{i\omega t})$ を代入します。実数係数の線形方程式なので、複素方程式 $\ddot z+2\beta\dot z+\omega_0^2z=fe^{i\omega t}$ の解の実部が元の解です。$z=Ze^{i\omega t}$ とすると $(-\omega^2+2i\beta\omega+\omega_0^2)Z=f$ なので
$$
Z=\frac{f}{\omega_0^2-\omega^2+2i\beta\omega}=\frac{f}{\sqrt{D}}\,e^{-i\delta},\qquad D=(\omega_0^2-\omega^2)^2+4\beta^2\omega^2
$$
です。虚部 $2\beta\omega>0$ より偏角 $\delta\in(0,\pi)$ で、$\mathrm{Re}(Ze^{i\omega t})=(f/\sqrt D)\cos(\omega t-\delta)$ が特解です。非同次方程式の 2 つの解の差は同次方程式の解なので、一般解は特解 + 同次解です。同次解の減衰は <Ref to="thm-damped" /> の形から従います（不足・臨界では因子 $e^{-\beta t}$、過減衰では $e^{-\beta t}\cosh\kappa t$ などが $e^{-(\beta-\kappa)t}$ 程度で、$\kappa<\beta$ なので $0$ に収束）。
</Proof>

過渡的な同次解が消えたあとの運動は、初期条件にまったく依存しません。位相の遅れ $\delta$ は、$\omega\ll\omega_0$ で $0$（外力に追従）、$\omega=\omega_0$ で $\pi/2$、$\omega\gg\omega_0$ で $\pi$（逆位相）となります。

<Theorem id="thm-resonance" title="共鳴の条件と共鳴曲線の幅">
定常解について次が成り立つ。

1. $\omega_0^2>2\beta^2$ のとき、振幅 $A(\omega)$ は $\omega_r=\sqrt{\omega_0^2-2\beta^2}$ で最大値 $A_{\max}=\dfrac{f}{2\beta\sqrt{\omega_0^2-\beta^2}}$ をとる。$\omega_0^2\le2\beta^2$ のとき、$A(\omega)$ は $\omega$ について単調減少である。
2. 質量 $m$ の質点が外力 $mf\cos\omega t$ から受け取る時間平均のパワーは $\bar P(\omega)=\dfrac{mf^2\beta\omega^2}{(\omega_0^2-\omega^2)^2+4\beta^2\omega^2}$ で、$\omega=\omega_0$ で最大値 $mf^2/(4\beta)$ をとり、半値（$\bar P_{\max}/2$）になる 2 つの角振動数の差は厳密に $2\beta$ である。
</Theorem>

証明の方針です。1 は、分母 $D$ を $s=\omega^2$ の 2 次関数とみて、$D$ が最小になる点を探します。$A=f/\sqrt D$ なので、$D$ が最小のとき振幅が最大です。2 は、外力が単位時間あたりにする仕事（力 × 速度）を 1 周期で平均してパワーの式を作り、それが最大値の半分になる 2 点を求めます。

<Proof of="thm-resonance">
1. $s=\omega^2\ge0$ と置くと $D=(\omega_0^2-s)^2+4\beta^2s$、$dD/ds=-2(\omega_0^2-s)+4\beta^2$ です。$D$ は $s$ の下に凸な 2 次関数で、最小点は $s=\omega_0^2-2\beta^2$ です。これが $s\ge0$ に入る条件は $\omega_0^2\ge2\beta^2$（等号のときは端点）。最小値は $D_{\min}=4\beta^2\omega_0^2-4\beta^4=4\beta^2(\omega_0^2-\beta^2)$ で、$A=f/\sqrt D$ より最大値が出ます。$\omega_0^2\le2\beta^2$ では $s\ge0$ で $dD/ds\ge0$ なので $D$ は単調増加し、$A$ は単調減少です。
2. 力 $F=mf\cos\omega t$ と速度 $\dot x_p=-A\omega\sin(\omega t-\delta)$ の積の 1 周期平均をとります。$\cos\omega t\sin(\omega t-\delta)=\frac12\left[\sin(2\omega t-\delta)-\sin\delta\right]$ で、第 1 項の平均は $0$ です。よって $\bar P=\frac12mfA\omega\sin\delta$。$\sin\delta=2\beta\omega/\sqrt D$ と $A=f/\sqrt D$ を代入すると、$\bar P=mf^2\beta\omega^2/D$ です。$\omega^2/D=1/\left[\left(\frac{\omega_0^2-\omega^2}{\omega}\right)^2+4\beta^2\right]$ と書けるので、最大は $\omega_0^2=\omega^2$ のときで $\bar P_{\max}=mf^2/(4\beta)$。半値の条件は $\left(\frac{\omega_0^2-\omega^2}{\omega}\right)^2=4\beta^2$、すなわち $\omega_0^2-\omega^2=\pm2\beta\omega$ です。正の解は $\omega_\pm=\sqrt{\omega_0^2+\beta^2}\pm\beta$ なので、$\omega_+-\omega_-=2\beta$ です。
</Proof>

<Remark id="rem-resonance-q">
<Ref to="thm-resonance" /> の 2. の半値全幅 $2\beta$ と共鳴中心 $\omega_0$ の比は、定義 $Q=\omega_0/(2\beta)$ により $2\beta/\omega_0=1/Q$ です。Q 値が高い系ほど共鳴曲線が鋭く、特定の振動数だけに強く応答します。音叉や水晶振動子の高い Q 値は、振動数の基準として使える鋭さの源です。
</Remark>

<Example id="ex-undamped-resonance" title="減衰がないときの共鳴：振幅は時間に比例して増える">
$\beta=0$ で $\omega=\omega_0$ のとき、定常解の公式は発散します。方程式 $\ddot x+\omega_0^2x=f\cos\omega_0t$ の特解は $x=\dfrac{f\,t}{2\omega_0}\sin\omega_0t$ です。実際、$\ddot x=f\cos\omega_0t-\dfrac{f\omega_0t}{2}\sin\omega_0t$ なので、$\ddot x+\omega_0^2x=f\cos\omega_0t$ が成り立ちます。振幅 $ft/(2\omega_0)$ は時間に比例して増え続け、現実には抵抗や非線形性で頭打ちになります。
</Example>

<Example id="ex-resonance-numbers" title="共鳴曲線の数値">
$\omega_0=10\ \mathrm{s^{-1}}$, $\beta=1\ \mathrm{s^{-1}}$ のとき、$Q=5$ です。振幅の最大は $\omega_r=\sqrt{100-2}=9.90\ \mathrm{s^{-1}}$ で、$A_{\max}=f/(2\sqrt{99})=f/19.9$。静的な応答は $f/\omega_0^2=f/100$ なので、共鳴で約 $5.0$ 倍に増幅されます。$Q$ に近い倍率になるのは、減衰が弱いときの一般的な性質です。
</Example>

## 4. 連成振動と基準モード

### 4.1. 一般論

自由度 $n$ の系が安定な平衡点のまわりで微小振動するとき、運動エネルギーと位置エネルギーを 2 次形式
$$
T=\tfrac12\dot{\boldsymbol{x}}^{\mathsf T}M\dot{\boldsymbol{x}},\qquad U=\tfrac12\boldsymbol{x}^{\mathsf T}K\boldsymbol{x}
$$
で近似できます。$\boldsymbol{x}$ は平衡点からのずれ、$M,K$ は定数の実対称行列で、$M$ は正定値、$K$ は正定値（安定な平衡）とします。ラグランジュ方程式（<Ref to="physics/mechanics/lagrangian-mechanics#thm-euler-lagrange" />）は
$$
M\ddot{\boldsymbol{x}}=-K\boldsymbol{x}
$$
になります。

<Theorem id="thm-normal-modes" title="基準モードへの分解">
$M,K$ が実対称正定値行列ならば、正の数 $\omega_1^2,\ldots,\omega_n^2$ と、$\boldsymbol{s}_j^{\mathsf T}M\boldsymbol{s}_k=\delta_{jk}$ を満たすベクトル $\boldsymbol{s}_1,\ldots,\boldsymbol{s}_n$ が存在して、$K\boldsymbol{s}_k=\omega_k^2M\boldsymbol{s}_k$ となる。方程式 $M\ddot{\boldsymbol{x}}=-K\boldsymbol{x}$ の一般解は
$$
\boldsymbol{x}(t)=\sum_{k=1}^n\boldsymbol{s}_k\left(a_k\cos\omega_kt+b_k\sin\omega_kt\right)
$$
である。$\omega_k$ を**基準振動数**、$\boldsymbol{s}_k$ を**基準モード**という。
</Theorem>

証明の方針です。$M$ が単位行列なら、$K$ を対角化するだけで独立な単振動に分かれます。$M$ が単位行列でないので、まず変数を取り替えて（$M$ の平方根 $M^{1/2}$ を使います）$M$ を単位行列の形に直し、そのあとで対称行列の対角化を使います。

<Proof of="thm-normal-modes">
$M$ は実対称正定値なので、直交行列 $P$ により $M=P\,\mathrm{diag}(m_1,\ldots,m_n)\,P^{\mathsf T}$（$m_j>0$）と対角化されます（<Ref to="mathematics/linear-algebra/spectral-theorem#cor-real-symmetric" />）。$M^{1/2}=P\,\mathrm{diag}(\sqrt{m_j})\,P^{\mathsf T}$ と置くと、これは実対称正定値で $M^{1/2}M^{1/2}=M$ です。$\boldsymbol{y}=M^{1/2}\boldsymbol{x}$ と変数変換すると、方程式は $\ddot{\boldsymbol{y}}=-\tilde K\boldsymbol{y}$、$\tilde K=M^{-1/2}KM^{-1/2}$ になります。$\tilde K$ も実対称で、$\boldsymbol{v}\neq\boldsymbol{0}$ に対して $\boldsymbol{v}^{\mathsf T}\tilde K\boldsymbol{v}=(M^{-1/2}\boldsymbol{v})^{\mathsf T}K(M^{-1/2}\boldsymbol{v})>0$ なので正定値です。再び <Ref to="mathematics/linear-algebra/spectral-theorem#cor-real-symmetric" /> により、直交行列 $Q=(\boldsymbol{q}_1\cdots\boldsymbol{q}_n)$ が存在して $Q^{\mathsf T}\tilde KQ=\mathrm{diag}(\omega_1^2,\ldots,\omega_n^2)$、固有値は正定値性から正です。

$\boldsymbol{\xi}=Q^{\mathsf T}\boldsymbol{y}$ と置くと、各成分は独立に $\ddot\xi_k=-\omega_k^2\xi_k$ を満たし、その一般解は $a_k\cos\omega_kt+b_k\sin\omega_kt$ です。$\boldsymbol{x}=M^{-1/2}Q\boldsymbol{\xi}$ なので、$\boldsymbol{s}_k=M^{-1/2}\boldsymbol{q}_k$ と置けば、$\boldsymbol{s}_j^{\mathsf T}M\boldsymbol{s}_k=\boldsymbol{q}_j^{\mathsf T}\boldsymbol{q}_k=\delta_{jk}$、$K\boldsymbol{s}_k=M^{1/2}\tilde KM^{1/2}M^{-1/2}\boldsymbol{q}_k=\omega_k^2M\boldsymbol{s}_k$ が成り立ち、上の一般解の形になります。
</Proof>

基準モードの座標 $\xi_k$ では、全エネルギーが $\sum_k\left(\frac12\dot\xi_k^2+\frac12\omega_k^2\xi_k^2\right)$ に分離します。連成振動は、互いに独立な $n$ 個の調和振動子の和であるということです。

### 4.2. 2 つの結合振り子

同じ質量 $m$、同じ長さ $l$ の 2 つの振り子を、ばね定数 $\kappa$ のばねで連結します。微小角では水平変位 $x_1,x_2$ に対して
$$
m\ddot x_1=-\frac{mg}{l}x_1-\kappa(x_1-x_2),\qquad m\ddot x_2=-\frac{mg}{l}x_2-\kappa(x_2-x_1)
$$
です。和と差をとると、$x_\pm=x_1\pm x_2$ について $\ddot x_+=-\frac{g}{l}x_+$、$\ddot x_-=-\left(\frac gl+\frac{2\kappa}{m}\right)x_-$ となり、基準振動数は $\omega_s=\sqrt{g/l}$（2 つが同位相）と $\omega_a=\sqrt{g/l+2\kappa/m}$（逆位相）です。

<Example id="ex-beats" title="結合振り子のうなり">
振り子 1 を距離 $a$ だけずらして静かに放し、振り子 2 は静止から始めます。$x_+(0)=x_-(0)=a$, 速度は $0$ なので $x_+=a\cos\omega_st$, $x_-=a\cos\omega_at$ で、
$$
x_1=\frac a2(\cos\omega_st+\cos\omega_at)=a\cos\frac{(\omega_a-\omega_s)t}{2}\cos\frac{(\omega_a+\omega_s)t}{2},\quad
x_2=a\sin\frac{(\omega_a-\omega_s)t}{2}\sin\frac{(\omega_a+\omega_s)t}{2}
$$
です。包絡線が $\cos$ と $\sin$ で入れ替わるので、振り子 1 の振動が止まって振り子 2 に完全にエネルギーが移るまで $t=\pi/(\omega_a-\omega_s)$ かかります。$g/l=9.8\ \mathrm{s^{-2}}$, $\kappa/m=0.5\ \mathrm{s^{-2}}$ とすると $\omega_s=3.131$, $\omega_a=3.286\ \mathrm{s^{-1}}$ で、この時間は約 $20\ \mathrm{s}$ です。
</Example>

### 4.3. N 個の質点の鎖

質量 $m$ の $N$ 個の質点が、ばね定数 $\kappa$ のばねで一直線につながれ、両端は壁に固定されているとします（質点 $0$ と $N+1$ は壁で $u_0=u_{N+1}=0$）。$j$ 番目の質点の縦（または横）変位を $u_j$ とすると
$$
m\ddot u_j=\kappa\left(u_{j+1}-2u_j+u_{j-1}\right)\qquad(j=1,\ldots,N)
$$
です。

<Proposition id="prop-chain-modes" title="鎖の基準モード">
この系の基準振動数と基準モードは、$k=1,\ldots,N$ について
$$
\omega_k=2\sqrt{\frac{\kappa}{m}}\,\sin\frac{k\pi}{2(N+1)},\qquad u_j^{(k)}\propto\sin\frac{jk\pi}{N+1}
$$
である。
</Proposition>

証明の方針です。両端が壁に固定されているので、全体が同じ振動数でそろって揺れる動きを考え、位置に関して $\sin$ の形、時間に関して $\cos\omega t$ の形をもつものを仮定して代入してみます。式が成り立つように $\omega$ を決め、端の条件から $\theta$ の値を決めます。

<Proof of="prop-chain-modes">
$\theta=k\pi/(N+1)$ と置き、$u_j=\sin(j\theta)\cos\omega t$ を代入します。$\sin((j+1)\theta)+\sin((j-1)\theta)=2\sin(j\theta)\cos\theta$ なので、右辺は $\kappa\cdot2(\cos\theta-1)\sin(j\theta)\cos\omega t$ です。したがって $m\omega^2=2\kappa(1-\cos\theta)=4\kappa\sin^2(\theta/2)$、つまり $\omega=2\sqrt{\kappa/m}\sin(\theta/2)$ のとき解になります。境界条件 $u_0=0$ は $\sin0=0$ で自動的に満たされ、$u_{N+1}=\sin((N+1)\theta)=0$ は $\theta=k\pi/(N+1)$ のときに成り立ちます。$k=1,\ldots,N$ では $\theta/2\in(0,\pi/2)$ で $\sin(\theta/2)$ は単調増加なので、$N$ 個の異なる正の振動数が得られます。系は $N$ 自由度なので、<Ref to="thm-normal-modes" /> の基準モードはちょうど $N$ 個であり、これで全部です。
</Proof>

質点の間隔を $a$ とすると、鎖の長さは $L=(N+1)a$ です。波数を $q=k\pi/L$ と書けば $\theta=qa$ で、$\omega=2\sqrt{\kappa/m}\,\sin(qa/2)$ という**分散関係**になります。$qa\ll1$ では $\omega\approx a\sqrt{\kappa/m}\,q$ で、振動数が波数に比例します。これが次節の弦の波動方程式に対応する極限です。

## 5. 弦の波動方程式

### 5.1. 導出

張力 $T$、線密度 $\mu$ の弦が、$x$ 軸上の平衡位置から微小な横変位 $u(x,t)$ で振動しているとします。区間 $[x,x+dx]$ の部分を考えると、両端の張力は弦に沿った向きに働きます。横方向の力は、傾きが小さく（角度 $\theta$ が小さいときは $\sin\theta$ と $\tan\theta$ がほぼ等しく、$\tan\theta$ は弦の傾き $u_x$ のことです）$\sin\theta\approx\tan\theta=u_x$ のとき
$$
T\,u_x(x+dx,t)-T\,u_x(x,t)\approx T\,u_{xx}\,dx
$$
です。水平方向の力は $T(\cos\theta_2-\cos\theta_1)=O(u_x^2)$ で無視できます。質量 $\mu\,dx$ の運動方程式 $\mu\,dx\,u_{tt}=Tu_{xx}\,dx$ から
$$
u_{tt}=c^2u_{xx},\qquad c=\sqrt{T/\mu}
$$
を得ます。これが**波動方程式**です。<Ref to="prop-chain-modes" /> の鎖で、質点の質量を $m=\mu a$、ばねの強さを $\kappa=T/a$ ととり、$a\to0$ とすると、$m\ddot u_j=\kappa(u_{j+1}-2u_j+u_{j-1})$ の右辺は $T\,a\,u_{xx}$ に近づき、同じ方程式が得られます。このとき $a\sqrt{\kappa/m}=\sqrt{T/\mu}=c$ です。

### 5.2. 一般解

<Theorem id="thm-dalembert" title="ダランベールの解">
$u(x,t)$ が $\mathbb{R}\times\mathbb{R}$ 上の $C^2$ 級関数で $u_{tt}=c^2u_{xx}$ を満たすなら、ある $C^2$ 級関数 $F,G$ が存在して
$$
u(x,t)=F(x-ct)+G(x+ct)
$$
と書ける。初期条件 $u(x,0)=u_0(x)$, $u_t(x,0)=v_0(x)$ に対しては
$$
u(x,t)=\frac12\left[u_0(x-ct)+u_0(x+ct)\right]+\frac1{2c}\int_{x-ct}^{x+ct}v_0(s)\,ds
$$
である。
</Theorem>

<Proof of="thm-dalembert">
$\xi=x-ct$, $\eta=x+ct$ とし、$u(x,t)=w(\xi,\eta)$ と書きます。連鎖律で $u_x=w_\xi+w_\eta$, $u_t=c(-w_\xi+w_\eta)$、さらに $u_{xx}=w_{\xi\xi}+2w_{\xi\eta}+w_{\eta\eta}$, $u_{tt}=c^2(w_{\xi\xi}-2w_{\xi\eta}+w_{\eta\eta})$ なので、$u_{tt}-c^2u_{xx}=-4c^2w_{\xi\eta}$ です。よって $w_{\xi\eta}=0$ で、$\partial_\eta(w_\xi)=0$ より $w_\xi$ は $\xi$ だけの関数 $\varphi(\xi)$ です。$F(\xi)=\int^\xi\varphi$ と置けば $w-F(\xi)$ は $\xi$ によらず、$\eta$ だけの関数 $G(\eta)$ になります。
初期条件から $F(x)+G(x)=u_0(x)$, $-cF'(x)+cG'(x)=v_0(x)$ です。前者を微分して連立すると $F'=\frac12u_0'-\frac1{2c}v_0$, $G'=\frac12u_0'+\frac1{2c}v_0$ なので、積分して $F(x)=\frac12u_0(x)-\frac1{2c}\int_0^xv_0+C$, $G(x)=\frac12u_0(x)+\frac1{2c}\int_0^xv_0-C$（$C$ は定数）。これを $F(x-ct)+G(x+ct)$ に入れると $C$ が消えて公式になります。
</Proof>

解は、形を変えずに右に進む波 $F(x-ct)$ と左に進む波 $G(x+ct)$ の和です。速さはどちらも $c=\sqrt{T/\mu}$ で、波形によらず、振動数にも依存しません。これは弦が**分散しない**媒質であるということです。

### 5.3. 固定端の弦：定在波

長さ $L$ の弦の両端 $x=0,L$ を固定した（$u(0,t)=u(L,t)=0$）場合を考えます。まず、エネルギーの保存を示しておきます。

<Proposition id="prop-string-energy" title="弦のエネルギー保存と解の一意性">
固定端の弦の解（$C^2$ 級）について、エネルギー $E=\displaystyle\int_0^L\left(\tfrac12\mu u_t^2+\tfrac12Tu_x^2\right)dx$ は時間によらない。したがって、同じ初期条件をもつ解は一意である。
</Proposition>

<Proof of="prop-string-energy">
$\dfrac{dE}{dt}=\displaystyle\int_0^L(\mu u_tu_{tt}+Tu_xu_{xt})dx$ で、$\mu u_{tt}=Tu_{xx}$ を使うと被積分関数は $T(u_tu_{xx}+u_xu_{xt})=T\,\partial_x(u_tu_x)$ です。よって $dE/dt=T\left[u_tu_x\right]_0^L=0$（固定端では $u_t=0$）。2 つの解の差 $w$ も同じ方程式と境界条件を満たし、初期条件がともに $0$ なので $E[w](0)=0$ です。$E[w]$ は常に $0$ で、被積分関数は非負なので $w_t\equiv0$, $w_x\equiv0$、よって $w$ は定数で初期値 $0$ より $w\equiv0$ です。
</Proof>

<Theorem id="thm-string-modes" title="固定端の弦の基準振動">
固定端の弦の方程式 $u_{tt}=c^2u_{xx}$ について、変数分離解 $u=X(x)\,Y(t)$（自明でないもの）は、整数 $n\ge1$ を用いて
$$
u_n(x,t)=\sin\frac{n\pi x}{L}\left(a_n\cos\omega_nt+b_n\sin\omega_nt\right),\qquad\omega_n=\frac{n\pi c}{L}
$$
の形に限られる。有限個の和 $u=\sum_{n=1}^{N}u_n$ もまた解であり、初期条件が $u_0=\sum_n\alpha_n\sin\frac{n\pi x}{L}$, $v_0=\sum_n\beta_n\sin\frac{n\pi x}{L}$ のときの解は、$a_n=\alpha_n$, $b_n=\beta_n/\omega_n$ で与えられ、<Ref to="prop-string-energy" /> により唯一である。
</Theorem>

証明の方針です。変数分離とは、解を「位置だけの関数 × 時間だけの関数」の積 $X(x)Y(t)$ と仮定して代入する方法です。代入すると、左辺は $t$ だけ、右辺は $x$ だけの式になります。両者が等しいなら、どちらも $x$ にも $t$ にもよらない定数でなければなりません。こうして 2 つの常微分方程式に分かれ、固定端の条件から $\sin\frac{n\pi x}{L}$ の形が決まります。

<Proof of="thm-string-modes">
$u=X(x)Y(t)$ を $u_{tt}=c^2u_{xx}$ に入れ、$XY\ne0$ の点で割ると $Y''/(c^2Y)=X''/X$ で、左辺は $t$ だけ、右辺は $x$ だけの関数なので共通の定数 $-\lambda$ に等しくなります。$X''+\lambda X=0$, $X(0)=X(L)=0$ に $X$ を掛けて $[0,L]$ で積分し、部分積分すると $\int_0^LX'^2dx=\lambda\int_0^LX^2dx$ です。$X\not\equiv0$ なので $\lambda>0$。$\lambda=\nu^2$ と置いて $X=A\sin\nu x+B\cos\nu x$、$X(0)=0$ より $B=0$、$X(L)=0$ より $\sin\nu L=0$ なので $\nu=n\pi/L$ です。$Y''=-c^2\nu^2Y$ より $Y=a\cos\omega_nt+b\sin\omega_nt$, $\omega_n=n\pi c/L$。重ね合わせは方程式の線形性から従います。初期条件については、$u(x,0)=\sum a_n\sin\frac{n\pi x}{L}$, $u_t(x,0)=\sum\omega_nb_n\sin\frac{n\pi x}{L}$ と比べて係数が決まります。
</Proof>

一般の初期条件では、$\sin\frac{n\pi x}{L}$（$n\ge1$）が $[0,L]$ 上の関数の正規直交基底（奇拡張して周期 $2L$ のフーリエ級数にすることに相当、<Ref to="mathematics/functional-analysis/hilbert-spaces#ex-fourier-basis" />）になることを用い、$a_n=\frac2L\int_0^Lu_0\sin\frac{n\pi x}{L}dx$, $b_n=\frac2{\omega_nL}\int_0^Lv_0\sin\frac{n\pi x}{L}dx$ とした無限級数が解を与えます。項別微分が許される十分な滑らかさが必要ですが、ここでは深入りしません。

基準振動数が $\omega_n=n\omega_1$（整数比）になることが、弦楽器の音が調和的に響く理由です。$n=1$ が基音、$n=2,3,\ldots$ が倍音です。

<Example id="ex-guitar" title="ギターの弦の基音">
長さ $L=0.65\ \mathrm{m}$ のギターの弦に張力 $T=70\ \mathrm{N}$ がかかっていて、線密度が $\mu=4.0\times10^{-3}\ \mathrm{kg/m}$ だとします。$c=\sqrt{70/(4.0\times10^{-3})}=132\ \mathrm{m/s}$ で、基音は $f_1=c/(2L)=132/1.3=102\ \mathrm{Hz}$ です。弦を $L/2$ に押さえれば長さが半分になって $f=204\ \mathrm{Hz}$（1 オクターブ上）になります。
</Example>

## 6. 分散と群速度

実際の媒質では、波の速さが振動数に依存します。鎖の分散関係 $\omega=2\sqrt{\kappa/m}\sin(qa/2)$ はその例です。

<Definition id="def-dispersion" title="分散関係・位相速度・群速度">
平面波 $e^{i(qx-\omega t)}$ が方程式を満たす条件から決まる関係 $\omega=\omega(q)$ を**分散関係**という。$\omega(q)/q$ を**位相速度**、$d\omega/dq$ を**群速度**という。波数 $q$ は $x$ 方向の空間振動数の $2\pi$ 倍である。
</Definition>

位相速度 $v_p=\omega/q$ と群速度 $v_g=d\omega/dq$ の間には、$\omega=qv_p$ を $q$ で微分して
$$
v_g=v_p+q\,\frac{dv_p}{dq}
$$
という関係があります。分散がない（$v_p$ が $q$ によらない）ときだけ両者は一致します。

<Theorem id="thm-group-velocity" title="波束の包絡線は群速度で進む">
$\omega(q)$ が $C^2$ 級で、$|\omega''|\le W$ とする。波数 $q_0$ のまわり $|q-q_0|\le\Delta$ に台をもつ可積分関数 $A(q)$ に対し、波束 $u(x,t)=\displaystyle\int A(q)\,e^{i(qx-\omega(q)t)}dq$ は、$v_g=\omega'(q_0)$, $\omega_0=\omega(q_0)$ として
$$
u(x,t)=e^{i(q_0x-\omega_0t)}\,\Phi(x-v_gt)+\rho(x,t),\qquad\Phi(y)=\int A(q_0+s)\,e^{isy}ds
$$
と書け、誤差は $|\rho(x,t)|\le\dfrac{W\Delta^2}{2}\,|t|\displaystyle\int|A|\,dq$ をみたす。
</Theorem>

主張を言い換えます。台とは、$A(q)$ が $0$ でない波数の範囲のことです。ここでは $q_0$ のまわりの幅 $\Delta$ の範囲だけに限ります。可積分とは、積分が有限の値をもつことです。波束はこの範囲の波数の平面波を重ねたものです。定理は、波束が「$e^{i(q_0x-\omega_0t)}$ という細かい振動に、形 $\Phi$ の包絡線がかかったもの」とみなせて、その包絡線が速さ $\omega'(q_0)$ で形を保って進む、と述べています。証明では $\omega(q)$ を $q_0$ のまわりで 1 次の項までで近似し、残りが誤差の項 $\rho$ になります。

<Proof of="thm-group-velocity">
$q=q_0+s$ と置き、テイラーの定理で $\omega(q)=\omega_0+v_gs+R(s)$、$|R(s)|\le\frac12Ws^2$ と書きます。すると
$$
u=e^{i(q_0x-\omega_0t)}\int A(q_0+s)\,e^{is(x-v_gt)}\,e^{-iR(s)t}\,ds
$$
です。$|e^{-iR t}-1|\le|R|\,|t|\le\frac12W\Delta^2|t|$（$|e^{i\vartheta}-1|\le|\vartheta|$）なので、$e^{-iRt}$ を $1$ で置き換えた誤差は $\rho$ の評価の通りです。置き換えた積分が $e^{i(q_0x-\omega_0t)}\Phi(x-v_gt)$ です。
</Proof>

誤差の評価から、$|t|\ll1/(W\Delta^2)$ の間は、波束の包絡線 $|\Phi|$ の形が崩れずに速さ $v_g$ で進むことがわかります。この時間より長いと、2 階微分 $\omega''$ の効果で波束が広がります（**分散による波束の拡散**）。位相の山は包絡線の中を速さ $v_p$ で動くので、波束の中で山が現れたり消えたりして見えます。エネルギーや情報を運ぶのは包絡線のほうです。

<Example id="ex-dispersion-examples" title="分散関係のいろいろ">
(1) **弦**: $\omega=cq$ で $v_p=v_g=c$。分散なし。

(2) **鎖**: $\omega=2\sqrt{\kappa/m}\sin(qa/2)$ より $v_p=a\sqrt{\kappa/m}\,\dfrac{\sin(qa/2)}{qa/2}$, $v_g=a\sqrt{\kappa/m}\cos(qa/2)$。長波長で $c=a\sqrt{\kappa/m}$ に近づき、境界の $qa=\pi$ で $v_g=0$ になります。波数が大きいほどエネルギーが運ばれなくなります。

(3) **深い水の重力波**: $\omega=\sqrt{gq}$ より $v_p=\sqrt{g/q}$, $v_g=\frac12\sqrt{g/q}=\frac12v_p$。船が作る波の先端に近い群は、山の動きの半分の速さで進みます。

(4) **プラズマ中の電磁波**: $\omega^2=\omega_p^2+c^2q^2$ を微分して $\omega\,d\omega=c^2q\,dq$。よって $v_g=c^2q/\omega$、$v_p=\omega/q$ で $v_pv_g=c^2$。$v_p>c$ ですが $v_g<c$ なので、相対論と矛盾しません。
</Example>

<Figure caption="鎖の分散関係 ω(q)：原点と点を結ぶ線の傾きが位相速度、接線の傾きが群速度。曲線が上に凸なので群速度は位相速度より小さい">
<svg viewBox="0 0 400 290" width="100%" role="img" aria-label="正弦曲線の分散関係。原点からの割線と接線を描き、傾きの違いを示す">
  <g fill="none" stroke="currentColor" stroke-width="1.4">
    <line x1="50" y1="250" x2="370" y2="250" />
    <line x1="50" y1="250" x2="50" y2="30" />
    <polyline points="50,250 87.5,211 125,173.5 162.5,138.9 200,108.6 237.5,83.7 275,65.2 312.5,53.8 350,50" stroke="var(--sl-color-accent)" stroke-width="2.4" />
    <line x1="50" y1="250" x2="250" y2="61.4" stroke-dasharray="6 4" />
    <line x1="110" y1="175.2" x2="280" y2="49.4" />
  </g>
  <circle cx="200" cy="108.6" r="4" fill="var(--sl-color-accent)" />
  <g fill="currentColor" font-size="14">
    <text x="372" y="254">q</text>
    <text x="36" y="26">ω</text>
    <text x="190" y="205">破線：位相速度（割線の傾き）</text>
    <text x="190" y="228">実線：群速度（接線の傾き）</text>
    <text x="344" y="270">π/a</text>
  </g>
</svg>
</Figure>

## 7. 演習

<Exercise id="exr-q-value" difficulty="易">
減衰振動子の振幅が 10 周期で最初の $1/e$ に減ったとします（$\beta\ll\omega_0$ とする）。Q 値を求めてください。

<Solution>
10 周期は $t=10\cdot2\pi/\omega_0$ で、振幅は $e^{-\beta t}$ で減衰します。$\beta t=1$ より $\beta=\omega_0/(20\pi)$、$Q=\omega_0/(2\beta)=10\pi\approx31$ です。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-resonance-width" difficulty="標準">
電気回路や機械系で、強制振動の定常振幅 $A(\omega)$（<Ref to="thm-forced" />）が最大値の $1/\sqrt2$ になる 2 つの角振動数の差を、$\beta\ll\omega_0$ の近似で求めてください。

<Solution>
$D=(\omega_0^2-\omega^2)^2+4\beta^2\omega^2$ が最小値の 2 倍になる条件です。$\omega$ が $\omega_0$ に近いとき $\omega_0^2-\omega^2\approx2\omega_0(\omega_0-\omega)$, $4\beta^2\omega^2\approx4\beta^2\omega_0^2$ なので、$D\approx4\omega_0^2\left[(\omega_0-\omega)^2+\beta^2\right]$ です。最小値は $4\omega_0^2\beta^2$ で、その 2 倍になるのは $(\omega_0-\omega)^2=\beta^2$、すなわち $\omega=\omega_0\pm\beta$ です。差は $2\beta=\omega_0/Q$ で、パワー共鳴（<Ref to="thm-resonance" />）の半値全幅と一致します。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-three-springs" difficulty="標準">
質量 $m$ の 2 つの質点を、ばね定数 $k$ のばね 2 本（両端の壁へ）とばね定数 $\kappa$ のばね 1 本（質点間）で直線上につなぎます。基準振動数と基準モードを求めてください。

<Solution>
変位を $x_1,x_2$ とすると $m\ddot x_1=-kx_1-\kappa(x_1-x_2)$, $m\ddot x_2=-kx_2-\kappa(x_2-x_1)$ です。辺々を足すと $m(\ddot x_1+\ddot x_2)=-k(x_1+x_2)$ なので $\omega_1=\sqrt{k/m}$（モード $(1,1)$）。引くと $m(\ddot x_1-\ddot x_2)=-(k+2\kappa)(x_1-x_2)$ なので $\omega_2=\sqrt{(k+2\kappa)/m}$（モード $(1,-1)$）です。<Ref to="thm-normal-modes" /> の形では、$M=mE$, $K=\begin{pmatrix}k+\kappa&-\kappa\\-\kappa&k+\kappa\end{pmatrix}$ の固有値と一致します。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-capillary" difficulty="難">
水面の重力・表面張力波の分散関係は $\omega^2=gq+\dfrac{\sigma}{\rho}q^3$ です（$\sigma$ は表面張力、$\rho$ は密度、深い水の場合）。位相速度 $v_p$ が最小になる波数と、そのときの $v_p$ を求め、そこで群速度が位相速度に等しいことを示してください。水では $\sigma=0.072\ \mathrm{N/m}$, $\rho=1000\ \mathrm{kg/m^3}$, $g=9.8\ \mathrm{m/s^2}$ です。

<Solution>
$v_p^2=\omega^2/q^2=g/q+(\sigma/\rho)q$。$q$ で微分して $0$ とおくと $-g/q^2+\sigma/\rho=0$、$q_*=\sqrt{\rho g/\sigma}=\sqrt{9800/0.072}=369\ \mathrm{m^{-1}}$（波長 $2\pi/q_*=1.7\ \mathrm{cm}$）。そこで $v_p^2=2\sqrt{g\sigma/\rho}$、$v_p=(4g\sigma/\rho)^{1/4}=(2.82\times10^{-3})^{1/4}=0.23\ \mathrm{m/s}$ です。群速度は $v_g=v_p+q\,dv_p/dq$ で、$q_*$ では $dv_p/dq=0$ なので $v_g=v_p$ です。水面を静かに引っかいたときに、この波長より長い波は重力で、短い波は表面張力で伝わります。
</Solution>
</Exercise>

## 参考文献

- L. D. ランダウ, E. M. リフシッツ『力学』（広重徹・水戸巌訳）東京図書 — 第 5 章（微小振動）。
- H. J. Pain, *The Physics of Vibrations and Waves*, 6th ed., Wiley, 2005.
- H. Georgi, *The Physics of Waves*, Prentice Hall, 1993.
- G. B. Whitham, *Linear and Nonlinear Waves*, Wiley, 1974 — 群速度と波束の章。
