# 数と式：実数の性質と式の計算を公理から組み立てる

> 実数の計算規則・絶対値の三角不等式・平方根の存在を順序体の公理と連続性公理から導き、二重根号が外れる条件や無理数の判定まで、高校の「数と式」を証明つきで整理する。
> https://rikai.mugen-giken.com/mathematics/hs-algebra/numbers-and-expressions

## 0. この記事の要点

中学で「マイナスかけるマイナスはプラス」「負の数をかけると不等号の向きが変わる」と習いましたが、なぜそうなるのかは説明されなかったかもしれません。この記事は、そうした計算の約束事が、ごく少ない出発点（公理）から順に導けることを確かめます。読み終えると、計算規則がどんなときに使えるのかを、暗記ではなく理由つきで言えるようになります。

- 高校の「数と式」で使う計算規則（$(-1)\times(-1)=1$、不等式の両辺に負の数をかけると向きが変わる、など）は、**[順序体](/mathematics/foundations/what-is-a-number#def-ordered-field)の公理**（足し算・かけ算・大小関係についての基本的な約束）から一つずつ導けます。この記事では、どの公理を使ったかを明示しながら導きます。
- 絶対値は場合分けで定義しますが、性質（積、**三角不等式**、$|x|<r \iff -r<x<r$）はすべて場合分けと順序の公理だけで証明できます。
- 正の数の平方根は、**[連続性公理](/mathematics/foundations/what-is-a-number#ax-completeness)**（数直線に隙間がないことを表す公理）と、それから導かれる中間値の定理（連続な関数は途中の値をすべてとる、という定理）によって存在と一意性が保証されます。$\sqrt{a+b}\ne\sqrt a+\sqrt b$ のような典型的な誤りは、平方根の単調性から一行で説明がつきます。
- 二重根号 $\sqrt{a+2\sqrt b}$ が $\sqrt x+\sqrt y$ の形に外れるのは、$a^2-4b$ が有理数の平方になるとき、かつそのときに限ります（$\sqrt b$ が無理数のとき）。「足して $a$、かけて $b$ になる 2 数」を探す手順の根拠がこれです。
- $\sqrt2+\sqrt3$ のような和の無理性は、「有理数なら差も有理数になる」という一手で示せます。
- 条件の必要・十分は、真理集合（その条件を満たす数を集めた集合）の包含関係として読み替えられます。大学では実数の構成（解析学）、体と多項式環（代数学）へ続きます。

<Aside type="tip" title="この記事で使う事前知識">

- **順序体**: 足し算・かけ算ができ、大小関係が決まっている数の集まりで、計算と大小が矛盾なく結びつくもの。→ [順序体](/mathematics/foundations/what-is-a-number#def-ordered-field)
- **実数の連続性公理**: 数直線に隙間がなく、有理数だけでは足りない点まで実数が埋めている、ということを表す公理。→ [実数の連続性公理](/mathematics/foundations/what-is-a-number#ax-completeness)
- **可換環**: 足し算・引き算・かけ算が結合法則・交換法則・分配法則を満たす数の集まり。→ [可換環](/mathematics/algebra/rings-and-fields#def-commutative-ring)
- **必要条件と十分条件**: 「$P$ ならば $Q$」が成り立つとき、$P$ は $Q$ の十分条件、$Q$ は $P$ の必要条件という。→ [必要条件と十分条件](/mathematics/foundations/sets-and-logic#def-necessary-sufficient)

</Aside>

## 1. 動機：計算規則はどこまで「認めて」よいのか

高校の数学は、「負の数どうしの積は正」「分数は通分して計算する」「$\sqrt{a^2}=a$ ではなく $|a|$」といった規則を、ほとんど当然のものとして使います。ところが、規則の一つ一つには理由があり、その理由を知らないと間違いが起こります。たとえば次の「計算」は、どこがおかしいでしょうか。

$$
\sqrt{(-3)^2} = (\sqrt{-3})^2 = -3 \quad ???
$$

あるいは、不等式 $x^2 > 2x$ の両辺を $x$ で割って $x>2$ と結論する誤り。割った数 $x$ の符号がわからなければ、不等式の向きは決まりません。こうした誤りは、規則の適用条件を知らないことから生じます。

この記事では、数の計算規則を「**順序体の公理**（[数とは何か？](/mathematics/foundations/what-is-a-number) の <Ref to="mathematics/foundations/what-is-a-number#def-ordered-field" text="順序体" />）」から導く練習をします。公理は体の公理 5 つと順序の公理 4 つだけです。高校でよく使う規則はその帰結であり、証明は 2〜3 行で済むものがほとんどです。「公理から導ける」と知っておくと、規則が成り立つ範囲（たとえば「負の数をかけると向きが変わる」の「負」）が、暗記ではなく理解になります。

さらに、公理からは出てこない事実もあります。$x^2=2$ を満たす数が存在するかどうかは、順序体の公理だけでは決まりません（有理数全体も順序体です）。存在を保証するのが**連続性公理**で、この記事の平方根の節で使います。出発点はすべて foundations の公理で、この記事は新しい公理を追加しません。

記事の流れは次のとおりです。節 2 で数の体系と計算規則、節 3 で絶対値、節 4 で平方根、節 5 で式の展開・因数分解、節 6 で無理数と二重根号、節 7 で条件の言い換え、節 8 で大学への接続を述べます。

## 2. 数の体系と実数の計算規則

<Definition id="def-number-systems" title="数の体系">
自然数全体を $\mathbb{N}=\{1,2,3,\ldots\}$、整数全体を $\mathbb{Z}$、有理数全体を $\mathbb{Q}=\{p/q \mid p,q\in\mathbb{Z},\ q\ne0\}$、実数全体を $\mathbb{R}$ と書く。実数のうち有理数でないものを**無理数**という。

$\mathbb{R}$ は順序体の公理（<Ref to="mathematics/foundations/what-is-a-number#def-ordered-field" text="順序体" />）に加えて、**連続性公理**（<Ref to="mathematics/foundations/what-is-a-number#ax-completeness" text="実数の連続性公理" />）を満たす。包含関係 $\mathbb{N}\subset\mathbb{Z}\subset\mathbb{Q}\subset\mathbb{R}$ があり、$\mathbb{Q}$ も順序体だが連続性公理は満たさない。
</Definition>

<Figure caption="数の体系の包含関係（高校数学ではさらに複素数を加える）">
<svg viewBox="0 0 360 150" width="100%" role="img" aria-label="自然数、整数、有理数、実数の入れ子の楕円" stroke="currentColor" fill="none" stroke-width="1.5">
<ellipse cx="180" cy="75" rx="170" ry="68"/>
<ellipse cx="150" cy="75" rx="120" ry="52"/>
<ellipse cx="120" cy="75" rx="76" ry="38"/>
<ellipse cx="96" cy="75" rx="40" ry="22"/>
<text x="96" y="80" text-anchor="middle" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">ℕ</text>
<text x="146" y="80" text-anchor="middle" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">ℤ</text>
<text x="228" y="80" text-anchor="middle" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">ℚ</text>
<text x="310" y="80" text-anchor="middle" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">ℝ</text>
</svg>
</Figure>

以下の計算規則は、$\mathbb{R}$ に限らず任意の順序体 $K$ で成り立ちます。証明が使うのは公理だけです（公理の番号は <Ref to="mathematics/foundations/what-is-a-number#def-ordered-field" text="順序体" /> の 1〜9）。

<Proposition id="prop-real-rules" title="実数の計算規則">
$a,b,c$ を順序体の元とする。

1. $(-a)b=-(ab)$、$(-a)(-b)=ab$。
2. $ab=0$ ならば $a=0$ または $b=0$。
3. $a\ne0$ ならば $a^2>0$。とくに $1>0$。
4. $a<b$ かつ $c<0$ ならば $ac>bc$（負の数をかけると不等号の向きが変わる）。
5. $0<a<b$ ならば $0<b^{-1}<a^{-1}$。
6. $a\ge0,\ b\ge0$ のとき、$a<b \iff a^2<b^2$。
</Proposition>

次の証明は、「公理に書いてあることだけを使って、なじみのある規則を一つずつ確かめる」ことが目的です。まず準備として、逆元（足して 0 になる数）が一つしかないことなどを確かめ、それを (1)〜(6) で使います。公理の番号は、リンク先の順序体の定義にある 1〜9 の番号です。(1) から順に、前の結果を後ろで使う流れになっています。

<Proof of="prop-real-rules">
**準備（逆元の一意性）。** $x+y=0$ かつ $x+z=0$ ならば $y=z$ です。実際、$y=y+0=y+(x+z)=(y+x)+z=0+z=z$ であり、結合法則と交換法則（公理 1）と単位元（公理 2）しか使っていません。したがって $x+y=0$ なら $y=-x$ です。とくに $-(-x)=x$ です（$(-x)+x=0$ だから）。また、$0<x$ かつ $0<y$ なら $0<xy$ です（公理 9 を $0<y$ と $c=x$ に使うと $0\cdot x<yx$ で、$0\cdot x=0$ は <Ref to="mathematics/foundations/what-is-a-number#prop-division" text="一次方程式の可解性" /> (1)）。以下 (1)〜(6) では、これらを断りなく使います。

**(1)** $ab+(-a)b=(a+(-a))b=0\cdot b=0$ です（分配法則と、$0\cdot b=0$ は <Ref to="mathematics/foundations/what-is-a-number#prop-division" text="一次方程式の可解性" /> (1)）。したがって準備により $(-a)b=-(ab)$。同様に $(-a)(-b)=-(a(-b))=-(-(ab))=ab$。

**(2)** $ab=0$ かつ $a\ne0$ とします。$b=(a^{-1}a)b=a^{-1}(ab)=a^{-1}\cdot0=0$。

**(3)** $0<a$ なら、公理 9 を $0<a$ と $c=a$ に使って $0\cdot a<a\cdot a$、すなわち $0<a^2$。$a<0$ なら、公理 8 で両辺に $-a$ を加えて $0<-a$。この $-a$ に前半を使うと $0<(-a)(-a)=a^2$（(1)）。$1\ne0$（公理 4）なので $1=1^2>0$。

**(4)** $c<0$ より $0<-c$。公理 9 から $a(-c)<b(-c)$、すなわち (1) により $-(ac)<-(bc)$。両辺に $ac+bc$ を加える（公理 8）と $bc<ac$ です。

**(5)** まず $0<a$ なら $0<a^{-1}$ です。$a^{-1}\ne0$（$a\cdot0=0\ne1$）なので、$a^{-1}<0$ と仮定すると $0<-a^{-1}$ で、公理 9 より $0<a(-a^{-1})=-(aa^{-1})=-1$。しかし (3) より $1>0$ なので、$-1<0$ となり矛盾します。よって $0<a^{-1}$、同様に $0<b^{-1}$。積 $a^{-1}b^{-1}>0$ を $a<b$ の両辺にかける（公理 9）と $b^{-1}<a^{-1}$ を得ます。

**(6)** $0\le a<b$ のとき、$b>0$ なので $b+a>0$、$b-a>0$。したがって $b^2-a^2=(b-a)(b+a)>0$（積が正になることは公理 9 から $0<xy$、$0<x,\ 0<y$）。逆に $a^2<b^2$ で $a<b$ が成り立たないとすると、公理 6 により $b\le a$。すると、前半（$b=a$ のときは自明）から $b^2\le a^2$ となり、$a^2<b^2$ と矛盾します。
</Proof>

(4) は不等式の「向き」を決める規則です。冒頭の例では、$x^2>2x$ の両辺を $x$ で割るとき、$x>0$ なら $x>2$、$x<0$ なら向きが変わって $x<2$ となります。実際には $x(x-2)>0$ として、$x>2$ または $x<0$ と答えます。

## 3. 絶対値と三角不等式

<Definition id="def-abs" title="絶対値">
実数 $a$ に対し、$a\ge0$ のとき $|a|=a$、$a<0$ のとき $|a|=-a$ と定める。
</Definition>

<Theorem id="thm-abs-triangle" title="絶対値の性質と三角不等式">
実数 $a,b$ と $r>0$ について、次が成り立つ。

1. $|a|\ge0$。$|a|=0$ となるのは $a=0$ のときに限る。
2. $-|a|\le a\le|a|$。
3. $|ab|=|a||b|$。とくに $|-a|=|a|$。
4. （三角不等式）$|a+b|\le|a|+|b|$。
5. $\bigl||a|-|b|\bigr|\le|a-b|$。
6. $|x|<r \iff -r<x<r$。同様に $|x|\le r\iff -r\le x\le r$。
</Theorem>

<Proof of="thm-abs-triangle">
**(1)** $a\ge0$ なら $|a|=a\ge0$、$a<0$ なら $|a|=-a>0$（公理 8）。$|a|=0$ なら、$a\ge0$ の場合は $a=0$、$a<0$ の場合は $-a>0$ で矛盾なので $a=0$。逆は明らか。

**(2)** $a\ge0$ のとき $|a|=a$ で、$-a\le0\le a$。$a<0$ のとき $|a|=-a$ で、$a<0<-a$。どちらも主張の不等式が成り立ちます。

**(3)** $a,b$ の符号で 4 通りに場合分けします。$a,b\ge0$ なら $ab\ge0$ で両辺とも $ab$。$a\ge0>b$ なら $ab\le0$ で、<Ref to="prop-real-rules" /> (1) により $|ab|=-(ab)=a(-b)=|a||b|$。$a<0\le b$ も同様。$a,b<0$ なら $ab=(-a)(-b)>0$ で $|ab|=ab=|a||b|$。$|-a|=|-1||a|=|a|$ です。

**(4)** $a+b\ge0$ のとき $|a+b|=a+b\le|a|+|b|$（(2) を足す）。$a+b<0$ のとき $|a+b|=(-a)+(-b)\le|a|+|b|$（(2) から $-a\le|a|$、$-b\le|b|$）。

**(5)** $|a|=|(a-b)+b|\le|a-b|+|b|$ より $|a|-|b|\le|a-b|$。$a,b$ を入れ替えて $|b|-|a|\le|b-a|=|a-b|$。$\bigl||a|-|b|\bigr|$ はこの 2 数のどちらかに等しいので、主張が従います。

**(6)** $x\ge0$ のとき $|x|<r$ は $x<r$ と同値で、このとき $-r<0\le x$ も成り立ちます。$x<0$ のとき $|x|<r$ は $-x<r$、すなわち $-r<x$ と同値で、このとき $x<0<r$ も成り立ちます。逆に $-r<x<r$ とすると、$x\ge0$ なら $|x|=x<r$、$x<0$ なら $|x|=-x<r$ です。$\le$ の場合も同じです。
</Proof>

(6) は「数直線上で原点からの距離が $r$ 未満」という図形的な意味の翻訳です。$|x-a|<r$ は $a-r<x<a+r$ と同じで、これは次章以降の「近さ」の言葉です。

<Figure caption="原点から距離 r 未満の区間と、a から距離 r 未満の区間（白丸は端点を含まない）">
<svg viewBox="0 0 360 150" width="100%" role="img" aria-label="数直線上で、原点を中心とする幅2rの区間と、aを中心とする幅2rの区間" stroke="currentColor" fill="none" stroke-width="1.5">
<text x="10" y="18" text-anchor="start" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">|x| &lt; r</text>
<line x1="10" y1="45" x2="350" y2="45"/>
<line x1="80" y1="45" x2="280" y2="45" stroke-width="5"/>
<circle cx="80" cy="45" r="4" fill="var(--sl-color-bg)"/>
<circle cx="280" cy="45" r="4" fill="var(--sl-color-bg)"/>
<line x1="180" y1="40" x2="180" y2="50"/>
<text x="80" y="68" text-anchor="middle" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">−r</text>
<text x="180" y="68" text-anchor="middle" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">0</text>
<text x="280" y="68" text-anchor="middle" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">r</text>
<text x="10" y="95" text-anchor="start" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">|x − a| &lt; r</text>
<line x1="10" y1="120" x2="350" y2="120"/>
<line x1="80" y1="120" x2="280" y2="120" stroke-width="5"/>
<circle cx="80" cy="120" r="4" fill="var(--sl-color-bg)"/>
<circle cx="280" cy="120" r="4" fill="var(--sl-color-bg)"/>
<line x1="180" y1="115" x2="180" y2="125"/>
<text x="80" y="143" text-anchor="middle" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">a−r</text>
<text x="180" y="143" text-anchor="middle" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">a</text>
<text x="280" y="143" text-anchor="middle" fill="currentColor" stroke="none" font-size="13">a+r</text>
</svg>
</Figure>

<Example id="ex-abs-equation" title="絶対値を含む方程式">
方程式 $|x-1|=2x$ を解く。$x\ge1$ なら $x-1=2x$ より $x=-1$ ですが、$x\ge1$ に反します。$x<1$ なら $1-x=2x$ より $x=1/3$ で、$x<1$ を満たします。確かめると $|1/3-1|=2/3=2\cdot(1/3)$ です。解は $x=1/3$ だけです。場合分けで出た解が場合分けの条件を満たすかを必ず確かめる、という点が要です。
</Example>

## 4. 平方根

<Proposition id="prop-sqrt-rules" title="平方根の存在と計算規則">
$a\ge0$ とする。$b^2=a$ を満たす $b\ge0$ がただ一つ存在する。これを $\sqrt a$ と書く。さらに次が成り立つ。

1. すべての実数 $x$ について $\sqrt{x^2}=|x|$。
2. $a,b\ge0$ なら $\sqrt{ab}=\sqrt a\sqrt b$。$b>0$ なら $\sqrt{a/b}=\sqrt a/\sqrt b$。
3. $0\le a<b$ ならば $\sqrt a<\sqrt b$。
4. $a,b\ge0$ なら $\sqrt{a+b}\le\sqrt a+\sqrt b$。等号は $ab=0$ のときに限る。
</Proposition>

存在の証明の考え方は次のとおりです。関数 $x^2$ は $x=0$ のとき $0$ で $a$ 以下、$x=a+1$ のとき $a$ より大きいので、その間のどこかでちょうど $a$ になるはずです。この「途中の値をとる」ことを保証するのが中間値の定理です。(1)〜(4) は、存在と一意性が分かれば、2 乗して比べる計算だけで示せます。

<Proof of="prop-sqrt-rules">
**存在。** $f(x)=x^2$ は連続です（<Ref to="mathematics/calculus/limits-and-continuity#cor-polynomial" text="多項式関数の連続性" />）。区間 $[0,a+1]$ で $f(0)=0\le a$、$f(a+1)=(a+1)^2\ge a+1>a$ なので、$a$ は $f(0)$ と $f(a+1)$ の間にあり、<Ref to="mathematics/calculus/limits-and-continuity#thm-ivt" text="中間値の定理" /> により $b\in[0,a+1]$ で $b^2=a$ となるものがあります。
**一意性。** $b,c\ge0$ で $b^2=c^2=a$ とします。$b\ne c$ なら一方が大きく、<Ref to="prop-real-rules" /> (6) より $b^2\ne c^2$ で矛盾。

**(1)** $|x|\ge0$ かつ $|x|^2=x^2$（<Ref to="thm-abs-triangle" /> (3)）。一意性により $\sqrt{x^2}=|x|$。
**(2)** $(\sqrt a\sqrt b)^2=ab$ で $\sqrt a\sqrt b\ge0$ なので、一意性により $\sqrt{ab}=\sqrt a\sqrt b$。商も同様（$(\sqrt a/\sqrt b)^2=a/b$）。
**(3)** $\sqrt a\ge\sqrt b$ なら <Ref to="prop-real-rules" /> (6) の対偶より $a\ge b$、矛盾。
**(4)** $(\sqrt a+\sqrt b)^2=a+b+2\sqrt a\sqrt b\ge a+b=(\sqrt{a+b})^2$。両辺が非負なので、<Ref to="prop-real-rules" /> (6) により $\sqrt{a+b}\le\sqrt a+\sqrt b$。等号は $2\sqrt a\sqrt b=0$、すなわち $\sqrt{ab}=0$、$ab=0$ のときに限ります。
</Proof>

(1) が冒頭の誤りの原因です。$\sqrt{(-3)^2}=|-3|=3$ であって $-3$ ではありません。$\sqrt{-3}$ はそもそも実数にならないので、$(\sqrt{-3})^2$ は実数の範囲では意味を持ちません。

<Aside type="note">
**高校での説明。** 教科書では「$a>0$ のとき、2 乗して $a$ になる正の数を $\sqrt a$ と書く」と導入し、存在は自明のように扱います。ここでは存在を中間値の定理に預けました。中間値の定理は連続性公理から証明されます。したがって平方根の存在は、有理数の世界にはない実数の性質（連続性）の最初の現れです。
</Aside>

<Proposition id="prop-rationalize" title="分母の有理化">
有理数 $p,q,r,s$ と平方数でない正の整数 $n$ について、$p+q\sqrt n\ne0$（ $p^2\ne q^2n$ と同値）のとき
$$
\frac{1}{p+q\sqrt n}=\frac{p-q\sqrt n}{p^2-q^2n}
$$
であり、右辺の分母は $0$ でない有理数である。したがって $\mathbb{Q}(\sqrt n)=\{p+q\sqrt n\}$ の 0 でない元の逆数はまた同じ形をとる。
</Proposition>

<Proof of="prop-rationalize">
$(p+q\sqrt n)(p-q\sqrt n)=p^2-q^2(\sqrt n)^2=p^2-q^2n$ です。$\sqrt n$ は無理数（<Ref to="mathematics/foundations/proof-techniques#cor-sqrt-nonsquare" text="平方数でない自然数の平方根" />）なので、$p^2-q^2n=0$ なら $q\ne0$ のとき $\sqrt n=\pm p/q$ が有理数となって矛盾。$q=0$ なら $p=0$。よって $p+q\sqrt n\ne0$ の場合に $p^2-q^2n\ne0$ です。両辺に分母 $p+q\sqrt n$ と $p^2-q^2n$ をかけて等しいことを確かめれば等式が従います。
</Proof>

## 5. 展開と因数分解の公式

展開・因数分解の公式は、可換環の計算規則（結合法則・交換法則・分配法則）だけから導けます。ここで「[可換環](/mathematics/algebra/rings-and-fields#def-commutative-ring)の計算規則」とは、<Ref to="mathematics/foundations/what-is-a-number#def-ordered-field" text="順序体" /> の体の公理 1〜5 から、乗法の逆元（公理 4 の後半）を除いたものです。以下の恒等式は、$a,b,c$ が実数（あるいは文字式）であれば成り立ちます。

<Proposition id="prop-factor-formulas" title="因数分解の公式">
$n$ を自然数、$a,b,c$ を実数とする。証明は可換環の計算規則しか使わないので、$a,b,c$ が複素数や多項式（文字式）であっても同じ等式が成り立つ。

1. $a^n-b^n=(a-b)\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}a^{\,n-1-k}b^{k}$。
2. $n$ が奇数のとき、$a^n+b^n=(a+b)\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}(-1)^{k}a^{\,n-1-k}b^{k}$。
3. $a^3+b^3+c^3-3abc=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)=\dfrac12(a+b+c)\bigl((a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2\bigr)$。
4. $(a+b+c)^2=a^2+b^2+c^2+2(ab+bc+ca)$、$(a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3$。
</Proposition>

(1) は $n=3$ なら $a^3-b^3=(a-b)(a^2+ab+b^2)$ です。右辺を展開すると $a^3+a^2b+ab^2-a^2b-ab^2-b^3$ となり、間の項が打ち消しあって $a^3-b^3$ だけが残ります。次の証明は、この「間の項が打ち消しあう」様子を、一般の $n$ で和の記号を使って書いたものです。

<Proof of="prop-factor-formulas">
**(1)** 右辺を分配法則で展開すると
$$
\sum_{k=0}^{n-1}a^{\,n-k}b^{k}-\sum_{k=0}^{n-1}a^{\,n-1-k}b^{k+1}
$$
で、第 2 の和の添字を $k+1\to j$ と読み替えると $\sum_{j=1}^{n}a^{\,n-j}b^{j}$ です。2 つの和は $k=1,\dots,n-1$ の項が打ち消しあい、残るのは第 1 の和の $k=0$ の項 $a^n$ と、第 2 の和の $j=n$ の項 $-b^n$ だけです。
**(2)** (1) の $b$ を $-b$ に置き換え、$n$ が奇数なので $(-b)^n=-b^n$ を使い、$a-(-b)=a+b$、$(-b)^k=(-1)^kb^k$ とすれば従います。
**(3)** 第 1 の等号は、$a,b,c$ をそれぞれ第 2 因子にかけて足します。
$$
\begin{aligned}
a(\cdots)&=a^3+ab^2+ac^2-a^2b-abc-a^2c,\\
b(\cdots)&=a^2b+b^3+bc^2-ab^2-b^2c-abc,\\
c(\cdots)&=a^2c+b^2c+c^3-abc-bc^2-ac^2.
\end{aligned}
$$
和では $ab^2,\ ac^2,\ a^2b,\ a^2c,\ bc^2,\ b^2c$ の項が 2 つずつ打ち消しあい、$a^3+b^3+c^3-3abc$ が残ります。第 2 の等号は $(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2=2(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)$ から従います。
**(4)** 分配法則による展開です。
</Proof>

<Corollary id="cor-three-var-amgm" title="3 変数の相加相乗平均（予告）">
$a,b,c\ge0$ ならば $a^3+b^3+c^3\ge3abc$。等号は $a=b=c$ のときに限る。
</Corollary>

<Proof of="cor-three-var-amgm">
<Ref to="prop-factor-formulas" /> (3) の第 2 の形で、$a+b+c\ge0$ であり、$(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2\ge0$（実数の平方は 0 以上、<Ref to="prop-real-rules" /> (3)）なので積は $0$ 以上です。等号なら $a+b+c=0$（このとき $a=b=c=0$）か、3 つの平方がすべて $0$（このとき $a=b=c$）のいずれかで、どちらも $a=b=c$ です。逆に $a=b=c$ なら両辺は $3a^3$ で等しい。
</Proof>

この系の $a,b,c$ を $\sqrt[3]{x},\sqrt[3]{y},\sqrt[3]{z}$ とすると、3 数の相加平均が相乗平均以上であるという形になります。一般の $n$ 変数は[式と証明：恒等式と不等式](/mathematics/hs-algebra/identities-and-inequalities)で扱います。

<Example id="ex-long-multiplication" title="筆算は分配法則の記録">
$47\times23$ の筆算は $(40+7)(20+3)=40\cdot20+40\cdot3+7\cdot20+7\cdot3=800+120+140+21=1081$ の記録です。繰り上がりは、$10$ の冪を係数にもつ「$10$ 進法の展開式」を整理する操作です。同じ計算を $x=10$ の多項式 $(4x+7)(2x+3)=8x^2+26x+21$ として行うと、係数 $26$ と $21$ が計算の途中結果で、$x=10$ を代入して繰り上げれば $800+260+21=1081$ となります。多項式の積は係数の「畳み込み」であり、整数の乗法はその $x=10$ での値です。
</Example>

<Example id="ex-sqrt-algorithm" title="開平法が正しい理由">
$\sqrt2$ の小数展開を桁ごとに求める開平法は、「$k$ 桁目までの小数のうち、2 乗が $2$ を超えない最大のもの」を順に決める操作です。これが $\sqrt2$ の $k$ 桁への切り捨てを与えるのは、<Ref to="prop-sqrt-rules" /> (3) により $x^2\le2\iff x\le\sqrt2$（$x\ge0$）だからです。
たとえば $x=1$ から始め、次の桁 $d$ を $(1+0.1d)^2=1+0.2d+0.01d^2\le2$ から決めます。$d=4$ で $1.96$、$d=5$ で $2.25$ なので $d=4$、すなわち $1.4$。次は $(1.4+0.01d)^2=1.96+0.028d+0.0001d^2\le2$ で、$d=1$ のとき $1.9881$、$d=2$ のとき $2.0164$ となるので $d=1$ で $1.41$ です。展開 $(x+dh)^2=x^2+2xdh+d^2h^2$ の第 2 項 $2xdh$ が、教科書の開平法の筆算で現れる「倍にして次の桁を並べる」操作の正体です。
</Example>

## 6. 無理数と二重根号

<Proposition id="prop-irrational-sums" title="平方根の和の無理性">
$m,n$ を正の整数とする。$\sqrt m+\sqrt n$ が有理数ならば、$m$ も $n$ も平方数である。したがって、たとえば $\sqrt2+\sqrt3$ は無理数である。
</Proposition>

<Proof of="prop-irrational-sums">
$s=\sqrt m+\sqrt n$ が有理数だとします。$s>0$ で、$(\sqrt m+\sqrt n)(\sqrt m-\sqrt n)=m-n$ ですから $\sqrt m-\sqrt n=(m-n)/s$ も有理数です。有理数の和・差・商は有理数なので
$$
\sqrt m=\frac12\Bigl(s+\frac{m-n}{s}\Bigr),\qquad \sqrt n=\frac12\Bigl(s-\frac{m-n}{s}\Bigr)
$$
は有理数です。<Ref to="mathematics/foundations/proof-techniques#cor-sqrt-nonsquare" text="平方数でない自然数の平方根" /> の対偶により、$m$ と $n$ は平方数でなければなりません。$2$ と $3$ はどちらも平方数でないので、$\sqrt2+\sqrt3$ は無理数です。
</Proof>

「有理数なら、そこから作った別の量も有理数」という議論は、無理性の証明の標準形です。有理数が四則で閉じていること（体であること）しか使っていません。

<Theorem id="thm-double-radical" title="二重根号が外れる条件">
$a,b$ を正の有理数とし、$b$ は有理数の平方でない（すなわち $\sqrt b$ は無理数）とする。このとき、正の有理数 $x,y$ で
$$
\sqrt{a+2\sqrt b}=\sqrt x+\sqrt y
$$
となるものが存在するための必要十分条件は、$a^2-4b$ が有理数の平方になることである。このとき $x,y=\dfrac{a\pm\sqrt{a^2-4b}}{2}$ であり、$x+y=a$、$xy=b$ が成り立つ。
</Theorem>

証明は 2 方向に分かれます。「十分性」は、条件が成り立つなら実際に $x,y$ を作って 2 乗で確かめる向きです。「必要性」は、外れたと仮定して 2 乗を繰り返し、$\sqrt b$ が無理数であることを使って $x+y=a$、$xy=b$ を引き出す向きです。必要性では「有理数どうしの計算結果は有理数」という事実を何度も使うので、どの量が有理数かに注意して読んでください。

<Proof of="thm-double-radical">
**十分性。** $a^2-4b=s^2$ （$s\ge0$ は有理数）とします。$x=(a+s)/2$、$y=(a-s)/2$ は有理数で、$x+y=a$、$xy=(a^2-s^2)/4=b$ です。$s^2=a^2-4b<a^2$ で $a>0$、$s\ge0$ なので、<Ref to="prop-real-rules" /> (6) より $s<a$、したがって $y>0$、$x>0$ です。このとき
$$
(\sqrt x+\sqrt y)^2=x+y+2\sqrt x\sqrt y=a+2\sqrt{xy}=a+2\sqrt b
$$
（<Ref to="prop-sqrt-rules" /> (2) を使用）で、$\sqrt x+\sqrt y>0$ なので、平方根の一意性（<Ref to="prop-sqrt-rules" />）により $\sqrt{a+2\sqrt b}=\sqrt x+\sqrt y$ です。

**必要性。** $\sqrt{a+2\sqrt b}=\sqrt x+\sqrt y$ とします。両辺を 2 乗して $a+2\sqrt b=x+y+2\sqrt{xy}$。$r=a-x-y$（有理数）とおくと $2\sqrt{xy}=2\sqrt b+r$ です。両辺を 2 乗して $4xy=4b+4r\sqrt b+r^2$、すなわち $r\sqrt b=xy-b-r^2/4$ の右辺は有理数です。$r\ne0$ なら $\sqrt b$ が有理数となり仮定に反するので、$r=0$。すると $x+y=a$ かつ $\sqrt{xy}=\sqrt b$、すなわち $xy=b$ です。ゆえに $a^2-4b=(x+y)^2-4xy=(x-y)^2$ は有理数の平方です。さらに $s=\sqrt{a^2-4b}$ とおくと $x-y=\pm s$ なので、$x+y=a$ と合わせて $\{x,y\}=\bigl\{\tfrac{a+s}2,\tfrac{a-s}2\bigr\}$ となり、主張の $x,y$ の値も従います。
</Proof>

$\sqrt{a+2\sqrt b}=\sqrt x+\sqrt y$ の探し方「足して $a$、かけて $b$ になる 2 数を見つける」は、$x,y$ が方程式 $t^2-at+b=0$ の 2 解であることにほかなりません。その解が有理数になる条件が判別式 $a^2-4b$ の平方性です（判別式は[2 次関数](/mathematics/hs-algebra/quadratic-functions)で扱います）。

<Example id="ex-double-radical" title="外れる例と外れない例">
$\sqrt{5+2\sqrt6}$ は $a=5,\ b=6$ で $a^2-4b=1=1^2$ なので外れ、$x,y=(5\pm1)/2=3,2$、よって $\sqrt{5+2\sqrt6}=\sqrt3+\sqrt2$。検算 $(\sqrt3+\sqrt2)^2=5+2\sqrt6$ ✓。
$\sqrt{5+2\sqrt5}$ は $a=5,\ b=5$ で $a^2-4b=5$ が有理数の平方でないので、**どんな正の有理数 $x,y$ をとっても** $\sqrt x+\sqrt y$ の形には書けません。外れない二重根号が存在することを、定理が保証しています。「$x,y$ は有理数」という条件が要で、実数まで許せば、$\sqrt{5+2\sqrt5}=\sqrt x+\sqrt y$ を満たす $x,y$ は（方程式 $t^2-5t+5=0$ の 2 解として）存在しますが、それは根号の中にさらに根号が入った数であり、二重根号が外れたことにはなりません。
</Example>

<Example id="ex-proportion" title="比例式の計算">
$a:b=c:d$ のとき $a=kb$、$c=kd$（$k=a/b=c/d$）とおけます。したがって $b,d,b+d\ne0$ のもとで $(a+c)/(b+d)=k(b+d)/(b+d)=k$、つまり $\dfrac{a}{b}=\dfrac{c}{d}=\dfrac{a+c}{b+d}$（加比の理）です。$b+d=0$ のときは右辺が意味を持たない点に注意してください。
</Example>

## 7. 条件と真理集合：必要条件・十分条件の言い換え

数学の問題で現れる「[必要条件](/mathematics/foundations/sets-and-logic#def-necessary-sufficient)」「十分条件」「必要十分条件」は、述語の真理集合（その条件を満たすものを全部集めた集合）どうしの包含関係（一方が他方に含まれること）として読めます。

<Proposition id="prop-condition-set" title="必要条件・十分条件と真理集合">
$X$ を集合、$P,Q$ を $X$ 上の条件とし、$[P]=\{x\in X\mid P(x)\}$ とする。次は同値である。

1. すべての $x\in X$ について $P(x)\Rightarrow Q(x)$ が成り立つ（$P$ は $Q$ の十分条件）。
2. $[P]\subseteq[Q]$。
3. $[\lnot Q]\subseteq[\lnot P]$。

また「すべての $x$ について $P(x)\iff Q(x)$」は $[P]=[Q]$ と同値である。
</Proposition>

<Proof of="prop-condition-set">
(1) と (2) の同値は <Ref to="mathematics/foundations/sets-and-logic#prop-truth-set" text="真理集合と論理の対応" /> (1) です。(2) と (3) の同値は、いま示した (1) と (2) の同値を条件 $\lnot Q,\lnot P$ に適用すると、(3) が「すべての $x$ で $\lnot Q(x)\Rightarrow\lnot P(x)$」と同値になり、各 $x$ について対偶の同値性（<Ref to="mathematics/foundations/proof-techniques#prop-contraposition" text="対偶の同値性" />）により $\lnot Q(x)\Rightarrow\lnot P(x)$ と $P(x)\Rightarrow Q(x)$ が同値だからです。最後の主張は、$P\iff Q$ が $P\Rightarrow Q$ と $Q\Rightarrow P$ の連言（<Ref to="mathematics/foundations/sets-and-logic#def-necessary-sufficient" text="必要条件と十分条件" />）で、(1)(2) により $[P]\subseteq[Q]$ かつ $[Q]\subseteq[P]$ と同値、すなわち $[P]=[Q]$ だからです。
</Proof>

<Example id="ex-necessary-sufficient" title="包含関係で判定する">
実数 $x$ について、$P$：$x>2$、$Q$：$x^2>4$ とします。$[P]=(2,\infty)$、$[Q]=(-\infty,-2)\cup(2,\infty)$ なので $[P]\subsetneq[Q]$ です。したがって $P$ は $Q$ の十分条件ですが必要条件ではありません。「小さい集合が十分条件」と覚えると、向きを間違えません。また、「$x\ne0$ かつ $y\ne0$」の否定は「$x=0$ または $y=0$」で、これは<Ref to="mathematics/foundations/sets-and-logic#thm-demorgan" text="ド・モルガンの法則" /> の言い換えです。
</Example>

## 8. 大学ではどこへ続くか

この記事で証明したことのほとんどは、大学では一段階抽象化されて再登場します。実数の計算規則と絶対値の三角不等式は、[数とは何か？](/mathematics/foundations/what-is-a-number) の順序体の公理と、解析学の距離空間の三角不等式へ。平方根の存在は連続性公理の最初の応用で、実数の構成と完備性は解析学（real-analysis）で本格的に扱われます。展開・因数分解の公式は、可換環と多項式環（algebra）の計算規則であり、$\mathbb{Q}(\sqrt n)$ は代数学の「2 次体」（有理数に $\sqrt n$ を付け加えてできる数の集まり）という最初の例です。二重根号の定理は、2 次体 $\mathbb{Q}(\sqrt b)$ の中で $\sqrt{a+2\sqrt b}$ が 2 次体 $\mathbb{Q}(\sqrt x,\sqrt y)$ に入るかどうかという、体の拡大の問題です。条件の言い換えは、集合と論理の入口でもあります。

## 9. 演習

<Exercise id="exr-double-radical" difficulty="易">
$\sqrt{8+2\sqrt{15}}$ を $\sqrt x+\sqrt y$ の形に書き直せ。
<Solution>
$a=8,\ b=15$。$a^2-4b=64-60=4=2^2$ なので <Ref to="thm-double-radical" /> が適用でき、$x,y=(8\pm2)/2=5,3$。よって $\sqrt{8+2\sqrt{15}}=\sqrt5+\sqrt3$。検算 $(\sqrt5+\sqrt3)^2=8+2\sqrt{15}$ ✓。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-irrational-triple" difficulty="標準">
$\sqrt2+\sqrt3+\sqrt5$ は無理数であることを示せ。
<Solution>
$s=\sqrt2+\sqrt3+\sqrt5$ が有理数だとします（$s>0$）。$\sqrt2+\sqrt3=s-\sqrt5$ の両辺を 2 乗すると $5+2\sqrt6=s^2-2s\sqrt5+5$、すなわち $2\sqrt6=s^2-2s\sqrt5$。さらに 2 乗して $24=s^4-4s^3\sqrt5+20s^2$。$s\ne0$ なので $\sqrt5=\dfrac{s^4+20s^2-24}{4s^3}$ は有理数となり、<Ref to="mathematics/foundations/proof-techniques#cor-sqrt-nonsquare" text="平方数でない自然数の平方根" /> に反します。よって $s$ は無理数です。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-abs-minimum" difficulty="標準">
すべての実数 $x$ について $|x-1|+|x-3|\ge2$ を示し、等号が成り立つ $x$ の範囲を求めよ。
<Solution>
三角不等式 <Ref to="thm-abs-triangle" /> (4) により $|x-1|+|3-x|\ge|(x-1)+(3-x)|=2$。ここで $|3-x|=|x-3|$（(3)）。等号条件は場合分けで確かめます。$x<1$ のとき和は $(1-x)+(3-x)=4-2x>2$。$1\le x\le3$ のとき和は $(x-1)+(3-x)=2$。$x>3$ のとき和は $(x-1)+(x-3)=2x-4>2$。よって等号は $1\le x\le3$ のときです。
</Solution>
</Exercise>

<Exercise id="exr-necessary-sufficient" difficulty="易">
実数 $x$ について、「$x^2-5x+6=0$」は「$x=2$」であるための必要条件か、十分条件か、必要十分条件か。
<Solution>
$P$：$x=2$、$Q$：$x^2-5x+6=0$ とします。$[P]=\{2\}$、$[Q]=\{2,3\}$（$(x-2)(x-3)=0$）で $[P]\subsetneq[Q]$。<Ref to="prop-condition-set" /> により、$P\Rightarrow Q$ は真で逆は偽なので、$Q$ は $P$ の**必要条件**ですが十分条件ではありません（$x=3$ が反例）。
</Solution>
</Exercise>

## 参考文献

- 杉浦光夫『解析入門 I』東京大学出版会、1980 — 第 I 章（実数と連続性）。
- 松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968 — 第 1 章（集合と論理）。
- Walter Rudin, *Principles of Mathematical Analysis*, 3rd ed., McGraw-Hill, 1976 — Chapter 1（順序体と実数体）。
- 文部科学省『高等学校学習指導要領（平成 30 年告示）解説 数学編 理数編』— 数学 I「数と式」。
