# Abdesselam–Rivasseau (1997) 部 2：ポリマー評価の主張とポリマー位置の和・道具の補題

> Abdesselam–Rivasseau の多尺度クラスター展開 §3.1–3.3 を精読する。収束ポリマーの評価（Theorem 2）を述べ、ポリマー位置の和（Proposition 1）と Lemma 11–19 をすべて証明し、原論文の不備を直す。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/constructive-papers/abdesselam-rivasseau-1997-part-2

## 0. この記事の要点

この章は、前の部で作った展開の各項（ポリマーの寄与）が実際に小さいことを示す準備の章です。ポリマーがどこに置かれうるかを数える議論と、評価を支える道具の補題を、ひとつずつ証明していきます。

- 原論文の主定理 Theorem 2 は、4 頂点既約（4-VI）な[ポリマー](/physics/constructive-qft/cluster-expansion#def-polymer-system)の活動度 $A(Y)$ を、固定した立方体 $\Delta_{\mathrm{org}}$ を含むすべての $Y$ について $K^{\#(Y)}$ の重みを付けて足しても、結合定数 $g$ が小さければ任意に小さい $\eta$ で抑えられる、という評価です。体積・赤外切断 $N$・外部源に一様です。ただしこの主張は文字どおりには偽で（立方体 1 個の真空ポリマーの活動度は $g\to0$ で $1$ に近づく、など）、本章では立方体 2 個以上のポリマーに限り外部源 1 つあたり $g^{-1/32}$ を許す修正版を述べ、反例と証明の組み立てを示します（各段の中身は部 3）。
- ポリマーの「位置の和」は Proposition 1 にまとめられています。水平リンクの冪減衰と、高周波の層の連結成分 1 つあたりの因子 $M^{-(d+\epsilon_2)}$ だけを仮定して、$\Delta_{\mathrm{org}}$ を含む大きさ $Q$ の許容ポリマーの和が $K_1^{Q}$ で抑えられます。立方体 1 つずつに $M^{-(d+\epsilon)}$ を要求しないのが要点です。
- その証明は、(i) 怠惰な立方体の数を働く立方体と成分の数で線形に抑え（Lemma 11）、(ii) 分岐の数を $\#(Y)-1$ で抑え（Lemma 12）、(iii) 減衰を根付き木の上に配り直し（Lemma 13）、(iv) 木を刈り込んで頂点数を $2\#(Y)-1$ 以下にし（Lemma 14）、(v) Cayley の公式で木を数える、の 5 段です。
- 道具箱として、伝播関数の減衰（Lemma 15）、局所階乗の原理（Lemma 16）、局所階乗の移送（Lemma 17）、小因子の雨（Lemma 18）、平均と揺らぎの分解（Lemma 19）を証明します。部 3 の評価はすべてこの 5 つの組合せです。
- 原論文には、能動立方体の数え方（$\delta$ と $\delta+1$）、関数 $F$ の入れ子条件の欠落（このままでは (113) が $N$ に一様でない）、分岐の数の評価の論法、Lemma 19 の定数での座標の和の欠落、という 4 か所の不備があります。いずれも結論を変えずに直せることを示します。

## 1. 動機：この論文は何をしたのか

### 1.1. 位相空間展開と「収束ポリマー」

くりこみ可能な（とくに周辺的な）場の理論を構成的に扱う方法には、大きく 2 つの流れがあります。1 つは[くりこみ群](/physics/constructive-qft/rigorous-renormalization-group#def-block-spin)の 1 段を Banach 空間上の写像として扱い、その反復を力学系として調べる方法（Brydges・Pordt ら）、もう 1 つは多くの尺度を一度に展開する位相空間展開（Glimm–Jaffe に始まり、Feldman–Magnen–Rivasseau–Sénéor が φ⁴₄ や Gross–Neveu 模型で完成させたもの）です。後者は摂動論を「途中で止めた展開」とみなす見方で、発散の源（高周波のほぼ局所的な 2 点・4 点の挿入）を見える形に取り出しつつ、同じ場所・同じ尺度に場が溜まりすぎない程度にしか展開しない、という釣り合いの上に成り立っています。

Abdesselam と Rivasseau は、この位相空間展開を Brydges–Kennedy の[森公式](/physics/constructive-qft/cluster-expansion#thm-bkar-forest)の一般化として書き直しました。部 1 で見たとおり、水平方向（実空間）の展開と垂直方向（尺度方向）の展開を同じ線形補間で扱い、大場・小場の 1 の分割まで組み込んだうえで、Schwinger 関数を「4 頂点既約（4-VI）なポリマー」の活動度 $A(Y)$ の明示的な和（部 1 の Theorem 1）として書きます。4-VI とは、4 頂点（4-リンク）を 4 本まで切っても連結のままであることで、ほぼ局所的な 4 点挿入が背景（低運動量）に「5 本以上の頂点」でしかつながらない、という条件の言い換えです。

本章が扱う §3 の前半は、その活動度の評価です。Theorem 2 は、くりこみを要する 2 点・4 点のほぼ局所的な挿入を含まないポリマーについて、全次数の摂動論を足し上げたうえでの評価であり、著者自身はこれを「収束グラフについての Weinberg の定理の構成的な類似」と呼んでいます。

### 1.2. なぜ赤外 φ⁴₄ なのか、何が残るのか

模型は 4 次元の質量ゼロの φ⁴ 理論で、紫外切断を単位の長さに置き、赤外（長距離）の尺度 $M^{i}$（$0\le i\le N$）に場を分解します。赤外 φ⁴₄ は長距離で結合定数が小さくなる（赤外漸近自由）ので、展開の試験台に適しています。Gawędzki–Kupiainen（1985）と Feldman–Magnen–Rivasseau–Sénéor（1987）がすでに構成しており、この論文の目的は新しい模型の構成ではなく、多尺度展開を明示的な公式として書き、評価を定数まで追跡することにあります。

同じ形の評価が必要になる模型は、紫外の φ⁴₄、4 次元 QED、4 次元 Yang–Mills のような周辺的な理論です。そこでは冪勘定に余裕がなく、Theorem 2 の証明で使う「1 段あたりの小さな冪の利得」は、2 点・4 点関数の局所部分を取り出した（くりこんだ）後でしか得られません。原論文はそのくりこみ後の評価を続報 [AR2] に送っており、本章と部 3 が扱うのはくりこみの前段、すなわち収束ポリマーの評価までです。紫外の φ⁴₄ や QED₄ では結合定数が短距離で大きくなるので、この型の展開を素朴に紫外へ向けることはできません。どの段が模型によらず、どの段が赤外漸近自由に依存するのかを読み分けるのが、本章を読む一つの目的です。

### 1.3. 本章の構成

§2 で記号をまとめ、§3 で Theorem 2 を述べてその証明の組み立てを示します。§4–§7 は Proposition 1（ポリマー位置の和）の証明で、一般の次元 $d$ で行います。§8–§9 は道具の補題（Lemma 15–19）です。原論文の番号は各環境の題に「原論文 Lemma 11」のように添えます。

（この章の続きは購入者向けです。）
