# Gauss 型の相関不等式：連続 FKG・Ginibre・GHS・Simon–Lieb・Gauss 支配・Gauss 相関不等式

> 4 関数定理から連続スピンの FKG 不等式を、複製変数で Ginibre 不等式と GHS 不等式を、switching lemma で Simon–Lieb 不等式を証明する。鏡映正値性による Gauss 支配と赤外評価、Prékopa–Leindler から Anderson・Khatri–Šidák の不等式を導き、Royen の Gauss 相関不等式を証明する。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/constructive-qft/gaussian-correlation-inequalities

## 0. この記事の要点

磁石の小さな粒（スピン）がたくさん並んでいるとき、「ある粒が上を向いていると、離れた粒も上を向きやすいか」「その影響は距離とともにどれくらい速く弱まるか」を、細かい計算をせずに不等式だけで見積もる話です。この記事では、そうした不等式をいくつか証明し、最後に、ガウス分布（釣鐘型の分布）に従う量について「2 つの事象が同時に起こる確率は、別々の確率の積より小さくならない」という不等式まで示します（2 つの事象は原点に関して対称な凸集合とします）。読み終えると、粒どうしの相関の向きや大きさを不等式で押さえる道具がひと通りそろいます。

- **連続 FKG**: 直積空間上の密度 $\rho$ が[束条件](/physics/constructive-qft/correlation-inequalities#def-fkg-lattice-condition) $\rho(x\vee y)\rho(x\wedge y)\ge\rho(x)\rho(y)$ を満たせば、単調増加関数どうしは正に相関します。Ahlswede–Daykin 型の **4 関数定理**を 1 次元の初等的な不等式から帰納法で証明し、[相関不等式の章](/physics/constructive-qft/correlation-inequalities) で概略にとどめた連続スピンの FKG 不等式を閉じます。
- **Ginibre 不等式**: 1 点分布が偶で相互作用の係数が非負なら、多体相互作用でも GKS 不等式が成り立ちます。複製 $(\phi,\psi)$ を $45^\circ$ 回すだけの証明です。
- **GHS 不等式** $u_3\le0$（磁化は正の外場について凹）を、Lebowitz の複製変数と FKG 不等式で証明します。外場の効き方が「$t$ 系」にしか現れないことが鍵です。
- **Simon–Lieb 不等式** $\langle\sigma_x\sigma_y\rangle\le\sum_{u\in S,v\notin S}\langle\sigma_x\sigma_u\rangle_SJ_{uv}\langle\sigma_v\sigma_y\rangle$ を switching lemma から導き、有限集合 1 つでの判定から相関の指数減衰が出ることを示します。
- **Gauss 支配**: 周期格子で鏡映正値性を使うと $Z(h)\le Z(0)$ が成り立ち、2 次まで展開すると**赤外評価** $\hat G(p)\le1/(\beta E(p))$ を得ます。最後に Prékopa–Leindler 不等式から Anderson の不等式と Khatri–Šidák の不等式を証明し、Royen が 2014 年に証明した **Gauss 相関不等式** $\mu(K\cap L)\ge\mu(K)\mu(L)$ を、Latała–Matlak の整理に沿って証明します。

<Aside type="tip" title="この記事で使う事前知識">

- **束条件（格子条件）**: 密度 $\rho$ について $\rho(x\vee y)\rho(x\wedge y)\ge\rho(x)\rho(y)$ が成り立つこと。$x\vee y$, $x\wedge y$ は成分ごとの最大・最小です。→ [FKG の束条件](/physics/constructive-qft/correlation-inequalities#def-fkg-lattice-condition)
- **強磁性 Ising 模型**: 各点のスピンが $\pm1$ で、隣り合うスピンがそろうほど重みが大きくなる模型。→ [強磁性 Ising 模型](/physics/constructive-qft/correlation-inequalities#def-ferromagnetic-ising)
- **GKS 不等式**: 強磁性の模型では、スピンの積の期待値は非負で、2 つの積の相関も非負になるという不等式。→ [相関不等式](/physics/constructive-qft/correlation-inequalities)
- **Ursell 関数**: 外場で $\log Z$ を微分して得られる、相関の「つながった部分」。この記事では §2 に定義があります。
- **ガウス測度の共分散**: 中心化ガウスベクトルの分布は共分散行列で決まる、という事実。

</Aside>

## 1. 動機

[相関不等式の章](/physics/constructive-qft/correlation-inequalities) では、強磁性 Ising 模型と $\phi^4$ 型の格子場について GKS・FKG・Lebowitz の不等式を示し、相関関数が体積について単調であることから無限体積極限を作りました。そこでは連続スピンの FKG 不等式は筋道だけを述べ、GHS 不等式は主張だけにとどめました。本章はこれらを補い、さらに構成的場の理論で繰り返し使われる別系統の不等式を集めます。

相関不等式には大きく 2 つの役割があります。1 つは**単調性と符号**で、極限の存在や、くりこまれた結合定数の符号（自明性の議論）を与えます。GKS・GHS・Lebowitz・FKG がこれに当たります。もう 1 つは**定量的な上界**で、相関がどれだけ速く減衰するか、どれだけ大きくなりうるかを押さえます。Simon–Lieb 不等式は「有限の箱で小さければ指数減衰」という判定を与え、Fröhlich–Simon–Spencer の Gauss 支配は運動量空間で 2 点関数を自由場で上から押さえる（赤外評価）ことで、連続対称性の破れや $\phi^4$ の自明性の議論に使われます。

最後の Gauss 相関不等式は性格が違い、純粋にガウス測度についての主張です。「原点に関して対称な 2 つの凸集合は、ガウス測度のもとで正に相関する」という 1950 年代からの予想は、2014 年に Royen によって短い論文で解決されました。証明の核心は前章の Price の公式と同じ「共分散の補間」です。

（この章の続きは購入者向けです。）
