# 平成26年度 東大院 物理学専攻 修士 物理学 解答

> 平成26年度 修士課程 物理学（全6問）の解答。水素様原子とランダウ準位、2次元フェルミ気体とギャップのある分散、導体表面での反射と表皮効果、モーズリーの法則、重合モーターの熱力学、ヒッグス粒子の2光子崩壊を扱います。
> https://rikai.mugen-giken.com/exams/utokyo-physics/master-h26-phys

:::caution[出典と、この解答の位置づけ]
本記事が扱う問題は、**東京大学大学院理学系研究科物理学専攻の大学院入試問題**からの引用です（引用元: [https://www.phys.s.u-tokyo.ac.jp/](https://www.phys.s.u-tokyo.ac.jp/)）。

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- 本記事に**問題文は転載していません**。問題は上記の専攻公式サイトでご確認ください。
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この年度は、荷電粒子のハミルトニアンを軸に静電束縛状態とランダウ量子化を続けて問う第1問が中心にあります。第2問は2次元フェルミ気体で、状態密度が一定という2次元特有の事情のおかげで積分がすべて閉じた形になります。第3問は良導体表面の反射率と表皮損失を微小量の1次まで揃える計算問題で、反射率と吸収率の和が1になることが最良の検算になります。第4問から第6問は選択問題で、X線分光とモーズリー則、生体重合モーターの化学熱力学、ヒッグス粒子の2光子崩壊という毛色の違う3問が並びます。

| 問題 | 分野 | 主題 |
|---|---|---|
| 第1問 | 量子力学 | 水素様原子の基底状態とランダウ準位 |
| 第2問 | 統計力学 | 2次元フェルミ気体とギャップのある分散関係 |
| 第3問 | 電磁気学 | 誘電体と導体の境界での反射・表皮効果 |
| 第4問 | 原子分子・量子力学 | X線スペクトルとモーズリーの法則 |
| 第5問 | 熱力学 | ギブス自由エネルギーとタンパク質重合モーター |
| 第6問 | 素粒子・相対論 | ヒッグス粒子の2光子崩壊 |

第1問から第3問は全員解答、第4問・第5問・第6問から1問を選択する形式ですが、ここでは全問の解答を載せます。

## 第1問 水素様原子の基底状態とランダウ準位

### 設定

外部電磁場中の質量 $m$、電荷 $q$ の荷電粒子を考えます。ハミルトニアンは

$$
H=\frac{1}{2m}\left(\boldsymbol{p}-q\boldsymbol{A}\right)^2+q\phi
$$

で、スピン自由度は無視し、$\phi$ と $\boldsymbol{A}$ は時間に依存しないものとします。正準交換関係は $[x,p_x]=[y,p_y]=[z,p_z]=i\hbar$ です。

前半（設問1、設問2）は、原点に置かれた電荷 $-q$ が作る静電場中の運動で、座標表示のハミルトニアンは

$$
H=-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2-\frac{q^2}{4\pi\epsilon_0 r}
$$

です。後半（設問3以降）は $\phi=0$、$\boldsymbol{A}(\boldsymbol{r})=(By/2,\,-Bx/2,\,0)$ の場合で、このとき $\nabla\times\boldsymbol{A}=(0,0,-B)$ ですから、磁場は $z$ 軸の負の向きを向いた強さ $B$ の一様磁場です。ハミルトニアンは

$$
H=\frac{1}{2m}\left[\left(p_x-\frac{qBy}{2}\right)^2+\left(p_y+\frac{qBx}{2}\right)^2+p_z^2\right]
$$

となります。

### 設問1

s 波なので $\nabla^2\psi=\left(\dfrac{d^2}{dr^2}+\dfrac{2}{r}\dfrac{d}{dr}\right)\psi$ が使えて、動径方程式は

$$
-\frac{\hbar^2}{2m}\left(\frac{d^2}{dr^2}+\frac{2}{r}\frac{d}{dr}\right)\psi-\frac{q^2}{4\pi\epsilon_0 r}\psi=E\psi
$$

です。$r=r_0\rho$、$E=-E_0\varepsilon$ を代入し、両辺に $-2mr_0^2/\hbar^2$ を掛けると

$$
\left[\frac{d^2}{d\rho^2}+\frac{2}{\rho}\frac{d}{d\rho}+\frac{mq^2r_0}{2\pi\epsilon_0\hbar^2}\cdot\frac{1}{\rho}\right]\psi=\frac{2mr_0^2E_0}{\hbar^2}\,\varepsilon\,\psi
$$

が得られます。これが与えられた無次元形と一致する条件は、$1/\rho$ の係数が $2$、右辺の係数が $1$ であること、すなわち

$$
\frac{mq^2r_0}{2\pi\epsilon_0\hbar^2}=2,\qquad \frac{2mr_0^2E_0}{\hbar^2}=1
$$

です。よって答えは

$$
r_0=\frac{4\pi\epsilon_0\hbar^2}{mq^2},\qquad
E_0=\frac{\hbar^2}{2mr_0^2}=\frac{mq^4}{32\pi^2\epsilon_0^2\hbar^2}
$$

です。$r_0$ はボーア半径、$E_0=q^2/(8\pi\epsilon_0r_0)$ はリュドベリエネルギーであり、$q=e$、$m=m_e$ とすれば $r_0=0.53\,\mathring{\mathrm{A}}$、$E_0=13.6\,\mathrm{eV}$ という既知の値に一致します。

### 設問2

$\psi=ce^{-\rho}$ を無次元方程式の左辺に入れると、$\psi''=\psi$、$\dfrac{2}{\rho}\psi'=-\dfrac{2}{\rho}\psi$ なので

$$
\left[1-\frac{2}{\rho}+\frac{2}{\rho}\right]\psi=\psi
$$

となり、$\varepsilon=1$ です。したがって基底状態のエネルギーは

$$
E=-E_0
$$

です。次に $\langle r^2\rangle$ を求めます。3次元の規格化積分には $r^2dr$ の重みが付くので、$\int_0^\infty r^n e^{-2r/r_0}dr=n!\,(r_0/2)^{n+1}$ を使って

$$
\langle r^2\rangle=\frac{\displaystyle\int_0^\infty r^4e^{-2r/r_0}dr}{\displaystyle\int_0^\infty r^2e^{-2r/r_0}dr}
=\frac{4!\,(r_0/2)^5}{2!\,(r_0/2)^3}=\frac{24}{2}\cdot\frac{r_0^2}{4}=3r_0^2
$$

です。よって広がりの大きさは

$$
\sqrt{\langle r^2\rangle}=\sqrt{3}\,r_0
$$

となります。長さの次元を持つ量が $r_0$ だけで書けており、係数が $1$ 程度であることも妥当です。

### 設問3

$p_1=p_x-\dfrac{qBy}{2}$、$p_2=p_y+\dfrac{qBx}{2}$ とします。展開して現れる4項のうち $[p_x,p_y]=0$ と $[y,x]=0$ は落ち、残るのは交差項の2つだけです。

$$
\begin{aligned}
[p_1,p_2]&=\left[p_x,\frac{qBx}{2}\right]+\left[-\frac{qBy}{2},p_y\right]\\
&=\frac{qB}{2}\,[p_x,x]-\frac{qB}{2}\,[y,p_y]\\
&=\frac{qB}{2}(-i\hbar)-\frac{qB}{2}(i\hbar)=-i\hbar qB
\end{aligned}
$$

です。$p_z$ は $x,y,p_x,p_y$ のすべてと可換なので、答えは

$$
[p_1,p_2]=-i\hbar qB,\qquad [p_1,p_z]=[p_2,p_z]=0
$$

です。$p_1,p_2$ が可換でないことが、以下で $(x,y)$ 方向の運動が調和振動子になる理由です。

### 設問4

$X=kp_2$、$P=p_1$ が正準対になる条件は $[X,P]=i\hbar$ です。設問3より $[p_2,p_1]=i\hbar qB$ なので

$$
[X,P]=k\,[p_2,p_1]=i\hbar kqB=i\hbar
\quad\Longrightarrow\quad k=\frac{1}{qB}
$$

です。このとき $p_2=qBX$、$p_1=P$ であり、ハミルトニアンの $(x,y)$ 部分は

$$
H_{xy}=\frac{1}{2m}\left(p_1^2+p_2^2\right)=\frac{P^2}{2m}+\frac{(qB)^2}{2m}X^2
=\frac{P^2}{2m}+\frac{1}{2}m\omega^2X^2
$$

と、質量 $m$ の1次元調和振動子の形になります。$m\omega^2=(qB)^2/m$ から固有振動数は

$$
\omega=\frac{|q|B}{m}
$$

です。したがって固有値は $E=\hbar\omega\left(n+\frac12\right)+\dfrac{p_z^2}{2m}$（$n=0,1,2,\dots$）というランダウ準位になります。

古典的には $\omega$ はサイクロトロン角振動数です。磁場中の荷電粒子は磁場に垂直な面内で円運動し、その角速度が $|q|B/m$ で、周期 $2\pi m/(|q|B)$ は速さや円の半径によらない、という内容です。次元も $[q][B]/[m]=\mathrm{C\cdot T/kg}=\mathrm{s^{-1}}$ で正しく振動数になっています。

### 設問5

$P'=p_x+\dfrac{qBy}{2}$ について、$[p_x,y]=0$ を使うと

$$
[P',P]=\left[p_x+\frac{qBy}{2},\,p_x-\frac{qBy}{2}\right]=-\frac{qB}{2}[p_x,y]+\frac{qB}{2}[y,p_x]=0
$$

$$
[P',X]=\frac{1}{qB}\left[p_x+\frac{qBy}{2},\,p_y+\frac{qBx}{2}\right]
=\frac{1}{qB}\left(\frac{qB}{2}[p_x,x]+\frac{qB}{2}[y,p_y]\right)
=\frac{1}{qB}\left(-\frac{i\hbar qB}{2}+\frac{i\hbar qB}{2}\right)=0
$$

となり、$P'$ は $X$ と $P$ の両方と可換です。$P'$ は $p_z$ とも可換なので、$H$ の保存量でもあります。

次に $X'=\alpha x+\beta p_y$（$\alpha,\beta$ は実数なのでエルミート）とおいて条件を課します。

$$
[X',P']=\alpha[x,p_x]+\beta\frac{qB}{2}[p_y,y]=i\hbar\left(\alpha-\frac{qB}{2}\beta\right)=i\hbar
$$

$$
[X',P]=\alpha[x,p_x]-\beta\frac{qB}{2}[p_y,y]=i\hbar\left(\alpha+\frac{qB}{2}\beta\right)=0
$$

$[X',X]$ は $[x,p_y]=[p_y,x]=0$ から自動的に $0$ です。上の2式を解くと $\beta=-1/(qB)$、$\alpha=1/2$ なので、答えは

$$
X'=\frac{x}{2}-\frac{p_y}{qB}
$$

です。実際 $[X',P']=\dfrac{i\hbar}{2}+\dfrac{i\hbar}{2}=i\hbar$、$[X',P]=\dfrac{i\hbar}{2}-\dfrac{i\hbar}{2}=0$ が確かめられます。

なお $X=\dfrac{p_y}{qB}+\dfrac{x}{2}$ なので $X+X'=x$ という関係が成り立ちます。また古典的には $m\dot x=p_1$、$m\dot y=p_2$ で、運動方程式 $m\ddot x=-qB\dot y$、$m\ddot y=qB\dot x$ を1回積分すると円軌道の中心が $x_c=x-p_2/(qB)=X'$、$y_c=y+p_1/(qB)=P'/(qB)$ と読めます。つまり $(X',P')$ はサイクロトロン円軌道の中心（案内中心）の座標であり、これが保存量であることが $H$ に現れない理由です。

### 設問6

$(X,P)$ 部分は角振動数 $\omega=|q|B/m$ の1次元調和振動子ですから、$X$ を対角化する表示（$P=-i\hbar\,d/dX$）で基底状態は

$$
\Phi_0(X)=\left(\frac{m\omega}{\pi\hbar}\right)^{1/4}\exp\left(-\frac{m\omega X^2}{2\hbar}\right)
=\left(\frac{|q|B}{\pi\hbar}\right)^{1/4}\exp\left(-\frac{|q|B\,X^2}{2\hbar}\right)
$$

というガウス関数です。幅は磁気長 $\ell_B=\sqrt{\hbar/(|q|B)}$ で、エネルギーは $\hbar\omega/2$（$p_z=0$ の場合）です。

$X$ と $X'$ は可換なので同時対角化できます。$X'=a$（実数）である状態に注目すると、設問5の関係 $x=X+X'$ より $X=x-a$ と置き換えられ、基底状態の波動関数は元の座標 $x$ で

$$
\psi_a(x)\propto\exp\left(-\frac{|q|B\,(x-a)^2}{2\hbar}\right)=\exp\left(-\frac{(x-a)^2}{2\ell_B^2}\right)
$$

と書けます。$a$ は波束の中心の $x$ 座標、すなわち古典的なサイクロトロン円軌道の中心（案内中心）の $x$ 座標を表します。$a$ は連続的に任意の値をとれるので、$a$ はランダウ準位の巨大な縮退を指定するラベルでもあります。

## 第2問 2次元フェルミ気体とギャップのある分散関係

### 設定

$xy$ 平面上の一辺 $L$ の正方形（周期境界条件）に閉じ込めたフェルミ粒子系のグランドカノニカル分布を考えます。スピン自由度は考えません。前半（設問1から設問4）は質量 $m$ の自由フェルミ粒子、後半（設問5、設問6）は1つの波数 $\boldsymbol{k}$ に対して

$$
\varepsilon_{1\boldsymbol{k}}=-\Delta-\frac{\hbar^2|\boldsymbol{k}|^2}{2M},\qquad
\varepsilon_{2\boldsymbol{k}}=\Delta+\frac{\hbar^2|\boldsymbol{k}|^2}{2m}
$$

という負・正の2つの分散を持つ系で、絶対零度では負のバンドが完全に詰まり正のバンドは空とします。$\beta=1/(k_\mathrm{B}T)$、$\mu$ は化学ポテンシャルです。

### 設問1

周期境界条件から波数は $k_x=\dfrac{2\pi n_x}{L}$、$k_y=\dfrac{2\pi n_y}{L}$（$n_x,n_y$ は整数）に量子化され、1粒子エネルギーは

$$
\varepsilon_{\boldsymbol{k}}=\frac{\hbar^2|\boldsymbol{k}|^2}{2m}=\frac{\hbar^2\left(k_x^2+k_y^2\right)}{2m}
$$

です。低い方から $N_0$ 個詰めると、占有領域は半径 $k_\mathrm{F}$ の円板になります。$\boldsymbol{k}$ 空間の1状態が占める面積は $(2\pi/L)^2$ なので、$N_0$ が十分大きいとき

$$
N_0=\frac{\pi k_\mathrm{F}^2}{(2\pi/L)^2}=\frac{L^2k_\mathrm{F}^2}{4\pi}
\quad\Longrightarrow\quad
k_\mathrm{F}^2=\frac{4\pi N_0}{L^2}
$$

です。したがって固有エネルギーの最大値（フェルミエネルギー）は

$$
\varepsilon_{\mathrm{max}}=\frac{\hbar^2k_\mathrm{F}^2}{2m}=\frac{2\pi\hbar^2N_0}{mL^2}
$$

です。$\hbar^2/(mL^2)$ がエネルギーの次元を持つので次元は正しく、2次元では $\varepsilon_\mathrm{F}$ が粒子数（面密度）に比例するという既知の性質になっています。

### 設問2

フェルミ粒子なので各波数の占有数は $n_{\boldsymbol{k}}\in\{0,1\}$ です。$N$ についての和と、$\sum_{\boldsymbol{k}}n_{\boldsymbol{k}}=N$ を満たす $\{n_{\boldsymbol{k}}\}$ についての和を合わせると、制限のない $\{n_{\boldsymbol{k}}\}$ の全体和になります。$E_N-\mu N=\sum_{\boldsymbol{k}}(\varepsilon_{\boldsymbol{k}}-\mu)n_{\boldsymbol{k}}$ なので指数関数が波数ごとに分解でき、

$$
\Xi(T,\mu)=\sum_{\{n_{\boldsymbol{k}}\}}\prod_{\boldsymbol{k}}e^{-\beta(\varepsilon_{\boldsymbol{k}}-\mu)n_{\boldsymbol{k}}}
=\prod_{\boldsymbol{k}}\sum_{n_{\boldsymbol{k}}=0}^{1}e^{-\beta(\varepsilon_{\boldsymbol{k}}-\mu)n_{\boldsymbol{k}}}
$$

すなわち

$$
\Xi(T,\mu)=\prod_{\boldsymbol{k}}\left[1+e^{-\beta(\varepsilon_{\boldsymbol{k}}-\mu)}\right]
$$

が答えです。

### 設問3

$\ln\Xi=\sum_{\boldsymbol{k}}\ln\left[1+e^{-\beta(\varepsilon_{\boldsymbol{k}}-\mu)}\right]$ から

$$
\overline{N}=\frac{1}{\beta}\frac{\partial\ln\Xi}{\partial\mu}
=\sum_{\boldsymbol{k}}\frac{e^{-\beta(\varepsilon_{\boldsymbol{k}}-\mu)}}{1+e^{-\beta(\varepsilon_{\boldsymbol{k}}-\mu)}}
=\sum_{\boldsymbol{k}}\frac{1}{e^{\beta(\varepsilon_{\boldsymbol{k}}-\mu)}+1}=\sum_{\boldsymbol{k}}f(\varepsilon_{\boldsymbol{k}})
$$

となり、示すべき式が得られました。ここで $f(\varepsilon)=\left[e^{\beta(\varepsilon-\mu)}+1\right]^{-1}$ はフェルミ分布関数です。分配関数が波数ごとの積になっているため、各モードの占有数の期待値がそれぞれ独立に $f(\varepsilon_{\boldsymbol{k}})$ になっていることが本質です。

$L$ が十分大きいとき $\sum_{\boldsymbol{k}}\to\dfrac{L^2}{(2\pi)^2}\displaystyle\int d^2k$ と置き換えられます。$d^2k=2\pi k\,dk$ と $\varepsilon=\hbar^2k^2/(2m)$、$k\,dk=(m/\hbar^2)d\varepsilon$ より

$$
\sum_{\boldsymbol{k}}\;\longrightarrow\;\frac{L^2}{(2\pi)^2}\cdot 2\pi\cdot\frac{m}{\hbar^2}\int_0^\infty d\varepsilon
=\int_0^\infty D(\varepsilon)\,d\varepsilon,\qquad D(\varepsilon)=\frac{mL^2}{2\pi\hbar^2}
$$

となります。2次元では状態密度がエネルギーによらない定数です。よって

$$
\overline{N}=\frac{mL^2}{2\pi\hbar^2}\int_0^\infty\frac{d\varepsilon}{e^{\beta(\varepsilon-\mu)}+1}
$$

です。被積分関数の原始関数が $-\dfrac{1}{\beta}\ln\left[1+e^{-\beta(\varepsilon-\mu)}\right]$ であることを使えば積分が実行でき、

$$
\int_0^\infty\frac{d\varepsilon}{e^{\beta(\varepsilon-\mu)}+1}
=\left[-\frac{1}{\beta}\ln\left(1+e^{-\beta(\varepsilon-\mu)}\right)\right]_0^\infty
=\frac{1}{\beta}\ln\left(1+e^{\beta\mu}\right)
$$

したがって

$$
\overline{N}=\frac{mL^2k_\mathrm{B}T}{2\pi\hbar^2}\ln\left(1+e^{\mu/(k_\mathrm{B}T)}\right)
$$

が答えです。検算として $T\to0$ かつ $\mu>0$ の極限では $\ln(1+e^{\beta\mu})\to\beta\mu$ となり $\overline{N}\to\dfrac{mL^2\mu}{2\pi\hbar^2}$、これは設問1の $N_0=\dfrac{mL^2\varepsilon_{\mathrm{max}}}{2\pi\hbar^2}$ で $\mu=\varepsilon_{\mathrm{max}}$ とした式に一致します。

### 設問4

フェルミ分布関数は、$\varepsilon<\mu$ でほぼ $1$、$\varepsilon>\mu$ でほぼ $0$ の階段関数で、階段が崩れているのは $\mu$ を中心とする幅 $\sim k_\mathrm{B}T$ の窓の中だけです。深く埋まった状態は、上に空きがないので温度を上げても分布が変わらず、エネルギーを受け取れません。

したがって熱的に励起されうる粒子の数は、この窓の中にある状態数 $\sim D(\varepsilon_\mathrm{F})k_\mathrm{B}T$ 程度に限られます。しかも1個が受け取るエネルギーも $\sim k_\mathrm{B}T$ です。よって内部エネルギーの温度による増加は

$$
U(T)-U(0)\sim D(\varepsilon_\mathrm{F})\left(k_\mathrm{B}T\right)^2
$$

と $T^2$ に比例し、比熱は $C=\partial U/\partial T\sim 2D(\varepsilon_\mathrm{F})k_\mathrm{B}^2T\propto T$ になります。「励起される粒子の数が $T$ に比例する」ことと「1粒子あたりの励起エネルギーが $T$ に比例する」ことの積で $T^2$、その微分で $T$ という筋道です。古典統計なら全粒子が $k_\mathrm{B}T$ ずつ受け取って $C$ は定数になりますが、パウリ原理によって参加できる粒子が $T/T_\mathrm{F}$ の割合に絞られるため、$C$ が $T$ に比例して小さくなります。

### 設問5

バンドギャップは $2\Delta$ で、$k_\mathrm{B}T\ll\Delta$ ではギャップを越える励起はボルツマン因子 $e^{-\Delta/(k_\mathrm{B}T)}$ 程度に強く抑えられます。したがって分布は絶対零度の状態からわずかにずれるだけです。

負のエネルギーバンドは $k=0$ で最大値 $-\Delta$ をとる上に凸の放物線なので、そのバンドの「頂上」は $k=0$ です。ここに $e^{-\Delta/(k_\mathrm{B}T)}$ 程度のごく少数の空孔（ホール）ができ、それ以外の状態はほぼ完全に詰まったままです。正のエネルギーバンドは $k=0$ で最小値 $+\Delta$ をとる下に凸の放物線なので、その底、つまり $k=0$ 近傍に同数のごく少数の粒子が現れます。どちらの分布も $|k|$ 方向には幅 $\hbar k\sim\sqrt{2Mk_\mathrm{B}T}$、$\sqrt{2mk_\mathrm{B}T}$ 程度に集中します。占有数はどこでも $0$ か $1$ にきわめて近く、フェルミ分布の分母の $+1$ を落としてよい領域にいるので、分布はマクスウェル・ボルツマン型、つまり非縮退（古典的）です。化学ポテンシャルはギャップの内側、$|\mu|\ll\Delta$ の位置にあります。真性半導体で電子と正孔が熱的に対生成している状況と同じ描像です。

### 設問6

全粒子数は保存するので、負のバンドの空孔数と正のバンドの粒子数が等しくなります。

$$
\overline{N_1}(0)-\overline{N_1}(T)=\sum_{|\boldsymbol{k}|<K}\left[1-f(\varepsilon_{1\boldsymbol{k}})\right]
=\sum_{\boldsymbol{k}}f(\varepsilon_{2\boldsymbol{k}})=\overline{N_2}(T)
$$

設問5の議論から $\Delta\pm\mu\gg k_\mathrm{B}T$ なので、両側でボルツマン近似が使えます。

$$
1-f(\varepsilon_{1\boldsymbol{k}})=\frac{1}{e^{-\beta(\varepsilon_{1\boldsymbol{k}}-\mu)}+1}\simeq e^{\beta(\varepsilon_{1\boldsymbol{k}}-\mu)}
=e^{-\beta(\Delta+\mu)}e^{-\beta\hbar^2k^2/(2M)}
$$

$$
f(\varepsilon_{2\boldsymbol{k}})\simeq e^{-\beta(\varepsilon_{2\boldsymbol{k}}-\mu)}=e^{-\beta(\Delta-\mu)}e^{-\beta\hbar^2k^2/(2m)}
$$

和を積分に直します。$\sum_{\boldsymbol{k}}\to\dfrac{L^2}{2\pi}\displaystyle\int k\,dk$ で、ガウス因子が $k\sim\sqrt{2Mk_\mathrm{B}T}/\hbar$ で切れるのに対し $K$ は十分大きいので上限は $\infty$ にしてよく、$\displaystyle\int_0^\infty ke^{-\beta\hbar^2k^2/(2M)}dk=\frac{M}{\beta\hbar^2}$ です。よって

$$
\overline{N_1}(0)-\overline{N_1}(T)\simeq\frac{L^2Mk_\mathrm{B}T}{2\pi\hbar^2}\,e^{-\beta(\Delta+\mu)},\qquad
\overline{N_2}(T)\simeq\frac{L^2mk_\mathrm{B}T}{2\pi\hbar^2}\,e^{-\beta(\Delta-\mu)}
$$

両者を等置すると $L$、$T$ の前因子と $e^{-\beta\Delta}$ が落ちて

$$
M\,e^{-\beta\mu}=m\,e^{\beta\mu}\quad\Longrightarrow\quad e^{2\beta\mu}=\frac{M}{m}
$$

したがって答えは

$$
\mu(T)=\frac{k_\mathrm{B}T}{2}\ln\frac{M}{m}
$$

です。$K$ にも $L$ にも依存しません。$T\to0$ でギャップの中央 $\mu=0$ に収束し、$M=m$ なら温度によらず $\mu=0$ という対称性からの予想と合っています。$M>m$ なら $\mu>0$、つまり状態密度の大きい重いバンド側から離れる向きに動くのも妥当です。$\Delta$ を有限に固定して $T$ を小さくしていく数値計算で、上式が漸近形として再現されることも確認できます。なお $e^{-\beta\mu}=\sqrt{m/M}$ を戻すと励起密度は

$$
\overline{N_2}(T)=\frac{L^2k_\mathrm{B}T\sqrt{Mm}}{2\pi\hbar^2}\,e^{-\Delta/(k_\mathrm{B}T)}
$$

と2つの質量について対称な形になります。ちなみに絶対零度の粒子数は $\overline{N_1}(0)=\dfrac{L^2K^2}{4\pi}$ です。

## 第3問 誘電体と導体の境界での反射・表皮効果

### 設定

媒質中のマクスウェル方程式

$$
\nabla\cdot\boldsymbol{D}=\rho,\quad
\nabla\cdot\boldsymbol{B}=0,\quad
\nabla\times\boldsymbol{E}=-\frac{\partial\boldsymbol{B}}{\partial t},\quad
\nabla\times\boldsymbol{H}=\boldsymbol{j}+\frac{\partial\boldsymbol{D}}{\partial t}
$$

において、$\boldsymbol{D}=\epsilon\boldsymbol{E}$、$\boldsymbol{H}=\boldsymbol{B}/\mu_0$、$\boldsymbol{j}=\sigma\boldsymbol{E}$ とします。誘電体では $\epsilon=\epsilon_\mathrm{d}$、$\sigma=0$、導体では $\epsilon=\epsilon_\mathrm{m}$、$\sigma=\sigma_\mathrm{m}$ で、いずれも $\mu=\mu_0$ です。設問3以降は誘電体が $z<0$、導体が $z>0$ を満たし、$x$ 方向に偏光した平面波が $z=-\infty$ から入射します。

### 設問1

$\rho=0$、$\boldsymbol{j}=0$ なので $\nabla\cdot\boldsymbol{E}=0$ であり、公式 $\nabla\times(\nabla\times\boldsymbol{E})=\nabla(\nabla\cdot\boldsymbol{E})-\nabla^2\boldsymbol{E}=-\nabla^2\boldsymbol{E}$ が使えます。(3) の両辺の回転をとり (4) を代入すると

$$
-\nabla^2\boldsymbol{E}=-\frac{\partial}{\partial t}\left(\nabla\times\boldsymbol{B}\right)
=-\mu_0\epsilon_\mathrm{d}\frac{\partial^2\boldsymbol{E}}{\partial t^2}
\quad\Longrightarrow\quad
\nabla^2\boldsymbol{E}=\mu_0\epsilon_\mathrm{d}\frac{\partial^2\boldsymbol{E}}{\partial t^2}
$$

これに $\boldsymbol{E}=\boldsymbol{E}_0e^{i(kz-\omega t)}$ を入れると $\left(-k^2+\mu_0\epsilon_\mathrm{d}\omega^2\right)\boldsymbol{E}_0=0$ です。$\boldsymbol{E}_0\neq0$（有限振幅）である条件は

$$
k^2=\mu_0\epsilon_\mathrm{d}\,\omega^2,\qquad\text{つまり}\qquad \omega=\frac{k}{\sqrt{\mu_0\epsilon_\mathrm{d}}}
$$

です。位相速度は

$$
v_\mathrm{p}=\frac{\omega}{k}=\frac{1}{\sqrt{\mu_0\epsilon_\mathrm{d}}}
$$

で、$\epsilon_\mathrm{d}\to\epsilon_0$ とすれば真空中の光速 $c=1/\sqrt{\mu_0\epsilon_0}$ に戻ります。

### 設問2

導体中でも真電荷は緩和時間 $\epsilon_\mathrm{m}/\sigma_\mathrm{m}$ で消えるので、バルクでは $\rho=0$、したがって $\nabla\cdot\boldsymbol{E}=0$ とします（横波なのでこれは自動的にも満たされます）。(3) の回転をとり (4) を代入すると

$$
-\nabla^2\boldsymbol{E}=-\frac{\partial}{\partial t}\left(\nabla\times\boldsymbol{B}\right)
=-\mu_0\frac{\partial}{\partial t}\left(\sigma_\mathrm{m}\boldsymbol{E}+\epsilon_\mathrm{m}\frac{\partial\boldsymbol{E}}{\partial t}\right)
$$

よって

$$
\nabla^2\boldsymbol{E}=\mu_0\sigma_\mathrm{m}\frac{\partial\boldsymbol{E}}{\partial t}+\mu_0\epsilon_\mathrm{m}\frac{\partial^2\boldsymbol{E}}{\partial t^2}
$$

が答えです。右辺第1項が伝導電流による散逸項で、これがあるために波は減衰します。

### 設問3

(3) から接線成分の連続性を導きます。境界面をまたぐ、$x$ 方向の長さ $\ell$、$z$ 方向の幅 $w$ の細長い長方形（$zx$ 面内）に (3) をストークスの定理で適用すると

$$
\oint_C\boldsymbol{E}\cdot d\boldsymbol{l}=-\frac{d}{dt}\int_S\boldsymbol{B}\cdot d\boldsymbol{S}
$$

です。$w\to0$ とすると右辺の面積は $0$ に、$\boldsymbol{B}$ は有限なので右辺は消え、左辺は $\ell\left[E_x(z\to0^-)-E_x(z\to0^+)\right]$ です。よって $E$ の接線成分は連続です。同じことを (4) について $zy$ 面内の長方形で行うと

$$
\oint_C\boldsymbol{H}\cdot d\boldsymbol{l}=\int_S\left(\boldsymbol{j}+\frac{\partial\boldsymbol{D}}{\partial t}\right)\cdot d\boldsymbol{S}
$$

で、$\sigma_\mathrm{m}$ が有限なので表面電流（面電流密度）は存在せず、$w\to0$ で右辺は消えます。よって $H$ の接線成分も連続で、両側で $\mu=\mu_0$ なので $B_y$ が連続です。

具体形に落とします。(3) の $y$ 成分から、$E_x\propto e^{i(\pm kz-\omega t)}$ の平面波に対して $\partial_zE_x=i\omega B_y$、すなわち $B_y=(\pm k/\omega)E_x$ です（符号は伝播方向）。したがって

$$
B_y^{(\mathrm{i})}=\frac{k}{\omega}E_{\mathrm{i}0},\qquad
B_y^{(\mathrm{r})}=-\frac{k}{\omega}E_{\mathrm{r}0},\qquad
B_y^{(\mathrm{m})}=\frac{k_\mathrm{m}}{\omega}E_{\mathrm{m}0}
$$

で、$z=0$ における接続条件は

$$
E_{\mathrm{i}0}+E_{\mathrm{r}0}=E_{\mathrm{m}0},\qquad
k\left(E_{\mathrm{i}0}-E_{\mathrm{r}0}\right)=k_\mathrm{m}E_{\mathrm{m}0}
$$

の2式です。

### 設問4

変位電流を落とした $\nabla^2\boldsymbol{E}=\mu_0\sigma_\mathrm{m}\partial_t\boldsymbol{E}$ に $E_{\mathrm{m}0}e^{i(k_\mathrm{m}z-\omega t)}$ を入れると

$$
-k_\mathrm{m}^2=-i\omega\mu_0\sigma_\mathrm{m}
\quad\Longrightarrow\quad
k_\mathrm{m}^2=i\omega\mu_0\sigma_\mathrm{m}
$$

$\sqrt{i}=e^{i\pi/4}=(1+i)/\sqrt{2}$ なので

$$
k_\mathrm{m}=\pm\frac{1+i}{\sqrt{2}}\sqrt{\omega\mu_0\sigma_\mathrm{m}}
$$

の2根が出ます。$z\to+\infty$ で発散せず、無限遠からエネルギーが湧き出さない（エネルギー保存則を満たす）のは $\operatorname{Im}k_\mathrm{m}>0$ の根です。よって

$$
k_\mathrm{m}=\frac{1+i}{\delta},\qquad
\delta\equiv\sqrt{\frac{2}{\omega\mu_0\sigma_\mathrm{m}}}
$$

（$\delta$ は表皮の厚さ）であり、$z>0$ の電場は

$$
E_x(z,t)=E_{\mathrm{m}0}\,e^{-z/\delta}\,e^{i(z/\delta-\omega t)}
$$

すなわち実部で書けば $|E_{\mathrm{m}0}|e^{-z/\delta}\cos\left(z/\delta-\omega t+\arg E_{\mathrm{m}0}\right)$ です。波長 $2\pi\delta$ と減衰長 $\delta$ が同程度で、1波長進む前に減衰してしまうという良導体の特徴が出ています。

### 設問5

設問3の2式から

$$
r\equiv\frac{E_{\mathrm{r}0}}{E_{\mathrm{i}0}}=\frac{k-k_\mathrm{m}}{k+k_\mathrm{m}}
$$

です。微小量を $s\equiv\sqrt{\omega\epsilon_\mathrm{d}/\sigma_\mathrm{m}}$ とおくと、$k=\omega\sqrt{\mu_0\epsilon_\mathrm{d}}$ と $k_\mathrm{m}=(1+i)\sqrt{\omega\mu_0\sigma_\mathrm{m}/2}$ から

$$
\frac{k}{k_\mathrm{m}}=\frac{\sqrt{2}}{1+i}\sqrt{\frac{\omega\epsilon_\mathrm{d}}{\sigma_\mathrm{m}}}
=\frac{1-i}{\sqrt{2}}\,s\equiv u(1-i),\qquad u=\frac{s}{\sqrt{2}}
$$

です。入射波と反射波はどちらも同じ誘電体中を伝わるので、電力反射率はそのまま $R=|r|^2$ です。$\alpha\equiv k/k_\mathrm{m}=u-iu$ を使うと

$$
R=\left|\frac{\alpha-1}{\alpha+1}\right|^2
=\frac{(u-1)^2+u^2}{(u+1)^2+u^2}
=\frac{1-2u+2u^2}{1+2u+2u^2}
$$

$u$ の1次までとると $R\simeq1-4u$ です。$4u=2\sqrt{2}\,s$ なので答えは

$$
R\simeq1-2\sqrt{2}\sqrt{\frac{\omega\epsilon_\mathrm{d}}{\sigma_\mathrm{m}}}=1-2\sqrt{\frac{2\omega\epsilon_\mathrm{d}}{\sigma_\mathrm{m}}}
$$

です。$\sigma_\mathrm{m}\to\infty$（完全導体）で $R\to1$ という当然の極限を持ちます。これはハーゲン・ルーベンスの関係として知られる式です。

### 設問6

導体内で $\boldsymbol{j}\cdot\boldsymbol{E}=\sigma_\mathrm{m}E_x^2$ です。時間平均は複素振幅の2乗の半分なので、$\left\langle E_x^2\right\rangle=\frac12|E_{\mathrm{m}0}|^2e^{-2z/\delta}$ となり

$$
\left\langle\int_0^\infty\boldsymbol{j}\cdot\boldsymbol{E}\,dz\right\rangle
=\frac{\sigma_\mathrm{m}|E_{\mathrm{m}0}|^2}{2}\int_0^\infty e^{-2z/\delta}dz
=\frac{\sigma_\mathrm{m}\delta}{4}|E_{\mathrm{m}0}|^2
$$

透過振幅は $E_{\mathrm{m}0}=(1+r)E_{\mathrm{i}0}=\dfrac{2k}{k+k_\mathrm{m}}E_{\mathrm{i}0}$ で、最低次では $|k|\ll|k_\mathrm{m}|$ なので $E_{\mathrm{m}0}\simeq2\alpha E_{\mathrm{i}0}$、$|\alpha|^2=s^2$ より

$$
|E_{\mathrm{m}0}|^2\simeq4s^2|E_{\mathrm{i}0}|^2=\frac{4\omega\epsilon_\mathrm{d}}{\sigma_\mathrm{m}}|E_{\mathrm{i}0}|^2
$$

です。これを代入して $\delta=\sqrt{2/(\omega\mu_0\sigma_\mathrm{m})}$ を使うと、抵抗損失電力は

$$
\left\langle\int_0^\infty\boldsymbol{j}\cdot\boldsymbol{E}\,dz\right\rangle
\simeq\omega\epsilon_\mathrm{d}\,\delta\,|E_{\mathrm{i}0}|^2
=\epsilon_\mathrm{d}|E_{\mathrm{i}0}|^2\sqrt{\frac{2\omega}{\mu_0\sigma_\mathrm{m}}}
$$

となります。一方、入射波の $xy$ 面単位面積あたりの電力（ポインティングベクトルの時間平均）は

$$
S_\mathrm{i}=\frac{1}{2}\frac{k}{\mu_0\omega}|E_{\mathrm{i}0}|^2=\frac{1}{2}\sqrt{\frac{\epsilon_\mathrm{d}}{\mu_0}}|E_{\mathrm{i}0}|^2
$$

です。比をとると $\mu_0$ と $|E_{\mathrm{i}0}|^2$ が落ちて

$$
\frac{1}{S_\mathrm{i}}\left\langle\int_0^\infty\boldsymbol{j}\cdot\boldsymbol{E}\,dz\right\rangle
=2\omega\epsilon_\mathrm{d}\sqrt{\frac{2}{\omega\sigma_\mathrm{m}\epsilon_\mathrm{d}}}
=2\sqrt{\frac{2\omega\epsilon_\mathrm{d}}{\sigma_\mathrm{m}}}
$$

が答えです。この値は設問5で得た $1-R$ とちょうど一致します。導体の奥へ透過して逃げる電力はないので、入射電力は反射と抵抗損失に分かれるほかなく、$R+(\text{損失比})=1$ が成り立つべきです。両設問を独立に計算して一致したので、係数まで正しいことが確認できました。

## 第4問 X線スペクトルとモーズリーの法則

### 設定

数十 keV に加速された電子線を金属に当てて発生するX線を扱います。用いる物理定数は $h=6.6\times10^{-34}\,\mathrm{J\cdot s}$、$c=3.0\times10^8\,\mathrm{m/s}$、$e=1.6\times10^{-19}\,\mathrm{C}$ です。図1はモリブデン（$Z=42$）のスペクトルで、広い波長域に広がる連続X線と鋭い特性X線（$\mathrm{K}_\alpha$、$\mathrm{K}_\beta$）が重なっています。図2は横軸に周波数の平方根 $\sqrt{\nu}$（単位 $10^8\,\mathrm{Hz}^{1/2}$）、縦軸に原子番号 $Z$ をとったモーズリー図で、$\mathrm{K}_\alpha$、$\mathrm{K}_\beta$、$\mathrm{L}_\alpha$、$\mathrm{L}_\beta$ の4本の直線が引かれています。

### 設問1

結晶分光法（ブラッグ分光）を挙げます。原理は結晶格子による X線の回折です。

試料から出たX線をスリットで細く絞り、格子面間隔 $d$ が既知の単結晶（LiF、NaCl、Si など）に角度 $\theta$ で入射させます。隣り合う格子面で反射した波の光路差は $2d\sin\theta$ なので、

$$
2d\sin\theta=n\lambda\qquad(n=1,2,\dots)
$$

を満たす波長の成分だけが強め合って特定方向に出ます。結晶を角度 $\theta$ だけ回し、検出器を $2\theta$ の位置に追随させながら（いわゆる $\theta$-$2\theta$ 走査）強度を記録すると、上式で $\theta$ を $\lambda$ に換算できて波長スペクトルが得られます。分解能はスリットのコリメーションと結晶の完全性で決まり、波長を角度に変換して測る「波長分散型」の方法です。図1が波長を横軸にしたグラフになっているのは、この方法で測ったからです。

別の方法として、Si や Ge の半導体検出器を使うエネルギー分散型の測定もあります。X線光子1個が作る電子・正孔対の数がその光子エネルギーに比例するので、生じた電荷パルスの波高を波高分析器でヒストグラムにすれば、そのままエネルギースペクトルになります。

### 設問2

光子1個のエネルギーと振動数・波長の関係は

$$
E=h\nu=\frac{hc}{\lambda},\qquad \nu=\frac{c}{\lambda}
$$

です。$\lambda=0.72\,\mathring{\mathrm{A}}=0.72\times10^{-10}\,\mathrm{m}$ を入れると

$$
\nu=\frac{3.0\times10^8}{0.72\times10^{-10}}=4.2\times10^{18}\,\mathrm{Hz}
$$

$$
E=h\nu=6.6\times10^{-34}\times4.17\times10^{18}=2.75\times10^{-15}\,\mathrm{J}
$$

これを eV に直すと

$$
E=\frac{2.75\times10^{-15}}{1.6\times10^{-19}}=1.7\times10^{4}\,\mathrm{eV}
$$

です。答えは $\nu\simeq4.2\times10^{18}\,\mathrm{Hz}$、$E\simeq1.7\times10^{4}\,\mathrm{eV}=17\,\mathrm{keV}$ です。数十 keV に加速した電子で励起できる範囲に収まっており、設定と整合します。

### 設問3

電荷 $-e$ の電子が電荷 $+Ze$ の核のまわりを半径 $r$ で円運動しているとします。クーロン力が向心力なので

$$
\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{Ze^2}{r^2}=\frac{mv^2}{r}
\quad\Longrightarrow\quad
mv^2=\frac{Ze^2}{4\pi\epsilon_0 r}
$$

運動エネルギーは $T=\frac12mv^2=\dfrac{Ze^2}{8\pi\epsilon_0r}$、位置エネルギーは $U=-\dfrac{Ze^2}{4\pi\epsilon_0r}$ です。よって全エネルギーは

$$
E=T+U=-\frac{Ze^2}{8\pi\epsilon_0 r}
$$

です。$E=-T=U/2$ というビリアル定理の形になっています。

### 設問4

ボーア・ゾンマーフェルトの量子化条件を円軌道に適用すると $\oint p\,dq=2\pi r\cdot mv=nh$、これはド・ブロイ波長 $\lambda_\mathrm{dB}=h/(mv)$ が円周にちょうど $n$ 個入る条件 $2\pi r=n\lambda_\mathrm{dB}$ と同じで、

$$
mvr=\frac{nh}{2\pi}=n\hbar\qquad(n=1,2,3,\dots)
$$

です。これを $mv^2=\dfrac{Ze^2}{4\pi\epsilon_0r}$ と連立します。$v=n\hbar/(mr)$ を代入して

$$
\frac{n^2\hbar^2}{mr}=\frac{Ze^2}{4\pi\epsilon_0}
\quad\Longrightarrow\quad
r_n=\frac{4\pi\epsilon_0n^2\hbar^2}{mZe^2}=\frac{\epsilon_0n^2h^2}{\pi mZe^2}
$$

これを設問3の全エネルギーに入れると

$$
E_n=-\frac{Ze^2}{8\pi\epsilon_0r_n}=-\frac{Ze^2}{8\pi\epsilon_0}\cdot\frac{\pi mZe^2}{\epsilon_0n^2h^2}
=-\frac{me^4}{8\epsilon_0^2h^2}\cdot\frac{Z^2}{n^2}
$$

となり、整数 $n$ で指定される離散的な値になることが示せました。$me^4/(8\epsilon_0^2h^2)$ は問題文の 1 リュドベリの定義そのもので、$E_n=-Z^2\,\mathrm{Ry}/n^2$ と書けます。

### 設問5

主量子数 $n_1<n_2$ の2準位間の遷移で放出される光子のエネルギーは $h\nu=E_{n_2}-E_{n_1}$ なので

$$
\nu=\frac{me^4}{8\epsilon_0^2h^3}Z^2\left(\frac{1}{n_1^2}-\frac{1}{n_2^2}\right)
=\frac{\mathrm{Ry}}{h}Z^2\left(\frac{1}{n_1^2}-\frac{1}{n_2^2}\right)
$$

平方根をとると

$$
\sqrt{\nu}=Z\sqrt{\frac{\mathrm{Ry}}{h}\left(\frac{1}{n_1^2}-\frac{1}{n_2^2}\right)}
$$

となり、$\sqrt{\nu}$ は $Z$ に比例します。同じ系列（$n_1,n_2$ を固定）では根号の中は定数なので、$\sqrt{\nu}$ と $Z$ が線型関係になります。これがモーズリーの法則です。

### 設問6

$\mathrm{K}_\alpha$ 線は $n_1=1$、$n_2=2$ なので $\dfrac{1}{n_1^2}-\dfrac{1}{n_2^2}=\dfrac34$ です。図2は縦軸 $Z$、横軸 $\sqrt{\nu}$ なので、直線の傾きは

$$
\frac{dZ}{d\sqrt{\nu}}=\sqrt{\frac{h}{\mathrm{Ry}}\cdot\frac{4}{3}}
\quad\Longrightarrow\quad
\mathrm{Ry}=\frac{4h}{3}\left(\frac{d\sqrt{\nu}}{dZ}\right)^{2}=\frac{4h}{3\left(dZ/d\sqrt{\nu}\right)^{2}}
$$

です。切片が原点から外れているので、傾きだけを使う（1点と原点を結ばない）ことが重要です。図2の $\mathrm{K}_\alpha$ 線から2点を読むと、$\sqrt{\nu}=6.0\times10^8\,\mathrm{Hz^{1/2}}$ で $Z\simeq13$、$\sqrt{\nu}=22\times10^8\,\mathrm{Hz^{1/2}}$ で $Z\simeq45$ なので

$$
\frac{dZ}{d\sqrt{\nu}}=\frac{45-13}{(22-6.0)\times10^8}=2.0\times10^{-8}\,\mathrm{Hz^{-1/2}}
$$

これを代入して

$$
\mathrm{Ry}=\frac{4\times6.6\times10^{-34}}{3\times\left(2.0\times10^{-8}\right)^2}
=\frac{2.64\times10^{-33}}{1.2\times10^{-15}}=2.2\times10^{-18}\,\mathrm{J}
$$

eV に直すと

$$
\mathrm{Ry}=\frac{2.2\times10^{-18}}{1.6\times10^{-19}}\simeq1.4\times10^{1}\,\mathrm{eV}
$$

答えは 1 Ry がおよそ $14\,\mathrm{eV}$ です。グラフの読み取り精度は数パーセントなので、既知の値 $13.6\,\mathrm{eV}$ と誤差の範囲で一致しています。

### 設問7

モーズリーの法則を実験に合わせるには、原子番号を裸の $Z$ ではなく実効電荷 $Z-s$ に置き換えて

$$
\sqrt{\nu}=C\left(Z-s\right),\qquad
C=\sqrt{\frac{\mathrm{Ry}}{h}\left(\frac{1}{n_1^2}-\frac{1}{n_2^2}\right)}
$$

と書く必要があります。これを $Z=\sqrt{\nu}/C+s$ と直せば、図2の直線の $y$ 切片がちょうど遮蔽定数 $s$ です。つまり $y$ 切片がゼロにならないことは、遷移に関与する電子が核電荷 $Ze$ をそのまま感じているのではなく、内側にある他の電子に遮蔽されて実効的に $(Z-s)e$ しか感じていないことを意味します。設問3・設問4の1電子モデル（遮蔽ゼロ）が近似にすぎない、という補正が切片に現れているわけです。

$\mathrm{K}_\alpha$ 線では遷移する電子が最内殻に落ちるので、遮蔽してくれるのは K 殻に残っているもう1個の電子だけで $s\simeq1$ と小さく、切片もほぼ $1$ です。一方 $\mathrm{L}_\alpha$ 線は $n=3\to2$ の遷移で、この電子より内側には満杯の K 殻（2個）があり、さらに同じ L 殻の他の電子からも部分的に遮蔽されます。遮蔽に効く電子の数が5個程度になるため切片が約 5.4 と大きくなります。すなわち切片の大きさは、その軌道より内側にある電子の数の目安を与えており、外側の殻の遷移ほど遮蔽が強くなることを表しています。

## 第5問 ギブス自由エネルギーとタンパク質重合モーター

### 設定

前半（設問1から設問3）は化学反応の平衡条件と平衡定数の一般論です。後半（設問4から設問6）は図1のタンパク質重合モーターで、重合体の左端が固定され、右端は物体から1本あたり力 $f$ を受けています。単量体1分子が右端に結合すると物体が右へ距離 $d$ だけ動きます。図2は物体の位置の測定で、時間的に揺らぎながら単量体1分子の重合に伴って $2.7\,\mathrm{nm}$ の階段状の変位が起きています。よって $d=2.7\,\mathrm{nm}$ とします。

### 設問1

$G=U+pV-TS$ の微分は

$$
dG=dU+p\,dV+V\,dp-T\,dS-S\,dT
$$

です。物質の出入りがなく、体積変化の仕事だけをする系では熱力学第一法則と第二法則から $dU=T\,dS-p\,dV$ が成り立ちます。これを代入すると $T\,dS$ と $p\,dV$ がそれぞれ打ち消し合って

$$
dG=\left(T\,dS-p\,dV\right)+p\,dV+V\,dp-T\,dS-S\,dT=-S\,dT+V\,dp
$$

が示せました。$G$ の自然な変数が $(T,p)$ であり、$S=-(\partial G/\partial T)_p$、$V=(\partial G/\partial p)_T$ となることを表しています。

### 設問2

$\mathrm{A}+\mathrm{B}\to\mathrm{AB}$ の反応進行度を $\xi$ とすると、化学量論から $dn_\mathrm{A}=dn_\mathrm{B}=-d\xi$、$dn_\mathrm{AB}=+d\xi$ です。定温定圧では $dT=dp=0$ なので (1) 式は

$$
dG=\sum_i\mu_i\,dn_i=\left(\mu_\mathrm{AB}-\mu_\mathrm{A}-\mu_\mathrm{B}\right)d\xi
$$

となります。定温定圧の平衡では $G$ が極小、すなわち任意の $d\xi$ に対して $dG=0$ でなければならないので

$$
\mu_\mathrm{A}+\mu_\mathrm{B}=\mu_\mathrm{AB}
$$

が成り立ちます。反応の左辺と右辺で化学ポテンシャルの総和が等しいという形です。

### 設問3

$\mu_i=\mu_i^0+RT\ln m_i$（$m_i$ は $1\,\mathrm{mol/kg}$ を単位とした無次元量とみなします）を設問2の平衡条件に入れると

$$
\mu_\mathrm{AB}^0+RT\ln m_\mathrm{AB}=\mu_\mathrm{A}^0+RT\ln m_\mathrm{A}+\mu_\mathrm{B}^0+RT\ln m_\mathrm{B}
$$

移項して対数をまとめると

$$
RT\ln\frac{m_\mathrm{AB}}{m_\mathrm{A}m_\mathrm{B}}=-\left(\mu_\mathrm{AB}^0-\mu_\mathrm{A}^0-\mu_\mathrm{B}^0\right)
\quad\Longrightarrow\quad
K=\exp\left[\frac{-\left(\mu_\mathrm{AB}^0-\mu_\mathrm{A}^0-\mu_\mathrm{B}^0\right)}{RT}\right]
$$

これを (2) 式と比べて、答えは

$$
\Delta G^0=\mu_\mathrm{AB}^0-\mu_\mathrm{A}^0-\mu_\mathrm{B}^0
$$

です。標準反応自由エネルギーは、生成物と反応物の標準化学ポテンシャルの差そのものです。

### 設問4

設問3と同じ手順で、重合反応 $\mathrm{P}_1+\mathrm{P}_{n-1}\to\mathrm{P}_n$ の標準反応自由エネルギーは $\Delta G_n^0=\mu_n^0-\mu_{n-1}^0-\mu_1^0$ です。(4) 式はこれが

$$
\Delta G_n^0(f)=\Delta G_n^0(0)+N_Afd
$$

と変化することを述べています。したがって

$$
K_n(f)=\exp\left(\frac{-\Delta G_n^0(f)}{RT}\right)
=\exp\left(\frac{-\Delta G_n^0(0)}{RT}\right)\exp\left(-\frac{N_Afd}{RT}\right)
$$

答えは

$$
K_n(f)=K_n(0)\exp\left(-\frac{N_Afd}{RT}\right)=K_n(0)\exp\left(-\frac{fd}{k_\mathrm{B}T}\right)
$$

です（$R=N_Ak_\mathrm{B}$ を使いました）。指数の中は「1分子が力 $f$ に逆らって距離 $d$ 進むときの仕事 $fd$」を熱エネルギー $k_\mathrm{B}T$ で割った無次元量で、$f>0$ なら $K_n$ が減る、つまり伸長方向の重合が起こりにくくなるという妥当な向きです。

### 設問5

$m_n\simeq m_{n-1}$ と近似すると (3) 式は $K_n\simeq\dfrac{1}{m_1}$ になります。よって

$$
\frac{K_n(f)}{K_n(0)}=\frac{m_1(0)}{m_1(f)}=\frac{2.0\times10^{-7}}{2.0\times10^{-5}}=10^{-2}
$$

設問4の結果と等置して

$$
\exp\left(-\frac{N_Afd}{RT}\right)=10^{-2}
\quad\Longrightarrow\quad
\frac{N_Afd}{RT}=2\ln10=2\times2.3=4.6
$$

したがって

$$
f=\frac{4.6\,RT}{N_Ad}=\frac{4.6\times8.3\times300}{6.0\times10^{23}\times2.7\times10^{-9}}
=\frac{1.15\times10^{4}}{1.62\times10^{15}}=7.1\times10^{-12}\,\mathrm{N}
$$

答えは $f\simeq7.1\times10^{-12}\,\mathrm{N}=7.1\,\mathrm{pN}$ です。分子モーターの発生力として知られる数 pN のオーダーと合っています。

このとき1分子の重合で物体にする仕事は

$$
fd=7.1\times10^{-12}\times2.7\times10^{-9}=1.9\times10^{-20}\,\mathrm{J}
$$

です（$k_\mathrm{B}T=RT/N_A=4.15\times10^{-21}\,\mathrm{J}$ の 4.6 倍で、上の指数の値と一致します）。利用されたエネルギーが $1.0\times10^{-19}\,\mathrm{J}$ なので、仕事効率は

$$
\eta=\frac{fd}{1.0\times10^{-19}}=\frac{1.9\times10^{-20}}{1.0\times10^{-19}}=0.19
$$

答えは $\eta\simeq0.19$、およそ 19 パーセントです。

### 設問6

揺らぎの原因は熱運動です。物体と重合体は溶媒中にあり、周囲の水分子と絶えず衝突してランダムな力を受けています（ブラウン運動）。系の実効的なばね定数を $\kappa$ とすればエネルギー等分配則 $\frac12\kappa\left\langle\delta x^2\right\rangle=\frac12k_\mathrm{B}T$ で振幅が決まり、その大きさが図2に見える $1\,\mathrm{nm}$ 程度の揺らぎです。図2の縦軸の揺らぎ幅が階段の高さ $d=2.7\,\mathrm{nm}$ と同程度であること、そして設問5で求めた仕事 $fd=1.9\times10^{-20}\,\mathrm{J}$ が $k_\mathrm{B}T=4.2\times10^{-21}\,\mathrm{J}$ の数倍しかないことが、この系では熱揺らぎが無視できない大きさであることを示しています。

揺らぎが果たしている役割は、反応の起こる隙間を作ることです。物体は力 $f$ で重合体の先端に押し付けられているので、平均的な配置では先端と物体の間に単量体1個分の隙間（幅 $d$）がありません。隙間がなければ新しい単量体は結合位置に入れず、重合は進めません。熱揺らぎによって物体が一時的に $d$ 以上だけ後退したその瞬間にだけ単量体が入り込んで結合でき、いったん結合すると物体はもとの位置まで戻れなくなります。つまり熱揺らぎが両方向に等しく起こるのに対して、化学結合の形成がそのうち一方向だけを固定して整流します（ブラウン・ラチェット）。仕事のエネルギーは重合の化学的な自由エネルギー差から供給され、揺らぎはそれを一方向の運動に変換する経路を与える役割を担っています。揺らぎがなければ、力 $f$ に逆らって物体を $d$ 進める中間状態に到達できず、反応そのものが止まってしまいます。

## 第6問 ヒッグス粒子の2光子崩壊

### 設定

ヒッグス粒子が2個の光子に崩壊するモードを扱います。エネルギー $E$ のヒッグス粒子が、エネルギー $E_1$、$E_2$、運動量 $\boldsymbol{p}_1$、$\boldsymbol{p}_2$ の2光子に崩壊し、$E=E_1+E_2$ です。図1は $\gamma\gamma$ 不変質量の分布で、なめらかに減少する大きなバックグラウンドの上に $125\,\mathrm{GeV}$ 付近の小さな山が乗っています。以下、$\psi$ は2光子の運動量のなす角、$\theta$ はヒッグス静止系での放射極角、$\beta=v/c$、$\gamma=1/\sqrt{1-\beta^2}$ です。

### 設問1

4元運動量保存 $P^\mu=p_1^\mu+p_2^\mu$ から不変質量は

$$
m^2c^4=E^2-\left|\boldsymbol{p}\right|^2c^2=\left(E_1+E_2\right)^2-\left|\boldsymbol{p}_1+\boldsymbol{p}_2\right|^2c^2
$$

すなわち

$$
m^2=\frac{\left(E_1+E_2\right)^2}{c^4}-\frac{\left|\boldsymbol{p}_1+\boldsymbol{p}_2\right|^2}{c^2}
$$

です（自然単位系なら $m^2=(E_1+E_2)^2-(\boldsymbol{p}_1+\boldsymbol{p}_2)^2$）。光子は質量ゼロなので $|\boldsymbol{p}_i|c=E_i$ です。これを使って展開すると

$$
\begin{aligned}
m^2c^4&=E_1^2+2E_1E_2+E_2^2-\left(\left|\boldsymbol{p}_1\right|^2+\left|\boldsymbol{p}_2\right|^2+2\left|\boldsymbol{p}_1\right|\left|\boldsymbol{p}_2\right|\cos\psi\right)c^2\\
&=E_1^2+2E_1E_2+E_2^2-E_1^2-E_2^2-2E_1E_2\cos\psi\\
&=2E_1E_2\left(1-\cos\psi\right)
\end{aligned}
$$

半角公式 $1-\cos\psi=2\sin^2(\psi/2)$ を用いると $m^2c^4=4E_1E_2\sin^2(\psi/2)$ となり、$0\le\psi\le\pi$ で $\sin(\psi/2)\ge0$ なので

$$
mc^2=2\sqrt{E_1E_2}\,\sin\frac{\psi}{2}
$$

が示せました。2光子のエネルギーと開き角だけで質量が決まる、というのがこの測定の骨格です。

### 設問2

$mc^2=2\sqrt{E_1E_2}\sin(\psi/2)$ の両辺の対数をとって微分すると、誤差の伝播は

$$
\frac{\delta m}{m}=\frac{1}{2}\sqrt{\left(\frac{\delta E_1}{E_1}\right)^2+\left(\frac{\delta E_2}{E_2}\right)^2+\cot^2\frac{\psi}{2}\,\left(\delta\psi\right)^2}
$$

となります。したがって誤差の原因は、2光子それぞれのエネルギー測定誤差と、開き角の測定誤差の2種類に大別されます。

エネルギー側の原因としては、電磁カロリメータのエネルギー分解能があります。シャワー中の生成粒子数のゆらぎに由来する統計項（$1/\sqrt{E}$ に比例）、読み出し回路の電子ノイズ、校正の不定性やチャンネル間の応答の不均一に由来する定数項が典型です。さらに、カロリメータ前方の物質での損失、装置後方や側方へのシャワーの漏れ出し、同時に起きた他の衝突（パイルアップ）由来のエネルギーの混入も効きます。

角度側の原因としては、カロリメータ上でのシャワー重心の位置分解能、および光子の飛来元である一次衝突点（ビーム軸方向の位置）の不定性があります。光子は電荷を持たず飛跡を残さないので、どの衝突点から来たかを別の情報で推定する必要があり、その取り違えが $\delta\psi$ に直結します。

なお、ヒッグス粒子自身の自然幅は数 MeV 程度で、図1の山の幅（数 GeV）に比べて桁違いに小さいため、山の幅は事実上すべて測定分解能で決まっています。

### 設問3

信号事象の数 $S$ は、生成断面積と積分ルミノシティで決まっており、質量分解能を良くしても変わりません。一方バックグラウンドは不変質量について広くなめらかに分布しているので、山の位置に幅 $\sim\sigma_m$ の窓を切ったときに窓に入るバックグラウンド事象数は $B\propto\sigma_m$ と窓幅に比例します。

統計的有意性はおおむね $S/\sqrt{B}$ で評価されるので

$$
\frac{S}{\sqrt{B}}\propto\frac{S}{\sqrt{\sigma_m}}
$$

となり、$\sigma_m$ を小さくすれば有意性は $1/\sqrt{\sigma_m}$ で改善します。たとえば分解能を半分にすれば有意性は $\sqrt2$ 倍になります。直観的にいえば、信号が少数のビンに集中するので山が鋭く高くなり、同じ場所のバックグラウンドに対する比が大きくなるということです。

### 設問4

$E_1+E_2=E$ の下で設問1の式を書き換えます。ヒッグス静止系で極角 $\theta$ に出た光子は、実験室系では $E_1=\frac{E}{2}\left(1+\beta\cos\theta\right)$、$E_2=\frac{E}{2}\left(1-\beta\cos\theta\right)$ となるので（設問5で確かめます）

$$
\sin^2\frac{\psi}{2}=\frac{m^2c^4}{4E_1E_2}=\frac{m^2c^4}{E^2\left(1-\beta^2\cos^2\theta\right)}
=\frac{1}{\gamma^2\left(1-\beta^2\cos^2\theta\right)}
$$

です（$mc^2/E=1/\gamma$ を使いました）。右辺は $\cos^2\theta$ の増加関数です。最小値は $\theta=\pi/2$、つまり2光子が等エネルギーの配置でとり、$\sin(\psi/2)=1/\gamma=mc^2/E$ となります。最大値は $\cos^2\theta=1$、つまり崩壊軸がブースト方向を向く配置でとり、$1-\beta^2=1/\gamma^2$ より $\sin(\psi/2)=1$、すなわち $\psi=\pi$ です（静止系で運動方向に沿って出た光子は、ブーストしても方向が変わらないので、実験室系でも一直線に並びます）。

$m=125\,\mathrm{GeV}/c^2$、$E=250\,\mathrm{GeV}$ では $\gamma=E/(mc^2)=2$、$\beta=\sqrt{3}/2$ なので

$$
\sin\frac{\psi_{\mathrm{min}}}{2}=\frac{125}{250}=\frac12
\quad\Longrightarrow\quad
\frac{\psi_{\mathrm{min}}}{2}=30^\circ
$$

答えは最大値 $\psi_{\mathrm{max}}=180^\circ=\pi$、最小値 $\psi_{\mathrm{min}}=60^\circ=\pi/3$ です。$\psi=180^\circ$ が本当に許されるかを確かめると、そのとき $4E_1E_2=m^2c^4$ と $E_1+E_2=250\,\mathrm{GeV}$ から $E_1=233.3\,\mathrm{GeV}$、$E_2=16.7\,\mathrm{GeV}$ で、運動量の差 $E_1-E_2=216.5\,\mathrm{GeV}$ がヒッグス粒子の運動量 $\sqrt{E^2-m^2c^4}=216.5\,\mathrm{GeV}/c$ に一致しており、確かに運動学的に実現します。

### 設問5

静止系では光子のエネルギーは $E_\gamma=|\boldsymbol{p}_\gamma|c=mc^2/2$ です。運動量が $zx$ 面内で $z$ 軸から極角 $\theta$ の方向を向いているので、4元運動量を $p^\mu=(E_\gamma/c,\,p_x,\,p_y,\,p_z)$ と書けば

$$
p^\mu=\left(\frac{mc}{2},\ \frac{mc}{2}\sin\theta,\ 0,\ \frac{mc}{2}\cos\theta\right)
$$

です。$p^\mu p_\mu=\left(\frac{mc}{2}\right)^2-\left(\frac{mc}{2}\right)^2\left(\sin^2\theta+\cos^2\theta\right)=0$ で、確かに質量ゼロです。

ヒッグス粒子が $z$ 方向に速さ $v$ で走る系（これを $\mathrm{S}'$ とします）は、静止系に対して速度 $-v\hat{z}$ で動く系です。したがってローレンツ変換のエネルギー成分は

$$
E'=\gamma\left(E_\gamma+v\,p_z\right)=\gamma\left(\frac{mc^2}{2}+v\cdot\frac{mc}{2}\cos\theta\right)
$$

答えは

$$
E'=\frac{\gamma mc^2}{2}\left(1+\beta\cos\theta\right)
$$

です。$\gamma mc^2=E$ なので $E'=\frac{E}{2}(1+\beta\cos\theta)$ とも書けて、設問4で使った表式が確かめられました。もう一方の光子は $\theta\to\pi-\theta$ に相当するので $\frac{E}{2}(1-\beta\cos\theta)$ で、和は $E$ になります。$\beta\to0$ で両方が $mc^2/2$ に戻る点も正しいです。

### 設問6

設問5より $E'=\frac{E}{2}\left(1+\beta\cos\theta\right)$ は $\cos\theta$ の1次式です。等方崩壊では $\cos\theta$ が $[-1,1]$ 上で一様分布するので、その1次変換である $E'$ も一様分布になります。区間の端は $\cos\theta=\mp1$ に対応して

$$
E'_{\mathrm{min}}=\frac{E}{2}\left(1-\beta\right),\qquad E'_{\mathrm{max}}=\frac{E}{2}\left(1+\beta\right)
$$

$m=125\,\mathrm{GeV}/c^2$、$E=250\,\mathrm{GeV}$ では $\beta=\sqrt3/2=0.866$ なので

$$
E'_{\mathrm{min}}=125\left(1-0.866\right)=16.7\,\mathrm{GeV},\qquad
E'_{\mathrm{max}}=125\left(1+0.866\right)=233.3\,\mathrm{GeV}
$$

したがってエネルギー分布は次のようになります。横軸を光子エネルギー $E'$、縦軸を $dN/dE'$ とすると、$16.7\,\mathrm{GeV}$ から $233.3\,\mathrm{GeV}$ までは高さ一定の平坦な分布（矩形分布）で、その外側では厳密にゼロです。両端は垂直に立ち上がる不連続で、途中に山や谷はありません。区間の中点は $E/2=125\,\mathrm{GeV}$、区間の全幅は $\beta E=216.5\,\mathrm{GeV}$ でヒッグス粒子の運動量 $|\boldsymbol{p}|c$ に等しくなります。縦軸のスケールを任意にとってよいので、高さは全事象数を $216.5\,\mathrm{GeV}$ で割った定数です。

<svg viewBox="0 0 640 250" style="width:100%;max-width:640px" role="img" aria-label="光子エネルギーの一様分布">
  <g stroke="currentColor" fill="none" stroke-width="1.4">
    <path d="M60 200 H620"/>
    <path d="M60 200 V50"/>
    <path d="M95 200 V80 H544 V200"/>
    <path d="M95 200 v7 M320 200 v7 M544 200 v7"/>
  </g>
  <g stroke="currentColor" fill="none" stroke-width="1" stroke-dasharray="5 5">
    <path d="M320 200 V80"/>
  </g>
  <g fill="currentColor" font-size="12">
    <text x="80" y="222">16.7</text>
    <text x="308" y="222">125</text>
    <text x="528" y="222">233.3</text>
    <text x="452" y="242">光子エネルギー [GeV]</text>
    <text x="66" y="66">dN/dE'</text>
  </g>
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出典: 東京大学大学院理学系研究科 物理学専攻 平成26年度 修士課程 入学試験問題 物理学。問題文は要約して引用しています。
