# Bałaban『Renormalization group approach to lattice gauge field theories I』精読 第 2 部：揺らぎ場の積分の展開と解析接続（§3）

> Bałaban の RG I の §3 を精読する。1 の分割による第 1 の局所化、Cauchy 積分による解析接続と指数減衰の取り出し、局所化した最小配位による 5 次までの展開と Lemma 4（正則性の伝播）を、原論文が省いた計算を補って証明する。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/gauge-rg-papers/balaban-rg-1-part-2

## 0. この記事の要点

細かい尺度で作った補正項を、粗い尺度のゆっくりした揺らぎで動かすと、その変化はどう振る舞うか。この記事は、その変化が「少数の簡単な項」と「尺度の比の 5 乗で小さい残り」に分かれることを、複素関数の評価（正則関数の値の上界から微分の上界を出す Cauchy の評価）だけで確かめる回です。

- T. Bałaban, "Renormalization group approach to lattice gauge field theories. I"（Commun. Math. Phys. 109 (1987) 249–301）の §3（pp.269–281）を精読します。§3 は、$k+1$ 段目の揺らぎ場積分の被積分関数のうち、前の段までの有効作用の差 $\mathbf E_k(U_k(e^{iB'}V^{(k)}))-\mathbf E_k(U_k(V^{(k)}))$ を、**揺らぎ場について 4 次までの局所的な項と、無関連な剰余**に分ける節です。
- 道具は 3 つです。(1) 1 の分割 $1=\sum_\square\zeta_\square$ と微積分の基本定理で、差を立方体 $\square$ ごとの微分に分ける（第 1 の局所化）。(2) 局所化領域 $X$ が $\square$ から遠いときは、微分を Cauchy 積分に書き直し、最小配位の応答の指数減衰から $(L^j\eta)$ の任意の冪を取り出す。(3) $X$ が $\square$ の近くにあるときは、局所化した最小配位 $U_j(\square_0,\cdot)$ を使って配位を「平均の場 $B$」で表し、$B$ について 5 次まで Taylor 展開する。
- 剰余の評価には、変形した複素配位 $U_j(\square_0,\exp i(\tau B+B'))$ が帰納的仮定の解析性の領域 $\mathfrak U^c_j(X,\alpha_0,\alpha_1)$ に入ること（原論文 Lemma 4）が要ります。本章ではこれを、平均の一貫性（細かい条件の最小配位は粗い条件の最小配位に一致する）と、曲率の評価の鎖 (3.37)–(3.52) を全部書いて証明します。第 1 部が仮定に回した「複素配位についての (1.17)」は、この補題の 2 として得られます。
- 原論文から直した点が 2 つあります。1 の分割の関数 $\zeta$ について原論文は「2 階までの導関数が 5 以下」としますが、2 階導関数は必ず 36 以上になることを示し、具体的な $C^2$ 関数（導関数 6 以下、2 階 52 以下）に置き換えます。また原論文が「同様の評価」とした最小配位の写像の $D^*D$ についての評価（性質 (D)）は、臨界点の Lagrange 乗数の恒等式を複素のデータへ解析接続して本章で証明します（<Ref to="lem-property-d" />）。遠い領域の評価と $\tilde\square^4$ の外の層の扱い（原論文が「同様」で省いた部分）は、最小配位の近くでの解析性（<Ref to="lem-minimizer-neighborhood" />）だけから導き、任意の複素の場で動かした配位が条件 (iv) を満たすという性質 (S) を使いません。第 3 部の微分の評価も同じ補題から得るので、(S) は本章と第 3 部のどの結論にも使いません（<Ref to="rem-hypotheses-d-s" />）。原論文が (3.31) で「明らか」とした最小配位の表示の Hölder 連続性も本章で証明します（<Ref to="lem-h-holder" />）。
- 結論は、差が「低次の項（揺らぎ場の 4 次まで）の和」と「$(L^j\eta)^5e^{-\frac12\kappa d_j(X)}$ で抑えられる無関連な項の和」に分かれることです（<Ref to="thm-expansion-irrelevant-except-low-orders" />）。低次の項は第 3 部で Ward–Takahashi 恒等式によって処理されます。

## 1. 動機

### 1.1. §3 は何をする節か

第 1 部で、$k+1$ 段目の有効作用は

$$
A_{k+1}(W)=-\frac1{g_k^2}A(U_{k+1})+\mathbf E_k(U_{k+1})+\bigl[\log Z^{(k)}(U_{k+1})-\log Z^{(k)}(1)\bigr]+\log\mathbf N''^{-1}_k\int d\mu_{C^{(k)}}(B)\,\chi_k\,e^{\mathbf P^{(k)}+\lbrace\cdots\rbrace}
$$

と書けることを示しました（<Ref to="physics/gauge-rg-papers/balaban-rg-1-part-1#prop-new-action-representation" />）。積分の中の指数は 2 つの部分からなります。$\mathbf P^{(k)}$ は作用の明示的な項から来るもので、揺らぎ場 $B$ の解析関数として係数が $O(g_k)$ の小さい摂動です。もう 1 つの波括弧 $\lbrace\cdots\rbrace$ は、前の段までに作った局所化項 $\mathbf E^{(j)}$（$j=1,\dots,k$）を、背景場を揺らぎ場でずらした配位で評価した差です。

$\mathbf E^{(j)}$ は $j$ 段目の尺度で局所化された関数です。$j$ が $k$ より小さいほど、$\mathbf E^{(j)}$ は（$k$ 段目の単位で見て）細かい局所化領域 $X\in\mathbf D_j$ の和になっています。揺らぎ場 $B$ は $k$ 段目の単位格子の上の場で、$\mathbf E^{(j)}$ の局所化領域よりずっと粗い尺度でしか変化しません。この尺度のずれが、§3 の議論の要です。細かい尺度 $j$ の局所化項を、粗く緩やかな揺らぎで動かしたとき、

- 局所化領域 $X$ が揺らぎの立方体 $\square$ から遠いなら、最小配位の応答が指数減衰するので、寄与は $(L^j\eta)$ の任意の冪で小さい；
- $X$ が $\square$ の近くにあるなら、揺らぎは $X$ の上でほとんど定数に見えるので、揺らぎについて Taylor 展開でき、5 次以上の項は $(L^j\eta)^5$ を因子にもつ

という 2 つの事実を、解析関数の評価として厳密に示します。$(L^j\eta)^5$ は無関連の条件 $(L^j\eta)^{4+\alpha}$（<Ref to="physics/gauge-rg-papers/balaban-rg-1-part-1#def-irrelevant" />）を $\alpha=1$ で満たします。残る 4 次までの項は、くりこみの本体（結合定数の流れ）に関わり、第 3 部の対象です。

### 1.2. なぜ解析接続が要るか

帰納的仮定（<Ref to="physics/gauge-rg-papers/balaban-rg-1-part-1#def-inductive-assumptions" />）は、$\mathbf E^{(j)}(X,\cdot)$ が複素配位の空間 $\mathfrak U^c_j(X,\alpha_0,\alpha_1)$ の上で解析的で $E_0e^{-\kappa d_j(X)}$ で抑えられることを要求します。実の配位での評価だけでは帰納法が回りません。次の段のクラスター展開（論文 II）で、補間パラメータや揺らぎ場を複素方向に動かして Cauchy 評価を使うからです。逆に、解析性があれば、微分の評価はすべて「関数の上界 ÷ 解析性の半径」で済みます。§3 の評価はこの原理の反復です。

困難は、揺らぎ場で動かした配位が本当に解析性の領域に入るかです。最小配位 $U_j$ は平均の解析関数ですが、その値が条件 (iv)（最小配位をもう一度作ったときの正則性）まで満たすことは自明ではありません。原論文はこれを Lemma 4 で示し、その証明は「細かい尺度の最小配位は、粗い尺度の最小配位を自分の平均で作り直したものに一致する」という一貫性に基づきます。本章 §6 はこの論証を補題の形に整理したものです。

### 1.3. 物理への含意

§3 の論法はゲージ群の構造をほとんど使いません。使うのは、(a) 平均操作と最小配位の解析性と指数減衰、(b) 局所化項のゲージ不変性、(c) 尺度のずれによる冪 $(L^j\eta)$ の利得です。したがって、可換群 $U(1)$ の場合（QED₄）にも同じ形で成り立ちます。QED₄ で問題になるのは §3 ではなく、第 3 部の低次の項から決まる β 関数の符号です（第 1 部の §1.3）。言い換えると、§3 は「くりこみ群の 1 段で生じる非局所性を、有限個の局所的な項（限界項・関連項）と無関連な剰余に分ける」という、模型によらない部分を担っています。

### 1.4. 本章の範囲と原論文との対応

| 原論文 | 本章 |
|---|---|
| (3.1)(3.2)、1 の分割 | <Ref to="def-integrand-parts" />、<Ref to="def-cubes-and-cutoffs" />、<Ref to="lem-partition-of-unity" /> |
| (3.3)(3.4) | <Ref to="prop-difference-representation" />、<Ref to="prop-first-localization" /> |
| (3.5)–(3.9) | <Ref to="def-domain-classes" />、<Ref to="lem-domain-geometry" />、<Ref to="lem-delta-h-decay" /> |
| (3.10)–(3.14) | <Ref to="lem-covariant-derivative-expansion" />、<Ref to="lem-property-d" />、<Ref to="prop-analytic-extension-exists" /> |
| (3.15)–(3.17) | <Ref to="lem-minimizer-neighborhood" />、<Ref to="prop-cauchy-extension-bound" />、<Ref to="prop-class-one-irrelevant" /> |
| (3.18)–(3.25) | <Ref to="lem-minimizer-consistency" />、<Ref to="lem-cutoff-error-irrelevant" /> |
| (3.26)–(3.32) | <Ref to="prop-axial-landau-gauge-bounds" />、<Ref to="lem-simultaneous-gauge-invariance" />、<Ref to="lem-field-a-regularity" /> |
| (3.33)–(3.54)、Lemma 4 | <Ref to="lem-plaquette-elementary" />、<Ref to="lem-regularity-propagation" />、<Ref to="prop-fifth-order-remainder" /> |
| §3 末の結論 | <Ref to="thm-expansion-irrelevant-except-low-orders" /> |

（この章の続きは購入者向けです。）
