# Bałaban『Convergent renormalization expansions for lattice gauge theories』(1988)：部 3 — k+1 段目のくりこみ変換と Theorem 2 の証明（§3）

> 大場を含む有効密度にくりこみ変換を 1 回施し、新しい小場領域・揺らぎ積分の対数の分解・局所化展開を経て帰納的仮定の形が保たれることを示す。さらに Ward–Takahashi 恒等式と超立方対称性から Theorem 2 を 2 通りに証明する。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/gauge-rg-papers/balaban-rg-3-part-3

## 0. この記事の要点

- Bałaban の論文 "Convergent renormalization expansions for lattice gauge theories"（Commun. Math. Phys. 119 (1988) 243–285。シリーズの III）の §3（pp.264–284）を精読します。粗く見る操作（くりこみ変換）を 1 回施しても、密度の「書き方の型」が崩れないことを確かめる章です。部 2 で述べた[帰納的仮定 (H1)–(H12)](/physics/gauge-rg-papers/balaban-rg-3-part-2#def-inductive-representation)（各段の密度がもつべき形の一覧）を満たす密度 $\rho_k$ にくりこみ変換 $\mathsf T$ を 1 回施し、得られた $\mathsf T\rho_k$ がふたたび同じ形に書けること（Theorem 1 のうち T の部分）を示します。
- 前半は「新しい小場領域 $\Omega_{k+1}$ の上では古い小場の特性関数が自動的に $1$ になる」ことと、「新しい揺らぎ場が $O(\varepsilon_k)$ に小さい」ことの確認です。[最小配位](/physics/gauge-rg-papers/balaban-prereq-variational#thm-unique-critical-orbit)（与えた平均をもつ配位のうち作用が最小のもの）の指数減衰と、同じ平均をもつ 2 つの正則配位の差の評価だけから、定数を追って示します。
- 中盤は揺らぎ場の積分の対数を、境界項・R 項・正則項の 3 つに分ける恒等式です。微積分の基本定理、Gauss 部分積分、正定値行列の $\log\det$ の積分表示、ハット関数による点への再配分を、すべて有限次元の計算として証明します。原論文 (3.36) の積分項の符号が逆であることも、ここで確かめます。
- 局所化展開は、[I]・[II] の構成を、領域列の境界層 $\Omega_n\setminus\Omega_{n+1}$ で尺度を $\eta\to L^{-n}$ に替えて繰り返すものです。層 $n$ の背景場の曲率が、その層の段の小ささ $\varepsilon_n$ で（最も粗い段の $\varepsilon_k$ ではなく）抑えられることは、変分問題の準備章の層ごとの正則性から導きます（<Ref to="lem-background-layerwise-regularity" />）。尺度を替えても幾何の評価が保たれることを補題として証明し、期待値の比のクラスター展開は[ポリマー系](/physics/constructive-qft/cluster-expansion#def-polymer-system)の分配関数の比の公式に帰着させます。この読み替えのうち、準備章と [I]・[II] で証明の水準に達していない点（領域列についてのプロパゲータの展開の Hölder 評価、[I] の Theorem 3 に残る定義域の 2 つの仮定）は、T の段の定理の言明に仮定 (GFΩ)・(M4)・(T) として置いています。
- Theorem 2 は「点 $z$ のまわりの正則項の差から $\beta_jA(h_z,U_k)$ を引くと、尺度の比 $L^{j-n}$ の $4+\beta$ 乗で小さい」ことです。ゲージ不変性から 2 階微分の横断性と反対称性を導き、[超立方群](/physics/lattice-field-theory/lattice-scalar-field#lem-hypercubic-invariant-forms)（格子の回転・鏡映の群）の不変性で限界項が $\beta'_j\cdot\frac12\sum_{\mu<\nu}\mathrm{tr}\,F_{\mu\nu}^2$ に限られることを示し、$\beta'_j=\beta_j$ を [I] の $\beta$ 関数の定義から直接確かめます。軸ゲージだけを使う第 2 の証明も書きます。
- 部 2 の言明に合わせ、$\Omega=\mathbf B^j(\Lambda^0_j)=\Lambda_j^{\sim-1}$ の場合の (2.43) と、和を $X\subset\Lambda_j^{\sim-1}$ でとった (2.44) を示します。一般の $\Omega$ では、$A(\phi,U_k)$ の代わりに点ごとの $\sum_zA(h_z,U_k)$ を引いた形が正しい言明であることも注意します。

## 1. 動機

**この節の位置。** Bałaban の 4 次元格子ゲージ理論の紫外安定性の証明で、III は大場を含む**完全な**有効密度を初めて扱う論文です。§1（本テーマの部 1）が最初のくりこみ変換を計算し、§2（部 2）が $k$ 段目の密度の形を帰納的仮定 (H1)–(H12) として書き下しました。§3 はその帰納の 1 段で、「(H1)–(H12) の形の密度に $\mathsf T$ を施すと、新しい大場の成分が加わる以外は同じ形に戻る」ことを示します。大場の成分を小場に戻す操作 $\mathsf R$ は III には無く、次の論文 Large field renormalization I・II で作られます。そちらの証明は、本章の結論（$\mathsf T$ の段の中間形と、帰納的仮定の T の部分）を出発点にします。

**何が新しいのか。** 小場の近似（I・II）では、場はどこでも同じ尺度で滑らかでした。完全な密度では、領域列 $\Omega_1\supset\Omega_2\supset\cdots\supset\Omega_k$ の各層 $\Omega_n\setminus\Omega_{n+1}$ で、背景場 $U_k$ は第 $n$ 段の尺度で滑らかです。古い段 $j$ の項 $\mathbf E^{(j)}$ を内側の層 $n>j$ で評価すると、場は項の局所化の尺度よりずっと滑らかなので、項は尺度の比 $\vartheta=L^{j-n}$ の冪で小さくなるはずです。ところが限界的な（次元 4 の）項は $\vartheta^4\times(\text{点の数}\sim\vartheta^{-4})$ で、体積あたり $O(1)$ 残ります。これが [I] のくりこみで差し引いた $\beta_jA(\phi_j,U_k)$ と正確に打ち消し合うことを示すのが Theorem 2 です。打ち消し合いが起きないと、古い段の項の和が段数とともに増え、紫外安定性（部 2 の Corollary 3）が出ません。

**証明の道具。** Theorem 2 の核心は 3 つの対称性です。(1) ゲージ不変性から、2 階微分（真空偏極テンソル）が純ゲージの場を消す（横断性）。(2) 横断性から、場の勾配についての 2 次形式が添字の組 $(\mu,\kappa)$ について反対称になり、場の強さ $F_{\kappa\mu}$ の 2 次形式に書ける。(3) 超立方群（格子の回転・鏡映）での不変性から、その 2 次形式は $\sum_{\mu<\nu}\mathrm{tr}\,F_{\mu\nu}^2$ の定数倍に限られる。この定数が [I] の $\beta$ 関数の定義と一致することは、横断性をもう一度使って示せます。第 2 の証明は (1) の代わりに軸ゲージの表示と Stokes の定理を使います。後者は [Ward–Takahashi 恒等式](/physics/gauge-rg-papers/balaban-rg-1-part-3#thm-ward-takahashi-basic)の計算を経ないので、フェルミオンを含む模型で反対項を同定するときに転用しやすい形です。

**本章で補ったこと。** 原論文の §3 は「[I]・[II]・[16] と同じ」という記述が大半で、新しく必要な評価だけが示されています。本章では、(a) 特性関数が自動的に $1$ になる評価 (3.7)–(3.9)(3.19) の定数を追い、(b) 揺らぎ積分の対数の分解 (3.26)–(3.38) を有限次元の恒等式として証明し、(c) 期待値の比のクラスター展開をポリマー系の一般論に帰着させ、(d) Theorem 2 の代数的な部分（横断性・反対称性・共変性・超立方群・$\beta'_j=\beta_j$・Wilson 作用の局所展開）を全部書きます。[I]・[II] の重い構成（揺らぎ場の積分の展開、ランダムウォーク展開、指数化クラスター展開の収束）は、本テーマの該当章の定理を参照します。

（この章の続きは購入者向けです。）
