# Abdesselam–Rivasseau『Trees, forests and jungles』(1994) 部 2：ポリマー気体・Mayer 展開・大場小場のジャングル

> 森公式を φ⁴ 模型に使ってポリマー表示とその収束評価を証明し、Mayer 展開、クラスター展開と Mayer 展開を 1 回で行う nice 2-ジャングル公式、レゾルベントの木公式、大場・小場条件つきの 2 段ジャングルを導く。
> https://rikai.mugen-giken.com/physics/constructive-papers/abdesselam-rivasseau-1994-part-2

## 0. この記事の要点

- 空間を小さな箱に分け、箱どうしの結びつきを少しずつ入れていくと、全体の重みを「互いに重ならない塊の重みの積の和」に書き直せます。この章は、その書き直しの公式（部 1 の森公式・ジャングル公式）を具体的な模型に使う、A. Abdesselam と V. Rivasseau の 1994 年の論文の後半（§V）を読みます。
- 単位立方体に分けた有限体積の $\phi^4$ 模型（紫外切断つき）の分配関数は、森公式によって**硬芯ポリマー気体**（重ならない塊の気体）に書けます（原論文 (V.A.6)–(V.A.9)）。塊の重み（活動度）を $A(Y)$ とすると、結合定数 $g$ が小さければ $\sum_{Y\ni b_0,\ |Y|\ge2}|A(Y)/A_0^{|Y|}|K^{|Y|}$ は小さくなります（(V.A.10) の正しい形）。原論文が「[R1-2] と同じ方法」で省いたこの評価を、汎関数微分の展開、局所階乗つきの Gauss 評価、隣の立方体が離れていく体積の論法、木の和で証明します。
- 硬芯の制約を外す **Mayer 展開**は、Taylor 森公式で木の公式 (V.B.5)–(V.B.6) になり、各係数は $1$ 以下です。これと活動度の評価から、Kotecký–Preiss の判定条件で圧力（体積あたりの $\log Z$）の熱力学極限が存在します。
- クラスター展開と Mayer 展開を**1 つの公式**にまとめた nice 2-ジャングル公式（Theorem V.C.1, V.C.2）を証明します。Mayer 展開の木の層を「場の複製の階」に持ち上げると、2 種類のリンクが同じ対象の上に並びます。原論文が「(rather unpleasant) checking」として省いた全単射と係数の照合を書き、組合せ因子が $(|O|-1)!$ になること（Lemma V.C.1）を示します。
- あわせて、行列のレゾルベントの木公式（§V.D）、大場領域の内側では伝播関数のリンクを張らない 2 段ジャングル（§V.E）、滑らかな 1 の分割での森公式（§V.F）を証明します。
- 原論文の公式は森公式を「$[0,1]^{P_n}$ の近傍で滑らかな関数」に使っていますが、Gauss 測度の共分散を補間する関数は半正定値の点でしか定義されません。本章では補間点がつねに分割ベクトルの凸包 $\Omega_n$ に入ることを使い、$\Omega_n$ の上だけで滑らかな関数に森公式を使う形に直します。

## 1. 動機

一辺 $L$ の大きな箱の中で、たくさんの量が少しずつ影響し合っているとします。箱全体の重みは、すべてが絡み合った 1 つの量です。体積あたりの量（圧力や自由エネルギー）が $L\to\infty$ で収束することを示すには、この重みを「互いに離れた小さな塊の寄与の積」に書き直し、塊が大きくなるほど寄与が速く小さくなることを示すのが標準的な道筋です。この書き直しを**クラスター展開**と呼びます。

構成的場の理論では、この道筋を Gauss 測度の摂動 $\int d\mu_C(\phi)\,e^{-g\int_\Lambda\phi^4}$ に使います。時空 $\Lambda$ を単位立方体 $b_1,\dots,b_n$ に分け、立方体どうしをつなぐ共分散（伝播関数）$\chi_{b_i}C\chi_{b_j}$ に補間パラメータを掛けて、[森公式](/physics/constructive-qft/cluster-expansion#thm-bkar-forest) を使います。すると分配関数は「重ならない塊 $Y$（立方体の集合）の活動度 $A(Y)$ の積」の和、すなわち硬芯ポリマー気体になります。塊が 1 つの立方体でないときは、塊をつなぐ木の各リンクが伝播関数 1 本と汎関数微分 2 つを運び、汎関数微分が相互作用から頂点 $-4g\phi^3$ を引き出すので、塊が大きいほど $g$ の冪が増えて小さくなります。

ポリマー気体の $\log$ をとる段階では、硬芯の制約「塊が重ならない」が邪魔になります。これを外すのが **Mayer 展開**で、[Kotecký–Preiss の判定条件](/physics/constructive-qft/cluster-expansion#thm-kotecky-preiss) が収束を保証します。結果として、圧力が存在し、$g$ について解析的になります。

Abdesselam と Rivasseau の論文の後半は、部 1 で証明した公式群がこの標準的な道筋をどう簡潔にするかを、5 つの例で示しています。

1. **クラスター展開**（§V.A）: Brydges–Kennedy の森公式は、Glimm–Jaffe–Spencer 以来の公式より短い活動度の式 (V.A.8) を与えます。森公式の補間は共分散の半正定値性を保つ（部 1 の [正値性](/physics/constructive-papers/abdesselam-rivasseau-1994-part-1#thm-jungle-positivity)）ので、補間した Gauss 測度が意味を持ちます。
2. **Mayer 展開**（§V.B）: Taylor 森公式を硬芯の因子に使うと、係数がすべて $1$ 以下の木の公式になります。
3. **2 つの展開を 1 回で**（§V.C）: クラスター展開（立方体の間のリンク）と Mayer 展開（塊の間のリンク）は別々の対象の上の木です。根付き森公式で Mayer の木を層に分け、塊を「階」に持ち上げると、両方のリンクが同じ集合 $I_n\times\mathbb N$ の上の 2 段のジャングルになります。繰り込み群で展開を何段も重ねるとき、この形が扱いやすいというのが著者らの主張です。
4. **レゾルベント**（§V.D）: 行列の逆 $(1+M)^{-1}$ の冪級数を、実際に訪れた添字の集合ごとにまとめ直す木の公式。
5. **大場・小場**（§V.E）: 場が大きい領域では、汎関数微分から小さな因子を取れません。第 1 段の森で大場領域の連結成分を自動的に作り、第 2 段の森でだけ伝播関数のリンクを張る 2 段ジャングルを使えば、大場領域の内側でリンクを微分しないで済みます。

このうち 5 は、のちの多段の大場・小場展開（Abdesselam–Rivasseau 1997、Rikai では [部 1](/physics/constructive-papers/abdesselam-rivasseau-1997-part-1) から読めます）の最も単純な原型です。1997 年の論文は、ここで外から与えた大場条件を、1 の分割として Gauss 測度の内側に入れ、補間に組み込みました。また 3 の「Mayer 段を省く」発想は、1997 年の論文が尺度ごとの Mayer 展開を不要にする方向へ発展させています。ゲージ場とフェルミオンの理論（たとえば QED₄）の多段の解析でも、補間した共分散が半正定値のまま保たれることが Gauss 測度の補間を可能にしており、根付き公式がこの性質を失うことは、どちらの公式を使うかを決める実際的な理由になります。

原論文の主張と本章の環境の対応は次のとおりです。

| 原論文 | 本章 |
|---|---|
| (V.A.1)–(V.A.2)、共分散の性質 | <Ref to="lem-covariance-c" /> |
| (V.A.5)–(V.A.6)、「Gauss 積分の規則から」 | <Ref to="lem-forest-on-omega" />、<Ref to="lem-covariance-derivative" /> |
| (V.A.7)–(V.A.9) | <Ref to="prop-phi4-polymer-representation" /> |
| (V.A.10)（証明は [R1-2] に委ねられている） | <Ref to="lem-derivation-expansion" />、<Ref to="lem-gaussian-local-factorial-single" />、<Ref to="lem-volume-single" />、<Ref to="lem-tree-sum-single" />、<Ref to="thm-phi4-polymer-bound" /> |
| (V.B.1)–(V.B.6) | <Ref to="prop-mayer-tree-formula" /> |
| 圧力の存在（「できる」とだけ書かれている） | <Ref to="cor-pressure-exists" /> |
| Theorem V.C.1 と Lemma V.C.1 | <Ref to="thm-log-z-nice-jungle" />、<Ref to="lem-nice-jungle-count" />、<Ref to="lem-nice-jungle-bijection" /> |
| Theorem V.C.2 と直後の段落 | <Ref to="thm-phi4-log-z-jungle" />、<Ref to="prop-pressure-jungle-series" /> |
| (V.D.1)–(V.D.2) | <Ref to="prop-resolvent-forest" /> |
| (V.E.1)–(V.E.4) | <Ref to="prop-large-small-field-jungle" /> |
| (V.F.1)–(V.F.7) | <Ref to="prop-smooth-localization" /> |

（この章の続きは購入者向けです。）
