# Bałaban『Convergent renormalization expansions for lattice gauge theories』(1988)：部 2 — 完全な有効密度の帰納的記述と主結果（§2：Theorem 1・2、Corollary 3）

> 大場を含む有効密度の帰納的な形 (H1)–(H12) を、領域列の幾何（成分の間隔・直方体化・局所化した決定集合）と結合定数の比較不等式の証明つきで述べ、Theorem 1・2 から有効作用の評価 (2.45)–(2.49) と紫外安定性 Corollary 3 を導く。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/gauge-rg-papers/balaban-rg-3-part-2

## 0. この記事の要点

- Bałaban の論文 "Convergent renormalization expansions for lattice gauge theories"（Commun. Math. Phys. 119 (1988) 243–285。I・II に続くシリーズの III）の §2（pp.254–264）を精読します。$k$ 回のくりこみ変換のあとの有効密度 $\rho_k$ を、大場の領域を含めて完全に書き下す「帰納的仮定」がこの節の中身です。
- 帰納的仮定を 12 項目 (H1)–(H12) の 1 つの定義にまとめます。領域列 $\Omega_1\supset\Lambda_1\supset\cdots\supset\Omega_k\supset\Lambda_k$、密度の形 $\rho_k=\sum\chi_k\mathsf T_k\exp\mathcal A_k$、作用の 3 分割 $\mathbf E_k+\mathbf R_k+\mathbf B_k$ と、それぞれの局所化・解析性・評価です。後続の Large field renormalization I・II はこの 12 項目を 1 つずつ確かめる形で証明されます。帰納法の各段（T の段・R の段・出発点）がどの主張で与えられるかも整理します。Theorem 1 に残る仮定は、結合定数の 1 段ごとの条件 (G)、無限格子についての (P4) と (Inf)、T の段の定理が [I]・[II] の構成の領域列への読み替えについて置く (GFΩ)（プロパゲータの展開の Hölder 評価）と (M4)・(T)（[I] の Theorem 3 に残る定義域の仮定）、R の段の性質 (R)（Large field renormalization II の主定理が、その仮定 (E)(V) の下で確かめる）です。作用の項の実数性 (Re) は、出発点・T の段・R の段のそれぞれで保たれることを示すので、仮定ではなく結論です。変分問題の定理が領域列の分離に置く条件は、定数 $M_1$ の選び方で満たします（局所化した決定集合 (2.14) についてだけは仮定 (Loc) として残ります）。
- 原論文が「容易」として書かない幾何を証明します。大場領域の相異なる成分は大立方体 1 個ぶん以上離れていること（したがって $M$ 立方体のハローが接しないこと）、小さい成分を直方体に置き換える操作が有限回で止まること、極大な領域列の縮み幅が $2M_1$ 以下であること、局所化した決定集合 (2.14) が減少列の決定集合になること、T の段で新しい大場領域がどう作られるか（(1.76) の等号の形）です。
- 結合定数の比較不等式 (2.6)–(2.9) を、くりこみ群方程式と $\beta$ 関数の上下界を仮定として証明します。原論文の形より少し強い形（$g_m\le g_n$、$\varepsilon_m\le(1+n-m)^{\beta_0}\varepsilon_n$ など）が出ます。
- Theorem 2（局所化した作用の評価）は、部 3 の証明に合わせて、一般の領域では点ごとに Wilson 作用を引く形、$\phi$ を使う形は $\Omega=\Lambda_j^{\sim-1}$ の場合で述べます。これを仮定に、$\mathbf E_k,\mathbf R_k,\mathbf B_k$ の和が $O(1)\sum_j\lvert\Gamma_j\rvert$ で抑えられること (2.45)–(2.49) を示し、紫外安定性 Corollary 3 を、大場の操作の評価を明示した仮定の下で証明します。境界項の評価は、局所化領域を $\Omega_j$ の中の立方体に結びつけることで、原論文の (2.47) より簡単な形で得られます。

## 1. 動機

**シリーズの中での位置。** Bałaban の 4 次元格子ゲージ理論の紫外安定性の証明は、準備の 6 本（平均操作・正則配位・プロパゲータ・変分問題・3 次元の紫外安定性）と、本シリーズ I・II・III、そして Large field renormalization I・II からなります。I・II は「場がどこでも小さい」と仮定した小場の近似で、有効作用 $\mathcal A_k=-g_k^{-2}A(U_k)+\mathbf E_k(U_k)$ の局所化した表示と結合定数のくりこみを作りました。III は初めて大場を含めた**完全な**密度を扱います。その道具立てが §2 の帰納的仮定で、§1（本テーマの部 1 で扱う最初の変換）で 1 段目を計算した形 (1.28)–(1.30) を一般の $k$ に広げたものです。

**なぜ帰納的仮定が要るのか。** 大場の領域（場の強さが大きい領域。小場はその逆）では [Wilson 作用](/physics/lattice-field-theory/lattice-gauge-fields#def-wilson-action) $g_k^{-2}\sum_p(1-\mathrm{Re\,tr}\,U(\partial p))$ が $\exp(-\tfrac12p_0(g)^2)$ 程度の小さな因子をくれます。3 次元では結合定数が格子間隔の正の冪で $0$ に行くので、この小因子が残り続け、大場の領域を「放っておく」ことができました（準備 5）。4 次元では結合定数は対数でしか小さくならず、大場の領域で生じた式は段を重ねるたびに育ちます。そこで、密度を大場の領域ごとの積分操作 $\mathsf T_k$ と、局所化した作用の項に分解した形で保ち、毎段その形が保たれることを示す必要があります。§2 はその形を明示し、§3（本テーマの部 3 で扱う）はくりこみ変換 $\mathsf T$ がこの形を保つことを示します。大場の成分を小場に戻す操作 $\mathsf R$ は III には無く、Large field renormalization I・II で作られます。

**本章で得るもの。** 主結果は 3 つです。Theorem 1 は「$\mathsf R\mathsf T$ を繰り返した密度が帰納的仮定を満たす」ことで、本章では R の段が果たすべき性質 (R) を仮定に出した形で述べ、T の段（部 3）と帰納法の骨組みを証明します。(R) を確かめるのは Large field renormalization II です。Theorem 2 は局所化した作用の評価で、証明は部 3 にあります。Corollary 3 は紫外安定性
$$
\chi_k(T_\eta)\exp\Bigl[-\frac1{g_k^2}A(U_k(V_k))-E_-\lvert T_\eta\rvert\Bigr]\le\rho_k(V_k)\le e^{E_+\lvert T_\eta\rvert}
$$
で、本章で証明します。いずれも結合定数の列が十分小さい区間に入るという仮定（I の Theorem 2 の結論で、その証明は公刊されていません）の下での結果です。

**本章で補ったこと。** 原論文 §2 はほとんどが定義の列挙で、幾何の主張には証明がありません。後続の論文の監査で、とくに「大場領域の相異なる成分の間には十分な間隔がある」こと（クラスター展開の[ポリマー](/physics/constructive-qft/rigorous-renormalization-group#def-polymer-representation)のハロー、すなわち成分のまわりの数層の近傍が接しないために必要）と、「新しい大場領域は古い領域の 10 層の近傍と新しい大場の近傍の和である」こと（(1.76) の等号）が、(H1) に明示されている必要があると分かりました。前者は大場領域が大立方体の和であることから**自動的に従う**ので (H1) に入れて証明し、後者は §3 の構成から等号の形を導いて (H1) に入れます。

（この章の続きは購入者向けです。）
