# Bałaban『Large field renormalization I』(1989) 第 2 部：領域 Λ、臨界配置（Proposition 1）、ゲージ固定と R′ の定義

> 大場成分の芯を囲む直方体 Λ で場を積分し尽くし、臨界配置 U₀ のまわりに揺らぎ場と木ゲージを置き、古い特性関数を外す等式 (1.89) と、積分を保つ操作 R′ の定義と正規化 (1.102) を証明する。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/gauge-rg-papers/balaban-large-field-1-part-2

## 0. この記事の要点

前の部で選んだ大場の成分について、その中の積分をすべて実行し、結果を小場の式の比で置き換える操作 R′ を定める章です。ゲージを固定する木の選び方と、古い特性関数が不要になることの確認が中心です。

- Bałaban の大場くりこみ第 1 論文の後半（式 (1.71)–(1.102)）を精読します。目標は、大場成分ごとに場を積分し尽くして、**積分値を変えずに**大場の式を「小場の比」に置き換える操作 $\mathsf R'$ を定義し、その正規化 $\int dV_k\,(\mathsf R'\rho_k)=\int dV_k\,\rho_k$ を証明することです。
- 積分領域 $\Lambda$ は**成分 1 つの中の直方体**（新しい大場の芯 $Z''_k$ に $M$ 立方体を 1 層足したもの、一辺 $100M$ 以下）で、$\Lambda$ の外の変数はすべて固定されたデータです。他の大場成分は $\Lambda$ に入らず、その影響は背景場の評価 (1.80) の $e^{-\delta\,\mathrm{dist}(p,\Lambda)}$ を通してだけ現れます。
- $\Lambda$ の外の正則な場は $\Lambda$ の中へ $|\partial V-1|\le C_EM^2\varepsilon$ で延長できます。原論文はこれを「一般化[軸ゲージ](/physics/lattice-field-theory/lattice-differential-forms#lem-axial-tree)で」と 1 行で述べるだけなので、入れ子の直方体の間の木と、その木に沿う閉路を**[プラケット](/physics/lattice-field-theory/lattice-gauge-fields#def-path-transporter)の張り替え**で縮める組合せ論の補題として証明します。
- 揺らぎ場のゲージ固定に使う木 $T_0$（原論文 p.196 の「やや不格好な」輪郭）が木であること、内側の直方体を広げたときの制限性、背景場でねじれたゲージ作用に対する Faddeev–Popov の恒等式を、[Haar 測度](/mathematics/compact-groups/haar-measure#thm-compact-haar)の不変性だけから証明します。
- 古い特性関数 $\chi''_k$ が新しい制限の下で恒等的に $1$ になる等式 (1.89) を、$\beta\le\frac14$、$\alpha=\frac1{12}$、$N$ の 2 条件、$L_0$ の条件の下で、領域ごとの不等式の表として確かめます。
- [臨界軌道の存在と一意性](/physics/gauge-rg-papers/balaban-large-field-2-part-1#thm-critical-orbit-existence)（Proposition 1）は原論文でも第 2 論文で証明されるので、本章では主張を置き、証明は次章の定理を指します。

## 1. 動機

4 次元の格子ゲージ理論で紫外安定性（有効密度の上下からの評価が格子間隔に一様であること）を示す Bałaban の繰り込み群は、場の配置を「小さい場」と「大きい場」に分けて進みます。小場では有効作用を摂動的に展開し、局所化し、くりこみます（RG I–III）。大場では、プラケット変数が $|U(\partial p)-1|\ge g\,p_0(g)$ と大きいことから Wilson 作用が小さい因子 $\exp(-\tfrac12p_0(g)^2)$ を与え、その因子で大場領域に付随する式を抑えます（[第 1 部](/physics/gauge-rg-papers/balaban-large-field-1-part-1) の §1）。

$d\lt4$ ではこの因子が格子間隔 $\varepsilon$ の任意の冪になるので、大場の式を最後の段まで放置しても困りません。ところが $d=4$ では裸の結合が $(a+b\log\varepsilon^{-1})^{-1/2}$ の速さでしか小さくならず、因子 $\exp(-p_0(g))$ は $\varepsilon$ の正の冪を与えません。小さくはあっても、それが抑えられる段数は全段数のごく一部にとどまります。そこで Bałaban は、大場の式そのものを途中でくりこむ操作 $\mathsf R$ を導入しました。原型は第 1 部の `def-r-prototype` で見たとおり、

$$
\rho\;\longmapsto\;\sum_{Z}\rho(Z'',V)\,\frac{\int dV\vert_{Z'}\,\rho(Z,V)}{\int dV\vert_{Z'}\,\rho(Z'',V)}
$$

という「大場の密度を、積分が等しい小場の式で置き換える」操作です。分母を小場の作用だけで決まる局所的な量に選ぶのが要点で、そうすれば比は大場成分のまわりに局所化でき、[ポリマー](/physics/constructive-qft/cluster-expansion#def-polymer-system)展開して指数の肩に上げられます（第 2 論文の仕事）。

本論文の第 1 部は、この操作の準備として、大場成分のうち「小さくて最近 $N$ 段に新しい大場が生じていない」適格な成分を選び、その成分で $N$ 段分の積分の一部を先に実行して、新しい（ずっと小さい）大場の芯 $Z''_k$ と新しい特性関数 $\chi''_k$、境界項 $\mathcal B''_k$ を得ました。本章が扱う後半では、その結果 (1.71) から出発して次を行います。

1. 芯を 1 層だけ太らせた直方体 $\Lambda$ を定め、$\Lambda$ の外の場に「$\Lambda$ の中へ正則に延長できる」という制限 $\chi_{k,\Lambda}$ を課す。延長できない配置は大場として扱える。
2. $\Lambda$ 上の $V_k$ を積分し尽くす。これは密度を変えるが積分値は変えない（同値 $\equiv$）。
3. 積分の中の Wilson 作用の臨界配置 $V_\Lambda$（Proposition 1）と背景場 $U_0$ を定め、そのまわりに揺らぎ場 $V'$ を置き、木 $T_0$ でゲージを固定し、$U_0$ を軸ゲージと Landau ゲージの混合（AL ゲージ）で表す。
4. 新しい制限の下で古い特性関数 $\chi''_k$ が冗長になることを示す（(1.89)）。
5. 成分ごとに、$\Lambda$ 上の正規化された因子（分子と分母が同じ形の比）を掛けて $\mathsf R'$ を定義し、正規化 (1.102) を示す。

Bałaban の一連の論文で、$\mathsf R$ 操作は紫外安定性の証明の最後の部品であり、論文 II の主定理（帰納法の仮定が $\mathsf R\circ\mathsf T$ で保たれること）を通して RG III の Corollary 3（紫外安定性）を閉じます。物理的な含意としては、4 次元の非可換ゲージ理論の格子正則化が、格子間隔によらない分配関数の評価をもつ（連続極限の存在に向けた最大の技術的障害を除く）ことです。同じ枠組みを可換なゲージ場とフェルミオンに移すとき（例えば QED₄）には、正規化 (1.102) の「分母は大場成分の近傍に局所化した小場の作用だけで決まる」という性質と、$\Lambda$ が成分 1 つの中の直方体であることを保つことが要になります。この 2 点は本章で証明の形まで追います。

（この章の続きは購入者向けです。）
