# Dimock『Ultraviolet stability for QED₃』(2022) 第 2 部：有効作用の局所化 — ゆらぎ場への第 1・第 2 の局所化と境界項

> Dimock の QED₃ 紫外安定性論文 §3.9〜§3.11 と付録 B・C を精読する。多尺度のノルム、近似的な左逆の評価、弱めパラメータの補間と前局所化を一般形で証明し、Lemma 7〜14 と Lemma 28 を順に示す。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/gauge-rg-papers/dimock-qed3-uv-stability-part-2

## 0. この記事の要点

- くりこみ群の 1 段では、細かいゆらぎを積分する前に、作用を「小さな領域ごとの寄与の和」に書き直しておく必要があります。本章は、Dimock の QED₃ 紫外安定性論文で、この書き直し（**局所化**）を行う部分 §3.9〜§3.11 と付録 B・C を、すべての段を埋めて証明します。
- 書き直しの対象は、ゲージ場のゆらぎ $\tilde Z_k$ を入れたことによる作用の変化（第 1 の局所化、Lemma 7〜11）と、フェルミオンを臨界点のまわりに平行移動したことによる変化（第 2 の局所化、Lemma 12〜14）です。結果は「新しい小場領域 $\Lambda_{k+1}$ の中の、履歴に依らない項」と「$\Omega_{k+1}-\Lambda_{k+1}$ に交わる境界項」の和で、どちらも多尺度のノルムで $e_k^{1/4-5\epsilon}$ 程度に小さく、ポリマーの大きさについて指数的に減衰します。
- 道具は 3 つです。解析的な関数の差を Cauchy 積分で書いて小さな因子を得ること、ランダムウォーク展開に入れた**弱めパラメータ**の補間で依存を局所化すること（<Ref to="lem-multiscale-interpolation" />）、そして $\Lambda_k$ から遠いポリマーを $\Omega_{k+1}$ の 1 つの立方体に「錨」として結びつける Bałaban の**前局所化**（<Ref to="lem-prelocalized-interpolation" />）です。原論文が補題ごとに繰り返す議論を一般形で 1 回証明し、Lemma 9・13・14 の「同様」は差分を明示して書きます。
- 付録 C の Lemma 28（近似的な左逆 $T_{k,\Omega}(\mathcal A)$ の有界性）は、引用されていた評価 $|Q_k(\mathcal A)D_{\mathcal A}f|\le O(1)(1+e_k\|d\mathcal A\|_\infty)\|f\|_\infty$ を、平行移動因子の食い違いを $d\mathcal A$ の面積分で押さえる計算として証明します（<Ref to="lem-approximate-left-inverse-bound" />）。
- 原論文と違う扱いをした点が 4 つあります。ゆらぎ場の平行移動の修正項は第 1 部の形（立方体ごとの滑らかな切り落とし）を使い、その Jacobian の対数を局所化します（<Ref to="prop-tiny-terms" />）。弱めたランダムウォーク展開では長さ $0$ の項にもパラメータを掛けます（<Ref to="lem-weakened-fluctuation-field" />）。質量項と真空エネルギーのうち新しい小場領域から外れる部分 $E^{(5),0}$ を書き出し、流れの方程式から大きさを確定します（<Ref to="cor-second-localization-variants" />）。また、$\Lambda_{k+1}$ の中の項が領域の履歴に依らないという主張（以前の版で仮定 (HI) と呼んだもの）は、共分散の平方根については第 1 部の核の弱めの性質、Dirac の伝播関数については第 1 篇第 2 部の命題から導きます。Landau の Green 関数の展開については、展開の補助的な選択を局所的な規則でとるという約束（第 1 篇第 3 部）のもとでの主張です（<Ref to="rem-history-independence-assumption" />）。
- 評価の定数はすべて $L$（と固定した $b,\alpha,\epsilon$）だけによる $C$ か、普遍的な $O(1)$ で、段 $k$・格子の大きさ $N$・領域の履歴 $\Pi$・層 $j$ に依りません。この**尺度一様性**は重み $\mathbb I_k=L^{k-j}$ と測度 $L^{-3(k-j)}$ と係数 $b_jL^{k-j}$ の打ち消し合いから来ます（<Ref to="lem-m-operator-kernel" /> の 2）。本章では正の裸質量 $\bar m>0$ を一度も使いません。

## 1. 動機

### 1.1. 何をしている段か

場の理論の分配関数を、細かい格子から粗い格子へと段階的に積分していくのがくりこみ群です。1 段ごとに「平均値のまわりの小さなゆれ」を積分しますが、積分を実際に実行できるのは、被積分関数が**各点でほぼ独立な小さい寄与の積**になっているときだけです。ゆれの積分は、互いに遠く離れた部分を独立に扱うクラスター展開（次章）で行うので、その入力として、作用を「有限の大きさの領域ごとの関数の和」に書いておかなければなりません。これが局所化です。

専門用語で言い直すと、第 1 部の終わりで $k$ 段目の密度は、背景のゲージ場 $\mathcal A=\mathcal A^0_{k+1,\Omega^+}$、ゲージ場のゆらぎ $\tilde Z_k$（共分散が単位行列の**超局所**な Gauss 測度に従う）、フェルミオンの場 $\Psi_k$ の関数として書かれています（第 1 部の <Ref to="physics/gauge-rg-papers/dimock-qed3-uv-stability-part-1#prop-final-small-field-expansion" />）。しかし作用の中でゆらぎは
$$
\mathcal Z^\bullet_{k,\Pi^+}=\mathcal H_{k,\Omega}\Bigl(\mathcal C\,C^{1/2,\mathrm{loc}}_{k,\Omega^+}\tilde Z_k+\mathfrak H^\eta_{k,\Pi^+}\Bigr)
$$
という**非局所な**組み合わせで入っています。Landau 最小化元の作用素 $\mathcal H_{k,\Omega}$ はトーラス全体に広がる核をもつからです。$\mathfrak H^\eta_{k,\Pi^+}$ は第 1 部の平行移動 $\Phi$ の小さな修正項（<Ref to="def-shift-with-frozen-cutoffs" />）です。本章の目標は、作用の変化を $\tilde Z_k$ について局所的なポリマー関数の和に書き直し、その大きさを評価することです。

### 1.2. 多尺度であることの難しさ

前篇（[Ultraviolet regularity の第 3 部](/physics/gauge-rg-papers/dimock-qed3-uv-regularity-part-3)）は、すべての点で場が小さい**有界場近似**で同じ局所化を行いました。本論文では大場領域があり、小場領域の列 $\Omega_1\supset\Lambda_1\supset\Omega_2\supset\cdots\supset\Omega_k\supset\Lambda_k$ の層 $\delta\Omega_j=\Omega_j-\Omega_{j+1}$ ごとに、格子の細かさ $L^{-(k-j)}$ が違います。このため

1. ポリマーは大きさの違う立方体の連結な和（多尺度ポリマー）になり、ノルムの重みも層ごとに $L^{k-j}$ 倍される。
2. ゆらぎの積分を行うのは $\Lambda_{k+1}$ の中だけなので、$\Lambda_{k+1}$ から外へはみ出す項を**境界項**として分け、その減衰を保たなければならない。
3. $\Lambda_k$ の外にある項（古い境界項 $B_{j,\Pi}$ など）は $\Lambda_k$ の中の点を足場にできないので、ゆらぎが実際に住む $\Omega_{k+1}$ の立方体を錨にする**前局所化**が要る。

の 3 点が新しく加わります。

### 1.3. 前後の章と物理への含意

| 章 | 対象 |
|---|---|
| 第 1 部 | 主定理（Theorem 1・2）、抽出、新しい特性関数、ゲージ場の平行移動、超局所なゆらぎ積分、最後の小場展開（§1〜§3.8） |
| 本章 | 第 1・第 2 の局所化（§3.9〜§3.11、Lemma 7〜14、付録 B・C） |
| 第 3 部 | クラスター展開、正規化因子、再ブロック、スケール（§3.12〜§3.15）。1 段の帰納の完結 |
| 第 4 部 | 最終段の積分と紫外安定性定理（§4、Lemma 17〜27） |

本論文の主結果は、3 次元の格子 QED の分配関数が $\frac12\le Z(N,e)/Z(N,0)\le\frac32$ を満たすこと（紫外安定性、第 1 部の <Ref to="physics/gauge-rg-papers/dimock-qed3-uv-stability-part-1#thm-ultraviolet-stability" />）です。Bałaban が 4 次元の Yang–Mills 理論で行った多尺度解析（[Bałaban の大場の論文](/physics/gauge-rg-papers/balaban-large-field-2-part-1)）を、フェルミオンを含む可換ゲージ理論で完全に書き下した最初の例です。4 次元の QED では結合定数が対数的にしか走らないので、本章の評価の「$e_k$ の冪の余裕」はそのままでは使えませんが、局所化の手順そのもの（弱め・前局所化・多尺度ノルム）は次元に依らない形で述べられます。本章ではそれが見えるように、定数の依存先と層 $j$ に対する一様性を各主張に明記しました。

### 1.4. 原論文との違い

| 箇所 | 原論文 | 本章 |
|---|---|---|
| Lemma 7 の定義域 | $\mathcal A\in(1-e_k^{1/2})\tilde{\mathcal R}_{k,\Omega}$ で $\mathcal A+t\mathcal Z\in\tilde{\mathcal R}_{k,\Omega}$ | $(1-e_k^{1/2})+e_k^\epsilon>1$ なので成り立たない。Lemma 7 では伝播関数の領域 $\tilde{\mathfrak G}_{k,\Omega}$ に入れば足りることを使い、全補題を $\mathfrak A_k=(1-e_k^\epsilon)\tilde{\mathcal R}_{k,\Omega}$ で述べる（<Ref to="lem-analyticity-radius" />） |
| 弱めパラメータの範囲 | $\lvert s_\square\rvert\le M^{1/2}$ | 第 1 篇の展開が保証するのは $\lvert s_\square\rvert\le M^{\alpha_0}$（$\alpha_0>0$ は小さい定数）。微分 1 回の因子を $2M^{-\alpha_0}\le e^{-\hat\kappa}$ にする（<Ref to="lem-multiscale-interpolation" />） |
| (197)〜(203) | 多尺度ポリマー $Y$ を $M$ ポリマー $\bar Y$ にまとめ直し、$\sum_{Y\supset X}e^{-\kappa_0\lvert Y-X\rvert_\Omega}\le O(1)\lvert X\rvert_\Omega$ (202) で和をとる | (202) は一般には $\exp(\delta\lvert X\rvert_\Omega)$ 型でしか成り立たない。$X$ を足場にする補間では弱めパラメータを $M$ 立方体ごとに共通にとり、まとめ直し自体を不要にする（<Ref to="lem-multiscale-interpolation" />）。$\kappa_0$ は (32) の定数より $1$ 大きくとる |
| (209)〜(217) | 寄与する $Y$ は連結 | 錨を付けない $t\mathcal Z^\bullet$ も弱めるので、$X$ と交わる成分が複数残りうる。$X\cup Y$ の連結性だけを使って再和する（<Ref to="lem-component-collection-sum" />、<Ref to="lem-prelocalized-resummation" />） |
| (268)(269) | Cauchy の半径 $e_k^{-\frac34+\frac92\epsilon}$、$\Psi_{k,\Omega}$ の重み $C_T\mathbb I_k$ | そのままでは $T'$ を代入した後の $\psi$ の重みが $\frac12h_k$ にならない。半径を $e_k^{-1/2}$ に縮める（<Ref to="thm-localization-old-boundary-terms" />） |
| Lemma 10・13 の補間 | 多尺度立方体ごとの弱め | $\Omega_j$ の外は一辺 $\ell_jM$ の立方体ごとに共通の弱めにする（細かい層の立方体の数を抑えるため。<Ref to="lem-boundary-polymer-counting" />） |
| (540) | 文献 [29][30] の引用 | 平行移動因子の食い違いを梯子状の面の面積で押さえて証明。スケールせずに層 $j$ のブロックで直接示す（<Ref to="lem-approximate-left-inverse-bound" />） |
| 付録 C | $\lvert T_{k,\Omega}(\mathcal A)f\rvert\le C\|f\|_\infty$ の $C$ の出所 | $C_T$ は $L$ と $b$ だけによる（$\bar m_k\le1$ を使う）ことを明記 |
| (164) の局所性 | $\Psi=T'\psi$ を代入して $X$ に局所的 | $D_{\mathcal A}$ が格子 1 つ分はみ出す。「$X$ の中の場」を格子 1 つ分の近傍を含めて読む（<Ref to="def-one-site-overhang" />） |
| (321)(322) | $E^{(4)}$ の定義の右辺は $E'_k(\Lambda_{k+1})$（(363) では $E'_k(\Lambda_k)$）。$E^{(5)}$ も「同じ結果」 | $E^{(4)}$ は $E'_k(\Lambda_k)$ との差で定める（(363) と整合）。$E^{(5)}$ のうち質量項と真空エネルギーの $\Lambda_k-\Lambda_{k+1}$ の部分 $E^{(5),0}$ は $W_k$ に依らず、$\Omega_{k+1}$ と交わらない立方体にも残り、大きさも $e_k^{\frac12-10\epsilon}$ ではない。別に書き出し、流れの方程式から $\lvert m'_k\rvert\le O(1)e_k^{\frac34-7\epsilon}$ を示して大きさを $O(1)M^3e_k^{\frac14-7\epsilon}$ と確定する（<Ref to="lem-mass-coefficient-sharp" />、<Ref to="cor-second-localization-variants" />） |
| $\delta\varepsilon^0_k$ | $O(e^{-r_k})+O(e^{-p_{0,k}^2})$ | 正規分布の裾から得られるのは $O(e^{-p_{0,k}^2/2})$（<Ref to="lem-truncated-gaussian-normalization" />） |
| 平行移動の修正項 | $g\,\mathfrak H$、$g_b$ はボンドごとの $0,1$。$\mathcal Z^\bullet$ を $\tilde Z_k$ の解析関数とする | 第 1 部のとおり、$\ell'$ 立方体ごとの滑らかな切り落とし $\eta_\square$ と座標の上の切り落としを使う。$\eta_\square$ は $\Lambda_{k+1}$ から離れた $\tilde Z_k$ だけの関数で、$[0,1]$ の外部パラメータとして固定する（<Ref to="def-shift-with-frozen-cutoffs" />、<Ref to="lem-fluctuation-field-in-domain" />） |
| $R^{(1)}$ (297) | 2 次形式の 2 項 | 変数変換 $\Phi$ の Jacobian の対数 $\sum_\square\log(1+x_\square)$ が加わる。$\ell'$ 立方体そのものを台にはできないので、冪級数に展開して局所化する（<Ref to="prop-tiny-terms" /> の 1） |
| $R^{(2)}$ (294) | 第 2 項は $+\frac12\langle\delta C^{1/2}\tilde Z,\tilde\Delta\,\delta C^{1/2}\tilde Z\rangle$ | 符号は $-\frac12$（第 1 部の定義から計算）。評価には影響しない |
| (303) | $B^\bullet$ の評価は $O(1)e_k^{\frac14-5\epsilon}$ | 抽出の境界項 $B^E_{k,\Pi}$ は (47) の $O(1)e_k^{\frac14-7\epsilon}$ でしか押さえられない。$B^E_{k,\Pi}$ の「変化していない部分」はゆらぎの変数に依らないので、$B^\star$ に入れずにゆらぎ積分の外に出す（<Ref to="cor-first-localization-summary" />、<Ref to="prop-fluctuation-integral-setup" />） |
| 弱めた作用素 | 長さ $0$ の項には $s_\omega=1$。評価は「同じ」 | 長さ $0$ の項にもパラメータを掛ける（そうしないと、弱めたあとも隣の立方体と結ばれる）。評価は定数が $M$ 倍になる（<Ref to="lem-weakened-fluctuation-field" />） |
| 古いゆらぎの領域 (40) | $\lvert\tilde Z_i\rvert\le L^{(k-i)/2}$ | 古い境界項についての主張は、(40) が成り立つ任意の集合の上で述べる。第 3 部が使うのは広い領域 $\lvert\tilde Z_i\rvert\le L^{(k-i)/2}e_i^{-\epsilon/4}$。古いゆらぎは媒介変数としてしか現れず、定数は変わらない（<Ref to="lem-old-fluctuations-are-spectators" />） |
| 対称性 | Theorem 1 で「ゲージ不変、格子対称性で不変」と述べるだけ | 大域版の $E^{(\le5)}_k$ とゆらぎの測度が、ゲージ変換と複素共役について共変であることを証明する。格子対称性は補助的な選択（$Mr_k$ 立方体の分割、基底、割り当て）が写る部分群についてだけ（残りは仮定 (SY-L)）。荷電共役は、弱めた Dirac の作用素を右と左の展開の平均でとり、ポリマーの部分和の不変性から項ごとの不変性を導く（<Ref to="prop-localization-covariance" />、<Ref to="prop-localization-charge-conjugation" />、<Ref to="rem-symmetry-status" />） |
| 弱めた Dirac の作用素 | 右からの逆の展開の項にパラメータを掛ける | 右からと左からの展開の項の平均に掛ける（§3.2）。評価・分離・履歴からの独立性は同じで、荷電共役の関係がすべての $s$ で成り立つ |
| 「$X$ の中の場」(164) | $X$ に局所的 | 着衣場について格子 1 層のはみ出しがあり、再ブロックでは吸収されず段ごとに 1 層ずつ増える（$k$ 段で幅 $kL^{-k}\le1$）（<Ref to="def-one-site-overhang" />） |
| $C^{1/2,\mathrm{loc}}$ と履歴 | 弱めたランダムウォーク展開で定め、$\Lambda_{k+1}$ の中では履歴に依らない | 第 1 部の圧縮による定義を使い、大域版の核と履歴に依る差とに別々にパラメータを掛ける。履歴からの独立性は第 1 部の <Ref to="physics/gauge-rg-papers/dimock-qed3-uv-stability-part-1#lem-kernel-weakening-properties" /> の 5（<Ref to="rem-history-independence-assumption" />） |

（この章の続きは購入者向けです。）
